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特開2022-158181情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158181
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
G06T1/00 500Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062912
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 利幸
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 知夏
【テーマコード(参考)】
5B057
【Fターム(参考)】
5B057AA20
5B057CA13
5B057CB13
5B057DA20
5B057DB03
5B057DC09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より少ない手間で完成させることが可能なアナモフィックアートを作成する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置において、アナモフィックアートを作成する手順は、第1の視点および第2の視点と、平面領域と、第1の画像と、第2の画像とを取得し、平面視で前記第1および第2の視点から延びる複数の第1および第2の仮想線のそれぞれの上に少なくとも1本の線分が配置されるように、複数の第1および第2の仮想線の交点のうち一部に、複数の棒に対応する線分を配置し、複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する第1の画像上の画像点の濃度に基づいて、棒の第1の幅であって、平面視で第1の仮想線と交差する方向の第1の幅を決定し、同様に平面視で第2の仮想線と交差する方向の第2の幅を決定し、複数の棒について決定された第1の幅および第2の幅に基づいて、複数の棒の形状を決定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間に配置される第1の視点および第2の視点と、垂直方向に延びる複数の棒を配置可能な平面領域とを取得する条件取得手段と、
第1の画像と、第2の画像とを取得する画像取得手段と、
平面視で前記第1の視点から延び前記平面領域を通る複数の第1の仮想線と、平面視で前記第2の視点から延び前記平面領域を通る複数の第2の仮想線と、のそれぞれの上に少なくとも1本の線分が配置されるように、前記複数の第1の仮想線と前記複数の第2の仮想線との交点のうち一部に、前記平面領域に対して垂直に配置された複数の線分であって、前記複数の棒に対応する線分を取得する線分取得手段と、
前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第1の画像上の画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第1の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第1の仮想線と交差する方向の第1の幅を決定する第1幅決定手段と、
前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第2の画像上の画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第2の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第2の仮想線と交差する方向の第2の幅を決定する第2幅決定手段と、
前記複数の棒について決定された第1の幅および第2の幅に基づいて、前記複数の棒の形状を決定する形状決定手段と、
を含む情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記第1幅決定手段は、前記第1の視点と前記複数の線分との間に前記第1の画像を仮想的に配置した場合に、前記第1の視点から前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点のそれぞれへ延びる線と前記第1の画像との交点に位置する画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第1の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第1の仮想線と交差する方向の第1の幅を決定し、
前記第2幅決定手段は、前記第2の視点と前記複数の線分との間に前記第2の画像を仮想的に配置した場合に、前記第2の視点から前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点のそれぞれへ延びる線と前記第2の画像との交点に位置する画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第2の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第2の仮想線と交差する方向の第2の幅を決定する、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報処理装置であって、
