(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158161
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】プレキャストコンクリート部材の構造物、接合プレキャストコンクリート部材及びプレキャストコンクリート部材の接合方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/21 20060101AFI20221006BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E04B1/21 C
E04B1/58 503E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062875
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】山本 伸也
(72)【発明者】
【氏名】吉武 謙二
(72)【発明者】
【氏名】滝本 和志
(72)【発明者】
【氏名】原 紘一朗
(72)【発明者】
【氏名】林 大輔
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AB11
2E125AC02
2E125AG12
2E125AG28
2E125AG41
2E125BA44
2E125BB19
2E125BD01
2E125BE08
2E125CA82
(57)【要約】
【課題】少ない継手でプレキャストコンクリート部材どうしを接合することができるプレキャストコンクリート部材の構造物、プレキャストコンクリート部材の継手及びプレキャストコンクリート部材の接合方法を提供する。
【解決手段】プレキャストコンクリート部材の構造物10は、鉄筋挿入孔23の下部には下部主筋12における下部コンクリート部11の上面11uから上方に突出した部分が配置され、鉄筋挿入孔23の上部には上部主筋32における上部コンクリート部31の下面31dから下方に突出した部分が配置され、鉄筋挿入孔23にはグラウト材41が充填されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部プレキャストコンクリート部材と、
該下部プレキャストコンクリート部材の上側に設置される接合プレキャストコンクリート部材と、
該接合プレキャストコンクリート部材の上側に設置される上部プレキャストコンクリート部材と、を備えるプレキャストコンクリート部材の構造物であって、
前記下部プレキャストコンクリート部材は、
下部コンクリート部と、
該下部コンクリート部内に埋設され、該下部コンクリート部の上面から上方に突出する下部主筋と、を有し、
前記接合プレキャストコンクリート部材は、
接合コンクリート部と、
該接合コンクリート部内に埋設され、内部に鉄筋挿入孔が形成された継手と、を有し、
前記上部プレキャストコンクリート部材は、
上部コンクリート部と、
該上部コンクリート部内に埋設され、該上部コンクリート部の下面から下方に突出する上部主筋と、を有し、
前記鉄筋挿入孔の下部には前記下部主筋における前記下部コンクリート部の上面から上方に突出した部分が配置され、前記鉄筋挿入孔の上部には前記上部主筋における前記上部コンクリート部の下面から下方に突出した部分が配置され、前記鉄筋挿入孔にはグラウト材が充填されているプレキャストコンクリート部材の構造物。
【請求項2】
前記継手の前記鉄筋挿入孔の上端部は、前記接合コンクリート部の上面に露出し、
前記継手の前記鉄筋挿入孔の下端部は、前記接合コンクリート部の下面に露出している請求項1に記載のプレキャストコンクリート部材の構造物。
【請求項3】
一対のプレキャストコンクリート部材の間に設置される接合プレキャストコンクリート部材であって、
接合コンクリート部と、
該接合コンクリート部内に埋設され、内部に鉄筋挿入孔が形成された継手と、を備え、
前記鉄筋挿入孔の一端部は前記接合コンクリート部の一端面に露出し、前記鉄筋挿入孔の他端部は前記接合コンクリート部の他端面に露出するように配置される接合プレキャストコンクリート部材。
【請求項4】
下部コンクリート部と、該下部コンクリート部内に埋設され、該下部コンクリート部の上面から上方に突出する下部主筋と、を有する下部プレキャストコンクリート部材を設置する下部プレキャストコンクリート部材設置工程と、
