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  • 特開-水素水の生成方法及び生成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158297
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】水素水の生成方法及び生成装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20060101AFI20221006BHJP
   C02F 1/20 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C02F1/461 A
C02F1/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063074
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】516359045
【氏名又は名称】田村 泰章
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 稔
(72)【発明者】
【氏名】田村 泰章
【テーマコード(参考)】
4D037
4D061
【Fターム(参考)】
4D037AA02
4D037BA23
4D037CA04
4D061DA03
4D061DB08
4D061EA02
4D061EB02
4D061EB04
4D061EB07
4D061EB12
4D061EB19
4D061EB33
4D061EB37
4D061EB39
4D061GA06
4D061GA12
4D061GA15
4D061GC12
4D061GC14
(57)【要約】
【課題】水素水を高濃度な状態で保存して便利に使用できる水素水の生成方法及び水素水の生成装置を提供する。
【解決手段】水素水の生成方法は、上方を開口しているのポット2の内側に、脱着自在に配置されるマイナス電極3と、イオンの透過性があって、水の透過を阻止ないし制限する非透水槽11であって、内部にプラス電極5を配置している脱着容器4とを配置し、ポット2と脱着容器4に原水1を供給し、ポット2を密閉し、減圧して原水1を脱気し、ポット2内のマイナス電極3と、脱着容器4内のプラス電極5に通電して原水1を電気分解して、ポット2内の原水1を水素水として、脱着容器4内の原水1を酸素水とした後、脱着容器4をポット2から取り出して酸素水を除去して、ポット2内に水素水を蓄える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方を開口しているポットの内側に、
脱着自在に配置されるマイナス電極と、
イオンの透過性があって、水の透過を阻止ないし制限する非透水槽であって、
内部にプラス電極を配置している脱着容器とを配置し、
前記ポットと前記脱着容器に原水を供給し、
前記ポットを密閉し、減圧して原水を脱気し、
前記ポット内のマイナス電極と、前記脱着容器内のプラス電極に通電して原水を電気分解して、
前記ポット内の原水を水素水として、前記脱着容器内の原水を酸素水とした後、
前記脱着容器を前記ポットから取り出して酸素水を除去して、
前記ポット内に水素水を蓄えることを特徴とする水素水の生成方法。
【請求項2】
請求項1に記載する水素水の生成方法であって、
前記ポットが金属製で、マイナス電極に併用されることを特徴とする水素水の生成方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載する水素水の生成方法であって、
前記マイナス電極と前記プラス電極に、
周期を1msec以下とするパルス電圧を印加して電気分解することを特徴とする水素水の生成方法。
【請求項4】
上方が開口されたポットと、
前記ポットの内側に脱着自在に配置されるマイナス電極と、
前記ポットの内側に脱着自在に配置してなる内部にプラス電極を備える底を閉塞してなる脱着容器と、
前記ポットの上方開口部に脱着自在に連結されて、ポットの開口部を閉塞可能な密閉蓋と、
前記ポット内を減圧して脱気する減圧機構と、
前記マイナス電極と前記プラス電極に接続してなる直流電源と、
を備え、
前記脱着容器は、
イオンを透過して、水の透過を阻止ないし制限する非通水性の容器で、
前記減圧機構が前記ポットと前記脱着容器内の原水を減圧して脱気し、
前記直流電源に通電される前記マイナス電極が、
前記ポットの原水を水素水とすることを特徴とする水素水の生成装置。
【請求項5】
請求項4に記載する水素水の生成装置であって、
前記ポットが金属製で、マイナス電極に併用されることを特徴とする水素水の生成装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載する水素水の生成装置であって、
前記直流電源が、
周期を1msec以下とするパルス電圧を電極に印加することを特徴とする水素水の生成装置。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれかに記載する水素水の生成装置であって、
前記脱着容器が、
通水性があって前記ポット内で所定の形状を保持する容器本体と、
前記容器本体の内面に積層されてなる微多孔膜とからなり、
前記微多孔膜が、
濾紙と、逆浸透膜と、半透膜のいずれかであることを特徴とする水素水の生成装置。
【請求項8】
請求項4ないし7のいずれかに記載する水素水の生成装置であって、
前記密閉蓋が、前記減圧機構に連結されてなる貫通穴を有し、
前記貫通穴に逆止弁が連結されてなり、
前記逆止弁が、
前記ポットから減圧機構に向かって空気を通過して、
逆方向には空気を通過させない方向に接続されてなることを特徴とする水素水の生成装置。
【請求項9】
請求項8に記載する水素水の生成装置であって、
前記逆止弁が、
強制的に逆方向に空気を通過させる開弁機構を有することを特徴とする水素水の生成装置。
【請求項10】
請求項4ないし9のいずれかに記載する水素水の生成装置であって、
前記直流電源が、
電極を介して原水に流す電気分解の電流を設定電流に制御する定電流回路を備えることを特徴とする水素水の生成装置。
【請求項11】
請求項4ないし10のいずれかに記載する水素水の生成装置であって、
前記直流電源が、
原水の電気分解時間が設定時間になると、
前記電極電流を遮断するタイマを備えることを特徴とする水素水の生成装置。
【請求項12】
請求項4ないし11のいずれかに記載する水素水の生成装置であって、
前記直流電源が、
電極電流の積算値が所定の電気量となることを検出して電極の電流を遮断する電流遮断回路を備えなることを特徴とする水素水の生成装置。
【請求項13】
請求項12に記載する水素水の生成装置であって、
