(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158325
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】診療支援システム、入力支援装置、入力支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 15/00 20180101AFI20221006BHJP
G16H 10/60 20180101ALI20221006BHJP
【FI】
G16H15/00
G16H10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063117
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】507220361
【氏名又は名称】株式会社オプテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 茂之
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
5L099AA23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】患者の診療に関わるデータの入力を支援する診療支援システム、入力支援装置、入力支援方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】診療支援システム1において、歯科医院のカルテコンピュータ2は、診療に関わって参照される電子ブック27の記載内容が改定されると出版社の電子ブック管理サーバ4から配信される電子ブック27を格納するデータ格納部25と、診療に関わるデータを入力可能な画面及び電子ブック27を表示部13aに表示し、入力部13bから入力された検索対象を電子ブック27から検索した検索結果を、画面に表示する診療処理部20と、を備える。サービス会社の統計処理サーバ3は、カルテコンピュータ2のデータ格納部25から参照ログデータを収集して統計処理を行う統計処理部32と、統計処理部で処理した統計処理結果データを電子ブック管理サーバ4に提供する統計処理結果提供部34と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療に関わるデータが入力される入力支援装置と、統計処理サーバと、前記入力支援装置に配信される電子ブックが管理される電子ブック管理サーバとがネットワークで接続された診療支援システムであって、
前記入力支援装置は、
前記診療に関わって参照される前記電子ブックの記載内容が改定されると前記電子ブック管理サーバから配信される前記電子ブックを格納するデータ格納部と、
前記診療に関わる前記データを入力可能な画面及び前記電子ブックを表示部に表示し、入力部から入力された検索対象を前記電子ブックから検索した検索結果を前記画面に表示する診療処理部と、を備え、
前記統計処理サーバは、前記入力支援装置の前記データ格納部から、前記診療処理部が前記電子ブックを参照した履歴である参照ログデータを収集して統計処理を行う統計処理部と、
前記統計処理部で処理した統計処理結果データを前記電子ブック管理サーバに提供する統計処理結果提供部と、を備える
診療支援システム。
【請求項2】
前記入力支援装置の前記診療処理部は、前記検索対象を前記電子ブックから検索した検索結果を前記表示部に表示し、前記入力部により選択された前記検索結果を前記画面の入力欄にペーストする
請求項1に記載の診療支援システム。
【請求項3】
前記入力支援装置の前記診療処理部は、前記画面に表示された項目の一部が前記入力部により選択された状態で、前記電子ブックの検索を指示するコマンドを受信すると、選択された前記項目が含まれるページの情報を検索結果として前記表示部に表示する
請求項2に記載の診療支援システム。
【請求項4】
前記入力支援装置の前記データ格納部は、改定された版ごとに前記電子ブックを格納し、
前記診療処理部は、前記入力部から指定された版の前記電子ブックを前記データ格納部から読み出して、前記表示部に表示する
請求項1~3のいずれか一項に記載の診療支援システム。
【請求項5】
前記検索結果には、前記画面に表示される入力欄に前記検索対象として入力された語句又は文章を前記電子ブックから検索した入力語句検索結果、前記電子ブックの索引から前記電子ブックを検索した索引検索結果、前記索引検索結果が得られない場合に前記電子ブックの全文から検索した全文検索結果の少なくとも一つが含まれる
請求項1~4のいずれか一項に記載の診療支援システム。
【請求項6】
前記入力支援装置は、前記検索対象、又は前記入力部により選択された前記検索結果に紐づけられた広告情報を格納する広告データベースを備え、
前記診療処理部は、前記検索対象、又は前記入力部により選択された前記検索結果に応じて前記広告データベースから読み出した前記広告情報を前記表示部に表示する
請求項1~5のいずれか一項に記載の診療支援システム。
【請求項7】
前記参照ログデータには、前記検索対象、前記検索結果の引用可否、及び、実際に登録された検索結果がセットで含まれる
請求項1~6のいずれか一項に記載の診療支援システム。
【請求項8】
前記統計処理サーバの前記統計処理部は、前記診療処理部が入力された語句を前記電子ブックから検索できなかったことを示す前記参照ログデータを抽出し、前記語句を前記統計処理結果に含める
請求項1に記載の診療支援システム。
【請求項9】
前記統計処理結果には、前記電子ブックが参照されたページのページ番号、前記電子ブックから検索された語句の検索頻度、前記電子ブックを参照した日時、及び前記電子ブックの特定のページが表示された表示継続時間のうち、少なくとも一つが含まれる
請求項8に記載の診療支援システム。
【請求項10】
前記入力支援装置には、カルテを作成するための前記データ、又はレセプトを作成するためのデータが入力される
請求項1~9のいずれか一項に記載の診療支援システム。
【請求項11】
診療に関わるデータが入力される入力支援装置であって、
前記診療に関わって参照される電子ブックの記載内容が改定されると電子ブック管理サーバから配信される前記電子ブックを格納するデータ格納部と、
前記診療に関わる前記データを入力可能な画面及び前記電子ブックを表示部に表示し、入力部から入力された検索対象を前記電子ブックから検索した検索結果を前記画面に表示する診療処理部と、を備える
入力支援装置。
【請求項12】
診療に関わるデータが入力される入力支援装置を用いて行われる入力支援方法であって、
前記入力支援装置のデータ格納部が、前記診療に関わって参照される電子ブックの記載内容が改定されると電子ブック管理サーバから配信される前記電子ブックを格納する処理と、
前記入力支援装置の診療処理部が、前記診療に関わる前記データを入力可能な画面及び前記電子ブックを表示部に表示する処理と、
前記診療処理部が、入力部から入力された検索対象を前記電子ブックから検索した検索結果を前記画面に表示する処理と、を含む
入力支援方法。
【請求項13】
データ格納部が、診療に関わって参照される電子ブックの記載内容が改訂されると電子ブック管理サーバから配信される前記電子ブックを格納する手順と、
診療処理部が、前記診療に関わる前記データを入力可能な画面及び前記電子ブックを表示部に表示する手順と、
前記診療処理部が、入力部から入力された検索対象を前記電子ブックから検索した検索結果を前記画面に表示する手順と、を
コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
データ格納部が、診療に関わって参照される電子ブックの記載内容が改定されると電子ブック管理サーバから配信される前記電子ブックを格納する手順と、
診療処理部が、前記診療に関わる前記データを入力可能な画面及び前記電子ブックを情報処理装置が表示するための情報を前記情報処理装置に出力する手順と、
前記診療処理部が、前記情報処理装置から入力された検索対象を前記電子ブックから検索した検索結果を前記情報処理装置が表示するための情報を前記情報処理装置に出力する手順と、を
コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診療支援システム、入力支援装置、入力支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医歯薬系の医療機関では、患者に対して保険適用が可能な医療が提供されると診療報酬明細書(以下「レセプト」と呼ぶ)が作成される。診療報酬は、患者に対する診療内容ごとに決められている。そこで、診療報酬の請求者である歯科医師は、診療報酬の請求ルールに則って作成したレセプトを保険者(市町村国民保健組合等)に提出し、保険者に費用の支払いを求める。保険者は、請求者から受け取ったレセプトの正当性を審査し、レセプトが正当であれば、保険請求者に診療報酬を支払う。
【0003】
レセプトの作成に際して、レセプトコンピュータやカルテコンピュータ(以下、「入力支援装置」と総称する)が広く使われている。入力支援装置には、患者に対して行われた治療をカルテに入力する機能の他、治療内容に応じてレセプトの作成を支援する機能が備わっている。
【0004】
特許文献1には、過去のレセプトデータに出現した病名と診療内容との組み合わせを蓄積し、レセプトチェックに用いるチェックデータをメンテナンスする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、患者の治療毎にレセプトを正しく記載するのは、歯科医師の責任であり、レセプトの作成を歯科医師以外の者に任せきりにすることはできない。そこで、歯科医師は、レセプトに正しく記載するため、レセプトの書き方が案内されたマニュアル本を参照して、入力支援装置を操作している。
【0007】
レセプトの作成時に参照されるマニュアル本は、紙媒体である。このマニュアル本は、例えば、2年に一度の診療報酬改定に併せて改定版が発行されている。しかし、診療報酬は、2年を待たず不定期で一部改定が行われることがある。このため、マニュアル本の出版社は、2年ごとに発行される改定版とは別に、不定期で改定された箇所を抜粋した一部改定版を、マニュアル本の購読者に提供していた。そして、歯科医師がレセプトを作成する際には、入力支援装置と、マニュアル本及び改定箇所とを読み合わせ、入力支援装置の記入欄への記入内容及び改定内容を自身で照合しなければならない。特許文献1に開示された技術では、歯科医師が診療報酬の改定内容を効率的に把握して、正しいレセプトを作成することは非常に困難であった。
【0008】
