IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イワタボルト株式会社の特許一覧

特開2022-158314セキュリティナットおよびセキュリティボルト
<>
  • 特開-セキュリティナットおよびセキュリティボルト 図1
  • 特開-セキュリティナットおよびセキュリティボルト 図2
  • 特開-セキュリティナットおよびセキュリティボルト 図3
  • 特開-セキュリティナットおよびセキュリティボルト 図4
  • 特開-セキュリティナットおよびセキュリティボルト 図5
  • 特開-セキュリティナットおよびセキュリティボルト 図6
  • 特開-セキュリティナットおよびセキュリティボルト 図7
  • 特開-セキュリティナットおよびセキュリティボルト 図8
  • 特開-セキュリティナットおよびセキュリティボルト 図9
  • 特開-セキュリティナットおよびセキュリティボルト 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158314
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】セキュリティナットおよびセキュリティボルト
(51)【国際特許分類】
   F16B 41/00 20060101AFI20221006BHJP
   F16B 37/00 20060101ALI20221006BHJP
   F16B 23/00 20060101ALI20221006BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F16B41/00 P
F16B37/00 E
F16B37/00 H
F16B23/00 H
F16B35/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063099
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】593104132
【氏名又は名称】イワタボルト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】太田 龍也
(57)【要約】
【課題】一度締め付けられた後に緩められることが抑制されたナットおよびボルトを提供する。
【解決手段】セキュリティナット(1)は、内ねじ(11a)を有するナット本体(11)と、ナット本体(11)の外面(11c)に円周方向に沿って設けられた複数のトルク伝達突起(3)と、を備える。各トルク伝達突起(3)は、セキュリティナット(1)の締め付け方向上流側に設けられたトルク伝達面(31)と、セキュリティナット(1)の締め付け方向下流側に設けられた傾斜する逃がし面(32)とを有する。逃がし面(32)は、円周方向に沿って締め付け方向上流側に向かうにつれて、ナット本体(11)の進入方向端部(91)からナット本体(11)の後退方向端部(92)に向かって傾斜して、トルク伝達面(31)との間に傾斜する稜線(33)を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティナットにおいて、
内ねじを有するナット本体と、
前記ナット本体の外面に円周方向に沿って設けられた複数のトルク伝達突起と、を備え、
各トルク伝達突起は、前記セキュリティナットの締め付け方向上流側に設けられたトルク伝達面と、前記セキュリティナットの締め付け方向下流側に設けられた傾斜する逃がし面とを有し、
前記逃がし面は、前記トルク伝達面との間に、前記円周方向に沿って前記締め付け方向上流側に向かうにつれて、前記ナット本体の進入方向端部から前記ナット本体の後退方向端部に向かって傾斜する稜線を形成する、セキュリティナット。
【請求項2】
前記ナット本体の前記進入方向端部にフランジを設けた、請求項1に記載のセキュリティナット。
【請求項3】
前記ナット本体の前記後退方向端部にリング状突起部を設けた、請求項1または2に記載のセキュリティナット。
【請求項4】
各トルク伝達突起間の円周方向ピッチをL1、各トルク伝達突起の前記トルク伝達面の円周方向長さをL2、各トルク伝達突起の前記逃がし面の円周方向長さをL3としたとき、L1、L2およびL3は以下の関係を満たす、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセキュリティナット。
【数1】
【請求項5】
セキュリティボルトにおいて、
外ねじを有する軸部と、
前記軸部に設けられたボルト頭部であって、ボルト頭部本体と、前記ボルト頭部本体の外面に円周方向に沿って設けられた複数のトルク伝達突起と、を有するボルト頭部と、を備え、
各トルク伝達突起は、前記セキュリティボルトの締め付け方向上流側に設けられたトルク伝達面と、前記セキュリティボルトの締め付け方向下流側に設けられた傾斜する逃がし面とを有し、
前記逃がし面は、前記トルク伝達面との間に、前記円周方向に沿って前記締め付け方向上流側に向かうにつれて、前記ボルト頭部本体の進入方向端部から前記ボルト頭部本体の後退方向端部に向かって傾斜する稜線を形成する、セキュリティボルト。
