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特開2022-158221潤滑油フローセンサとこれを備えた船舶
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158221
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】潤滑油フローセンサとこれを備えた船舶
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/52 20060101AFI20221006BHJP
   G01F 23/62 20060101ALI20221006BHJP
   B63H 5/10 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G01F1/52 Z
G01F23/62 C
B63H5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062975
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】502116922
【氏名又は名称】ジャパンマリンユナイテッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】清水 政宏
(72)【発明者】
【氏名】中家 正史
(72)【発明者】
【氏名】西山 才貴
【テーマコード(参考)】
2F013
2F030
【Fターム(参考)】
2F013AA04
2F013BC01
2F013BG01
2F013BG11
2F030CA01
2F030CC03
2F030CE01
(57)【要約】
【課題】潤滑油の圧力が低い潤滑油排出ラインに設けた場合でも、背圧を低く抑えて流量を計測することができ、かつ耐久性が高く、誤動作が生じにくい潤滑油フローセンサとこれを備えた船舶を提供する。
【解決手段】潤滑油フローセンサ70が、水平管路72、堰74、及びレベルセンサ76を備える。水平管路72は、潤滑油Oが水平に流れる潤滑油排出ライン28dに設けられる。堰74は、下部の小流量用開口75aと上部の大流用用開口75bとを有する。レベルセンサ76は、水平管路内の液面近傍に浮遊するフロート76aを有し、水平管路内の液面Lを検出する。潤滑油フローセンサ70は、さらに中空の保護管78を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑油が水平に流れる潤滑油排出ラインに設けられた水平管路と、
前記水平管路の下流側に設けられ、下部の小流量用開口と上部の大流用用開口とを有する堰と、
前記水平管路内の液面近傍に浮遊するフロートを有し、前記水平管路内の液面を検出するレベルセンサと、を備える、潤滑油フローセンサ。
【請求項2】
前記水平管路内に鉛直に設けられ、下端近傍と上端近傍に前記水平管路内と連通する連通孔を有する中空の保護管を備え、
前記フロートは、前記保護管内の液面近傍に浮遊する、請求項1に記載の潤滑油フローセンサ。
【請求項3】
前記潤滑油排出ラインは、前記水平管路の上流側と下流側に接続され内径が一定の水平円管を有し、
前記小流量用開口は、前記下流側の前記水平円管の内側下端に位置し、
前記大流用用開口は、前記下流側の前記水平円管の内側上部に位置する、請求項2に記載の潤滑油フローセンサ。
【請求項4】
前記水平管路は、その内面と前記保護管の外面との間に、前記水平円管の内面より大きい流路断面積を有する、請求項3に記載の潤滑油フローセンサ。
【請求項5】
前記大流用用開口は、下端が水平な半円形開口である、請求項1に記載の潤滑油フローセンサ。
【請求項6】
前記堰は、前記小流量用開口と前記大流用用開口の間に流量調節用のプラグ穴と着脱可能なプラグを有する、請求項1に記載の潤滑油フローセンサ。
【請求項7】
