(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158347
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20221006BHJP
B65D 21/04 20060101ALI20221006BHJP
B65D 25/28 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B65D25/20 V
B65D21/04
B65D25/28 103B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063157
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岩田 貴雄
【テーマコード(参考)】
3E006
3E062
【Fターム(参考)】
3E006AA03
3E006BA01
3E006CA01
3E006DA04
3E006DB03
3E006HA02
3E062AA01
3E062AB07
3E062AC02
3E062AC03
3E062CA11
3E062HA04
3E062HB09
3E062HC01
(57)【要約】
【課題】容器を配置する場合に、容器の配置作業の作業性を高めつつ、容器の載置スペースを削減すること。
【解決手段】容器本体(12)は、矩形状の底壁部(14)と、底壁部(14)の各辺部から立ち上がる横側壁部(16)、縦側壁部(18)とを有し、容器本体(12)の上辺部側に外方向に張り出した張出部(20)が形成され、張出部(20)は、横方向又は縦方向の両側に、平面視において内方向に窪んだ凹部(20d)と、平面視において外方向に突出した凸部(20s)とをそれぞれ有し、横方向又は縦方向の一方側に位置する凹部(20d)及び凸部(20s)と、横方向又は縦方向の他方側に位置する凹部(20d)及び凸部(20s)は、容器本体(12)の中心(12c)を基準として回転対称に配置されると共に、容器本体(12)の中心(12c)を通りかつ縦方向又は横方向に平行な仮想線(VL2,VL1)に対して非対称に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底壁部、及び前記底壁部の各辺部から立ち上がる側壁部を有し、上側を開口した容器本体と、
前記容器本体の上辺側に形成され、外方向に張り出した張出部と、を備え、
前記張出部は、横方向又は縦方向の両側に、平面視において内方向に窪んだ凹部と、平面視において外方向に突出した凸部とをそれぞれ有し、
横方向又は縦方向の一方側に位置する前記凹部及び前記凸部と、横方向又は縦方向の他方側に位置する前記凹部及び前記凸部は、前記容器本体の中心を基準として回転対称に配置されると共に、前記凹部及び前記凸部が前記横方向の一方側及び前記横方向の他方側に位置する場合に、前記容器本体の中心を通りかつ縦方向に平行な仮想線に対して非対称に配置され、前記凹部及び前記凸部が前記縦方向の一方側及び前記縦方向の他方側に位置する場合に、前記容器本体の中心を通りかつ横方向に平行な仮想線に対して非対称に配置されることを特徴とする容器。
【請求項2】
横方向又は縦方向に対向する一対の前記側壁部には持ち手部がそれぞれ形成され、前記張出部における各持ち手部の上縁から前記張出部の上辺に亘る部位の端面は、同一平面上に位置することを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記側壁部の外面に形成され、スタッキング状態に段積みされた下段側の容器の前記側壁部の上辺部に支持される支持部と、
前記側壁部の内面側に形成され、ネスティング状態に段積みされた上段側の容器の前記支持部を受容する受容部と、
前記スタッキング状態及び前記ネスティング状態のいずれの状態においても、前記張出部が横方向又は縦方向に隣接する側の容器の前記張出部に当接又は近接すると、前記張出部の前記凹部及び前記凸部が横方向又は縦方向に隣接する側の前記張出部の前記凸部及び前記凹部にそれぞれ係合することを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記スタッキング状態で段積みされたスタッキング容器群と、前記ネスティング状態で段積みされたネスティング容器群とが横並び又は縦並びに配置された場合に、前記スタッキング容器群のいずれかの容器の前記張出部と前記ネスティング容器群のいずれかの容