接合コンクリート部と、該接合コンクリート部内に埋設され、内部に鉄筋挿入孔が形成された継手と、を有する接合プレキャストコンクリート部材を、前記下部プレキャストコンクリート部材の上側に設置し、前記下部主筋における前記下部コンクリート部の上面から上方に突出した部分を前記鉄筋挿入孔の下部に配置する接合プレキャストコンクリート部材設置工程と、
上部コンクリート部と、該上部コンクリート部内に埋設され、該上部コンクリート部の下面から下方に突出する上部主筋と、を有する上部プレキャストコンクリート部材を、前記接合プレキャストコンクリート部材の上側に設置し、前記上部主筋における前記上部コンクリート部の下面から下方に突出した部分を前記鉄筋挿入孔の上部に配置する上部プレキャストコンクリート部材設置工程と、
前記鉄筋挿入孔にグラウト材を充填するグラウト材充填工程と、を備えるプレキャストコンクリート部材の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャストコンクリート部材の構造物、接合プレキャストコンクリート部材及びプレキャストコンクリート部材の接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プレキャストコンクリート部材を接合する方法として、例えば下記の特許文献1が開示されている。下部プレキャストコンクリート部材の上部に継手を設け、継手の下部には下部プレキャストコンクリート部材の主筋を配置する。上下方向に延びる中継主筋を設けられた中間プレキャストコンクリート部材を、下部プレキャストコンクリート部材の上側に設置する。中間プレキャストコンクリート部材の下面から突出した中継主筋の下部を下部プレキャストコンクリート部材の継手に挿入する。下部に継手を設け継手の上部には主筋が配置された上部プレキャストコンクリート部材を、中間プレキャストコンクリート部材の上側に設置する。中間プレートの中継主筋の上部を上部プレキャストコンクリート部材の継手に挿入する。継手内にモルタルを充填して、主筋と中継主筋とを接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法では、下部プレキャストコンクリート部材と中間プレキャストコンクリート部材との接合箇所に継手を設け、中間プレキャストコンクリート部材と上部プレキャストコンクリート部材との接合箇所に継手を設けるように、各接合箇所に対してそれぞれ継手が必要となる。このため、継手の数が多くなり、それに応じてモルタルの充填箇所が多くなるため、モルタルの未充填リスクの増加や、モルタル充填作業の工数が多くなるという問題点がある。また、継手ごとにプレキャストコンクリート部材の側面にモルタルの排出口を設けるため、継手の数が多くなると、排出口も多くなり、美観を損ねるという問題点もある。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、少ない継手でプレキャストコンクリート部材どうしを接合することができるプレキャストコンクリート部材の構造物、プレキャストコンクリート部材の継手及びプレキャストコンクリート部材の接合方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係るプレキャストコンクリート部材の構造物は、下部プレキャストコンクリート部材と、該下部プレキャストコンクリート部材の上側に設置される接合プレキャストコンクリート部材と、該接合プレキャストコンクリート部材の上側に設置される上部プレキャストコンクリート部材と、を備えるプレキャストコンクリート部材の構造物であって、前記下部プレキャストコンクリート部材は、下部コンクリート部と、該下部コンクリート部内に埋設され、該下部コンクリート部の上面から上方に突出する下部主筋と、を有し、前記接合プレキャストコンクリート部材は、接合コンクリート部と、該接合コンクリート部内に埋設され、内部に鉄筋挿入孔が形成された継手と、を有し、前記上部プレキャストコンクリート部材は、上部コンクリート部と、該上部コンクリート部内に埋設され、該上部コンクリート部の下面から下方に突出する上部主筋と、を有し、前記鉄筋挿入孔の下部には前記下部主筋における前記下部コンクリート部の上面から上方に突出した部分が配置され、前記鉄筋挿入孔の上部には前記上部主筋における前記上部コンクリート部の下面から下方に突出した部分が配置され、前記鉄筋挿入孔にはグラウト材が充填されている。
【0007】
