(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158354
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】ノズル詰まり除去具
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20221006BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20221006BHJP
E04F 21/165 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B05C5/00 A
B65D85/00 L
E04F21/165 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063167
(22)【出願日】2021-04-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】521144074
【氏名又は名称】金谷 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100190702
【弁理士】
【氏名又は名称】筧田 博章
(72)【発明者】
【氏名】金谷 邦夫
【テーマコード(参考)】
3E068
4F041
【Fターム(参考)】
3E068AA24
3E068AC09
3E068CC14
3E068CD02
3E068DD08
3E068DD17
3E068DD18
3E068DE15
3E068EE32
3E068EE40
4F041AA08
4F041AA17
4F041AA19
4F041AB01
4F041CB02
4F041CB43
4F041CB55
(57)【要約】
【課題】
カートリッジのノズル内の詰まりを防止することができ、しかも、未使用のカートリッジだけでなく使用済みのカートリッジにも容易に装着することができ、カートリッジに装着したままでノズルからコーキング材を吐出できるノズル詰まり防止具を提供する。
【解決手段】
ノズルの詰まり防止具は、コーキング材が収容されるカートリッジ本体と、カートリッジ本体に着脱可能なノズルと、を備えるコーキング材のカートリッジのノズルの詰まりを防止するためのものであって、カートリッジに着脱可能な着脱部と、着脱部から延びる付着部と、を備え、付着部は、ノズルをカートリッジに装着した状態において、少なくとも一部がノズル内に入れられ、かつ、ノズルからコーキング材を吐出することが可能な形状である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーキング材が収容されるカートリッジ本体と、前記カートリッジ本体に着脱可能なノズルと、を備える前記コーキング材のカートリッジの前記ノズルの詰まりを防止するノズル詰まり防止具であって、
前記カートリッジに着脱可能な着脱部と、
前記着脱部から延びる付着部と、
を備え、
前記付着部は、前記ノズルを前記カートリッジに装着した状態において、少なくとも一部が前記ノズル内に入れられ、かつ、前記ノズルから前記コーキング材を吐出することが可能な形状であるノズル詰まり防止具。
【請求項2】
前記付着部は、ノズル内に入れられる部分に、前記付着部への前記コーキング材の付着性を向上させる付着補助部を備える請求項1記載のノズル詰まり防止具。
【請求項3】
前記付着補助部は、前記付着部から突出する突出部である請求項2記載のノズル詰まり防止具。
【請求項4】
前記付着部は、シート状であり、
前記付着補助部は、前記付着部を切り欠いて起こした切り起こし部である請求項2記載のノズル詰まり防止具。
【請求項5】
前記付着部は、シート状であり、
前記付着補助部は、前記付着部の縁に設けられる鋸歯状の歯部である請求項2記載のノズル詰まり防止具。
【請求項6】
前記カートリッジは、前記コーキング材を前記ノズルに送るための導出部を備え、
前記ノズルおよび前記導出部は、それぞれ前記ノズルを前記導出部に締結可能とするネジを備え、
前記付着部は、変形可能なものであって、前記ノズルおよび前記導出部の前記ネジの間に通されて、前記ノズル内に入れられ、前記ノズルおよび前記導出部の前記ネジの間で貫通し、前記ノズルおよび前記導出部の前記ネジを直接噛み合わせる貫通窓を備える請求項1~5のいずれか1項に記載のノズル詰まり防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル詰まり防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築工事等においては、部材間の隙間にコーキング材を注入して隙間を埋めるコーキング作業が行われる。コーキング作業には、コーキング材が収容されるカートリッジ本体と、カートリッジ本体に着脱可能なノズルとを備える一般的なカートリッジが用いられる。カートリッジは、コーキングガンに装着され、コーキングガンを操作することによりノズルからコーキング材が吐出される。
【0003】
コーキング作業を終えたカートリッジは、時間が経過すると、ノズル内でコーキング材が硬化(半硬化を含む)し、ノズルが詰まる。そのため、ノズルが詰まったカートリッジを用いて再度コーキング作業を行う場合には、ノズル内で硬化したコーキング材を取り除く必要がある。ノズル内で硬化したコーキング材は、ノズルに強固に付着しているので、取り除きにくく、その除去に手間や時間がかかる。
【0004】
特許文献1および特許文献2には、カートリッジのノズル内に装着し、ノズル内の硬化したコーキング材を除去する道具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-116175号公報
