(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158171
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】保険評価装置及び保険評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20221006BHJP
【FI】
G06Q40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062896
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】507009836
【氏名又は名称】いずみライフデザイナーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 登志松
(72)【発明者】
【氏名】関根 秀勝
(72)【発明者】
【氏名】田中 克典
(72)【発明者】
【氏名】橋本 謙太郎
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB61
(57)【要約】
【課題】新たな推奨形式での保険のコンサルティングを可能にする。
【解決手段】評価対象とする複数の保険商品の評価を行う保険評価装置1であって、評価対象とする複数の保険商品それぞれについて、予め定められた複数の評価項目ごとの評価点を取得するS5の手順と、取得された複数の評価項目ごとの評価点の累計に基づき評価対象とする複数の保険商品それぞれを順位付けるS10,S15,S25,S40,S45の手順と、評価対象とする複数の保険商品それぞれを、S10,S15,S25,S40,S45の手順により順位付けられた態様で一覧表示するS50の手順と、を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象とする複数の保険商品の評価を行う保険評価装置であって、
前記評価対象とする複数の保険商品それぞれについて、予め定められた複数の商品特性項目ごとの評価値を取得する評価値取得手段と、
前記評価値取得手段により取得された前記複数の商品特性項目ごとの前記評価値の累計に基づき前記評価対象とする複数の保険商品それぞれを順位付ける順位付け手段と、
前記評価対象とする複数の保険商品それぞれを、前記順位付け手段により順位付けられた態様で一覧表示する一覧表示手段と、
を有することを特徴とする保険評価装置。
【請求項2】
前記順位付け手段でどのような順位付け態様を適用して順位付けするかを判定する順位付け態様判定手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1記載の保険評価装置。
【請求項3】
前記順位付け態様判定手段は、
前記複数の保険商品それぞれの前記評価値の累計だけを第1の基準とした順位付け態様と、前記評価値の累計とともに保険料も併せて反映させた第2の基準での順位付け態様のいずれを適用するかを判定する
ことを特徴とする請求項2記載の保険評価装置。
【請求項4】
前記第2の基準での順位付け態様は、
前記複数の保険商品それぞれの前記評価値の累計で比較した商品特性順位と、前記保険料の平均値で比較した保険料順位と、の平均順位で比較した順位付け態様である
ことを特徴とする請求項3記載の保険評価装置。
【請求項5】
前記一覧表示手段は、
前記複数の保険商品それぞれの前記商品特性順位と前記保険料順位の少なくとも一方を含めて一覧表示する
ことを特徴とする請求項4記載の保険評価装置。
【請求項6】
前記一覧表示手段は、
前記複数の保険商品それぞれの性別及び年代別での保険料の分布体系を示す保険料表を含めて一覧表示する
ことを特徴とする請求項5に記載の保険評価装置。
【請求項7】
前記保険料表は、
前記保険料順位が最上位の保険商品の保険料を基準値として他の保険商品の保険料を正規化した値で示す保険料正規化比較表である
ことを特徴とする請求項6記載の保険評価装置。
【請求項8】
前記一覧表示手段は、
前記複数の保険商品それぞれの前記評価値の累計を含めて一覧表示する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の保険評価装置。
【請求項9】
操作部と、記憶部と、表示部と、制御部と、を有し、評価対象とする複数の保険商品の評価を行う保険評価装置であって、
前記制御部は、
前記評価対象とする複数の保険商品それぞれについて、予め定められた複数の商品特性項目ごとの評価値を取得して前記記憶部に記憶する評価値取得処理と、