器の前記張出部が当接又は近接すると、前記スタッキング容器群のいずれかの容器の前記凹部及び前記凸部と、前記ネスティング容器群のいずれかの容器の前記凸部及び前記凹部がそれぞれ係合することを特徴とする請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記スタッキング状態及び前記ネスティング状態で段積みされた2つの混在容器群が横並び又は縦並びに配置された場合に、一方の前記混在容器群のいずれかの容器の前記張出部と他方の前記混在容器群のいずれかの容器の前記張出部が当接又は近接すると、一方の前記混在容器群のいずれかの容器の前記凹部及び前記凸部と、他方の前記混在容器群のいずれかの容器の前記凸部及び前記凹部がそれぞれ係合することを特徴とする請求項3に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収容する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
物流システムにおいて物品の運搬又は保管等に用いられる容器は、箱型の容器本体を備えており、容器本体の上側は、開口されている。容器本体は、矩形状の底壁部と、底壁部の各辺部から立ち上がる側壁部とを有している。また、容器は、容器本体の上辺部側に形成されかつ外方向に張り出した張出部を備えている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の物流システムの発展に伴い、物品の運搬等に用いられる容器の個数が増大して、横並び又は縦並びに配置される容器の載置スペースが拡大している。そのため、容器を横並び又は縦並びに配置する場合に、容器の載置スペースを削減することが急務になっている。
【0005】
そこで、本発明の一態様は、横並び又は縦並びに容器を配置する場合に、容器の配置作業の作業性を高めつつ、容器の載置スペースを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するため、本発明の一態様に係る容器は、矩形状の底壁部、及び前記底壁部の各辺部から立ち上がる側壁部を有し、上側を開口した容器本体と、前記容器本体の上辺側(上縁側)に形成され、外方向に張り出した張出部と、を備え、前記張出部は、横方向又は縦方向の両側に、平面視において内方向に窪んだ凹部と、平面視において外方向に突出した凸部とをそれぞれ有し、横方向又は縦方向の一方側に位置する前記凹部及び前記凸部と、横方向又は縦方向の他方側に位置する前記凹部及び前記凸部は、前記容器本体の中心を基準として回転対称に配置されると共に、前記凹部及び前記凸部が前記横方向の一方側及び前記横方向の他方側に位置する場合に、前記容器本体の中心を通りかつ縦方向に平行な仮想線に対して非対称に配置され、前記凹部及び前記凸部が前記縦方向の一方側及び前記縦方向の他方側に位置する場合に、前記容器本体の中心を通りかつ横方向に平行な仮想線に対して非対称に配置される。
【0007】
前記の構成によれば、前記容器を横並び又は縦並びに配置する場合に、前記張出部の前記凹部及び前記凸部を横方向又は縦方向に隣接する側の前記容器の前記張出部の前記凸部及び前記凹部に係合させる。これにより、横方向又は縦方向に隣接する2つ前記容器の横方向又は縦方向の寸法を、1つの前記容器の横方向又は縦方向の寸法の2倍よりも前記凹部の窪み量及び前記凸部の突出量に応じた分だけ少なくすることができる。よって、前記容器を横並び又は縦並びに配置する場合に、容器の載置スペースを削減することができる。
【0008】
また、横方向又は縦方向の一方側に位置する前記凹部及び前記凸部と、横方向又は縦方向の他方側に位置する前記凹部及び前記凸部は、前記容器本体の中心を基準として回転対称に配置されている。前記凹部及び前記凸部が前記横方向の一方側及び前記横方向の他方側に位置する場合に、前記容器本体の中心を通りかつ縦方向に平行な仮想線に対して非対称に配置される。前記凹部及び前記凸部が前記縦方向の一方側及び前記縦方向の他方側に位置する場合に、前記容器本体の中心を通りかつ横方向に平行な仮想線に対して非対称に配置される。そのため、前記容器の向きを同じにした状態だけでなく、反転させた状態においても、前記張出部の前記凹部及び前記凸部を横方向又は縦方向に隣接する側の前記容器の前記張出部の前記凸部及び前記凹部に係合させることができる。これにより、前記容器の向きを考慮することなく、前記容器の横並び又は縦並びに配置することができる。よって、前記容器を横並び又は縦並びに配置する場合に、前記容器の配置作業の作業性を高めることができる。