また、出版社にとって、一部改定の内容を含むマニュアル本を最新の改定版として新たに出版することはコストがかかり過ぎる。また、マニュアル本は紙媒体なので、出版社は、歯科医師がレセプトの作成時に、マニュアル本に記載された項目のうち、どの項目を参照しているかを把握することができない。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、診療に関わるデータの入力をしやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る診療支援システムは、診療に関わるデータが入力される入力支援装置と、統計処理サーバと、電子ブック管理サーバとがネットワークで接続される。
入力支援装置は、診療に関わって参照される電子ブックの記載内容が改定されると電子ブック管理サーバから配信される電子ブックを格納するデータ格納部と、診療に関わるデータを入力可能な画面及び電子ブックを表示部に表示し、入力部から入力された検索対象を電子ブックから検索した検索結果を画面に表示する診療処理部と、を備える。
統計処理サーバは、入力支援装置のデータ格納部から参照ログデータを収集して統計処理を行う統計処理部と、統計処理部で処理した統計処理結果データを電子ブック管理サーバに提供する統計処理結果提供部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表示部に電子ブックが表示され、さらに端末の入力部から入力された検索対象を電子ブックから検索した検索結果が表示されるので、診療に関わるデータを入力しやすくなる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る診療支援システムの全体構成例を示す機能構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る診療支援システムで用いられるデータ及び情報の例を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る診療支援システムの処理例を示すシーケンス図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態に係る歯科診療のDX情報の一例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に係る機能選択画面の表示例を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態に係る電子ブック参照画面の表示例を示す図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態に係るレセプト入力画面の表示例を示す図である。
【
図9】
図8に示したレセプト入力画面の第1の拡大表示例を示す図である。
【
図10】
図8に示したレセプト入力画面の第2の拡大表示例を示す図である。
【
図11】本発明の第1の実施の形態に係る電子ブック参照画面の索引検索結果の表示例を示す図である。
【
図12】本発明の第1の実施の形態に係る電子ブック参照画面の全文検索結果の表示例を示す図である。
【
図13】本発明の第1の実施の形態に係る出版社にフィードバックされる統計処理結果の一例を示す表である。
【
図14】本発明の第2の実施の形態に係る診療支援システムの全体構成例を示す機能構成図である。
【
図15】本発明の第3の実施の形態に係る診療支援システムの全体構成例を示す機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0014】
[第1の実施の形態]
<診療支援システムの全体構成例>
始めに、第1の実施の形態に係る診療支援システムの構成例及び処理例について、
図1~
図13を参照して説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る診療支援システム1の全体構成例を示す機能構成図である。
図2は、診療支援システム1で用いられるデータ及び情報の例を示す図である。
ここでは、診療支援システム1の構成例の説明と併せて、
図2を参照して、各装置及びサーバで用いられるデータ及び情報についても説明する。
【0015】
診療支援システム1は、歯科医院等の医療機関で用いられるカルテコンピュータ2、サービス会社で用いられる統計処理サーバ3、及び出版社で用いられる電子ブック管理サーバ4を主要な構成とする。カルテコンピュータ2、統計処理サーバ3及び電子ブック管理サーバ4の間は、安全性の高いネットワークで互いにデータを送受信可能に接続されている。本明細書では、カルテコンピュータ2を通じて、歯科医師11が特定のページ及び語句を参照可能な書籍(例えば、マニュアル本)の代替モジュールを「電子ブック」と呼ぶ。
【0016】
(歯科医院)
歯科医院では、歯科医師11が患者12の歯科診療を行い、診療内容及び診療報酬をPC(Personal Computer)13に入力する。PC13は、カルテコンピュータ2に接続され、カルテコンピュータ2から提供される各種の画面を表示し、歯科医師による情報入力を受付ける情報処理装置の一例として用いられる。このカルテコンピュータ2は、カルテ入力画面の他、レセプト入力画面をPC13の表示部13aに表示する。レセプト入力画面には、通常のレセプト入力欄の他に、データ格納部25から診療処理部20が読み出した電子ブック27が表示される。電子ブック27は、出版社の電子ブック管理サーバ4の電子ブック配信部44によって配信される電子データである。
【0017】
PC13は、院内LAN(Local Area Network)でカルテコンピュータ2に接続されるデスクトップPC、ノートPC又はタブレット等の端末の一例である。そして、カルテコンピュータ2は、いわゆるカルテコン又はレセコンと呼ばれる入力支援装置の一例であり、診療に関わるデータが入力される。カルテコンピュータ2の機能は、歯科医院内に設置されるサーバ等にインストールされたプログラムを実行することで実現される。
【0018】
カルテコンピュータ2の機能を実現するプログラムは、統計処理サーバ3を管理するサービス会社によって歯科医院に提供される。歯科医師11は、カルテコンピュータ2に接続されたPC13を操作して電子ブック27を任意のページで開いて、治療内容に該当するページを参照しながら、患者12のカルテを作成し、レセプトを作成することができる。また、歯科医師11は、電子ブック27から選択した語句をレセプト入力欄にコピー&ペーストしたり、入力欄にコメントを記入したりすることができる。
【0019】
カルテコンピュータ2は、診療処理部20及びデータ格納部25を備える。
診療処理部20は、PC13にカルテ入力画面及びレセプト入力画面を表示する。この診療処理部20は、診療に関わるデータを入力可能な画面をPC13の表示部13aに表示し、PC13の入力部13bから入力された検索対象(語句又は文章等)を電子ブック27から検索して、その検索結果を画面に表示する。
【0020】
カルテコンピュータ2には、カルテを作成するためのデータ、又はレセプトを作成するためのデータがPC13から入力される。診療処理部20は、PC13から診療データd1を取り込んだ後、診療データd1を含む登録データd2をデータ格納部25に書き込む。登録データd2は、データ格納部25のカルテDB29に保存される。
【0021】
カルテコンピュータ2は、検索対象、又は入力部13bにより選択された検索結果に紐づけられた広告情報を格納する広告DB30を備える。広告DB30は、カルテコンピュータ2が電子ブック27の利用者に対して最適な広告を掲載するために用いられる。
図2に示すように広告DB30には、例えば、病名、処置名、広告テキスト、広告URL、広告画像等が格納されている。ここで、広告テキスト、広告URL、広告画像等の情報を「広告情報」と呼ぶ。例えば、病名又は処置名に基づいて、使用頻度が高い材料又は治療器具等の情報が広告情報として紐づけられている。広告DB30に格納される病名、処置名、広告情報は、サービス会社の統計処理サーバ3が備える広告DB37から配信される。
【0022】
そして、診療処理部20は、検索対象、又は入力部13bにより選択された検索結果に応じて広告DB30から読み出した広告情報を表示部13aに表示する。例えば、診療処理部20は、カルテコンピュータ2の利用者が検索に使用したキーワードを基に、広告DB30内の病名又は処置名に該当する広告情報を取得して、表示部13aに広告情報を表示する。カルテコンピュータ2の使用中に広告情報が表示されると、歯科医師にとっては、処置の内容に応じて表示部13aに表示された材料又は治療器具を使うきっかけとなりやすい。また、サービス会社にとっては、歯科医師に広告情報を提供することで、広告情報の提供元である歯科商店等から広告収入を得ることができる。また、サービス会社は、どのような状況で表示部13aに広告情報が表示されたかを把握できる。また、広告情報が表示された歯科医院で広告情報に示される材料又は治療器具等が購入された場合には、広告表示の費用対効果が明確となる。
【0023】
なお、広告情報は、必ずしも歯科医師がカルテ又はレセプトを入力したタイミングで表示部13aに表示されなくてもよい。例えば、診療処理部20は、ログDB28を参照し、過去に歯科医師がカルテ又はレセプトを入力した履歴に基づいて、歯科医師がデータ入力を行っていない時間帯に、歯科医師に推奨する材料又は治療器具を含む広告情報を提供してもよい。
【0024】
図2に示すように診療データd1には、日時、使用者ID、使用者氏名、質問項目、及び回答(参照、記載)が格納される。
日時の項目には、歯科医師11がカルテコンピュータ2を使用してレセプトを入力した日時が格納される。
使用者IDの項目には、カルテコンピュータ2の使用者として、歯科医師11を一意に特定する使用者IDが格納される。
使用者氏名の項目には、使用者IDに紐付けられた使用者、すなわち歯科医師11の名前が格納される。
質問項目の項目には、歯科医師11が電子ブック27を検索する際に入力した語句、文章等の質問項目が格納される。
回答(参照、記載)の項目には、診療処理部20が電子ブック27を検索した検索結果が回答として格納される。
【0025】
また、登録データd2には、診療データd1の各項目に加えて、質問項目と回答、回答に対する意見が格納される。
質問項目と回答の項目には、PC13から入力された質問項目と、電子ブック27から抽出された回答の内容が格納される。回答が無ければ、回答無しが格納される。
回答に対する意見の項目には、歯科医師11が確認した回答の内容に対して、PC13から入力した意見が格納される。
【0026】
データ格納部25は、電子ブックDB26、ログDB28、カルテDB29及び広告DB30を備える。そして、電子ブックDB26は、電子ブック27を保存する。電子ブック27は、診療報酬の改定が行われる度に、電子ブック管理サーバ4から改定版が配信される。このため、データ格納部25は、診療に関わって参照される電子ブック27の記載内容が改定されると電子ブック管理サーバ4から配信される電子ブック27を改定された版ごとに格納する。
ログDB28には、後述する参照ログデータ及び診療ログデータが保存される。
カルテDB29には、登録データd2が保存される。
広告DB30には、後述する広告データが保存される。
【0027】