【請求項6】
前記ボルト頭部は、前記ボルト頭部本体の前記進入方向端部に設けられたフランジを有する、請求項5に記載のセキュリティボルト。
【請求項7】
前記ボルト頭部は、前記ボルト頭部本体の前記後退方向端部に設けられた円錐台状突起部を有する、請求項5または6に記載のセキュリティボルト。
【請求項8】
各トルク伝達突起間の円周方向ピッチをL4、各トルク伝達突起の前記トルク伝達面の円周方向長さをL5、各トルク伝達突起の前記逃がし面の円周方向長さをL6としたとき、L4、L5およびL6は以下の関係を満たす、請求項5乃至7のいずれか一項に記載のセキュリティボルト。
【数2】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セキュリティナットおよびセキュリティボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一度締め付けられた後に他人によって緩められることが抑制されたナットおよびボルトが開発されている。例えば特許文献1には、専用工具とのみ係合する頭部を備え、専用工具でしか締め付けできないナットおよびボルトが記載されている。このようなナットおよびボルトは、例えば、ナットおよびボルトを使用して組み立てられた機械や設備などがみだりに他人によって分解されないようにするために有用である。特に、このようなナットおよびボルトは、ナットおよびボルトを使用して組み立てられた機械や設備などの盗難を防止したり、当該機械や設備などの内部構造が他人に知られないようにしたりするために有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5113956号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のナットおよびボルトは、締め付けの際にナットおよびボルトに適した専用工具が必要となってしまうため、汎用性に欠ける面があった。また、専用工具を準備する分だけコストが高くなる懸念があった。
【0005】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、一度締め付けられた後に緩められることが抑制されたナットおよびボルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によるセキュリティナットは、
セキュリティナットにおいて、
内ねじを有するナット本体と、
前記ナット本体の外面に円周方向に沿って設けられた複数のトルク伝達突起と、を備え、
各トルク伝達突起は、前記セキュリティナットの締め付け方向上流側に設けられたトルク伝達面と、前記セキュリティナットの締め付け方向下流側に設けられた傾斜する逃がし面とを有し、
前記逃がし面は、前記トルク伝達面との間に、前記円周方向に沿って前記締め付け方向上流側に向かうにつれて、前記ナット本体の進入方向端部から前記ナット本体の後退方向端部に向かって傾斜する稜線を形成する。
【0007】
本開示によるセキュリティナットにおいて、
前記ナット本体の前記進入方向端部にフランジを設けてもよい。
【0008】
本開示によるセキュリティナットにおいて、
前記ナット本体の前記後退方向端部にリング状突起部を設けてもよい。
【0009】
本開示によるセキュリティナットにおいて、
各トルク伝達突起間の円周方向ピッチをL1、各トルク伝達突起の前記トルク伝達面の円周方向長さをL2、各トルク伝達突起の前記逃がし面の円周方向長さをL3としたとき、L1、L2およびL3は以下の関係を満たしてもよい。
【数1】
【0010】
本開示によるセキュリティボルトは、
セキュリティボルトにおいて、
外ねじを有する軸部と、
前記軸部に設けられたボルト頭部であって、ボルト頭部本体と、前記ボルト頭部本体の外面に円周方向に沿って設けられた複数のトルク伝達突起と、を有するボルト頭部と、を備え、
各トルク伝達突起は、前記セキュリティボルトの締め付け方向上流側に設けられたトルク伝達面と、前記セキュリティボルトの締め付け方向下流側に設けられた傾斜する逃がし面とを有し、
前記逃がし面は、前記トルク伝達面との間に、前記円周方向に沿って前記締め付け方向上流側に向かうにつれて、前記ボルト頭部本体の進入方向端部から前記ボルト頭部本体の後退方向端部に向かって傾斜する稜線を形成する。
【0011】
本開示によるセキュリティボルトにおいて、
前記ボルト頭部は、前記ボルト頭部本体の前記進入方向端部に設けられたフランジを有してもよい。
【0012】
本開示によるセキュリティボルトにおいて、
前記ボルト頭部は、前記ボルト頭部本体の前記後退方向端部に設けられた円錐台状突起部を有してもよい。
【0013】
本開示によるセキュリティボルトにおいて、
各トルク伝達突起間の円周方向ピッチをL4、各トルク伝達突起の前記トルク伝達面の円周方向長さをL5、各トルク伝達突起の前記逃がし面の円周方向長さをL6としたとき、L4、L5およびL6は以下の関係を満たしてもよい。