【0009】
本発明の一態様に係る容器において、横方向又は縦方向に対向する一対の前記側壁部には持ち手部がそれぞれ形成され、前記張出部における各持ち手部の上縁から前記張出部の上辺に亘る部位の端面は、同一平面上に位置してもよい。
【0010】
前記の構成によれば、前記張出部における各持ち手部の上縁から前記張出部の上辺に亘る部位の端面が同一平面上に位置しているため、作業者が前記持ち手部を手で持つ際に、手当たりがよくなる。
【0011】
本発明の一態様に係る容器において、前記側壁部の外面に形成され、スタッキング状態に段積みされた下段側の容器の前記側壁部の上辺部に支持される支持部と、前記側壁部の内面側に形成され、ネスティング状態に段積みされた上段側の容器の前記支持部を受容する受容部と、前記スタッキング状態及び前記ネスティング状態のいずれの状態においても、前記張出部が横方向又は縦方向に隣接する側の容器の前記張出部に当接又は近接すると、前記張出部の前記凹部及び前記凸部が横方向又は縦方向に隣接する側の前記張出部の前記凸部及び前記凹部にそれぞれ係合してもよい。
【0012】
前記の構成によれば、スタッキング状態及びネスティング状態のいずれの状態においても、段積みされた容器群を横並び又は縦並びに配置する場合に、前記張出部の前記凹部及び前記凸部を横方向又は縦方向に隣接する側の前記容器の前記張出部の前記凸部及び前記凹部に係合させる。これにより、横方向又は縦方向に隣接する2つ前記容器群の横方向又は縦方向の寸法を、1つの前記容器の横方向又は縦方向の寸法の2倍よりも前記凹部の窪み量及び前記凸部の突出量に応じた分だけ少なくすることができる。また、スタッキング状態及びネスティング状態のいずれの状態においても、前記容器の向きを考慮することなく、段積みされた前記容器群の横並び又は縦並びに配置することができる。
【0013】
本発明の一態様に係る容器において、前記スタッキング状態で段積みされたスタッキング容器群と、前記ネスティング状態で段積みされたネスティング容器群とが横並び又は縦並びに配置された場合に、前記スタッキング容器群のいずれかの容器の前記張出部と前記ネスティング容器群のいずれかの容器の前記張出部が当接又は近接すると、前記スタッキング容器群のいずれかの容器の前記凹部及び前記凸部と、前記ネスティング容器群のいずれかの容器の前記凸部及び前記凹部がそれぞれ係合してもよい。
【0014】
前記の構成によれば、前記スタッキング容器群と前記ネスティング容器群を横並び又は縦並びに配置する場合に、前記スタッキング容器群における最上段側の前記容器の前記張出部の前記凹部及び前記凸部と、前記ネスティング容器群における最上段側の前記容器の前記張出部の前記凸部及び前記凹部をそれぞれ係合させる。また、前記スタッキング容器群における最下段側の前記容器の前記張出部の前記凹部及び前記凸部と、前記ネスティング容器群における最下段側の前記容器の前記張出部の前記凹部と前記凸部をそれぞれ係合させる。これにより、横方向又は縦方向に隣接する前記スタッキング容器群と前記ネスティング容器群の横方向又は縦方向の寸法を、1つの前記容器の横方向又は縦方向の寸法の2倍よりも前記凹部の窪み量及び前記凸部の突出量に応じた分だけ少なくすることができる。
【0015】
本発明の一態様に係る容器において、前記スタッキング状態及び前記ネスティング状態で段積みされた2つの混在容器群が横並び又は縦並びに配置された場合に、一方の前記混在容器群のいずれかの容器の前記張出部と他方の前記混在容器群のいずれかの容器の前記張出部が当接又は近接すると、一方の前記混在容器群のいずれかの容器の前記凹部及び前記凸部と、他方の前記混在容器群のいずれかの容器の前記凸部及び前記凹部がそれぞれ係合してもよい。
【0016】
前記の構成によれば、2つの前記混合容器群を横並び又は縦並びに配置する場合に、一方の前記混在容器群におけるいずれかの前記容器の前記張出部の前記凹部及び前記凸部と、他方の前記混合容器群におけるいずれかの前記容器の前記張出部の前記凹部及び前記凸部をそれぞれさせる。これにより、横方向又は縦方向に隣接する2つの前記混合容器群の横方向又は縦方向の寸法を、1つの前記容器の横方向又は縦方向の寸法の2倍よりも前記凹部の窪み量及び前記凸部の突出量に応じた分だけ少なくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、容器を横並び又は縦並びに配置する場合に、容器の配置作業の作業性を高めつつ、容器の載置スペースを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】