前記第1幅決定手段は、前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第1の画像上の画像点の濃度と、当該画像点の左右方向にある他の複数の画像点の濃度とに基づいて、前記第1の幅を決定し、
前記第2幅決定手段は、前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第2の画像上の画像点の濃度と、当該画像点の左右方向にある他の複数の画像点の濃度とに基づいて、前記第2の幅を決定する、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記複数の棒の形状および前記複数の棒が配置される位置を示すモデル情報であって、前記棒の作成に用いられるモデル情報を出力する出力手段をさらに含む、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置であって、
前記モデル情報は、前記複数の棒のそれぞれに、当該棒の位置を示す情報を刻印させる情報を含む、
情報処理装置。
【請求項6】
空間に配置される第1の視点および第2の視点と、垂直方向に延びる複数の棒を配置可能な平面領域とを取得するステップと、
第1の画像と、第2の画像とを取得するステップと、
平面視で前記第1の視点から延び前記平面領域を通る複数の第1の仮想線と、平面視で前記第2の視点から延び前記平面領域を通る複数の第2の仮想線と、のそれぞれの上に少なくとも1本の線分が配置されるように、前記複数の第1の仮想線と前記複数の第2の仮想線との交点のうち一部に、前記平面領域に対して垂直に配置された複数の線分であって、前記複数の棒に対応する線分を取得するステップと、
前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第1の画像上の画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第1の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第1の仮想線と交差する方向の第1の幅を決定するステップと、
前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第2の画像上の画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第2の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第2の仮想線と交差する方向の第2の幅を決定するステップと、
前記複数の棒について決定された第1の幅および第2の幅に基づいて、前記複数の棒の形状を決定するステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項7】
空間に配置される第1の視点および第2の視点と、垂直方向に延びる複数の棒を配置可能な平面領域とを取得する条件取得手段、
第1の画像と、第2の画像とを取得する画像取得手段、
平面視で前記第1の視点から延び前記平面領域を通る複数の第1の仮想線と、平面視で前記第2の視点から延び前記平面領域を通る複数の第2の仮想線と、のそれぞれの上に少なくとも1本の線分が配置されるように、前記複数の第1の仮想線と前記複数の第2の仮想線との交点のうち一部に、前記平面領域に対して垂直に配置された複数の線分であって、前記複数の棒に対応する線分を取得する線分取得手段、
前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第1の画像上の画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第1の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第1の仮想線と交差する方向の第1の幅を決定する第1幅決定手段、
前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第2の画像上の画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第2の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第2の仮想線と交差する方向の第2の幅を決定する第2幅決定手段、および、
前記複数の棒について決定された第1の幅および第2の幅に基づいて、前記複数の棒の形状を決定する形状決定手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
予め定められた位置から観察することにより特定の模様を視認することができるアナモフィックアートというものがある。一般的には、アナモフィックアートはアーティストの創作活動として、俗人的な作業により作成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アーティストは俗人的にアナモフィックアートの制作を進めるため、非常に手間がかかるという問題があった。例えば、仮に出来上がった作品に何らかの問題が発見された場合には、その問題を解消するために大きな手戻りが発生し、非常に多くの時間やコストがかかることになる。
