(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158369
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】通信装置、制御装置、通信方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20221006BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20221006BHJP
G01S 13/74 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H04W52/02 111
H04W64/00 110
H04W64/00 130
G01S13/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063211
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】517182918
【氏名又は名称】ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】今 悠気
(72)【発明者】
【氏名】中村 公亮
【テーマコード(参考)】
5J070
5K067
【Fターム(参考)】
5J070BC05
5K067AA43
5K067BB21
5K067CC22
5K067DD17
5K067DD27
5K067DD44
5K067EE02
5K067EE16
5K067EE35
5K067FF03
5K067FF16
5K067GG02
5K067HH22
5K067JJ13
5K067JJ52
5K067JJ54
(57)【要約】
【課題】通信装置に対する移動機器からの無線信号の到来角に基づいて移動機器の位置情報を取得するシステムにおいて、通信装置の消費電力を削減する。
【解決手段】本開示の一態様によれば、通信装置は、移動機器から送信された無線信号を受信する手段と、無線信号の受信電力を算出する手段と、受信電力が所定の条件を満たすか否かを判定する手段と、無線信号の到来角を算出する手段と、受信電力が所定の条件を満たす場合に、制御装置へ到来角に関する到来角情報を送信する手段とを具備し、到来角情報を送信する手段は、受信電力が所定の条件を満たさない場合に、到来角情報の送信を省略する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動機器から送信された無線信号を受信する手段と、
前記無線信号の受信電力を算出する手段と、
前記受信電力が所定の条件を満たすか否かを判定する手段と、
前記無線信号の到来角を算出する手段と、
前記受信電力が前記所定の条件を満たす場合に、制御装置へ前記到来角に関する到来角情報を送信する手段とを具備し、
前記到来角情報を送信する手段は、前記受信電力が前記所定の条件を満たさない場合に、前記到来角情報の送信を省略する、
通信装置。
【請求項2】
前記到来角を算出する手段は、前記受信電力が前記所定の条件を満たさない場合に、前記到来角の算出を省略する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
制御信号を取得する手段と、
前記制御信号が休止信号である場合に、少なくとも前記到来角情報を送信する手段を停止させる手段とをさらに具備する、
請求項1または請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御信号を取得する手段は、前記制御装置から受信した制御信号を取得し、
前記制御装置から受信した制御信号が起動信号である場合に、少なくとも、前記無線信号を受信する手段、および前記受信電力を算出する手段を起動させる手段をさらに具備する、
請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記制御信号を取得する手段は、他の通信装置から受信した制御信号を取得し、
前記他の通信装置から受信した制御信号が起動信号である場合に、少なくとも、前記無線信号を受信する手段、および前記受信電力を算出する手段を起動させる手段をさらに具備する、
請求項3に記載の通信装置。
【請求項6】
前記受信電力が前記所定の条件を満たす場合に、他の通信装置に関する情報を参照し、当該他の通信装置から起動対象装置を選択する手段と、
前記起動対象装置へ、少なくとも、前記移動機器から送信された無線信号を受信するための手段、および当該無線信号の受信電力を算出するための手段を起動させるための制御信号を送信する手段とをさらに具備する、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の通信装置。
【請求項7】
第1の通信装置を含む複数の通信装置が移動機器から受信した無線信号の到来角に関する到来角情報を取得する手段と、
前記到来角情報を参照して、前記移動機器の位置を算出する手段と、
前記移動機器の位置を参照して、前記複数の通信装置のうち前記第1の通信装置を除いた第2の通信装置から休止対象装置を選択する手段と、
前記休止対象装置へ、少なくとも、前記到来角情報を送信するための手段を停止させるための制御信号を送信する手段と
を具備する、制御装置。
【請求項8】
前記移動機器の位置を参照し、前記第2の通信装置から起動対象装置を選択する手段と、
前記起動対象装置へ、少なくとも、前記移動機器から送信された無線信号を受信するための手段、および当該無線信号の受信電力を算出するための手段を起動させるための制御信号を送信する手段とをさらに具備する、
請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
コンピュータが、
移動機器から送信された無線信号を受信することと、
前記無線信号の受信電力を算出することと、
前記受信電力が所定の条件を満たすか否かを判定することと、
前記無線信号の到来角を算出することと、
前記受信電力が前記所定の条件を満たす場合に、制御装置へ前記到来角に関する到来角情報を送信することとを具備し、
前記受信電力が前記所定の条件を満たさない場合に、前記到来角情報の送信が省略される、
通信方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項1~請求項8の何れかに記載の各手段を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、制御装置、通信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動可能な無線通信装置(移動機器)の位置を測定するシステムが知られている。具体的には、互いに離れて設置された複数の無線通信装置(ロケータ)が、それぞれ移動機器から受信した無線信号の到来角情報を制御装置へ送信する。制御装置は、各ロケータの位置と各ロケータにおける到来角情報とを元に、移動機器の位置を算出することができる。かかるシステムにおいて、ロケータを常時動作させると、消費電力が大きくなるという問題がある。
【0003】
特許文献1には、消費電力を抑えて位置情報を取得することを企図した通信システムについて記載されている。具体的には、特許文献1には、移動する子機が例えば設置されたBluetooth(登録商標)発信器から受信したBluetooth信号を用いて子機の位置情報を取得し、位置情報をサーバに送信することが記載されている。また、子機が加速度センサにより移動の停止を検知した場合に、動作モードをスリープモードに切り替えることで、子機の消費電力を抑えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の到来角情報に基づく測位方式(以下、「AoA(Angle of Arrival)測位方式」と称する)では、設置されたロケータが無線信号を移動機器から受信して無線信号の到来角を推定することで、移動機器の位置情報が取得される。特許文献1に記載の技術では、設置されたロケータの消費電力を抑えることはできない。