参照ログデータは、歯科医師11がPC13を操作してカルテ作成時又はレセプト入力時に参照した電子ブック27を参照した履歴の情報を含んでおり、診療処理部20からデータ格納部25のログDB28に保存される。この参照ログデータは、歯科医師11が参照した電子ブック27の種類、電子ブック27の版、電子ブック27の滞留時間等を保存したデータである。診療処理部20は、入力部13bから指定された版の電子ブック27をデータ格納部25から読み出して、表示部13aに表示する。このため、歯科医師11は、PC13のレセプト入力画面に表示される電子ブック27の改定履歴から、所望の版の電子ブック27を表示させることもできる。また、歯科医師11がレセプト入力時に、電子ブック27を参照して行った操作(例えば、特定項目のコピー&ペースト)は、参照ログデータとしてデータ格納部25に保存される。
図2には、参照ログデータの構成例が示される。
【0028】
広告データは、広告DB30に蓄積されるデータである。広告データは、検索キーワードの項目を持つ。検索キーワードの項目は、病名及び処置名のサブフィールドが設けられる。診療処理部20は、病名及び処置名に入力された内容に基づいて、広告DB30から広告情報を検索する。ただし、検索キーワードとして、病名又は処置名のいずれか一つだけが入力された場合でも、診療処理部20は、広告DB30から広告情報を検索可能である。広告情報は、広告テキスト、広告URL、広告画像の総称である。ログDB28と広告DB30は、参照ログデータに記録される参照ページの情報(特に、操作内容の項目)と、広告データの検索キーワードとを紐づける。そして、診療処理部20は、ログDB28から取得した過去の参照ログデータに基づいて、この参照ログデータに紐づけられた広告データから広告情報を読み出し、表示部13aに広告情報を表示することができる。また、必要な広告情報は歯科医院ごとに異なる場合がある。そこで、広告DB30に蓄積される広告データは、歯科医院ごと、又はカルテコンピュータごとに異なってもよい。
【0029】
上述したように診療処理部20は、レセプト入力画面に電子ブック27を表示することができる。電子ブック27は、診療処理部20のビューワー機能により、ページ内の語句をコピー&ペースト可能な実際の書籍のレイアウトに合わせたフィックス型で表示される他、歯科医師11が文字サイズを任意の大きさに変更可能なリフロー型の表示、横組み又は縦組みの表示等に切替えることができる。歯科医師11は、表示された電子ブック27に対して重要箇所にマーカーを引いたり、ページに索引用のインデックスを作成したり、歯科医師11が頻繁に参照するページに付箋を付けたりすることが可能である。また、電子ブック27は、1ページずつめくって表示される他、ぱらぱらと複数のページをめくって表示する機能も有する。
【0030】
また、出版社は、改定箇所が含まれるページに付箋を追加したり、誤植の修正内容などを電子ブック27の表紙に追記したりすることができる。さらに、電子ブック27に外部URL(Uniform Resource Locator)のリンクを設定することが可能である。また、電子ブック27に広告ページを追加し、広告ページ内のリンクに広告提供者のサイトのURLを設定することも可能である。
【0031】
ここで、歯科医師11がPC13に表示された画面の入力欄に質問項目を入力すると、診療処理部20は、質問項目に入力された語句又は文章を電子ブック27から検索する。この時、診療処理部20は、PC13から入力された質問項目コマンドを電子ブック27に渡し、この質問項目に対応する項目を電子ブック27から検索する。質問項目の入力方法は、PC13に備え付けられたキーボードからのテキスト入力が想定されるが、PC13にマイクロフォンを設け、このマイクロフォンに向かって歯科医師11が音声入力する方法であってもよい。
【0032】
歯科医師が電子ブック27を用いて検索に使用する質問項目として、例えば、「病名」「処置名(又は治療名)」の他に、「患者の主訴」、「歯科医師の所見」もある。カルテコンピュータ2にはこれらの質問項目とその回答が格納されている。例えば患者の主訴(うずくように痛い等)や歯科医師の所見(指で押すと出血がある等)等のキーワードが、病名の傾向としてカルテに記載される。このような患者の主訴等のキーワードは、従来のマニュアル本には載せきれない情報であった。しかし、本実施の形態に係る電子ブック27は、出版社が内容を任意に拡張可能であり、従来のマニュアル本に比べて膨大な情報を含めることができる。このため、患者の主訴等のキーワードと、キーワードに関連する説明、項目等が電子ブック27に追加される。診療処理部20は、患者の主訴等のキーワードが病名の傾向としてカルテコンピュータ2に入力された場合に、これらのキーワードを用いて電子ブック27を検索することが可能となる。
【0033】
診療処理部20は、例えば、AI(Artificial Intelligence)を用いて、自然言語で書かれた文章を解釈する。そして、診療処理部20は、解釈した語句または文章の結果を用いて電子ブック27を検索し、この文章の内容に合わせた回答となる語句又は文章を電子ブック27から取得する。このように、診療処理部20は、歯科医師11が入力した語句がゆらいでも、その語句に該当する内容が記載されたページ等を電子ブック27から正しく検索することができる。
【0034】
そして、診療処理部20は、入力部13bにより検索対象として入力された語句又は文章を電子ブック27から検索した検索結果を、質問項目の回答として表示部13aに表示する。この回答には、質問項目に該当する語句又は文章が書かれた電子ブック27内のページ番号等の参照情報、ページ内容等が含まれる。このように診療処理部20は、歯科医師11が入力した語句が含まれるページをPC13に表示したり、入力された文章に近い意味を持つ文章を電子ブック27から抽出してPC13に表示したりする。
【0035】
検索結果には、画面に表示される入力欄に入力部13bから入力された語句又は文章を電子ブック27から検索した入力語句検索結果、電子ブック27の索引から電子ブック27を検索した索引検索結果、及び索引検索結果が得られない場合に電子ブック27の全文から検索した全文検索結果のうち、少なくとも一つが含まれる。歯科医師11が、画面に表示された回答をクリックすると、診療処理部20は、入力部13bにより選択された検索結果である回答をコピーし、カルテの該当箇所に回答をペーストする。歯科医師11がPC13を通じてレセプト入力欄に入力した情報は、
図2に示す診療データd1として診療処理部20に取り込まれる。
【0036】
このように、診療処理部20は、質問項目に対応する項目が電子ブック27に含まれていれば、電子ブック27から抽出した内容を回答として得る。一方、診療処理部20は、質問項目に対応する項目が電子ブック27に含まれていなければ、電子ブック27には回答が含まれていないことを回答として得る。このように診療処理部20が、電子ブック27に対して入力した質問項目コマンド、及びその回答の有無のログは、参照ログデータに記録される。
【0037】
カルテDB29には、患者毎、及び医療内容毎に作成される診療ログデータ及びレセプトデータが格納される。歯科医師11は、定期的にカルテコンピュータ2を操作してレセプトを印刷する。例えば、データ格納部25から読み出されたレセプトデータが表示された状態で、歯科医師11がPC13の画面内に表示される印刷ボタンを押すことで、用紙に印刷されたレセプトが出力される。審査処理機関には、印刷されたレセプトが提出される。
【0038】
カルテコンピュータ2は、送信コマンドが入力されると、ログDB28に格納していた参照ログデータを統計処理サーバ3に送信する。この際、カルテコンピュータ2は、データ格納部25内に格納された各種のデータのうち、どのデータをサービス会社の統計処理に提供するかを指定する。そして、カルテコンピュータ2は、サービス会社の統計処理サーバ3に対して、統計処理の指示コマンドを送信する。なお、統計処理サーバ3に送信されるデータは、診療ログデータの一部を含んでよいが、個人情報保護の観点から患者名等の個人情報は除かれる。
【0039】
(サービス会社)
サービス会社は、診療支援システム1全体の管理をする他、統計処理サーバ3を用いて出版社に対して電子ブック27の使用状況を統計処理した結果を提供するサービスを行う。
【0040】
統計処理サーバ3は、カルテコンピュータ2に接続されるPC13の表示部13aに表示された電子ブック27の参照ログデータを格納したデータ格納部25から参照ログデータを収集して統計処理を行う。この統計処理サーバ3は、ログ管理DB31、統計処理部32、統計処理結果DB33、統計処理結果提供部34、電子ブックDB35及び広告DB37を備える。
【0041】
ログ管理DB31は、カルテコンピュータ2から受信したコマンドに従って、データ格納部25から参照ログデータ等のデータを収集し、蓄積する。そして、ログ管理DB31は、歯科医院毎、かつ歯科医師11毎にデータを管理する。
【0042】
統計処理部32は、カルテコンピュータ2から収集した参照ログデータに基づいて統計処理を行って統計処理結果を取得する。この際、統計処理部32は、ログ管理DB31に蓄積された参照ログデータを読み出し、使用された電子ブック27の種類、電子ブック27内で参照頻度が高い項目と処置との関係、処置を行った歯科医師11の属性等の統計処理を行う。統計処理に際して、統計処理部32は、電子ブックDB35から電子ブック36を読み出すことがある。
【0043】
統計処理結果は、統計処理結果DB33に保存される。統計処理結果には、電子ブック27が参照されたページのページ番号、電子ブック27から検索された語句の検索頻度、電子ブック27を参照した日時、及び電子ブック27の特定のページが表示された表示継続時間(滞留時間)のうち、少なくとも一つが含まれる。また、歯科医院が設立される地域ごとに発生する処置、病名等も統計処理結果に含まれる。
【0044】
なお、統計処理部32は、診療処理部20に入力された語句を診療処理部20が電子ブック27から検索できなかったことを示す参照ログデータを抽出し、抽出された語句を統計処理結果に加える。よく間違えて入力されるキーワード又は語句等があれば、それらの語句は、電子ブック27内での説明が不十分であると考えられる。このため、サービス会社は、電子ブック27の改定に際して、十分な説明が追加されるように、統計処理結果を用いるようにしている。
【0045】
サービス会社の担当者は、不図示のPCを統計処理サーバ3に接続して、ログ管理DB31に蓄積された参照ログデータ、及び統計処理結果DB33に保存された統計処理結果を確認することができる。
【0046】
また、統計処理部32は、統計処理結果を用いて、広告DB37に格納される広告データを編集する。例えば、参照頻度の低い検索キーワードに対して広告情報が設定されても、この広告情報を確認した歯科医師の購買意欲が喚起されにくい。そこで、統計処理部32は、参照頻度の高い検索キーワードを統計処理結果から得て、この検索キーワードに応じた広告情報を広告DB37に広告データとして格納する。広告DB37に格納された広告データは、任意のタイミングでカルテコンピュータ2の広告DB30に配信され、広告DB30の広告データを更新する。このため、参照頻度の高い検索キーワードを入力した歯科医師に対して、必要な広告情報が届きやすく、歯科医師の購買意欲が促進されやすくなる。