【特許文献2】特開2012-62739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2の道具は、ノズル内を全て覆うものであり、ノズルにコーキング材が充填されていない未使用のカートリッジには容易に装着することができるが、使用済みのカートリッジのノズルには、コーキング材が充填されているため、そのまま装着することができず、装着するにはノズル内からコーキング材を除去する必要があり、その手間や時間が掛かる。また、特許文献1および特許文献2の道具は、ノズルに装着すると、ノズル内を塞いでしまうため、ノズル内に装着した状態では、ノズルからコーキング材を吐出することができない。また、特許文献1および特許文献2の道具は、ノズルに装着すると、ノズル内でコーキング材が硬化しておらず、コーキング材を吐出可能な状態であっても、コーキング材を吐出する場合には、一端ノズルから取り外したり、道具に穴をあけたりするなどの作業が必要となり、その手間や時間が掛かる。しかも、一端ノズルから取り外す場合には、使用可能なコーキング材をノズルから取り除くこととなり、そのコーキング材が無駄になる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、カートリッジのノズル内の詰まりを防止することができ、しかも、未使用のカートリッジだけでなく使用済みのカートリッジにも容易に装着することができ、カートリッジに装着したままでノズルからコーキング材を吐出できるノズル詰まり防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ノズルの詰まり防止具は、コーキング材が収容されるカートリッジ本体と、カートリッジ本体に着脱可能なノズルと、を備えるコーキング材のカートリッジのノズルの詰まりを防止するためのものであって、カートリッジに着脱可能な着脱部と、着脱部から延びる付着部と、を備え、付着部は、ノズルをカートリッジに装着した状態において、少なくとも一部がノズル内に入れられ、かつ、ノズルからコーキング材を吐出することが可能な形状である。
【0009】
付着部は、シート状であることが好ましい。また、付着部は、変形可能なものであってもよい。また、付着部は、ノズルの内面に沿う形状であってもよい。また、付着部は、幅が先端に向かって狭くなる形状であってもよい。また、付着部は、先端が尖った形状であってもよい。
【0010】
付着部は、ノズル内に入れられる部分に、付着部へのコーキング材の付着性を向上させる付着補助部を備えることが好ましい。
【0011】
付着補助部は、付着部から突出する突出部であってもよい。突出部は、ノズル内で内側に向かって突出するものが好ましい。
【0012】
付着部は、シート状であり、付着補助部は、付着部を切り欠いて起こした切り起こし部であってもよい。切り起こし部は、ノズル内で内側に向かって突出するように起こされているものが好ましい。
【0013】
付着部は、シート状であり、付着補助部は、付着部の縁に設けられる鋸歯状の歯部であってもよい。
【0014】
カートリッジは、コーキング材をノズルに送るための導出部を備え、ノズルおよび導出部は、それぞれノズルを導出部に締結可能とするネジを備え、付着部は、変形可能なものであって、ノズルおよび導出部のネジの間に通されてノズル内に入れられ、ノズルおよび導出部のネジの間で貫通し、ノズルおよび導出部のネジを直接噛み合わせる貫通窓を備えるものであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カートリッジのノズル内の詰まりを防止することができ、しかも、未使用のカートリッジだけでなく使用済みのカートリッジにも容易に装着することができ、カートリッジに装着したままでノズルからコーキング材を吐出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第一実施形態のノズル詰まり防止具を示す平面図である。
【
図2】第一実施形態のノズル詰まり防止具をカートリッジに装着する状況を示す分解側面図である。
【
図3】付着部を折り曲げた状態のノズル詰まり防止具を示す図であって、(A)は平面図でり、(B)は正面図である。
【
図4】第一実施形態のノズル詰まり防止具をカートリッジに装着する状況を示すノズル周辺の断面図である。
【
図6】第一実施形態のノズル詰まり防止具をカートリッジから取り外した状況を示すノズル周辺の一部断面図である。
【
図7】付着補助部が突出部である第二実施形態のノズル詰まり防止具を示す図であって、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【
図8】付着補助部が切り起こし部である第二実施形態のノズル詰まり防止具を示す図であって、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【
図9】付着補助部が歯部である第二実施形態のノズル詰まり防止具を示す平面図である。
【
図10】付着部を折り曲げた状態のノズル詰まり防止具を示す図であって、(A)は付着補助部が突出部であるノズル詰まり防止具を示す側面図であり、(B)は付着補助部が切り起こし部であるノズル詰まり防止具を示す側面図である。
【
図11】第三実施形態のノズル詰まり防止具を示す平面図である。
【
図12】第三実施形態のノズル詰まり防止具をカートリッジに装着する状況を示す分解側面図である。
【
図13】第四実施形態のノズル詰まり防止具を示す図であって、(A)は平面図であり、(B)は側面図であり、(C)は正面図であり、(D)は背面図であり、(E)は(A)のXIII-XIII線端面図である。
【
図14】第四実施形態のノズル詰まり防止具をカートリッジに装着する状況を示すノズル周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、ノズル詰まり防止具の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示す第一実施形態のノズル詰まり防止具1は、シート状のものであり、着脱部10と、付着部20とを備えている。
【0018】
着脱部10は、ノズル詰まり防止具1をカートリッジ100に着脱させるためのものである。着脱部10は、カートリッジ100のカートリッジ本体110に着脱するものであってもよいし、カートリッジ100のノズル120に着脱するものであってもよい。本実施形態では、着脱部10は、面が矩形状になっている。着脱部10は、着脱部10を貫通する着脱孔12を備えている。着脱孔12は、形状が円形で、その大きさは、コーキング材Cが収容されるカートリッジ本体110の導出部112を通すことが可能な大きさとなっている。
なお、着脱部10は、カートリッジ100のノズル120に着脱可能なものであってもよい。
【0019】
