(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158280
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】チャタテムシの防除方法、チャタテムシの防除空調システム、チャタテムシフリー施設
(51)【国際特許分類】
E04B 1/72 20060101AFI20221006BHJP
A01M 1/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E04B1/72
A01M1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063055
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594120157
【氏名又は名称】アース環境サービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】岩村 卓嗣
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 正樹
(72)【発明者】
【氏名】此下 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】布施 利紀
(72)【発明者】
【氏名】俊藤 浩史
【テーマコード(参考)】
2B121
2E001
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121DA41
2B121DA70
2B121EA01
2B121EA08
2B121EA09
2B121EA30
2B121FA15
2B121FA16
2E001DH13
2E001FA41
2E001NA01
2E001ND05
2E001ND16
(57)【要約】
【課題】トラップや誘因などの方法用いた防除方法では、駆除しきれないチャタテムシが生存することになり、製造中の薬剤に混入するリスクが残る。本発明は、殺虫剤などの薬剤を用いずにチャタテムシを駆除する新たな方法、手段を開発することを目的とする。
【解決手段】少なくとも温度、湿度、期間で設定されたチャタテムシの致死する防除条件で建築施設の処理を行うチャタテムシの防除方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも温度、湿度、期間で設定されたチャタテムシの致死する防除条件で建築施設の処理を行うことを特徴とするチャタテムシの防除方法。
【請求項2】
チャタテムシの防除条件が、下記の表1で設定される温度以上、湿度以下、期日以上であることを特徴とする請求項1記載のチャタテムシの防除方法。
【表1】
【請求項3】
建築施設が、薬剤製造施設、乾燥食品製造施設、医療施設、クリーンルーム、乾燥食品貯蔵施設、穀粒・紛貯蔵施設、住居のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2記載のチャタテムシの防除方法。
【請求項4】
チャタテム防除条件を備えた建築施設の空調システムであって、
チャタテムシの致死条件である温度、湿度、期間で設定されたチャタテムシ防除条件が設定されていることを特徴とする空調システム。
【請求項5】
チャタテムシの致死条件が、下記の表2で設定される温度以上、湿度以下、期日以上であることを特徴とする請求項4記載の空調システム。
【表2】
【請求項6】
多重に空間が構成されており、各空間が気密可能な施設であって、それぞれに独立してコントロール可能な空調設備が設けられており、
少なくとも外側の空間が、チャタテムシ防除条件を備えた請求項4又は5に記載された空調システムを備えていることを特徴とするチャタテムシフリー施設。
【請求項7】
多重空間が二重空間であることを特徴とする請求項6に記載されたチャタテムシフリー施設。
【請求項8】
薬剤製造施設、乾燥食品製造施設、医療施設、クリーンルーム、乾燥食品貯蔵施設、穀粒・紛貯蔵施設、住居のいずれかであることを特徴とする請求項6又は7記載に記載されたチャタテムシフリー施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫の防除技術に関する。特に、チャタテムシを防除する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内の害虫を駆除する技術は、殺虫剤を使用する方法、燻蒸法、トラップに捕虫、光誘引、紫外光を用いる方法などがある。
薬剤を用いる方法は、薬剤の残留が問題になるような施設には適していない。光やトラップを用いた方法は、すべての個体を駆除することができない。
屋内の害虫としては、近年チャタテムシが注目されている。チャタテムシは、カビやホコリを好むため古本によく発生する。生息エリアは広く、畳の他にも室内の様々な場所で発見されている。
チャタテムシとはチャタテムシ目に属する昆虫の総称で、世界では1700種ほどが知られている。野外の種類には有翅のものが多く見られる。屋内では、無翅で体長1~2mm程度の微小なものが多い。障子にとまったこの虫が、茶を点てるような音を出すことからこの名が付いたと言われている。
チャタテムシの仲間はどれも体が比較的柔らかい小さな昆虫で、多湿を好む。近年は冷暖房設備が普及し、また室内の気密性が向上したため、屋内に結露やカビが発生しやすくなったことに伴い、チャタテムシなどのカビに由来する虫の発生が増えつつある。