【0006】
本開示の目的は、通信装置に対する移動機器からの無線信号の到来角に基づいて移動機器の位置情報を取得するシステムにおいて、通信装置の消費電力を削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、通信装置は、移動機器から送信された無線信号を受信する手段と、無線信号の受信電力を算出する手段と、受信電力が所定の条件を満たすか否かを判定する手段と、無線信号の到来角を算出する手段と、受信電力が所定の条件を満たす場合に、制御装置へ到来角に関する到来角情報を送信する手段とを具備し、到来角情報を送信する手段は、受信電力が所定の条件を満たさない場合に、到来角情報の送信を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の測位システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態のロケータおよびサーバの構成を示すブロック図である。
【
図3】見張り番ロケータを含む複数のロケータが設置された空間の一例を示す図である。
【
図4】移動機器が見張り番ロケータから離れた位置に居る時の各ロケータの動作モードの一例を示す図である。
【
図5】移動機器が見張り番ロケータに近づく時の各ロケータの動作モードの一例を示す図である。
【
図6】移動機器が見張り番ロケータから遠ざかる時の各ロケータの動作モードの一例を示す図である。
【
図7】本実施形態のロケータデータベースのデータ構造を示す図である。
【
図9】本実施形態の第1ロケータ処理のフローチャートである。
【
図10】本実施形態の第2ロケータ処理のフローチャートである。
【
図11】本実施形態の第3ロケータ処理のフローチャートである。
【
図12】本実施形態の第4ロケータ処理のフローチャートである。
【
図13】本実施形態のサーバ処理のフローチャートである。
【
図14】変形例1の第1ロケータ処理のフローチャートである。
【
図15】変形例1のサーバ処理のフローチャートである。
【
図16】変形例2の測位システムの構成を示すブロック図である。
【
図17】変形例2のオペレータ端末の構成を示すブロック図である。
【
図18】変形例2の情報処理の全体フローを示す図である。
【
図19】変形例2の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【
図20】変形例2の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【
図21】変形例2の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(1)本実施形態の測位システムの構成
測位システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の測位システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、測位システム1は、複数のロケータ10と、サーバ30とを備える。
図1の例ではロケータ10の数は2つであるが、本実施形態においてロケータ10の数は3以上であってもよい。
【0012】
サーバ30は、各ロケータ10とネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続される。
【0013】
ロケータ10は、周囲の他のロケータ10と、Bluetooth(登録商標)(特に、BLE(Bluetooth Low Energy))により直接接続可能であり、または無線LANによりサーバ30を介して接続可能である。ただし、複数のロケータ10の間の接続方法はこれに限定されず、他の通信方式を利用して接続してもよいし、他の装置(例えば無線タグなどの移動機器又はPC)を介して接続してもよい。
【0014】
ロケータ10は、情報処理装置または無線通信装置の一例である。ロケータ10は、到来角算出装置と呼ぶこともできる。ロケータ10は、移動機器(例えば、無線タグ又はスマートフォン)から送信される無線信号(電波)を受信し、当該無線信号のロケータ10への到来角を算出し、到来角情報をサーバ30へ送信する。
【0015】
サーバ30は、情報処理装置または無線通信装置の一例である。サーバ30は、制御装置と呼ぶこともできる。サーバ30は、複数のロケータ10から送信された到来角情報と複数のロケータ10の位置とを参照し、移動機器の位置を算出する。サーバ30は、1以上の物理コンピュータによって構成され得る。
【0016】
移動機器は、例えば、スマートフォン、無線タグ、または無線信号の送信機能を備えた任意のデバイスに相当する。移動機器は、例えば、人間に所持され、または他の動体に備え付けられる。つまり、測位システム1によれば、人間または他の動体の測位が可能である。
なお、本実施形態では、測位システム1が移動機器の位置を推定することで人間又は他の動体の測位をする場合を中心に説明するが、測位システム1による測位対象はこれに限定されない。例えば、測位システム1は、無線タグが設置された基本的に動かない物体の測位を行ってもよい。そして測位システム1は、その物体の位置が変化したことに応じて所定の動作(例えばその物体の管理者への通知)を行ってもよい。
【0017】
(1-1)ロケータの構成
本実施形態のロケータの構成について説明する。
図2は、本実施形態のロケータおよびサーバの構成を示すブロック図である。
【0018】
図2に示すように、ロケータ10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。
【0019】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0020】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0021】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータ及びデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0022】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動してデータを処理することによって、ロケータ10の機能を実現するように構成される。プロセッサ12は、コンピュータの一例である。記憶装置11により記憶されるプログラム及びデータは、ネットワークを介して提供されてもよいし、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録して提供されてもよい。なお、ロケータ10の機能の少なくとも一部が、1又は複数の専用のハードウェアにより実現されていてもよい。
【0023】
入出力インタフェース13は、ロケータ10に接続される入力デバイスから信号(例えばユーザの指示)を取得し、かつ、ロケータ10に接続される出力デバイスに信号(例えば画像信号又は制御信号)を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、センサ、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0024】
通信インタフェース14は、ロケータ10と外部装置との間の通信を制御するように構成される。
具体的には、通信インタフェース14は、外部装置に対して無線信号(電波)を送信し、または外部装置から無線信号(電波)を受信するように構成される。一例として、外部装置は、他のロケータ10、サーバ30、移動機器、またはそれらの組み合わせである。通信インタフェース14は、例えばBluetooth(特にBLE(Bluetooth Low Energy))モジュールを含む。通信インタフェース14は、さらに、Wi-Fi(登録商標)モジュール、イーサネットモジュール、LTE、4G、もしくは5G等の移動体通信用モジュール、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0025】
