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特開2022-158292環境条件制御シートシャッタ及び環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158292
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】環境条件制御シートシャッタ及び環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/84 20060101AFI20221006BHJP
   E06B 9/02 20060101ALI20221006BHJP
   E05F 15/71 20150101ALI20221006BHJP
【FI】
E06B9/84 Z
E06B9/02 Z
E05F15/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063069
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】391020056
【氏名又は名称】小松電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】小松 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】堀江 好明
(72)【発明者】
【氏名】後藤 旭
(72)【発明者】
【氏名】永島 利信
(72)【発明者】
【氏名】廣江 深
【テーマコード(参考)】
2E042
2E052
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA01
2E042CB02
2E042CC01
2E042CC03
2E042CC05
2E052AA02
2E052BA05
2E052BA06
2E052BA08
2E052BA09
2E052CA06
2E052EB01
(57)【要約】
【課題】 開口部の内側空間及び外側空間を開閉可能に隔てる環境条件制御シートシャッタであって、外側空間の環境に異常がある場合に内側空間に当該異常が及ぶことを抑制できる環境条件制御シートシャッタ、及び当該環境条件制御シートシャッタの開閉制御システムを提供する。
【解決手段】 環境条件制御シートシャッタ1は、外側空間の環境条件に基づいて制御され、開口部30の内側空間である張出空間3及び外側空間である外部空間4を開状態若しくは閉状態に開閉可能に隔てる環境条件制御シートシャッタ1であって、少なくとも外部空間4の所定の環境条件を検知する環境条件検知手段9と、環境条件検知手段9が検知した環境条件が所定の判断基準を満たすと、シート体5を閉状態に制御する制御部10と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側空間の環境条件に基づいて制御され、開口部の内側空間及び前記外側空間を開状態若しくは閉状態に開閉可能に隔てる環境条件制御シートシャッタであって、
可撓性を有するシート体と、
前記開口部の上方に設けられ前記シート体を巻き取る巻取シャフトと、
前記巻取シャフトに前記シート体が巻き取られ開状態にする正回転方向に、当該巻取シャフトを回転駆動できるとともに、前記巻取シャフトから前記シート体が繰り出され閉状態にする逆回転方向に、当該巻取シャフトを回転駆動させる開閉駆動部と、
前記開口部両端に設けられシート体を昇降案内するガイドレールと、
少なくとも前記外側空間の所定の環境条件を検知する環境条件検知手段と、
前記環境条件検知手段が検知した環境条件が所定の判断基準を満たすと、前記シート体を閉状態に制御する制御部と、
を備えることを特徴とする環境条件制御シートシャッタ。
【請求項2】
前記環境条件検知手段は、内側空間の気圧を検知する内側気圧計と、外側空間の気圧を検知する外側気圧計と、を含み、
前記所定の判断基準は、前記内側空間及び前記外側空間の気圧差に基づいて判断される基準であることを特徴とする請求項1に記載の環境条件制御シートシャッタ。
【請求項3】
前記気圧差に基づいて、前記シート体が閉状態のときに、外側空間から当該シート体に加わる風圧が所定以上であるか否か判断する風圧判断手段を備え、
前記風圧判断手段は、前記風圧が所定以上であると判断すると、前記開閉駆動部が前記巻取シャフトを逆回転方向に回転駆動させて前記シート体をさらに繰り出して閉状態を維持することを特徴とする請求項2に記載の環境条件制御シートシャッタ。
【請求項4】
前記環境条件検知手段は、少なくとも前記シート体に対する向かい風の風速を検知する風速計を含み、
前記所定の判断基準は、前記風速に基づいて判断される基準であることを特徴とする請求項1に記載の環境条件制御シートシャッタ。
【請求項5】
前記風速に基づいて、前記シート体が閉状態のときに、外側空間から当該シート体に加わる風圧が所定以上であるか否か判断する風圧判断手段を備え、
前記風圧判断手段は、前記風圧が所定以上であると判断すると、前記開閉駆動部が前記巻取シャフトを逆回転方向に回転駆動させて前記シート体をさらに繰り出して閉状態を維持することを特徴とする請求項4に記載の環境条件制御シートシャッタ。
【請求項6】
前記シート体の下端と前記開口部の床面との接地圧を検知する接地圧センサを、さらに備え、
前記接地圧センサが所定の前記接地圧を検知したときに、前記巻取シャフトの逆回転方向の回転駆動を停止することを特徴とする請求項3又は請求項5に記載の環境条件制御シートシャッタ。
【請求項7】
前記環境条件は、匂い、煙、陽射し、又は温度をさらに含むことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載の環境条件制御シートシャッタ。
【請求項8】
前記制御部が前記シート体を閉状態に制御するときに、前記開口部への侵入を禁止する第一識別表示が表示されるとともに、前記制御部が前記シート体を閉状態に制御しないときに、前記開口部への侵入を許可する第二識別表示が表示される表示部を、さらに備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の環境条件制御シートシャッタ。
【請求項9】
建物の屋内空間と、当該建物に付帯して形成され周囲を囲われた張出空間と、を開状態若しくは閉状態に開閉可能に隔てる1以上の第一シートシャッタと、
前記張出空間と、当該張出空間の外側の外部空間と、を開状態若しくは閉状態に開閉可能に隔てる複数の環境条件制御シートシャッタを含む環境条件制御シートシャッタ群と、
前記外部空間の環境条件を検知する環境条件検知手段と、
を備え、
前記環境条件制御シートシャッタ群は、前記第一シートシャッタの正面側方向を向いて配置される正面側シートシャッタと、当該第一シートシャッタの側面側方向を向いて配置される側面側シートシャッタと、を含み、
前記正面側シートシャッタ及び前記側面側シートシャッタは、請求項2から請求項7のいずれかに記載の環境条件制御シートシャッタであり、
前記張出空間が前記内側空間であるとともに、前記外部空間が前記外側空間であることを特徴とする環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム。
【請求項10】
前記第一シートシャッタが閉状態のときにのみ、前記正面側シートシャッタ及び前記側面側シートシャッタが開状態に開放可能とされることを特徴とする請求項9に記載の環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム。
【請求項11】
前記張出空間は、前記建物の外壁と、前記張出空間と前記外部空間とを隔てる屋外壁とで囲まれた空間であり、
前記屋外壁は直交する2以上の壁体を備えており、