前記電流遮断回路が、
前記電極に流れる電流を検出する電流検出器と、
前記電流検出器で検出する電流値を積算する演算回路と、
前記演算回路で演算された電流の積算値を、
あらかじめ記憶している設定値に比較して、
演算した設定値が設定値になると電流を遮断する遮断回路とを備えてなることを特徴とする水素水の生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱気して水素濃度を高くする水素水の生成方法及び生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水を脱気して電気分解することで水素濃度の高い水素水を生成する装置は開発されている(特許文献1)。特許文献1は、図3に示すように、水素水の生成装置を以下の構造として記載している。電解水素水生成ポット901は、ポット本体902内の水槽部903と、原水1を電気分解するためにポット本体902内に対向して配設したプラス電極904aとマイナス電極904bよりなる電解処理部904と、原水1に超音波振動を付与する超音波振動処理部905とで構成して、水槽部903内に円筒や角筒など筒状の縦型仕切り筒体906を収納し、その下部には隔膜907を張設し隔膜907を間に挟んで隔膜907の外側、すなわち、縦型仕切り筒体906の外側にはマイナス電極904bを、隔膜907の内側、すなわち、縦型仕切り筒体906の内側にはプラス電極904aをそれぞれ原水1に浸漬された状態で立設している。電装部908の電源部908a及び制御部908bを介して直流電流がプラス電極904aとマイナス電極904bの各電極板に給電されている。しかも、ポット本体902のアルカリ水領域の底部には超音波振動子905aを配置しており、制御部908bから超音波振動子駆動回路905bに通電して水槽部903の原水1に超音波振動を付与するようにしている。
【0003】
図3の水素水の生成装置は、ポット内に水素水と酸素水の両方が充填された状態となるので、水素水のみを使用する用途には便利に利用できない。また、このポットは、水素水と酸素水を隔膜で分離して保存するので、この隔膜に水素水と酸素水の通過しない逆浸透膜や半透膜などの極めて微細な空隙の高価な膜を使用する必要があって製造コストが高くなる欠点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-001069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、水素水を高濃度な状態で保存して便利に使用できる水素水の生成方法及び水素水の生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明の一実施態様の水素水の生成方法は、上方を開口しているポットの内側に、脱着自在に配置されるマイナス電極と、イオンの透過性があって、水の透過を阻止ないし制限する非透水槽であって、内部にプラス電極を配置している脱着容器とを配置し、ポットと脱着容器に原水を供給し、ポットを密閉し、減圧して原水を脱気し、ポット内のマイナス電極と、脱着容器内のプラス電極に通電して原水を電気分解して、ポット内の原水を水素水として、脱着容器内の原水を酸素水とした後、脱着容器をポットから取り出して酸素水を除去して、ポット内に水素水を蓄える。
【0007】
以上の水素水の生成方法によれば、原水のポット内にマイナス電極を配置すると共に、さらに、ポットの内部には、プラス電極を配置する脱着容器をセットし、ポット内の原水を脱気して電気分解して、マイナス電極でポット内の原水を水素水として、脱着容器内の原水を酸素水とし、脱着容器をポットから取り外してポットから酸素水を除去して全体を水素水として便利に使用できる。また、ポット内にマイナス電極を配置することで、マイナス電極を広い面積として、マイナス電極の電流密度を低くして水素を微細な気泡の状態で原水に速やかに溶解できる。マイナス電極の表面にできる水素ガスの気泡が大きくなると、原水との接触面積が小さくなり、さらに、速やかに原水中を浮上して、原水に効率よく溶解できない。
【0008】
さらに、以上の水素水の生成方法は、ポット内のマイナス電極が脱着可能で、かつ、脱着容器をポットから取り出して使用するので、マイナス電極を簡単かつ容易に、しかも電気分解して表面に析出する異物を確実に除去できる特長もある。大面積のマイナス電極は、単位面積における異物の付着量が少なく、また、内面に邪魔物がないので簡単に綺麗に析出物を除去できる。電極表面に付着する析出物は、マイナス電極と原水との導電性を低下させて水素の発生を抑制するが、表面を綺麗に保持できるポット内面は、析出物による表面の導電性の低下が少なく、ポットの内のマイナス電極に効率よく水素を発生して、速やかに高濃度の水素水を生成できる。
【0009】
本発明の他の実施態様の水素水の生成方法は、ポットが金属製で、マイナス電極に併用される。
【0010】
以上の水素水の生成方法によれば、原水のポットを金属製としてマイナス電極に使用し、さらに、ポットの内部には、プラス電極を配置する脱着容器をセットし、ポット内の原水を脱気して電気分解して、マイナス電極でポット内の原水を水素水として、脱着容器内の原水を酸素水とし、脱着容器をポットから取り外してポットから酸素水を除去して全体を水素水として便利に使用できる。また、ポットを金属製のマイナス電極に併用するので、マイナス電極を広い面積として、マイナス電極の電流密度を低くして水素を微細な気泡の状態で原水に速やかに溶解できる。マイナス電極の表面にできる水素ガスの気泡が大きくなると、原水との接触面積が小さくなり、さらに、速やかに原水中を浮上して、原水に効率よく溶解できない。
【0011】
さらに、以上の水素水の生成方法は、ポットをマイナス電極として、脱着容器をポットから取り出して使用するので、マイナス電極であるポットの内面を簡単かつ容易に、しかも電気分解して表面に析出する異物を確実に除去できる特長もある。大面積のマイナス電極は、単位面積における異物の付着量が少なく、また、内面に邪魔物がないので簡単に綺麗に析出物を除去できる。電極表面に付着する析出物は、マイナス電極と原水との導電性を低下させて水素の発生を抑制するが、表面を綺麗に保持できるポット内面は、析出物による表面の導電性の低下が少なく、ポットの内側に効率よく水素を発生して、速やかに高濃度の水素水を生成できる。
【0012】
本発明の他の実施態様の水素水の生成方法は、マイナス電極とプラス電極に、周期を1msec以下とするパルス電圧を印加して電気分解する。
【0013】
以上の水素水の生成方法は、マイナス電極にパルス電圧を印加して水素ガスを発生させるので、電極表面に発生した水素ガスが連続的に成長して大粒の気泡となることがない。電極表面には、パルス電圧が印加された瞬間に水素ガスを発生して、大きく成長しないので、気泡は大きく成長することなく、電極表面から分離する確率が高くなり、電極表面から原水中に分離する供給の平均粒径を小さくして、原水との溶解を速やかにできる。