(1-2)サーバの構成
本実施形態のサーバの構成について説明する。
【0026】
図2に示すように、サーバ30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。
【0027】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0028】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0029】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータ及びデータベース
・情報処理の実行結果
【0030】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動してデータを処理することによって、サーバ30の機能を実現するように構成される。プロセッサ32は、コンピュータの一例である。記憶装置31により記憶されるプログラム及びデータは、ネットワークを介して提供されてもよいし、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録して提供されてもよい。なお、サーバ30の機能の少なくとも一部が、1又は複数の専用のハードウェアにより実現されていてもよい。
【0031】
入出力インタフェース33は、サーバ30に接続される入力デバイスから信号(例えば、ユーザの指示)を取得し、かつ、サーバ30に接続される出力デバイスに情報(例えば、画像信号、制御信号)を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0032】
通信インタフェース34は、サーバ30と外部装置(例えばロケータ10)との間の通信を制御するように構成される。一例として、通信インタフェース34は、Wi-Fiモジュール、イーサネットモジュール、LTE、4G、もしくは5G等の移動体通信用モジュール、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0033】
(2)実施形態の概要
本実施形態の概要について説明する。
図3は、見張り番ロケータを含む複数のロケータが設置された空間の一例を示す図である。
図4は、移動機器が見張り番ロケータから離れた位置に居る時の各ロケータの動作モードの一例を示す図である。
図5は、移動機器が見張り番ロケータに近づく時の各ロケータの動作モードの一例を示す図である。
図6は、移動機器が見張り番ロケータから遠ざかる時の各ロケータの動作モードの一例を示す図である。
【0034】
図3に示すように、測位が行われる空間(例えば部屋)RMには、12個のロケータ10が設置される。各ロケータ10は、空間を構成する構造物(例えば、天井、柱、梁、壁、窓、または床)に取り付けられる。
【0035】
12個のロケータ10のうちロケータ10Aは、見張り番ロケータと呼ぶことができる。見張り番ロケータは、連続的に稼働(Active)モードにある。Activeモードとは、少なくとも、以下の各機能(一例として、機能を実現するためのハードウェア又はソフトウェア。以下同様)が停止していない(つまり稼働可能である)状態を指す。
・移動機器から送信された無線信号を受信する機能
・移動機器から送信された無線信号の受信電力を算出する機能
・移動機器から送信された無線信号の到来角を算出する機能
・到来角情報をサーバ30へ送信する機能
【0036】
見張り番ロケータは、空間RMのうち移動機器がその付近を通る確率の高い位置(例えば、出入り口付近)に設置されることが好ましい。これにより、移動機器の見落としをより確実に防止することができる。見張り番ロケータは、典型的には安定電源(例えば商用電源)から電力供給を受けるが、バッテリから電力供給を受けてもよい。
【0037】
12個のロケータ10のうちロケータ10A以外のロケータ10B~10Lは、間欠動作ロケータと呼ぶことができる。間欠動作ロケータは、間欠的にAcitveモードとなる。つまり、間欠動作ロケータは、Activeモードと、休止(Sleep)モードとを行き来する。Sleepモードとは、少なくとも到来角情報をサーバ30へ送信する機能が停止している状態を指す。Sleepモードでは、以下の少なくとも1つの機能が停止されてもよい。
・移動機器から送信された無線信号を受信する機能
・移動機器から送信された無線信号の受信電力を算出する機能
・移動機器から送信された無線信号の到来角を算出する機能
【0038】
間欠動作ロケータは、典型的にはバッテリから電力供給を受けるが、安定電源から電力供給を受けてもよい。間欠動作ロケータの電源をバッテリとすることで、間欠動作ロケータの設置に関する自由度を高めることができる。
【0039】
消費電力の削減効果に応じて複数のSleepモードを定義することができる。以降の説明では、4段階のSleepモードを定義する例を示すが、本実施形態のSleepモードはこの例に限定されない。
【0040】
Sleep 1モードでは、到来角情報をサーバ30へ送信する機能が停止される。
Sleep 2モードでは、Sleep 1モードで停止される機能に加え、移動機器から送信された無線信号の到来角を算出する機能が停止される。
Sleep 3モードでは、Sleep 2モードで停止される機能に加え、移動機器から送信された無線信号を受信する機能および当該無線信号の受信電力を算出する機能が停止される。
Sleep 4モードでは、Activeモードに遷移するために必要な機能(例えば、サーバ30からの起動指示を取得して再起動を行う機能、またはタイマ処理により再起動を行う機能)を除く全ての機能(Sleep 3モードで停止される機能を含む)が停止される。
【0041】
Sleep 1モードでは、ロケータ10が自ら算出した受信電力および到来角に基づいて当該ロケータ10から移動機器までの距離および方向を粗く測定することができる。Sleep 1モードでは、ロケータ10は、到来角情報を記憶装置11に保存しておいてもよい。これにより、ロケータ10がActiveモードに遷移した後に、保存しておいた到来角情報をサーバ30へ送信することができる。
Sleep 2モードでは、Sleep 1モードに比較して、消費電力の削減効果に優れる。さらに、ロケータ10が自ら算出した受信電力に基づいて当該ロケータ10から移動機器までの距離を粗く測定することができる。
Sleep 3モードでは、Sleep 2モードに比較して、消費電力の削減効果に優れる。さらに、Sleep 4モードに比較して、ロケータ10がActiveモードに遷移するまでの時間は短い。
Sleep 4モードでは、消費電力の削減効果は最も大きい。
【0042】
図3の例では、ロケータ10AがActiveモードにあり、他のロケータ10B~10LはSleepモードにある。空間RMの内部に移動機器が存在しないので、測位システム1は、移動機器の位置情報を取得する必要がなく、ロケータ10B~10Lによる消費電力を削減することができる。
【0043】
図4に示すように、移動機器TAGがロケータ10A(および図示しない他のActiveモードのロケータ10)からの距離が遠い位置に居る場合には、移動機器TAGから送信される無線信号をいずれのロケータ10も検出しない。故に、ロケータ10B~10Lは
図3と同様にSleepモードのままとなる。
【0044】
図5に示すように、移動機器TAGがロケータ10Aに近づくと、ロケータ10Aは移動機器TAGから送信される無線信号を検出する。ロケータ10Aによる無線信号の検出に応じて、測位システム1は所定のアルゴリズムに従って起動対象となるロケータを選択し、Activeモードに遷移させる。