【数2】
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、一度締め付けられた後に緩められることが抑制されたナットおよびボルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施の形態によるセキュリティナットの一例を示す斜視図。
図2】第1の実施の形態によるセキュリティナットの一例を示す側面図。
図3】第1の実施の形態によるセキュリティナットの一例を示す平面図。
図4】第1の実施の形態によるセキュリティナットの図2の線A-Aに沿った断面図。
図5】第1の実施の形態によるセキュリティナットを一般的なボルトに締め付けた様子を示す断面図。
図6】第1の実施の形態によるセキュリティナットの締め付け時の作用を示す斜視図。
図7】第2の実施の形態によるセキュリティボルトの一例を示す斜視図。
図8】第2の実施の形態によるセキュリティボルトの一例を示す側面図。
図9】第2の実施の形態によるセキュリティボルトの一例を示す平面図。
図10】第2の実施の形態によるセキュリティボルトを一般的なナットに締め付けた様子を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
まず、図1乃至6を参照して、本開示の第1の実施の形態のナットについて説明する。第1の実施の形態のナットは、一度締め付けられた後に緩められることが抑制された、セキュリティナット1である。
【0017】
ここで、図1は、セキュリティナット1を示す斜視図である。図1に示すように、セキュリティナット1は、内ねじ11aを有するナット本体11と、ナット本体11の外面11cに円周方向DBに沿って設けられた複数のトルク伝達突起3とを備えている。また、図1に示すセキュリティナット1は、さらにナット本体11の進入方向端部91に設けられたフランジ4と、ナット本体11の後退方向端部92に設けられたリング状突起部51とを備えている。図1に示す例において、セキュリティナット1を構成するナット本体11、複数のトルク伝達突起3、フランジ4およびリング状突起部51は、一体的に形成されている。セキュリティナット1の材料は、例えば一般的なナットの材料と同様の金属材料である。
【0018】
セキュリティナット1は、ボルトに締め付けられる際に、軸線LAを中心として回転させられる。第1の実施の形態において軸線LAの方向を軸線方向DA、軸線LAを周回する方向を円周方向DBと称する。また、軸線方向DAのうち、セキュリティナット1が締め付けられた際進入する方向を進入方向といい、セキュリティナット1が緩められた際後退する方向を後退方向という。さらにセキュリティナット1のナット本体11の進入方向端部は進入方向端部91となり、後退方向端部は後退方向端部92となる。また、セキュリティナット1の半径方向は半径方向DCとなる。
【0019】
また、円周方向DBのうちセキュリティナット1の締め付け方向を締め付け方向SB1といい、セキュリティナット1の緩め方向を緩め方向SB2という。
【0020】
次に、セキュリティナット1の各構成要素についてさらに説明する。
【0021】
まず、ナット本体11について述べる。ナット本体11は、上述のようにセキュリティナット1のうち内ねじ11aを有する部分である。図1に示す例において、ナット本体11は、軸線方向DAに延びる貫通孔11bを有し、内ねじ11aは貫通孔11bの内壁に設けられている。また、図1に示す例において、ナット本体11は、軸線LAを軸とする円柱状の形状を有している。このため、ナット本体11の外面11cは、円柱状の側面に対応する曲面となり、プライヤなどの一般工具によってナット本体11を把持することは困難となる。このため、締め付けられた状態のセキュリティナット1を、プライヤなどの一般工具によってナット本体11を把持して回転させることで緩めることは困難となる。
【0022】
図2は、セキュリティナット1を側方から見た様子を示す側面図である。セキュリティナット1は、例えば後述のように一般的なボルト71に締め付けられる(図5参照)。ここで、セキュリティナット1をボルト71に締め付ける際には、ナット本体11の進入方向端部91側から、貫通孔11bにボルトを進入させる。
【0023】
ナット本体11の進入方向端部91側から貫通孔11bにボルト71を進入させて、締め付け方向SB1にセキュリティナット1を回転させることで、内ねじ11aをボルトの外ねじに噛み合わせることができる。これによって、セキュリティナット1をボルトに締め付けることができる。
【0024】
次に、複数のトルク伝達突起3について説明する。複数のトルク伝達突起3は、ナット本体11の外面に、円周方向DBに沿って設けられる。
【0025】
各トルク伝達突起3は、セキュリティナット1の締め付け方向SB1上流側に設けられたトルク伝達面31と、セキュリティナット1の締め付け方向SB1下流側に設けられた逃がし面32とを有する。
【0026】