【0014】
本発明の一実施態様の水素水の生成装置は、上方が開口されたポットと、ポットの内側に脱着自在に配置されるマイナス電極と、ポットの内側に脱着自在に配置してなる内部にプラス電極を備える底を閉塞してなる脱着容器と、ポットの上方開口部に脱着自在に連結されて、ポットの開口部を閉塞可能な密閉蓋と、ポット内を減圧して脱気する減圧機構と、マイナス電極とプラス電極に接続してなる直流電源とを備えている。脱着容器は、イオンを透過して、水の透過を阻止ないし制限する非通水性の容器で、減圧機構がポットと脱着容器内の原水を減圧して脱気し、直流電源に通電されるマイナス電極が、ポットの原水を水素水とする。
【0015】
以上の構成の水素水の生成装置によれば、ポット内にマイナス電極を配置すると共に、ポットの内側に、内部にプラス電極を備える脱着容器を脱着自在に配置し、開口部が密閉蓋で閉塞されたポット内を減圧機構で減圧して脱気して、マイナス電極とプラス電極に直流電源から通電して電気分解してマイナス電極でポット内の原水を水素水とするので、酸性水が生成された脱着容器をポットから取り外してポットから酸素水を除去して全体を水素水として便利に使用できる。また、ポット内にマイナス電極を配置することで、マイナス電極を広い面積として、マイナス電極の電流密度を低くして水素を微細な気泡の状態で原水に速やかに溶解できる。
【0016】
さらに、以上の水素水の生成装置は、ポット内のマイナス電極が脱着可能で、かつ、脱着容器をポットから取り出して使用するので、マイナス電極を簡単かつ容易に、しかも電気分解して表面に析出する異物を確実に除去できる特長もある。面積の広いマイナス電極は、単位面積における異物の付着量が少なく、また、内面に邪魔物がないので簡単に綺麗に析出物を除去できる。電極表面に付着する析出物は、マイナス電極と原水との導電性を低下して水素の発生を抑制するが、表面を綺麗に保持できるポット内面は、析出物による表面の導電性の低下が少なく、ポットの内のマイナス電極に効率よく水素を発生して、速やかに高濃度の水素水を生成できる。
【0017】
本発明の他の実施態様の水素水の生成装置は、ポットが金属製で、マイナス電極に併用される。
【0018】
以上の構成の水素水の生成装置によれば、マイナス電極に併用される金属製のポットの内側に、内部にプラス電極を備える脱着容器を脱着自在に配置し、開口部が密閉蓋で閉塞されたポット内を減圧機構で減圧して脱気して、マイナス電極とプラス電極に直流電源から通電して電気分解してマイナス電極でポット内の原水を水素水とするので、酸性水が生成された脱着容器をポットから取り外してポットから酸素水を除去して全体を水素水として便利に使用できる。また、ポットを金属製のマイナス電極に併用するので、マイナス電極を広い面積として、マイナス電極の電流密度を低くして水素を微細な気泡の状態で原水に速やかに溶解できる。
【0019】
さらに、以上の水素水の生成装置は、ポットをマイナス電極として、脱着容器をポットから取り出して使用するので、マイナス電極であるポットの内面を簡単かつ容易に、しかも電気分解して表面に析出する異物を確実に除去できる特長もある。面積の広いマイナス電極は、単位面積における異物の付着量が少なく、また、内面に邪魔物がないので簡単に綺麗に析出物を除去できる。電極表面に付着する析出物は、マイナス電極と原水との導電性を低下して水素の発生を抑制するが、表面を綺麗に保持できるポット内面は、析出物による表面の導電性の低下が少なく、ポットの内側に効率よく水素を発生して、速やかに高濃度の水素水を生成できる。
【0020】
本発明の他の実施態様の水素水の生成装置は、直流電源が、周期を1msec以下とするパルス電圧を電極に印加する。
【0021】
かかる構成によれば、マイナス電極にパルス電圧を印加して水素ガスを発生させるので、電極表面に発生した水素ガスが連続的に成長して大粒の気泡となることがない。電極表面には、パルス電圧が印加された瞬間に水素ガスを発生して、大きく成長しないので、気泡は大きく成長することなく、電極表面から分離する確率が高くなり、電極表面から原水中に分離する供給の平均粒径を小さくして、原水との溶解を速やかにできる。
【0022】
本発明の他の実施態様の水素水の生成装置は、マイナス電極を超音波振動させる周期が、電極のパルス電圧の周期よりも短い。
【0023】
かかる構成によれば、電極表面に発生した水素ガスを連続的に大粒の気泡に成長させることなく、水素ガスの成長を停止して微細な気泡の状態で、電極表面を超音波振動させて原水中に強制的に分離する。このため、電極表面で気泡を成長させることなく、微細な気泡の状態で速やかに原水中に分離して、原水に極めて速やかに溶解して、高濃度な水素水にできる特長がある。
【0024】
本発明の他の実施態様の水素水の生成装置は、脱着容器が、通水性があってポット内で所定の形状を保持する容器本体と、容器本体の内面に積層されてなる微多孔膜とからなり、微多孔膜が、濾紙と、逆浸透膜と、半透膜のいずれかである。
【0025】
かかる構成によれば、脱着容器を、通水性があって所定の形状に保持される容器本体と、容器本体の内面に積層されてなる微多孔膜とで構成し、微多孔膜を、濾紙と、逆浸透膜と、半透膜のいずれかとするので、イオンの透過性を実現しながら、脱着容器をポットから取り出すタイミングでは、内部に生成された酸素水がポットに漏れるのを有効に防止して、ポット内の水素水の濃度低下を少なくできる。
【0026】
本発明の他の実施態様の水素水の生成装置は、密閉蓋が、減圧機構に連結されてなる貫通穴を有し、貫通穴に逆止弁が連結されてなり、逆止弁が、ポットから減圧機構に向かって空気を通過して、逆方向には空気を通過させない方向に接続されてなる。
【0027】
かかる構成によれば、ポットを密閉する状態で効率的に減圧して、原水に溶解している、酸素、窒素、炭酸ガスなどを除去して脱気できる。
【0028】
本発明の他の実施態様の水素水の生成装置は、逆止弁が、強制的に逆方向に空気を通過させる開弁機構を有する。
【0029】
かかる構成によれば、定期的に強制的に逆方向に空気を通すことで、電極表面から剥がれた析出物やゴミなど逆止弁の詰まりを予防できる。
【0030】
本発明の他の実施態様の水素水の生成装置は、直流電源が、電極を介して原水に流す電気分解の電流を設定電流に制御する定電流回路を備える。
【0031】
かかる構成によれば、原水の導電率が変化して、電極間の電気抵抗が変化しても、マイナス電極とプラス電極に流れる電流を一定の電流となるように、電極間の電圧を制御できる。このため、導電率の低い原水を電気分解する時は、電極間の電圧を高くして電流を設定値に上昇し、導電率の高い原水を電気分解する時は、電極間の電圧を低下して電極間の電流を設定値に制御する。定電流回路を備える直流電源は、導電率が異なる原水を、一定の時間電気分解して水素濃度を設定値にできるので、すべのユーザーが水素水の濃度を好ましい濃度として便利に使用できる。