前記正面側シートシャッタ及び前記側面側シートシャッタは、少なくとも直交する2つの壁体のうち互いに異なる壁体にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの空間を開状態若しくは閉状態に開閉可能に隔てる環境条件制御シートシャッタ、及び当該環境条件制御シートシャッタの開閉制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シートシャッタは、例えば工場や倉庫などの建物の出入口に面して設置されることがある。このような屋外に面して設置されるシートシャッタは、荷役・運搬車両の出入りの際に出入口を開状態若しくは閉状態に素早く開閉させることで、屋内への外部環境の影響を極力抑えることができる。
【0003】
このようなシートシャッタの中には、例えば、強風の際にシート体が風にあおられてガイドレールから外れ、当該シート体が風にはためいて暴れるという危険な状態になることを防ぐために、所定以上の風圧を検知するとシート体を巻き上げてシートシャッタを開放する制御を行うものがある(例えば特許文献1参照)。また、別の例としては、シート体の巻取シャフトへの巻き崩れがあった場合に異常を検知して開閉機の駆動を停止する制御を行うものが提案されている(例えば特許文献2参照)。さらに、別の例としては、シート体がガイドレールから抜け出て離脱したことを検知して、シート体の巻取を制御するシートシャッタが提案されている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09‐184381号公報
【特許文献2】特開2004‐211306号公報
【特許文献3】特開2006‐266025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術はいずれもシートシャッタに異常があった場合に、当該シートシャッタを安全な状態に保持するものである。ところで、シートシャッタに異常が生じていない場合であっても、シートシャッタにより隔たれた2つの空間のうち一方の空間に異常があるような場合には、他方の空間に当該異常の影響を及ぼさないために、シートシャッタを閉状態に保ちたい場合が考えられる。
【0006】
そこで、本発明は、開口部の内側空間及び外側空間を開状態若しくは閉状態に開閉可能に隔てる環境条件制御シートシャッタであって、外側空間の環境に異常がある場合に内側空間に当該異常が及ぶことを抑制できる環境条件制御シートシャッタ、及び当該環境条件制御シートシャッタの開閉制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の環境条件制御シートシャッタは、外側空間の環境条件に基づいて制御され、開口部の内側空間及び前記外側空間を開状態若しくは閉状態に開閉可能に隔てる環境条件制御シートシャッタであって、可撓性を有するシート体と、前記開口部の上方に設けられ前記シート体を巻き取る巻取シャフトと、前記巻取シャフトに前記シート体が巻き取られ開状態にする正回転方向に、当該巻取シャフトを回転駆動できるとともに、前記巻取シャフトから前記シート体が繰り出され閉状態にする逆回転方向に、当該巻取シャフトを回転駆動させる開閉駆動部と、前記開口部両端に設けられシート体を昇降案内するガイドレールと、少なくとも前記外側空間の所定の環境条件を検知する環境条件検知手段と、前記環境条件検知手段が検知した環境条件が所定の判断基準を満たすと、前記シート体を閉状態に制御する制御部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の環境条件制御シートシャッタは、前記環境条件検知手段は、内側空間の気圧を検知する内側気圧計と、外側空間の気圧を検知する外側気圧計と、を含み、前記所定の判断基準は、前記内側空間及び前記外側空間の気圧差に基づいて判断される基準であることを特徴としている。
【0009】
本発明の環境条件制御シートシャッタは、前記気圧差に基づいて、前記シート体が閉状態のときに、外側空間から当該シート体に加わる風圧が所定以上であるか否か判断する風圧判断手段を備え、前記風圧判断手段は、前記風圧が所定以上であると判断すると、前記開閉駆動部が前記巻取シャフトを逆回転方向に回転駆動させて前記シート体をさらに繰り出して閉状態を維持することを特徴としている。
【0010】
本発明の環境条件制御シートシャッタは、前記環境条件検知手段は、少なくとも前記シート体に対する向かい風の風速を検知する風速計を含み、前記所定の判断基準は、前記風速に基づいて判断される基準であることを特徴としている。
【0011】
本発明の環境条件制御シートシャッタは、前記風速に基づいて、前記シート体が閉状態のときに、外側空間から当該シート体に加わる風圧が所定以上であるか否か判断する風圧判断手段を備え、前記風圧判断手段は、前記風圧が所定以上であると判断すると、前記開閉駆動部が前記巻取シャフトを逆回転方向に回転駆動させて前記シート体をさらに繰り出して閉状態を維持することを特徴としている。
【0012】
本発明の環境条件制御シートシャッタは、前記シート体の下端と前記開口部の床面との接地圧を検知する接地圧センサを、さらに備え、前記接地圧センサが所定の前記接地圧を検知したときに、前記巻取シャフトの逆回転方向の回転駆動を停止することを特徴としている。
【0013】
本発明の環境条件制御シートシャッタは、前記環境条件は、匂い、煙、陽射し、又は温度をさらに含むことを特徴としている。
【0014】
本発明の環境条件制御シートシャッタは、前記制御部が前記シート体を閉状態に制御するときに、前記開口部への侵入を禁止する第一識別表示が表示されるとともに、前記制御部が前記シート体を閉状態に制御しないときに、前記開口部への侵入を許可する第二識別表示が表示される表示部を、さらに備えることを特徴としている。
【0015】
本発明の環境条件制御シートシャッタの開閉制御システムは、建物の屋内空間と、当該建物に付帯して形成され周囲を囲われた張出空間と、を開状態若しくは閉状態に開閉可能に隔てる1以上の第一シートシャッタと、前記張出空間と、当該張出空間の外側の外部空間と、を開状態若しくは閉状態に開閉可能に隔てる複数の環境条件制御シートシャッタを含む環境条件制御シートシャッタ群と、前記外部空間の環境条件を検知する環境条件検知手段と、を備え、前記環境条件制御シートシャッタ群は、前記第一シートシャッタの正面側方向を向いて配置される正面側シートシャッタと、当該第一シートシャッタの側面側方向を向いて配置される側面側シートシャッタと、を含み、前記正面側シートシャッタ及び前記側面側シートシャッタは、請求項2から請求項7のいずれかに記載の環境条件制御シートシャッタであり、前記張出空間が前記内側空間であるとともに、前記外部空間が前記外側空間であることを特徴としている。
【0016】
本発明の環境条件制御シートシャッタの開閉制御システムは、前記第一シートシャッタが閉状態のときにのみ、前記正面側シートシャッタ及び前記側面側シートシャッタが開状態に開放可能とされることを特徴としている。
【0017】
本発明の環境条件制御シートシャッタの開閉制御システムは、前記張出空間は、前記建物の外壁と、前記張出空間と前記外部空間とを隔てる屋外壁とで囲まれた空間であり、前記屋外壁は直交する2以上の壁体を備えており、前記正面側シートシャッタ及び前記側面側シートシャッタは、少なくとも直交する2つの壁体のうち互いに異なる壁体にそれぞれ配置されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の環境条件制御シートシャッタによると、環境条件検知手段が検知した環境条件が所定の判断基準を充たした場合に、制御部がシート体を閉状態に制御する処理を行うので、外部空間の環境条件によって、内側空間の環境に影響が生じることを抑制することができ、内側空間の環境を適切に保つことができる。
【0019】
