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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158270
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20221006BHJP
   D04B 1/00 20060101ALI20221006BHJP
   D04B 21/14 20060101ALI20221006BHJP
   D04B 1/18 20060101ALI20221006BHJP
   D04B 21/18 20060101ALI20221006BHJP
   D01F 8/04 20060101ALI20221006BHJP
   D01F 8/06 20060101ALI20221006BHJP
   D01F 8/12 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
D04B1/00 B
D04B21/14 Z
D04B1/18
D04B21/18
D01F8/04 Z
D01F8/06
D01F8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063037
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】503247791
【氏名又は名称】アクトインテリア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519381458
【氏名又は名称】青島拜倫湾科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 康之
(72)【発明者】
【氏名】孫 石林
【テーマコード(参考)】
4L002
4L041
【Fターム(参考)】
4L002AA05
4L002AA06
4L002AA07
4L002AB05
4L002AC01
4L002AC07
4L002BB01
4L002CB01
4L002DA01
4L002EA00
4L002EA06
4L002FA00
4L041BA21
4L041BD07
4L041BD20
(57)【要約】
【課題】複数の種類の糸の特性を有する複合糸で本体部を形成することにより、当該複数の糸の特性を有するマスクを提供する。
【解決手段】 マスクは、互いに異なる2種の成分を有する糸によって構成される第1の複合糸を含む裏地及び、前記裏地の外側に配され、かつ互いに異なる2種の成分を有する糸によって構成される第2の複合糸を含む表地及び、を有し、かつ第3の糸によって前記表地及び前記裏地が三次元立体編物状に接続されている本体部と、前記本体部において、一の方向に沿って設けられている一対の耳掛け部と、を有する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表地、前記表地の裏側に配されている裏地及び、前記表地並びに前記裏地を接続する接続糸を有する三次元立体編物で形成された本体部と、
前記本体部の左右方向の両側に固着されている一対の耳掛け部と、
を有することを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記表地は、ポリウレタン繊維からなる第1糸と、天然繊維、再生セルロース繊維、ポリウレタン以外の合成樹脂繊維から選ばれた1又は2種以上を含む第2糸と、を含む編地であり、
前記裏地は、前記第1糸と、ポリエチレン繊維を含有する第3糸と、を含む編地である請求項1記載のマスク。
【請求項3】
前記表地の前記第2糸は、天然繊維及び再生セルロース繊維から選ばれた繊維を含有し、
前記裏地の前記第3糸は、ポリエチレン繊維の他に、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリ乳酸繊維から選ばれた少なくとも1種の繊維を含有する、請求項2記載のマスク。
【請求項4】
(複合糸の限定)
前記第2糸及び前記第3糸の少なくとも一方は、2種類以上の合成樹脂で形成された複合繊維を含有する糸である請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項5】
前記複合繊維は、芯部および鞘部が配置された芯鞘構造をなし、
前記芯部は、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステルから選択される1種からなり、
前記鞘部は、ポリエチレン、ポリアミドから選択される1種からなる請求項4に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の層を有するマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マスク本体を複数の層を積層して構成することが行われている。このようなマスクとしては、表面から最外層、外層、中間層、内層、最内層が順番に設けられている5層構造のマスク本体を有するマスクが特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1は、最外層および外層によって外側二重織物を形成しており、内層および最内層によって内側二重織物を形成しているマスク本体が開示されている。尚、当該マスク本体は、最外層、外層、内層、最内層のそれぞれを絹織物で構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3227103号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のマスクは、本体部の層の厚み方向の弾力性に乏しく装着感に改良の余地があった。また、マスク本体が多層構造となっているマスクは、厚みも増すため通気性に改良の余地があった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、シンプルな構造で、装着感や通気性に優れたマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマスクは、表地、前記表地の裏側に配されている裏地及び、前記表地並びに前記裏地を接続する接続糸を有する三次元立体編物で形成された本体部と、前記本体部の左右方向の両側に固着されている一対の耳掛け部と、を有することを特徴とする。