図5の例では、ロケータ10B,10E,10FがActiveモードとなる。サーバ30は、4つのActiveモードのロケータ10A,10B,10E,10Fのうち2つ以上から送信される到来角情報を参照して、移動機器TAGの位置を算出する。
【0045】
Activeモードのロケータ10A,10B,10E,10Fは、移動機器TAGから送信された無線信号の受信電力が到来角情報の信頼度に関する条件を満たす場合に、当該無線信号の到来角情報をサーバ30へ送信する。他方、ロケータ10A,10B,10E,10Fは、移動機器から送信された無線信号の受信電力が上記条件を満たさない場合に、当該無線信号の到来角情報をサーバ30へ送信しない。同様に、Activeモードでないロケータ10C,10D,10G~10Lは、移動機器から送信された無線信号の到来角情報をサーバ30へ送信しない。このように、ロケータ10A~10Lが、移動機器の位置の算出に利用可能(つまり信頼できる)、かつ必要な到来角情報をサーバ30へ送信しつつ、移動機器の位置の算出に利用不可能(つまり信頼できない)、または必要でない到来角情報のサーバ30への送信を省略することで、測位システム1が移動機器を見失うことなく当該ロケータ10A~10Lの合計の消費電力を削減することができる。
【0046】
ロケータ10B~10Lの動作モードは、サーバ30によって算出された移動機器TAGの位置、または各ロケータによって算出された受信電力の少なくとも1つに応じて動的に決定される。例えば
図6に示すように、移動機器TAGがロケータ10Aから遠ざかると、移動機器TAGの位置、または各ロケータによって算出された受信電力の少なくとも1つに応じて、測位システム1は所定のアルゴリズムに従って休止対象となるロケータを選択し、Sleepモードに遷移させる。
図6の例では、ロケータ10B,10E,10FがActiveモードからSleepモードに遷移する。
【0047】
このように、本実施形態の測位システムでは、測位が行われる空間をカバーする複数のロケータ10のうちの一部が見張り番ロケータとして構成され、残部が間欠動作ロケータとして構成される。間欠動作ロケータの動作モードを適正化することで、移動機器の見落としを防止しつつ消費電力を削減することができる。特に、間欠動作ロケータの電源がバッテリである場合には、バッテリの電力消費を抑制し、バッテリの充電または交換のサイクルを長くして保守オペレーションを簡略化することができる。
【0048】
(3)ロケータデータベース
本実施形態のロケータデータベースについて説明する。
図7は、本実施形態のロケータデータベースのデータ構造を示す図である。
図8は、ロケータの有効範囲の説明図である。
【0049】
ロケータデータベースは、記憶装置31に記憶される。ロケータデータベースには、ロケータ情報のレコードが格納される。ロケータ情報は、サーバ30によって管理されるロケータに関する情報である。
【0050】
図7に示すように、ロケータデータベースは、「ID」フィールドと、「名称」フィールドと、「種別」フィールドと、「モード」フィールドと、「有効範囲」フィールドと、「検知タグ数」フィールドと、「遷移指標」フィールドと、「電源」フィールドとを含む。
【0051】
「ID」フィールドには、ロケータIDが格納される。ロケータIDは、ロケータ10を識別する情報である。
【0052】
「名称」フィールドには、名称情報が格納される。名称情報は、ロケータ10の名称に関する情報である。名称情報は、例えば、ロケータ10のオペレータにより編集可能であってよい。
【0053】
「種別」フィールドには、種別情報が格納される。種別情報は、ロケータ10の種別に関する情報である。具体的には、種別情報は、ロケータ10が、見張り番ロケータであるか、間欠動作ロケータであるかを示す。種別情報は、例えば、ロケータ10のオペレータにより設定可能であってよい。
【0054】
「有効範囲」フィールドには、有効範囲情報が格納される。有効範囲情報は、ロケータ10の有効範囲に関する情報である。有効範囲情報は、例えば、ロケータ10のオペレータにより編集可能であってよい。有効範囲情報は、距離の値の代わりに、受信電力の閾値を用いて定義することもできる。
【0055】
ロケータ10の有効範囲は、ロケータ10が移動機器によって送信された無線信号から信頼できる(つまり、位置の算出に利用可能な)到来角を算出できるような当該移動機器の存在範囲である。つまり、ロケータ10は、有効範囲内に居る移動機器によって送信された無線信号(Constant Tone Extension (CTE)と呼ばれる電波)を受信し、かつ信頼できる到来角を算出することができる。有効範囲の限界は、ロケータ10の性能、ロケータ10の設置環境(例えば設置された高さや空間の形状)、移動機器の性能、到来角情報に要求される信頼度、またはそれらの組み合わせに依存する。
【0056】
図8に示すように、ロケータ10Xの有効範囲R1_Xは、ロケータ10XのBLE検知範囲R0_Xに比べて狭い。BLE検知範囲とは、ロケータ10が移動機器によって送信された無線信号を受信できる(例えば、無線信号からRSSIなどの一般的なBLE情報を取得可能である)ような当該移動機器の存在範囲である。つまり、ロケータ10Xは、BLE検知範囲R0_X外に居る移動機器によって送信された無線信号を受信できない。ロケータ10Xは、BLE検知範囲R0_X内、かつ有効範囲R1_X外に居る移動機器によって送信された無線信号を受信できるが信頼できる到来角を算出することができない。
【0057】
移動機器の測位には複数のロケータによって算出された到来角が用いられる。つまり、移動機器の位置を測定可能な範囲(「測位可能範囲」)は、複数のロケータの有効範囲の重複部分である。
図8の例では、ロケータ10Xの有効範囲R1_Xおよびロケータ10Yの有効範囲R1_Yとの重複部分(R1_XY,R1_XYZ)と、ロケータ10Xの有効範囲R1_Xおよびロケータ10Zの有効範囲R1_Zとの重複部分(R1_XZ,R1_XYZ)とが測位可能範囲に該当する。
【0058】
「検知タグ数」フィールドには、検知タグ数情報が格納される。検知タグ数情報は、ロケータ10が検知した移動機器の数に関する情報である。ロケータ10が検知した移動機器の数は、ロケータ10が無線信号の受信結果に基づいて自らの有効範囲内、または自らの有効範囲に包含される測位可能範囲内に居ると判定した移動機器の数である。ロケータ10は、有効範囲または測位可能範囲内に居た移動機器のそれぞれについて到来角情報をサーバ30へ送信する。サーバ30は、ロケータ10からの到来角情報に応じて、検知タグ数情報を更新する。
【0059】
「遷移指標」フィールドには、遷移指標情報が格納される。遷移指標情報は、ロケータ10のモード遷移を決定するために参照される指標に関する情報である。遷移指標情報は、例えば、ロケータ10のオペレータにより編集可能であってよい。
【0060】
例えば、遷移指標情報は、ロケータ10のモード遷移が、当該ロケータ10における受信電力(例えばRSSI(Received Signal Strength Indicator))を参照して決定されるか、移動機器の測位結果(例えば位置情報)を参照して決定されるかを示す。移動機器の測位結果を参照することで、ロケータ10の動作モードをより的確に制御することが可能となる。他方、ロケータ10における受信電力を参照することで、当該ロケータ10は自らをSleepモードに遷移させるべきか否かを、サーバ30または他のロケータ10を頼らず、自ら決定することができる。
【0061】
「電源」フィールドには、電源情報が格納される。電源情報は、ロケータ10の電源に関する情報である。電源情報は、一例として、ロケータ10の電源の種別を示す。ロケータ10の電源がバッテリである場合に、電源情報は、バッテリの残量または容量の少なくとも1つに関する情報を含んでもよい。電源情報は、ロケータ10の電源の状態に応じて更新されてよい。
【0062】
図7に示されていないが、ロケータ情報は、以下の情報の少なくとも1つを含むことができる。