請求項1に記載の潤滑油フローセンサを有する、船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油排出ラインに設ける潤滑油フローセンサとこれを備えた船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
舶用二重反転プロペラ装置は、二軸駆動方式と一軸駆動方式とに大別することができる。二軸駆動方式は、前プロペラと後プロペラを同心の2軸でそれぞれ駆動する。一軸駆動方式は、前プロペラと後プロペラの間に反転機構を備え両方のプロペラを1軸で駆動する。
【0003】
舶用二重反転プロペラ装置には、反転機構などに潤滑油を供給する潤滑油供給ラインが設けられる。また、反転機構などから潤滑油を排出する潤滑油排出ラインに、潤滑油の排出を確認するための潤滑油フローセンサが設けられる。
【0004】
従来、潤滑油排出ラインの潤滑油流量を検出するためにフラップ式流量計が用いられていた。
かかるフラップ式流量計は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-267074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フラップ式流量計は、潤滑油の流れる管路の途中に流量に応じて角度が変化する受圧板を有し、受圧板の角度から潤滑油流量を読み取るものである。
しかし、フラップ式流量計は、潤滑油の流れに抗するように受圧板をバネ等で付勢している。そのため、潤滑油の圧力が低い潤滑油排出ラインにフラップ式流量計を設けた場合、背圧が大きくなる問題点があった。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、潤滑油の圧力が低い潤滑油排出ラインに設けた場合でも、背圧を低く抑えて流量を計測することができ、かつ耐久性が高く、誤動作が生じにくい潤滑油フローセンサとこれを備えた船舶を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、潤滑油が水平に流れる潤滑油排出ラインに設けられた水平管路と、
前記水平管路の下流側に設けられ、下部の小流量用開口と上部の大流用用開口とを有する堰と、
前記水平管路内の液面近傍に浮遊するフロートを有し、前記水平管路内の液面を検出するレベルセンサと、を備える、潤滑油フローセンサが提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明の構成によれば、水平管路が、潤滑油が水平に流れる潤滑油排出ラインに設けられ、堰が水平管路の下流側に設けられ、堰には下部の小流量用開口と上部の大流用用開口とが設けられる。
従って、潤滑油排出ラインの上流側から水平に流入した潤滑油は、堰で堰き止められて水平管路内に溜まり、かつ小流量用開口と大流用用開口から自重により下流側に流出する。この際、潤滑油上部の空気は大気圧に維持されるので、潤滑油排出ラインの背圧の発生を防止することができる。
【0010】
また、潤滑油排出ラインの流量が小流量用開口を流れる流量より小さい場合には、水平管路内の潤滑油の液面は最低レベルに保たれ、潤滑油排出ラインの流量が大流用用開口を流れる大流量以上の場合は、水平管路内の潤滑油の液面は最高レベルに保たれる。
従って、水平管路内の液面近傍に浮遊するフロートにより潤滑油の液面を検出することで、小流量用開口を流れる小流量と大流用用開口を流れる大流量との間の流量をレベルセンサにより検出することができる。
【0011】
また、フロートは、水平管路内に溜まる潤滑油の液面近傍に浮遊するだけなので、レベルセンサは耐久性が高く、誤動作が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による潤滑油フローセンサを有する舶用二重反転プロペラ装置の軸封装置の実施形態図である。
図2】本発明による潤滑油フローセンサの断面側面図である。
図3図2のA-A矢視図である。
図4図2のB-B矢視図である。