このように構成されたプレキャストコンクリート部材の構造物では、接合プレキャストコンクリート部材の継手の鉄筋挿入孔には、下部プレキャストコンクリート部材の下部主筋及び上部プレキャストコンクリート部材の上部主筋が配置されている。鉄筋挿入孔に充填されたグラウト材によって、下部主筋と上部主筋とが接合されている。よって、下部プレキャストコンクリート部材、接合プレキャストコンクリート部材及び上部プレキャストコンクリート部材の3つの部材(接合面は接合プレキャストコンクリート部材の上面及び下面の2面)を接合する際に、下部主筋及び上部主筋の位置に対応した継手が一つでよいため、継手の数を少なくすることができる。
【0008】
また、本発明に係るプレキャストコンクリート部材の構造物では、前記継手の前記鉄筋挿入孔の上端部は、前記接合コンクリート部の上面に露出し、前記継手の前記鉄筋挿入孔の下端部は、前記接合コンクリート部の下面に露出していてもよい。
【0009】
このように構成されたプレキャストコンクリート部材の構造物では、継手の鉄筋挿入孔の上端部は接合コンクリート部の上面に露出し、継手の鉄筋挿入孔の下端部は接合コンクリート部の下面に露出している。よって、上部主筋を鉄筋挿入孔の上端部から挿入しやすいとともに、下部主筋を鉄筋挿入孔の下端部から挿入しやすい。
【0010】
また、本発明に係る接合プレキャストコンクリート部材は、一対のプレキャストコンクリート部材の間に設置される接合プレキャストコンクリート部材であって、接合コンクリート部と、該接合コンクリート部内に埋設され、内部に鉄筋挿入孔が形成された継手と、を備え、前記鉄筋挿入孔の一端部は前記接合コンクリート部の一端面に露出し、前記鉄筋挿入孔の他端部は前記接合コンクリート部の他端面に露出するように配置される。
【0011】
このように構成された接合プレキャストコンクリート部材では、対のプレキャストコンクリート部材及び接合プレキャストコンクリート部材の3つの部材(接合面は接合プレキャストコンクリート部材の一端面及び他端面の2面)を接合する際に、継手が一つでよいため、継手の数を少なくすることができる。
【0012】
また、本発明に係るプレキャストコンクリート部材の接合方法は、下部コンクリート部と、該下部コンクリート部内に埋設され、該下部コンクリート部の上面から上方に突出する下部主筋と、を有する下部プレキャストコンクリート部材を設置する下部プレキャストコンクリート部材設置工程と、接合コンクリート部と、該接合コンクリート部内に埋設され、内部に鉄筋挿入孔が形成された継手と、を有する接合プレキャストコンクリート部材を、前記下部プレキャストコンクリート部材の上側に設置し、前記下部主筋における前記下部コンクリート部の上面から上方に突出した部分を前記鉄筋挿入孔の下部に配置する接合プレキャストコンクリート部材設置工程と、上部コンクリート部と、該上部コンクリート部内に埋設され、該上部コンクリート部の下面から下方に突出する上部主筋と、を有する上部プレキャストコンクリート部材を、前記接合プレキャストコンクリート部材の上側に設置し、前記上部主筋における前記上部コンクリート部の下面から下方に突出した部分を前記鉄筋挿入孔の上部に配置する上部プレキャストコンクリート部材設置工程と、前記鉄筋挿入孔にグラウト材を充填するグラウト材充填工程と、を備える。
【0013】
このように構成されたプレキャストコンクリート部材の接合方法では、接合プレキャストコンクリート部材の継手の鉄筋挿入孔には、下部プレキャストコンクリート部材の下部主筋及び上部プレキャストコンクリート部材の上部主筋が配置されている。鉄筋挿入孔に充填されたグラウト材によって、下部主筋と上部主筋とが接合されている。よって、下部プレキャストコンクリート部材、接合プレキャストコンクリート部材及び上部プレキャストコンクリート部材の3つの部材(接合面は接合プレキャストコンクリート部材の上面及び下面の2面)を接合する際に、下部主筋及び上部主筋の位置に対応した継手が一つでよいため、継手の数を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るプレキャストコンクリート部材の構造物、接合プレキャストコンクリート部材及びプレキャストコンクリート部材の接合方法によれば、少ない継手でプレキャストコンクリート部材どうしを接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプレキャストコンクリート部材の構造物を示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るプレキャストコンクリート部材の接合方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るプレキャストコンクリート部材の構造物について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプレキャストコンクリート部材の構造物を示す模式図である。