・ロケータの設置された位置(2次元座標又は3次元座標)に関する情報
・ロケータの設置環境(例えば、設置された空間の形状又は大きさ)に関する情報
【0063】
(4)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。
【0064】
(4-1)第1ロケータ処理
本実施形態の第1ロケータ処理について説明する。
図9は、本実施形態の第1ロケータ処理のフローチャートである。
【0065】
第1ロケータ処理は、見張り番ロケータに該当するロケータ10、または動作モードがActiveモードのロケータ10によって行われる。
【0066】
第1ロケータ処理は、以下の開始条件のいずれかに応じて開始する。
・ロケータ10の動作モードがActiveモードに遷移したこと
・ロケータ10に対してオペレータにより第1ロケータ処理の開始指示が入力されたこと
・ロケータ10がサーバ30から第1ロケータ処理の開始指示を受信したこと
・所定の日時が到来したこと
【0067】
図9に示すように、ロケータ10は、受信判定(S110)を実行する。
具体的には、ロケータ10の通信インタフェース14(BLEモジュール)は、第1ロケータ処理の間、移動機器から送信された無線信号の受信処理をバックグラウンドで実行している。一例として、無線信号は、CTEを含んだBLEパケットである。プロセッサ12は、通信インタフェース14が無線信号を受信した場合に、当該無線信号の受信結果(例えば、IQデータ)を通信インタフェース14から取得する。
【0068】
ステップS110において無線信号を取得した場合に、ロケータ10は、受信電力の算出(S120)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS110において取得した無線信号の受信結果を参照し、当該無線信号の受信電力(例えばRSSI)を算出する。
【0069】
ステップS120の後に、ロケータ10は、受信電力の判定(S130)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS120において算出された受信電力が所定の条件を満たすか否かを判定する。所定の条件は、例えば、受信電力が閾値Th以上であること、である。閾値Thは、例えばロケータ10の有効範囲の境界に対応する受信電力であってよい。
【0070】
ステップS130において受信電力が閾値Th以上と判定した場合に、ロケータ10は、到来角の算出(S140)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS110において取得した無線信号の受信結果を参照し、当該無線信号の到来角を算出する。
【0071】
ステップS140の後に、ロケータ10は、到来角情報の送信(S150)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、通信インタフェース14(例えばWi-Fiモジュール、またはイーサネットモジュール)に、ステップS140における到来角の算出結果に関する到来角情報をサーバ30へ送信させる。
図9では、1つの到来角を算出する毎に到来角情報の送信(S150)が行われる。しかしながら、複数の到来角を算出する毎に到来角情報の送信(S150)が行われてもよい。
【0072】
ステップS150の後に、ロケータ10は、受信判定(S110)を再度実行する。
【0073】
ステップS110において無線信号を取得できなかった場合、またはステップS130において受信電力が閾値Th未満と判定した場合に、ロケータ10は、到来角の算出(S140)、および到来角情報の送信(S150)をスキップして受信判定(S110)を実行する。
【0074】
第1ロケータ処理は、以下の終了条件のいずれかに応じて終了する。
・ロケータ10の動作モードがActiveモード以外のモードに遷移したこと
・ロケータ10に対してオペレータにより第1ロケータ処理の終了指示が入力されたこと
・ロケータ10がサーバ30から第1ロケータ処理の終了指示を受信したこと
・所定の日時が到来したこと
【0075】
ロケータ10の動作モードがActiveモードからSleep 1モードに遷移する場合に、プロセッサ12は、
図9の到来角の算出(S140)を実行するための機能を停止させる。
【0076】
ロケータ10の動作モードがActiveモードからSleep 2モードに遷移する場合に、プロセッサ12は、
図9の到来角の算出(S140)を実行するための機能、および到来角情報の送信(S150)を実行するための機能を停止させる。
【0077】
ロケータ10の動作モードがActiveモードからSleep 3モードに遷移する場合に、プロセッサ12は、
図9の各処理を実行するための機能を停止させる。
【0078】
ロケータ10の動作モードがActiveモードからSleep 4モードに遷移する場合に、プロセッサ12は、Activeモードに遷移するために必要な機能を除く全ての機能を停止させる。
【0079】
(4-2)第2ロケータ処理
本実施形態の第2ロケータ処理について説明する。
図10は、本実施形態の第2ロケータ処理のフローチャートである。
【0080】
第2ロケータ処理は、動作モードがSleep 1モードのロケータ10によって行われる。
【0081】
第2ロケータ処理は、以下の開始条件のいずれかに応じて開始する。
・ロケータ10の動作モードがSleep 1モードに遷移したこと
・ロケータ10に対してオペレータにより第2ロケータ処理の開始指示が入力されたこと
・ロケータ10がサーバ30から第2ロケータ処理の開始指示を受信したこと
・所定の日時が到来したこと
【0082】
図10に示すように、ロケータ10は
図9と同様に、無線信号の受信(S110)、受信電力の算出(S120)、受信電力の判定(S130)、および到来角の算出(S140)を実行する。ロケータ10の通信インタフェース14(BLEモジュール)は、第2ロケータ処理の間、移動機器から送信された無線信号の受信処理をバックグラウンドで実行している。
【0083】
ステップS140の後に、ロケータ10は、到来角情報の保存(S160)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS140において得られた到来角情報を記憶装置11に保存する。プロセッサ12は、記憶装置11に保存した到来角情報を、ロケータ10がActiveモードに遷移した後にサーバ30へ送信してもよいし、送信することなく破棄してもよい。
【0084】
ステップS160の後に、ロケータ10は、受信判定(S110)を再度実行する。
【0085】
ステップS110において無線信号を取得できなかった場合、またはステップS130において受信電力が閾値Th未満と判定した場合に、ロケータ10は、到来角の算出(S140)、および到来角情報の保存(S160)をスキップして受信判定(S110)を再度実行する。
【0086】
第2ロケータ処理は、以下の終了条件のいずれかに応じて終了する。
・ロケータ10の動作モードがSleep 1モード以外のモードに遷移したこと
・ロケータ10に対してオペレータにより第2ロケータ処理の終了指示が入力されたこと
・ロケータ10がサーバ30から第2ロケータ処理の終了指示を受信したこと
・所定の日時が到来したこと
【0087】
ロケータ10の動作モードがSleep 1モードからActiveモードに遷移する場合に、プロセッサ12は、
図9の到来角情報の送信(S150)を実行するための機能を起動させる。
【0088】
ロケータ10の動作モードがSleep 1モードからSleep 2モードに遷移する場合に、プロセッサ12は、
図9の到来角の算出(S140)を実行するための機能を停止させる。
【0089】
ロケータ10の動作モードがSleep 1モードからSleep 3モードに遷移する場合に、プロセッサ12は、
図9の各処理を実行するための機能を停止させる。
【0090】