【0004】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであって、その目的は、より少ない手間で完成させることが可能なアナモフィックアートを提供する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明にかかる情報処理装置は、空間に配置される第1の視点および第2の視点と、垂直方向に延びる複数の棒を配置可能な平面領域とを取得する条件取得手段と、第1の画像と、第2の画像とを取得する画像取得手段と、平面視で前記第1の視点から延び前記平面領域を通る複数の第1の仮想線と、平面視で前記第2の視点から延び前記平面領域を通る複数の第2の仮想線と、のそれぞれの上に少なくとも1本の線分が配置されるように、前記複数の第1の仮想線と前記複数の第2の仮想線との交点のうち一部に、前記平面領域に対して垂直に配置された複数の線分であって、前記複数の棒に対応する線分を取得する線分取得手段と、前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第1の画像上の画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第1の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第1の仮想線と交差する方向の第1の幅を決定する第1幅決定手段と、前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第2の画像上の画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第2の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第2の仮想線と交差する方向の第2の幅を決定する第2幅決定手段と、前記複数の棒について決定された第1の幅および第2の幅に基づいて、前記複数の棒の形状を決定する形状決定手段と、を含む。
【0006】
また、本発明にかかる情報処理方法は、空間に配置される第1の視点および第2の視点と、垂直方向に延びる複数の棒を配置可能な平面領域とを取得するステップと、第1の画像と、第2の画像とを取得するステップと、平面視で前記第1の視点から延び前記平面領域を通る複数の第1の仮想線と、平面視で前記第2の視点から延び前記平面領域を通る複数の第2の仮想線と、のそれぞれの上に少なくとも1本の線分が配置されるように、前記複数の第1の仮想線と前記複数の第2の仮想線との交点のうち一部に、前記平面領域に対して垂直に配置された複数の線分であって、前記複数の棒に対応する線分を取得するステップと、前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第1の画像上の画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第1の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第1の仮想線と交差する方向の第1の幅を決定するステップと、前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第2の画像上の画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第2の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第2の仮想線と交差する方向の第2の幅を決定するステップと、前記複数の棒について決定された第1の幅および第2の幅に基づいて、前記複数の棒の形状を決定するステップと、を含む。
【0007】
また、本発明にかかるプログラムは、空間に配置される第1の視点および第2の視点と、垂直方向に延びる複数の棒を配置可能な平面領域とを取得する条件取得手段、第1の画像と、第2の画像とを取得する画像取得手段、平面視で前記第1の視点から延び前記平面領域を通る複数の第1の仮想線と、平面視で前記第2の視点から延び前記平面領域を通る複数の第2の仮想線と、のそれぞれの上に少なくとも1本の線分が配置されるように、前記複数の第1の仮想線と前記複数の第2の仮想線との交点のうち一部に、前記平面領域に対して垂直に配置された複数の線分であって、前記複数の棒に対応する線分を取得する線分取得手段、前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第1の画像上の画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第1の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第1の仮想線と交差する方向の第1の幅を決定する第1幅決定手段、前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第2の画像上の画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第2の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第2の仮想線と交差する方向の第2の幅を決定する第2幅決定手段、および、前記複数の棒について決定された第1の幅および第2の幅に基づいて、前記複数の棒の形状を決定する形状決定手段、としてコンピュータを機能させる。
【0008】