【0047】
統計処理結果提供部34は、カルテコンピュータ2から受信したコマンドで指示される送付先に従って、統計処理結果を提供する。この送付先は、例えば、出版社が管理する電子ブック管理サーバ4である。電子ブック管理サーバ4は、電子ブック27の改定内容を管理する。そこで、統計処理結果提供部34は、一定期間ごとに統計処理結果DB33から読み出した統計処理結果に関するデータを出版社に提供する。この統計処理結果は、歯科業界、又は出版業界における市場把握、電子ブック27の改善、及びカルテコンピュータ2の機能改善に用いられる。
【0048】
なお、統計処理結果は、出版社ごと、及び電子ブック27の種類ごとに異なる内容である。基本的には、出版社が権利を持つ電子ブック27の種類に合わせた統計処理結果が、電子ブック管理サーバ4に提供される。
【0049】
電子ブックDB35には、電子ブック36が格納される。電子ブック36は、出版社の電子ブック管理サーバ4が電子ブック43を改定する度に配信されるデータであり、電子ブック36と電子ブック43は、同じデータを持つ電子ブックである。電子ブックDB35には、改定版ごとに電子ブック36が保存される。サービス会社のインストラクターが使用するPCは、電子ブックDB35に接続され、任意の版の電子ブック36をPCから参照することができる。なお、電子ブックDB35を、統計処理サーバ3とは別体に構成してもよい。
【0050】
(出版社)
出版社は、例えば、診療報酬の改定がされる度に電子ブック43を編集して改定版の電子ブック43を作成する。また、出版社の電子ブック管理サーバ4は、改定版の電子ブック43を歯科医院のカルテコンピュータ2に配信する。なお、出版社は、従来通り改定版の書籍を出版することもある。
【0051】
ここで、出版社が、本実施の形態に係る統計処理結果の取得を所望する理由について説明する。出版社が電子ブック27の参照状況を知りたい理由として、例えば以下の3点がある。
1点目は、出版社が、出版物を改版する際には、歯科医師による電子ブック27の参照状況を分析することで、歯科医師の関心が高く、歯科医師が特に読む項目に合わせた特集を組んだ電子ブック27を歯科医師に提供できる点である。
2点目は、電子ブック27の読みやすさを改善することによって読者満足度の向上に役立てることができる点である。
3点目は、歯科医師が参照する項目間の移動を把握できる点である。例えば、歯科医師がカルテコンピュータ2を使用してある項目を参照し、マーカーを付加した後、別の項目を参照し、再び、マーカーが付加された項目に戻るような操作が行われる。この場合、統計処理結果には、単にページ間の移動情報だけでなく、歯科医師が参照した項目の履歴に基づいて紐づけられた、歯科医師が参照する項目間の移動情報が含まれる。このような移動情報は、歯科医師が関心を示す項目を出版社が把握する上で重要である。
そこで、出版社がサービス会社から統計処理結果を取得することで、電子ブック27の読者である医療関係者の行動の情報を得て、出版社が電子ブック27,43を改善することが可能となる。
【0052】
電子ブック管理サーバ4は、電子ブック編集部41、電子ブックDB42及び電子ブック配信部44を備える。
電子ブック編集部41は、診療報酬が2年ごとに大きく改定されるタイミングに合わせて、電子ブック43を編集する。この際、出版社の社員は、不図示のPCを電子ブック管理サーバ4に接続して、統計処理サーバ3の統計処理結果提供部34から提供された統計処理結果を参照しながら、電子ブック43を編集することが可能である。そして、出版社の社員は、不図示のPCから入力した文書編集コマンド、又は画像編集コマンドを用いて、電子ブック43に対する文書又は画像の追加又は削除といった編集を行う。
【0053】
電子ブック編集部41は、編集した電子ブック43を電子ブックDB42に保存する。また、診療報酬が不定期に改定された場合でも、電子ブック編集部41は、速やかに改定内容を反映した一部改定版の電子ブック43を編集し、電子ブックDB42に一部改定版の電子ブック43を保存する。
【0054】
また、電子ブック編集部41には、統計処理サーバ3の統計処理結果提供部34から提供される統計処理結果が入力される。電子ブック編集部41は、入力された統計処理結果に基づいて、電子ブック43を編集する。例えば、歯科医師11によって参照される頻度が高い順に項目を並べ替えたり、歯科医師11の出身大学、歯科医院の地域特性に応じて項目を並べ替えたりする。このため、電子ブック43は、提供されるカルテコンピュータ2ごとに異なる内容であってもよい。
【0055】
電子ブック配信部44は、予め配信契約が締結された歯科医院のカルテコンピュータ2に対して、診療報酬が改定される度に改定版の電子ブック43を送信する。そして、最新の改定が行われた電子ブック43がカルテコンピュータ2に配信される。この電子ブック43は、カルテコンピュータ2にて電子ブック27として用いられる。
【0056】
(参照ログデータの構成)
ログDB28には、
図2に示す参照ログデータが格納される。
参照ログデータには、電子ブックID、電子ブック名、バージョン、索引、ページ情報、参照ページが格納される。
電子ブックIDの項目には、診療処理部20で使用される電子ブック27を一意に特定する電子ブックIDが格納される。
電子ブック名の項目には、電子ブックIDに紐付けられた電子ブック名が格納される。
バージョンの項目には、電子ブック27のバージョン(版)が格納される。
索引の項目には、電子ブック27に設定された索引が格納される。
ページ情報の項目には、電子ブック27のページ数等のページ情報が格納される。
【0057】
参照ページの項目には、歯科医師11によって所定時間以上にわたって開かれたページが参照ページとして格納される。すなわち、参照ページの項目には、滞留時間、操作内容のサブフィールドが設けられる。
滞留時間のサブフィールドには、参照ページが開かれた状態が継続した時間が滞留時間として格納される。
操作内容のサブフィールドには、歯科医師11が参照ページに対して行った操作の内容が格納される。操作内容として、例えば、参照ページ内のコピー箇所及びペースト箇所が含まれる。
【0058】
また、参照ログデータは、破線で示される、検索キーワード、検索結果の引用可否、最終的に登録された情報、レセプトID、返戻情報が格納される構成としてもよい。ここでは、これらの項目を簡単に説明することとし、詳細な説明は後述する。
検索キーワードの項目には、歯科医師が電子ブック27から特定の語句を検索するため、入力部13bを通じてカルテコンピュータ2に入力した語句が検索キーワードとして格納される。
検索結果の引用可否の項目には、入力された検索キーワードに基づいて診療処理部20が電子ブック27を検索して得た検索結果を、歯科医師が選択(引用)したか否かを表す情報(例えば、引用フラグ)が格納される。
最終的に登録された情報の項目には、歯科医師が、入力部13bを通じて、カルテシステム又はレセプトシステムに最終的に登録した情報が格納される。最終的に登録した情報は、歯科医師が選択した検索結果、又は歯科医師が手入力した情報のいずれかを少なくとも含む。
レセプトIDの項目には、審査処理機関に提出されるレセプトを識別するためのレセプトIDが格納される。レセプトIDは、レセプト作成時に診療処理部20によってレセプトごとに付与される一意の識別情報である。
返戻情報の項目には、審査処理機関に提出されたレセプトが返戻されたか否かを示す返戻フラグ、返戻時に審査処理機関から修正が指摘された語句及び箇所等を含む返戻情報が格納される。
【0059】
(診療ログデータの構成)
また、ログDB28には、
図2に示す診療ログデータが格納される。診療ログデータの各項目には、日時、医療従事者ID、患者氏名、質問項目、回答、カルテへの記載イベントが格納される。
日時の項目には、歯科医師11がカルテを記入した日時が格納される。
医療従事者IDの項目には、歯科医師11を特定するために割り当てられる医療従事者IDが格納される。
患者氏名の項目には、患者12の氏名が格納される。
質問項目、回答の項目には、診療データd1にて説明した質問項目と回答が格納される。
【0060】
カルテへの記載イベントの項目には、歯科医師11がカルテに記入したイベントの情報が格納される。カルテに記入されるイベントとは、歯科医師が電子ブック27を参照したページ又は語句の情報をカルテに引用した際における、引用内容(病名・処置名・摘要文など)、引用日時、引用者(医療従事者ID)、引用回数などが含まれる。これらのイベントがログDB28にログとして蓄積されることで、統計処理部32は、歯科医師ごとのカルテを書く際のクセ(ある歯科医師は病名をよく引用するので病名を覚えていない、又は摘要文をよく引用するのでカルテへの摘要文の書き方が分かっていない、など)や、歯科医師による語句の参照状況を把握した統計処理結果を得られる。これらの情報は、サービス会社から歯科医院に提供されることで、歯科医院における院内教育に役立てることも可能となる。
【0061】
(医療機関基本情報の構成)
また、カルテコンピュータ2には、
図2に示す医療機関基本情報が登録されている。医療機関基本情報は、サービス会社も把握する情報である。医療機関基本情報の各項目には、院名、住所、電話番号、HP(Home Page)のURL、医療従事者情報が格納される。
院名の項目には、歯科医院又は病院の名称が格納される。
住所の項目には、歯科医院又は病院の住所が格納される。
電話番号の項目には、歯科医院又は病院の電話番号が格納される。
HPのURLの項目には、歯科医院又は病院が管理するHPのURLが格納される。
医療従事者情報の項目には、歯科医院又は病院に勤務する医療従事者(例えば、歯科医師11)の情報として、例えば、医療従事者の出身大学等の情報が格納される。
【0062】
上述したようにカルテコンピュータ2では、電子ブック27が用いられ、カルテコンピュータ2にアクセスしたPC13の表示部13aに電子ブック27が表示される。カルテコンピュータ2を使用するユーザ(例えば、歯科医師11)は、電子ブック27を用いることで、以下のような操作が可能となる。
(1)歯科医師11は、電子ブック27を参照しながら、レセプトを登録する。
(2)歯科医師11は、電子ブック27の内容が変わった時点で、レセプトの内容を電子ブック27の改定内容に合わせてレセプトの内容(エラー箇所、保険点数の変更)を任意に修正可能である。
(3)歯科医師11は、改定された電子ブック27の改定履歴を参照可能であり、また、レセプトの修正履歴を更新可能である。
【0063】
(4)サービス会社の担当者は、歯科医師11がカルテに記入した日時、カルテの記入者、患者の疾患及び診療内容などを含む、歯科医師11が電子ブック27を参照した個所が格納された参照ログデータを参照可能である。