チャタテムシ類は雑食性で植物片、花粉、昆虫の卵なども食べるが、特にカビ類、酵母などを好んで食べる。動植物標本、貯蔵食品などを食害する害虫としても知られている。古い紙や糊も食べるため書籍からも発生するほか、湿度が高い部屋では壁紙の糊から多数発生することもある。
主な種類としては、コチャタテ科のコチャタテ、コナチャタテ科のヒラタチャタテ、カツブシチャタテ、ソウメンチャタテ、ヒメチャタテ科のヒメチャタテなどが知られている。いずれも薄い褐色系統の色をした体長2mm以下の虫である。
【0003】
特許文献1(特開2020-5569号公報)には、昆虫捕獲用粘着トラップに関し、特に、チャタテムシやダニ類等の微小歩行昆虫の捕獲に適した粘着トラップに関する発明が開示されている。
特許文献2(特開2018-172280号公報)には、二酸化塩素ガスを用いて燻蒸してチャタテムシなどを駆除する方法が開示されている。
特許文献3(特開平7-63386号公報)には、ホルマリン燻蒸などの消毒処理後に行われる廃棄処理において、消毒排気用制御手段を、定風量装置を全閉にした状態で差圧調節器に設定される比例感度を定常時比例感度より小さく設定する比例感度変更手段と、定風量装置が作動されると同時に給気側高気密ダンパおよび排気側高気密ダンパを全開にする操作を開始するダンパ全開手段と、給気側高気密ダンパおよび排気側高気密ダンパの全開から予め定められた所定時間経過後に比例感度を定常時比例感度に戻す比例感度戻し手段とを設けることにより、無菌動物飼育室、バイオクリーンルーム等の空調に使用される空調装置に関し、消毒排気時における部屋圧変動を従来より大幅に低減できる空調装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-5569号公報
【特許文献2】特開2018-172280号公報
【特許文献3】特開平7-63386公報
【非特許文献】
【0005】
Urban Pest Management vol.8, pp. 51~55, 2018,「食品害虫サイトのアクセス結果から見た貯穀害虫に対する注目度の変遷」農研機構 曲山 3名著
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トラップや誘因などの方法用いた防除方法では、駆除しきれないチャタテムシが生存することになり、製造中の薬剤に混入するリスクが残る。本発明は、殺虫剤などの薬剤を用いずにチャタテムシを駆除する新たな方法、手段を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、チャタテムシが生存することが困難な環境を解明し、その生存困難な環境を空調システムと施設構成で実現した発明である。本発明の主な構成は次のとおりである。
1.少なくとも温度、湿度、期間で設定されたチャタテムシの致死する防除条件で建築施設の処理を行うことを特徴とするチャタテムシの防除方法。
2.チャタテムシの防除条件が、下記の表1で設定される温度以上、湿度以下、期日以上であることを特徴とする1.記載のチャタテムシの防除方法。
【表1】
3.建築施設が、薬剤製造施設、乾燥食品製造施設、医療施設、クリーンルーム、乾燥食品貯蔵施設、穀粒・紛貯蔵施設、住居のいずれかであることを特徴とする1.又は2.記載のチャタテムシの防除方法。
4.チャタテム防除条件を備えた建築施設の空調システムであって、
チャタテムシの致死条件である温度、湿度、期間で設定されたチャタテムシ防除条件が設定されていることを特徴とする空調システム。
5.チャタテムシの致死条件が、下記の表2で設定される温度以上、湿度以下、期日以上であることを特徴とする4.記載の空調システム。
【表2】
6.多重に空間が構成されており、各空間が気密可能な施設であって、それぞれに独立してコントロール可能な空調設備が設けられており、
少なくとも外側の空間が、チャタテムシ防除条件を備えた4.又は5.に記載された空調システムを備えていることを特徴とするチャタテムシフリー施設。
7.多重空間が二重空間であることを特徴とする6.に記載されたチャタテムシフリー施設。
8.薬剤製造施設、乾燥食品製造施設、医療施設、クリーンルーム、乾燥食品貯蔵施設、穀粒・紛貯蔵施設、住居のいずれかであることを特徴とする6.又は7.記載に記載されたチャタテムシフリー施設。
【発明の効果】
【0008】
1.本発明では、温度、湿度によって、選定されるチャタテムシが生存できない環境に一定期間設定することにより、薬剤を使用せずに建築施設からチャタテムシを駆除することができる。
本発明は、燻蒸剤や殺虫剤を使用しないので、薬剤の残留が望ましくない製剤施設、乾燥食品製造施設、クリーンルーム、医療施設、アレルギー症患者の住居などに適したチャタテムシの防除方法である。
2.本発明は、チャタテムシの致死環境を空調システムで実現できた。本発明の空調システムは、チャタテムシ防除用の専用空調を設けるか、あるいは、通常空調と兼用できる。チャタテムシが生息しにくい忌避環境を空調システムにおいて実現したので、いったん駆除された環境が継続して保つことができる。
3.密閉性の高い建物では、一旦、駆除処理した後は、チャタテムシフリーを長期間保つことができる。建物を多重構造とし、外側の空間を駆除処理することによって、内側の空間にチャタテムシが侵入することを防止することができる