本発明の一形態では、前記第1幅決定手段は、前記第1の視点と前記複数の線分との間に前記第1の画像を仮想的に配置した場合に、前記第1の視点から前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点のそれぞれへ延びる線と前記第1の画像との交点に位置する画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第1の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第1の仮想線と交差する方向の第1の幅を決定し、前記第2幅決定手段は、前記第2の視点と前記複数の線分との間に前記第2の画像を仮想的に配置した場合に、前記第2の視点から前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点のそれぞれへ延びる線と前記第2の画像との交点に位置する画像点の濃度に基づいて、前記計算点が属する線分に対応する棒の第2の幅であって、当該計算点に対応する当該棒の上下方向の位置における、平面視で前記第2の仮想線と交差する方向の第2の幅を決定してもよい。
【0009】
本発明の一形態では、前記第1幅決定手段は、前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第1の画像上の画像点の濃度と、当該画像点の左右方向にある他の複数の画像点の濃度とに基づいて、前記第1の幅を決定し、前記第2幅決定手段は、前記複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する前記第2の画像上の画像点の濃度と、当該画像点の左右方向にある他の複数の画像点の濃度とに基づいて、前記第2の幅を決定してもよい。
【0010】
本発明の一形態では、情報処理装置は、前記複数の棒の形状および前記複数の棒が配置される位置を示すモデル情報であって、前記棒の作成に用いられるモデル情報を出力する出力手段をさらに含んでよい。
【0011】
本発明の一形態では、前記モデル情報は、前記複数の棒のそれぞれに、当該棒の位置を示す情報を刻印させる情報を含んでよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、より少ない手間でアナモフィックアートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】アナモフィックアートの一例を示す図である。
図2】ある視点からみたアナモフィックアートを示す図である。
図3】本発明の実施形態にかかる情報処理システムの一例を示す図である。
図4】情報処理システムが実現する機能を示すブロック図である。
図5】アナモフィックアートを作成する手順を概略的に示す図である。
図6】視点と平面領域との関係を説明する平面図である。
図7】配置された線分を説明する図である。
図8】線分を配置する処理の一例を示すフロー図である。
図9】第1の画像の一例を示す図である。
図10】棒の幅を決定する処理の一例を示すフロー図である。
図11】第1の画像上の画像点と線分上の計算点との対応を説明する図である。
図12】第1の視点からみた帯モデルの一例を示す図である。
図13】第2の視点からみた帯モデルの一例を示す図である。
図14】他の視点からみた帯モデルの一例を示す図である。
図15】生成される棒の形状の一例を示す図である。
図16】第1の視点からみた複数の棒のモデルを示す図である。
図17】他の視点からみた棒のモデルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。同じ符号を付された構成に対しては、重複する説明を省略する。以下では、実施形態として、ある種のアナモフィックアートを作成する手法について説明する。
【0015】
図1は、アナモフィックアートの一例を示す図であり、図2はある視点からみたアナモフィックアートを示す図である。図1,2に示されるように、建物の角の部分に上下方向に延びる複数の棒が配置されている。この複数の棒が、本実施形態で説明されるアナモフィックアートを表現する。図1からわかるように、複数の棒の平面的な配置は、一見すると不規則に見え、また棒の形状の規則性を認識することが難しい。一方、図2に示されるように特定の視点からみると、複数の棒のそれぞれの形状から、特定の絵柄を認識することが可能になる。
【0016】
なお、絵柄を認識できる視点は1つではない。図1,2の例では2つの視点から絵柄を認識することができ、また視点によって認識される絵柄は異なる。他の特定の視点からこのアナモフィックアートをみると、図示されていないが、観察者は波紋の絵柄を認識することが可能である。
【0017】
以下では、このようなアナモフィックアートを少ない手間で作成するための情報処理システムおよび手法について説明する。
【0018】
図3は、本発明の実施形態にかかる情報処理システムの一例を示す図である。情報処理システムは、情報処理装置1を含む。情報処理装置1は、例えばパーソナルコンピュータやサーバコンピュータである。情報処理システムは、1台の情報処理装置1により構成されてよいが、複数のコンピュータにより構成されてもよい。情報処理システム1はモデル情報を出力し、加工装置2は、そのモデル情報に基づいてアナモフィックアートを構成する棒を作成する。加工装置2は例えば木造多軸加工機や3Dプリンタである。作成された棒は、アナモフィックアートが展示される場所に配置される。
【0019】