本発明の環境条件制御シートシャッタによると、内側空間の気圧を検知する内側気圧計と、外側空間の気圧を検知する外側気圧計と、が環境条件としての内外の空間の気圧を検知し、当該内側空間及び外側空間の気圧差が所定の判断基準を充たした場合に、制御部がシート体を閉状態に制御する処理を行うので、外側空間及び内側空間の気圧差が大きく、環境条件制御シートシャッタが開放されると内側空間に外気が吹き込んで、内側空間の環境に悪影響がある場合に、環境条件制御シートシャッタを閉状態に制御して、内側空間の環境を適切に保つことができる。
【0020】
本発明の環境条件制御シートシャッタによると、風圧判断手段は、内側空間及び外側空間の気圧差に基づいて、シート体が閉状態のときに、外側空間から当該シート体に加わる風圧が所定以上であるか否か判断するものである。そして、風圧判断手段により、シート体に加わる風圧が所定以上であると判断されると、開閉駆動部により巻取シャフトが逆回転方向に回転駆動されてシート体がさらに繰り出されるので、シート体の高さ方向の中間位置が風をはらんで膨らむことにより、シート体の下端が環境条件制御シートシャッタを設置している開口部の床面から離れるような場合であっても、さらに繰り出されたシート体によって、環境条件制御シートシャッタを閉状態に保つことができ、内側空間の環境を適切に保つことができる。
【0021】
本発明の環境条件制御シートシャッタによると、風速計により検知されたシート体に対する向かい風の風速に基づいてシート体が閉状態に制御に制御されるので、環境条件制御シートシャッタが開放されれば外気が内側空間に吹き込む場合に環境条件制御シートシャッタを閉状態に保つことができ、内側空間の環境を適切に保つことができる。
【0022】
本発明の環境条件制御シートシャッタによると、風圧判断手段は、風速に基づいて、シート体が閉状態のときに、外側空間から当該シート体に加わる風圧が所定以上であるか否か判断するものである。風圧が所定以上であると判断されると、開閉駆動部が巻取シャフトを逆回転方向に回転駆動させてシート体がさらに繰り出されるので、シート体の高さ方向の中間位置が風をはらんで膨らむことにより、シート体の下端が環境条件制御シートシャッタを設置している開口部の床面から離れるような場合であっても、さらに繰り出されたシート体によって、環境条件制御シートシャッタを閉状態に保つことができ、内側空間の環境を適切に保つことができる。
【0023】
本発明の環境条件制御シートシャッタによると、接地圧センサによって、シート体の下端と開口部の床面との所定の接地圧が検知されたときに、巻取シャフトの逆回転方向の回転駆動が停止されるので、シート体が必要以上に繰り出されることを防止することができる。
【0024】
本発明の環境条件制御シートシャッタによると、環境条件は、匂い、煙、陽射し、又は温度をさらに含むので、匂い、煙、陽射し、又は温度の外側空間の環境が内側空間の環境に悪影響を及ぼす恐れが高い場合に、シート体を閉状態に保つことができる。
【0025】
本発明の環境条件制御シートシャッタによると、シート体が閉状態に制御されるときに、表示部は、開口部への進入を禁止する第一識別表示が表示されるとともに、シート体が閉状態に制御されないときに、表示部は開口部への進入を許可する第二識別表示が表示されるので、環境条件制御シートシャッタが設けられた開口部への進入が可能か否かを目視で確認することができる。
【0026】
本発明の環境条件制御シートシャッタの開閉制御システムによると、第一シートシャッタにより、建物の屋内空間と、当該建物に付帯して形成され周囲を囲われた張出空間と、を開閉可能に隔てられる。環境条件制御シートシャッタ群により、張出空間と、張出空間の外側の外部空間と、を開状態若しくは閉状態に開閉可能に隔てられる。また、環境条件検知手段により、外部空間の環境条件は検知される。環境条件制御シートシャッタ群には、第一シートシャッタの正面側方向を向いて配置される正面側シートシャッタと、第一シートシャッタの側面側方向を向いて配置される側面側シートシャッタと、が含まれており、正面側シートシャッタ及び側面側シートシャッタは、上記のいずれかの環境条件制御シートシャッタであるので、外側空間である外部空間の環境によって内側空間である張出空間の環境が悪化することを抑制できる。特に、正面側シートシャッタ及び側面側シートシャッタがそれぞれ独立してシート体を閉状態とする必要がある外部空間の環境条件を判断することとなるので、例えばシート体に向かい風が吹いている場合には、張出空間が外部空間の環境の影響を受けやすい状態であると判断してシート体を閉状態に保持することができるとともに、正面側シートシャッタに向かい風が吹いていてシート体が閉状態の場合であっても、側面側シートシャッタには向かい風が吹いていないことでシート体を開状態若しくは閉状態に開閉可能な状態に制御することができるので、外部空間の環境条件が悪い場合でも、張出空間側に影響の少ない環境条件制御シートシャッタのみを開状態に開くことで、外部空間の環境の影響が張出空間に及ぶことを抑制できる。
【0027】
本発明の環境条件制御シートシャッタの開閉制御システムによると、屋内空間と張出空間とを隔てる第一シートシャッタが閉状態のときにのみ、張出空間と外部空間とを隔てる正面側シートシャッタ及び側面側シートシャッタが開状態に開放可能とされるので、外部空間と屋内空間とが直接つながることがなく、外部空間の環境条件が悪い場合であっても、屋内空間にその影響が及ぶことを抑制することができる。
【0028】
本発明の環境条件制御シートシャッタの開閉制御システムによると、正面側シートシャッタ及び側面側シートシャッタは、少なくとも直交する2つの壁体のうち互いに異なる壁体にそれぞれ配置されているので、外部空間の風が正面側シートシャッタに対して直交するときには、当該風は側面側シートシャッタに対して平行となり、逆に風が側面側シートシャッタに直交するときには正面側シートシャッタに対して平行となるので、外部空間が強風の場合であっても、いずれか一方の環境条件制御シートシャッタを開状態若しくは閉状態に開閉可能な状態に維持することができ、強風の際にも建物の出入口を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】建物の全体構成を示す屋根及び軒の記載を省略した斜視図。
図2】環境条件制御シートシャッタの外観構成を説明する正面図。
図3】第一実施形態の環境条件制御シートシャッタ及び開閉制御システムの機能的構成を示すブロック図。
図4】第一実施形態の環境条件に基づいて制御される環境条件制御シートシャッタの開閉制御処理を示すフローチャート。
図5】側面側シートシャッタに外部空間から向かい風のときの環境条件制御シートシャッタ及び第一シートシャッタの状態を示す張出空間周りの一部省略斜視図。
図6】正面側シートシャッタに外部空間から向かい風のときの環境条件制御シートシャッタ及び第一シートシャッタの状態を示す張出空間周りの一部省略斜視図。
図7】シート体に所定以上の風圧が加わった場合の環境条件制御シートシャッタの制御処理を示すフローチャート。
図8】シート体に所定以上の風圧が加わった場合の環境条件制御シートシャッタの状態を示す側面図。
図9】第一シートシャッタの状態に基づいて行われる環境条件制御シートシャッタの制御処理を示すフローチャート。
図10図9の処理における環境条件制御シートシャッタ及び第一シートシャッタの状態を示す張出空間周りの一部省略斜視図。
図11】第二実施形態の環境条件制御シートシャッタ及び開閉制御システムの機能的構成を示すブロック図。
図12】第二実施形態の環境条件に基づいて制御される環境条件制御シートシャッタの開閉制御処理を示すフローチャート。
図13】第三実施形態の環境条件制御シートシャッタ及び開閉制御システムの機能的構成を示すブロック図。
図14】第三実施形態の環境条件に基づいて制御される環境条件制御シートシャッタの開閉制御処理を示すフローチャート。
図15図14に示す処理における環境条件制御シートシャッタ及び第一シートシャッタの状態の一例を示す張出空間周りの一部省略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第一実施形態〕