付着部20は、カートリッジ100のノズル120内のコーキング材Cを付着させるためのものである。付着部20は、着脱部10から延びるものである。また、付着部20は、ノズル120をカートリッジ100に装着した状態において、少なくとも一部がノズル120内に入れられ、ノズル120からコーキング材Cを吐出可能とする形状、言い換えれば、ノズル120内を塞がないでノズル120内におけるコーキング材Cの流路を確保できる形状となっている。本実施形態では、付着部20は、着脱部10と面一で一体的に形成されており、着脱部10から所定の方向、ここでは前方に延びる片状(舌片状)のものとなっている。付着部20は、先端側が先端に向かって幅が狭くなる先細りの形状となっている。付着部20の長さは、付着部20をカートリッジ100に装着し、ノズル120をカートリッジ100に装着した状態において、先端がノズル120の内部の先端と同じ位置となる長さまたは間隔が開く長さとなっている。付着部20の幅は、ノズル120内に挿入可能であって、ノズル120に装着した際にノズル120内の流路を塞がないものであれば、どのような幅であってもよい。
【0020】
本実施形態のノズル詰まり防止具1は、変形可能であって、ノズル120内にコーキング材Cが充填されている場合であっても、付着部20をノズル120にスムーズに挿入できる素材で形成されており、例えば、合成樹脂や紙などで形成されている。
【0021】
次に、第一実施形態のノズル詰まり防止具1の使用方法について説明する。ノズル詰まり防止具1は、一般的なコーキング材Cのカートリッジ100に用いられる。カートリッジ100は、
図2に示すように、カートリッジ本体110と、ノズル120とを備えている。カートリッジ本体110は、円筒の両端を塞いだ形状のものである。カートリッジ本体110は、一端の中心から突出する円筒状の導出部112を備えている。導出部112の内部は、カートリッジ本体110内に通じている。導出部112の外周面にはネジ114(雄ネジ)が設けられている。カートリッジ本体110内には、シリコーン等のコーキング材Cが充填される。
【0022】
ノズル120は、カートリッジ本体110に充填されたコーキング材Cを吐出するためのものである。ノズル120は、壁の横断面が円形であり、内部がコーキング材Cが流れる流路となっている。ノズル120の先端側は、先端に向かって外径および内径が小さくなる先細りの形状となっており、未使用状態では、流路の先端側が塞がっている。ノズル120の後端側は、導出部112に接続する接続部122となっている。接続部122の内面には、導出部112のネジ114に締結可能なネジ124(雌ネジ)が設けられており、これらのネジ114,124によりノズル120がカートリッジ本体110に着脱できるようになっている。ノズル120をカートリッジ本体110に装着した状態において、ノズル120の内部は、導出部112を介してカートリッジ本体110内に通じている。
【0023】
本実施形態のノズル詰まり防止具1は、
図2および
図3に示すように、まず、付着部20を着脱部10に対して折り曲げる。次いで、着脱部10の着脱孔12にカートリッジ100の導出部112を通して、ノズル詰まり防止具1をカートリッジ本体110に装着する。次いで、ノズル120内に付着部20を入れながら、ノズル120の接続部122のネジ124をカートリッジ本体110の導出部112のネジ114に締結することにより、ノズル詰まり防止具1のカートリッジ100への装着が完了する。ノズル詰まり防止具1をカートリッジ100に装着した状態において、付着部20は、
図4に示すように、カートリッジ100の導出部112とノズル120の接続部122の間を通ってノズル120内に入れられている。また、
図4および
図5に示すように、付着部20は、ノズル120内において、ノズル120の内面に略沿うように、幅方向において湾曲し、先端側も前後方向に湾曲または屈曲し、ノズル120の周方向において、ノズル120の一部を覆う。なお、付着部20は、着脱部10をカートリッジ本体110に装着してから折り曲げてもよい。付着部20は、ノズル120内を塞がないものであれば、ノズル120の全周を覆うような幅のものであってもよい。また、ノズル詰まり防止具1は、付着部20が、着脱部10に対して、元から屈曲している形状であってもよいし、元からノズル120の内面に略沿う形状であってもよい。この場合、少なくとも付着部20は、変形不能な素材で形成されていてもよい。
【0024】
ノズル詰まり防止具1が装着されたカートリッジ100は、従来のカートリッジ100と同様に使用することができる。カートリッジ100は、コーキングガン等に装着され、ノズル120の先端からコーキング材Cを吐出できるようにノズル120の先端をカットする。この際、必要に応じて付着部20の一部もカットしてもよい。そして、コーキングガンを操作して、ノズル120からコーキング剤を吐出する。ノズル詰まり防止具1は、付着部20がノズル120内を塞がないので、ノズル120内に付着部20を入れた状態であっても、ノズル120からコーキング材Cを吐出することができる。
【0025】
コーキング作業を終了した後、時間が経過すると、ノズル120内においてノズル詰まり防止具1の付着部20に硬化または半硬化したコーキング材Cが付着する。
【0026】
再度ノズル詰まり防止具1が装着されたカートリッジ100を用いてコーキング作業を行う際に、ノズル120内でコーキング材Cが硬化または半硬化してノズル120が詰まっている場合には、その作業前に、カートリッジ100からノズル詰まり防止具1を取り外す。具体的には、まず、カートリッジ本体110からノズル120を取り外す。ついで、カートリッジ本体110からノズル詰まり防止具1の着脱部10を取り外し、着脱部10をつまんで付着部20をノズル120内から引き抜くことにより、ノズル詰まり防止具1をカートリッジ100から取り外す。ノズル120内で硬化または半硬化したコーキング材Cは付着部20に付着するので、
図6に示すように、ノズル120からノズル詰まり防止具1を取り外すと、ノズル120内から硬化または半硬化コーキング材Cを取り除くことができる。取り外したノズル詰まり防止具1は、廃棄してもよいし、付着部20に付着したコーキング材Cを除去して再利用してもよい。
【0027】
さらに、必要に応じて、コーキング作業の前または後に、カートリッジ100に新たなまたは付着部20からコーキング材Cを取り除いたノズル詰まり防止具1を上記と同様にカートリッジ100に装着する。このような場合でも、ノズル詰まり防止具1は、付着部20がノズル120内を塞がないので、ノズル120内に付着部20を入れたままノズル120からコーキング材Cを吐出することができる。
【0028】
なお、ノズル詰まり防止具1の付着部20、着脱部10および貫通孔の素材や形状は、付着部20、着脱部10および貫通孔がその機能を発揮できるものであれば、上記以外のものであってもよい。例えば、付着部20は、先端がとがった形状であってもよい。このようにすると、ノズル120の内にコーキング材Cが充填されている状態であっても、付着部20を容易にノズル120内に挿入することができる。