また、トルク伝達面31と逃がし面32との間には、円周方向DBに沿って締め付け方向SB1上流側へ向かうにつれて、ナット本体11の進入方向端部91からナット本体11の後退方向端部92に向かって傾斜する稜線33が形成されている(図2参照)。
【0027】
トルク伝達面31は、一般的なナットを回転させるための道具、例えば一般的なレンチを用いて、セキュリティナット1を締め付け方向SB1に回転させる際に、レンチからのトルクがセキュリティナット1に伝達される面である。
【0028】
第1の実施の形態に係るセキュリティナット1は、後述する一般的なソケットレンチ8の六角ソケット81をセキュリティナット1に係合させると、トルク伝達面31の少なくとも一部が六角ソケット81の内面8aに面接触するように形成されている。この場合、セキュリティナット1を締め付け方向SB1に回転させると、トルク伝達面31のうち六角ソケット81の内面8aに面接触する部分(後述する平行面31a)を介して、セキュリティナット1にトルクが伝達される。図1に示す例において、トルク伝達面31は、軸線方向DAに平行な平行面31aを含んでいる。そして、ソケットレンチ8をセキュリティナット1に係合させると、平行面31aが六角ソケット81の内面8aに面接触する。
【0029】
逃がし面32は、トルク伝達面31との間に、稜線33を形成する面である。図1および図2に示す例において、稜線33は、円周方向DBに沿って締め付け方向SB1上流側に向かうにつれて、ナット本体11の進入方向端部91からナット本体11の後退方向端部92に向かって傾斜している。このため、逃がし面32は、六角ソケット81をセキュリティナット1に係合させて緩め方向SB2に回転させたときに、六角ソケット81の内面8aに接触しないように形成されている。この場合、六角ソケット81の内面8aは逃がし面32に接触することなく稜線33に当接する。
【0030】
上述のように、稜線33は、円周方向DBに沿って締め付け方向SB1上流側に向かうにつれて、ナット本体11の進入方向端部91からナット本体11の後退方向端部92に向かって傾斜している。このため、稜線33は、後述するように、六角ソケット81をセキュリティナット1に係合させて緩め方向SB2に回転させたときに、六角ソケット81を浮き上がらせるように案内する。
【0031】
セキュリティナット1が備えるトルク伝達突起3の数、形状および配置は、セキュリティナット1を回転させるために用いることが想定される道具に応じて、適宜定めることができる。第1の実施の形態に係るセキュリティナット1において、トルク伝達突起3の数、形状および配置は、後述する一般的な六角ソケット81を有するソケットレンチ8を用いてセキュリティナット1を回転させることを想定して、定められている。
【0032】
図3は、セキュリティナット1を、ナット本体11の後退方向端部92側から見た様子を示す平面図である。図1~3に示す例において、セキュリティナット1は、6つのトルク伝達突起3を備える。なお、図示はしないが、六角ソケット81を有するソケットレンチ8を用いてセキュリティナット1を回転させると想定した場合に、セキュリティナット1が備えるトルク伝達突起3の数は、6つでなくてもよい。例えば、セキュリティナット1が備えるトルク伝達突起3の数は、5つ以下であってもよい。この場合にも、各トルク伝達突起3のトルク伝達面31を介して、トルクをセキュリティナット1に伝達することができる。ただし、より安定的にセキュリティナット1にトルクを伝達する観点からは、セキュリティナット1が6つのトルク伝達突起3を備えることが好ましい。以下においては、一例として、図1~3に示すように6つのトルク伝達突起3を備えるセキュリティナット1について説明する。
【0033】
図3に示す例において、トルク伝達突起3は、円周方向DBに等間隔に並べられている。そして、トルク伝達突起3の円周方向ピッチL1は以下のように定められる。図3に示すように、1つのトルク伝達突起3の稜線33とナット本体11の外面11cとの交点を点P1とし、円周方向DBにおいて当該1つのトルク伝達突起3の隣に位置する他のトルク伝達突起3の稜線33とナット本体11の外面11cとの交点を点P2とする。このとき、円周方向DBに沿った点P1から点P2までの距離が、円周方向ピッチL1となる。
【0034】
また、トルク伝達突起3の形状は、各トルク伝達突起3の間で同一である。このため、トルク伝達突起3のトルク伝達面31の円周方向長さL2は、各トルク伝達突起3の間で同一である。同様に、トルク伝達突起3の逃がし面32の円周方向長さL3は、各トルク伝達突起3の間で同一である。
【0035】
なお、トルク伝達面31の円周方向長さL2とは、ナット本体11の外面11cのうち、トルク伝達突起3のトルク伝達面31を形成している部分が設けられている部分の円周方向DBに沿った長さである。また、逃がし面32の円周方向長さL3とは、ナット本体11の外面11cのうち、トルク伝達突起3の逃がし面32を形成している部分が設けられている部分の円周方向DBに沿った長さである。
【0036】
ここで、トルク伝達突起3間の円周方向ピッチL1、トルク伝達面31の円周方向長さL2および逃がし面32の円周方向長さL3は、以下の関係を満たすことが好ましい。