4.医薬品製造施設等で外部からの虫の侵入を防止するために形成する外周防虫区画(ペスト・コントロールエリア)内、及びクリーンルーム内部を殺虫あるいは忌避条件で空調して、害虫フリー施設を構築することができる。虫の中でも特に問題となるチャタテムシの発生及び定着を抑制する環境に空調制御することで確実な防虫対策を行うことができ、害虫が製品に混入するリスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】チャタテムシ(ヒラタチャタテ)を示す図である。
【
図2】チャタテムシフリー施設概略を示す図である。
【
図5】床-壁構造(出隅)におけるシールの例を示す図である。
【
図6】床-壁構造(入隅)におけるシールの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、殺虫剤を使用せずにチャタテムシを施設から防除する条件を明らかにして、空調システムを用いてチャタテムシフリーの環境を実現して、チャタテムシを駆除できる薬剤製造施設などを提供するものである。
【0011】
殺虫剤を使用せずにチャタテムシを駆除する条件を明らかにするために、チャタテムシの生育環境をコントロールして、生存試験を行い、死滅する条件を明らかにした。
その死滅する条件を元にして、チャタテムシを致死させるチャタテムシの防除方法、その防除方法を実現する空調システムと施設設計を行った。
【0012】
チャタテムシの生育環境を温度、湿度、時間、エサの有無でコントロールした結果、表3に示すようにチャタテムシが死滅する条件が明らかになった。チャタテムシは、不完全変態であり、幼虫も成虫と同程度の致死条件と考えられる。
表3では、12とおりであり、例えば、次のとおりである。
15℃・20%・10日間、
20℃・20%・8.3日間、
・
・
30℃・50%・11.7日間、
・
40℃・60%・7.3日間
【0013】
【0014】
なお、別途45℃・60%・6時間、50℃・60%・5分で死滅することを確認している。
【0015】
この試験で明らかになった死滅条件で処理することでチャタテムシを防除する方法を明らかにし、を空調システムに組み込むことで、建物の空間からチャタテムシを適宜駆除することができ、チャタテムシフリーの環境を構築する。空調システムには、低湿度側、高温側に維持するプログラムを反映し、チャタテムシの致死条件を組み込んだ空調システムを構築する。そして、チャタテムシ致死条件を組み込んだ空調システムを建築物に適用することにより、チャタテムシフリーの環境を実現することができる。建築物としては、密閉性、二重などの多層構造、隙間の解消がチャタテムシを防除する構造として有効である。
【0016】
チャタテムシは、目地や建具の隙間に入り込んで生息することや、あるいは、隙間から侵入してくることがあるので、チャタテムシの防除性を高めるためにバリア層を設けた空間(多層構造、外部の部屋等の施設)を構築し、バリア層の環境を死滅条件にすることで、施設内への外部からの侵入を防止できる。さらに、一旦チャタテムシを防除した施設(クリーンルーム等)の環境を忌避条件にすることにより、生息も防止できる。忌避条件としては、通常執務できる20℃~30℃程度条件下では、20~30℃において死滅する乾燥条件を通常空調運転する空調システムとする。
【0017】
チャタテムシは、資材の出入りに伴って、新たに進入するリスクは常にあるので、チャタテムシフリーを維持するには防除処理を繰り返し実施すると効果的である。
チャタテムシの駆除する空間は、密閉可能な空間構成が適している。この空間にチャタテムシを防除する空調システムを適用する。密閉可能な空間は、シールなどにより隙間を封鎖する処理をして、壁や天井にチャタテムシが入り込んで生息するような隙間がないようにする。
さらに、密閉空間を二重にして、バリア機能を向上させることもできる。
施設を多層構造にした場合、外側を一次バリア層に利用することができる。
本発明を適用する施設は、建物全体を二重空間、あるいは建物の一部にチャタテムシフリーを構築する部屋とその外周空間の二重空間にすることができる。
【0018】
本発明は、薬剤製造施設、調剤室、乾燥食品加工・製造施設、医療施設、乾燥食品貯蔵施設、穀粒・紛貯蔵施設に適する。そのほか、書籍などの糊を好む傾向があるので、図書館、図書室、美術館などにも適用できる。一般住居や事務所にも適用でき、衛生環境を改善することができる。
【0019】
駆除処理は、施設の状況に応じて行うことができ、薬剤製造施設など恒常的に駆除状態に保つ必要のある施設では、高温短期間の死滅空調と執務可能な温度下では、20~50%の間の湿度に設定することにより、通常状態を忌避空調として、運用することでチャタテムシを高精度で駆除した施設を構築することができる。
チャタテムシは高温多湿の環境(日本では梅雨以降)で増殖するので、図書館などでは、梅雨前と梅雨、夏季には、死滅空調を行い、通常時は忌避空調を行うことにより、チャタテムシを防除できる。
家屋などでは、構造や階数、日向などを考慮して、湿気の多いところは処理回数を増やすなど、状況に応じた処置を施す。
【0020】
駆除処理は、15~30℃程度であれば、常時の設定にすることもできる。40℃以上の高温は、無人の状態で行うことが適当であり、施設の非稼働日などに行う。また、夜間施設が生産を行っていない場合には40℃以上の高温で夜間に駆除処理を行うことも可能である。数時間や数分で処理できる45℃や50℃の温度域で行うことが適している。
【0021】
<チャタテムシの生存試験>