前記評価値取得処理で取得した前記複数の商品特性項目ごとの前記評価値の累計に基づき前記評価対象とする複数の保険商品それぞれを順位付ける順位付け処理と、
前記評価対象とする複数の保険商品それぞれを、前記順位付け処理により順位付けられた態様で前記表示部に一覧表示する一覧表示処理と、
を実行することを特徴とする保険評価装置。
【請求項10】
操作部と、記憶部と、表示部と、制御部と、を有し、評価対象とする複数の保険商品の評価を行う保険評価装置が実行する保険評価プログラムであって、前記制御部に対し、
前記評価対象とする複数の保険商品それぞれについて、予め定められた複数の商品特性項目ごとの評価値を取得して前記記憶部に記憶する評価値取得手順と、
前記評価値取得手順で取得した前記複数の商品特性項目ごとの前記評価値の累計に基づき前記評価対象とする複数の保険商品それぞれを順位付ける順位付け手順と、
前記評価対象とする複数の保険商品それぞれを、前記順位付け手順により順位付けられた態様で前記表示部に一覧表示する一覧表示手順と、
を実行させるための、保険評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険のコンサルティング業務の支援に用いられる保険評価装置及び保険評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保険加入希望者がインターネット端末を介して各種保障内容や期間等の条件を選択することにより、保険商品を決定する保険販売システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来技術は、細分化された多数の保障項目から任意に選択して独自の保険商品を構築するものであり、保険に関する相当の知識がなければ納得のいく契約ができないものであった。これに対し、あまり知識を持たない一般的なユーザが保険に加入するための窓口の一つに販売代理店があり、そこでは専門の相談スタッフがユーザに対面で保険商品を詳細に説明し、契約の媒介を行う。
【0005】
このような保険販売代理店における相談スタッフは、多数の保険会社から提供される保険商品についてそれぞれ保険の種類、基本保障、特約、保障期間などの知識を熟知し、ユーザの希望に合わせて保険商品を提案するコンサルティング業務を行うが、このときの具体的な提案形式としては2つある。1つ目は、取扱商品の中からユーザの意向に基づいて絞り込んだ全商品を提示する比較推奨形式と、2つ目は保険募集人側の理由・基準により特定の商品を選択し、選択した理由と併せて提示する特定推奨形式である。このいずれかで行うことが行政指導されている。
【0006】
しかし、ユーザにとって比較推奨形式では多数の保険商品が絞り込まれ、多くの保険商品の内容説明を受けるため時間を要し、混乱しやすい。また、特定推奨形式では保険募集人が商品を選択した客観的・合理的な基準・理由の説明が求められる。特定推奨形式はユーザのニーズをとらえた上での商品選択の合理性が求められ、保険販売代理店型主導の特定推奨では資本関係の強い特定の保険会社の商品が推奨されるなど、必ずしも顧客本位の商品選択がなされているとは言い切れない。このため、これら2つの推奨形式それぞれの利点を併せ持つような新たな推奨形式でのコンサルティング手法が要望されていた。
【0007】
本発明の目的は、新たな推奨形式での保険のコンサルティングを可能とするための保険評価装置及び保険評価プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明の保険評価装置は、評価対象とする複数の保険商品の評価を行う保険評価装置であって、前記評価対象とする複数の保険商品それぞれについて、予め定められた複数の商品特性項目ごとの評価値を取得する評価値取得手段と、前記評価値取得手段により取得された前記複数の商品特性項目ごとの前記評価値の累計に基づき前記評価対象とする複数の保険商品それぞれを順位付ける順位付け手段と、前記評価対象とする複数の保険商品それぞれを、前記順位付け手段により順位付けられた態様で一覧表示する一覧表示手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本願発明の保険評価装置は、操作部と、記憶部と、表示部と、制御部と、を有し、評価対象とする複数の保険商品の評価を行う保険評価装置であって、前記制御部は、前記評価対象とする複数の保険商品それぞれについて、予め定められた複数の商品特性項目ごとの評価値を取得して前記記憶部に記憶する評価