ロケータ10の動作モードがSleep 1モードからSleep 4モードに遷移する場合に、プロセッサ12は、Activeモードに遷移するために必要な機能を除く全ての機能を停止させる。
【0091】
(4-3)第3ロケータ処理
本実施形態の第3ロケータ処理について説明する。
図11は、本実施形態の第3ロケータ処理のフローチャートである。
【0092】
第3ロケータ処理は、動作モードがSleep 2モードのロケータ10によって行われる。
【0093】
第3ロケータ処理は、以下の開始条件のいずれかに応じて開始する。
・ロケータ10の動作モードがSleep 2モードに遷移したこと
・ロケータ10に対してオペレータにより第3ロケータ処理の開始指示が入力されたこと
・ロケータ10がサーバ30から第3ロケータ処理の開始指示を受信したこと
・所定の日時が到来したこと
【0094】
図11に示すように、ロケータ10は
図9と同様に、受信判定(S110)、受信電力の算出(S120)、および受信電力の判定(S130)を実行する。ロケータ10の通信インタフェース14(BLEモジュール)は、第3ロケータ処理の間、移動機器から送信された無線信号の受信処理をバックグラウンドで実行している。
【0095】
ステップS130において受信電力が閾値Th以上と判定した場合に、ロケータ10は、受信結果の保存(S170)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS110において取得した無線信号の受信結果(例えばIQデータ)を記憶装置11に保存する。プロセッサ12は、記憶装置11に保存された受信結果を、ロケータ10がActiveモード、またはSleep 1モードに遷移した後に到来角を算出するために用いてもよいし、到来角を算出するために用いることなく破棄してもよい。
【0096】
ステップS170の後に、ロケータ10は、受信判定(S110)を再度実行する。
【0097】
ステップS110において無線信号を取得できなかった場合、またはステップS130において受信電力が閾値Th未満と判定した場合に、ロケータ10は、受信結果の保存(S170)をスキップして受信判定(S110)を再度実行する。
【0098】
第3ロケータ処理は、以下の終了条件のいずれかに応じて終了する。
・ロケータ10の動作モードがSleep 2モード以外のモードに遷移したこと
・ロケータ10に対してオペレータにより第3ロケータ処理の終了指示が入力されたこと
・ロケータ10がサーバ30から第3ロケータ処理の終了指示を受信したこと
・所定の日時が到来したこと
【0099】
ロケータ10の動作モードがSleep 2モードからActiveモードに遷移する場合に、プロセッサ12は、
図9の到来角の算出(S140)、および到来角情報の送信(S150)を実行するための機能を起動させる。
【0100】
ロケータ10の動作モードがSleep 2モードからSleep 1モードに遷移する場合に、プロセッサ12は、
図9の到来角の算出(S140)を実行するための機能を起動させる。
【0101】
ロケータ10の動作モードがSleep 2モードからSleep 3モードに遷移する場合に、プロセッサ12は、
図9の各処理を実行するための機能を停止させる。
【0102】
ロケータ10の動作モードがSleep 2モードからSleep 4モードに遷移する場合に、プロセッサ12は、Activeモードに遷移するために必要な機能を除く全ての機能を停止させる。
【0103】
(4-4)第4ロケータ処理
本実施形態の第4ロケータ処理について説明する。
図12は、本実施形態の第4ロケータ処理のフローチャートである。
【0104】
第4ロケータ処理は、動作モードがSleep 3モードまたはSleep 4モードのロケータ10によって行われる。
【0105】
第4ロケータ処理は、以下の開始条件のいずれかに応じて開始する。
・ロケータ10の動作モードがSleep 3モードまたはSleep 4モードに遷移したこと
・ロケータ10に対してオペレータにより第4ロケータ処理の開始指示が入力されたこと
・ロケータ10がサーバ30から第4ロケータ処理の開始指示を受信したこと
・所定の日時が到来したこと
【0106】
図12に示すように、ロケータ10は、起動信号の取得(S180)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、起動信号を取得する。起動信号は、ロケータ10の動作モードをより消費電力の大きなモードに遷移させるため制御信号である。プロセッサ12は、例えば以下の少なくとも1つを実行する。
・サーバ30によって送信された起動信号を通信インタフェース14(例えば、Wi-Fiモジュール、またはイーサネットモジュール)から取得する。
・他のロケータ10によって送信された起動信号を通信インタフェース14(例えばBLEモジュール)から取得する。
・再起動のタイミングを知らせるタイマ割り込みに応じて、起動信号を発生する。
【0107】
ステップS180の後に、ロケータ10は、各機能の起動(S190)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS180において取得した起動信号に応じて、ロケータ10の各機能を起動する。
【0108】
ステップS180においてActiveモードへの遷移を指示する起動信号を取得した場合に、プロセッサ12は、第1ロケータ処理(
図9)の各ステップを実行するための機能を起動させる。
【0109】
ステップS180においてSleep 1モードへの遷移を指示する起動信号を取得した場合に、プロセッサ12は、第2ロケータ処理(
図10)の各ステップを実行するための機能を起動させる。
【0110】
ステップS180においてSleep 2モードへの遷移を指示する起動信号を取得した場合に、プロセッサ12は、第3ロケータ処理(
図11)の各ステップを実行するための機能を起動させる。
【0111】
ステップS190の後に、ロケータ10は、動作モードの遷移(S200)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS180において取得した起動信号に応じて、ロケータ10の動作モードをSleep 3またはSleep 4以外のモードに遷移させる。
【0112】
ステップS200の後に、ロケータ10は、第4ロケータ処理(
図12)を終了する。
(4-5)サーバ処理
本実施形態のサーバ処理について説明する。
図13は、本実施形態のサーバ処理のフローチャートである。
【0113】
サーバ処理は、以下の開始条件のいずれかに応じて開始する。
・サーバ30に対してオペレータによりサーバ処理の開始指示が入力されたこと
・サーバ30がロケータ10からサーバ処理の開始要求を受信したこと
・所定の日時が到来したこと
【0114】
図13に示すように、サーバ30は、到来角情報の取得(S310)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、通信インタフェース34が受信した到来角情報を取得する。到来角情報は、Activeモードのロケータ10によって送信される(
図9の到来角情報の送信(S150))。
【0115】
ステップS310の後に、サーバ30は、位置の算出(S320)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、ステップS310において取得した到来角情報を参照し、移動機器の位置を算出する。プロセッサ32は、移動機器の識別情報に関連付けて移動機器の位置および測位日時に関する情報を記憶装置31に保存する。測位日時は、例えば以下のいずれかに基づく日時である。
・サーバ30において到来角情報の取得(S310)または位置の算出(S320)が実行された日時
・ロケータ10が無線信号を受信した日時、到来角を算出した日時、または到来角情報を送信した日時
・移動機器が無線信号を送信した日時
【0116】