1.チャタテムシについて
チャタテムシとはチャタテムシ目に属する昆虫の総称で、世界では1700種ほどが知られている。野外の種類には有翅のものが多く見られる、屋内で見られるものは、無翅で体長1~2mm程度の微小なものが多い。障子にとまったこの虫が、茶筅で茶を点てるような音を出すことからこの名が付いたとされる。
チャタテムシの仲間はどれも体が比較的柔らかい小さな昆虫で、多湿を好む。近年は冷暖房設備が普及し、また室内の気密性が向上したため、屋内に結露やカビが発生しやすくなった。それに伴い、チャタテムシなどのカビに由来する虫の発生が増えつつある。
チャタテムシ類は雑食性で植物片、花粉、昆虫の卵なども食べる、特にカビ類、酵母などを好んで食べる。動植物標本、貯蔵食品などを食害する害虫としても知られている。古い紙や糊も食べるため書籍からも発生するほか、湿度が高い部屋では壁紙の糊から多数発生することがある。
主な種類としては、コチャタテ科のコチャタテ、コナチャタテ科のヒラタチャタテ、カツブシチャタテ、ソウメンチャタテなど、ヒメチャタテ科のヒメチャタテなどが知られている。いずれも薄い褐色系統の色をした体長2mm以下の微小な虫です。日本で知られているチャタテムシは約10種類である。代表的なのが
図1に示す「ヒラタチャタテ」である。
【0022】
建物内で発生するチャタテムシは、淡褐色で、幼虫は群集し、多湿で薄暗い環境を好み、ダニ類と誤認されることがある。全体にやわらかく弱々しい印象で、体の割に頭が大きい。加害するのは、古文書や本、壁紙、穀類や乾麺、マカロニ、ダンボール、畳やござなど広範囲である。
カビを食べるため防カビ対策が必要で、特に湿気がたまりやすい押入れや納戸などから発生している可能性がある。住戸では窓や扉を開けて風通しを良くし、乾燥させ、畳は日光に当てるなど除湿を行うことが大切である。
ヒラタチャタテの卵、幼虫、成虫を、
図1に示す。ライフサイクルは、卵は9~15日で孵化、幼虫は20~25日で成虫となり、成虫は約2か月生存し、羽化後2日で産卵を始める。
一般家庭以外の場所でも発生例が多く、工場や倉庫ではダンボールなどの包装資材などに付着して侵入することもある。クリーンルームにおいても、包装資材などともに入り込む可能性がある。また、微細な隙間でカビなどを餌にして生息することがある。
生育試験の前に行った製薬室の生息調査では、薬剤駆除した部屋において、天井板の継ぎ目、壁板に継ぎ目などから補足されており、天井裏や壁の隙間を通して、隣接空間から進入すると想定されるので、その部屋内からチャタテムシを駆除しただけでは、チャタテムシを薬剤などへの混入を防止することはできないと考えられる。
【0023】
2.生存試験
(1)試験仕様
(a)試験対象:ヒラタチャタテ 50頭/1シャーレ
(b)生育環境:表4における温度と湿度を恒温、恒湿に保った条件下で、14日を限度として、死滅するまで飼育した。
試験用に飼育しているヒラタチャタテは、適切な環境として温度25℃、湿度75%に設定しているのでこれを快適条件として基準に環境設定を行った。
ヒラタチャタテを入れた飼育用の腰高シャーレを温度、湿度を設定した恒温器内にいれて飼育。なお、本発明で言う「湿度」は相対湿度である。
(c)餌:乾燥酵母を添加した昆虫用飼料
(d)死滅確認条件:恒温器内のシャーレを外から観察して、90%以上死亡を死滅とする。すべてがノックダウンしたのち、快適条件下(温度25℃、湿度75%)に置き、90%以上の虫が24時間後に動いていないのを死亡と判断。
(e)試験回数:3回
【0024】
3.飼育条件と死滅時間
飼育条件と死滅した日数を表2に示す。
なお、別途45℃・60%・6時間、50℃・60%・5分で死滅することを確認している。
【0025】
【0026】
4.考察
ヒラタチャタテの生育環境を温度、湿度、時間、エサの有無でコントロールした結果、チャタテムシが死滅する条件が明らかになった。
低湿度(乾燥)の方が短期間で死滅することが確認された。
高温の方が短期間で死滅することが確認された。
それぞれの温度、湿度環境下で2~11.7日間で死滅することが確認できた。
したがって、それぞれの設定温度以上、死滅湿度以下、死滅確認日数以上をチャタテムシの防除条件とすることができる。
また、45℃・60%・6時間、50℃・60%・5分で死滅することを確認しているので、45℃、50℃では、数時間以内、数分以内の短期間の駆除処理ができる。
【0027】
表4の結果、防除条件は12とおりであり、チャタテムシを死滅させる防除条件を表5に示す。
この表2には各温湿度を維持するに必要な日数を示した欄に()として防除処理番号を表示している。それを例示すると次のようにできる。
(i)15℃以上・20%以下・10日間以上、
(ii)20℃以上・20%以下・8.3日間以上、
(iv)25℃以上・40%以下・12日間以上、
(xii)40℃以上・60%以下・7.3日以上
【0028】
【0029】
<チャタテムシの防除方法>
この飼育試験によって、駆除したい環境の温度と湿度をコントロールして、一定期間保持することにより、チャタテムシを排除することが確認できた。
駆除したい環境によって、条件を使い分けることができ、時期によって適用条件を組み合わせて用いることができる。
【0030】
<施設構造と空調システム>
本発明は、温度、湿度をコントロールする装置として、空調システムと建築施設を提案する。空調システムとして、チャタテムシの駆除条件を組む込むことによって、多様な施設に適用できる。空調システムに組み込まれたチャタテムシ駆除条件をチャタテムシ駆除モードとする。