情報処理装置1はプロセッサ11、記憶部12、通信部13、入出力部14を含む。プロセッサ11は、記憶部12に格納されているプログラムに従って動作する。またプロセッサ11は通信部13、入出力部14を制御する。なお、上記プログラムは、インターネット等を介して提供されるものであってもよいし、フラッシュメモリやDVD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよい。
【0020】
記憶部12は、RAMおよびフラッシュメモリ等のメモリ素子とハードディスクドライブのような外部記憶装置とによって構成されている。記憶部12は、上記プログラムを格納する。また、記憶部12は、プロセッサ11、通信部13、入出力部14から入力される情報や演算結果を格納する。
【0021】
通信部13は、他の装置と通信する機能を実現するものであり、例えば無線LAN、有線LANを実現する集積回路などにより構成されている。通信部13は、プロセッサ11の制御に基づいて、他の装置から受信した情報をプロセッサ11や記憶部12に入力し、他の装置に情報を送信する。
【0022】
入出力部14は、表示出力デバイスをコントロールするビデオコントローラや、入力デバイスからのデータを取得するコントローラなどにより構成される。入力デバイスとしては、キーボード、マウス、タッチパネルなどがある。入出力部14は、プロセッサ11の制御に基づいて、表示出力デバイスに表示データを出力し、入力デバイスをユーザが操作することにより入力されるデータを取得する。表示出力デバイスは例えば外部に接続されるディスプレイ装置である。
【0023】
次に、情報処理システムが提供する機能について説明する。図5は、情報処理システムが実現する機能を示すブロック図である。情報処理システムは、機能的に、領域取得部51、画像取得部52、線分配置部53、幅決定部54、形状決定部57、モデル出力部58を含む。これらの機能は、情報処理装置1に含まれるプロセッサ11によって記憶部12に格納されるプログラムが実行され、記憶部12とデータの読み書きをすることにより実現される。幅決定部54は、機能的に、第1幅決定部55と第2幅決定部56とを含む。なお、これらの機能は複数のコンピュータより実現されてもよい。
【0024】
領域取得部51は、アナモフィックアートのための複数の棒を配置する領域およびアナモフィックアートを観察する視点に関する情報を取得する。より具体的には、領域取得部51は、アナモフィックアートを配置する空間における、平面領域と、複数の視点とを取得する。平面領域には垂直方向に延びる棒が配置される。平面領域は矩形とは限らず、任意の平面形状であってよい。
【0025】
複数の視点は、そのアナモフィックアートを観察する際の視点である。複数の視点は、第1の視点と第2の視点とを含む。視点の数は2以上であるが、2が望ましい。視点の数が3以上だと、視点からアナモフィックアートの中心へ向かう線どうしがなす角が平均60度程度になるが、この角が直角から離れるにつれて、ある視点から認識できる絵柄に他の視点から見える絵柄が干渉しやすくなる。視点からアナモフィックアートの中心へ向かう線どうしがなす角を直角に近づけることが可能にするため、視点の数は2が望ましい。以下では視点の数が2の場合について説明する。
【0026】
画像取得部52は、複数の視点のそれぞれから視認させたい絵柄を含む画像を取得する。取得される画像の数は視点の数と同じであり、視点と画像とは1対1で対応する。以下では、第1の視点から視認させたい画像を第1の画像、第2の視点から視認させたい画像を第2の画像と記載する。なお、表現の都合上、第1および第2の画像と、実際に第1および第2の視点から視認される絵柄とは完全には一致しない。
【0027】
線分配置部53は、平面視で第1の視点から延び平面領域を通る複数の第1の仮想線と、平面視で第2の視点から延び平面領域を通る複数の第2の仮想線と、を配置する。線分配置部53は、さらに、複数の第1の仮想線と複数の第2の仮想線との交点のうち一部に、平面領域に対して垂直に配置された複数の線分を取得する。ここで、線分配置部53は、第1の仮想線および第2の仮想線のそれぞれの上に、少なくとも1本の線分が配置されるように、交点のうち一部に複数の線分を配置する。この複数の線分は、アナモフィックアートを構成する複数の棒に1対1に対応する。
【0028】
幅決定部54は、複数の上下方向の位置における棒の幅を決定する。棒の幅として、第1の視点に応じた方向の棒の幅と、第2の視点に応じた方向の棒の幅とが決定される。より具体的には、幅決定部54に含まれる第1幅決定部55は、複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する第1の画像上の画像点の濃度に基づいて、その計算点に対応する上下方向の位置における棒の第1の幅を決定する。第1の幅は、その計算点が属する線分に対応する棒における、その計算点に対応する上下方向の位置について決定され、第1の幅の方向は、平面視で第1の仮想線と交差する方向である。
【0029】
また、幅決定部54に含まれる第2幅決定部56は複数の線分のそれぞれの上にある複数の計算点に対応する第2の画像上の画像点の濃度に基づいて、その計算点に対応する上下方向の位置における棒の第2の幅を決定する。第2の幅は、その計算点が属する線分に対応する棒における、その計算点に対応する上下方向の位置について決定され、第2の幅の方向は、平面視で第2の仮想線と交差する方向である。画像点と計算点との対応の詳細については後述する。
【0030】