【0029】
第一実施形態のノズル詰まり防止具1によると、コーキング材Cのカートリッジ100に装着することにより、ノズル詰まり防止具1をカートリッジ100から取り外せば、ノズル120内の硬化または半硬化したコーキング材Cを取り除くことができるので、カートリッジ100のノズル120の詰まりを防止することができる。また、第一実施形態のノズル詰まり防止具1は、着脱部10を備えることにより、カートリッジ100にしっかりと装着することができ、着脱部10をつまんで付着部20をノズル120内から引き抜くことができるので、容易かつ確実にカートリッジ100から取り外すことができる。また、第一実施形態のノズル詰まり防止具1は、ノズル120内に硬化していないコーキング材Cが充填されていても、付着部20をノズル120内に容易かつスムーズに入れることができる。また、第一実施形態のノズル詰まり防止具1は、ノズル120内でコーキング材Cが硬化していない場合には、ノズル120内に付着部20を入れたままで、ノズル120からコーキング材Cを吐出することができる。
【0030】
第二実施形態のノズル詰まり防止具1は、第一実施形態のノズル詰まり防止具1に対して、コーキング材Cの付着性を向上させる付着補助部を付着部20に備える。ここで、付着性とは、付着のしやすさやや付着する強さ(剥がれにくさ)のことをいう。第二実施形態のノズル詰まり防止具1の付着補助部以外の構成は、第一実施形態のものと同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0031】
付着補助部は、付着部20から突出する一または複数の突出部22とすることができる。突出部22は、ノズル120内でその内側(軸側)に向かって突出するものが好ましい。ここでは、突出部22は、
図7に示すように、付着部20のうちノズル120内に入れられる部分において複数備えられている。各突出部22は、柱状のものであって、付着部20の一面から突出している。
【0032】
また、付着補助部は、付着部20を切り欠いて起こした切り起こし部24とすることができる。切り起こし部24は、ノズル120内でその内側に向かって突出するように起こされているものが好ましい。ここでは、切り起こし部24は、
図8に示すように、付着部20のうちノズル120内に入れられる部分において複数備えられている。各切り起こし部24は、付着部20に切込みを入れ、切込みを入れた部分を起こすことにより形成されている。
【0033】
また、付着補助部は、付着部20の縁に設けられる一または複数の鋸歯状の歯部26とすることができる。ここでは、歯部26は、
図9に示すように、付着部20の各側縁に複数形成されている。
【0034】
第二実施形態のノズル詰まり防止具1の使用方法は、基本的には第一実施形態のノズル詰まり防止具1の使用方法と同様であるが、付着補助部が突出部22または切り起こし部24であるノズル詰まり防止具1は、
図10に示すように、突出部22または切り起こし部24が突出している面が内向きとなるように付着部20を着脱部10に対して折り曲げる。付着補助部が突出部22または切り起こし部24であるノズル詰まり防止具1は、カートリッジ100に装着した状態において、ノズル120内で突出部22または切り起こし部24がノズル120の内側に向かって突出する。
【0035】
第二実施形態のノズル詰まり防止具1は、付着補助部を備えることにより、ノズル120内のコーキング材Cが付着部20により付着し易くなるとともに、付着したコーキング材Cが付着部20からより剥がれ難くなるので、ノズル120内の硬化または半硬化したコーキング材Cをより一層取り除くことができる。
【0036】
第三実施形態のノズル詰まり防止具1は、第一実施形態のノズル詰まり防止具1に対し、付着部20または着脱部10に貫通窓28を備える。第三実施形態のノズル詰まり防止具1の貫通窓28以外の構成は、第一実施形態のものと同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0037】
貫通窓28は、
図11に示すように、付着部20に備えられている。貫通窓28は、付着部20のうち、ノズル詰まり防止具1をカートリッジ100に装着した状態でカートリッジ100の導出部112のネジ114とノズル120の接続部122のネジ124との間に通される(挟まれる)部分において、付着部20を矩形状に貫通している。
【0038】
第三実施形態のノズル詰まり防止具1の使用方法は、第一実施形態のノズル詰まり防止具1の使用方法と同じである。ノズル詰まり防止具1をカートリッジ本体110に装着すると、
図12に示すように、貫通窓28により導出部112のネジ114の一部が露出する。
【0039】
第三実施形態のノズル詰まり防止具1は、貫通窓28を備えることにより、ノズル詰まり防止具1をカートリッジ100に装着する際に、カートリッジ100の導出部112のネジ114と、ノズル120の接続部122のネジ124とが、貫通窓28を設けた部分で直接噛み合うので、ノズル詰まり防止具1をカートリッジ本体110に装着した状態において、ノズル120をカートリッジ本体110(導出部112)により一層スムーズかつ確実に装着することができる。
【0040】
第四実施形態のノズル詰まり防止具1は、第一実施形態のノズル詰まり防止具1に対して、着脱部10および付着部20の構造が異なる。
【0041】
着脱部10は、
図13に示すように、カートリッジ100の導出部112内に挿入可能な筒状の挿入部14と、挿入部14に設けられるフランジ16とを備えている。挿入部14は、例えば、円筒状のものであり、その外径は導入部の内径以下の大きさとなっている。フランジ16は、ここでは、その外縁が矩形状であり、挿入部14の先端に設けられ、水平方向において挿入部14から外側に突出しており、その外縁が略円形状となっている。フランジ16は、導出部112内に挿入不能となっている。フランジ16の前面には、第一実施形態と同じ付着部20が接続し、フランジ16部から前方に延びている。フランジ16は、付着部20が接続する部分として機能するとともに、着脱部10の導入部への挿入長さを規制する。
【0042】
付着部20は、変形可能なシート状のものであって、幅方向において略円弧状に湾曲している。また、付着部20は、先端に向かって幅が狭くなり、先端が尖った形状となっている。
【0043】