図1に記載の容器を下側から見た斜視図である。
【
図4】横並びに配置された
図1に記載の複数の容器の平面図であって、容器の向きを同じにした様子を示している。
【
図5】横並びに配置された
図1に記載の複数の容器の平面図であって、容器の向きを反転させた様子を示している。
【
図7】
図6におけるVII-VII線に沿った断面図である。
【
図9】
図8におけるIX-IX線に沿った断面図である。
【
図10】横並びに配置されたスタッキング容器群とネスティング容器群を示す図である。
【
図11】横並びに配置された2つの混合容器群を示す図である。
【
図12】本実施形態の変形例に係る容器の斜視図である。
【
図13】横並びに配置された
図12に記載の複数の容器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、横方向とは、容器又は容器本体の横方向のことであって、水平方向の1つである。縦方向とは、容器又は容器本体の縦方向のことであって、横方向に直交する水平方向の1つである。高さ方向とは、容器又は容器本体の高さ方向のことであって、垂直方向(上下方向)のことである。外方向とは、容器又は容器本体の外側に向かう方向のことであり、内方向とは、容器又は容器本体の内側に向かう方向のことである。矩形状とは、厳密な矩形形状に限るものでなく、角部が湾曲状になっていても、全体的に矩形状である視認できる場合も含む意である。図面中、「CD」は横方向、「LD」は縦方向、「HD」は高さ方向をそれぞれ示している。
【0020】
(本実施形態)
図1から9を参照して、本実施形態に係る容器10の全体的な構成について説明する。
【0021】
(容器10の概要)
図1に示すように、本実施形態に係る容器10は、物品を収容する容器であって、例えば物流システムにおいて物品の運搬又は保管等に用いられる。容器10は、例えばポリプロピレン等の樹脂からなり、射出成形によって成形される。なお、容器10の構成材料は、樹脂に限るものでなく、例えばアルミニウム等の金属であってもよい。容器10の製造手法は、射出成形に限るものでなく、射出成形以外の製法手法であってもよい。
【0022】
(容器本体12)
図1から3に示すように、容器10は、箱型の容器本体12を備えており、容器本体12の上側は、開口されている。容器本体12は、矩形状の底壁部14と、底壁部14の各短辺側辺部から立ち上がる横側壁部16と、底壁部14の各長辺側辺部から立ち上がる縦側壁部18とを有している。一対の横側壁部16は、横方向に対向しており、各横側壁部16は、縦方向に延びている。一対の縦側壁部18は、縦方向に対向しており、各縦側壁部18は、横方向に延びている。
【0023】
(張出部20等)
図1及び2に示すように、容器10は、その上辺側(上縁及びその近傍)に形成されかつ外方向に張り出した矩形枠状の張出部20を有している。張出部20は、容器本体12の上辺側に形成された矩形枠状の上フランジ部22と、容器本体12の上辺側における上フランジ部22の下側に形成された矩形枠状の中間フランジ部24と、容器本体12の上辺側における中間フランジ部24の下側に形成された矩形枠状の下フランジ部26とを含んでいる。
【0024】
容器本体12の上辺側には、複数の垂直リブ28が上下方向に沿って形成されており、複数の垂直リブ28は、容器本体12の周方向に沿って間隔を置いて配置されている。複数の垂直リブ28は、3つのフランジ部(上フランジ部22、中間フランジ部24、及び下フランジ部26)又は2つのフランジ部(上フランジ部22及び中間フランジ部24)を連結する。
【0025】
なお、張出部20が上フランジ部22、中間フランジ部24、及び下フランジ部26を含む代わりに、上フランジ部22のみ含むようにしてもよい。また、張出部20が上フランジ部22等のフランジ部を含む代わりに、張出部20の断面形状を内方向に向かって開口した横U字形状に形成してもよい。
【0026】
(持ち手部30)
図1及び2に示すように、各横側壁部16の上辺側には、容器10を持つための矩形状の持ち手部30が形成されている。各持ち手部30の一部は、中間フランジ部24の一部、下フランジ部26の一部、及び垂直リブ28の一部によって構成されている。なお、各持ち手部30は、各横側壁部16を貫通する貫通穴になっているが、各横側壁部16を貫通しない有底穴になっていてもよい。持ち手部30の形状も矩形状に限定するものでなく、矩形状以外の適宜の形状に変更してもよい。