以下、本発明に係る環境条件制御シートシャッタ1及び環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム2の第一実施形態について、図1から図10を参照しつつ説明する。本実施形態の環境条件制御シートシャッタ1は、図1に示すように、例えば工場や倉庫等の建物33に設置されるものである。環境条件制御シートシャッタ1は、内側空間及び外側空間を開状態若しくは閉状態に開閉可能に隔てるものであり、外側空間の環境の影響が内側空間に及ぶことを抑制するものである。ここで内側空間は、例えば、建物33に付帯して設けられた出荷用若しくは荷受け用の屋根付きバルコニー等の張出空間3であり、外側空間は張出空間3の外側の屋外である外部空間4である。なお、本発明における内側空間及び外側空間はこれに限定されるものではなく、建物33の屋内空間を内側空間とし、屋外を外側空間としてもよい。また、建物33の屋内空間20の常温の区画を外側空間とし、建物33の屋内空間20の冷蔵や冷凍等のより厳密な温度管理が求められる区画を内側空間としてもよい。また、建物33の屋内空間20の通常の区画を外側空間とし、より清浄な空気が求められる区画を内側空間としてもよい。すなわち、内側空間は出入口に環境条件制御シートシャッタ1が設けられる空間であり、外側空間よりもシビアな空気環境の管理が求められる空間であり、外側空間の風、匂い、煙、陽射し、又は温度などの環境条件による影響を抑制したい空間であればよい。
【0031】
まず、本実施形態の環境条件制御シートシャッタ1の構成について、図2及び図3を参照しつつ説明する。環境条件制御シートシャッタ1は、可撓性を有するシート体5と、開口部30の上方に設けられシート体5を巻き取る巻取シャフト6と、巻取シャフト6にシート体5が巻き取られ開状態にする正回転方向、及び、巻取シャフト6からシート体5を繰り出され閉状態にする逆回転方向に、巻取シャフト6を回転駆動させる開閉駆動部7と、開口部30の両側縁に沿って鉛直方向に形成されており、シート体5を昇降案内する左右一対のガイドレール8と、所定の環境条件を検知する環境条件検知手段9と、環境条件検知手段9が検知した環境条件が予め定められた所定の判断基準を満たすと、シート体5を閉状態に制御する制御部10と、開口部30への進入を禁止するか許可するかを示す情報を表示する表示部11と、を備える。
【0032】
シート体5は、可撓性及び耐候性及び必要により透光性或いは遮光性を有する合成樹脂材による長方形の幕体である。シート体5には上下に等間隔で水平な中間パイプ12が設けられて風圧を受けても気密性を保つことができるように補強されている。またシート体5の上端は、巻取シャフト6の周面に軸方向に沿って取り付けられている。シート体5の左右には図示しないガイド突起が設けられており、ガイドレール8に差し入れた状態で昇降スライド可能に係合させて収容されている。これによりシート体5は、幅方向の張りを保持しつつスムーズな昇降作動を行う。またシート体5の下端にはウェイト部を兼ねてシート体5を下方に向けて付勢する接地部13が形成されている。この接地部13は、シート体5の下端に沿って袋状に形成される袋部内に鉄パイプ等のウェイト部材を横向きに内装しており、シート体5が最下降した閉状態で、開口部30の床面31に気密性を有して接地する。
【0033】
シート体5の最下端には、接地圧センサ14が設けられている。接地圧センサ14は、シート体5が開口部30の床面31に接触したことを検知するセンサである。
【0034】
巻取シャフト6は、開口部30の上端に形成されたシートボックス15内に収納されており、軸周りに自転することで、シート体5を開状態若しくは閉状態に開閉可能にすべく巻取り及び繰り出し可能となっている。また、開閉駆動部7は、巻取シャフト6を正方向及び逆方向に回転させることができるモーターである。ガイドレール8は、断面が溝型で、開口部30の両側縁に沿って鉛直に形成されており、シート体5の左右に形成された図示しないガイド突起を摺動可能に収容している。
【0035】
環境条件検知手段9は、本実施形態においては、内側空間の気圧を検知する内側気圧計9a、及び外側空間の気圧を検知する外側気圧計9bである。内側気圧計9a及び外側気圧計9bは、環境条件制御シートシャッタ1のガイドレール8やシートボックス15の表面に取り付けられて、内側空間及び外側空間の気圧を検知するものであってもよく、または、環境条件制御シートシャッタ1から独立して配置されるものであってもよい。内側気圧計9a及び外側気圧計9bは、例えば、気圧による電極間の距離の変化を静電容量の変化として検出する静電容量式のセンサを用いた電気式気圧計、圧電素子から振動を加え、気圧の変化に伴って変化するチャンバー面の張力を共振周波数の変化として検出することで測定を行う振動式のセンサを用いた電気式気圧計などの公知の気圧計を用いることができる。
【0036】
制御部10は、環境条件制御シートシャッタ1の制御を行うコントロールボックス16内に配置される。コントロールボックス16は、制御部10と、操作部17と、通信部18とを有する。コントロールボックス16はガイドレール8の表面に固定されている。但し、必ずしもコントロールボックス16はガイドレール8の表面に固定されているものでなく場合によってはガイドレール8の側面若しくは壁体23などの屋内壁面に固定されることもある。制御部10は、開閉駆動部7に対して正回転駆動及び逆回転駆動する旨のコマンドを送信可能なプロセッサである。操作部17は、環境条件制御シートシャッタ1の操作を行う入力インターフェースである。通信部18は、内側気圧計9aや外側気圧計9bが検知した気圧を受信するとともに、建物に設けられる他のシートシャッタの状態の入力を受け付けるとともに、制御部10からのコマンドを開閉駆動部7に出力する通信インターフェースである。制御部10は、通信部18が受信した内側気圧計9a及び外側気圧計9bの気圧、他のシートシャッタの状態等の情報に基づいて環境条件制御シートシャッタ1の開閉駆動部7を制御する。
【0037】
表示部11は、開口部30の張出空間3側や外部空間4側に配置されており、シート体5が閉状態に制御されるときに、開口部30への侵入を禁止する第一識別表示が表示され、シート体5が閉状態に制御されないときに、開口部30への侵入を許可する第二識別表示が表示されるものである。具体的には例えば赤色及び緑色に選択的に発光することで、開口部30への進入を禁止または許可するものであってもよいし、例えば進入禁止または許可を表示する文字や標識で示すものであってもよい。
【0038】
環境条件制御シートシャッタ1の制御システムが設けられる建物は、屋内空間20がいくつかの室に分けられており、生産する製品や保管する製品に応じて、室内の温度や室内の清浄度が管理されている。各室の出入口には、上述した本実施形態の環境条件制御シートシャッタ1とは別のシートシャッタが設けられて、各室を区画している。建物には屋外に出入りする複数の出入口21が形成されている。当該出入口21の屋外側には、張出空間3が設けられている。張出空間3は、出荷用若しくは荷受け用のバルコニーであり、貨物運搬用のトラック等が進入可能に形成されている。張出空間3は、建物の外壁と、張出空間3と外部空間4とを隔てる屋外壁23と、に囲まれた空間であり、図示しない庇状の屋根が建物から水平に突き出して形成されて、外部空間4から隔離された空間となっている。建物の屋内空間20と張出空間3との間に形成される出入口21には、第一シートシャッタ22が配置されている。第一シートシャッタ22は本実施形態の環境条件制御シートシャッタ1とは異なるシートシャッタである。
【0039】