図1では、紙面左側に配置されるスリーブ22の内部を断面で示し、紙面中央に配置されるスリーブ22の一部を断面で示し、紙面右側に配置されるスリーブ22をスリーブ22の外側から見た図で示している。
図1に示すように、本実施形態に係るプレキャストコンクリート部材の構造物は、柱10である。柱10は、下部PCa柱部材(下部プレキャストコンクリート部材、プレキャストコンクリート部材)1と、接合PCa部材(接合プレキャストコンクリート部材)2と、上部PCa柱部材(上部プレキャストコンクリート部材、プレキャストコンクリート部材)3と、を備えている。下部PCa柱部材1の上側に、接合PCa柱部材2が設置されている。接合PCa柱部材2の上側に、上部PCa柱部材3が設置されている。
【0017】
下部PCa柱部材1、接合PCa柱部材2及び上部PCa柱部材3は、プレキャストコンクリートで構成されている。
【0018】
下部PCa柱部材1は、下部コンクリート部11と、下部主筋12と、を有している。下部コンクリート部11は、コンクリートによって角柱状や円柱状等の形状をしている。下部主筋12は、上下方向に延びている。下部主筋12は、水平方向に間隔を有して複数配置されている。下部主筋12の上部(一端部)(「上部突出部」とする)12aは、下部コンクリート部11の上面(一端面)11uから上方に突出している。下部主筋12の上部突出部12aよりも下方の部分は、下部コンクリート部11内に埋設されている。
【0019】
接合PCa柱部材2は、接合コンクリート部21と、スリーブ(継手)22と、を有している。接合コンクリート部21は、コンクリートによって形成されている。接合コンクリート部21の水平断面形状は、下部コンクリート部11の断面形状と略同一である。
【0020】
スリーブ22は、軸線方向を上下方向に向けた筒状に形成されている。本実施形態では、スリーブ22は、モルタル(グラウト材)充填式継手である。スリーブ22は、接合コンクリート部21内に埋設されている。スリーブ22の内部は、上下方向に貫通する貫通孔である鉄筋挿入孔23とされている。
【0021】
本実施形態では、スリーブ22の長さは、接合コンクリート部21の高さと略同一である。スリーブ22の鉄筋挿入孔23の上端部23uは、接合コンクリート部21の上面21uに露出している。スリーブ22の鉄筋挿入孔23の下端部23dは、接合コンクリート部21の下面21dに露出している。
【0022】
下部PCa柱部材1の下部主筋12の上部突出部12aは、鉄筋挿入孔23の下端部23dから上方に向かってに挿入配置されている。
【0023】
上部PCa柱部材3は、上部コンクリート部31と、上部主筋32と、を有している。上部コンクリート部31は、コンクリートによって形成されている。上部コンクリート部31の水平断面形状は、下部コンクリート部11及び接合コンクリート部21の断面形状と略同一である。上部主筋32は、上下方向に延びている。上部主筋32は、水平方向に間隔を有して複数配置されている。上部主筋32の下部(他端部)(「下部突出部」とする)32aは、上部コンクリート部31の下面(他端面)31dから下方に突出している。上部主筋32の下部突出部32aよりも上方の部分は、上部コンクリート部31内に埋設されている。
【0024】
上部主筋32の下部突出部32aは、スリーブ22の鉄筋挿入孔23の上端部23uから下方に向かって挿入配置されている。上部主筋32の下部突出部32aの下端部32dは、下部主筋12の上部突出部12aの上端部12uよりも上方に間隔を有して配置されている。
【0025】
スリーブ22の鉄筋挿入孔23の内部には、例えば無収縮モルタルやエポキシ樹脂等からなるグラウト材41が充填されている。下部PCa柱部材1と接合PCa柱部材2との間、及び接合PCa柱部材2と上部PCa柱部材3との間には、グラウト材によって目地42が形成されている。
【0026】
次に、プレキャストコンクリート部材の接合方法について、主に