【0008】
マスクの本体部が三次元立体編物で形成されているので、表地と裏地とを縫着、溶着、接着などの接合手段で接合する必要がなく、表地と裏地とを同時に編みながら一体化したシンプルな構造の本体部を形成することができる。マスクの本体部は、三次元立体編物で形成されているので、クッション性があり、優れた装着感を有する。また、三次元立体編物は、通気性に優れるため、蒸れにくくすることができる。
【0009】
本発明のマスクにおいて、前記表地は、ポリウレタン繊維からなる第1糸と、天然繊維、再生セルロース繊維、ポリウレタン以外の合成樹脂繊維から選ばれた1又は2種以上を含む第2糸と、を含む編地であり、前記裏地は、前記第1糸と、ポリエチレン繊維を含有する第3糸と、を含む編地であるとよい。
【0010】
このような態様によれば、表地及び裏地にポリウレタン繊維からなる第1糸を用い、かつ、連結糸により表地と裏地とを連結したことにより、本体部に伸縮性を付与し、フィット感を出すことができる。裏地がポリエチレン繊維を含有する第3糸を含むので、熱伝導性を高めて冷感を付与することができる。
【0011】
本発明のマスクにおいて、前記表地の前記第2糸は、天然繊維及び再生セルロース繊維から選ばれた繊維を含有し、前記裏地の前記第3糸は、ポリエチレン繊維の他に、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリ乳酸繊維から選ばれた少なくとも1種の繊維を含有することが好ましい。
【0012】
表地の第2糸が天然繊維及び再生セルロース繊維から選ばれた繊維を含有することにより、表地の吸湿性を高めることができる。また第3糸がポリエチレン繊維の他に、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維から選ばれた繊維を含むことにより、裏地に疎水性を付与することができる。これにより、呼気に含まれる水分が、裏地の表面に付着されると、表地が、裏地の表面に付着した水分を吸湿するので、速やかに外気に蒸発させることができる。
【0013】
本発明のマスクにおいて、前記第2糸及び前記第3糸の少なくとも一方は、2種類以上の合成樹脂で形成された複合繊維を含有する糸であることが好ましい。
【0014】
前記複合繊維は、芯部および鞘部が配置された芯鞘構造をなし、前記芯部は、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステルから選択される1種からなり、前記鞘部はポリエチレン、ポリアミドから選択される1種からなることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るマスクの平面図である。
図2】本発明に係るマスクの斜視図である。
図3図1のA-A線に沿った本発明に係るマスクの拡大断面図である。
図4】表地又は裏地における各糸の配置を示す概念図である。
図5】表地又は裏地における他の各糸の配置を示す概念図である。
図6】複合繊維の代表的な構造を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~3に示すように、マスク100は、本体部10と、本体部10において、一の方向に沿って設けられている一対の耳掛け部20と、を有する。
【0017】
本体部10は、図1に示すように、上面視において、略矩形状に形成されている。本体部10の目付は、200~550g/mであることが好ましく、250~450g/mであることがより好ましい。
【0018】
本体部10は、図3にも示すように、表地11と、表地11の裏側に配されている裏地12とを有し、接続糸13によって表地11及び裏地12が三次元立体編物状に接続されている。言い換えれば、本体部10は、コイルボーン(loop coil)で構成されている。
【0019】
表地11は、図4及び図5にも示すように、ポリウレタン繊維からなる第1糸Y1と、天然繊維、再生セルロース繊維、ポリウレタン以外の合成樹脂繊維から選ばれた1又は2種以上を含む第2糸Y2と、を含む編地である。
【0020】
天然繊維は、特には限定されないが、麻、綿、絹を用いることができる。
【0021】
再生セルロース繊維は、特には限定されないが、レーヨン、レーヨン、キュプラ、アセテート繊維を用いることができる。
【0022】
第1糸Y1は、表地11に対して、2~30質量%含むことが好ましく、3~20質量%含むことがさらに好ましく、5~15質量%含むことがより好ましい。
【0023】
第1糸Y1は、10~100Dであることが好ましく、15~40Dであることがより好ましい。
【0024】
本発明のマスクにおいて、表地11の第2糸Y2は、天然繊維及び再生セルロース繊維及び、ポリウレタン以外の合成繊維から選ばれた繊維を含有する。
【0025】
第2糸Y2は、2種類以上の合成樹脂で形成された複合繊維CFを含有する糸とすることもできる。