第四実施形態のノズル詰まり防止具1の使用方法は、
図14に示すように、挿入部14を導入部内に挿入してカートリッジ本体110に装着する。それ以外の使用方法は、第一実施形態のノズル詰まり防止具1と同様である。
【0044】
第四実施形態のノズル詰まり防止具1によると、着脱部10に挿入部14およびフランジ16を備えることにより、容易かつ確実に、ノズル詰まり防止具1をカートリッジ100に着脱することができる。
【0045】
本発明は、上記実施形態に特に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ノズル詰まり防止具
10 着脱部
12 着脱孔
14 挿入部
16 フランジ
20 付着部
22 突出部
24 切り起こし部
26 歯部
28 貫通窓
100 カートリッジ
110 カートリッジ本体
112 導出部
114 ネジ
120 ノズル
122 接続部
124 ネジ
C コーキング材
【手続補正書】
【提出日】2022-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーキング材が収容されるカートリッジ本体と、前記カートリッジ本体に着脱可能なノズルと、を備える前記コーキング材のカートリッジの前記ノズルの詰まりを防止するノズル詰まり防止具であって、
前記カートリッジに着脱可能な着脱部と、
前記着脱部から延びる付着部と、
を備え、
前記付着部は、前記ノズルを前記カートリッジに装着した状態において、少なくとも一部が前記ノズル内に入れられ、かつ、前記ノズルから前記コーキング材を吐出することが可能な形状であり、ノズル内に入れられる部分に、前記付着部への前記コーキング材の付着性を向上させる付着補助部を備えるノズル詰まり除去具。
【請求項2】
コーキング材が収容されるカートリッジ本体と、前記カートリッジ本体に着脱可能なノズルと、を備える前記コーキング材のカートリッジの前記ノズルの詰まりを防止するノズル詰まり防止具であって、
前記カートリッジに着脱可能な着脱部と、
前記着脱部から延びる付着部と、
を備え、
前記カートリッジは、前記コーキング材を前記ノズルに送るための導出部を備え、
前記ノズルおよび前記導出部は、それぞれ前記ノズルを前記導出部に締結可能とするネジを備え、
前記付着部は、前記ノズルを前記カートリッジに装着した状態において、少なくとも一部が前記ノズル内に入れられ、かつ、前記ノズルから前記コーキング材を吐出することが可能な形状であり、変形可能なものであって、前記ノズルおよび前記導出部の前記ネジの間に通されて、前記ノズル内に入れられ、前記ノズルおよび前記導出部の前記ネジの間で貫通し、前記ノズルおよび前記導出部の前記ネジを直接噛み合わせる貫通窓を備えるノズル詰まり除去具。
【請求項3】
前記付着部は、ノズル内に入れられる部分に、前記付着部への前記コーキング材の付着性を向上させる付着補助部を備える請求項2記載のノズル詰まり防止具。
【請求項4】
前記付着補助部は、前記付着部から突出する突出部である請求項1または3記載のノズル詰まり除去具。
【請求項5】
前記付着部は、シート状であり、
前記付着補助部は、前記付着部を切り欠いて起こした切り起こし部である請求項1または3記載のノズル詰まり除去具。
【請求項6】
前記付着部は、シート状であり、
前記付着補助部は、前記付着部の縁に設けられる鋸歯状の歯部である請求項1または3記載のノズル詰まり除去具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル詰まり除去具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築工事等においては、部材間の隙間にコーキング材を注入して隙間を埋めるコーキング作業が行われる。コーキング作業には、コーキング材が収容されるカートリッジ本体と、カートリッジ本体に着脱可能なノズルとを備える一般的なカートリッジが用いられる。カートリッジは、コーキングガンに装着され、コーキングガンを操作することによりノズルからコーキング材が吐出される。
【0003】
コーキング作業を終えたカートリッジは、時間が経過すると、ノズル内でコーキング材が硬化(半硬化を含む)し、ノズルが詰まる。そのため、ノズルが詰まったカートリッジを用いて再度コーキング作業を行う場合には、ノズル内で硬化したコーキング材を取り除く必要がある。ノズル内で硬化したコーキング材は、ノズルに強固に付着しているので、取り除きにくく、その除去に手間や時間がかかる。
【0004】
特許文献1および特許文献2には、カートリッジのノズル内に装着し、ノズル内の硬化したコーキング材を除去する道具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-116175号公報
【特許文献2】特開2012-62739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2の道具は、ノズル内を全て覆うものであり、ノズルにコーキング材が充填されていない未使用のカートリッジには容易に装着することができるが、使用済みのカートリッジのノズルには、コーキング材が充填されているため、そのまま装着することができず、装着するにはノズル内からコーキング材を除去する必要があり、その手間や時間が掛かる。また、特許文献1および特許文献2の道具は、ノズルに装着すると、ノズル内を塞いでしまうため、ノズル内に装着した状態では、ノズルからコーキング材を吐出することができない。また、特許文献1および特許文献2の道具は、ノズルに装着すると、ノズル内でコーキング材が硬化しておらず、コーキング材を吐出可能な状態であっても、コーキング材を吐出する場合には、一端ノズルから取り外したり、道具に穴をあけたりするなどの作業が必要となり、その手間や時間が掛かる。しかも、一端ノズルから取り外す場合には、使用可能なコーキング材をノズルから取り除くこととなり、そのコーキング材が無駄になる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、カートリッジのノズル内の詰まりを防止することができ、しかも、未使用のカートリッジだけでなく使用済みのカートリッジにも容易に装着することができ、カートリッジに装着したままでノズルからコーキング材を吐出できるノズル詰まり除去具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ノズルの詰まり防止具は、コーキング材が収容されるカートリッジ本体と、カートリッジ本体に着脱可能なノズルと、を備えるコーキング材のカートリッジのノズルの詰まりを防止するためのものであって、カートリッジに着脱可能な着脱部と、着脱部から延びる付着部と、を備え、付着部は、ノズルをカートリッジに装着した状態において、少なくとも一部がノズル内に入れられ、かつ、ノズルからコーキング材を吐出することが可能な形状である。
