IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ホタルクスの特許一覧

<>
  • 特開-光除菌装置 図1
  • 特開-光除菌装置 図2
  • 特開-光除菌装置 図3
  • 特開-光除菌装置 図4
  • 特開-光除菌装置 図5
  • 特開-光除菌装置 図6
  • 特開-光除菌装置 図7
  • 特開-光除菌装置 図8
  • 特開-光除菌装置 図9
  • 特開-光除菌装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158246
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】光除菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063008
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【弁理士】
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】長尾 和浩
(72)【発明者】
【氏名】高津 博樹
(72)【発明者】
【氏名】伏井 章
(72)【発明者】
【氏名】端 健太
(72)【発明者】
【氏名】柳橋 歩
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA30
4C058BB06
4C058DD14
4C058EE26
4C058KK02
(57)【要約】
【課題】 紫外線を照射する小型で可搬性に優れた光除菌装置を提供する。
【解決手段】 光除菌装置1は、把手10と筐体30を有している。把手10の脚部12にはバッテリー45と第一スイッチ61が配置され、他方の脚部13には第二スイッチ62とインジケーター70が配置されている。筐体30の底面部31にはLEDモジュール51が実装された基板52からなる光源部50が設置されている。第一スイッチ61および第二スイッチONにより電源が供給されると、光源部50から、光触媒が塗布またはコーティングされた画面表示装置の表示画面の表面部(対象面)に向けて紫外線が照射され、光触媒反応を促すことで、対象面の光除菌が行われる。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の把持部と、前記把持部の両端に互いに対向する一対の脚部と、前記一対の脚部の他端部が立脚する平板状の基部を有する把手と、
前記基部の下面に配置された筐体と、
前記脚部の側面に脱着自在に配置されたバッテリーと、
前記筐体の底面側から対象面に向けて紫外線を照射する光源部と、
を備え、
前記光源部の発光時において、前記光源部と前記光源部から紫外線が照射される前記対象面との間隔が一定に保持される、
ことを特徴とする光除菌装置。
【請求項2】
前記光源部は複数のLEDモジュールが実装された基板を有し、カバー部材は前記光源部を覆うように前記筐体の底面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光除菌装置。
【請求項3】
前記脚部には、第一スイッチと第二スイッチが設置され、
前記第一スイッチの操作により前記バッテリーから制御部への電力供給が開始され、前記第一スイッチの再度の操作により前記電力供給が停止され、
前記制御部への電力供給がされている状態で前記第二スイッチを操作することにより前記光源部への電力供給が開始され、前記第二スイッチの再度の操作により前記光源部への電力供給が停止されることを特徴とする請求項1または2に記載の光除菌装置。
【請求項4】
前記筐体の底面部には間隔保持部材が取り付けられる複数の凹部が前記底面部の周辺に沿って設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光除菌装置。
【請求項5】
前記間隔保持部材は前記筐体を水平に保つとともに、少なくとも前記筐体の長軸方向と直角方向に移動するように、前記凹部の少なくとも3箇所に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の光除菌装置。
【請求項6】
前記間隔保持部材は、滑り部材またはローラー軸を有するローラーであることを特徴とする請求項4または5に記載の光除菌装置。
【請求項7】
前記筐体は長手方向の端部にそれぞれアタッチメントを有し、前記アタッチメントは弾性部材で形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光除菌装置。