(5)サービス会社は、参照ログデータに記録される個人情報を保護した上で、全国の歯科医院から収集した参照ログデータを参照し、地域や歯科医個々の特性を統計的に把握し、出版社に統計処理結果を提供する。
(6)出版社は、サービス会社から提供された統計処理結果を、電子ブック27の内容改善に活用する。
【0064】
<カルテコンピュータ2、統計処理サーバ3及び電子ブック管理サーバ4のハードウェア構成例>
次に、診療支援システム1の各装置を構成する計算機50のハードウェア構成を説明する。
図3は、計算機50のハードウェア構成例を示すブロック図である。
計算機50は、本実施の形態に係るカルテコンピュータ2、統計処理サーバ3及び電子ブック管理サーバ4として動作可能なコンピューターとして用いられるハードウェアの一例である。
【0065】
計算機50は、バス54にそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、及びRAM(Random Access Memory)53を備える。さらに、計算機50は、表示装置55、入力装置56、不揮発性ストレージ57及びネットワークインターフェイス58を備える。
【0066】
CPU51は、本実施の形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM52から読み出してRAM53にロードし、実行する。RAM53には、CPU51の演算処理の途中で発生した変数やパラメーター等が一時的に書き込まれ、これらの変数やパラメーター等がCPU51によって適宜読み出される。ただし、CPU51に代えてMPU(Micro Processing Unit)を用いてもよい。カルテコンピュータ2の診療処理部20、統計処理サーバ3の統計処理部32、統計処理結果提供部34、電子ブック管理サーバ4の電子ブック編集部41、電子ブック配信部44の機能は、CPU51の動作によって実現される。
【0067】
表示装置55は、例えば、液晶ディスプレイモニターであり、計算機50で行われる処理の結果等を歯科医師11に表示する。入力装置56には、例えば、キーボード、マウス等が用いられ、歯科医師11が所定の操作入力、指示を行うことが可能である。カルテコンピュータ2に接続されるPC13の表示部13a、入力部13bの機能は、表示装置55及び入力装置56により実現される。また、統計処理サーバ3及び電子ブック管理サーバ4に接続される不図示のPCの表示部及び入力部の機能についても、表示装置55及び入力装置56により実現される。
【0068】
不揮発性ストレージ57としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ又は不揮発性のメモリ等が用いられる。この不揮発性ストレージ57には、OS(Operating System)、各種のパラメーターの他に、計算機50を機能させるためのプログラムが記録されている。ROM52及び不揮発性ストレージ57は、CPU51が動作するために必要なプログラムやデータ等を記録しており、計算機50によって実行されるプログラムを格納したコンピュータが読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。カルテコンピュータ2のデータ格納部25、統計処理サーバ3のログ管理DB31、統計処理結果DB33、電子ブックDB35、電子ブック管理サーバ4の電子ブックDB42の機能は、不揮発性ストレージ57により実現される。
【0069】
ネットワークインターフェイス58には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、NICの端子に接続されたLAN、専用線等を介して各種のデータを装置間で送受信することが可能である。
【0070】
<診療支援システム1の処理例>
図4は、診療支援システム1の処理例を示すシーケンス図である。
始めに、歯科医師11は、PC13を操作してカルテコンピュータ2にアクセスし、表示部13aに表示された電子ブック27を参照する(S1)。この際、歯科医師11は、検索情報として、例えば、索引、キーワード、自然言語で書いた文章等を入力する。カルテコンピュータ2の診療処理部20は、入力された索引、キーワードに一致する語句、又は一部が一致する語句を検索結果として電子ブック27から取得し、表示部13aに表示する。
【0071】
次に、歯科医師11は、電子ブック27を参照しながらレセプトを作成する(S2)。ステップS1で電子ブック27から検索された検索結果には、歯科医師11が入力した語句、キーワードが含まれるページの表示、語句、キーワードのハイライト表示、AIで解釈された文章の回答となる語句又は文章が含まれる。そして、歯科医師11は、表示された検索結果をクリックすることで、レセプトに回答を貼り付けることができる。その後、レセプトは、審査機関に提出される。ステップS2の後、カルテコンピュータ2は、統計処理サーバ3に対して、参照ログデータを送信する(S3)。
【0072】
統計処理サーバ3は、参照ログデータを受信すると(S11)、ログ管理DB31に参照ログデータを保存する。次に、統計処理部32は、ログ管理DB31から参照ログデータを読み出し、統計処理を実行する(S12)。統計処理の実行結果は、統計処理結果DB33に保存される。そして、統計処理結果提供部34は、統計処理結果を電子ブック管理サーバ4に送信する(S13)。
【0073】
電子ブック管理サーバ4の電子ブック編集部41は、統計処理サーバ3から統計処理結果を受信すると(S21)、電子ブックDB42に統計処理結果を保存する。次に、電子ブック編集部41は、統計処理結果を反映して電子ブック43を編集する(S22)。そして、電子ブック配信部44は、編集された電子ブック43をカルテコンピュータ2に配信する(S23)。
【0074】
カルテコンピュータ2は、電子ブック管理サーバ4から受信した電子ブック43をデータ格納部25に蓄積する(S4)。データ格納部25に蓄積される電子ブック43は、電子ブック27としてカルテコンピュータ2が用いる。
【0075】
次に、歯科診療のデジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)情報(以下、「DX」と略記)について説明する。DX情報は、歯科医院側、患者の口腔内の情報、予約システム、カルテシステム、レセプトシステム、電子ブック27の各データを連携させるために用いられる。診療支援システム1を利用する歯科医師、サービス会社、出版社がDX情報を用いることで、今まで可視化できていなかった処置又は治療に関する全国的傾向、地域特性、歯科医師の出身大学の特性、歯科医院の中での意思の伝達精度、又はそれらから得られる治療効果との関係を把握できるようになる。
【0076】
以下にDXの具体例を示す。
(1)医院ごとの特性(住所、歯科医師の氏名、使用するカルテコンピュータ2の種類、歯科医師の氏名、スタッフなど)と、患者の特性に対して歯科医師が参照する電子ブック27の項目との関連が、診療支援システム1で使用する情報として統計処理結果DB32に蓄積される。統計処理部32は、上記の項目と、詳細な診療情報との関係の精度を高めることができる。
(2)また、歯科医師の行動、電子ブック27で参照される頻度が高い項目、カルテに記載される項目等の関係に基づいて、統計処理部32は、当該歯科医師の「クセ」を学習する。そして、統計処理部32がカルテコンピュータ2に当該歯科医師の「クセ」を通知することで、診療処理部20は、歯科医師が診療を行うときの「クセ」に対する注意喚起を歯科医師に行うことができる。
(3)また、統計処理部32は、返戻になる流れや記載内容を学習し、診療処理部20に学習結果をフィードバックすることで、診療処理部20は、歯科医師に対して返戻を防止するための注意喚起を行うことが可能になる。このため、歯科医師等のスタッフのカルテ及びレセプト作成のスキルの向上を見込めるようになる。この場合、統計処理サーバ3は、カルテコンピュータ2に対して統計処理結果を送信してもよい。
【0077】
また、DXの管理は、いわゆるシステム・オブ・システムズの管理と同じ構造で行われる。つまり、診療支援システム1を構成する装置ごとに独立して動作し、さらにこれら装置が連携して動作することで、DXが管理される。そして、診療支援システム1では、各装置の処理プロセスの中に、マーケティング情報(例えば、統計処理結果)が組み込まれることで、出版社は、歯科医師に提供する電子ブック27に対するフィードバックを得ることができる。このため、従来、得ることができなかった歯科医師による電子ブック27の利用状況を、サービス会社及び出版社が把握できるようになり、電子ブック27を改善し、歯科医師に新たなサービスを提案することが可能となる。
【0078】
図5は、歯科診療のDX情報の一例を示す図である。
歯科診療のDX情報は、ユーザアカウント情報とアクセス情報によって構成される。
ユーザアカウント情報は、例えば歯科医院の情報(医院情報1,2)、患者12の個人情報を含んで構成される。医院情報1,2は、
図2に示した医療機関情報テーブルT2に格納される情報に対応する。個人情報は、
図2に示した登録データd2に対応する。
【0079】
また、アクセス情報は、診療日、カルテコンピュータ2を使用したユーザの職種等の他、電子ブック27を参照した時の情報等を含んで構成される。アクセス情報に含まれるアクセスワードは、歯科医師11が電子ブック27から検索しようとした語句である。そして、アクセスワードのランキングとは、歯科医師11が検索しようとした語句が電子ブック27に含まれていたか否かの件数を表す。例えば、同じ症状及び対応であっても、歯科医師11の出身大学ごとに呼び方が異なっていることがある。そこで、サービス会社の担当者が、ある語句を、歯科医師11の出身大学に応じた呼び方に変えることを出版社に提案すると、出版社の担当者は、提案された呼び方に合わせて電子ブック43を編集できる。この結果、歯科医師11が使いやすい電子ブック27がカルテコンピュータ2に提供されるようになる。
【0080】
また、カルテ入力シーンとは、例えば、歯科医師11が電子ブック27を使用する場面である。例えば、患者12への医療費の会計時、レセプト返戻時、月末又は月初のレセプトチェック時等が想定される。なお、レセプトの返戻とは、審査機関に提出されたレセプトに不備があったことにより、審査機関から歯科医院にレセプトが戻されることをいう。返戻されたレセプトに対して、歯科医師11がどのようにレセプトを修正したらよいかは、電子ブック27を参照して判断される。このように返戻されたことを示す情報として、修正が指摘された箇所、修正した内容等が返戻との対応の項目に記録される。
【0081】
アクセス情報に示される地域、日時、職種、カルテ入力シーン、参照ページ情報、返戻との対応は、
図2に示したログデータT1に対応して設けられる項目である。また、アクセス情報に示されるアクセスワードランキングは、統計処理結果DB33に格納される統計処理結果に対応して設けられる項目である。