【0009】
付着部は、シート状であることが好ましい。また、付着部は、変形可能なものであってもよい。また、付着部は、ノズルの内面に沿う形状であってもよい。また、付着部は、幅が先端に向かって狭くなる形状であってもよい。また、付着部は、先端が尖った形状であってもよい。
【0010】
付着部は、ノズル内に入れられる部分に、付着部へのコーキング材の付着性を向上させる付着補助部を備えることが好ましい。
【0011】
付着補助部は、付着部から突出する突出部であってもよい。突出部は、ノズル内で内側に向かって突出するものが好ましい。
【0012】
付着部は、シート状であり、付着補助部は、付着部を切り欠いて起こした切り起こし部であってもよい。切り起こし部は、ノズル内で内側に向かって突出するように起こされているものが好ましい。
【0013】
付着部は、シート状であり、付着補助部は、付着部の縁に設けられる鋸歯状の歯部であってもよい。
【0014】
カートリッジは、コーキング材をノズルに送るための導出部を備え、ノズルおよび導出部は、それぞれノズルを導出部に締結可能とするネジを備え、付着部は、変形可能なものであって、ノズルおよび導出部のネジの間に通されてノズル内に入れられ、ノズルおよび導出部のネジの間で貫通し、ノズルおよび導出部のネジを直接噛み合わせる貫通窓を備えるものであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カートリッジのノズル内の詰まりを防止することができ、しかも、未使用のカートリッジだけでなく使用済みのカートリッジにも容易に装着することができ、カートリッジに装着したままでノズルからコーキング材を吐出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第一実施形態のノズル詰まり
除去具を示す平面図である。
【
図2】第一実施形態のノズル詰まり
除去具をカートリッジに装着する状況を示す分解側面図である。
【
図3】付着部を折り曲げた状態のノズル詰まり
除去具を示す図であって、(A)は平面図でり、(B)は正面図である。
【
図4】第一実施形態のノズル詰まり
除去具をカートリッジに装着する状況を示すノズル周辺の断面図である。
【
図6】第一実施形態のノズル詰まり
除去具をカートリッジから取り外した状況を示すノズル周辺の一部断面図である。
【
図7】付着補助部が突出部である第二実施形態のノズル詰まり
除去具を示す図であって、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【
図8】付着補助部が切り起こし部である第二実施形態のノズル詰まり
除去具を示す図であって、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【
図9】付着補助部が歯部である第二実施形態のノズル詰まり
除去具を示す平面図である。
【
図10】付着部を折り曲げた状態のノズル詰まり
除去具を示す図であって、(A)は付着補助部が突出部であるノズル詰まり
除去具を示す側面図であり、(B)は付着補助部が切り起こし部であるノズル詰まり除去具を示す側面図である。
【
図11】第三実施形態のノズル詰まり
除去具を示す平面図である。
【
図12】第三実施形態のノズル詰まり
除去具をカートリッジに装着する状況を示す分解側面図である。
【
図13】第四実施形態のノズル詰まり
除去具を示す図であって、(A)は平面図であり、(B)は側面図であり、(C)は正面図であり、(D)は背面図であり、(E)は(A)のXIII-XIII線端面図である。
【
図14】第四実施形態のノズル詰まり
除去具をカートリッジに装着する状況を示すノズル周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、ノズル詰まり
除去具の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示す第一実施形態のノズル詰まり
除去具1は、シート状のものであり、着脱部10と、付着部20とを備えている。
【0018】
着脱部10は、ノズル詰まり除去具1をカートリッジ100に着脱させるためのものである。着脱部10は、カートリッジ100のカートリッジ本体110に着脱するものであってもよいし、カートリッジ100のノズル120に着脱するものであってもよい。本実施形態では、着脱部10は、面が矩形状になっている。着脱部10は、着脱部10を貫通する着脱孔12を備えている。着脱孔12は、形状が円形で、その大きさは、コーキング材Cが収容されるカートリッジ本体110の導出部112を通すことが可能な大きさとなっている。
なお、着脱部10は、カートリッジ100のノズル120に着脱可能なものであってもよい。
【0019】
付着部20は、カートリッジ100のノズル120内のコーキング材Cを付着させるためのものである。付着部20は、着脱部10から延びるものである。また、付着部20は、ノズル120をカートリッジ100に装着した状態において、少なくとも一部がノズル120内に入れられ、ノズル120からコーキング材Cを吐出可能とする形状、言い換えれば、ノズル120内を塞がないでノズル120内におけるコーキング材Cの流路を確保できる形状となっている。本実施形態では、付着部20は、着脱部10と面一で一体的に形成されており、着脱部10から所定の方向、ここでは前方に延びる片状(舌片状)のものとなっている。付着部20は、先端側が先端に向かって幅が狭くなる先細りの形状となっている。付着部20の長さは、付着部20をカートリッジ100に装着し、ノズル120をカートリッジ100に装着した状態において、先端がノズル120の内部の先端と同じ位置となる長さまたは間隔が開く長さとなっている。付着部20の幅は、ノズル120内に挿入可能であって、ノズル120に装着した際にノズル120内の流路を塞がないものであれば、どのような幅であってもよい。
【0020】
本実施形態のノズル詰まり除去具1は、変形可能であって、ノズル120内にコーキング材Cが充填されている場合であっても、付着部20をノズル120にスムーズに挿入できる素材で形成されており、例えば、合成樹脂や紙などで形成されている。
【0021】