【請求項8】
前記アタッチメントは2カ所の角部にそれぞれ保護部材を脱着自在に取り付ける係止孔を有することを特徴とする請求項7に記載の光除菌装置。
【請求項9】
前記把手はインジケーターを有し、
前記インジケーターは、複数のLED発光素子からなり、前記光源から照射される紫外線の発光状態を表示することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の光除菌装置。
【請求項10】
前記光源部はUV-A波長域の紫外線を照射することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の光除菌装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、菌・ウイルス等の微生物による感染症予防として、殺菌・抗ウイルス等の対策の重要性が増してきている。そこで、簡便に殺菌・抗ウイルス対策を行う装置として、紫外線を対象物に照射する装置が提案されている。例えば、特許文献1には、光触媒反応を利用して感染対策を施した額装品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-28067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、紫外線は人体に有害であることが知られているが、紫外線のなかでもUV-A領域の波長を含む紫外線は、人への悪影響が少ない波長として知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1の装置は、紫外線のうちで、特にUV-A領域の波長を用いたものであるものの、光除菌装置が額装品専用に取り付けられたものであり、光除菌装置の可搬性がなく、複数の機器の殺菌等に活用できないという欠点があった。
【0005】
そこで、本発明は、小型で可搬性に優れ、複数の機器の殺菌・抗ウイルス対策が可能な光除菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の光除菌装置は、
長尺状の把持部と、前記把持部の両端に互いに対向する一対の脚部と、前記一対の脚部の他端部が立脚する平板状の基部を有する把手と、
前記基部の下面に配置された筐体と、
前記脚部の側面に脱着自在に配置されたバッテリーと、
前記筐体の底面側から対象面に向けて紫外線を照射する光源部と、
を備え、
前記光源部の発光時において、前記光源部と前記光源部から紫外線が照射される前記対象面との間隔が一定に保持される、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、近紫外線を照射する小型で可搬性のある光除菌装置を用いることによって、携行して画面表示装置等の殺菌・抗ウイルス等の作業を効率よく行うことができるともに、時間と労力を節約可能な光除菌を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態における光除菌装置の概略斜視図である。
図2図2は、実施形態における光除菌装置の正面図である。
図3図3は、実施形態における光除菌装置の左側面図である。
図4図4は、実施形態における光除菌装置の右側面図である。
図5図5は、実施形態における光除菌装置を上方からみた平面図である。
図6図6は、実施形態における光除菌装置の筐体を下方からみた平面図である。
図7図7は、実施形態における光除菌装置の筐体を斜め上方からみた斜視図である。
図8図8(A)は、実施形態における光除菌装置の筐体の短手方向の側面図、同図(B)は同上面図、同図(C)は同長手方向の側面図、同図(D)は同底面図である。
図9図9(A)は、実施形態における光除菌装置のアタッチメントを上方からみた概略斜視図、同図(B)は実施形態における光除菌装置のアタッチメントの上面図、同図(C)は同底面図、同図(D)は同正面図である。
図10図10は、実施形態におけるインジケーターの点灯状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、除菌とは、ウイルス、細菌等の微生物を取り除いて減らすことに限らず、殺菌、抗菌、消毒、滅菌、及び静菌等を含めて、最も広義に解釈される。
【0010】