値取得処理と、前記評価値取得処理で取得した前記複数の商品特性項目ごとの前記評価値の累計に基づき前記評価対象とする複数の保険商品それぞれを順位付ける順位付け処理と、前記評価対象とする複数の保険商品それぞれを、前記順位付け処理により順位付けられた態様で前記表示部に一覧表示する一覧表示処理と、を実行することを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本願発明の保険評価プログラムは、操作部と、記憶部と、表示部と、制御部と、を有し、評価対象とする複数の保険商品の評価を行う保険評価装置が実行する保険評価プログラムであって、前記制御部に対し、前記評価対象とする複数の保険商品それぞれについて、予め定められた複数の商品特性項目ごとの評価値を取得して前記記憶部に記憶する評価値取得手順と、前記評価値取得手順で取得した前記複数の商品特性項目ごとの前記評価値の累計に基づき前記評価対象とする複数の保険商品それぞれを順位付ける順位付け手順と、前記評価対象とする複数の保険商品それぞれを、前記順位付け手順により順位付けられた態様で前記表示部に一覧表示する一覧表示手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、新たな推奨形式での保険のコンサルティングが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る保険評価装置の概略的なシステム構成図である。
【
図2】実施形態の保険評価手法を説明する図である。
【
図3】保険商品管理テーブルの一例を模式的に示す図である。
【
図6】保険商品評価テーブルの一例を模式的に示す図である。
【
図7】保険評価装置のCPUが実行する保険評価プログラムの制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0014】
<保険評価装置の構成>
本実施形態に係わる、保険評価装置の概略的なシステム構成を
図1に示す。
図1において、保険評価装置1は、例えば汎用パーソナルコンピュータ(図中では「汎用PC」と略記)で構成されており、CPU11と、ROM12と、RAM13と、入力装置14と、出力装置15と、大容量記憶装置16と、ドライブ17と、通信装置18とを備えており、これらの構成部はバス19を介して互いに情報送受可能に接続されている。
【0015】
CPU11は、RAM13の一時記憶機能を利用しつつROM12や大容量記憶装置16に予め記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する。
【0016】
入力装置14は、使用者からの指示や情報等が入力される例えばマウスおよびキーボード等により構成される。
【0017】
出力装置15は、例えば各種情報やメッセージを表示可能な液晶ディスプレイや、用紙への印刷が可能なプリンタ等により構成される。
【0018】
大容量記憶装置16は、例えばHDDやフラッシュメモリなどで構成されて各種情報を不揮発的に記録する記憶装置であり、本実施形態の例では後に詳述する保険評価プログラム21があらかじめ記憶されており、その処理によって後述する保険商品管理テーブル22及び保険商品評価テーブル23などが記録される。
【0019】
ドライブ17は、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等のリムーバブルな記録媒体Mに、各種情報を一時的又は永続的に記録するデバイスである。
【0020】
通信装置18は、例えばUSBインターフェース、ETHERNET(登録商標)等の有線LAN、WiFi(登録商標)等の無線LAN、もしくはインターネット等の通信ネットワークNWを介して他の情報機器との間における各種情報の送受を制御する。
【0021】
なお、CPU11が各請求項記載の制御部に相当し、RAM13及び大容量記憶装置16が各請求項記載の記憶部に相当し、入力装置14が各請求項記載の操作部に相当し、出力装置15が各請求項記載の表示部に相当する。
【0022】
<保険コンサルティング業務について>
以上のように構成される本実施形態の保険評価装置1は、保険販売代理店の販売スタッフが来店ユーザと対面で保険コンサルティング業務を行う際に用いられる参照資料としての保険商品評価テーブル23を、あらかじめ内部的に作成するために用いられる。
【0023】