プロセッサ32は、移動機器が送信した無線信号に対し複数のロケータ10から到来角情報が得られた場合に、当該複数のロケータ10の位置情報および複数の到来角情報を参照し、移動機器の位置を算出する。
【0117】
プロセッサ32は、移動機器の送信した無線信号に対し1つのロケータ10のみから到来角情報が得られた場合に、当該ロケータ10の位置情報に基づいて移動機器の位置を仮定して、休止対象ロケータの選択(S330)または起動対象ロケータの選択(S350)を実行してもよい。
例えば、プロセッサ32は、移動機器の位置がロケータ10の位置に一致すると仮定してもよい。或いは、プロセッサ32は、ロケータ10において算出された到来角および受信電力に基づいて当該ロケータ10に対する移動機器の相対位置を推定してもよい。つまり、プロセッサ32は、到来角を参照してロケータ10から見た移動機器の方向を推定し、受信電力を参照してロケータ10と移動機器との間の距離を推定し得る。距離の推定には、受信電力と距離との対応関係に関する情報(例えば、係数、関数、LUT(Look UP Table)またはそれらの組み合わせ)を用いることができる。
【0118】
ステップS320の後に、サーバ30は、休止対象ロケータの選択(S330)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、ステップS320において算出した移動機器の位置と、ロケータデータベース(
図7)とを参照し、複数の間欠動作ロケータから、動作モードをより消費電力の小さいモードに遷移させるロケータ(以下、「休止対象ロケータ」と称する)を選択する。一例として、プロセッサ32は、以下に例示するロケータ10のいずれかを休止対象ロケータとして選択してもよい。
・移動機器までの距離が閾値(閾値は、例えばロケータ10から当該ロケータ10の有効範囲の境界までの距離であってもよいし、オペレータにより指定されてもよい)以上であるロケータ10
・見張り番ロケータ以外の複数のロケータ10を当該ロケータ10から移動機器までの距離の昇順にソートした場合に、上位R1位(R1は任意の自然数であって、オペレータにより指定されてもよい)よりも下位に位置するロケータ10
・移動機器が3台以上のロケータ10の有効範囲(例えば
図8の有効範囲R1_XYZ)内に存在する場合に、当該3台以上のロケータ10のうちバッテリ残量が最小であるロケータ10
・第1空間(例えば、部屋、または部屋の一部)に移動機器が存在せず、かつ第2空間(例えば、第1空間と隣接しない空間)に移動機器が存在する場合に、第1空間に関連付けられているロケータ10(空間とロケータ10との関連付けは、オペレータにより指定されてよい)
【0119】
ステップS330の後に、サーバ30は、休止信号の送信(S340)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、通信インタフェース34に、ステップS330において選択した休止対象ロケータへ休止信号を送信させる。休止信号は、休止対象ロケータを消費電力のより小さい動作モードに遷移させるための制御信号である。休止信号の内容(例えば、休止対象ロケータに遷移を指示する動作モード)は、休止対象ロケータ間で共通に決定されてもよいし、休止対象ロケータ毎に個別に決定されてもよい。
【0120】
ステップS340の後に、サーバ30は、起動対象ロケータの選択(S350)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、ステップS320において算出した移動機器の位置と、ロケータデータベース(
図7)とを参照し、複数の間欠動作ロケータから、動作モードをより消費電力の大きなモードに遷移させるロケータ(以下、「起動対象ロケータ」と称する)を選択する。一例として、プロセッサ32は、以下に例示するロケータ10のいずれかを起動対象ロケータとして選択してもよい。
・第1空間に隣接する第3空間に移動機器が存在する場合に、第1空間に関連付けられているロケータ10の一部
・第1空間に移動機器が存在する場合に、当該第1空間に関連付けられているロケータ10の一部または全部
・最も近い他のActiveモードのロケータ10までの距離が閾値(閾値は、オペレータにより指定されてよい)未満であるロケータ10
・見張り番ロケータ以外の複数のロケータ10をActiveモードのロケータ10までの距離の昇順にソートした場合に、上位R2位(R2は任意の自然数であって、オペレータにより指定されてもよい)以内に位置するロケータ10
・移動機器までの距離が閾値(閾値は、例えばロケータ10から当該ロケータ10の有効範囲の境界までの距離であってもよいし、オペレータにより指定されてもよい)未満であるロケータ10
・見張り番ロケータ以外の複数のロケータ10を当該ロケータ10から移動機器までの距離の昇順にソートした場合に、上位R3位(R3は任意の自然数であって、オペレータにより指定されてもよい)以内に位置するロケータ10
【0121】
ステップS350の後に、サーバ30は、起動信号の送信(S360)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、通信インタフェース34に、ステップS350において選択した起動対象ロケータへ起動信号を送信させる。起動信号の内容(例えば、起動対象ロケータに遷移を指示する動作モード)は、起動対象ロケータ間で共通に決定されてもよいし、起動対象ロケータ毎に個別に決定されてもよい。
【0122】
ステップS360の後に、サーバ30は、到来角情報の取得(S310)を再度実行する。
【0123】
サーバ処理は、以下の終了条件のいずれかに応じて終了する。
・サーバ30に対してオペレータによりサーバ処理の終了指示が入力されたこと
・サーバ30がロケータ10からサーバ処理の終了要求を受信したこと
・所定の日時が到来したこと
なお、S330及びS340の処理と、S350及びS360の処理とは、順序が逆であってもよいし、並行して行われてもよい。
【0124】
(5)小括
以上説明したように、本実施形態のロケータ10は、Activeモードであって、かつ移動機器から送信された無線信号の受信電力が所定の条件(例えば閾値以上である)を満たす場合に、当該無線信号の到来角情報をサーバ30へ送信する。他方、ロケータ10は、Activeモードでない、または移動機器から送信された無線信号の受信電力が所定の条件(例えば閾値以上である)を満たさない場合に、当該無線信号の到来角情報をサーバ30へ送信しない。このように、ロケータ10が、移動機器の位置の算出に利用可能(つまり、信頼できる)、かつ必要な到来角情報をサーバ30へ送信しつつ、移動機器の位置の算出に利用不可能(つまり、信頼できない)、または必要でない到来角情報をサーバ30への送信を省略する。これにより、測位システム1が移動機器を見失うことなく当該ロケータ10の消費電力を削減することができる。
【0125】
ロケータ10は、移動機器から送信された無線信号の受信電力が所定の条件を満たさない場合に、当該無線信号の到来角の算出を省略してもよい。このように、ロケータ10が、移動機器の位置の算出に利用不可能(つまり、信頼できない)到来角の算出を省略することで、測位システム1が移動機器を見失うことなく当該ロケータ10の消費電力をいっそう低減することができる。
【0126】
ロケータ10は、制御信号を取得し、当該制御信号が休止信号である場合に到来角情報を送信する機能を停止させてもよい。これにより、移動機器の位置の算出に必要でないと評価されたロケータ10の動作モードがより消費電力の小さいモードに遷移するので、測位システム1は移動機器を見失うことなく当該ロケータ10の消費電力をいっそう低減することができる。
【0127】
ロケータ10は、制御信号を取得し、当該制御信号が起動信号である場合に、少なくとも、無線信号を受信する機能、および受信電力を算出する機能を起動させてもよい。これにより、移動機器の位置の算出に必要と評価されたロケータ10が少なくとも受信電力を算出可能な状態となるので、測位システム1は移動機器をより確実に捕捉することができる。