本発明は、酸化チタンなどによる光触媒活性を利用した光触媒が塗布またはコーティングされた対象面に対し、紫外線を照射することによって、光触媒反応を促すことで対象面の消毒を行う光除菌装置を提供するものである。対象面としては、液晶ディスプレイ、タッチパネル、液晶タブレットなどの画面表示装置等の表示画面の表面部をはじめ、キーボードなどの入力装置、テーブル、机やマウスパッドなどの用品、鏡、額縁などの表面部等、光触媒が塗布、またはコーティングされた対象面であれば、光除菌作業をすることができ、画面表示装置等に限定されるものではない。
【0011】
従来から、画面表示装置の表示画面等の表面部の消毒作業は、除菌スプレイやモップなどを用いた手作業による拭き掃除等によって行われてきた。しかし、手作業による拭き掃除では、アルコール等の除菌剤の使用が限られる上に、手間と時間がかかり、対象面の完全な除菌をすることが困難であった。本発明の光除菌装置は、消毒手作業の代替として、または手作業と併用して使用することにより、ハイタッチサーフェス(多人数が触れやすい表面)における消毒工数の軽減と消毒品質の向上の両立を図るものである。
【0012】
つぎに、本発明の実施形態における光除菌装置を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の一具体例を示すものであるから、実施形態に記載されている構成部品の配置、機能、数値などはあくまで一例であって、これらによって本発明の範囲が限定解釈されるものではない。
【0013】
(実施形態)
図1は、実施形態における光除菌装置1の概略斜視図、図2は、実施形態における光除菌装置1の正面図、図3は、実施形態における光除菌装置1の左側面図、図4は、実施形態における光除菌装置1の右側面図である。
図1には、斜め上方から見た光除菌装置1全体の概略斜視図が示されている。光除菌装置1は、上部の把手10と把手10の下部に設けられた平板状の筐体30から構成されている。把手10は、軸線方向を水平とする長尺状の把持部11と、その両端に一定の角度で傾斜して互いに対向する脚部12、脚部13と、脚部12と脚部13の他端部が立脚する平板状の基部20から構成されている。
【0014】
図1に示すように、把手10は、略左右対称形の2つの型を垂直方向に組み合わせてネジなどの固定手段により固着される。また、把持部11は、光除菌作業を行う作業者が両手で握っても狭さを感じることのない程度の長さと、握りやすい直径と断面形状に設定される。断面形状は、例えば、円形、楕円形、卵形で、最大直径は10mm~70mm、好ましくは20mm~60mm、より好ましくは25mm~35mm程度であってもよい。把手10はアルミダイカストにより鋳造されたものであるが、アルミ板の折曲げ加工によって製造してもよい。また、アルミニウム合金のほか、鉄、ステンレス、マグネシウム合金など他の金属を用いてもよい。また、金属材料に限らず、エポキシ樹脂等のプラスチックやセラミックなど他の材料を用いてもよい。
【0015】
図2に示すように、脚部12と脚部13はいずれも把持部11側に傾斜している。脚部12の傾斜角度α、脚部13の傾斜角度βは、長尺状の把持部11の軸線Xと、脚部12、13の側面に沿った直線Yとの交点における傾斜角度である。傾斜角度α、βは、いずれも15°~90°の範囲内に設定される。好ましくは、30°~60°に、さらに45°~55°の範囲内に設定してもよい。また、傾斜角度αとβは必ずしも同値である必要はなく、別角度に設定してもよい。
【0016】
図3には、脚部12の側面に、バッテリー45が脱着自在に取り付けられている状態が示されている。バッテリー45を脚部12から取り外すには脚部12に沿って上方に引き上げればよい。バッテリー45は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニカド電池等であり、外部の充電装置により充電される。
【0017】
また、バッテリー45の下部には第一スイッチ(メインスイッチ)61が設けられている。実施態様では、第一スイッチ61として、左右の部分を交互に押すことによってON/OFFを切り替えるシーソースイッチが用いられている。
【0018】
図4には、他方の脚部13の頂部付近に、第二スイッチ(押ボタンスイッチ)62が配置されている。そして、側面の下部には、インジケーター70とストラップ取付部65が設けられている。インジケーター70は、4個のLED発光素子72が一列に配置されている。
【0019】
脚部13の側面の下部に設けられたストラップ取付部65は、中央に開口を有する。中央の開口にストラップ(図示省略)の端部を挿入してストラップを光除菌装置1に装着することによって、作業者による光除菌装置1の持ち運びの利便性と作業効率の向上に寄与する。