【数3】
【0037】
特に、トルク伝達面31の円周方向長さL2が、逃がし面32の円周方向長さL3の0.5倍以上であり、また円周方向ピッチL1の0.2倍以上であることによって、以下の効果が得られる。トルク伝達面31の円周方向長さL2を十分に確保して、トルク伝達面31の面積を十分に確保することができる。これによって、セキュリティナット1を回転させる道具からのトルクが、十分に安定的にセキュリティナット1に伝達されるようにすることができる。
【0038】
ここで、各トルク伝達突起3の平行面31aを延長した、仮想の面31bを考える。図1および図3に示す一点鎖線は、仮想の面31bの位置を示している。図1および図3に示すように、各トルク伝達突起3の平行面31aを延長した仮想の面31bは、互いに接続して六角柱状の形状をなす。このようなセキュリティナット1は、仮想の面31bがなす六角柱状の形状に係合可能な六角ソケット81を係合させて、回転させることができる。
【0039】
ここで、図1および図3に示すように、トルク伝達突起3の先端3aは、仮想の面31bがなす六角柱の側面よりも半径方向DCにおける外方に位置している。そして、トルク伝達突起3の稜線33は、仮想の面31bがなす六角柱の側面よりも半径方向DCにおける外方に延び出す先端部分33aを有している。
【0040】
次に、ナット本体11の進入方向端部91に設けられたフランジ4について図3および図4により説明する。図4は、図3のA-A線に沿ったセキュリティナット1の断面図である。図4に示す一点鎖線LBは、ナット本体11とフランジ4との境界を便宜的に示す線である。また、図4に示す一点鎖線LDは、トルク伝達突起3とフランジ4との境界を便宜的に示す線である。また、図4に示す一点鎖線LEは、ナット本体11とトルク伝達突起3との境界を便宜的に示す線である。フランジ4は、ナット本体11の進入方向端部91に設けられている。図3に示す例において、フランジ4は、軸線方向DAから見て、軸線LAを中心とする円形の輪郭を有する。フランジ4は、図3に示すようにセキュリティナット1をナット本体11の後退方向端部92側から見た場合にナット本体11を半径方向DCから囲むように形成された扁平なリング状の形状を有する。また、フランジ4は、外面をなす縁部4aと、後退方向端部92側に位置する第1面4bと、第1面4bよりも進入方向端部91側に位置し且つ第1面4bと対向する第2面4cと、を有する。
【0041】
このうちフランジ4の第1面4bは、縁部4aから後退方向端部92側に向かって半径方向DC内方へ傾斜している。また、第2面4cは、軸線方向DAに垂直な平面となっている。
【0042】
また、図3に示すように、半径方向DCにおけるフランジ4の縁部4aと軸線LAとの距離L8は、半径方向DCにおけるトルク伝達突起3の先端3aと軸線LAとの距離L9よりも長くなっている。そして、トルク伝達突起3のトルク伝達面31および逃がし面32は、ともにフランジ4の第1面4bに接続している。このため、トルク伝達突起3の稜線33も、フランジ4の第1面4bに接続することになり、これによって、トルク伝達突起3をフランジ4によって支持して、トルク伝達突起3の強度を高くすることができる。
【0043】
なお、図4に示すように、フランジ4の内面には、第1延長内ねじ41が設けられている。第1延長内ねじ41は、ナット本体11の内ねじ11aと連続するように設けられている。
【0044】
次に、ナット本体11の後退方向端部92に設けられたリング状突起部51について図4により説明する。リング状突起部51は、ナット本体11の後退方向端部92に設けられている。図4に示す二点鎖線LCは、ナット本体11とリング状突起部51との境界を便宜的に示す線である。リング状突起部51は、セキュリティナット1がプライヤなどの一般工具を用いて把持されることを阻害する形状を有している。図4に示す例において、リング状突起部51の外面51aは、進入方向端部91側に向かうにつれて半径方向DC外方へ拡張するよう傾斜している。このようにリング状突起部51の外面51aが進入方向端部91側に向かうにつれて半径方向DC外方へ拡張するよう傾斜しているため、プライヤ等の一般工具を用いて外面51aを把持することが困難となり、セキュリティナット1を一般工具を用いて緩めることは困難となる。
【0045】
なお、図4に示すように、リング状突起部51の内面には、第2延長内ねじ52が設けられている。第2延長内ねじ52は、ナット本体11の内ねじ11aと連続するように設けられている。
【0046】
(作用)
次に、このような構成からなるセキュリティナット1の作用について説明する。
【0047】
(締め付け時の作用)
まず、セキュリティナット1をボルトに締め付ける際の作用の一例について図5により説明する。図5は、セキュリティナット1をボルト71に締め付けることによって、複数の固定部材61,62を互いに対して固定した様子を示す断面図である。図5に示す例においては、セキュリティナット1をボルト71に締め付けることによって、板状の第1の固定部材61と板状の第2の固定部材62とを互いに対して固定している。