ここで、上記保険販売代理店での保険コンサルティング業務としては、来店ユーザから希望する保障内容や保険料の相談を受けた上で、複数の提携保険会社が提供する多数の保険商品の中からそのユーザのニーズに適したものを提案する形となる。保険商品の具体的な内容としては、保険の種類(医療、死亡、介護、事故、災害など)、基本保障、特約、保障期間などが1つにまとめられ、その内容は主にパンフレットや約款などに記載された文章や資料で定義される。
【0024】
しかし、そのような保険内容の定義説明は専門的な用語や知識を駆使した複雑なものが多く、そのため販売スタッフは一般的な専門知識とともに各保険商品の内容を熟知した上で来店ユーザに分かりやすくコンサルティングする必要がある。そこで来店ユーザが保険商品を選定しやすいように、従来では比較推奨形式と特定推奨形式のいずれかの推奨形式で保険のコンサルティングを行うよう行政指導されていた。
【0025】
比較推奨形式は、取扱商品の中からユーザの意向で絞り込んだ保険商品どうしの間の相対的な比較内容を説明することで、来店ユーザによる選定を促す形式である。また特定推奨形式は、保険代理店側で選択した保険商品内容と選定理由を個別に説明することで、来店ユーザに納得のいく選定を促す形式である。しかし、来店ユーザにとって比較推奨形式は多くの保険商品の内容説明を受けるため時間を要し、混乱しやすい。逆に特定推奨形式でその商品選定がユーザーニーズに合致し、選定根拠の説明が客観的・合理的であることを要する。
【0026】
以上に対して本実施形態では、上記従来の2つの推奨形式それぞれの利点を併せ持つ新たな推奨形式でのコンサルティングを実現するための保険評価手法を提案する。以下、この手法について順次説明する。
【0027】
<本実施形態の保険評価手法について>
上述したように、全ての保険商品の内容は、定型的な数式やパラメータ値などで表現される数理モデルではなく、いずれもパンフレットや約款などに記載された文章や資料の内容で定義されるものである。このため、複数ある保険商品それぞれの保障内容について公正に比較するためには、保険に関する専門知識と経験を有する専門家による人為的な判断がなければ難しい。
【0028】
そこで本実施形態では、保険商品に関して一般的に要求されるいくつかの要素を評価項目とし、上記専門家である評価担当者が特定の保険商品についてそれら評価項目ごとに所定の評価指標に準じた評価点で採点する。これにより複数の保険商品それぞれの保障内容の特性について、一律に同じ指標に基づく評価点の値で標準化した比較が可能となる。そして、保険評価装置1が実行する保険評価プログラム21の処理により、複数の保険商品どうしの間で評価点の累計に基づく推奨順位付けが行われる。その結果、この推奨順位を参照することで、上記の特定推奨形式のように各保険商品の実質的な保障内容を踏まえつつ、上記比較推奨形式のように多数の保険商品間の相対的な比較が容易となり、すなわち2つの推奨形式それぞれの利点を併せ持つハイブリッドな推奨形式でのコンサルティングを実現できる。なお、評価項目が各請求項記載の商品特性項目に相当し、評価点が各請求項記載の評価値に相当する。
【0029】
具体的な工程としては、
図2に示すように、まず評価担当者が評価対象となる各保険商品のパンフレット及び約款を読み込み、それぞれ記載内容から各保険商品の保障内容、保険料、及び上記評価項目ごとに採点した評価点を保険評価装置1に入力して保険商品管理テーブル22(後述の
図3参照)を作成する。そして保険評価装置1が実行する保険評価プログラム21の処理により、保険商品管理テーブル22に記録されている評価点に基づいて各保険商品それぞれの総合評価点としての商品特性点が算出され、この商品特性点の高い順に保険商品の推奨順を順位付けて並べ替えた保険商品評価テーブル23(後述の
図6参照)を別途新たに作成する。
【0030】
販売代理店の販売スタッフは、当該店舗で取り扱っている複数の保険商品についての基本資料として上記の保険商品管理テーブル22を活用できるとともに、複数の保険商品のうちから来店ユーザに対してユーザの意向で絞り込んだ商品群の中からいずれの順で推奨すべきかを判断する際に上記の保険商品評価テーブル23における推奨順を有効な参照資料として活用できる。
【0031】
なお、来店ユーザが保険商品を選定する際には、その保障内容だけでなく支払う保険料の金額もまた重要な判断材料となる。そこで本実施形態では、保険商品管理テーブル22に各保険商品の保険料表も記載するとともに、保険商品評価テーブル23には各保険商品間における保険料の相対的な比較を容易にするための保険料正規化比較表も記載する(詳細は後述する)。
【0032】
ここで、具体的な保険商品管理テーブル22の記載内容の一例を