形状決定部57は、複数の棒について決定された第1の幅および第2の幅に基づいて、複数の棒の形状を決定する。より具体的には、複数の上下方向の位置について決定された第1の幅および第2の幅の条件を満たすように、棒の表面形状を決定する。例えば、形状決定部57は、棒の中心に相当する線分と第1の方向とがなす平面に配置され、各上下方向の位置について第1の幅を有する第1の帯状の面と、棒の中心に相当する線分と第2の方向とがなす平面に配置され、各上下方向の位置について第2の幅を有する第2の帯状の面とを作成し、その第1の帯状の面の端部と第2の帯状の面の端部とを繋ぐように棒の表面形状を決定してよい。
【0031】
モデル出力部58は、複数の棒の形状およびその複数の棒が配置される位置を示すモデル情報を出力する。そのモデル情報に含まれる棒の形状のデータに基づいて、加工装置2を制御する情報が生成され、加工装置2はその情報により実際の棒を加工する。またモデル情報に基づいて、加工された実際の棒が配置される。
【0032】
図5は、アナモフィックアートを作成する手順を概略的に示す図である。はじめに、領域取得部51は、アナモフィックアートとして棒60を配置する平面領域80と、平面領域80の上に配置できる棒60の高さとを取得する(ステップS101)。また、領域取得部51は、第1の視点Aおよび第2の視点Bを取得する(ステップS102)。
【0033】
図6は、視点と平面領域80との関係を説明する平面図である。図6は上から見た図であり、便宜上、平面領域80は地面の高さにあるものとし、第1の視点Aおよび第2の視点Bの高さはターゲットとする人の目の高さにあるものとする。平面領域80、棒60の高さおよび2つの視点は、実際にアナモフィックアートを配置する箇所の測定結果、または、その箇所を含む建造物の設計に基づいて決定される。図6には、後述するステップS103の処理の際に仮想的に配置される複数の第1の仮想線81および複数の第2の仮想線82が模式的に記載されている。第1の仮想線81は、平面視で、第1の視点Aから平面領域80を通る線であり、第2の仮想線82は、平面視で、第2の視点Bから平面領域80を通る線である。
【0034】
平面領域80および2つの視点が取得されると、線分配置部53は、平面領域に配置されそれぞれ棒60に1対1に対応する複数の線分70を取得する(ステップS103)。図7は、配置された線分70の一例を示す図である。線分70は第1の仮想線81と第2の仮想線82との交点のうち一部に配置され、また第1の視点Aから延びる第1の仮想線81上に必ず1本以上の棒60に対応する線分70が配置され、また第2の視点Bから延びる第2の仮想線82上に必ず1本以上の棒60に対応する線分70が配置される。
【0035】
ステップS103についてさらに説明する。図8は、線分70を配置する処理の一例を示すフロー図である。はじめに線分配置部53は、平面視で、第1の視点Aから延び平面領域80を通る複数の第1の仮想線81を引く(ステップS201)。線分配置部53は、隣り合う第1の仮想線81がなす角度が所定の値となるように複数の第1の仮想線81を配置してよい。また線分配置部53は、第1の仮想線81と交差する線を引き、第1の仮想線81とその線との交点が存在する場合に、隣り合う第1の仮想線81についての交点の間隔が一定になるように複数の第1の仮想線81を配置してよい。
【0036】
また、線分配置部53は、平面視で、第2の視点Bから延び平面領域80を通る複数の第2の仮想線を引く(ステップS202)。こちらについても、線分配置部53は隣り合う第2の仮想線82がなす角度が所定の値となるように複数の第2の仮想線82を配置してよいし、第2の仮想線82と交差する線を引き、第2の仮想線82とその線との交点が存在する場合に、隣り合う第2の仮想線82についての交点の間隔が一定になるように複数の第2の仮想線82を配置してよい。
【0037】
次に線分配置部53は、平面領域80内にある、第1の仮想線81および第2の仮想線82の交点を取得する(ステップS203)。そして、線分配置部53は第1および第2の仮想線81,82の取得された交点のうち一部に線分70を配置する(ステップS204)。ここで、線分配置部53は乱数に基づいて線分70を配置してよい。
【0038】
そして、線分配置部53は、線分70の配置が配置条件を満たすか否かを判定する(ステップS205)。ここで配置条件は、複数の第1の仮想線81および複数の第2の仮想線82のそれぞれの上に、少なくとも1本の線分70が配置されることである。なお、例えば梁が棒60の配置や見え方と干渉する場合には、配置条件として、少なくとも1本の棒60が梁より視点側にあるなどの条件が追加されてもよい。
【0039】
線分70の配置が配置条件を満たさない場合には(ステップS205のN)、線分配置部53は、配置条件を満たすために、線分70の配置を修正、または線分70を追加する(ステップS206)。例えば、線分70が配置されない第1または第2の仮想線81,82が存在する場合には、線分配置部53はその第1または第2の仮想線81,82の上であって、交点の上に線分70を追加してもよい。また線分70が配置されない第1の仮想線81が存在する場合に、複数の線分70が配置される第1の仮想線81から1本の線分70を移動させてもよい。移動させる場合は、移動前に配置される交点と移動後に配置される交点とで、交差する第2の仮想線82が同じになるようにする。線分70が配置されない第2の仮想線82が存在する場合にも複数の線分70が配置される第2の仮想線81から1本の線分70を移動させてよい。
【0040】
線分70の配置が配置条件を満たす場合には(ステップS205のY)、ステップS206の処理はスキップされる。