【0020】
図5は、実施形態における光除菌装置1を上方からみた平面図である。同図に示すように、光除菌装置1は、平面視で全体として略長方形をなしており、ストラップ取付部65の上面付近にインジケーター70が取り付けられている。そのため、作業者は把持部11の方向から、インジケーター70を容易に視認することができる。
【0021】
図6は、実施形態における光除菌装置の筐体を下方からみた平面図である。筐体30の底面部31には、凹部(間隔保持部材設置部)36が設けられている。実施形態では、凹部36に、ローラー(間隔保持部材)32が、回転自在に、筐体30の底面部31の4カ所に配置されている。ローラー軸33はローラー32が回転自在となるようにローラー32の両側を担持する。
【0022】
図7は、実施形態における光除菌装置の筐体30を斜め上方からみた斜視図である。図8(A)は実施形態における光除菌装置の筐体30の短手方向の側面図、同図(B)は同平面図、同図(C)は同長手方向の側面図、同図(D)は同底面図である。
【0023】
図6図7図8(B)~(D)に示すように、筐体30の上面には間隔保持部材32が収納される、上に凸となる凹部36が10カ所に形成されている。筐体30は、アルミダイカストにより鋳造されたものであるが、アルミ板の折曲げ加工によって製造してもよい。また、アルミニウム合金のほか、鉄、ステンレス、マグネシウム合金など他の金属を用いてもよい。また、金属材料に限らず、エポキシ樹脂等のプラスチックやセラミックなど他の材料を用いてもよい。なお、筐体30はネジ、ボルト等の固定手段38によって把手10の基部20に固定される。
【0024】
また、ローラー32は、水平を保ちつつ、筐体30の長軸方向と直角方向に移動するように配置されている。ローラー32の配置場所は、4カ所に限らず、3カ所から10カ所の範囲で、光除菌装置1のサイズ、重量、用途等に応じて、設置してもよい。凹部カバー35は、ローラー32が設置されていない凹部36を覆うカバーであるが、ローラー32の増設や配置換をするときは、凹部カバー35を取り除いてローラー32を配置することができる。
【0025】
一方、配置していたローラー32が不要になったときは、凹部36を凹部カバー35で覆うことによって、凹部36が塞がれることで支障が生じることなく、円滑に作業を進めることができる。また、ローラー32は、凹部36に形成されている一対の切込部37にローラー軸33がワンタッチではめ込まれて固定されるため、不要時の取り外しや、ローラー32の消耗や故障により回転に不具合が生じたときに容易に交換することができる。
【0026】
筐体30の底面部31に配置される間隔保持部材32は、光源部50と紫外線が照射される対象面との間隔を一定に保持するための部材である。光源部50と紫外線が照射される対象面との間隔を20mm以内に保持することで、除菌むらのない効率的な光除菌効果をあげることができる。例えば、光源部50がUV-A波長を発光するLEDモジュール51の場合、光源部50と紫外線が照射される対象面との間隔を10mm以内とするとよい。
【0027】
また、実施形態では間隔保持部材としてローラー32を用いたが、ローラー32に限らず、対象面上を円滑に移動できるような半円形状、そり形状等の間隔保持部材32、すなわち、対象面と接触する面が低摩擦係数を有する滑り部材を用いてもよい。
【0028】
さらに、筐体30の底面部31に設けられた1つまたは複数の凹部36を利用して、対象面を掃除するブラシや刷毛などのアクセサリーを取り付けてもよい。ブラシや刷毛等の清掃用具を取り付けることによって、対象面上に存在する粉塵を光除菌する前に、除去することで、光除菌の効率を向上させることができる。その他、さまざまな器具を適宜、必要な部位の凹部36に取り付けてもよい。
【0029】
図9は、実施形態の光除菌装置1の筐体30の底面部31の両端部に装着される略U字状のアタッチメント22である。図6にも示すように、アタッチメント22の一部は、凹部カバー35として、ローラー32が設置されていない凹部36を覆うとともに、筐体30の底面部31の両端部(両方の先端部)を覆うことで、光除菌装置1の円滑な動きと底面部31における両端部の保護を図っている。
【0030】
図9(A)は、実施形態における光除菌装置1のアタッチメント22を上方からみた概略斜視図である。そして、図9(B)は同アタッチメント22の上面図、同図(C)は同底面図、同図(D)は同正面図である。
【0031】