張出空間3と外部空間4とを隔てる屋外壁23は、建物の外壁24に平行に距離を開けて設けられる壁体23aと、当該壁体23aに直交するように当該壁体23aの両側縁と建物の外壁24との間に設けられる2つの壁体23b,23cと、により上から見てコの字状に形成されている。屋外壁23を形成する3つの壁体23a,23b,23cにはそれぞれ、外部空間4から張出空間3にトラック等が進入可能な開口部30が形成されている。開口部30にはそれぞれ環境条件制御シートシャッタ1が配置されている。環境条件制御シートシャッタ1は、建物の外壁24に形成される第一シートシャッタ22の正面側方向を向いて配置される正面側シートシャッタ1aと、第一シートシャッタ22の側面側方向を向いて配置される側面側シートシャッタ1bと、を含む。
【0040】
次に、環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム2において、主として環境条件制御シートシャッタ1の開状態若しくは閉状態への開閉作動を制御部10が実行する処理について説明する。制御部10は、図4に示すように、内側気圧計9aから張出空間3の気圧を受信し(S100)、外側気圧計9bから外部空間4の気圧を受信する(S101)。そして、内側気圧計9a及び外側気圧計9bの気圧差が所定の判断基準以上であるか否か判断する(S102)。その後、内外の気圧差が所定の判断基準以上であると判断すると(S102:Yes)、環境条件制御シートシャッタ1を開放することがない閉状態に維持して(S103)、この処理を終了する。一方、内外の気圧差が所定の判断基準に満たないと判断すると(S102:No)、環境条件制御シートシャッタ1を開閉可能な状態に維持して(S104)、この処理を終了する。具体的には、外側気圧計9bの値が内側気圧計9aの値よりも所定以上大きい場合には、環境条件制御シートシャッタ1のシート体5を開くと、外部空間4から張出空間3に向かって強風などの空気が多量に入り込み、外部空間4の環境が張出空間3に悪影響を及ぼすものとして、環境条件制御シートシャッタ1を開放しない状態に維持し、内外の気圧差が所定未満であれば、環境条件制御シートシャッタ1のシート体5を開放したとしても外部空間4の環境が張出空間3に与える影響が小さいものであるので、環境条件制御シートシャッタ1を開閉可能な状態に維持する。
【0041】
環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム2において、環境条件制御シートシャッタ1は前述のように、正面側シートシャッタ1a、及び側面側シートシャッタ1bを含むものである。また、環境条件制御シートシャッタ1の外部空間4側は、当該環境条件制御シートシャッタ1に向かって、強風の向かい風の時に気圧が高くなるので、外部空間4と張出空間3との間の気圧差が大きくなる。図5に示すように、外部空間4における風向が側面側シートシャッタ1bに向かって強風の向かい風の場合に、当該風速に従って側面側シートシャッタ1b近くの外部空間4の気圧は高くなるので、外側気圧計9bが検知する気圧が高くなり、内側気圧計9aが検知する気圧との気圧差が大きくなる。そして、気圧差が所定以上大きい場合に、側面側シートシャッタ1bを閉状態に維持するので、向かい風となっている側面側シートシャッタ1bが開放されることがなく、例えば、強い向かい風が直接入り込むなど外部空間4の環境の酷な条件が張出空間3に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0042】
このとき、正面側シートシャッタ1a近くの外部空間4には横向きに流れるように風が吹いており、外側気圧計9bの検知する気圧が高くなりにくく、内側気圧計9aが検知する気圧との気圧差が小さいので、正面側シートシャッタ1aが開状態若しくは閉状態に開閉可能な状態に維持されるので、外部空間4から張出空間3に出入り可能となり、製品の出荷や材料の納入を滞りなく行うことができる。正面側シートシャッタ1aは内外の気圧差が小さいので、シート体5が開放されたときでも外部空間4から張出空間3に入り込む強風を少なくすることができるので、外部空間4の環境が張出空間3に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0043】
なお、側面側シートシャッタ1bは、張出空間3を挟んで対向する壁体23b,23cにそれぞれ形成されており、一方の側面側シートシャッタ1bに外部空間4から強い向かい風が吹いているときには、他方の側面側シートシャッタ1bには、外部空間4に向かって離れる方向に風が吹いており、張出空間3内の気圧よりも他方の側面側シートシャッタ1b付近の外部空間4の気圧のほうが低くなり、気圧差が大きくなる。この場合に側面側シートシャッタ1bのシート体5を開放すると、張出空間3から外部空間4に向かって空気が流出することとなり、外部空間4の環境が張出空間3に影響を及ぼすことが少ないので、他方の側面側シートシャッタ1bは、開閉可能な状態に維持されることで、外部空間4から張出空間3に出入り可能となり、製品の出荷や材料の納入を滞りなく行うことができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、図4におけるステップS102において、「内側気圧計9a及び外側気圧計9bの気圧差が所定の判断基準以上である」とは、外側気圧計9bの値が内側気圧計9aの値よりも所定以上大きい場合であるが、これに限られるものではなく、内側気圧計9aの値が外側気圧計9bの値よりも所定以上大きい場合にも所定の判断基準以上と判断するものであってもよい。このように判断すれば正圧・負圧にかかわらず内外の気圧差が大きい場合に環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に保つことができるので、張出空間3の気圧が外部空間4の影響で変動することを抑制できる。
【0045】
図6に示すように、外部空間4における風向が正面側シートシャッタ1aに向かって向かい風の場合に、当該風速に従って正面側シートシャッタ1a近くの外部空間4の気圧は高くなるので、外側気圧計9bが検知する気圧が高くなり、内側気圧計9aが検知する気圧との気圧差が大きくなるが、正面側シートシャッタ1aを閉状態に維持するので、向かい風となっている正面側シートシャッタ1aが開放されることがなく、外部空間4の環境が張出空間3に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0046】
一方、正面側シートシャッタ1aが設けられた壁体23aとは直交する2つの壁体23b,23cにそれぞれ形成されている側面側シートシャッタ1b近くの外部空間4には横向きに流れるように風が吹いており、外側気圧計9bの検知する気圧が高くなりにくく、内側気圧計9aが検知する気圧との気圧差が小さいので、2つの側面側シートシャッタ1bが開状態若しくは閉状態に開閉可能な状態に維持されるので、外部空間4から張出空間3に出入り可能となり、製品の出荷や材料の納入を滞りなく行うことができる。側面側シートシャッタ1bは内外の気圧差が小さいので、シート体5が開放されたときでも外部空間4から張出空間3に入り込む空気の量を少なくすることができるので、外部空間4の環境が張出空間3に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0047】
このように、張出空間3を形成する屋外壁23のうち互いに直交する異なる壁体23a,23b,23cに正面側シートシャッタ1aと、側面側シートシャッタ1bと、が設けられていることで、外部空間4の環境が張出空間3へ悪影を及ぼす可能性が高い環境条件制御シートシャッタ1を閉鎖しつつも、他の環境条件制御シートシャッタ1を開閉可能とすることができるので、外部空間4から張出空間3への出入りを可能とし、製品の出荷や材料の納入を滞りなく行うことができる。
【0048】