【0032】
本発明の他の実施態様の水素水の生成装置は、直流電源が、原水の電気分解時間が設定時間になると、電極電流を遮断するタイマを備える。
【0033】
かかる構成によれば、原水を電気分解して水素濃度が設定値となる時間にタイマを設定することで、所定の水素濃度の水素水を生成できる。タイマが電流を遮断する時間は、ポットに供給される原水量と、発生する水素量及び発生水素の原水への溶解度と、水素水の要求される水素濃度から電流の積算値を演算し、電流の積算値と電極電流から電気分解の時間を演算して特定される。
【0034】
本発明の他の実施態様の水素水の生成装置は、直流電源が、電極電流の積算値が所定の電気量となることを検出して電極の電流を遮断する電流遮断回路を備えている。
【0035】
かかる構成によれば、電気分解時に電極に流す電気量を、導電率が異なる原水であっても、ポット内に生成する水素水の水素濃度を設定値にできる。電気分解してポット内の原水に発生する水素量は電気分解の電流の積分値、すなわち電気量に比例する。例えば、定電流回路を備える直流電源は、導電率が異なる原水を、一定の時間電気分解して水素濃度を設定値にできるので、すべのユーザーが水素水の濃度を好ましい濃度として便利に使用できる。定電流回路は、原水の導電率が変化して、電極間の電気抵抗が変化しても、マイナス電極とプラス電極に流れる電流を一定の電流となるように、電極間の電圧を制御できる。
【0036】
本発明の他の実施態様の水素水の生成装置は、電流遮断回路が、電極に流れる電流を検出する電流検出器と、電流検出器で検出する電流値を積算する演算回路と、演算回路で演算された電流の積算値を、あらかじめ記憶している設定値に比較して、演算した設定値が設定値になると電流を遮断する遮断回路とを備えている。
【0037】
かかる構成によれば、電源回路に定電流回路を設けることなく、ポット内の水素水を所定の水素濃度とすることができる。電源回路に定電流回路を設けない直流電源は、電極電流が原水の導電率で変化するので、電極に流れる電流値を電流検出器で検出し、演算回路で演算し、演算回路で演算された電流の積算値を、あらかじめ記憶している設定値に比較して、演算した設定値が設定値になると電流遮断回路を制御して電流を遮断する。この直流電源は、電極電流を検出し、検出する電流値を積算して電気分解時の電気量を検出するので、電極電流を一定の電流とすることなく、原水を電気分解する状態で流す電気量、すなわち水素発生量を検出して、電極電流を遮断するので、電極電流を一定にコントロールすることなく、導電率が異なる原水に通電してポット内の原水を所定の水素濃度の水素水とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、実施形態1に係る水素水の生成装置を示す概略構成図である。
図2図2は、実施形態2に係る水素水の生成装置を示す概略構成図である。
図3図3は、従来の水素水の生成装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0040】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る水素水の生成方法に使用する生成装置の概略構成図である。本発明の水素水の生成方法は、図1の水素水の生成装置100を使用して、以下の工程で原水1を水素水とする。上方を開口しているポット2の内側に、脱着自在に配置されるマイナス電極3と、イオンの透過性があって、水の透過を阻止ないし制限する非透水槽11の内部にプラス電極5を配置している脱着容器4を配置して、ポット2と脱着容器4に原水1を供給する。この状態でポット2を密閉し、減圧して原水1を脱気して、原水1に含まれる酸素、窒素、炭酸ガスなどの溶融ガスを除去した後、ポット2内のマイナス電極3と、脱着容器4の内のプラス電極5に通電して原水1を電気分解する。電気分解されてポット2内の原水1を水素水、脱着容器4内の原水1を酸素水とする。その後、脱着容器4をポット2より取り出してポット2から酸素水を除去して全体を水素水とする。
【0041】
以上の生成方法は、ポット2とは別に、脱着自在なマイナス電極3をポット2内に配置し、脱気した原水1を電気分解してポット2内の原水1を水素水とする。原水1は、電気分解されて水素水のみでなく酸素水も発生するが、酸素水をポット2内でなくて脱着容器4内に生成させて、脱着容器4をポット2から取り出してポット2から除去できる。したがって、ポット2内には水素水のみが充填された状態となる。脱着容器4はポット2の内部に配置されて、酸素水を生成させるが、脱着容器4はポット2内容積の1/2~1/10程度にできるので、脱着容器4で酸素水を除去して、原水1の50%ないし90%を水素水に処理できる。脱着容器4を小さくできるのは、電気分解して発生する水素の体積が酸素の体積の2倍と大きいので、水素水と酸素水のガス濃度を同じとして、脱着容器4の内容積をポット2の1/2にでき、さらに、水素水と酸素水の濃度を均等にすることなく、脱着容器4の酸素水濃度を水素水濃度よりも高くすることもできるからである。したがって、以上の方法は、原水1のほとんどを水素水に変換して便利に有効利用できる。とくに、ポット2内に水素水のみを充填する状態で保存して使用できるので、種々の用途で極めて便利に使用できると共に、経時的にポット2内で生成される水素水が、脱着容器4内で生成される酸素水で希釈されず、水素濃度を高い状態に維持して有効利用できる。
【0042】
[実施形態2]
図2は、実施形態2に係る水素水の生成方法に使用する生成装置の概略構成図である。本発明の水素水の生成方法は、図2の水素水の生成装置200を使用して、以下の工程で原水1を水素水とする。上方を開口しており金属製で、マイナス電極3に併用されるポット2の内側に、イオンの透過性があって、水の透過を阻止ないし制限する非透水槽11の内部にプラス電極5を配置している脱着容器4を配置して、ポット2と脱着容器4に原水1を供給する。この状態でポット2を密閉し、減圧して原水1を脱気して、原水1に含まれる酸素、窒素、炭酸ガスなどの溶融ガスを除去した後、ポット2のマイナス電極3と、脱着容器4の内のプラス電極5に通電して原水1を電気分解する。電気分解されてポット2内の原水1を水素水、脱着容器4内の原水1を酸素水とする。その後、脱着容器4をポット2より取り出してポット2から酸素水を除去して全体を水素水とする。
【0043】