図5図2のC-C矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0014】
本発明による船舶は、本発明による潤滑油フローセンサ70と舶用二重反転プロペラ装置100を備える。
【0015】
図1は、舶用二重反転プロペラ装置100の軸封装置50の実施形態図である。
この図において、舶用二重反転プロペラ装置100は、前プロペラ1と後プロペラ2を同軸に配置し、それぞれを互に逆方向に回転させる。
【0016】
舶用二重反転プロペラ装置100は、外側プロペラ軸12と内側プロペラ軸14を備える。
外側プロペラ軸12は、中空状であり、後端部(図で左端)に前プロペラ1が取り付けられ船尾管軸受16で軸心Z-Zを中心に回転可能に支持されている。
内側プロペラ軸14は、後端部(図で左端)に後プロペラ2が取り付けられ前プロペラ1に設けられた船首側二重反転軸受5及び船尾側二重反転軸受18で軸心Z-Zを中心に回転可能に支持されている。
外側プロペラ軸12と内側プロペラ軸14の前端部(図で右端)は、反転装置20に連結され、外側プロペラ軸12と内側プロペラ軸14を互いに逆方向に回転させるようになっている。
【0017】
図1において、3は船体の船尾、4は駆動軸、5は船首側二重反転軸受、6はスラスト軸受、7は船首側二重反転シール装置、8は船首側船尾管シール装置兼外軸油分配装置(以下、「外軸油分配装置」)、9は内軸油分配装置、10はプロペラキャップである。
【0018】
船尾管軸受16は、船尾3に設けられた水平貫通穴内に取り付けられている。以下、船尾管軸受16には、船首側及び船尾側の船尾管ブッシュ及びそのフランジを含むものとする。
【0019】
反転装置20は、例えば、遊星歯車装置又は並行歯車装置であり、駆動軸4の回転により、外側プロペラ軸12と内側プロペラ軸14を互いに逆方向に回転させる。駆動軸4は、図で右方に設けられた回転駆動装置(例えば、船内機関、図示せず)に連結されている。
【0020】
内側プロペラ軸14は、船首側二重反転軸受5と船尾側二重反転軸受18で支持され、外側プロペラ軸12の内側で前プロペラ1と逆方向に回転する。
スラスト軸受6は、前プロペラ1に作用するスラスト力を内側プロペラ軸14に伝達する。
船首側二重反転シール装置7は、外側プロペラ軸12と内側プロペラ軸14の船内側に設けられその間をシールする。
【0021】
外軸油分配装置8は、船内(船尾3の船内側)に固定され、内側で回転する外側プロペラ軸12に潤滑油を供給する。
外軸油分配装置8は、この例では軸方向に分割された3つの外軸環状チャンバ8aを形成する4つの外軸シール部材8bを有する。
【0022】
内軸油分配装置9は、船内に固定され、内側プロペラ軸14及び駆動軸4の軸心Z-Zに沿って設けられた中空穴14a,4aから、潤滑油を排出して潤滑油タンク28aに戻す機能を有する。
内軸油分配装置9は、この例では軸方向に分割された2つの内軸環状チャンバ9aを形成する3つの内軸シール部材9bを有する。
【0023】
舶用二重反転プロペラ装置100は、さらに、2つのシールオイル装置22,26と、1つの潤滑油供給装置28とを有する。
シールオイル装置22は、シールオイルタンク22aから外軸油分配装置8の軸方向両側の2つの外軸環状チャンバ8aにシールオイルを供給する。
シールオイル装置26は、シールオイルタンク26aから内軸油分配装置9の軸方向内側の内軸環状チャンバ9aにシールオイルを供給する。
【0024】
潤滑油供給装置28は、潤滑油タンク28a、ポンプ28b、潤滑油供給ライン28c、二重反転軸受潤滑油排出ライン28dc、及び、船尾管軸受潤滑油排出ライン28dsを有する。
【0025】
潤滑油タンク28aは、潤滑油を内部に保有する。この例で、潤滑油タンク28aの潤滑油は、加圧エアBにより加圧されている。
潤滑油供給ライン28cは潤滑油タンク28aからポンプ28bに潤滑油を供給し、ポンプ28bで加圧された潤滑油を外軸油分配装置8の中央の外軸環状チャンバ8a(図のa1)と、船尾管軸受16の船内側端部(図のb1)に供給する。