次に、第一実施形態のノズル詰まり
除去具1の使用方法について説明する。ノズル詰まり
除去具1は、一般的なコーキング材Cのカートリッジ100に用いられる。カートリッジ100は、
図2に示すように、カートリッジ本体110と、ノズル120とを備えている。カートリッジ本体110は、円筒の両端を塞いだ形状のものである。カートリッジ本体110は、一端の中心から突出する円筒状の導出部112を備えている。導出部112の内部は、カートリッジ本体110内に通じている。導出部112の外周面にはネジ114(雄ネジ)が設けられている。カートリッジ本体110内には、シリコーン等のコーキング材Cが充填される。
【0022】
ノズル120は、カートリッジ本体110に充填されたコーキング材Cを吐出するためのものである。ノズル120は、壁の横断面が円形であり、内部がコーキング材Cが流れる流路となっている。ノズル120の先端側は、先端に向かって外径および内径が小さくなる先細りの形状となっており、未使用状態では、流路の先端側が塞がっている。ノズル120の後端側は、導出部112に接続する接続部122となっている。接続部122の内面には、導出部112のネジ114に締結可能なネジ124(雌ネジ)が設けられており、これらのネジ114,124によりノズル120がカートリッジ本体110に着脱できるようになっている。ノズル120をカートリッジ本体110に装着した状態において、ノズル120の内部は、導出部112を介してカートリッジ本体110内に通じている。
【0023】
本実施形態のノズル詰まり
除去具1は、
図2および
図3に示すように、まず、付着部20を着脱部10に対して折り曲げる。次いで、着脱部10の着脱孔12にカートリッジ100の導出部112を通して、ノズル詰まり
除去具1をカートリッジ本体110に装着する。次いで、ノズル120内に付着部20を入れながら、ノズル120の接続部122のネジ124をカートリッジ本体110の導出部112のネジ114に締結することにより、ノズル詰まり
除去具1のカートリッジ100への装着が完了する。ノズル詰まり
除去具1をカートリッジ100に装着した状態において、付着部20は、
図4に示すように、カートリッジ100の導出部112とノズル120の接続部122の間を通ってノズル120内に入れられている。また、
図4および
図5に示すように、付着部20は、ノズル120内において、ノズル120の内面に略沿うように、幅方向において湾曲し、先端側も前後方向に湾曲または屈曲し、ノズル120の周方向において、ノズル120の一部を覆う。なお、付着部20は、着脱部10をカートリッジ本体110に装着してから折り曲げてもよい。付着部20は、ノズル120内を塞がないものであれば、ノズル120の全周を覆うような幅のものであってもよい。また、ノズル詰まり
除去具1は、付着部20が、着脱部10に対して、元から屈曲している形状であってもよいし、元からノズル120の内面に略沿う形状であってもよい。この場合、少なくとも付着部20は、変形不能な素材で形成されていてもよい。
【0024】
ノズル詰まり除去具1が装着されたカートリッジ100は、従来のカートリッジ100と同様に使用することができる。カートリッジ100は、コーキングガン等に装着され、ノズル120の先端からコーキング材Cを吐出できるようにノズル120の先端をカットする。この際、必要に応じて付着部20の一部もカットしてもよい。そして、コーキングガンを操作して、ノズル120からコーキング剤を吐出する。ノズル詰まり除去具1は、付着部20がノズル120内を塞がないので、ノズル120内に付着部20を入れた状態であっても、ノズル120からコーキング材Cを吐出することができる。
【0025】
コーキング作業を終了した後、時間が経過すると、ノズル120内においてノズル詰まり除去具1の付着部20に硬化または半硬化したコーキング材Cが付着する。
【0026】
再度ノズル詰まり
除去具1が装着されたカートリッジ100を用いてコーキング作業を行う際に、ノズル120内でコーキング材Cが硬化または半硬化してノズル120が詰まっている場合には、その作業前に、カートリッジ100からノズル詰まり
除去具1を取り外す。具体的には、まず、カートリッジ本体110からノズル120を取り外す。ついで、カートリッジ本体110からノズル詰まり
除去具1の着脱部10を取り外し、着脱部10をつまんで付着部20をノズル120内から引き抜くことにより、ノズル詰まり
除去具1をカートリッジ100から取り外す。ノズル120内で硬化または半硬化したコーキング材Cは付着部20に付着するので、
図6に示すように、ノズル120からノズル詰まり
除去具1を取り外すと、ノズル120内から硬化または半硬化コーキング材Cを取り除くことができる。取り外したノズル詰まり
除去具1は、廃棄してもよいし、付着部20に付着したコーキング材Cを除去して再利用してもよい。
【0027】
さらに、必要に応じて、コーキング作業の前または後に、カートリッジ100に新たなまたは付着部20からコーキング材Cを取り除いたノズル詰まり除去具1を上記と同様にカートリッジ100に装着する。このような場合でも、ノズル詰まり除去具1は、付着部20がノズル120内を塞がないので、ノズル120内に付着部20を入れたままノズル120からコーキング材Cを吐出することができる。
【0028】
なお、ノズル詰まり除去具1の付着部20、着脱部10および貫通孔の素材や形状は、付着部20、着脱部10および貫通孔がその機能を発揮できるものであれば、上記以外のものであってもよい。例えば、付着部20は、先端がとがった形状であってもよい。このようにすると、ノズル120の内にコーキング材Cが充填されている状態であっても、付着部20を容易にノズル120内に挿入することができる。
【0029】
第一実施形態のノズル詰まり除去具1によると、コーキング材Cのカートリッジ100に装着することにより、ノズル詰まり除去具1をカートリッジ100から取り外せば、ノズル120内の硬化または半硬化したコーキング材Cを取り除くことができるので、カートリッジ100のノズル120の詰まりを防止することができる。また、第一実施形態のノズル詰まり除去具1は、着脱部10を備えることにより、カートリッジ100にしっかりと装着することができ、着脱部10をつまんで付着部20をノズル120内から引き抜くことができるので、容易かつ確実にカートリッジ100から取り外すことができる。また、第一実施形態のノズル詰まり除去具1は、ノズル120内に硬化していないコーキング材Cが充填されていても、付着部20をノズル120内に容易かつスムーズに入れることができる。また、第一実施形態のノズル詰まり除去具1は、ノズル120内でコーキング材Cが硬化していない場合には、ノズル120内に付着部20を入れたままで、ノズル120からコーキング材Cを吐出することができる。