以上の生成方法は、金属製のポット2をマイナス電極3に併用して、脱気した原水1を電気分解してポット2内の原水1を水素水とする。原水1は、電気分解されて水素水のみでなく酸素水も発生するが、酸素水をポット2内でなくて脱着容器4内に生成させて、脱着容器4をポット2から取り出してポット2から除去できる。したがって、ポット2内には水素水のみが充填された状態となる。上記と同様に、脱着容器4はポット2の内部に配置されて、酸素水を生成させるが、脱着容器4はポット2内容積の1/2~1/10程度にできるので、脱着容器4で酸素水を除去して、原水1の50%ないし90%を水素水に処理できる。脱着容器4を小さくできるのは、電気分解して発生する水素の体積が酸素の体積の2倍と大きいので、水素水と酸素水のガス濃度を同じとして、脱着容器4の内容積をポット2の1/2にでき、さらに、水素水と酸素水の濃度を均等にすることなく、脱着容器4の酸素水濃度を水素水濃度よりも高くすることもできるからである。したがって、以上の方法は、原水1のほとんどを水素水に変換して便利に有効利用できる。とくに、ポット2内に水素水のみを充填する状態で保存して使用できるので、種々の用途で極めて便利に使用できると共に、経時的にポット2内で生成される水素水が、脱着容器4内で生成される酸素水で希釈されず、水素濃度を高い状態に維持して有効利用できる。
【0044】
図1のように、ポット2の内にマイナス電極3が配置されることで、マイナス電極3の電極面積を大面積にできる。さらに、図2のように、原水1のポット2を金属製としてマイナス電極3に併用することで、マイナス電極3の電極面積を相当に大面積にできる。大面積のマイナス電極3は、単位時間に単位面積に発生する水素ガス量を少なくできる。このことは、マイナス電極3表面で発生する水素ガスを微細な気泡とすることに効果がある。水素ガスを微細な気泡の状態で電極表面から分離することは、水素ガスを効率よく原水に溶解して、速やかに原水の水素濃度を向上することに効果がある。
【0045】
さらに、最高濃度の水素水においても、水素濃度は約1.6ppm(25℃)と小さい。電気分解で発生する水素量は、クーロンの法則に従って計算でき、2×96500クーロンの電気量で、1グラム当量、すなわち22.4リットル、2gの水素が発生する。電気分解で発生する水素が全ての原水に溶解されるとすると、たとえば、2リットルの原水は、約300ミリクーロンの電気量で水素濃度を1.6ppmにできる。300ミリクーロンの電気量は、150μAを2000秒流して実現できるので、マイナス電極とプラス電極に150μAの電流を2000秒流して最大濃度の水素水にできる。ただ、発生する水素は全ての原水に溶解されないので、発生水素の溶解率を考慮して、電極に流す電気量を調整する。たとえば、発生する水素を極めて微細な気泡として原水に拡散して、発生水素の50%を原水に溶解できる装置は、600ミリクーロンの電気量で、2リットルの原水の水素濃度を最大値にできるので、電極に150μAの電流を4000秒(約70分足らず)流して、水素水の酸素濃度を最大濃度にでき、さらに、発生水素の10%を原水に溶解できる装置においても、3000ミリクーロンの電気量で、2リットルの原水の水素濃度を最大値にできるので、電極に300μAの電流を10000秒(約3時間)流して、水素水の酸素濃度を最大濃度にできる。
【0046】
以上の水素水の生成方法は、電極面積を相当に大きくできるマイナス電極3で、電極の電流密度を小さくして、効率よく微細な気泡の水素ガスを発生して、原水1の水素濃度を速やかに向上でき、さらに、水素水を生成した後は、酸素水を除去してポット2内を水素水のみとして保存するので、時間が経過して水素濃度が低下するのを抑制して、高濃度な水素水として有効利用できる特徴がある。
【0047】
原水1を電気分解して水素水を生成する方法は、電極表面に異物が堆積するのを原理的に解消できない。マイナス電極3に、プラスイオンの金属イオンが吸着されるからである。原水1となる水道水には、カルシウムやマグネシウムなどの金属イオンが含まれ、地下水には鉄イオンなどの含まれるが、これ等の金属イオンは、電気分解でマイナス電極3の表面に析出する。以上の水素水の生成方法は、図1ではポット2の内にマイナス電極3が配置されることで、図2ではポット2を金属製としてマイナス電極3に併用されることで、電極面積の大きいマイナス電極3に電気分解するので、電極表面に析出する析出物は、大面積のマイナス電極3に拡散して析出させることができ、使用後に簡単に払拭などの方法で除去でき、常に電極表面を綺麗な状態、すなわち原水1との導電性に優れた状態に維持して、効率よく水素水を生成できる特徴も実現する。さらに、図1ではマイナス電極3及び脱着容器4のいずれもが脱着自在であり、図2ではポットが金属製でマイナス電極に併用されると共に、脱着容器4が脱着自在である。いずれの場合も、ポット2の内側に脱着自在に配置される脱着容器4はポット2から取り出すことが可能で、障害物もなく容易に電極表面の析出物を払拭などの方法で除去できる。
【0048】
水素水の生成方法は、マイナス電極3とプラス電極5に、周期を1msec以下とするパルス電圧を印加できる。すなわちマイナス電極3にパルス電圧を印加して水素ガスを発生させることで、電極表面に発生した水素ガスを連続的に成長させて大粒の気泡とすることなく、パルス電圧が印加された瞬間に電極表面に水素ガスを発生させるが、この時間が短いので大きく成長することなく、速やかに電極表面から分離して微細な気泡となる。したがって、原水1中に分離する気泡の平均粒径を小さくして、原水1との溶解を速やかにできる特長がある。
【0049】
水素水の生成方法は、減圧して脱気した後に、ポット上部における原水1と密閉蓋9との間の気層をなくし密閉加圧状態にして電気分解することもできる。減圧脱気後にさらに加圧状態下で、脱気後の原水1に水素を溶解させることで、水素ガス溶解濃度を極めて高くできる。加圧の方法は、図示しないが、例えば、回転ねじで底上げして気層を絞り出す方法、シリンジ上の底上げ方式でばねエアーを利用する方法(脱気用の真空ポンプ12を使用できる)などが挙げられるが、これらの方法に限定されるものではなく、所定の加圧状態にできる他の全ての方法を採用できる。予めポット2の上部の気層を少なくするために、ポット2の上部中心方向に向かって窄む緩やかな円錐状にすることもできる。
【0050】
電気分解されてポット2内の原水1を水素水、脱着容器4内の原水1を酸素水とする。その後、脱着容器4をポット2より取り出してポット2から酸素水を除去して全体を水素水として利用できる。
(水素水の生成装置100、200)
【0051】
図1に示す水素水の生成装置100は、上端を開口したポット2と、ポットの内側に脱着自在に配置されるマイナス電極3と、ポット2の内側に脱着自在に配置して、内部にはプラス電極5を設けている脱着容器4と、ポット2の上方の開口部2aに脱着自在に連結されて、ポット2の開口部2aを閉塞できるように密閉する密閉蓋9と、ポット2を密閉する状態で減圧して原水1に溶解している、酸素、窒素、炭酸ガスなどのガスを除去して脱気する減圧機構18と、マイナス電極3とプラス電極5に接続している直流電源21とを備える。