【0041】
なお、ステップS205,S206の代わりに、生成された複数の線分70の情報が上記の配置条件および他の制約条件を満たすように人の手で確認および更新され、線分配置部53が、その更新された複数の線分70を示す情報を読み出してもよい。この場合、線分配置部53は情報を読み出すことにより複数の線分70を取得する。
【0042】
次に、画像取得部52は、第1の画像および第2の画像を取得する(ステップS104)。ここで、取得される第1の画像および第2の画像は、グレースケール画像である。
【0043】
図9は、第1の画像の一例を示す図である。本実施形態に示されるアナモフィックアートの例は、図9に示される第1の画像と、図示されない中央から同心円状に広がる波紋を示す第2の画像に基づいている。図9に示される第1の画像は、濃淡は黒と白のみの2値画像である。第1の画像および第2の画像のうち少なくとも一方は、2値画像であってよい。2値画像から作成されたアナモフィックアートは視認されやすくなる。
【0044】
第1の画像および第2の画像が取得されると、幅決定部54は、棒60の上下方向の複数の位置のそれぞれについて、第1の視点Aからみた第1の幅と第2の視点Bからみた第2の幅とを決定する(ステップS105)。言い換えると、第1幅決定部55は、棒60の上下方向の複数の位置のそれぞれについて、第1の視点からみた第1の幅を決定し、第2幅決定部56は、第2の視点Bからみた第2の幅を決定する。
【0045】
図10は、棒60の幅を決定する処理の一例を示すフロー図であり、特に、第1幅決定部55が棒60の第1の幅を決定する処理を記載している。はじめに第1幅決定部55は、処理対象とする線分70を選択する(ステップS301)。なお、線分70と棒60とは1対1対応であるので、線分70の選択は第1の幅を決定する対象とする棒60の選択に相当する。
【0046】
次に第1幅決定部55は第1の画像における、選択された線分70に対応するx座標を取得する(ステップS302)。あらかじめ第1の仮想線81をx座標と対応させて配置させた場合には、第1幅決定部55は、線分70がどの第1の仮想線81に配置されるかに基づいて、x座標を決定してよい。
【0047】
図11は第1の画像上の画像点89と線分70上の計算点79との対応を説明する図である。図11には3本の線分70が記載されているが、実際はこれより多い線分70が平面領域80に配置されている。計算点79は線分70上にあり、第1の幅を算出する位置を示している。投影画像85は、複数の線分70と第1の視点Aとの間に仮想的に配置される第1の画像である。投影画像85の左右方向は水平であり、線分70は鉛直方向に延びている。画像点89は、第1の視点Aから計算点79へ延びる線と、投影画像85との交点に位置する。言い換えると、計算点79を投影画像85に投影した点が画像点89である。第1の画像における画像点89の濃度が、第1の幅の計算に用いられる。
【0048】
決定されるx座標は、画像点89のx座標そのものであり、線分70内における計算点79の上下方向の位置に応じて画像点89のy座標が求められる。
【0049】
第1幅決定部55は、選択された線分70において、処理対象となる、上下方向の複数の位置を取得する(ステップS303)。この上下方向の位置は、線分70上にある計算点79の高さに相当する。この複数の位置の間隔は、線分70および棒60を基準としてあらかじめ定められた値であってもよいし、複数の位置が第1の画像に投影された際に予め定められた間隔となるように設定されてもよい。
【0050】
複数の位置(計算点79)が取得されると、第1幅決定部55はその複数の位置のうちいずれかを選択する(ステップS304)。単に第1幅決定部55は上側または下側のものから位置を選択してよい。
【0051】
処理対象となる位置が選択されると、第1幅決定部55は、計算点79に対応する画像点89の濃度に基づいて、選択された線分70に対応する棒60の、選択された上下方向の位置における第1の幅を決定する(ステップS305)。計算点79に対応する画像点89のy座標は、図11に示されるように投影画像85と線分70との関係から公知の手法で求められる。また、第1幅決定部55は第1の幅を、単に濃度と係数との積に棒60の幅の最小値を加算することで求めてよい。この場合、係数は、棒60の最大値から最小値を引いた値を、濃度の最大値で割ることで求めてよい。また、計算点79に対応する画像点89の濃度に基づいて、選択された線分70に対応する棒60の、選択された上下方向の位置における第1の視点Aからみた左右方向の視野角を第1の幅として決定してもよい。すると、棒60が手前にあっても奥にあっても第1の視点Aからみて感じされる太さが同じになる。なお、第1幅決定部55は先ほどの決定された第1の幅に第1の視点Aからの距離に比例する値をかける補正をすることにより、第1の幅を決定してもよい。この手法でも棒60が手前にあっても奥にあっても第1の視点Aからみた左右方向の視野角が同じになる。
【0052】
ここで、第1幅決定部55は、計算点79に対応する画像点89の濃度だけでなく、画像点89に左右方向に隣接する他の複数の画像上の点の濃度にも基づいて、第1の幅を決定してもよい。例えば、画像点89の左側または右側の数ピクセルの濃度が画像点89の濃度より低い場合に、第1の幅を画像点89の濃度のみから求められた値から小さくしてもよい。これにより、例えば棒60により表現される左右の端が不明確になることを防ぐことができる。