死滅駆除を行う場合は、人間が通常生活できる30℃以下では、5.7~11.7日程度、40℃では2~7.3日以内、45℃では数時間以内、50℃では数分以内に死滅するので、短期間の駆除処理に適している。
15~30℃程度の温度条件下で生存しにくい湿度条件に環境を設定することにより、通常使用している部屋を忌避状態に保つことができる。例えば、20℃では湿度20%、25℃では湿度50%以下である。なお、本発明では、相対湿度を採用する。さらに、防除条件を組み合わせた処理を行うことができる。
空調システムは、これらの条件あるいは忌避条件に設定する。高温で死滅処理した後、15~30℃で所定の湿度に維持することにより、効率的なチャタテムシフリー環境を維持することができる。
本発明が適用できるチャタテムシの駆除対象施設は、医薬等薬剤製造施設、クリーンルーム、食品製造工場、乾燥食材保存施設、住宅等多様である。
【0031】
チャタテムシの発生を高い効率で抑えることができる構造の施設として、多重空間に構成した施設であって、各空間に気密性があって、それぞれに独立してコントロールできる空調設備を設けた施設である。
多重の空間に構成した施設例として、チャタテムシフリー施設概略構成100を
図2に示す。
【0032】
薬剤等の作業室CRの外側を包むように外周空間ORが形成されている。作業室CRと外周空間ORはそれぞれ密閉できる空間に形成されている。
そして、作業室CR用のCR空調機、外周空間OR用のOR空調機を設ける。図示では二つの空調機が示されているが、この空調機は、作業室CRと外周空間ORを別々に独立してコントロールできるのであれば、共通の空調設備を用いることができる。この空調機には、チャタテムシ防除モードを組み込む。
外周空間ORは、チャタテムシが外部から作業室CR内に侵入することを防止することと、作業室内CR内に包装資材などに付着して紛れ込んだチャタテムシが作業室CRの壁や天井から壁の外側や天井裏で増殖して作業室CR内に再侵入することを防止する空間である。
作業室CRは、医薬品等の製造室などであって、チャタテムシの混入リスクを非常に低くすることが求められる施設に適用できる。
【0033】
外周空間ORは、作業室CRが稼働中であっても、40℃以上の高温に設定することができるので、不定期あるいは2日サイクルで駆除条件を実施して、チャタテムシの発生を防止することができる。作業室CRは稼働時間を除き、適宜駆除条件を実施することができるが、段ボールなどの包装資材などに付着してチャタテムシが持ち込まれることを完全に予防することは困難である。
作業室CRでは、盆暮れなどの長期間の休止期に完全駆除を行い、通常期間は週末などに可能な駆除条件を実施する。
したがって、作業室の外側に厳しい駆除を行うことができる空間を設けて、チャタテムシの発生と外部からの侵入を防止するバリア空間を設ける。
【0034】
図2に示した燻蒸設備9は、通常設備ではなく、施設の設置当初の施設から完全にチャタテムシが排除された施設を提供補償する際、あるいは、設備更新、長期休止後に再始動する前などに、チャタテムシフリー環境を整える際に用いる設備である。
【0035】
この多重空間構成は、通常の建物では、上下は床スラブで区切られ、側部は壁(間仕切り壁を含む)で区切られた空間に設定される。この外周空間ORは、上部は天井裏空間、側部は側壁を二重して構成、下部は二重床空間を利用することができる。
部屋が連続して設けられている場合は、隣室を側部の空間として用いこともできる。
【0036】
<医薬品等の製造設備の例>
医薬品等の製造設備の例を
図3に示す。
本例は医薬品製造室に適用したチャタテムシフリー施設A101である。
この施設は、鉛直方向を床スラブ52から上階床スラブ53まで側壁32を設けて、密閉可能な区画を構成する。その内側に床51、天井31、内壁37を設けて医薬品製造室3を形成する。医薬品製造室3の周囲には空間を設けて防虫区画40を形成する。
防虫区画40は、天井裏を利用して上部防虫区画41を構成し、内壁37と側壁32の間に空間を設けて側部防虫区画42を形成する。防虫区画40は一通に設けることも可能であり、それぞれの区画に分けること、さらに、小さく区分することもできる。
空調システムは、医薬品製造室3と防虫区画40を別々にコントロールできるように構成される。空調システムには、チャタテムシ防除モードを組み込んである。
【0037】
<床―壁(巾木)部の構造>
図4に床と壁の取り合いに関する、床―壁(巾木)部の構造の例である。(a)は室内側から見た図であり、(b)は断面を示している。
【0038】
床面は、スラブの上に下地55を設け、その上に塗装されたウレタン塗装などの塗膜(層)56が形成されているので、隙間は発生しない。
壁は、石膏ボード39の上にケイカル板72を張った構成であり、下端には巾木59が設けられている。石膏ボード39の下端部に生ずる隙間には遮断シール61を施す。ケイカル板72と巾木59の突合せ部の隙間には遮断シール62を施す。
床面から巾木の表面にかけて塗膜を連続して設けて、壁―床の境界部には隙間が発生しない。連続塗膜層は、床の塗膜56、立上塗膜57、巾木塗膜58と連続している。なお、巾木上端面にも塗膜を連続して設け、この塗膜とその上にくるケイカル板の下端面との間に遮断シール62を施すこともできる。
段ボールなどに付着して持ち込まれたチャタテムシが床に落ちたとしても、床面、壁面下部には、チャタテムシが入り込む隙間はなく、生息することがない。