図3に示す。なお以下においては、扱う対象の保険商品の種類として医療保険に限定した例で説明する。この
図3において、保険商品管理テーブル22には各保険商品ごとに対応して、その提供会社の会社名、当該保険商品の商品名、加入時の条件となる年齢範囲、保険期間、入院に関する保障内容、手術に関する保障内容、先進医療特約に関する保障内容、入院一時金特約に関する保障内容など、多数の項目に関する保障内容の情報が評価担当者によりテキストデータで記入、登録される。そしてそれら保障内容の項目のうちで、特に上述した評価点の採点対象となる評価項目においては、それぞれ評価担当者により別途採点された評価点(図中に示す例では手術、先進医療特約、入院一時金の各項目における「(*P)」)が併せて記録される。
【0033】
また保険商品管理テーブル22には、各保険商品ごとに性別及び年代別(図示する例では20~60才における10年単位の5つの年代別)で設定された保険料の一覧表も併せて記録されている。この保険料表における性別、各年代別での保険料の分布体系(ゾーニング)は、各保険商品の販売戦略上の特徴が表れる重要な情報であり、販売代理店の販売スタッフが注視する情報となる。
【0034】
そして評価担当者が保険商品に対して評価点を採点するにあたり、どの項目を評価項目とし、どのような評価指標で評価点を採点するかについては、例えば
図4に示す例のようにあらかじめ規定された内容に従って行うものとする。図示する例では、評価項目について医療保険の基本保障と特定疾病等の特約の2つに大別され、それぞれで「入院一時金保障がある」、「通院保障がある」、「保険料の払込免除特約」、「手術給付金」、「先進医療特約がある」、「特定疾病一時金」、「薬剤治療特約」、「がん通院保障」、「女性疾病特約がある」、「終身介護保障がある」の8つの評価項目が設定されている。
【0035】
また、各評価項目に対する評価指標について図示する例では、パンフレットや約款などの資料から当該評価項目に対応する保障内容がとても充実して優れていると読み取れる場合には3ポイントの評価点を与え、対応する保障内容が比較的良好である場合には2ポイント、対応する保障内容が良好とはいえないものの最低限有している場合には1ポイント、該当する保障内容がない場合には0ポイントでそれぞれ評価点を与える。
【0036】
なお、上述した評価項目や評価指標の規定内容は必要に応じて適宜追加や変更などで修正してもよく、その修正の度に各保険商品に対する評価点の採点を行えばよい。特に評価指標については、図示した例のような単純な優劣の程度段階での指標以外にも、各評価項目の内容にそれぞれ対応したより具体的かつ詳細な内容での指標で規定してもよい(特に図示せず)。
【0037】
そして、評価担当者が実際に保険評価装置1に対して評価点を入力する際には、例えば
図5に示すような評価点入力画面が保険評価プログラム21により当該保険評価装置1のディスプレイ(出力装置15)に表示され、対象の保険商品(図示する例では「****保険A」)に対する各評価項目の評価点を全て入力する。そして全ての評価項目で評価点が入力された際には、それら全ての評価点を累計した合計ポイントを自動的に算出、表示する。
【0038】
そして保険評価プログラム21は、各保険商品で算出された評価点の合計ポイントと、上記の保険商品管理テーブル22の記録内容に基づいて、例えば
図6に示すような保険商品評価テーブル23を別途作成する。この
図6に示す例において、保険商品評価テーブル23には各保険商品に対応して会社名、商品名、商品特性点表、及び保険料正規化比較表が記録されており、各保険商品の記載の配置は上から総合推奨順位の順で並ぶ配置で一覧表示されている。
【0039】
図示する例では、各保険商品でそれぞれの評価点を合算した合計ポイントを商品特性点とし、この商品特性点で比較した商品特性順位をそのまま総合推奨順位として設定している。販売代理店の販売スタッフは、複数の保険商品のうちから来店ユーザに対していずれの順で推奨すべきかの推奨順として、この保険商品評価テーブル23における並び順(総合推奨順位)を有力な参照資料として活用できる。
【0040】
保険商品評価テーブル23に記載されている商品特性点表は、各保険商品に対応して上記の商品特性順位と、商品特性点(合計ポイント)と、この例の4段階の各評価指標ごとに評価された評価項目数とを示した表である。
【0041】