図7に示すように、環境条件制御シートシャッタ1のシート体5が閉状態のときに、制御部10は、シート体5に加わる風圧は所定の風圧以上であるか否か判断する(S200)。具体的には、制御部10は、上述の処理(S100、S101)において、内側気圧計9aから受信した張出空間3の気圧、及び外側気圧計9bから受信した外部空間4の気圧に基づいて算出された内外の気圧差からシート体5に加わる風圧を算出し、当該風圧が所定の風圧以上であると判断すると(S200:Yes)、開閉駆動部7を逆回転方向に駆動させて(S201)、巻取シャフト6からシート体5を繰り出す。そして、シート体5の下端に設けられた接地圧センサ14が検知する接地圧を受信し、当該接地圧が所定以上であるか否か判断する(S202)。なお、ここで本発明における「風圧判断手段」は、接地圧センサ14及び制御部10がこれに該当する。接地圧が所定以上であると判断すると(S202:Yes)、開閉駆動部7の駆動を停止し、巻取シャフト6の回転を停止する(S203)。一方、接地圧が所定未満であると判断すると(S202:No)、開閉駆動部7の逆回転方向への駆動を維持し、巻取シャフト6からさらにシート体5を繰り出す。
【0049】
シート体5が閉状態のときに、外部空間4から当該シート体5に加わる風圧が所定以上である場合には、図8(A)に示すように、シート体5の高さ方向の中間位置が風をはらんで膨らむことにより、シート体5の下端が環境条件制御シートシャッタ1を設置している開口部30の床面31から離れる場合がある。このような外部空間4から当該シート体5に加わる風圧が所定以上である場合に、さらにシート体5を繰り出すことによって、図8(B)に示すように、環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に保つことができ、張出空間3の環境を適切に保つことができる。そして、接地圧センサ14によって、シート体5の下端と開口部30の床面31との所定の接地圧が検知されたときに、巻取シャフト6がシート体5を繰り出すことが停止されるので、シート体5が必要以上に繰り出されることが防止できる。
【0050】
また、建物の屋内空間20と張出空間3とを開閉可能に隔てている第一シートシャッタ22は、当該第一シートシャッタ22の開閉に関する情報を無線ネットワークを介して環境条件制御シートシャッタ1を含む他のシートシャッタに送信している。環境条件制御シートシャッタ1の制御部10は、通信部18が受信する第一シートシャッタ22の開閉に関する情報に基づいて、建物の屋内空間20と張出空間3とを開閉可能に隔てる第一シートシャッタ22が開放されているか否か判断し(S300)、第一シートシャッタ22が開放されていると判断した場合に(S300:Yes)、張出空間3と外部空間4とを隔てる環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に維持する(S301)。一方、第一シートシャッタ22が閉じられている場合に(S300:No)、環境条件制御シートシャッタ1を開閉可能な状態に維持する(S302)。
【0051】
このように、図10に示すように、屋内空間20と張出空間3とを隔てる第一シートシャッタ22が閉状態のときにのみ、張出空間3と外部空間4とを隔てる環境条件制御シートシャッタ1が開放可能とされるので、外部空間4と屋内空間20とが直接つながることがなく、外部空間4の環境条件が悪い場合であっても、屋内空間20にその影響が及ぶことを抑制することができる。
【0052】
環境条件制御シートシャッタ1は、図4に示すように、内外の気圧差が大きく環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に維持する場合(S103)や、図9に示すように、第一シートシャッタ22が開いている場合に、環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に維持する場合に(S301)、制御部10は、表示部11を制御して、開口部30への進入を禁止する第一識別表示を表示させる。一方、環境条件制御シートシャッタ1を開閉可能な状態に維持する場合には(S104又はS302)、制御部10は表示部11を制御して、開口部30への進入を許可する第二識別表示を表示させる。したがって、外部空間4からきたトラックの運転手などに環境条件制御シートシャッタ1が閉状態であるか、又は、開閉可能な状態であるかを簡単に示すことができる。
【0053】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態に係る環境条件制御シートシャッタ1及び当該環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム2について、図11及び図12を参照しつつ説明する。なお、第一実施形態の環境条件制御シートシャッタ1及び環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム2と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。環境条件制御シートシャッタ1は、可撓性を有するシート体5と、開口部30の上方に設けられシート体5を巻き取る巻取シャフト6と、巻取シャフト6にシート体5が巻き取られ開状態にする正回転方向、及び、巻取シャフト6からシート体5を繰り出され閉状態にする逆回転方向に巻取シャフト6を回転駆動させる開閉駆動部7と、開口部30の両側縁に沿って鉛直方向に形成されており、シート体5を昇降案内する左右一対のガイドレール8と、所定の環境条件を検知する環境条件検知手段9と、環境条件検知手段9が検知した環境条件が予め定められた所定の判断基準を満たすと、シート体5を閉状態に制御する制御部10と、開口部30への進入を禁止するか許可するかを示す情報を表示する表示部11と、を備える。
【0054】
本実施形態における環境条件検知手段9は、風速計9cである。当該風速計9cは、外部空間4からシート体5に向かって向かい風となる風向の風速を計測するものである。風速計9cは、シート体5に垂直な外部に風車を対面させたベーン式の風速計である。風速計9cはこれに限定されるものではなく、その他の公知の様々な風速計を用いることができる。
【0055】
次に、第二実施形態の環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム2において、主として環境条件制御シートシャッタ1の制御部10が実行する処理について説明する。制御部10は、図12に示すように、風速計9cから風速を受信し(S400)、当該風速が所定の判断基準以上であるか否か判断する(S401)。そして、風速が所定の判断基準以上であると判断すると(S401:Yes)、環境条件制御シートシャッタ1を開放することがない閉状態に維持して(S402)、この処理を終了する。一方、風速が所定の判断基準に満たないと判断すると(S401:No)、環境条件制御シートシャッタ1を開閉可能な状態に維持して(S403)、この処理を終了する。具体的には、風速の値が所定以上大きい場合には、環境条件制御シートシャッタ1のシート体5を開くと、外部空間4から張出空間3に向かって空気が多量に入り込み、外部空間4の環境が張出空間3に悪影響を及ぼすものとして、環境条件制御シートシャッタ1を開放しない状態に維持し、風速が所定未満であれば、環境条件制御シートシャッタ1のシート体5を開放したとしても外部空間4の環境が張出空間3に与える影響が小さいものであるので、環境条件制御シートシャッタ1を開閉可能な状態に維持する。
【0056】
環境条件制御シートシャッタ1には、正面側シートシャッタ1a、及び側面側シートシャッタ1bが含まれており、各環境条件制御シートシャッタ1の風速計9cは、それぞれの環境条件制御シートシャッタ1のシート体5に向かう風向の風速を検知するものであるので、外部空間4の風が側面側シートシャッタ1bのシート体5に対して向かい風のときには、図5に示すように、当該側面側シートシャッタ1bに設けられた風速計9cの検知する風速は速くなる。そして、風速計9cが検知する風速が所定以上速い場合に、側面側シートシャッタ1bを閉状態に維持するので、向かい風となっている側面側シートシャッタ1bが開放されることがなく、外部空間4の環境が張出空間3に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0057】