【0052】
図2に示す水素水の生成装置200は、上端を開口してマイナス電極3に併用している金属製のポット2と、ポット2の内側に脱着自在に配置して、内部にはプラス電極5を設けている脱着容器4と、ポット2の上方の開口部2aに脱着自在に連結されて、ポット2の開口部2aを閉塞できるように密閉する密閉蓋9と、ポット2を密閉する状態で減圧して原水1に溶解している、酸素、窒素、炭酸ガスなどのガスを除去して脱気する減圧機構18と、マイナス電極3とプラス電極5に接続している直流電源21とを備える。
【0053】
(ポット2)
ポット2は、図2のようにマイナス電極3に併用する場合、アルミニウムやステンレス製の金属板で底を閉塞している筒状に成形して製作される。図1のようにポット2の内にマイナス電極3が配置される場合は、材質が限定されることはなく、プラスチック製にすることもできる。筒状のポット2は好ましくは、円筒状とするが、円筒に特定するものではなく、例えば楕円筒状や角筒状とすることもできる。ポット2の内容積は用途を考慮して最適値とされるが、たとえば家庭用の装置にあっては、例えば1リットル~10リットルとする。農業用や産業用の装置にあっては、ポット2の容積を100リットル~1000リットルと大きくして多量の水素水を生成する。ポット2の上方の開口部2aを密閉蓋9で密閉できるように、上端縁を平面状に形成して、図1及び図2に示すように、断面形状を平坦面とし、あるいは、湾曲する形状として、パッキン10を介して気密に密閉できる形状としている。また、予めポット2の上部における原水1と密閉蓋9との間の気層を少なくするために、ポット2の上部中心方向に向かって窄む緩やかな円錐状にすることもできる。この場合も、ポット2の上方の開口部2aの断面形状を、平坦面あるいは湾曲形状にできる。
【0054】
さらに、図1及び図2で示すポット2は、下部を基台32に固定して垂直姿勢に配置している。図に示す基台32は、上部の形状をポット2の底部を嵌合できる凹部形状としており、ポット2を安定して支持できるようにしている。図2のように、ポット2をマイナス電極3に併用する場合、基台32は、絶縁材で製造されており、金属製のポット2を設置面に対して絶縁状態で配置できるようにしている。また、基台32は、中央部に上方開口の収納部32aを形成できる。脱気後にポット2の上部の気層をなくして密閉加圧状態にして電気分解することで、水素を脱気後の原水1に溶解させる場合において、スライド式のロック(図示しない)を収納部32aに設けることもできる。スライド式のロックは、ロックを外すと上にスライドして、ポット2の上部の気層がなくなり密閉加圧状態において固定できる構造である。
【0055】
(密閉蓋9)
ポット2は、原水1を脱気する状態で、上方の開口部2aを密閉蓋9で密閉する。密閉されたポット2を減圧して、原水1に溶解しているガスを脱気する。密閉蓋9は、ポット2の上方の開口部2aに合わせた形状であって、下面にパッキン10を密着している。パッキン10はゴム状弾性体で、ポット2の開口部2aに密着してポット2を気密に密閉する。一例として、図1及び図2に示すパッキン10は、ポット2の開口部2aの内側に挿入される挿入部10aを有し、挿入部10aが開口部2aの内面に弾性的に押圧されて開口部2aを気密に密閉する。ゴム状弾性体のパッキン10は、ポット2の開口部2aの外周縁の上に載せて隙間なく密着する構造とすることもできる。このパッキン10は、ポット2の内部が減圧されて開口部2aの外周縁に吸着されて、ポット2の開口部2aを密閉する。
【0056】
図1及び図2の密閉蓋9は、上下に貫通する貫通穴9aを有し、貫通穴9aは逆止弁13を連結している。図1の密閉蓋9は、貫通穴9aにパイプ14を固定して、パイプ14に吸引ホース15を連結し、吸引ホース15に逆止弁13を連結している。図示しないが、逆止弁13は密閉蓋9に設けることもでき、また減圧機構18の吸入側に設けることもできる。逆止弁13は、ポット2から外部に向かって空気を排気するが、逆方向には空気を通過させない弁で、下窄みテーパー状の弁座13aの上に球体13bを配置している。球体13bはそれ自体の自重で、あるいは押しバネを介して弁座13aに押圧されて、外気がポット2に逆流するの阻止する。逆止弁13を連結している貫通穴9aは、減圧機構18でポット2内を減圧した後、減圧機構18の運転を停止し、あるいは吸引ホース15を外した状態で、ポット2内を減圧状態に保持して、原水1を脱気できる。
【0057】
図1及び図2に示す水素水の生成装置100、200は、密閉蓋9によりポット2を密閉する状態で、減圧して脱気後にポット2の上部の気層をなくして密閉加圧状態にして電気分解できる。水素溶解濃度を極めて高くする装置であり、図示しないが、安全弁を設けることができる。逆止弁13と同様に、貫通穴にパイプを固定して、吸引ホースに安全弁を設けることができ、あるいは、密閉蓋9に直接安全弁を設けることもできる。
【0058】
(脱着容器4)
脱着容器4は、電気分解するタイミングでマイナス電極3とプラス電極5に通電できるようにイオンの透過性を有し、電気分解して内部に酸素水が生成された状態で、ポット2から取り出して、内部に生成した酸素水をポット2から取り出しできる非通水性の非透水槽11である。図1及び図2に示す脱着容器4は、通水性があってポット2内で所定の形状を保持する容器本体4aの内側に、微多孔膜4bを積層している。容器本体4aは、例えば、金属製の多孔板を容器形状にプレス成形して製作され、あるいは熱可塑性のプラスチックを網状、ないし多孔板状の容器に成形して製作され、さらに通水性のある素焼きの容器で製作される。
【0059】
微多孔膜4bは、イオンの透過性があって、ポット2から持ち上げた状態で酸素水が漏れない、あるいはほとんど漏れない状態、すなわち実質的に非通水性のシート材が使用できる。本明細書において、「実質的に非通水性のシート」とは、例えば、ポット2から取り出すタイミングで、内部に生成された酸素水の漏れが1/10以下とするシートを意味するものとする。ポット2から取り出して、内部の酸素水の漏れが1/10以下の脱着容器4は、ポット2の水素水の濃度低下が極めて少なく、現実に使用できるからである。また、この特性の非通水性のシートには、濾紙、逆浸透膜、半透膜等が使用できる。これ等のシートは袋状に成形されて、容器本体4aの内面に積層される。
【0060】