また保険商品評価テーブル23に記載されている保険料金正規化比較表は、上記保険商品管理テーブル22中の保険料表に基づいて保険評価プログラム21が別途作成したものであり、相対的な比較が容易となるよう各保険商品の保険料を正規化した値で示した表である。具体的には、各保険商品のそれぞれに対してその性別、年代別に設定された保険料の平均値を算出し、その保険料平均値が最も低いものから順に保険料順位を順位付けする。そして、この保険料順位が最も上位の(保険料平均値が最も低い)保険商品の各性別、年代別の保険料を全て基準値の100として、他の保険商品の各保険料をその基準値に対して正規化した値で示す。
【0042】
そして上述したように、
図6に示す例の保険商品評価テーブル23では、各保険商品の商品特性順位をそのまま最終的な保険商品の推奨順である総合推奨順位として設定した場合を示しているが、本実施形態ではさらに保険料順位も併せて反映した順位付けでの総合推奨順位も選択的に設定可能とする。この場合には、例えば商品特性順位と保険料順位の平均順位(=(商品特性順位+保険料順位)/2)の順で総合推奨順位を順位付けする。このような総合推奨順位の順位付けの基準に関する設定切り換えは、特に図示しない別途の設定画面で評価担当者もしくは販売スタッフが任意に行うものとし、その設定切り換えが行われた際にはその設定された順位付け基準に従ってあらためて保険商品を並べ替えて保険商品評価テーブル23を再作成する。なお、商品特性順位をそのまま総合推奨順位として設定する場合が各請求項記載の第1の基準での順位付け態様に相当し、商品特性順位に保険料順位も併せて反映した総合推奨順位に設定する場合が各請求項記載の第2の基準での順位付け態様に相当する。
【0043】
<制御手順>
本実施形態における上記の手法を実現するために、保険評価装置1のCPU11が実行する制御手順の一例を、
図7のフローチャートにより説明する。この制御手順は、あらかじめ作成した保険商品管理テーブル22に対して上述した保険評価プログラム21で各保険商品の評価点を入力するよう操作した際に以下の手順が開始される。
【0044】
S5では、保険商品管理テーブル22に登録されている各保険商品ごとに上記
図5に示した評価点入力画面を表示し、マウスやキーボードの入力装置14を介して各評価項目の評価点の入力を受け付ける。
【0045】
次にS10で、各保険商品ごとに各評価項目の評価点の合計ポイントを商品特性点として算出する。すなわち、評価点の累計で商品特性点を算出する。
【0046】
そしてS15で、商品特性点の基準で各保険商品の順位付けを行う。つまり、各保険商品の商品特性順位を決定する。
【0047】
次にS20で、保険商品管理テーブル22に登録されている各保険商品の保険料表に基づいて、各保険商品の保険料平均値を算出する。
【0048】
次にS25で、保険料平均値の基準で各保険商品の順位付けを行う。つまり、各保険商品の保険料順位を決定する。
【0049】
次にS30で、保険料順位が1位の保険商品の保険料を基準として他の保険商品の保険料の値を正規化し、保険料正規化比較表を作成する。
【0050】
次にS35で、総合推奨順位の順位付け基準として保険料順位を反映させる設定が行われているか否かを判定する。保険料順位を反映せずに商品特性順位だけを総合推奨順位の順位付け態様に適用する基準として設定されている場合にはNO判定となり、S40へ移行する。
【0051】
S40では、商品特性順位のまま各保険商品の総合推奨順位を確定し、S50へ移行する。
【0052】
一方、上記S35の判定において、総合推奨順位の順位付け態様に適用する基準として商品特性順位とともに保険料順位も併せて反映するよう設定されている場合にはYES判定となり、S45へ移行する。
【0053】
S45では、商品特性順位と保険料順位の平均順位(=(商品特性順位+保険料順位)/2)の比較によって各保険商品の総合推奨順位を確定し、S50へ移行する。
【0054】
S50では、確定した総合推奨順位の順で各保険商品の配置を並べ替えて商品特性点表と保険料正規化比較表を記入した保険商品評価テーブル23を作成する。そして、ディスプレイへの表示、プリンタによる用紙への印刷、ドライブ17による記録媒体Mへの記録、又は通信装置18による他の情報機器への送信などにより保険商品評価テーブル23の内容を出力する。そして、このフローを終了する。
【0055】
なお、以上においてS5の手順が各請求項記載の評価値取得手段、評価値取得処理、及び評価値取得手順に相当し、S10,S15,S25,S40,S45の手順が各請求項記載の順位付け手段、順位付け処理、及び順位付け手順に相当し、S50の手順が各請求項記載の一覧表示手段、一覧表示処理、及び一覧表示手順に相当し、S35の手順が各請求項記載の順位付け態様判定手段に相当する。