【0082】
<電子ブック27の活用例>
ここで、電子ブック27の活用例について説明する。
(1)歯科医師11がカルテを入力する時や、入力されたカルテの情報を患者12への治療後に見直す時に、カルテコンピュータ2に表示された電子ブック27を参照し、保険点数を確認したり、病名及び治療の対応等を検証したりする。
(2)歯科医師11にレセプトの記入方法を教えるインストラクターが、歯科医院からの問合せに回答する業務がある。歯科医師11と、インストラクターとが同じ電子ブック27を参照することで、インストラクターが問合せに対してすぐ回答することができる。
(3)インストラクターと歯科医院とで同じ版の電子ブック27を常備し、参照することで、電子ブック27に設定された索引も同時に指定して同じページ及び項目を参照可能となり、問合せ時の回答を迅速化できる。
(4)歯科医師11が索引の中に検索項目を発見できない場合には、電子ブック27の本文全体に対する全文検索を実行することで、検索項目の該当箇所を電子ブック27にハイライト表示したり、カルテコンピュータ2の画面に該当箇所を表示したりすることが可能となる。
【0083】
<画面の表示例>
次に、カルテコンピュータ2に接続したPC13に表示される画面の表示例について、
図6~
図12を参照して説明する。以下の画面は、いずれもPC13にインストールされた汎用のWebブラウザに表示される。
【0084】
図6は、機能選択画面W1の表示例を示す図である。
歯科医師11がPC13を通じて接続したカルテコンピュータ2に規定のログインID、パスワード等を入力すると、
図6に示す機能選択画面W1が初期表示される。機能選択画面W1の左側には、カルテコンピュータ2のバージョン情報、カルテコンピュータ2にログインした医療機関、歯科医師11等の情報が表示される。機能選択画面W1の右側には、歯科診療に関わる様々な機能を選択するための選択アイコンが表示される。ここでは、歯科医師11が、画面下部に表示される電子ブックアイコンW1aを選択したと想定する。
【0085】
図7は、電子ブック参照画面W2の表示例を示す図である。
電子ブック参照画面W2は、電子ブック表示エリアW2aを有する。
図6に示した電子ブックアイコンW1aが選択されると、最新版の電子ブック27が表示される。ここでは、電子ブック27の表紙部分が電子ブック表示エリアW2aに表示された例が示される。例えば、歯科医師11が、電子ブック27のページめくりアイコンW2bを選択すると、ページめくりされた電子ブック27が電子ブック表示エリアW2aに見開き表示される。
【0086】
また、歯科医師11が、ページ番号入力欄W2cに任意のページ番号を入力すると、入力されたページ番号で電子ブック27が見開き表示される。また、歯科医師11が、語句入力欄W2dに任意の語句を入力すると、入力された語句の検索結果と、入力された語句が含まれるページとが見開き表示される。この際、入力された語句に一致するページ内の語句が、例えば、特定の色付きでハイライト表示される。
【0087】
図8は、レセプト入力画面W3の表示例を示す図である。
レセプト入力画面W3の左側には、患者12の歯列の状態が示される。レセプト入力画面W3の右側には、患者12に行われた診療の内容と、保険点数及び治療費とを含むカルテが示される。ここで、レセプト入力画面W3の上部には、各種の編集メニューと共に、電子ブックアイコンW3aが表示される。歯科医師11が電子ブックアイコンW3aを選択すると、
図7に示した電子ブック参照画面W2に遷移し、電子ブック27が表示される。
【0088】
(カルテの病名検索の例)
図9は、
図8に示したレセプト入力画面W3の第1の拡大表示例を示す図である。
【0089】
診療処理部20は、画面に表示された項目の一部が入力部13bにより選択された状態で、電子ブック27の検索を指示するコマンドを受信すると、選択された項目が含まれるページの情報を検索結果として表示部13aに表示する。
【0090】
例えば、歯科医師11がレセプト入力画面W3に表示されるカルテに記載された病名を選択すると、選択された病名が記載されている電子ブック27の該当ページが表示される。
図9に示すように、歯科医師11が、カルテに記載された病名であって、テンプレートから選択可能な病名「P急発」を選択し、右クリックすると、ショートカットメニューが表示される。なお、病名「P急発」とは、歯周病で患部が膿んでいること(急性発作)を表す語句である。ショートカットメニューの最下部には、「電子ブック」のショートカットキーW3bが含まれる。この状態で、歯科医師11が「電子ブック」のショートカットキーW3bを選択すると、
図7に示した電子ブック参照画面W2に遷移し、病名「P急発」が記載されたページの電子ブック27が表示される。
【0091】
(カルテの処置名検索の例)
図10は、
図8に示したレセプト入力画面W3の第2の拡大表示例を示す図である。
歯科医師11がレセプト入力画面W3に表示されるカルテに記載された処置名を選択すると、選択された処置名が記載されている電子ブック27の該当ページが表示される。例えば、歯科医師11が、カルテに記載された処置名「連合imp(寒天+アルジネート)」を選択し、右クリックすると、ショートカットメニューが表示される。「連合imp」とは、歯型をとったことを表す語句である。この状態で、歯科医師11が「電子ブック」のショートカットキーW3cを選択すると、
図7に示した電子ブック参照画面W2に遷移し、処置名「連合imp(寒天+アルジネート)」が記載されたページの電子ブック27が表示される。
【0092】
(索引検索結果)
図11は、電子ブック参照画面W2の索引検索結果の表示例を示す図である。
歯科医師11が電子ブック27に設定されている索引から特定の項目を指定すると、指定された項目を含むページが索引検索結果として、電子ブック表示エリアW2aに表示される。例えば、索引から指定された項目が「埋伏智歯」である場合、「埋伏智歯」が記載されたページが表示される。
【0093】
指定された項目を含むページが複数ある場合、電子ブック表示エリアW2aの上部にページ移動ボタンW2eが表示される。ページ移動ボタンW2eの左山括弧は、prev表示を指定するアイコンであり、現在表示されているページより前のページが表示される。ページ移動ボタンW2eの右山括弧は、Next表示を指定するアイコンであり、現在表示されているページより後のページが表示される。
【0094】
(全文検索結果)
図12は、電子ブック参照画面W2の全文検索結果の表示例を示す図である。
カルテシステムで入力可能な「病名」や「処置名」などの項目名称は、カルテシステムを提供するメーカごとに異なることが多い。さらに、これらの項目名称は、電子ブック27に記載される名称とも異なる場合が殆どであった。また、カルテコンピュータ2の利用者が自然言語入力を行って電子ブック27を検索することも想定されている。このため、利用者が語句検索のために入力するキーワードと、電子ブック27の索引が一致しないことは多分に起こりうる。このように入力されたキーワードと、索引とが一致しないことは、実際の書籍における索引検索でも同様であった。そして、利用者が脳内に思い描くキーワードと、実際の書籍又は電子ブック27の索引とが必ずしも一致するとは限らないので、利用者は思い描いたキーワードを類語や略称などに変換して、再度、実際の書籍又は電子ブック27の索引を調べていた。それでも類語や略称などが、書籍又は電子ブック27の索引と一致しなかった場合には、実際の書籍又は電子ブック27の内容を網羅的に読み込み、全文検索する必要がある。
【0095】
そこで、
図11に示した索引検索結果が得られなかった場合、診療処理部20は、自動的に電子ブック27の本文に対する全文検索を行う。例えば、歯科医師11が、語句入力欄W2dに語句「連合imp」と入力すると、この語句が含まれるページ情報を表す全文検索結果が、電子ブック参照画面W2の左側に表示される全文検索結果表示欄W2fに列挙される。さらに、歯科医師11は、全文検索結果表示欄W2fに列挙された全文検索結果を限定することが可能である。
【0096】
図12の全文検索結果表示欄W2fの上部にある検索条件入力欄W2gに、所定の方法で条件を入力することで、複数の語句のAND検索又はOR検索を実行可能である。例えば、複数の語句をスペースで区切ると、AND検索が実行される。つまり、複数の語句のいずれをも含むページが全文検索結果表示欄W2fに表示される。一方、複数の語句を「or」で区切ると、OR検索が実行される。つまり、複数の語句の少なくともいずれか一つを含むページが全文検索結果表示欄W2fに表示される。
【0097】
全文検索結果表示欄W2f内で、検索語句に一致する語句には、ハイライト表示W2iが重畳される。このため、歯科医師11は、全文検索結果から、検索語句に一致する語句を見つけやすくなる、また、全文検索結果表示欄W2fと共に、該当ページ表示欄W2hに該当ページのページ番号が表示される。歯科医師11が該当ページ表示欄W2hに表示されたページ番号を選択すると、電子ブック参照画面W2には、選択されたページ番号のページが表示される。
【0098】
従来、歯科医師は、カルテを書く際の参考として書籍や電子ブックを検索したにも関わらず、「本当にこの書き方で合っているだろうか」といった不安から、カルテコンピュータを提供するメーカ等に書き方を問い合わせることが多かった。レセプト請求期間の月初になるとメーカ等には問い合わせが殺到するので、メーカ等にいるサポートスタッフやインストラクターが対応に追われ、問い合わせを受け付けてから折り返し回答するまでに1時間程度かかることがあった。結果として歯科医院で会計待ちをしている患者を長時間にわたって待たせてしまうという問題があった。
同時に、出版社にとっても歯科医師が書籍や電子ブックを検索した際に用いたキーワードと、最終的にカルテシステムに登録された情報とを紐付けた形で取得することができない状況であった。
【0099】
そこで、本実施の形態に係るカルテコンピュータ2は、ログ情報に電子ブック27側での「検索キーワード」と電子ブック27側での「検索結果の引用可否」と、カルテシステム側での「最終的に登録した情報」とをログDB28にセットで記録する。このため、
図2に示した参照ログデータには、「検索キーワード」、「検索結果の引用可否」及び「最終的に登録した情報」を格納する項目を設けてもよい。
【0100】
「検索キーワード」とは、例えば、検索条件入力欄W2gに「連合imp」と入力されるキーワードである。このキーワードに基づいて、診療処理部20は、電子ブック27を検索する。そして、「連合imp」が含まれるページ等の情報が全文検索結果表示欄W2fに表示される。「検索結果の引用可否」とは、歯科医師が、全文検索結果表示欄W2fに表示された検索結果を選択したか否かを表す情報である。歯科医師が何れかの検索結果を選択した場合、選択された検索結果が「検索結果の引用可」の情報として用いられる。歯科医師が検索結果を選択しなかった場合、「検索結果の引用不可」の情報となる。そして、歯科医師がカルテシステムに登録した情報が、「最終的に登録した情報」となる。