なお、図示の例では、側部防虫区画42が設けられており、他方の壁と床面にも同様の構成が形成されているので、側部防虫区画42内にチャタテムシが侵入することが困難であり、侵入したとしても、製造室内側に侵入することができない。
【0039】
<床―壁(出隅)部の構造>
図5に遮蔽構造を設けた出隅部構造7の例を示す。
図5(a)は、出隅部の構造を示す。石膏ボード71の表面側にケイカル板72が積層された壁材が出隅部で直角に付き合わされている。石膏ボード71aの先端側面に他方の石膏ボード71bの先端が当接している。石膏ボード突合せ部に二重構造のL型のコーナー金物73が設けられている。コーナー金物73の間に両側からケイカル板72a、72bが挿入されている。
【0040】
この出隅部7では、石膏ボード71bの先端をテーパカットして、三角形の空を作り、遮断シール63aを充填する。三角形の隙間を形成することにより、シール材をしっかり充填することができる。
コーナー金物73にシール材を詰めた状態で、ケイカル板を挿入することにより、コーナー金物73とケイカル板72a、72bとの間に遮断シール63bが形成される。あふれ出たシール剤は、ケイカル板と石膏ボードとの間にも広がって遮断シール63bが形成される。
遮断シール63aと遮断シール63bの二つのシールで形成される遮断シール63によって、出隅部の隙間が遮蔽される。
【0041】
図5(b)は、出隅部下部に形成される塗膜による出隅部シール64を示している。出隅部シール64は、床塗装64a、立上塗装64c、巾木塗装64bと連続して形成されている。
床の塗装が出隅部の両側から連続して形成されて、コーナー金物73の表面を覆うので、隙間は生じない。
この構造によって、出隅部7では、チャタテムシが侵入する隙間はなく、生息することができない。
【0042】
<床―壁(入隅)部の構造>
図6に入隅部8aの例を示す。
図6(a)は、天井31と両側の壁37、37で形成される入隅部8aの天井角部の施工状態を示す。天井角部3方に遮断シール65aが設けられている。
【0043】
図6(b)は、石膏ボードの上にケイカル板が重ねられてコーナー部で付き合わされている入隅部8bの構造が示されている。石膏ボード74aの先端側面に他方の石こうボード74bの先端が当接している。石膏ボード74aの先端をテーパカットして、突合部に三角形の隙間を作り、その隙間にシール剤を充填して遮断シール65bを形成する。
ケイカル板の突合せは、反対にケイカル板77bの先端側面にケイカル板77aの先端を当接させる。石膏ボードの当接面が連続しないようにする。ケイカル板77a、77bが当接したコーナーに遮断シール65aを施す。
石膏ボード74a、74bの突合せ部に形成した遮断シール65bとケイカル板77a、77bの突合せ部に形成した遮断シール65aによって形成された遮断シール65で入隅部8は遮蔽され、チャタテムシの侵入する隙間はなく、生息することもできない。
【0044】
<床―壁(R見切)部の構造>
図7に見切りを用いた入隅部(a)、出隅の遮蔽構成(b)の例を示す。
入隅部は、内側にアルミ製のR見切り部材73aを用いた例である。壁構造は、石膏ボードとケイカル板で構成される。石膏ボード74aと石膏ボード74bの突合せコーナーには遮断シール66bを設けている。両側のケイカル板75a、75bは、間を開けており、その間にR見切り部材73aを介在させている。R見切り部材73aとケイカル板75a、75bの端部との間に遮断シール66aを設ける。
この2つの遮断シール66a、66bで形成される遮断シール66によって、この入隅部が密閉され、チャタテムシが侵入する隙間もなく、生息することができない。
【0045】
図7(b)に示す出隅部は、アルミ製の面取り見切り74を用いた例である。壁構造は、石膏ボードとケイカル板で構成される。石膏ボード76aと石膏ボード76bは三角の空ができるように突き合わせる。三角の隙間には遮断シール67aを設けている。両側のケイカル板77a、77bの端部は、石膏ボードの端部よりも下げて設置され、面取り見切り74が三角の隙間を覆い、見切り74の辺部がケイカル板の端部に当接するように配置されている。面取り見切り74とケイカル板77a、77bの間に遮断シール67b、67bを設ける。
この2つの遮断シール67a、67bで形成される遮断シール67によって、この出隅部が密閉され、チャタテムシが侵入する隙間もなく、生息することができない。
【0046】
<建物の例>
図8に外郭をチャタテムシの一次バリア、防虫区画周囲を二次バリアとした建物8の例を示す。(a)は建物8の断面透視図、(b)は部分拡大図である。建物8は、防虫区画13(製造室)周りのみの簡略な建物を例示したものであって、大きさ、階数などこれに限るものでない。
一次バリア81を建物8の外郭83(外壁83a,屋上スラブ83b)と1F床スラブ83cで形成する。外殻を構成する部材の継ぎ目には目地シール68を施して密閉する。目地シールは、例えば、壁材同士の間に目地シール68a、2F床スラブ84と外壁83aの間に目地シール68dを施す。また、窓やドアなどの開口部の枠材との隙間も目地シールを施す。
【0047】
二次バリア82を防虫区画13の防虫区画壁37、1F床スラブ83cと2F床スラブ84で形成する。防虫区画13の室内の壁等の取り合い部は、
図3~6に例示するような構成を施す。
【0048】