【0027】
また、持ち手部30は、各横側壁部16に形成される代わりに、各縦側壁部18の上辺側に形成されてもよい。また、持ち手部30は、各横側壁部16に形成されると共に、各縦側壁部18の上辺側に形成されてもよい。即ち、持ち手部30は、各横側壁部16と各縦側壁部18とにそれぞれ形成されてもよい。
【0028】
(受け部32)
図1及び3に示すように、各横側壁部16の上辺部には、一対の平坦な受け部32が段差状に形成されており、各一対の受け部32は、縦方向に離隔している。4つの受け部32は、容器本体12の中心12cを通りかつ横方向に平行な第1仮想線VL1に対して線対称に配置されている。4つの受け部32は、容器本体12の中心を通りかつ縦方向に平行な第2仮想線VL2に対して非対称に配置されている。
【0029】
(支持部34)
図1、2、3、6、及び7に示すように、各横側壁部16の外面には、上下方向に延びた一対の支持部34が形成されており、各一対の支持部34は、縦方向に離隔している。各支持部34は、スタッキング状態で段積みされた下段側の容器10の横側壁部16の上辺部である受け部32に支持される。また、各支持部34は、ネスティング状態で段積みされた1つの容器10を挟んで下段側の容器10の受け部32に支持される。4つの支持部34は、第1仮想線VL1に対して線対称に配置されており、第2仮想線VL2に対して非対称に配置されている。各支持部34は、各横側壁部16に形成された一対の支持リブ36を有しており、一対の支持リブ36は、縦方向に対向している。各支持リブ36は、各横側壁部16の下辺部から下フランジ部26にかけて上下方向に延びている。各支持部34は、一対の支持リブ36の下端部を連結する連結片38を有している。
【0030】
ここで、スタッキング状態とは、
図6及び7に示すように、容器10の段積みの一形態であって、上下の容器10同士の向きを同じに保ちながら、容器10同士を嵌合させることなく接触(当接)させた状態のことである。ネスティング状態とは、
図8及び9に示すように、容器10の段積みの一形態であって、上下の容器10同士のうち一方の容器10の向きを反転させ、容器10同士を嵌合させた状態のことである。
【0031】
(受容部40)
図1、2、3、8、及び9に示すように、各横側壁部16の内面側には、ネスティング状態で段積みされた上段側の容器10の支持部34を受容する溝状の一対の受容部40が形成されており、各一対の受容部40は、縦方向に離隔している。各受容部40は、上下方向に延びており、各受け部32に縦方向に隣接する位置に配置されている。各受容部40の上端側は、上フランジ部22上において開口されている。ネスティング状態で段積みされた上段側の容器10の支持部34が受容部40を挿通できるように、各受容部40の下端側は、開口されている。4つの受容部40は、第1仮想線VL1に対して線対称に配置されており、第2仮想線VL2に対して非対称に配置されている。各横側壁部16における各受容部40に対応する部位には、外方向に膨出した膨出部42が形成されている。
【0032】
なお、一対の受け部32、一対の支持部34、及び一対の受容部40を各横側壁部16に形成すると共に、各縦側壁部18に形成してもよい。一対の受け部32、一対の支持部34、及び一対の受容部40を各横側壁部16に形成する代わりに、各縦側壁部18に形成してもよい。また、一対の受け部32を省略して、各支持部34が、スタッキング状態で下段側の容器10の横側壁部16の張出部20(上フランジ部22)に支持されるようにしてもよい。
【0033】
(凹部20d及び凸部20s)
図3から5に示すように、張出部20は、横方向の両側に、平面視において内方向に窪んだ凹部20dと、平面視において外方向に突出した凸部20sとをそれぞれ有している。横方向の一方側に位置する凹部20d及び凸部20sと、横方向の他方側に位置する凹部20d及び凸部20sは、それぞれ同形状であって、容器本体12の中心12cを基準として回転対称に配置されている。横方向の一方側に位置する凹部20d及び凸部20sと、横方向の他方側に位置する凹部20d及び凸部20sは、第2仮想線VL2に対して非対称に配置されている。
【0034】