【0026】
外軸油分配装置8の中央の外軸環状チャンバ8a(図のa1)に供給された潤滑油は、図で外側プロペラ軸12に設けられた流路を通ってa1からa2に流れ、船首側二重反転シール装置7の船尾側で、外側プロペラ軸12と内側プロペラ軸14の軸間流路64に流入する。
【0027】
さらにこの潤滑油は、図でスラスト軸受6の隙間を通って図のa3に流れ、後プロペラ2に設けられた軸方向貫通穴2aを通って内側プロペラ軸14の船尾端に達する。
【0028】
上述した外軸油分配装置8、他の構成により、内側プロペラ軸14及び外側プロペラ軸12に長尺の潤滑油流路を設けることなく、潤滑油を、外側プロペラ軸12と内側プロペラ軸14の軸間流路64に供給することができる。
【0029】
この例で、内側プロペラ軸14及び駆動軸4は、内側プロペラ軸14の船尾端から軸に沿って設けられた中空穴14a,4aを有しており、潤滑油は、中空穴14a,4aを通り、内軸油分配装置9の軸方向外側の内軸環状チャンバ9aに戻る。
内軸油分配装置9は、潤滑油を中空穴4aから排出して潤滑油タンク28aに戻す機能を有する。
すなわち二重反転軸受潤滑油排出ライン28dcは、内軸油分配装置9の軸方向外側の内軸環状チャンバ9aと潤滑油タンク28aを連通し、内軸油分配装置9から排出された潤滑油を潤滑油タンク28aに戻す。二重反転軸受5の潤滑油を「二重反転軸受潤滑油」と呼ぶ。
【0030】
上述した構成により、二重反転軸受潤滑油をa1-a2-a3-a4-a5-a6の順で流すことができ、途中の軸間流路64に位置する船首側二重反転軸受5、スラスト軸受6、及び船尾側二重反転軸受18を潤滑することができる。
【0031】
図1において、軸封装置50は、船尾管軸受16に潤滑油を供給する潤滑油流路を有する。船尾管軸受16の潤滑油を「船尾管軸受潤滑油」と呼ぶ。
すなわち図1において、船尾管(図のb1)に供給された潤滑油は、b1からb2を通って船尾側の船尾管軸受16の船尾側に供給され、さらに図のb3を介して船尾管軸受を潤滑した後、船内側端部(図のb4)から船尾管軸受潤滑油排出ライン28dsに排出される。
【0032】
上述した構成により、船尾管軸受潤滑油をb1-b2-b3-b4の順で流すことができ、途中に位置する船尾管軸受16を潤滑することができる。
【0033】
図1において、本発明による軸封装置50は、さらに船尾側の船尾管シール52、船尾側の二重反転シール54、単一のエア供給装置56、船尾管ドレン回収装置58、及び二重反転ドレン回収装置60を備える。
【0034】
船尾側の船尾管シール52は、船尾管軸受16に海水が侵入するのを防止する。
船尾側の二重反転シール54は、船尾側二重反転軸受18に海水が侵入するのを防止する。
単一のエア供給装置56は、船尾側の船尾管シール52と、船尾側の船尾管シール52を経由して船尾側の二重反転シール54とにシール加圧空気Aを供給する。また、潤滑油加圧空気Bにて潤滑油タンク28aを加圧する。
以下、必要な場合を除き、シール加圧空気Aを「シールエアA」、潤滑油加圧空気Bを「加圧エアB」と略称する。
船尾管ドレン回収装置58は、船尾側の船尾管シール52から排出された前部ドレンD1を単独に回収する。
二重反転ドレン回収装置60は、船尾側の二重反転シール54から排出された後部ドレンD2を前部ドレンD1と分離して回収する。
【0035】
本発明による潤滑油フローセンサ70は、上述した二重反転軸受潤滑油排出ライン28dcと船尾管軸受潤滑油排出ライン28dsの一方又は両方に設けられる。
以下、二重反転軸受潤滑油排出ライン28dcと船尾管軸受潤滑油排出ライン28dsを単に、「潤滑油排出ライン28d」と呼ぶ。
【0036】
図2は、本発明による潤滑油フローセンサ70の断面側面図である。
この図において、潤滑油フローセンサ70は、水平管路72、堰74、及びレベルセンサ76を備える。
【0037】
水平管路72は、潤滑油Oが水平に流れる潤滑油排出ライン28dに設けられる。