【0056】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、保険商品に関して一般的に要求されるいくつかの要素を評価項目とし、保険の専門家である評価担当者が特定の保険商品についてそれら評価項目ごとに所定の評価指標に準じた評価点で採点する。これにより複数の保険商品それぞれの具体的な保障内容に関する商品特性について、一律に同じ指標に基づく評価点の値で標準化した比較が可能となる。そして、保険評価装置1が実行する保険評価プログラム21の処理により、評価対象とする複数の保険商品それぞれの各評価項目ごとの評価点を取得し、複数の保険商品どうしの間で評価点の累計に基づく順位付け態様で総合推奨順位の順位付けが行われる。販売スタッフは、この総合推奨順位で一覧表示された保険商品評価テーブル23を参照することで、従来の特定推奨形式のように各保険商品の実質的な保障内容を踏まえつつ、従来の比較推奨形式のように多数の保険商品間の相対的な比較が容易となり、すなわち2つの推奨形式それぞれの利点を併せ持つハイブリッドな新しい推奨形式での保険のコンサルティングが実現可能となる。
【0057】
また、本実施形態では特に、総合推奨順位の順位付けでどのような順位付け態様を適用して順位付けするかをS35の手順で判定する。これにより、複数の順位付け態様を選択的に設定することができ、保険評価における総合推奨順位の設定自由度を向上できる。
【0058】
また、本実施形態では特に、S35の手順で、複数の保険商品それぞれの評価点の累計である商品特性点だけを基準とした順位付け態様と、商品特性点とともに保険料も併せて反映させた基準での順位付け態様のいずれを適用するかを判定する。これにより、来店ユーザの保険商品の判断基準が保険商品の商品特性である保障内容だけを重視する場合と、商品特性と併せて保険料も重視する場合とで総合推奨順位の順位付け態様を任意に切り換えることができる。
【0059】
また、本実施形態では特に、商品特性点とともに保険料も併せて反映させた基準での順位付け態様を適用する場合に、商品特性順位と保険料順位との平均順位で複数の保険商品を比較した順位付け態様とする。これにより、商品特性と保険料の両方を公平に反映させた具体的な順位付け態様にできる。
【0060】
また、本実施形態では特に、S50の手順では保険商品評価テーブル23に複数の保険商品それぞれの商品特性順位と保険料順位を含めて一覧表示する。これにより、保険商品評価テーブル23を参照する販売スタッフは、総合推奨順位とは別に商品特性と保険料のそれぞれの観点で複数の保険商品を比較したコンサルティングが可能となる。
【0061】
また、本実施形態では特に、S50の手順では保険商品評価テーブル23に複数の保険商品それぞれの性別及び年代別での保険料の分布体系を示す保険料表を含めて一覧表示する。これにより、保険商品評価テーブル23を参照する販売スタッフは、保険料表に表れる各保険商品の販売戦略上の特徴も考慮したコンサルティングが可能となる。
【0062】
また、本実施形態では特に、保険商品評価テーブル23に記載する保険料表が、保険料順位が最上位の保険商品の保険料を基準値として他の保険商品の保険料を正規化した値で示す保険料正規化比較表である。これにより、各保険商品間における保険料の相対的な比較が容易となる。
【0063】
また、本実施形態では特に、S50の手順では保険商品評価テーブル23に複数の保険商品それぞれの商品特性点(評価点の累計)を含めて一覧表示する。これにより、保険商品評価テーブル23を参照する販売スタッフは、商品特性順位での単純な比較だけでなく、各保険商品間における具体的な商品特性点の比較も考慮したコンサルティングが可能となる。
【0064】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0065】
また、
図7に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0066】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0067】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 保険評価装置
11 CPU(制御部)
13 RAM(記憶部)
14 入力装置(操作部)
15 出力装置(表示部)
16 大容量記憶装置(記憶部)
21 保険評価プログラム
22 保険商品管理テーブル
23 保険商品評価テーブル