容器10Aの凸部20s及び凹部20dは、平置き状態(一段積み状態)、スタッキング状態、及びネスティング状態のいずれの状態においても、容器10Aの張出部20が横方向に隣接する側の容器10Bの張出部20に当接又は近接(近接対向)すると、容器10Aの凹部20d及び凸部20sが横方向に隣接する側の容器10Bの凸部20s及び凹部20dにそれぞれ係合する。ここで、容器10Aの凹部20d及び凸部20sが隣接する側の容器10Bの凹部20d及び凸部20sにそれぞれ係合するとは、容器10Aの凹部20dが隣接する側の容器10Bの凸部20sに係合しかつ容器10Aの凸部20sが隣接する側の容器10Bの凹部20dに係合することである。
【0035】
張出部20における各持ち手部30の上縁から張出部20の上辺に亘る部位の端面は、同一平面上に位置する。換言すれば、張出部20における各持ち手部30に対応する部位の外端部は、平面視において直線状に形成されている。
【0036】
(スタッキング容器群SFとネスティング容器群NFに関する構成)
次に、
図10を参照して、横並びに配置されたスタッキング容器群SFとネスティング容器群NFに関する構成について説明する。
【0037】
図10に示すように、スタッキング容器群SFとネスティング容器群NFが横並びに配置された場合に、スタッキング容器群SFにおけるいずれかの容器10Bの張出部20とネスティング容器群NFにおけるいずれかの容器10Aの張出部20が当接又は近接(近接対向)する。すると、スタッキング容器群SFにおけるいずれかの容器10Bの凹部20d及び凸部20sと、ネスティング容器群NFにおけるいずれかの容器10Aの凹部20dと凸部20sがそれぞれ係合する。ここで、スタッキング容器群SFとは、スタッキング状態で段積みされた複数(本実施形態では、例えば2つ)の容器10からなる容器群のことである。ネスティング容器群NFとは、ネスティング状態で段積みされた複数(本実施形態では、例えば3つ)の容器10からなる容器群のことである。スタッキング容器群SFとネスティング容器群NFは、同じ高さである。なお、同じ高さとは、厳密に同じ高さに限定するものでなく、±5mmの誤差がある場合も含む意である。
【0038】
具体的には、スタッキング容器群SFとネスティング容器群NFが横並びに配置された場合に、スタッキング容器群SFにおける最上段側の容器10Bの張出部20とネスティング容器群NFにおける最上段側の容器10Aの張出部20が当接又は近接(近接対向)する。すると、スタッキング容器群SFにおける最上段側の容器10Bの凹部20d及び凸部20sと、ネスティング容器群NFにおける最上段側の容器10Aの凸部20s及び凹部20dがそれぞれ係合する。また、スタッキング容器群SFにおける最下段側の容器10Bの張出部20とネスティング容器群NFにおける最下段側の容器10Aの張出部20が当接又は近接する。すると、スタッキング容器群SFにおける最下段側の容器10Bの凹部20d及び凸部20sと、ネスティング容器群NFにおける最下段側の容器10Aの凸部20s及び凹部20dがそれぞれ係合する。
【0039】
(2つの混合容器群MFに関する構成)
続いて、
図11を参照して、横並びに配置された2つの混合容器群MFに関する構成について説明する。
【0040】
図11に示すように、2つの混合容器群MFが横並びに配置された場合に、一方の混合容器群MFにおけるいずれかの容器10Aの張出部20と他方の混合容器群MFにおけるいずれかの容器10Bの張出部20が当接又は近接(近接対向)する。すると、一方の混合容器群MFにおけるいずれかの容器10Aの凹部20d及び凸部20sと、他方の混合容器群MFにおけるいずれかの容器10Bの凸部20s及び凹部20dがそれぞれ係合する。ここで、混合容器群MFとは、スタッキング状態及びネスティング状態で段積みされた複数(本実施形態では、例えば5つ)の容器10からなる容器群のことである。2つの混合容器群MFは、同じ高さである。
【0041】
具体的には、2つの混合容器群MFが横並びに配置された場合に、一方の混合容器群MFにおける最上段側の容器10Aの張出部20と他方の混合容器群NFにおける最上段側の容器10Bの張出部20が当接又は近接(近接対向)する。すると、一方の混合容器群MFにおける最上段側の容器10Aの凹部20d及び凸部20sと、他方の混合容器群NFにおける最上段側の容器10Bの凸部20s及び凹部20dがそれぞれ係合する。また、一方の混合容器群MFにおける最下段側の容器10Aの張出部20と他方の混合容器群MFにおける最下段側の容器10Bの張出部20が当接又は近接する。すると、一方の混合容器群MFにおける最下段側の容器10Aの凹部20d及び凸部20sと、他方の混合容器群MFにおける最下段側の容器10Bの凸部20s及び凹部20dがそれぞれ係合する。