【0030】
第二実施形態のノズル詰まり除去具1は、第一実施形態のノズル詰まり除去具1に対して、コーキング材Cの付着性を向上させる付着補助部を付着部20に備える。ここで、付着性とは、付着のしやすさやや付着する強さ(剥がれにくさ)のことをいう。第二実施形態のノズル詰まり除去具1の付着補助部以外の構成は、第一実施形態のものと同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0031】
付着補助部は、付着部20から突出する一または複数の突出部22とすることができる。突出部22は、ノズル120内でその内側(軸側)に向かって突出するものが好ましい。ここでは、突出部22は、
図7に示すように、付着部20のうちノズル120内に入れられる部分において複数備えられている。各突出部22は、柱状のものであって、付着部20の一面から突出している。
【0032】
また、付着補助部は、付着部20を切り欠いて起こした切り起こし部24とすることができる。切り起こし部24は、ノズル120内でその内側に向かって突出するように起こされているものが好ましい。ここでは、切り起こし部24は、
図8に示すように、付着部20のうちノズル120内に入れられる部分において複数備えられている。各切り起こし部24は、付着部20に切込みを入れ、切込みを入れた部分を起こすことにより形成されている。
【0033】
また、付着補助部は、付着部20の縁に設けられる一または複数の鋸歯状の歯部26とすることができる。ここでは、歯部26は、
図9に示すように、付着部20の各側縁に複数形成されている。
【0034】
第二実施形態のノズル詰まり
除去具1の使用方法は、基本的には第一実施形態のノズル詰まり
除去具1の使用方法と同様であるが、付着補助部が突出部22または切り起こし部24であるノズル詰まり
除去具1は、
図10に示すように、突出部22または切り起こし部24が突出している面が内向きとなるように付着部20を着脱部10に対して折り曲げる。付着補助部が突出部22または切り起こし部24であるノズル詰まり
除去具1は、カートリッジ100に装着した状態において、ノズル120内で突出部22または切り起こし部24がノズル120の内側に向かって突出する。
【0035】
第二実施形態のノズル詰まり除去具1は、付着補助部を備えることにより、ノズル120内のコーキング材Cが付着部20により付着し易くなるとともに、付着したコーキング材Cが付着部20からより剥がれ難くなるので、ノズル120内の硬化または半硬化したコーキング材Cをより一層取り除くことができる。
【0036】
第三実施形態のノズル詰まり除去具1は、第一実施形態のノズル詰まり除去具1に対し、付着部20または着脱部10に貫通窓28を備える。第三実施形態のノズル詰まり除去具1の貫通窓28以外の構成は、第一実施形態のものと同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0037】
貫通窓28は、
図11に示すように、付着部20に備えられている。貫通窓28は、付着部20のうち、ノズル詰まり
除去具1をカートリッジ100に装着した状態でカートリッジ100の導出部112のネジ114とノズル120の接続部122のネジ124との間に通される(挟まれる)部分において、付着部20を矩形状に貫通している。
【0038】
第三実施形態のノズル詰まり
除去具1の使用方法は、第一実施形態のノズル詰まり
除去具1の使用方法と同じである。ノズル詰まり
除去具1をカートリッジ本体110に装着すると、
図12に示すように、貫通窓28により導出部112のネジ114の一部が露出する。
【0039】
第三実施形態のノズル詰まり除去具1は、貫通窓28を備えることにより、ノズル詰まり除去具1をカートリッジ100に装着する際に、カートリッジ100の導出部112のネジ114と、ノズル120の接続部122のネジ124とが、貫通窓28を設けた部分で直接噛み合うので、ノズル詰まり除去具1をカートリッジ本体110に装着した状態において、ノズル120をカートリッジ本体110(導出部112)により一層スムーズかつ確実に装着することができる。
【0040】
第四実施形態のノズル詰まり除去具1は、第一実施形態のノズル詰まり除去具1に対して、着脱部10および付着部20の構造が異なる。
【0041】
着脱部10は、
図13に示すように、カートリッジ100の導出部112内に挿入可能な筒状の挿入部14と、挿入部14に設けられるフランジ16とを備えている。挿入部14は、例えば、円筒状のものであり、その外径は導入部の内径以下の大きさとなっている。フランジ16は、ここでは、その外縁が矩形状であり、挿入部14の先端に設けられ、水平方向において挿入部14から外側に突出しており、その外縁が略円形状となっている。フランジ16は、導出部112内に挿入不能となっている。フランジ16の前面には、第一実施形態と同じ付着部20が接続し、フランジ16部から前方に延びている。フランジ16は、付着部20が接続する部分として機能するとともに、着脱部10の導入部への挿入長さを規制する。
【0042】
付着部20は、変形可能なシート状のものであって、幅方向において略円弧状に湾曲している。また、付着部20は、先端に向かって幅が狭くなり、先端が尖った形状となっている。
【0043】
第四実施形態のノズル詰まり
除去具1の使用方法は、
図14に示すように、挿入部14を導入部内に挿入してカートリッジ本体110に装着する。それ以外の使用方法は、第一実施形態のノズル詰まり
除去具1と同様である。
【0044】
第四実施形態のノズル詰まり除去具1によると、着脱部10に挿入部14およびフランジ16を備えることにより、容易かつ確実に、ノズル詰まり除去具1をカートリッジ100に着脱することができる。
【0045】
本発明は、上記実施形態に特に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ノズル詰まり除去具
10 着脱部
12 着脱孔
14 挿入部
16 フランジ
20 付着部
22 突出部
24 切り起こし部
26 歯部
28 貫通窓
100 カートリッジ
110 カートリッジ本体
112 導出部
114 ネジ
120 ノズル
122 接続部
124 ネジ
C コーキング材