防虫区画13(製造室等)は、防虫区画の壁37を上下のスラブ間に設けて、独立空間とする。壁と床の取り合い等には、密閉構造を施す。防虫区画13の壁37と外壁83aとの間に外壁側防虫区画43を設ける。防虫区画13と隣室14との間には側部防虫区画42を設ける。天井裏は上部防虫区画41とする。
上階部には空調機85a,屋上83bには室外機85bが配置され、ダクト86が空調機85a、防虫区画13などの間に通じている。
【0049】
なお、一次バリア81と二次バリア82との間を防虫区画13の外周空間として取り扱う場合もある。この場合、外壁側防虫区画43、側部防虫区画42、上部防虫区画41を独立した防虫区画とする必要はなくなる。
一次バリアである建物全体を外周の防除区画として扱って、防虫区画13との2重構造とする場合は、防除コントロールは、防虫区画13と建物全体を独立して実施可能とする。大空間を区切って使う場合も、それぞれ区画として適用することができる。
【0050】
防虫区画13とその外側の外周防虫区画40(外壁側防虫区画43、側部防虫区画42、上部防虫区画41)は、独立して制御できる空調システムとして、それぞれ防除コントロールすることができる。空調機は、個別に独立して設置することも、共通の空調機とすることもできる。なお、
図7(a)には1台の空調機が示されているが、模式的に示したものであって、1台に限らず、必要な台数を設けることができる。
【0051】
<独立空調システム例>
図9に防虫区画13と外周空間4を別々にコントロールする空調機を設けた独立空調システム102の例を示す。
この図に示す施設は、複数のクリーンルームから形成される製造エリアとして概念的に示している。その製造エリアの周囲空間(壁面空間、天井内空間)を外周防虫空間(ペストコントロールエリア)とするものである。
図示の施設構造は、床スラブ52、上階床スラブ53と、梁の下部に設けられた両側の側壁32で外周が区画されている。その内側に製造室などの防虫区画13と隣室14が設けられている。防虫区画13には内壁37を形成して、側壁32と隣室14の内壁37の間に側部防虫区画42を形成する。この防虫区画は原則として四周に形成される。天井31と上階スラブ53の間の天井裏空間は上部防虫区画41を形成する。
なお、隣室14も製造室として用いることができる。
【0052】
空調システムは、室内空調システム120と外周空調システム130を備えている。
室内空調システム120は、空調機121から防虫区画13、隣室14に設けられた供給口36に連絡する送気系配管123と、防虫区画13、隣室14に設けられた吸気口38と排気口を連絡する排気系配管124を備えている。
【0053】
外周空調システム130は、空調機122から上部防虫区画41と側部防虫区画42に送気する送気系配管133と、上部防虫区画41と側部防虫区画42から空調機122に戻すリターン系配管134を備えている。外周空調システム130は、空気を循環させることができる。
【0054】
本例では外周空調システム130と室内空調システム120を別々に空調制御することができる。双方にチャタテムシ防除空調システムを搭載することができる。
外周空調システム130は、室内13が使用中でも30℃以上の高温の防除空調を行うことができ、15℃~30℃の温度域では、防除運転を定常的に行うことによって、外周空間である上部防虫区画41と側部防虫区画42でのチャタテムシの生息を防止でき、外周空間から防虫区画13へチャタテムシが侵入することを防止できる。
室内空調システム120は、防虫区画13やその隣室14を作業や執務が行われる通常の空調とチャタテムシの防除空調を行うことができる。室温よりも高温や低温域での防除空調は、通常業務が行われない期間に実施することができる。また、室温域で防除条件の空調を行って、チャタテムシの忌避する室内環境を維持することができる。この空調システムにチャタテムシ防除制御を組み込んだ空調制御を行う。
【0055】
<共通空調システム例>
図10に防虫区画13と外周空間4を共通の空調機でコントロールする共通空調システム103の例を示す。
建物構造は、
図9に示す構造と同様である。
空調システムは、室内空調系システム141と外周空調システム142を一つの空調機140を用いてコントロールするシステムを備えている。
室内空調系システム141は、空調機140から防虫区画13、隣室14に設けられた供給口36に連絡する送気系配管143と、防虫区画13、隣室14に設けられた吸気口38と排気口を連絡する排気系配管144を備えている。
【0056】
外周空調系システム142は、空調機140から上部防虫区画41と側部防虫区画42に送気する送気系配管153と、上部防虫区画41と側部防虫区画42から空調機22に戻すリターン系配管154を備えている。外周空調系システム142は、空気を循環させることができる。
【0057】
空調機140には、防虫区画13(隣室14を含む)と外周空間4を別々に空調できる空調システムが搭載されており、それぞれの空調システムにチャタテムシの防除システムを繰り込む。
防虫区画13と外周空間4を別々にチャタテムシの防除空調を行うこともでき、防虫区画13を室内温度域でチャタテムシ忌避環境に維持することも、
図9に示す独立空調システム101と同様である。この空調システムにチャタテムシ防除制御を組み込んだ空調制御を行う。
【符号の説明】
【0058】
1 多重空間構成
11 CR(作業室)
12 OR(外周空間)
13 防虫区画
14 隣室
2 空調機