【0048】
図5に示すようにセキュリティナット1をボルト71に締め付ける際には、はじめに、第1ボルト穴61aが設けられた第1の固定部材61と、第2ボルト穴62aが設けられた第2ボルト穴62aと、を準備する。
【0049】
次に、第1ボルト穴61aと第2ボルト穴62aとが重なるように第1の固定部材61と第2の固定部材62とを重ねる。
【0050】
次に、外ねじ713を有する軸部712とボルト頭部711とを備えるボルト71を準備して、ボルト71の軸部712を第1ボルト穴61aおよび第2ボルト穴62aに通す。ボルト71は、例えば一般的な形状のものである。一例として、ボルト71の軸部712を、まず第2ボルト穴62aに通し、次に第1ボルト穴61aに通す。
【0051】
次に、セキュリティナット1のナット本体11の内ねじ11aを、第1ボルト穴61aおよび第2ボルト穴62aを通された軸部712の外ねじ713に、部分的に噛み合わせる。例えば、ボルト71を保持して固定した上で、セキュリティナット1のナット本体11の進入方向端部91を軸部712の先端に近づけつつ、セキュリティナット1を締め付け方向SB1に回転させることによって、内ねじ11aを外ねじ713に部分的に噛み合わせることができる。
【0052】
次に、六角ソケット81を有するソケットレンチ8を用いて、セキュリティナット1を締め付け方向SB1にさらに回転させる。
【0053】
ソケットレンチ8を用いてセキュリティナット1を回転させる作用について、図6によりさらに具体的に説明する。図6は、セキュリティナット1と、六角ソケット81とを示す斜視図である。まず、セキュリティナット1の一部を六角ソケット81に挿入して、六角ソケット81をセキュリティナット1に係合させる。ここで、トルク伝達突起3が稜線33を有することによって、セキュリティナット1の一部を六角ソケット81に挿入する際に、稜線33を内側線部8cの位置を定めるガイドとして用いることができる。このため、六角ソケット81とセキュリティナット1とを係合させる際、稜線33が六角ソケット81の内側線部8cを案内して六角ソケット81の内面8aをトルク伝達面31側まで導くことができる。
【0054】
このようにして、各トルク伝達突起3のトルク伝達面31が、六角ソケット81の内面8aと面接触する。次に、ボルト71を固定した状態で、六角ソケット81を締め付け方向SB1に回転させる。このとき、各トルク伝達突起3のトルク伝達面31が六角ソケット81の内面8aと面接触しているために、回転する六角ソケット81からのトルクがトルク伝達面31を介してセキュリティナット1に伝達される。これによって、セキュリティナット1を締め付け方向SB1に回転させることができる。このように、セキュリティナット1は、六角ソケット81を有するソケットレンチ8のような、一般的な道具を用いてボルト71に締め付けることが可能である。
【0055】
ソケットレンチ8を用いてセキュリティナット1をさらに回転させることによって、図5に示すように、セキュリティナット1がボルト71に締め付けられる。
【0056】
なお、セキュリティナット1が、ナット本体11の進入方向端部91に設けられたフランジ4を備えることによって、セキュリティナット1をボルトに締め付ける際に、以下の効果が得られる。すなわち、セキュリティナット1をボルトに締め付けることで複数の固定部材61,62同士を固定する際に、トルク伝達突起3と固定部材61,62との間にフランジ4が介在することになる。このことにより、トルク伝達突起3が固定部材61,62に直接接触して固定部材61,62から圧力を受けることがなくなる。このため、トルク伝達突起3が固定部材61,62からの圧力によってダメージを受けることが抑制される。
【0057】
(緩め抑制時の作用)
次に、ボルト71に締め付けられた状態のセキュリティナット1が緩められることを抑制する作用の一例について、図5および図6により説明する。図5に示す状態のセキュリティナット1を、図6に示す六角ソケット81を有するソケットレンチ8を用いて緩めようとする場合について考える。この場合、六角ソケット81をセキュリティナット1に係合させて、緩め方向SB2に回転させると考えられる。
【0058】
このとき、逃がし面32が上述のように傾斜しているため、逃がし面32と六角ソケット81の内面8aとは面接触することはない。この場合、六角ソケット81の内面8aは、逃がし面32に接触することなく稜線33に当接する。セキュリティナット1に係合させた六角ソケット81を緩め方向SB2に更に回転させると、六角ソケット81は稜線33の傾きに沿って浮き上がって、六角ソケット81のセキュリティナット1への係合は外れる。これによって、セキュリティナット1に係合させた六角ソケット81を緩め方向SB2に向かって回転させたとしても、六角ソケット81からセキュリティナット1にトルクを伝達させてセキュリティナット1を緩めることはできなくなっている。このように、第1の実施の形態に係るセキュリティナット1によれば、一度締め付けられた後に緩められることを抑制できる。