そして、側面側シートシャッタ1bに対する向かい風の風速が速い場合には、正面側シートシャッタ1a近くの外部空間4には横向きに流れるように風が吹いており、正面側シートシャッタ1aの風速計9cが検知する風速は速くならない。したがって、正面側シートシャッタ1aが開閉可能な状態に維持されるので、外部空間4から張出空間3に出入り可能となり、製品の出荷や材料の納入を滞りなく行うことができる。正面側シートシャッタ1aに対して向かい風ではないので、シート体5が開放されたときでも外部空間4から張出空間3に入り込む空気の量を少なくすることができ、外部空間4の環境が張出空間3に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0058】
なお、側面側シートシャッタ1bは、張出空間3を挟んで対向する壁体23b,23cにそれぞれ形成されており、一方の側面側シートシャッタ1bに外部空間4から向かい風が吹いているときには、他方の側面側シートシャッタ1bには、外部空間4に向かって離れる方向に風が吹いていることとなり、他方の側面側シートシャッタ1bの風速計9cが検知する風速は遅くなるので、他方の側面側シートシャッタ1bはシート体5が開閉可能な状態に維持され、外部空間4の環境が張出空間3に影響を及ぼすことを抑制しつつ、外部空間4から張出空間3に出入り可能となり、製品の出荷や材料の納入を滞りなく行うことができる。
【0059】
なお、外部空間4における風向が正面側シートシャッタ1aに向かって向かい風の場合には、正面側シートシャッタ1aを閉状態に維持するので、向かい風となっている正面側シートシャッタ1aが開放されることがなく、外部空間4の環境が張出空間3に影響を及ぼすことを抑制できる。このとき、正面側シートシャッタ1aが設けられた壁体23aとは直交する2つの壁体23b,23cにそれぞれ形成されている側面側シートシャッタ1b近くの外部空間4には横向きに流れるように風が吹いているので、当該側面側シートシャッタ1bの風速計9cの検知する風速は低く、2つの側面側シートシャッタ1bが開閉可能な状態に維持されるので、外部空間4から張出空間3に出入り可能となり、製品の出荷や材料の納入を滞りなく行うことができる。
【0060】
このように、張出空間3を形成する屋外壁23のうち互いに直交する異なる壁体23a,23b,23cに正面側シートシャッタ1aと、側面側シートシャッタ1bと、が設けられていることで、外部空間4の環境が張出空間3へ悪影を及ぼす可能性が高い環境条件制御シートシャッタ1を閉鎖しつつも、他の環境条件制御シートシャッタ1を開閉可能とすることができるので、外部空間4から張出空間3への出入りを可能とし、製品の出荷や材料の納入を滞りなく行うことができる。
【0061】
第二実施形態においても、第一実施形態と同様に、制御部10は図7の処理を行う。具体的には、環境条件制御シートシャッタ1のシート体5が閉状態のときに、シート体5に加わる風圧が所定以上の風圧であるか判断する(S200)。ここで、具体的には、制御部10は、風速計9cが検知した風速に基づいてシート体5に加わる風圧を算出し、当該風圧が所定の風圧以上であると判断すると(S200:Yes)、開閉駆動部7を逆回転方向に駆動させて(S201)、巻取シャフト6からシート体5を繰り出す。そして、シート体5の下端に設けられた接地圧センサ14が検知する接地圧を受信し、当該接地圧が所定以上であるか否か判断する(S202)。接地圧が所定以上であると判断すると(S202:Yes)、開閉駆動部7の駆動を停止し、巻取シャフト6の回転を停止する(S203)。一方、接地圧が所定未満であると判断すると(S202:No)、開閉駆動部7の逆回転方向への駆動を維持し、巻取シャフト6からさらにシート体5を繰り出す。
【0062】
このように、シート体5が閉状態のときに、外部空間4から当該シート体5に所定以上の風圧が加わることで、図8(A)に示すように、シート体5の高さ方向の中間位置が風をはらんで膨らみ、シート体5の下端が環境条件制御シートシャッタ1を設置している開口部30の床面31から離れるような場合に、さらにシート体5を繰り出すことによって、図8(B)に示すように、環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に保つことができ、内側空間の環境を適切に保つことができる。そして、接地圧センサ14によって、シート体5の下端と開口部30の床面31との所定の接地圧が検知されたときに、巻取シャフト6がシート体5を繰り出すことが停止されるので、シート体5が必要以上に繰り出されることが防止できる。
【0063】
なお、ここで、シート体5に加わる1m3あたりの風圧は、例えば2分の1×大気の密度×風速の2乗で求められるが、大気の密度を標準大気の密度(1.225kg/m3)として定数とすると、風圧は風速の2乗に比例することとなるので、風速計9cの値からシート体5をさらに繰り出す必要があるか否か判断することができる。なお、シート体5をさらに繰り出す必要が生じる「所定以上の風圧」の具体的な値は、シート体5の重さや材質、開口部30の大きさや形状等の要素によって予め定められる値である。
【0064】
第二実施形態においても、第一実施形態と同様に、建物の屋内空間20と張出空間3とを開閉可能に隔てる第一シートシャッタ22が開放されている場合には、張出空間3と外部空間4とを隔てる環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に維持し、第一シートシャッタ22が閉じている場合に、環境条件制御シートシャッタ1を開閉可能な状態に維持する処理を行う。
【0065】
また第二実施形態の環境条件制御シートシャッタ1は、第一実施形態と同様に、環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に維持する場合に、表示部11に開口部30への進入を禁止する第一識別表示を表示させ、環境条件制御シートシャッタ1を開閉可能な状態に維持する場合には、表示部11に開口部30への進入を許可する第二識別表示を表示させる処理を行う。
【0066】
〔第三実施形態〕
環境条件検知手段9は、第一実施形態に示す内側気圧計9a及び外側気圧計9b、及び第二実施形態に示す風速計9cに限定されるものではない。次に第三実施形態として、環境条件検知手段9のバリエーションを説明する。なお第三実施形態は、環境条件検知手段9及び検知された環境条件に基づいて行われる開閉制御以外の構成は、第一実施形態及び第二実施形態と同様であるので同一の符号を付して具体的な説明を省略する。
【0067】
本実施形態の環境条件制御シートシャッタ1及び当該環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム2は、可撓性を有するシート体5と、開口部30の上方に設けられシート体5を巻き取る巻取シャフト6と、巻取シャフト6にシート体5が巻き取られ開状態にする正回転方向、及び、巻取シャフト6からシート体5を繰り出され閉状態にする逆回転方向に巻取シャフト6を回転駆動させる開閉駆動部7と、開口部30の両側縁に沿って鉛直方向に形成されており、シート体5を昇降案内する左右一対のガイドレール8と、所定の環境条件を検知する環境条件検知手段9と、環境条件検知手段9が検知した環境条件が予め定められた所定の判断基準を満たすと、シート体5を閉状態に制御する制御部10と、開口部30への進入を禁止するか許可するかを示す情報を表示する表示部11と、を備える。
【0068】