【0026】
複合繊維CFは、例えば、コアヤーン構造、芯鞘構造によって構成することができる。
【0027】
複合繊維CFが芯鞘構造である場合、図6に示すように、例えば、同心円状に芯部CR及び鞘部STを配置することができる。複合繊維CFがこのような芯鞘構造である場合、例えば、2種類の合成樹脂を紡糸口金内で同心円状に合流させてノズルから吐出させることによって製造される。
【0028】
芯部CRは、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル、から選択される1種からなることが好ましい。
【0029】
尚、ポリエステルは、特には限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を用いることができる。
【0030】
鞘部STは、ポリエチレン、ポリアミドから選択される1種からなることが好ましい。
【0031】
複合繊維CFは、2種の成分を同心円状の配置することに限られず、例えば、紡糸方向に垂直な断面が半円状としたものであってもよいし、混繊化したものであってもよい。
【0032】
第2糸Y2は、表地11に対して、70~98質量%含むことが好ましく、80~97質量%含むことがさらに好ましく、85~95質量%含むことがより好ましい。
【0033】
このような第複合繊維CFの例としては、芯部CRにポリアミドが配され、かつ鞘部STにポリエチレンが配されている複合糸、芯部CRにポリプロピレンが配され、かつ鞘部STにポリエチレンが配されている複合糸、芯部CRにポリエステルが配され、かつ鞘部STにポリエチレンが配されている複合糸などが挙げられる。
【0034】
このように、表地11を第1糸Y1及び第2糸Y2で構成する場合、図5に示すように、例えば、第1糸Y1及び第2糸Y2を並列に配置して、あたかも1本の糸であるかのようにして編んでもよい。
【0035】
また、表地11を第1の糸Y1及び2つの第2糸Y2を複数用いて構成する場合、図6に示すように、例えば、第1糸Y1及び一方の第2糸Y2を撚り糸とし、この撚り糸と他方第2糸Y2を並列に配置することにより、あたかも1本の糸であるかのようにして編んでもよい。
【0036】
第2糸Y2は、50~200Dであることが好ましく、50~140Dであることがより好ましく、50~100Dであることが好ましい。
【0037】
裏地12は、図4及び5に示すように、上述の第1糸と、ポリエチレン繊維を含有する第3糸と、を含む編地である。
【0038】
裏地12の第3糸Y3は、ポリエチレン繊維の他に、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維から選ばれた繊維を含有することが好ましい。
【0039】
第1糸Y1は、裏地12に対して、2~30質量%含むことが好ましく、3~20質量%含むことがさらに好ましく、5~15質量%含むことがより好ましい。
【0040】
第3糸Y3は、裏地12に対して、70~98質量%含むことが好ましく、80~97質量%含むことがさらに好ましく、85~95質量%含むことがより好ましい。
【0041】
第3糸Y3は、2種類以上の合成樹脂で形成された複合繊維CFを含有する糸とすることもできる。
【0042】
複合繊維CFは、例えば、コアヤーン構造、芯鞘構造によって構成することができる。複合繊維CFが芯鞘構造である場合、例えば、2種類の合成樹脂を紡糸口金内で同心円状に合流させてノズルから吐出させることによって製造される。
【0043】
複合繊維CFは、2種の成分を同心円状の配置することに限られず、例えば、紡糸方向に垂直な断面が半円状としたものであってもよいし、混繊化したものであってもよい。
【0044】
複合繊維CFは、例えば、同心円状に芯部CR及び鞘部STが配置された芯鞘構造とすることができる。
【0045】
第3糸Y3は、芯鞘構造である場合、例えば、芯部は、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステルから選択される1種の成分からなり、鞘部はポリエチレン、ポリアミドから選択される1種からなる成分で構成することができる。
【0046】
このような第3糸Y3の例としては、芯部にポリアミドが配され、かつ鞘部にポリエチレンが配されている複合糸、芯部にポリプロピレンが配され、かつ鞘部にポリエチレンが配されている複合糸が挙げられる。
【0047】
このように、裏地12を第1糸Y1及び第3糸Y3で構成する場合、図4に示すように、例えば、第1糸Y1及び第3糸Y3を並列に配置して、あたかも1本の糸であるかのようにして編んでもよい。
【0048】
また、裏地12を第1の糸Y1及び2つの第3糸Y3を複数用いて構成する場合、図5に示すように、例えば、第1糸Y1及び一方の第3糸Y3を撚り糸とし、この撚り糸と他方の第3糸Y3を並列に配置することにより、あたかも1本の糸であるかのようにして編んでもよい。
【0049】
第3糸Y3は、50~200Dであることが好ましく、50~140Dであることがより好ましく、50~100Dであることが好ましい。
【0050】
接続糸13は、図3にも示すように、表地11及び裏地12を交互に繋ぎ合わせるように、かつ表地11及び裏地12の間に間隙が形成されるように蛇行して配置されている。尚、図中の符号CBは、コイルボーン(loop coil)の位置を示している。
【0051】
接続糸13は、特には限定されず、例えば、合成繊維、天然繊維、上述の第2糸Y2及び上述のY3いずれであってもよい。接続糸13は、30~150Dであることが好ましく、30~100Dであることがより好ましい。
【0052】