【0053】
第1幅決定部55は、選択された線分70についてまだ選択されていない上下方向の位置がある場合には(ステップS306のN)、未選択の位置のいずれかを選択し(ステップS307)、ステップS305以降の処理を繰り返す。一方、選択された線分70についてすべての上下方向の位置が選択された場合には(ステップS306のY)、第1幅決定部55は未選択の線分70が存在するか判定する(ステップS308)。未選択の線分70が存在する場合には(ステップS308のY)、第1幅決定部55は未選択の線分70のうちいずれかを選択し(ステップS309)、ステップS302から処理を繰り返す。一方、すべての線分70が選択されている場合には(ステップS308のN)、第1幅決定部55の処理を終了する。
【0054】
第2幅決定部56の処理は、第1幅決定部55の処理に関する記載のうち、第1の画像、第1の視点A、第1の幅、第1の仮想線81がそれぞれ第2の画像、第2の視点B、第2の幅、第2の仮想線82に変わるのみであるため、説明を省略する。
【0055】
図12は、第1の視点Aからみた帯モデル90を示す図であり、図13は、第2の視点Bからみた帯モデル90を示す図である。図14は、他の視点からみた帯モデル90の一例を示す図である。帯モデル90は、線分70を通る第1の帯と、線分70を通る第2の帯とを含む。計算点79に対応する高さにおける第1の帯の幅はその計算点79における第1の幅であり、計算点79に対応する高さにおける第2の帯の幅はその計算点79における第2の幅である。また第1の帯は平面に投影される第1の視点Aおよび線分70を結ぶ線に対して垂直であり、第2の帯は平面に投影される第2の視点Bおよび線分70を結ぶ線に対して垂直である。本実施形態では帯モデル90が示す形状と実際の棒60の形状とは異なるが、図12図13に示される帯モデル90は、第1の視点A、第2の視点Bからみた棒60の輪郭にかなり近いものを示している。帯モデル90における幅を場所によって変化させることにより、第1の画像や第2の画像が表現されることがわかる。
【0056】
棒60の複数の上下方向の位置について第1の幅、第2の幅が決定されると、形状決定部57はその決定された第1の幅と第2の幅とに基づいて、棒60の形状を決定する(ステップS106)。例えば、形状決定部57は、各計算点79について算出された第1の幅に基づいてその計算点の高さにおける第1の帯の左右端の位置を算出し、互いに隣接する第1の帯の左右端、第2の帯の左右端を頂点として含むポリゴンからなる表面形状を棒60の表面形状として取得してよい。
【0057】
図15は、生成される棒60の形状の一例を示す図である。図15の例では、棒60の断面の四角形の頂点は、平面視で、棒60の中心と第1の視点Aとを通る直線または、棒60の中心と第2の視点Bとを通る直線の上に存在するが、その頂点の位置がそれらの直線からずれた位置に配置されてもよい。また、表面は曲面であってもよい。
【0058】
図16は、第1の視点からみた複数の棒60のモデルを示す図であり、図17は他の視点からみた棒60のモデルを示す図である。図16,17に示される棒60は、帯モデル90とは異なり、棒60が加工可能な形状となっている。
【0059】
複数の棒60のそれぞれについて形状が決定されると、モデル出力部58は複数の棒60の形状および棒60が配置される位置および向きを含むモデルデータを出力する(ステップS107)。ここで、モデル出力部58は、モデルデータとして、形状決定部57で決定される表面形状に加えて、複数の棒60のそれぞれに、その棒60が配置される位置を示す情報を刻印させる情報を出力してよい。例えば、モデルデータは、棒60の上端または下端に棒の位置を示す文字を刻印させる情報を含んでよい。
【0060】
モデルデータが出力されると、加工装置2は、そのモデルデータに基づいて実際の棒60を加工する(ステップS108)。なお、モデルデータに基づいてコンピュータが加工装置2を制御する制御情報を生成し、その制御情報に基づいて加工装置2が実際の棒60を作成してよい。
【0061】
棒60が作成されると、その加工された棒60は実際に展示される場所に輸送され、作業員が、モデルデータが示す棒60の配置や棒60の刻印に基づいて棒60を配置する(ステップS109)。これにより、アナモフィックアートが完成する。
【0062】
本実施形態では、アナモフィックアートの作成で最も手間のかかる、表現したい画像から棒60の形状を容易に決定することが可能になり、またその決定された形状をBIM(Building Information Modeling)システムやCAD(Computer-aided Design)システムによって容易に確認することができる。これにより、アナモフィックアートの実物を確認しながら手直しするようなこともなくなり、アナモフィックアートを容易に手今日することが可能になる。
【符号の説明】
【0063】
1 情報処理装置、11 プロセッサ、12 記憶部、13 通信部、14 入出力部、2 加工装置、51 領域取得部、52 画像取得部、53 線分配置部、54 幅決定部、55 第1幅決定部、56 第2幅決定部、57 形状決定部、58 モデル出力部、60 棒、70 線分、79 計算点、80 平面領域、81 第1の仮想線、82 第2の仮想線、85 投影画像、89 画像点、90 帯モデル、A 第1の視点、B 第2の視点。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17