この例において、潤滑油排出ライン28dは、水平管路72の上流側と下流側に接続され内径dが一定の水平円管42を有する。また水平円管42の端部には、フランジ43が設けられている。また、フランジ43には複数のボルト孔が設けられ、このボルト孔にボルト44を通して対向するフランジ72b(後述する)と連結するようになっている。
例えば、水平円管42は、外径60.5mm、厚さ5.5mmの鋼管である。
【0038】
図2において、水平管路72は、水平胴部72aとフランジ72bを有する。フランジ72bは、水平胴部72aの上流端と下流端に溶接等で一体に連結されている。また、フランジ72bに上述したボルト44が螺合する雌ネジ穴72cが設けられ、ボルト44によりフランジ43と連結するようになっている。
なおこの構成は必須ではなく、例えばフランジ72bにスタットボルトを溶接し、スタットボルトと螺合するナットでフランジ72bとフランジ43を連結してもよい。
【0039】
水平胴部72aは、この例では、外径101.6mm、厚さ8.1mmの鋼管である。しかし、水平胴部72aは、中空円筒形の円管に限定されず、矩形管でも、断面形状が軸方向に変化する異形管でもよい。
【0040】
図2において、堰74は、水平管路72の下流側(図で左側)に設けられている。また堰74は、下部の小流量用開口75aと上部の大流用用開口75bとを有する。
【0041】
図3は、図2のA-A矢視図である。
この図において、小流量用開口75aは、下流側の水平円管42の内側下端に位置する。
小流量用開口75aの開口面積は、潤滑油排出ラインの潤滑油Oの流量が予め設定した最小流量より小さい場合に、水平管路内の潤滑油Oの液面Lが最低レベルに保たれるように設定されている。
また、大流用用開口75bは、下流側の水平円管42の内側上部に位置する。この例で大流用用開口75bは、下端が水平な半円形開口である。
大流用用開口75bの開口面積は、潤滑油排出ライン28dの潤滑油Oの流量が予め設定した最大流量より大きい場合に、水平管路内の潤滑油Oの液面Lが最高レベルに保たれるように設定されている。半円形開口の下端が水平な場合、最高レベルは半円形開口の下端、又はその近傍に保たれる。
従って、水平管路内の液面近傍に浮遊するフロート76aにより潤滑油Oの液面Lを検出することで、小流量用開口75aを流れる小流量と大流用用開口75bを流れる大流量との間の流量をレベルセンサ76により検出することができる。
【0042】
図2図3において、堰74は、さらに、小流量用開口75aと大流用用開口75bの間に流量調節用のプラグ穴75cと着脱可能な複数(この例で3つ)のプラグ77を有する。
この構成により、1又は複数のプラグ77を外し、プラグ穴75cを開口することにより、液面Lが最高レベルとなる潤滑油Oの最大流量を増加させることができ、レベルセンサ76により検出する流量範囲を広げることができる。
【0043】
図2において、レベルセンサ76は、水平管路内の液面近傍に浮遊するフロート76aを有し、水平管路内の液面Lを検出する。
この例でレベルセンサ76は、さらに、フロート76aの上下動を案内するステム76bと、外部に信号を出力する出力器76cとを有する。フロート76aにはマグネット、ステム76bにはリードスイッチが組み込まれており、潤滑油Oの浮力によりフロート76aが上下し、リードスイッチによりフロート76aの高さを検出し、出力器76cから潤滑油Oの液面Lに対応する信号を出力する。
この出力は、液面上昇時、液面下降時、液面中間位置のON/OFF信号でも、液面L又は流量に比例する連続信号でもよい。
【0044】
図2において、潤滑油フローセンサ70は、さらに中空の保護管78を備える。この場合、フロート76aは、保護管内の液面近傍に浮遊する。
【0045】
図4は、図2のB-B矢視図である。
この図において、中空の保護管78は、水平管路72の内部に鉛直に設けられ、下端近傍と上端近傍に水平管路内と連通する連通孔78a,78bを有する。