21 CR用空調機
22 OR用空調機
23 排気装置
3 薬品製造室
31 天井
32 側壁
33 床
34 ドア
35 照明設備
36 供給口
37 内壁(壁)
38 吸気口
39 石膏ボード
4 外周空間
40 防虫区画
41 上部防虫区画
42 側部防虫区画
43 外壁側防虫区画
51 床
52 床スラブ
53 上階床スラブ
54 廊下
55 下地
56 塗膜(層)
57 立上塗膜
58 巾木塗膜
59 巾木
61 遮断シール
62 遮断シール
63 遮断シール
63a 遮断シール
63b 遮断シール
64 出隅部シール
64a 床塗装
64b 巾木塗装
64c 立上塗装
65、65a、65b 遮断シール
66、66a、66b 遮断シール
67、67a、67b 遮断シール
68、68a、68b、68c、68d、68d 目地シール
7 出隅部構造
71、71a、71b 石膏ボード
72、72a、72b ケイカル板
73 コーナー金物
73a R見切り部材
74 面取り見切り
74a、74b 石膏ボード
75a、75b ケイカル板
76a、76b 石膏ボード
77a、77b ケイカル板
8 建物
8a 入隅部
81 一次バリア
82 二次バリア
83 外郭
83a 外壁
83b 屋上スラブ
83c 1F床スラブ
84 2F床スラブ
85、85a 空調機
85b 室外機
86 ダクト
9 燻蒸設備
100 チャタテムシフリー施設概略構成
101 チャタテムシフリー施設例A
102 独立空調システム
103 共通空調システム
120 室内空調システム
130 外周空調システム
121 空調機
122 空調機
123 送気系配管
124 排気系配管
133 送気系配管
134 リターン系配管
140 空調機
141 室内空調系システム
142 外周空調システム
143 送気系配管
144 排気系配管
153 送気系配管
154 リターン系配管
【手続補正書】
【提出日】2022-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも温度、湿度、期間で設定されたチャタテムシの致死する防除条件で建築施設の処理を行
うチャタテムシの防除方法
であって、
チャタテムシの防除条件が、下記の表1で設定される温度帯における、湿度以下、期日以上であることを特徴とするチャタテムシの防除方法。
【表1】
【請求項2】
建築施設が、薬剤製造施設、乾燥食品製造施設、医療施設、クリーンルーム、乾燥食品貯蔵施設、穀粒・紛貯蔵施設、住居のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のチャタテムシの防除方法。
【請求項3】
チャタテム
シ防除条件を備えた建築施設の空調システムであって、
チャタテムシの致死条件である温度、湿度、期間で設定されたチャタテムシ防除条件が
、下記の表2で設定される温度帯における、湿度以下、期日以上であることを特徴とする空調システム。
【表2】
【請求項4】
多重に空間が構成されており、各空間が気密可能な施設であって、それぞれに独立してコントロール可能な空調設備が設けられており、
少なくとも外側の空間が、チャタテムシ防除条件を備えた請求項3に記載された空調システムを備えていることを特徴とするチャタテムシフリー施設。
【請求項5】
多重空間が二重空間であることを特徴とする請求項4に記載されたチャタテムシフリー施設。
【請求項6】
薬剤製造施設、乾燥食品製造施設、医療施設、クリーンルーム、乾燥食品貯蔵施設、穀粒・紛貯蔵施設、住居のいずれかであることを特徴とする請求項4又は5に記載されたチャタテムシフリー施設。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、チャタテムシが生存することが困難な環境を解明し、その生存困難な環境を空調システムと施設構成で実現した発明である。本発明の主な構成は次のとおりである。
1.少なくとも温度、湿度、期間で設定されたチャタテムシの致死する防除条件で建築施設の処理を行
うチャタテムシの防除方法
であって、
チャタテムシの防除条件が、下記の表1で設定される温度
帯における、湿度以下、期日以上であることを特徴とするチャタテムシの防除方法。
【表1】
2.建築施設が、薬剤製造施設、乾燥食品製造施設、医療施設、クリーンルーム、乾燥食品貯蔵施設、穀粒・紛貯蔵施設、住居のいずれかであることを特徴とする
1.記載のチャタテムシの防除方法。
3.チャタテム
シ防除条件を備えた建築施設の空調システムであって、
チャタテムシの致死条件である温度、湿度、期間で設定されたチャタテムシ防除条件が
、下記の表2で設定される温度帯における、湿度以下、期日以上であることを特徴とする空調システム。
【表2】
4.多重に空間が構成されており、各空間が気密可能な施設であって、それぞれに独立してコントロール可能な空調設備が設けられており、
少なくとも外側の空間が、チャタテムシ防除条件を備えた
3.に記載された空調システムを備えていることを特徴とするチャタテムシフリー施設。
5.多重空間が二重空間であることを特徴とする
4.に記載されたチャタテムシフリー施設。
6.薬剤製造施設、乾燥食品製造施設、医療施設、クリーンルーム、乾燥食品貯蔵施設、穀粒・紛貯蔵施設、住居のいずれかであることを特徴とする
4.又は5.に記載されたチャタテムシフリー施設。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】