【0059】
(第2の実施の形態)
次に、本開示の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、外ねじ22aを有する軸部22と、軸部22に設けられたボルト頭部21とを有するセキュリティボルト2に関するものであり、ボルト頭部21が第1の実施の形態におけるセキュリティナット1と同様の構造をもつトルク伝達突起3を有するものである。すなわち、第2の実施の形態に示すセキュリティボルト2は、一度締め付けられた後に緩められることが抑制された、セキュリティボルト2である。第2の実施の形態においては、第1の実施の形態とは異なる部分を中心に説明する。なお、以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、上述した第1の実施の形態と同様に構成され得る部分について、第1の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0060】
ここで、図7は、セキュリティボルト2を示す斜視図である。図7に示すように、セキュリティボルト2は、外ねじ22aを有する軸部22と軸部22に設けられたボルト頭部21とを備えている。ボルト頭部21は、ボルト頭部本体211と、ボルト頭部本体211の外面21cに円周方向DBに沿って設けられた複数のトルク伝達突起3とを有している。また、図7に示すボルト頭部21は、さらにボルト頭部本体211の進入方向端部91に設けられたフランジ4と、ボルト頭部本体211の後退方向端部92に設けられた円錐台状突起部53とを有している。セキュリティボルト2がナットに締め付けられる際に回転する軸線を、セキュリティナット1がボルトに締め付けられる際に回転する軸線と同様に、軸線LAという。また、セキュリティボルト2において、セキュリティナット1と同様に、軸線LAの方向を軸線方向DAといい、軸線LAを周回する方向を円周方向DBという。
【0061】
次に、セキュリティボルト2の各構成要素についてさらに説明する。
【0062】
まず、軸部22について述べる。軸部22は、上述のようにセキュリティボルト2のうち外ねじ22aを有する部分である。図7に示す例において、軸部22は、軸線方向DAに延びる略円柱状の形状を有し、外ねじ22aは軸部22の側面に設けられている。
【0063】
次に、ボルト頭部21について述べる。セキュリティボルト2のボルト頭部21は、上述のようにボルト頭部本体211と複数のトルク伝達突起3とフランジ4と円錐台状突起部53とを有している。ボルト頭部本体211は、内ねじ11aおよび貫通孔11bを有しない以外は第1の実施の形態におけるナット本体11と同様の形状を有している。第1の実施の形態におけるナット本体11に関する説明は、矛盾しない限り、第2の実施の形態におけるボルト頭部本体211に関する説明にも適用される。なお、ボルト頭部本体211においては、軸部22が位置している側の端部が進入方向端部91となる。また、ボルト頭部本体211の、進入方向端部91側とは反対側の端部が後退方向端部92となる。
【0064】
次に、セキュリティボルト2のトルク伝達突起3について、図7~9により説明する。図8は、セキュリティボルト2を側方から見た様子を示す側面図である。また、図9は、セキュリティボルト2を、ボルト頭部本体211の後退方向端部92側から見た様子を示す平面図である。
【0065】
上述のように、セキュリティボルト2は、ボルト頭部本体211の外面21cに円周方向DBに沿って設けられた、複数のトルク伝達突起3を備える。ボルト頭部本体211に設けられたトルク伝達突起3の形状およびボルト頭部本体211との位置関係は、矛盾しない限り、第1の実施の形態におけるトルク伝達突起3の形状およびナット本体11との位置関係と同様である。
【0066】
すなわち、各トルク伝達突起3は、セキュリティボルト2の締め付け方向SB1上流側に設けられたトルク伝達面31と、セキュリティボルト2の締め付け方向SB1下流側に設けられた逃がし面32とを有する。また、トルク伝達面31と逃がし面32との間には、円周方向DBに沿って締め付け方向SB1上流側へ向かうにつれて、ボルト頭部本体211の進入方向端部91からボルト頭部本体211の後退方向端部92に向かって傾斜する稜線33が形成されている(図8参照)。
【0067】
また、各トルク伝達突起3間の円周方向ピッチをL4、各トルク伝達突起3のトルク伝達面31の円周方向長さをL5、各トルク伝達突起3の逃がし面32の円周方向長さをL6としたとき、トルク伝達突起3間の円周方向ピッチL4、トルク伝達面31の円周方向長さL5および逃がし面32の円周方向長さL6が以下の関係を満たすことが好ましい。
【数4】
【0068】
セキュリティボルト2においてトルク伝達突起3間の円周方向ピッチL4、トルク伝達面31の円周方向長さL5および逃がし面32の円周方向長さL6が式(3)及び式(4)を満たすことによって、第1の実施の形態に係るセキュリティナット1において上述のトルク伝達突起3間の円周方向ピッチL1、トルク伝達面31の円周方向長さL2および逃がし面32の円周方向長さL3が式(1)及び式(2)を満たすことによって得られる効果に対応する効果を得ることができる。