また、表面に釉薬を塗布することなく焼成された素焼きの容器は、ほとんど水漏れしない状態に製作できるので、内面に微多孔膜4bを設けることなく脱着容器4に使用できる。ただ、素焼きの容器は内面に、逆浸透膜に使用されるプラスチック製の微多孔膜4bを積層して、より優れた非通水性の容器とすることもできる。さらに、素焼きの容器に代わって、イオン通過性があってほとんど透水性のない岩石を切削して容器に加工することもできる。この容器も、ほとんど水漏れしない状態に製作できるので、内面に微多孔膜4bを設けることなく脱着容器4に使用できるが、素焼きの容器と同様に、逆浸透膜のベースシートに塗布されるプラスチック製の微多孔膜4bを積層して、より優れた非通水性の容器とすることもできる。
【0061】
図1及び図2に示すように、脱着容器4は筒状の中心にプラス電極5を配置している。プラス電極5は、チタン板の表面を白金メッキしたものが適しているが、他の金属板やカーボン電極なども使用できる。電極の構造としては、網状又はパンチングメタルのような構造が好ましい。通水でき、撹拌効果で溶解濃度の均一化を図ることができると共に、各電極の対向面積を減らすことで、稀少で高価な白金、チタンを節約することもできるからである。図1において、プラス電極5は、脱着容器4の底部蓋4cの支持部6aを介して脱着容器4の中心部に固定されており、上端は、密閉蓋9に連結して固定され、導電性の金属製のソケット28a及び外部コネクタ29を介して直流電源21のプラス側出力端子21aに接続される。図2においては、プラス電極5は、支持リング6を介して脱着容器4の中心部に固定されており、上端は、導電性の金属製の垂直ロッド7で固定されている。垂直ロッド7は、密閉蓋9に固定している引き出しライン8を介して直流電源21のプラス側出力端子21aに接続される。引き出しライン8は気密構造で密閉蓋9を貫通して、下端には垂直ロッド7が挿入されて電気接続されるコネクタ28を設けている。コネクタ28は、密閉蓋9をポット2の定位置にセットして、垂直ロッド7を挿入して電気接続される。引き出しライン8の上端は外部コネクタ29を介して直流電源21に接続される。さらに、プラス電極5は、上記の構造に特定されず、図1及び図2のいずれの構造、あるいはプラス電極5を脱着容器4内の所定の位置に固定配置できる他の全ての構造を採用できる。
【0062】
以上の脱着容器4は、図1及び図2に示すように、ポット2内の中央部に垂直姿勢で配置される。例えば、図2の脱着容器4は、固定部材33を介してポット2内の所定の位置に配置している。図の固定部材33は、筒状の脱着容器4の外周面の上部と底部に固定された複数のガイドアーム33aで構成している。固定部材33は、複数のガイドアーム33aを脱着容器4の外周面から放射状に伸びる姿勢で配置している。脱着容器4の上部に設けた固定部材33は、複数のガイドアーム33aを水平姿勢としており、脱着容器4の底部に設けた固定部材33は、複数のガイドアーム33aを外側に向かって下向きに伸びる傾斜姿勢として、脱着容器4の下面をポット2の底面から離した姿勢で支持できるようにしている。複数のガイドアーム33aは、後端部を脱着容器4の外周面に固定すると共に、先端には緩衝部33bを設けており、この緩衝部33bをポット2の内周面に接触させ、あるいは接近させることで、脱着容器4をポット2の中央部の定位置に配置できるようにしている。以上の固定部材33は、複数のガイドアーム33aを脱着容器4の外周面に固定しているが、ガイドアーム33aからなる固定部材33は、脱着容器4に対して取り外し可能とすることもできる。さらに、固定部材は、以上の構造には特定せず、脱着容器をポット内の所定の位置に脱着自在に配置できる他のすべての構造が採用できる。図1で示すように、脱着容器4は、密閉蓋9に連結して固定することができる。例えば、ネジ、止め具などで脱着容器4の容器本体4aを密閉蓋9に連結固定でき、脱着容器4の底部蓋4cを下蓋として使用できる。底部蓋4cの支持部6aが、プラス電極5を下支えできる。さらに、脱着容器4は上記の構造に限定されず、脱着容器4を所定の位置に配置連結できる他の全ての構造を採用できる。
【0063】
マイナス電極3において発生する陰極ガス(水素)とプラス電極5において発生する陽極ガス(酸素)は2:1で発生することから、ポット2内の陰極水室と脱着容器4(非透水槽11)内の陽極水室の容積比は、2:1が好ましい。この比率の場合、水素の溶解度が酸素の溶解度より低いため、陰極水側が高圧となり、酸素の陰極水への混入を防止することができる。
【0064】
(減圧機構18)
図1に示す水素水の生成装置100は、減圧機構18の真空ポンプ12を吸引ホース15を介して密閉蓋9に連結している。真空ポンプ12は、ポット2の開口部2aを密閉蓋9で気密に密閉する状態で内部の空気を強制的に排気してポット2内を減圧して原水1の溶融ガスを脱気する。
【0065】
さらに、減圧機構18は、図1に示すように、ポット2の底部に連結されて原水1を吸引するポンプ16も使用できる。このポンプ16は、密閉するポット2から原水1を強制的に吸い出して内部を減圧して脱気する。図1のポンプ16は、シリンダ16aと、シリンダ16a内を往復運動するようにピストン16bと、シリンダ16aの吸引側と排出側に連結している逆止弁16cと、ピストン16bを弾性的に押し上げる押しバネ16dとを備える。このポンプ16は、ユーザーがピストン16bを押し下げて、シリンダ16a内に吸引した原水1を排水し、ピストン16bが押しバネ16dで押し上げられてポンプ16内の原水1を吸入して、ポット2内の原水1を強制的に排水して減圧する。図1に示すように、ポット2とポンプ16との間には、開閉弁17を設けている。
【0066】
さらに、減圧して脱気した後に、ポット上部における原水1と密閉蓋9との間の気層をなくし密閉加圧状態にして電気分解することもできる。減圧脱気後にさらに加圧状態下で、脱気後の原水1に水素溶解させることで、水素ガス溶解濃度を極めて高くできる。加圧の方法は、図示しないが、例えば、回転ねじで底上げして気層を絞り出す方法、シリンジ上の底上げ方式でばねエアーを利用する方法(脱気用の真空ポンプ12を使用できる)などが挙げられるが、これらの方法に限定されるものではなく、所定の加圧状態にできる他の全ての構造方法を採用できる。予めポット2の上部の気層を少なくするために、ポット2の上部中心方向に向かって窄む緩やかな円錐状にすることもできる。
【0067】
(直流電源21)
直流電源21は、リード線30と外部コネクタ29を介してマイナス電極3とプラス電極5に接続される。プラス電極5は密閉蓋9に固定している外部コネクタ29を介してリード線30を接続して直流電源21のプラス側出力端子21aに接続される。マイナス電極3はポット2に固定している外部コネクタ29とリード線30を介して直流電源21のマイナス側出力端子21bに接続される。
【0068】