接続糸13には、ポリエステル弾力糸、ナイロン弾力糸等、合成繊維に弾力性を付与した弾力糸(弾性糸)を用いてもよい。
【0053】
本体部10は、その長手方向中央において、裏地12が重ね合わされ溶着してなる中央部CTを有する。中央部CTは、ユーザUSがマスク100を着用すると、裏地12において外方に突出する立体形状をなす。また、本体部10の中央部CTの裏側は、ユーザUSの鼻を覆う立体空間をなしている。
【0054】
耳掛け部20は、図1において1点鎖線の矢印で示される左右方向(本体部10の長手方向)の両端部において一対設けられている。耳掛け部20は、例えば、ホットメルト等の熱処理や、縫い付けによって本体部10に接合することができる。
【0055】
耳掛け部20は、例えば、伸縮性を有する紐の一端部と他端部とを本体部10の上下方向にずらして接合することにより、環状に形成されている。尚、紐は、必ずしも伸縮性を有している必要性はなく、伸縮性を有しない場合、環の大きさを調整可能なアジャスターを設けるとよい。
【0056】
マスク100は、平幅水洗、プレセット、染色、セット等の後処理が施されてもよい。
【0057】
平幅水洗(open width washing)は、弾力繊維の内部の応力を消し、プリーツが出るのを防止するために行うとよい。同時に、生地を織る時に繊維表面に付着した油を洗えます。
【0058】
プレセットは、水洗いした後の生地を幅出しセッターで行うことができる。セット温度は、130℃以下とするとよく、セット速度は15~25m/minとするとよく、セット時間は1~2分間とするとよい。
【0059】
染色は、プレセットした生地を高温水洗した後に行うとよい。染色は、100℃以下で行うとよい。
【0060】
セットは、加工後の生地を幅出し。セット温度は90~130℃とするとよい。
【実施例0061】
[試験例1]
(1)本体部の作成
(表地11の構成要素)
表地11の形成には、第1糸Y1として20Dのポリウレタン繊維を用いた。第2糸Y2として、75Dのポリエチレン繊維を用いた。尚、表地11は、第1糸Y1を10質量%含み、第2糸Y2を90質量%含む。
【0062】
(裏地12の構成要素)
裏地12の形成には、第1糸Y1として20Dのポリウレタン繊維を用いた。第3糸Y3として、75Dのポリエチレン繊維を用いた。尚、裏地12は、第1糸Y1を10質量%含み、第3糸Y3を90質量%含む。
【0063】
(表地11と裏地12の3次元立体編物の作成)
上述の表地11の構成要素の糸、上述の裏地12の構成要素の糸及び、接続糸を用いて表地11と裏地12とを3次元立体編物の本体部10とした。接続糸には、50Dのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、PET)弾力糸(弾性糸)を用いた。本体部10は320g/mとした。
【0064】
(2)後処理
(平幅水洗)
弾力繊維の内部の応力を消し、プリーツが出るのを防止すために平幅水洗(open width washing)を行った。平幅水洗(open width washing)を行うことにより、生地を織る際又は、編む際に繊維表面に付着した油を洗うことが可能となる。
【0065】
(セット工程)
加工後の生地を幅出した。セット温度は115℃とした。
【0066】
(3)マスクの特性
このようにして作成されたマスクについて、接触冷感試験を行った。
【0067】
(試験の概要)
検査機関:一般財団法人BOKEN
試験方法:試料を20℃の環境において、センサーを熱板に重ねて、熱板が40℃になるとき、瞬間的な熱の移動量を測定した。
【0068】
その結果、実施例のマスクのQMAX(W/CM2)は、0.504であった。
【0069】
[試験例2]
(1)本体部の作成
(表地11の構成要素)
表地11の形成には、第1糸Y1として20Dのポリウレタン繊維を用いた。第2糸Y2として、100Dのレーヨンを用いた。尚、表地11は、第1糸Y1を8質量%含み、第2糸Y2を92質量%含む。
【0070】
(裏地12の構成要素)
裏地12の形成には、第1糸Y1として20Dのポリウレタン繊維を用いた。第3糸Y3として、75Dのポリエチレンを鞘部とし、ポリアミドを芯部とするコアヤーン繊維(芯鞘構造の繊維)を用いた。尚、裏地12は、第1糸Y1を10質量%含み、第3糸Y3を90質量%含む。
【0071】
(表地11と裏地12の3次元立体編物の作成)
上述の表地11の構成要素の糸、上述の裏地12の構成要素の糸及び、接続糸を用いて表地11と裏地12とを3次元立体編物の本体部10とした。接続糸には、50Dのポリアミド繊維を用いた。本体部10は380g/m2とした。
【0072】
(2)後処理
(平幅水洗)
弾力繊維の内部の応力を消し、プリーツが出るのを防止すために平幅水洗を行った。
【0073】
(セット工程)
加工後の生地を幅出し、セットした。セット温度は115℃とした。
【0074】
(3)マスクの特性
このようにして作成されたマスクは、表地11及び裏地12にポリウレタンを含むため、肌側の生地は顔にフィットし、クッション性が良いことがわかった。また、裏地12にポリエチレンを含むため、その疎水性により本体部10に飛沫が浸潤することを防止することができる。また、ポリエチレンは、接触冷感性を有する。このため、ユーザは着用時に冷感を感じることが可能となる。
【0075】
さらに、樹脂を本体部10の材料としてポリエチレンを用いることにより、中央部CTを容易に成形することができる。また、ポリエチレンは、剛性に優れるため、着用時の呼吸によるマスクの変形を防止することができ、十分な通気性を確保することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6