【0042】
また、一方の混合容器群MFにおける最下段側の容器10Aから中段側の容器10Aは、ネスティング状態で段積みされたネスティング容器群に相当する。他方の混合容器群MFにおける最下段側の容器10Bから中段側の容器10Bは、スタッキング状態で段積みされたスタッキング容器群に相当する。一方の混合容器群MFにおけるネスティング容器群と他方の混合容器群MFにおけるスタッキング容器群においては、前述のスタッキング容器群SF(
図10)とネスティング容器群NF(
図10)に関する構成が適用される。
【0043】
即ち、本発明は、スタッキング容器群SF、ネスティング容器群NF、混合容器群MFのいずれの容器群が横並びに配置された場合であっても、一方の容器群におけるいずれかの容器10の凹部20d及び凸部20sと、他方の容器群におけるいずれかの容器10の凸部20s及び凹部20dがそれぞれ係合する。なお、混合容器群MFにおけるネスティング容器群とスタッキング容器群との段積み形態(各容器群の段積み数の相違、積み重ね方向における各容器群の順番)は、特に限定されない。
【0044】
(実施形態の作用効果)
平置き状態、スタッキング状態、ネスティング状態のいずれの状態においても、容器10を横並びに配置する場合に、容器10Aの凹部20dと凸部20sを横方向に隣接する側の容器10Bの凹部20dと凸部20sに係合させることができる。これにより、横方向に隣接する2つ容器10(10A,10B)又は2つの容器群SF,NFの横方向の寸法を、1つの容器10の横方向の寸法の2倍よりも凹部20dの窪み量及び凸部20sの突出量に応じた分だけ少なくすることができる。よって、本実施形態1によれば、容器10を横並びに配置する場合に、載置スペースを削減することができる。
【0045】
また、前述のように、横方向の一方側に位置する凹部20d及び凸部20sと、横方向の他方側に位置する凹部20d及び凸部20sは、容器本体12の中心12cを基準として回転対称に配置されている。横方向の一方側に位置する凹部20d及び凸部20sと、横方向の他方側に位置する凹部20d及び凸部20sは、第2仮想線VL2に対して非対称に配置されている。そのため、容器10(10A,10B)の向きを同じにした状態だけでなく、反転させた状態においても、容器10Aの凹部20dと凸部20sを横方向に隣接する側の容器10Bの凹部20dと凸部20sに係合させることができる。これにより、容器10(10A,10B)の向きを考慮することなく、容器10(10A,10B)の横並びに配置することができる。よって、(10A,10B)本実施形態によれば、容器10(10A,10B)を横並びに配置する場合に、容器10の配置作業の作業性を高めることができる。
【0046】
スタッキング容器群SFとネスティング容器群NFを横並びに配置する場合には、スタッキング容器群SFのいずれかの容器10Aの凹部20d及び凸部20sと、ネスティング容器群NFのいずれかの容器10Bの凹部20dと凸部20sをそれぞれ係合させる。これにより、横方向に隣接するスタッキング容器群SFとネスティング容器群NFの横方向の寸法を、1つの容器10(10A,10B)の横方向の寸法の2倍よりも凹部20dの窪み量及び凸部20sの突出量に応じた分だけ少なくすることができる。また、容器10(10A,10B)の向きを考慮することなく、スタッキング容器群SFとネスティング容器群NFを横並びに配置することができる。
【0047】
2つの混合容器群MFを横並びに配置する場合には、一方の混在容器群MFにおけるいずれかの容器10Aの凹部20d及び凸部20sと、他方の混合容器群MFにおけるいずれかの容器10Bの凹部20d及び凸部20sをそれぞれ係合させる。これにより、横方向に隣接する2つの混合容器群MFの横方向の寸法を、1つの容器10(10A,10B)の横方向の寸法の2倍よりも凹部20dの窪み量及び凸部20sの突出量に応じた分だけ少なくすることができる。また、容器10(10A,10B)の向きを考慮することなく、2つの混合容器群MFを横並びに配置することができる。
【0048】
つまり、本実施形態によれば、容器10(10A,10B)を横並びに配置する場合に、容器10(10A,10B)の配置作業の作業性を高めつつ、容器10の載置スペースを削減することができる。
【0049】