直流電源21は、マイナス電極3とプラス電極5に常に一定の電流を流す直流電圧を印加することもできるが、好ましくは、パルス電圧を印加して、電極表面に発生する気泡の粒径を小さくする。この直流電源21は、たとえば、パルス電圧の周期を1msec以下、好ましくは100μsec以下として、電極に直流電圧を印加する時間を短くする。パルス電圧の周期を1msec以下とする直流電源21は、パルス電圧の周波数を1KHz以上とし、周期を100μsec以下とする直流電源21は、パルス電圧の周波数を10KHz以上とする。この生成装置は、電極の表面に電圧が印加される時間、すなわち電極が水を電気分解して水素を生成する時間幅を極めて短くすることで、電極表面における気泡の成長を抑制して、原水1に分散する気泡を小さくする。パルス電圧を出力する直流電源は、パルス電圧の周期を一定とすることなく、例えば、10KHz~1MHzの範囲で変動させることもできる。周波数を変動させる周期は、パルス電圧の周波数の1/100~1/10とすることができる。パルス電圧の周波数を変動させる直流電源は、電極表面に電圧を印加する時間幅を、時間と共に変化して、表面に発生する気泡を強制的に原水1に分散することができる。
【0069】
図1の直流電源21は、電源回路22と電流遮断回路23とを備えている。電源回路22は、原水1を電気分解する直流を出力する。図1の電源回路22は、電気分解時に電極に流す電気量を、電流遮断回路23で制御して、ポット2内に生成する水素水の水素濃度を設定値にできる。
【0070】
電気分解してポット2内の原水1に発生する水素量は電気分解の電流の積分値、すなわち電気量に比例する。導電率が異なる原水1は、マイナス電極3とプラス電極5に一定の電圧を印加しても電流値が変化し、導電率の低い原水1は導電率の高い原水に比較して電極に流れる電流は小さくなり、単位時間に発生する水素量が少ない。水素の発生量が原水1の導電率で異なる装置は、所定の水素濃度を実現するために、電気分解する時間が変化する。この装置は、全てのユーザーが原水1を所定の水素濃度として便利有効に使用できない。
【0071】
この弊害は、電源回路22に出力電流を一定の電流に制御する定電流回路(図示せず)を設けて解消できる。定電流回路は、原水1の導電率が変化して、電極間の電気抵抗が変化しても、マイナス電極3とプラス電極5に流れる電流を一定の電流となるように、電極間の電圧を制御する。このため、導電率の低い原水1を電気分解する時は、電極間の電圧を高くして電流を設定値に上昇させ、導電率の高い原水1を電気分解する時は、電極間の電圧を低くして電極間の電流を設定値に制御する。定電流回路を備える直流電源21は、導電率が異なる原水1を、一定の時間、電気分解して水素濃度を設定値にできるので、すべのユーザーが水素水の濃度を好ましい濃度として便利に使用できる。
【0072】
さらに、定電流回路を備える直流電源21は、原水1の電気分解時間が設定時間になると、電極電流を遮断するタイマ27を備える電流遮断回路25を設けてより便利に使用できる。タイマ27が電極電流を遮断する時間は、原水1を電気分解して水素濃度が設定値となる時間に設定する。タイマ27が電流を遮断する時間は、ポット2に供給される原水量と、発生する水素量及び発生水素の原水への溶解度と、水素水の要求される水素濃度から電流の積算値を演算し、電流の積算値と電極電流から電気分解の時間を演算して特定される。
【0073】
電流遮断回路23が、電極電流の積算値を検出して電極の電流を遮断する直流電源21は、電源回路22に定電流回路を設けることなく、ポット2内の水素水を所定の水素濃度とすることができる。この直流電源21は、図1に示すように、電流遮断回路23が、電極に流れる電流を検出する電流検出器25と、電流検出器25で検出する電流値を積算する演算回路24と、演算回路24で演算された電流の積算値を、あらかじめ記憶している設定値に比較して、演算した設定値が設定値になると電流を遮断する遮断回路26とを備えている。電源回路22に定電流回路を設けない直流電源21は、電極電流が原水1の導電率で変化するので、電極に流れる電流を電流検出器25で検出する。電流検出器25で検出する電流値は演算回路24で演算し、演算回路24で演算された電流の積算値を、あらかじめ記憶している設定値に比較して、演算した設定値が設定値になると遮断回路を制御して電流を遮断する。この直流電源21は、電極電流を検出し、検出する電流値を積算して電気分解時の電気量を検出するので、電極電流を一定の電流とすることなく、原水1を電気分解する状態で流す電気量、すなわち水素発生量を検出して、電極電流を遮断するので、電極電流を一定にコントロールすることなく、導電率が異なる原水1に通電してポット2内の原水1を所定の水素濃度の水素水とすることができる。
【0074】
以上の水素水の生成装置100は、以下の工程でポット2内の原水1を水素水とする。
(1)脱着容器4をポット2内に配置して、ポット2と脱着容器4内に原水1を供給する。
(2)密閉蓋9でポット2の開口部2aを密閉する。
(3)減圧機構18でポット2内を減圧して、原水1の溶存ガスを脱気した後、減圧機構18の運転を停止する。
(4)マイナス電極3とプラス電極5に直流電源21を接続し、直流電源21が電極に電圧を印加して原水1を電気分解する。電気分解されてポット2内の原水1は水素水、脱着容器4内の原水1は酸素水となる。
(5)密閉蓋9をポット2から分離し、脱着容器4をポット2から取り出して、ポット2内を水素水のみとする。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の水素水の生成方法及び生成装置は、高濃度の水素水の生成に好適に使用される。
【符号の説明】
【0076】
100、200…生成装置
1…原水
2…ポット
2a…開口部
3…マイナス電極
4…脱着容器
4a…容器本体
4b…微多孔膜
4c…底部蓋
5…プラス電極
6…支持リング
6a…支持部
7…垂直ロッド
8…引き出しライン
9…密閉蓋
9a…貫通穴
10…パッキン
10a…挿入部
11…非透水槽
12…真空ポンプ
13…逆止弁
13a…弁座
13b…球体
14…パイプ
15…吸引ホース
16…ポンプ
16a…シリンダ
16b…ピストン
16c…逆止弁
16d…押しバネ
17…開閉弁
18…減圧機構
21…直流電源
21a…プラス側出力端子
21b…マイナス側出力端子
22…電源回路
23…電流遮断回路
24…演算回路
25…電流検出器
26…遮断回路
27…タイマ
28…コネクタ
28a…ソケット
29…外部コネクタ
30…リード線
32…基台
32a…収納部
33…固定部材
33a…ガイドアーム
33b…緩衝部材
901…電解水素水生成ポット
902…ポット本体
903…水槽部
904…電解処理部
904a…プラス電極
904b…マイナス電極
905…超音波振動処理部
905a…超音波振動子
905b…超音波振動子駆動回路
906…縦型仕切り筒体
907…隔膜
908…電装部
908a…電源部
908b…制御部
図1
図2
図3