図2を用いて説明する。
まず、下部プレキャストコンクリート部材設置工程を行う。
所定の設置面に、下部PCa柱部材1を設置する。
【0027】
次に、接合プレキャストコンクリート部材設置工程を行う。
下部PCa柱部材1の上側に、接合PCa柱部材2を設置する。下部PCa柱部材1の下部主筋12の上部突出部12aを、接合PCa柱部材2のスリーブ22の鉄筋挿入孔23の下端部23dから上方に向かってに挿入する。
【0028】
次に、上部プレキャストコンクリート部材設置工程を行う。
接合PCa柱部材2の上側には、上部PCa柱部材3を設置する。上部PCa柱部材3の上部主筋32の下部突出部32aを、接合PCa柱部材2のスリーブ22の鉄筋挿入孔23の上端部23uから下方に向かって挿入する。
【0029】
次に、グラウト材充填工程を行う。
接合PCa柱部材2の表面等に設けた不図示の注入口からスリーブ22の鉄筋挿入孔23の内部にグラウト材41を注入する。余分なグラウト材は、接合PCa柱部材2の表面等に設けた不図示の排出口から排出する。グラウト材41を介して、下部主筋12の上部突出部12aと上部主筋32の下部突出部32aとが接合される。
【0030】
このように構成されたプレキャストコンクリート部材の構造物10では、接合PCa柱部材2のスリーブ22の鉄筋挿入孔23には、下部PCa柱部材1の下部主筋12の上部突出部12a及び上部PCa柱部材3の上部主筋32の下部突出部32aが配置されている。鉄筋挿入孔23に充填されたグラウト材41によって、下部主筋12の上部突出部12aと上部主筋32の下部突出部32aとが接合されている。よって、下部PCa柱部材1、接合PCa柱部材2及び上部PCa柱部材3の3つの部材(接合面は接合PCa柱部材2の上面21u及び下面21dの2面)を接合する際に、下部主筋12及び上部主筋32の位置に対応したスリーブ22が一つでよいため、スリーブ22の数を少なくすることができる。スリーブ22の数が少なれば、グラウト材41の充填箇所も少なくなり施工速度が速くなるとともに、柱10の側面に形成されるグラウト材41の注入口及び排出口の数も少なくなり美観が向上する。
【0031】
また、スリーブ22の鉄筋挿入孔23の上端部23uは接合コンクリート部21の上面21uに露出し、スリーブ22の鉄筋挿入孔23の下端部23dは接合コンクリート部21の下面21dに露出している。よって、上部主筋32の下部突出部32aを鉄筋挿入孔23の上端部23uから挿入しやすいとともに、下部主筋12の上部突出部12aを鉄筋挿入孔23の下端部23dから挿入しやすい。
【0032】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0033】
例えば、上記に示す実施形態では、下部PCa柱部材1の上側に接合PCa柱部材2を介して上部PCa柱部材3を設置しているが、上部PCa柱部材3の上部主筋32を上部コンクリート部31の上面から突出させて、接合PCa柱部材2を介して更に上部PCa柱部材3を設置するようにしてもよい。
【0034】
また、上記に示す実施形態では、接合PCa部材2は、下部PCa柱部材1と上部PCa柱部材3との間に設置されているが、本発明はこれに限られない。接合プレキャストコンクリート部材は、一対のプレキャストコンクリート部材の間に設置されていればよい。接合プレキャストコンクリート部材は、上下方向に離間して配置された一対のプレキャストコンクリート部材の間のみならず、水平方向に離間して配置された一対のプレキャストコンクリート部材の間に設置されていてもよい。水平方向に離間して配置された一対のプレキャストコンクリート部材の間に接合プレキャストコンクリート部材が設置される場合には、上記に示す接合PCa部材2を90度回転させた向きに設置され、スリーブ22の鉄筋挿入孔23の端部23u及び端部23dが、それぞれ接合されるプレキャストコンクリート部材側を向くように設置される。
【符号の説明】
【0035】
1 下部PCa柱部材(下部プレキャストコンクリート部材、プレキャストコンクリート部材)、2 接合PCa部材(接合プレキャストコンクリート部材)、3 上部PCa柱部材(上部プレキャストコンクリート部材、プレキャストコンクリート部材)、10 プレキャストコンクリート部材の構造物、11 下部コンクリート部、12 下部主筋、21 接合コンクリート部、22 スリーブ(継手)、23 鉄筋挿入孔、31 上部コンクリート部、32 上部主筋、41 グラウト材