また、前述のように、張出部20における各持ち手部30の上縁から張出部20の上辺に亘る部位の端面は、同一平面上に位置する。作業者が各持ち手部30を手で持つ際に、手当たりがよくなる。よって、本実施形態によれば、容器10が持ち易くなり、容器10の取扱性を高めることができる。
【0050】
(実施形態の変形例)
図12及び13を参照して、本実施形態の変形例に係る容器44の構成について説明する。
【0051】
図12及び13に示すように、本実施形態の変形例に係る容器44は、本実施形態に係る容器10(
図1参照)と同様の構成を有しており、容器44の構成のうち、容器10と異なる構成についてのみ説明する。なお、容器44の複数の構成要素のうち、容器10の各構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付している。
【0052】
張出部20は、横方向の両側に、平面視において内方向に窪んだ複数の凹部20dと、平面視において外方向に突出した複数の凸部20sとをそれぞれ有している。横方向の一方側に位置する複数の凹部20d及び複数の凸部20sと、横方向の他方側に位置する複数の凹部20d及び複数の凸部20sは、容器本体12の中心12cを基準として回転対称に配置されている。横方向の一方側に位置する複数の凹部20d及び複数の凸部20sと、横方向の他方側に位置する複数の凹部20d及び複数の凸部20sは、第2仮想線VL2に対して非対称に配置されている。
【0053】
平置き状態、スタッキング状態、及びネスティング状態のいずれの状態においても、容器44Aの張出部20が横方向に隣接する側の容器44Bの張出部20に当接又は近接(近接対向)すると、容器44Aの複数の凹部20d及び複数の凸部20sが横方向に隣接する側の容器44Bの複数の凸部20s及び複数の凹部20dにそれぞれ係合する。
【0054】
そして、本実施形態の変形例においても、前述の本実施形態の作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0055】
(他の実施形態)
詳細な図示は省略するが、張出部20が横方向の両側に凹部20dと凸部20sとをそれぞれ有する代わりに、縦方向の両側に凹部20dと凸部20sとをそれぞれ有してもよい。張出部20が横方向の両側に凹部20dと凸部20sとをそれぞれ有すると共に、縦方向の両側に凹部20dと凸部20sとをそれぞれ有してもよい。縦方向の一方側に位置する凹部20d及び凸部20sと、縦方向の他方側に位置する凹部20d及び凸部20sは、それぞれ同形状であって、容器本体12の中心12cを基準として回転対称に配置されている。縦方向の一方側に位置する凹部20d及び凸部20sと、縦方向の他方側に位置する凹部20d及び凸部20sは、第1仮想線VL1に対して非対称に配置されている。
【0056】
この場合には、平置き状態、スタッキング状態、及びネスティング状態のいずれの状態においても、容器10の張出部20が縦方向に隣接する側の容器10Bの張出部20に当接又は近接(近接対向)する。すると、容器10Aの凹部20d及び凸部20sが縦方向に隣接する側の容器10Bの凸部20s及び凹部20dにそれぞれ係合する。
【0057】
また、2つの混合容器群MFが縦並びに配置された場合に、一方の混合容器群MFにおけるいずれかの容器10Aの張出部20と他方の混合容器群MFにおけるいずれかの容器10Bの張出部20が当接又は近接(近接対向)する。すると、一方の混合容器群MFにおけるいずれかの容器10Aの凹部20d及び凸部20sと、他方の混合容器群MFにおけるいずれかの容器10Bの凹部20d及び凸部20sがそれぞれ係合する。
【0058】
そして、他の実施形態においても、前述の本実施形態の作用効果と同様の作用効果を奏し、容器10を縦並びに配置する場合に、容器10の配置作業の作業性を高めつつ、容器10の載置スペースを削減することができる。
【0059】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10 容器
10A 容器
10B 容器
12 容器本体
14 底壁部
16 横側壁部(側壁部)
18 縦側壁部(側壁部)
20 張出部
20d 凹部
20s 凸部
22 上フランジ部
24 中間フランジ部
26 下フランジ部
28 垂直リブ
30 持ち手部
32 受け部
34 支持部
36 支持リブ
38 連結片
40 受容部
42 膨出部
44 容器
44A 容器
44B 容器
SF スタッキング容器群
NF ネスティング容器群
MF 混合容器群