本実施形態における環境条件検知手段9は、第一実施形態と同様の内側気圧計9a及び外側気圧計9bの他に、臭気センサ9d、日光センサ9e、煙センサ9f、温度計9gが含まれる。本発明の環境条件検知手段9は、外部空間4の環境条件を検知することができるものであれば、どのような検知手段であってもよい。臭気センサ9dは、空気中の特定の気体の濃度を検知するものであり、濃度を検知する気体としては、例えば、メチルメルカプタン、硫化水素、エタノール、アンモニアである。臭気センサ9dは、例えば有毒な気体や、人体の官能にそぐわない臭い、製品を劣化させる恐れがある気体の濃度を測定するものであれば上述のものに限定されるものではない。また、日光センサ9eは、可視光、紫外線、赤外線などの光の照度を検知するセンサである。日光センサ9eは、外部空間4から張出空間3内に入射する日光の照度或いは朝日や夕陽の眩しさ影響を検知するものである。また、煙センサ9fは、煙の濃度を検知するセンサであり、例えば光源から発せられた光の乱反射を観測することにより煙の存在を検知するものである。また温度計9gは、気温を検知するものである。各環境条件を検知する原理は、公知の様々な仕組みを用いることができる。
【0069】
第三実施形態における環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム2において、主として環境条件制御シートシャッタ1の制御部10が実行する処理は、図14に示すように、まず、内側気圧計9a及び外側気圧計9bの気圧差が所定の判断基準以上であるか否か判断する(S500)。そして、外側気圧計9bが検知する気圧が内側気圧計9aが検知する気圧よりも所定以上高いと判断されると(S500:Yes)、次に臭気センサ9dが検知する気体の濃度が所定以上であるか否か判断する(S501)。そして、臭気センサ9dの検知する気体の濃度が所定以上であると判断すると(S501:Yes)、環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に維持して(S502)処理を終了させる。すなわち、外部空間4の臭気濃度が所定以上であり、且つ、外部空間4の気圧が張出空間3の気圧よりも所定以上高い場合には、環境条件制御シートシャッタ1を開放すると、臭気を含む空気が張出空間3に吹き込み張出空間3内の製品に悪影響が生じうるものとして、環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に維持することができる。
【0070】
ステップS501に戻って、臭気センサ9dの検知する気体の濃度が所定未満であると判断すると(S501:No)、次に、温度計9gが検知する外部空間4の気温が所定以上であるか否か判断する(S503)。そして、外部空間4の気温が所定以上であると判断すると(S503:Yes)、環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に維持して(S502)処理を終了させる。すなわち、外部空間4の気温が所定以上であり、且つ、外部空間4の気圧が張出空間3の気圧よりも所定以上高い場合には、環境条件制御シートシャッタ1を開放すると、高温の空気が張出空間3に吹き込み張出空間3内の製品に悪影響が生じうるものとして、環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に維持することができる。
【0071】
ステップS503に戻って、外部空間4の気温が所定未満であると判断すると(S503:No)、次に、煙センサ9fが検知する煙濃度が所定判断基準以上であるか否か判断する(S504)。そして、外部空間4の煙濃度が所定以上であると判断すると(S504:Yes)、環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に維持して(S502)処理を終了させる。すなわち、外部空間4の煙濃度が所定以上であり、且つ、外部空間4の気圧が張出空間3の気圧よりも所定以上高い場合には、環境条件制御シートシャッタ1を開放すると、外部空間4から煙が張出空間3に吹き込み張出空間3内の製品に悪影響が生じうるものとして、環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に維持することができる。
【0072】
ステップS500に戻って、外側気圧計9bが検知する気圧が内側気圧計9aが検知する気圧よりも所定未満であると判断される(S500:No)、又は、ステップS504に戻って、外部空間4の煙濃度が所定未満であると判断すると(S504:No)、次に、日光センサ9eの検知する照度が所定判断基準以上であるか否か判断する(S505)。照度が所定判断基準以上であると判断すると(S505:Yes)、環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に維持して(S502)処理を終了させる。すなわち、環境条件制御シートシャッタ1を開放した場合に、外部空間4から張出空間3に入射する日光が張出空間3内の製品に悪影響が生じうるものとして、環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に維持することができる。
【0073】
一方、日光センサ9eの検知する照度が所定未満であると判断すると、環境条件制御シートシャッタ1を開閉可能な状態に維持する。すなわち、環境条件制御シートシャッタ1を開いても外部空間4の様々な環境条件が張出空間3へ悪影響を及ぼすものではないと判断して、当該環境条件制御シートシャッタ1を開閉可能に維持する。
【0074】
このように、第三実施形態の環境条件制御シートシャッタ1及び環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム2によると、外部空間4の臭気濃度、気温、煙濃度、日光の照度等の様々な環境条件と、内外の気圧差と、を組み合わせて、環境条件制御シートシャッタ1の開閉判断を行うので、外部空間4の環境条件が張出空間3に悪影響がある場合に環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に維持するとともに、悪影響が及ぼされる可能性が低い場合には、環境条件制御シートシャッタ1を開閉可能な状態に維持するので、一部の環境条件制御シートシャッタ1を閉状態に制御して外部空間4からの悪影響を排除しつつ、他の環境条件制御シートシャッタ1を開閉可能とすることができるので、外部空間4から張出空間3への出入りを可能とし、製品の出荷や材料の納入を滞りなく行うことができる。
【0075】
なお、環境条件制御シートシャッタ1のシート体5を閉状態に制御するための所定の環境条件は、第一実施形態、第二実施形態、及び第三実施形態に限定されるものではなく、外部空間4の環境が張出空間3内に悪影響を及ぼす恐れがある様々な環境条件の組み合わせを所定の環境条件として判断するものであってもよい。
【0076】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る環境条件制御シートシャッタ1及び環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム2は、例えば工場や倉庫の荷役・運搬車両の出入口、飲食店やコンビニ・ショッピングセンター等の店舗の出入口に用いられるシートシャッタ及び開閉制御システムとして好適である。
【符号の説明】
【0078】
1 環境条件制御シートシャッタ
1a 正面側シートシャッタ
1b 側面側シートシャッタ
2 環境条件制御シートシャッタの開閉制御システム
3 張出空間(内側空間)
4 外部空間(外側空間)
5 シート体
6 巻取シャフト
7 開閉駆動部
8 ガイドレール
9 環境条件検知手段
9a 内側気圧計
9b 外側気圧計
10 制御部
22 第一シートシャッタ
23 屋外壁
図1
図2
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