図9(A)~(D)に示すように、アタッチメント22は、円弧状の隅部を有する前面部25と、筐体30の底面部31に穿設された凹部36を塞ぐ凹部カバー35の機能を備えた凹部カバー部26を有している。凹部カバー部26は、中継部27によって前面部25と一体的に接続されている。アタッチメント22の前面部25は画面表示装置の縁部等を傷つけないように緩衝性を有する弾性体で形成されている。さらに、緩衝性等を得るために、アタットメント22の前面部25のそれぞれの角部に、係止孔23を穿設し、係止孔23に砲弾型の保護部材24を嵌入して係止してもよい。
【0032】
アタッチメント22の材料として、画面表示装置の対象面や縁部にあたっても損傷等の生じないような弾性を有する天然ゴム、ニトリルゴム、シリコンゴムなどの弾性体が用いられる。そのほか、用途に応じて、不織布、発泡プラスチック、段ボール、厚紙シートなどを用いてもよい。さらに、対象面を傷つけずに円滑に移動できるように、対象面と接触する表面に静止摩擦係数および動摩擦係数の低い材料を用いることも有効である。また、弾性体の表面にフッ素樹脂シート、高密度ポリエチレンシート、PTFEシートなど、潤滑性に優れたプラスチックシートを貼り付ける、またはコーティングすることで、アタッチメント22に、潤滑性と弾性を付与してもよい。前記したローラー32、凹部カバー35や保護部材24などにおいても、同様の材料と構造を用いてもよい。
【0033】
さらに、アタッチメント22は、用途に応じて、着色してもよい。また、アタッチメント22の底面側を厚くすることにより、ローラー32などの間隔保持部材を用いずに、光源部50と対象面との間隔を一定に保つようにしてもよい。
【0034】
アタッチメント22や間隔保持部材32を、3Dプリンターを用いて製作し、様々な形状や用途に応じて、迅速に対応可能な部材として揃えてもよい。
【0035】
図6には、アタッチメント22の角部に、砲弾型の保護部材24がそれぞれ2つずつ取り付けられている構成が示されている。前記したように、保護部材24は、画面表示装置の縁部等を傷つけないために使用され、用途に応じて、異なる形状、色、材質などを備えた保護部材24と適宜交換可能である。また、保護部材24が消耗や経時変化により、使用不能となったときは、容易に交換することができる。
【0036】
光除菌装置1において、常に均一の除菌品質を保つことは重要であり、そのために、光源部50から照射される紫外線の照射強度は、常に一定であることが必要である。筐体30の底面部31には、間隔保持部材としてのローラー32が配置されており、光除菌を行う画面表示装置等の対象面との一定間隔を常に保持することで、対象面に対する紫外線照射強度を均一に維持している。
【0037】
ローラー32は、光源部50と画面表示装置(図示省略)との距離を一定に保つので、作業において、光除菌装置1を持ち上げる必要がなく、腕への負担も少ないという効果を有する。
【0038】
光源部50は、複数のLEDモジュール51が列状に実装された基板52を有している。また、光源部50は、筐体30から取り外し可能に設置されており、用途に応じてLEDモジュール51の配列や実装数の異なる基板52と差し替えることができる。
【0039】
カバー部材55は、LEDモジュール51、基板52を含む光源部50全体を覆うように筐体30の底面部31に設けられている。実施態様では、カバー部材55は透明で摩擦係数の低いシートで形成され、紫外線を透過する作用を有している。
【0040】
実施形態における光除菌装置1の光源部50から照射される紫外線の照射範囲について説明する。画面表示装置等の対象面の画面サイズが20インチと32インチの場合には、作業者が光除菌装置1の把手10を持ちながら、一回の一方向への移動操作で画面全体を走査することができる。また、画面表示装置等の対象面の画面サイズが42インチの場合には二回の移動操作で、画面全体を操作することができる。
【0041】
すなわち、実施形態の光除菌装置1
では、可搬性と作業効率等を考慮して、32インチの画面サイズ以内の画面表示装置等の対象面については、一回の移動操作で光除菌することを基準として照射範囲を限定している。
【0042】
図10は、実施形態における光除菌装置1におけるインジケーター70の点灯状態を示す説明図である。インジケーター70は、作業者に対して、視覚的に光除菌装置1の稼働状態を表示する。実施形態では、インジケーター70は、4個のLED発光素子72が一列に配置されている。LED発光素子72は赤色発光素子を用いているが、これに限らず、青色、緑色、白色等のLED発光素子を用いることや、複数色のLED発光素子を適宜配列させたものでもよい。また、インジケーター70の発光素子は、4個に限らず、1~10個を用いてもよく、配列も一列に限らず複数列を直線や曲線の形に配列する、または円形や四角形など適宜の形状に配列してもよい。