【0069】
また、上述のようにボルト頭部21はボルト頭部本体211の進入方向端部91に設けられたフランジ4を有する。ボルト頭部21に設けられているフランジ4の形状およびボルト頭部本体211との位置関係は、矛盾しない限り、第1の実施の形態におけるフランジ4の形状およびナット本体11との位置関係と同様である。
【0070】
また、上述のようにボルト頭部21はボルト頭部本体211の後退方向端部92に設けられた円錐台状突起部53を有する。円錐台状突起部53は、セキュリティボルト2がプライヤなどの一般工具を用いて把持されることを阻害する形状を有している。図8に示す例において、円錐台状突起部53の外面53aは、進入方向端部91側に向かうにつれて半径方向DC外方へ拡張するよう傾斜している。このように円錐台状突起部53の外面53aが進入方向端部91側に向かうにつれて半径方向DC外方へ拡張するよう傾斜しているため、プライヤ等の一般工具を用いて外面53aを把持することが困難となり、セキュリティボルト2を一般工具を用いて緩めることは困難となる。
【0071】
(作用)
次に、このような構成からなるセキュリティボルト2の作用について説明する。
【0072】
(締め付け時の作用)
まず、セキュリティボルト2をナットに締め付ける際の作用の一例について図10により説明する。図10は、セキュリティボルト2をナット72に締め付けることによって、複数の固定部材61,62を互いに対して固定した様子を示す断面図である。図10に示す例においては、セキュリティボルト2をナット72に締め付けることによって、板状の第1の固定部材61と板状の第2の固定部材62とを互いに対して固定している。
【0073】
図10に示すようにセキュリティボルト2をナット72に締め付ける際には、はじめに、第1ボルト穴61aが設けられた第1の固定部材61と、第2ボルト穴62aが設けられた第2ボルト穴62aと、を準備する。
【0074】
次に、第1ボルト穴61aと第2ボルト穴62aとが重なるように第1の固定部材61と第2の固定部材62とを重ねる。
【0075】
次に、セキュリティボルト2の軸部22を第1ボルト穴61aおよび第2ボルト穴62aに通す。一例として、セキュリティボルト2の軸部22を、まず第1ボルト穴61aに通し、次に第2ボルト穴62aに通す。
【0076】
次に、内ねじ721を備えるナット72を準備して、ナット72の内ねじ721を、第1ボルト穴61aおよび第2ボルト穴62aを通された軸部22の外ねじ22aに、部分的に噛み合わせる。ナット72は、例えば一般的な形状のものである。例えば、セキュリティボルト2を保持して固定した上で、ナット72の内ねじ721を軸部22の先端に近づけつつ、ナット72を回転させることによって、内ねじ721を外ねじ22aに部分的に噛み合わせることができる。
【0077】
次に、図6に示したような六角ソケット81を有するソケットレンチ8を用いて、セキュリティボルト2を締め付け方向SB1に回転させる。具体的には、まず、セキュリティボルト2のボルト頭部21側の一部を六角ソケット81に挿入して、六角ソケット81をセキュリティボルト2に係合させる。次に、ナット72を保持して固定した上で、六角ソケット81を、締め付け方向SB1に回転させる。これによって、セキュリティボルト2を締め付け方向SB1に回転させることができる。ソケットレンチ8を用いてセキュリティボルト2を回転させることによって、図10に示すように、セキュリティボルト2がナット72に締め付けられる。このように、セキュリティボルト2は、六角ソケット81を有するソケットレンチ8のような、一般的な道具を用いてナット72に締め付けることが可能である。
【0078】
セキュリティボルト2をナット72に締め付ける際にトルク伝達突起3によってもたらされる効果は、第1の実施の形態に係るセキュリティナット1をボルト71に締め付ける際にトルク伝達突起3によってもたらされる効果と同様である。
【0079】
(緩め抑制時の作用)
また、セキュリティボルト2は、第1の実施の形態に係るセキュリティナット1のボルト71に締め付けられた状態から緩められることを抑制する作用と同様の作用によって、ナット72に締め付けられた状態から緩められることを抑制することができる。
【0080】
本発明の態様は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 セキュリティナット
11 ナット本体
11a 内ねじ
11b 貫通孔
2 セキュリティボルト
21 ボルト頭部
22 軸部
22a 外ねじ
3 トルク伝達突起
31 トルク伝達面
31a 平行面
32 逃がし面
33 稜線
4 フランジ
51 リング状突起部
53 円錐台状突起部
8 ソケットレンチ
81 六角ソケット
91 進入方向端部
92 後退方向端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10