下方の連通孔78aは、潤滑油Oの液面Lが最低レベルの時に、保護管78の内側と外側を連通し、保護管内の潤滑油Oの液面Lを最低レベルに保持するように設定されている。
また上方の連通孔78bは、潤滑油Oの液面Lが最高レベルの時に、液面Lより上部で保護管78の内側と外側を連通し、保護管内の潤滑油上部を水平管路内の潤滑油上部の空気圧と同じに保つように設定されている。これにより、潤滑油Oの液面Lが最高レベルの時に、保護管内の潤滑油Oの液面Lを最高レベルに保持することができる。
連通孔78a,78bの大きさ(開口面積)は、潤滑油Oがスムースに出入りし、その間に有意な差圧(圧損)が生じない大きさであればよい。
【0046】
図5は、図2のC-C矢視図である。
図5において、水平管路72は、その内面と保護管78の外面との間に、水平円管42の内面より大きい流路断面積を有する。
この構成により、水平円管42の内部における潤滑油Oの流速を、水平円管42よりも小さくすることができ、水平円管42における潤滑油Oの流れをスムースにできる。
【0047】
上述した本発明の実施形態によれば、水平管路72が、潤滑油Oが水平に流れる潤滑油排出ライン28dに設けられ、堰74が水平管路72の下流側に設けられ、堰74には下部の小流量用開口75aと上部の大流用用開口75bとが設けられる。
従って、潤滑油排出ライン28dの上流側から水平に流入した潤滑油Oは、堰74で堰き止められて水平管路内に溜まり、かつ小流量用開口75aと大流用用開口75bから自重により下流側に流出する。この際、潤滑油上部の空気は大気圧に維持されるので、潤滑油排出ライン28dの背圧の発生を防止することができる。
【0048】
また、潤滑油排出ライン28dの流量が小流量用開口75aを流れる流量より小さい場合には、水平管路内の液面Lは最低レベルに保たれ、逆に流量が大流用用開口75bを流れる大流量以上の場合は、水平管路内の液面Lは最高レベルに保たれる。
従って、水平管路内の液面近傍に浮遊するフロート76aにより潤滑油Oの液面Lを検出することで、小流量用開口75aを流れる小流量と大流用用開口75bを流れる大流量との間の流量をレベルセンサ76により検出することができる。
【0049】
また、フロート76aは、保護管78の内側において、水平管路内に溜まる潤滑油Oの液面近傍に浮遊するだけなので、レベルセンサ76は耐久性が高く、誤動作が生じにくい。
【0050】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
A シール加圧空気(シールエア)、B 潤滑油加圧空気(加圧エア)、内径d、
D1 前部ドレン、D2 後部ドレン、O 潤滑油、L 液面、Z-Z 軸心、
1 前プロペラ、2 後プロペラ、2a 軸方向貫通穴、3 船尾、4 駆動軸、
4a 中空穴、5 船首側二重反転軸受、6 スラスト軸受、
7 船首側二重反転シール装置、8 外軸油分配装置、8a 外軸環状チャンバ、
8b 外軸シール部材、9 内軸油分配装置、9a 内軸環状チャンバ、
9b 内軸シール部材、10 プロペラキャップ、12 外側プロペラ軸、
14 内側プロペラ軸、14a 中空穴、16 船尾管軸受、
18 船尾側二重反転軸受、20 反転装置、22,26 シールオイル装置、
22a,26a シールオイルタンク、28 潤滑油供給装置、
28a 潤滑油タンク、28b ポンプ、28c 潤滑油供給ライン、
28d 潤滑油排出ライン、28dc 二重反転軸受潤滑油排出ライン、
28ds 船尾管軸受潤滑油排出ライン、42 水平円管、43 フランジ、
44 ボルト、50 軸封装置、52 船尾側の船尾管シール、
54 船尾側の二重反転シール、58 船尾管ドレン回収装置、
60 二重反転ドレン回収装置、70 潤滑油フローセンサ、72 水平管路、
72a 水平胴部、72b フランジ、74 堰、
75a 小流量用開口、75b 大流用用開口、75c プラグ穴、
76 レベルセンサ、76a フロート、77 プラグ、78 保護管、
78a,78b 連通孔、100 舶用二重反転プロペラ装置
図1
図2
図3
図4
図5