【0043】
第一スイッチ61がON(電力供給開始)になると、バッテリー45から把手10内に配置された制御部(図示省略)への電力供給が開始され、制御部の指示信号により、4個のLED発光素子72がすべて点灯する。作業者は、インジケーター70の点灯によって、光除菌装置1が、待機状態になったことを認識する。次に、第二スイッチ62がONになると、光源部50への電力供給が開始され、基板52に実装されたLEDモジュール51が発光し、紫外線が筐体30の底面部31から外部に向けて紫外線が照射され、光除菌が開始される。
【0044】
制御部は、インジケーター70のLED発光素子72に対し、1秒で点滅を繰り返す信号を送出し、点灯後15秒後に消灯させる。次に、制御部は、隣のLED発光素子72に1秒で点滅を繰り返す信号を送出し、点灯後15秒後に消灯させる。残りのLED発光素子72も同様の表示を繰り返し、最初の第二スイッチ62がONになってから、60秒経過すると、すべてのLED発光素子72が消灯する。LED発光素子72が全灯消灯することで、作業者は作業を開始してから、60秒経過したことがわかる。その後、インジケーター70は、上記の表示を繰り返す。
【0045】
なお、作業者の紫外線暴露への安全性を担保するために、最初の第二スイッチ62がONになってから、60秒経過すると、すべてのLED発光素子72が消灯すると同時に、光源部50を消灯させ、光源部50を待機状態とし、再度、第二スイッチ62をONすることによって、紫外線照射を再開するようにしてもよい。
【0046】
また、基部20にローラー32の負荷を感知するセンサー(図示省略)を設けてもよい。センサーは、ローラー32の負荷を感知するときは制御部に対し光源部50へ電力供給の指令を発し、ローラー32の負荷を感知しないときは制御部に対し光源部50への電力供給を行わない指令を発することによって、画面表示装置の表示面へのローラー32の接離によって、光源部50による紫外線照射と消灯を容易に切り替えることができる。さらに、紫外線を照射する方向に、人物を検知すると光除菌装置1の紫外線照射が自動的に停止する人感センサーを備えた制御装置を具備してもよい。
【0047】
紫外線は、人体に有害であることが知られているが、可視光ではないため、人体に悪影響を及ぼす可能性がある。本発明は、光除菌に用いる照射光として紫外線と可視光を含め、10~405nm辺りまでの電磁波を対象としている。紫外線のうち、近紫外線である主波長を365nmとする315~380nmの波長帯(UV-A)は、比較的人体に安全な領域であり、本発明の光除菌装置1は、UV-A領域の紫外線を用いているが、405nmの波長帯の可視光や、UV-B領域(280~315nm)、UV-C領域(200~280nm;深紫外線)を用いた光除菌を妨げるものではない。
【0048】
光源部50は、複数のLEDモジュール51が実装された基板52を備えており、LEDモジュール51を紫外線発光の光源として用いたものであるが、その代わりに、紫外線を発光する蛍光灯、有機EL、キセノンランプ、ハロゲンランプなどを光源として用いてもよい。
【0049】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、紫外線を照射するコンパクトな光除菌装置を用いることによって、可搬性に優れ、画面表示装置等の殺菌・抗ウイルス等の作業を効率よく行うことができるともに、時間と労力等を節約可能な光除菌を行うことができる。
【0051】
1 光除菌装置
10 把手
11 把持部
12 脚部
13 脚部
20 基部
22 アタッチメント
23 係止孔
24 保護部材
25 前面部
26 凹部カバー部
27 中継部
30 筐体
31 底面部
32 ローラー(間隔保持部材)
33 ローラー軸
35 凹部カバー
36 凹部(間隔保持部材設置部)
37 切込部
38 ネジ(固定手段)
45 バッテリー
50 光源部
51 LEDモジュール
52 基板
55 カバー部材
61 第一スイッチ(メインスイッチ)
62 第二スイッチ(押ボタンスイッチ)
65 ストラップ取付部
70 インジケーター
72 LED発光素子

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10