【0101】
なお、歯科医師が検索結果を採用しなかった場合でも、歯科医師が「最終的に登録した情報」は必要である。むしろ、歯科医師が検索結果を採用しなかったという情報が出版社にとっての「読者が真に欲しかった答え」となる。このため、歯科医師が検索結果を採用しなかったという情報は、サービス会社から出版社への価値があるフィードバックとなる。
以下、歯科医師が病名を検索する際のプロセスの例を示す。
(1)歯科医師は、カルテシステムの病名入力モードを使用中に電子ブック27を起動して病名を検索する。このように歯科医師が検索する病名が「検索キーワード」の一例である。
(2)次に、歯科医師は、メーカに問い合わせ、病名を確認する。ただし、歯科医師がカルテメーカに病名を問い合わせるプロセスは任意であり、省略してもよい。
(3)診療処理部20は、歯科医師により、検索結果として表示された病名に対するコピー&ペーストが行われると、この病名が選択されたことを示すフラグを立て、選択された病名を返す。フラグが立てられなかった病名は、歯科医師が選択しなかった病名である。このように、歯科医師が検索結果から選択し、又は選択しなかった病名が「検索結果の引用可否」を示す情報の一例となる。
(4)歯科医師は、電子ブック27から受け取った病名、または、歯科医師の手で書籍から検索した病名をカルテシステムに登録する。この時、カルテシステムに登録される病名が、上述した「読者が真に欲しかった答え」の一例となる。
(5)診療処理部20は、ログDB28に(1)の「検索キーワード」、(3)の「検索結果の引用可否」、(4)の「読者が真に欲しかった答え」をセットで格納する。このため、参照ログデータには、「検索キーワード(検索対象)」、「検索結果の引用可否(検索結果の引用可否)」、及び、「読者が真に欲しかった答え(実際に登録された検索結果)」がセットで含まれる。
【0102】
そこで、サービス会社は、電子ブック27を出版する出版社に対して、「検索キーワードに対して、真に読者が欲しかった情報」をフィードバック情報とする統計処理結果を提供する。出版社は、「検索キーワードに対して、真に読者が欲しかった情報」が数件程度であれば、歯科医師個人の性格による違いとして捉えることができるが、上記の情報が数十件に及ぶ場合に、歯科医師全体の理解に何らかの傾向があると考えることができる。例えば、歯科医師の在住する地域、出身大学、配属先ごとに複数の語句の紐づけに関して傾向が存在することが知られている。そして、出版社にとっては、全国の歯科医師の操作履歴に基づいて統計処理が行われた、「検索キーワードに対して、真に読者が欲しかった情報」を得て、引用されやすい語句、又は引用されにくい語句を把握する。例えば、出版社は、引用されにくい語句に対して関連付けられる語句が記載されるページを、より引用されやすい語句や説明が記載されるように改版を検討することが可能となる。例えば、出版社は、歯科医師から問い合わせを受けやすい語句等の検索対象について、歯科医師が検索しやすいように電子ブック27を修正することができる。この結果、歯科医師は、検索しようとする語句を容易に電子ブック27から見つけ出すことができるので、メーカ等に問い合わせる機会が減り、会計待ちをしている患者を長時間にわたって待たせることもなくなる。
【0103】
さらに、「検索キーワード」から得られた「検索結果の引用可否」、「返戻情報」、「最終的に登録された情報」が、「検索キーワード」に紐づけされてログDB28及びカルテDB29にセットで記録されてもよい。ここで、「返戻情報」は、歯科医師がカルテシステムを用いて「最終的に登録された情報」を基に作成したレセプトを審査処理機関に提出した結果、当該レセプトが後日、返戻になったか否かを示す情報である。また、「最終的に登録された情報」として、例えば、カルテシステムに「最終的に登録された病名」が想定される。そして、診療処理部20は、カルテからレセプトを発行した際には、「検索キーワード」、「検索結果の引用可否」、「最終的に登録された情報」に対して、レセプトごとに割り振る「レセプトID」を紐付ける。そこで、診療処理部20は、
図2の参照ログデータに示したような、「検索キーワード」、「検索結果の引用可否」、「最終的に登録された情報」をログDB28及びカルテDB29に保存する。
【0104】
審査処理機関によるレセプトの審査の結果、レセプト内容に不備等があり、返戻となった場合には、診療処理部20は、カルテシステム(及びレセコン)上で返戻時に審査処理機関から指摘された事項を含む指摘事項データをCSV形式で取得できる。そこで、歯科医師がカルテシステムを用いて、審査処理機関から「レセプトID」に紐づけられた返戻データの取得に成功した場合、診療処理部20は、「検索キーワード」、「検索結果の引用可否」、「最終的に登録された情報」、「レセプトID」に「返戻情報」を紐付け、カルテDB29及びログDB28にこれらの情報を記録する。「検索結果の引用可否」は、例えば引用フラグで表される。引用フラグが立つと、歯科医師により検索結果が引用されたことが示され、引用フラグが立たなければ、歯科医師により検索結果が引用されなかったことが示される。
【0105】
サービス会社の統計処理サーバ3には、ログDB28から読み出された参照ログデータ等のデータが提供され、ログ管理DB31で情報が管理される。このため、サービス会社は、返戻が無かった場合において、「検索キーワード」に対する「最終的に登録された情報」が正しい情報(例えば、正しい病名)であることを出版社にフィードバックすることが可能となる。また、サービス会社は、返戻が無く、かつ、「検索キーワード」の検索結果を引用したことが「引用可否」によって判明した場合には、電子ブック27に記載されている病名が正しいという情報を出版社にフィードバックすることが可能となる。
【0106】
一方、サービス会社は、返戻があった場合において、「検索キーワード」に対する「最終的に登録された情報」が誤った情報(例えば、誤った病名)であることを出版社にフィードバックすることが可能となる。また、サービス会社は、返戻があり、かつ、「検索キーワード」の検索結果を引用したことが「引用可否」によって判明した場合には、「検索キーワード」に対する「最終的に登録された情報」を歯科医師に提示することが不適切であったことが分かる。このため、サービス会社は、出版社に対して書籍の内容を今一度点検する必要があるなどの警告をフィードバックすることが可能となる。
【0107】
<統計処理結果のフィードバック>
図13は、出版社にフィードバックされる統計処理結果の一例を示す表である。
上述したようにサービス会社は、カルテコンピュータ2で行われた電子ブック27の参照ログデータを統計処理した結果を、出版社にフィードバックする。統計処理結果には、上述した参照日時、閲覧ページ、検索に用いられたキーワード等の他、電子ブック27の使用された場所(カルテコンピュータ2が設置される都道府県)等の情報が含まれている。このフィードバック処理は、
図1に示したサービス会社の統計処理サーバ3が、出版社の電子ブック管理サーバ4に統計処理結果を提供する処理である。
【0108】
統計処理結果として、例えば、
図13に示す人気全文検索キーワードランキングがある。このランキングでは、歯科医師11の検索回数が多い順にキーワードが列挙されている。例えば、キーワード「抜歯」は、検索回数が100回であるため、所定期間で最も多く検索されたことが示される。
【0109】
このように検索されるキーワードには、歯科医院が設立される地域ごとに特性がある。また、統計処理結果には、入力された特定の語句が全文検索結果として一致したか否かに関する情報も含まれる。さらに、統計処理結果としては、歯科医師11がカルテコンピュータ2にアクセスしたアクセス日時(月末・月初のアクセス頻度統計、アクセス時間帯統計)の他、アクセスユーザ統計(医師、スタッフ、他)についても含まれる。
【0110】
統計処理結果を受け取った出版社では、検索上位のキーワードを検索しやすくしたり、検索結果として一致しなかった特定の語句を電子ブック43の文中に追加したりする改定、編集が可能となる。
【0111】
なお、歯科医師の出身大学、歯科医院の地域特性によっては、レセプト作成時に参照されるマニュアル本が異なっていたり、マニュアル本で参照される内容が異なっていたりする。このため、歯科医師毎に使用するマニュアル本の種類が異なることがある。そこで、サービス会社から情報を得た出版社は、歯科医師がどのマニュアルを使用しているか、使用されたマニュアル本がどのように使われているかを、出身大学、地域特性毎に関係づけて把握することもできる。そして、出版社は、歯科医師が使いやすいマニュアル本を編集することが可能となる。
【0112】
以上説明した第1の実施の形態に係る診療支援システム1では、歯科医師11がカルテ及びレセプトを作成する時に、各入力画面に入力欄と共に電子ブック27が表示される。この際、歯科医師11が入力中のカルテ及びレセプトの内容に関連したページが表示されるので、歯科医師11は、ページを参照しながらカルテ及びレセプトを作成することができる。このため、入力効率が向上すると共に、入力ミスを低減することが可能となる。
【0113】
また、患者12毎に異なる病名・処置名(治療名)・薬剤などの語句に関連するページが電子ブック27から検索され、検索結果が画面に表示される。この際、複数のページに語句が記載されている場合、複数のページのインデックスが画面に表示されるので、歯科医師11は、所望の事項が記載されてページを検索することが容易である。このため、効率よくカルテ及びレセプトを作成することができる。
【0114】
また、サービス会社にとっては、各地にある歯科医院のカルテコンピュータ2から取得した電子ブック27の参照ログデータに対する統計処理を行って、電子ブック27の使用状況を確認することができる。このため、サービス会社は、誰が、いつ、どの患者に対して、電子ブックのどこを参照したのかを把握することができる。また、サービス会社は、歯科医師11が検索入力した語句が電子ブック27に含まれなかった場合に、その語句がどのような状況で入力されたのかを把握できる。そして、サービス会社は、参照ログデータに基づいて統計処理した結果を出版社に提供すると共に、出版社に電子ブック27の修正を提案することができる。このため、サービス会社は、提供したサービスに対する報酬を出版社から得ることができる。
【0115】
また、サービス会社のインストラクターは、歯科医師11からの問合せに対し、インストラクターと歯科医師11が同じ種類及び版の電子ブック27を参照して、同じページを参照できる。このため、インストラクターは、問合せに対して、直ちに精度の高い回答が可能となり業務効率が格段に向上することが可能となる。
【0116】
また、出版社は、改定がある度に新しい版の電子ブック27をカルテコンピュータ2に配信することができる。加えて、出版社は、サービス会社から提供される統計処理結果に基づき、電子ブック27内で歯科医師11が頻繁に参照する語句を把握することができる。また、出版社は、サービス会社から電子ブック27の修正提案を受けることで、電子ブック27を使いやすく編集し、電子ブック27の内容を改善することができる。
【0117】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る診療支援システムの構成例について、
図14を参照して説明する。
図14は、第2の実施の形態に係る診療支援システム1Aの全体構成例を示す機能構成図である。
【0118】
診療支援システム1Aは、歯科医院ごとに配置された複数のカルテコンピュータ2(1)~2(n)を備える。各カルテコンピュータ2(1)~2(n)は、診療処理部20とデータ格納部25を備える。以下の説明で、カルテコンピュータ2(1)~2(n)を区別しない場合にカルテコンピュータ2と総称する。
【0119】
データ格納部25は、ログDB28とカルテDB29を備えるが、第1の実施の形態に係る電子ブックDB26及び電子ブック27は有していない。このため、診療処理部20は、カルテ及びレセプトの作成時に、サービス会社が管理するクラウドサーバ6に保存される電子ブック66を指示して、カルテコンピュータ2に接続されたPC13のWebブラウザに電子ブック66の該当ページを表示する。
【0120】
出版社が管理する電子ブック管理サーバ4は、電子ブック編集部41を備える。電子ブック編集部41が編集する電子ブック66は、サービス会社が運用を管理するクラウドサーバ6の電子ブックDB66に保存される。なお、電子ブック編集部41は、電子ブックDB66から任意の電子ブック66を読み出すことも可能である。
【0121】
サービス会社が管理するクラウドサーバ6には、カルテコンピュータ2及び電子ブック管理サーバ4がアクセス可能である。そして、クラウドサーバ6は、ログ管理DB61、統計処理部62、処理結果DB63、統計処理結果提供部64、電子ブックDB65、参照管理部67及び広告DB68を備える。ログ管理DB61、統計処理部62、処理結果DB63、統計処理結果提供部64及び広告DB68の各機能は、
図1に示したログ管理DB31、統計処理部32、統計処理結果DB33、統計処理結果提供部34及び広告DB37の各機能と同様である。また、電子ブックDB65の機能は、
図1に示した電子ブック管理サーバ4の電子ブックDB42の機能と同様である。
【0122】
歯科医院ごとに設けられたカルテコンピュータ2の診療処理部20は、カルテ及びレセプト作成時点における最新版の電子ブック66を参照するため、クラウドサーバ6にアクセスする。参照管理部67は、アクセス元であるカルテコンピュータ2から受信したコマンドに応じて、電子ブック66の該当箇所をカルテコンピュータ2に送信する。また、参照管理部67は、カルテコンピュータ2から電子ブック66の参照が要求されたページ等の情報をログ管理DB61に保存する。また、ログ管理DB61は、各カルテコンピュータ2に対して参照ログデータの収集コマンドを送信し、カルテコンピュータ2のログDB28から参照ログデータを収集し、保存する。その後、統計処理部62は、参照ログデータの統計処理を行い、統計処理結果を得る。
【0123】
以上説明した第2の実施の形態に係る診療支援システム1Aでは、サービス会社が管理するクラウドサーバ6の電子ブックDB65に電子ブック66が格納されている。このため、各歯科医院が備えるカルテコンピュータ2は、出版社の電子ブック編集部41によって編集された電子ブック66の最新版を利用することができる。また、サービス会社のクラウドサーバ6では、ログ管理DB61に蓄積された参照ログデータを用いて統計処理を行うことができ、電子ブック管理サーバ4に統計処理結果を提供することができる。
【0124】
[第3の実施の形態]
なお、サービス会社がクラウドサーバ6にカルテコンピュータ2の機能を構築してもよい。この場合、各歯科医院では、PC13のWebブラウザを介して、クラウドサーバ6にアクセスし、カルテコンピュータ2の機能を用いることができる。このような形態であれば、各歯科医院でカルテコンピュータ2用のサーバ等を用意する必要がなく、初期コストを低減することができる。また、サービス会社にとっても、リアルタイムで電子ブック66の検索結果を取得することができる。
【0125】
図15は、第3の実施の形態に係る診療支援システム1Bの全体構成例を示す機能構成図である。本実施の形態に係る診療支援システム1Bでは、第1及び第2の実施の形態に係るカルテコンピュータ2を不要とした構成とする。このため、歯科医院には、診療処理部20及びデータ格納部25は設けられない。
【0126】
診療支援システム1Bは、歯科医院ごとに配置された複数のPC13(1)~13(n)を備える。各PC13(1)~13(n)は、表示部13aと入力部13bを備える。以下の説明で、PC13(1)~13(n)を区別しない場合にPC13と総称する。PC13とクラウドサーバ6とは、暗号化、VPN(Virtual Private Network)等のセキュアな通信方式により、データを安全に送受信可能である。
【0127】
歯科医院で使用可能なPC13は、ノートPC、タブレットPCのいずれであってもよい。歯科医師は、PC13を使用して、クラウドサーバ6の認証画面にユーザID、パスワード等を入力することで、クラウドサーバ6の診療処理部71が提供する入力支援機能を用いることができる。PC13の表示部13aには、クラウドサーバ6から配信される各種の入力画面が表示される。この入力画面は、上述した第1及び第2の実施の形態に係るカルテコンピュータ2で用いられるカルテ入力画面の他、レセプト入力画面を含む。これらの入力画面は、表示部13aにインストールされるWebブラウザに表示される。
【0128】
歯科医師は、入力部13bを操作して、表示部13aに表示された各種の画面に語句を入力し、カルテ作成及びレセプト作成を行う。入力部13bが入力を受付けた語句は、語句の入力欄の情報と共に、クラウドサーバ6に送信される。
【0129】
クラウドサーバ6は、
図14に示した各機能部に加えて、データ格納部70、診療処理部71及びWebデータ変換部72を備える。
データ格納部70は、ログ管理DB61、電子ブックDB65及び広告DB68を備える。
診療処理部71は、データ格納部70を通じて各種のデータを読み出し、又は書き込むことが可能である。診療処理部71の機能は、上述した各実施の形態に係る診療処理部20と同様であるが、さらに、第2の実施の形態に係る参照管理部67の機能も有する。すなわち、診療処理部71が、診療に関わるデータを入力可能な画面及び電子ブック66をPC13が表示するための情報(htmlファイル、xmlファイル、画像ファイル等)をPC13に出力することができる。PC13のWebブラウザは、Webデータ変換部72から受信したデータを解釈して、入力画面を表示する。
【0130】
PC13の入力部13bが受け付けた内容は、入力データとしてWebデータ変換部72が受信する。Webデータ変換部72は、入力データを診療処理部71が取込可能な形式に変換した変換データを、診療処理部71に出力する。診療処理部71は、PC13から入力された検索対象を電子ブック66から検索した検索結果をPC13が表示するための情報をPC13に出力することが可能である。また、診療処理部71は、アクセス元であるPC13から受信したコマンドに応じて、電子ブック66の該当箇所をPC13に送信する。また、参照管理部67は、PC13から電子ブック66の参照が要求されたページ等の情報をログ管理DB61に保存する。
【0131】
Webデータ変換部72は、診療処理部71が生成する入力画面をWebデータに変換して歯科医院のPC13に配信する。PC13のWebブラウザは、Webデータを解釈して、入力画面を表示する。また、Webデータ変換部72は、PC13から受信した入力結果等のWebデータを診療処理部71が取込可能な形式に変換する。そして、Webデータ変換部72は、変換したデータを診療処理部71に出力する。また、診療処理部71は、PC13から受信し、Webデータ変換部72により変換されたデータに基づいて、電子ブック66を検索し、検索結果を、Webデータ変換部72を介してPC13に提供することができる。
【0132】
以上説明した第3の実施の形態に係る診療支援システム1Bでは、歯科医院がカルテコンピュータ2を用意しなくても、PC13を用意するだけで、カルテコンピュータ2の機能を利用することができる。このため、歯科医院のシステム導入に要するサーバ等の導入費用、継続費用を抑えることができる。また、PC13は、歯科医院に設置する必要はない。例えば、歯科医院の管理者が、歯科医院の外に持ち出したPC13を使って、クラウドサーバ6にアクセスすることもできる。このため、管理者が、カルテ及びレセプトの入力状況を確認することも容易である。
【0133】
[変形例]
なお、歯科医師11がPC13を通じて入力する項目のうち、ある項目における入力頻度の高い語句が、PC13の画面上に表示されるようにしてもよい。歯科医師11は、ガイドとして画面に表示された語句を参照することで、項目入力時の参考にすることが可能となる。
【0134】
また、上述した各実施の形態では、歯科診療におけるレセプト作成について説明したが、医師、看護師、理学療法士、柔道整復師等の診療に対する診療記録(カルテ)やレセプト等の作成時にも本発明を適用することが可能である。例えば、歯科だけでなく、医科、薬科、動物医療といった診療科であっても、カルテ及びレセプト作成時に必要とする書籍をデータ化した電子ブックをサービス会社がとりまとめ、書籍を必要とする医院等に提供できるようにする。このため、サービス会社が提供する診療処理部の機能を様々な診療科で利用して、必要な時に電子ブックを参照することが可能となる。
【0135】
また、電子ブックDB42には、歯科医師等が発表した論文や研究結果を取り込んでもよい。そして、出版社は、電子ブック43に含まれる項目に対して、論文や研究結果のWeb上の所在情報(URL等)を併記した電子ブック43を作成し、歯科医院に電子ブック27を配信してもよい。カルテコンピュータ2を使用する歯科医師は、ある特定の語句に併記されるWeb上の所在情報を選択することで、最新の論文や研究結果に容易にアクセスすることが可能となる。
【0136】
本発明は上述した各実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した各実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0137】
1,1A,1B…診療支援システム、2…カルテコンピュータ、3…統計処理サーバ、4…電子ブック管理サーバ、6…クラウドサーバ、20…診療処理部、25…データ格納部、26…電子ブックDB、27…電子ブック、28…ログDB、29…カルテDB、31…ログ管理DB、32…統計処理部、33…統計処理結果DB、34…統計処理結果提供部、41…電子ブック編集部、42…電子ブックDB、43…電子ブック、44…電子ブック配信部