【0128】
本実施形態のサーバ30は、見張り番ロケータおよび複数の間欠動作ロケータを含む複数のロケータ10から到来角情報を取得し、当該到来角情報を参照して移動機器の位置を算出する。サーバ30は、移動機器の位置を参照して複数の間欠動作ロケータから休止対象ロケータを選択し、当該休止対象ロケータに休止信号を送信する。これにより、移動機器の位置の算出に必要でないと評価されたロケータ10の動作モードがより消費電力の小さいモードに遷移するので、測位システム1は移動機器を見失うことなく当該ロケータ10の消費電力をいっそう低減することができる。
【0129】
サーバ30は、移動機器の位置を参照して複数の間欠動作ロケータから起動対象ロケータを選択し、当該起動対象ロケータに起動信号を送信する。これにより、移動機器の位置の算出に必要と評価されたロケータ10が少なくとも受信電力を算出可能な状態となるので、測位システム1は移動機器をより確実に捕捉することができる。
【0130】
(6)変形例
本実施形態の変形例について説明する。
【0131】
(6-1)変形例1
変形例1について説明する。変形例1は、間欠動作ロケータの起動を見張り番ロケータまたは他の間欠動作ロケータが制御する例である。
【0132】
(6-1-1)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。
【0133】
(6-1-1-1)第1ロケータ処理
変形例1の第1ロケータ処理について説明する。
図14は、変形例1の第1ロケータ処理のフローチャートである。
【0134】
図14に示すように、ロケータ10は
図9と同様に、受信判定(S110)、受信電力の算出(S120)、受信電力の判定(S130)、および到来角の算出(S140)を実行する。ロケータ10の通信インタフェース14(BLEモジュール)は、第1ロケータ処理の間、移動機器から送信された無線信号の受信処理をバックグラウンドで実行している。
【0135】
ステップS140の後に、ロケータ10は、起動対象ロケータの選択(S210)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ロケータデータベース(
図7)に格納されたロケータ情報の少なくとも一部を参照し、複数の間欠動作ロケータから起動対象ロケータを選択する。プロセッサ12は、ステップS120において算出した受信電力、またはステップS140において算出した到来角の少なくとも1つをさらに参照してもよい。
【0136】
ロケータ10は、少なくとも当該ロケータ10の周辺(例えば起動信号の到達可能な範囲)に設置されたロケータに関するロケータ情報を参照可能に構成される。例えば、ロケータ10が必要なロケータ情報をサーバ30に問い合わせてもよいし、サーバ30が必要なロケータ情報をロケータ10に適時に提供してもよい。
【0137】
一例として、プロセッサ12は、以下に例示するロケータ10のいずれかを起動対象ロケータとして選択してもよい。
・ロケータ10から、受信電力に対応する距離の範囲内に設置された他のロケータ10
・ロケータ10から見て、無線信号の到来角に対応する所定の方向に設置された他のロケータ10
・ロケータ10から見て、無線信号の到来角に対応する所定の方向、かつ受信電力に対応する距離の範囲内に設置された他のロケータ10
・ロケータ10に予め関連付けられている他のロケータ10(関連付けは、オペレータにより指定されてよい)
【0138】
ステップS210の後に、ロケータ10は、起動信号の送信(S220)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、通信インタフェース14に、ステップS210において選択した起動対象ロケータへ起動信号を送信させる。起動信号の内容(例えば、起動対象ロケータに遷移を指示する動作モード)は、起動対象ロケータ間で共通に決定されてもよいし、起動対象ロケータ毎に個別に決定されてもよい。
【0139】
ステップS220の後に、ロケータ10は
図9と同様に、到来角情報の送信(S150)を実行する。
【0140】
ステップS150の後に、ロケータ10は、受信判定(S110)を再度実行する。
【0141】
ステップS110において無線信号を取得できなかった場合、またはステップS130において受信電力が閾値Th未満と判定した場合に、ロケータ10は、到来角の算出(S140)、起動対象ロケータの選択(S210)、起動信号の送信(S220)、および到来角情報の送信(S150)をスキップして受信判定(S110)を再度実行する。
なお、S150の処理と、S210及びS220の処理とは、順序が逆であってもよいし、並行して行われてもよい。
【0142】
(6-1-1-2)サーバ処理
変形例1のサーバ処理について説明する。
図15は、変形例1のサーバ処理のフローチャートである。
【0143】
図15に示すように、サーバ30は
図13と同様に、到来角情報の取得(S310)、位置の算出(S320)、休止対象ロケータの選択(S330)、および休止信号の送信(S340)を実行する。
【0144】
ステップS340の後に、サーバ30は、到来角情報の取得(S310)を再度実行する。
【0145】
(6-1-2)小括
以上説明したように、変形例1のロケータ10は、移動機器から送信された無線信号の受信電力が所定の条件(例えば閾値以上である)を満たす場合に、他のロケータ10(例えば、ロケータ10の周囲の間欠動作ロケータ)から起動対象ロケータを選択し、当該起動対象ロケータへ起動信号を送信する。これにより、移動機器の位置の算出に必要と評価されたロケータ10が少なくとも受信電力を算出可能な状態となるので、測位システム1は移動機器をより確実に捕捉することができる。
【0146】
(6-2)変形例2
変形例2について説明する。変形例2は、ロケータ情報をオペレータがカスタマイズできるように構成する例である。
【0147】
(6-2-1)測位システムの構成
変形例2の測位システムの構成について説明する。
図16は、変形例2の測位システムの構成を示すブロック図である。
【0148】
図16に示すように、変形例2の測位システム2では
図1とは異なり、オペレータ端末50が、サーバ30とネットワークNWを介して接続される。
【0149】
オペレータ端末50は、情報処理装置の一例である。オペレータ端末50は、サーバ30に、ロケータ情報の閲覧を要求したり、当該ロケータ情報の変更を要求したりする。変更を要求可能なロケータ情報は、例えばロケータデータベース(
図7)に格納されたロケータ情報の一部の項目である。オペレータ端末50は、例えば、スマートフォン、またはPC(Personal Computer)である。
【0150】
サーバ30は、オペレータ端末50からの要求に応じて、ロケータ情報を当該オペレータ端末50に提供したり、当該ロケータ情報を変更したりする。
【0151】
(6-2-1-1)オペレータ端末の構成
変形例2のオペレータ端末の構成について説明する。
図17は、変形例2のオペレータ端末の構成を示すブロック図である。
【0152】
図17に示すように、オペレータ端末50は、記憶装置51と、プロセッサ52と、入出力インタフェース53と、通信インタフェース54とを備える。
【0153】
記憶装置51は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置51は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0154】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0155】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータ及びデータベース
・情報処理の実行結果
【0156】
プロセッサ52は、記憶装置51に記憶されたプログラムを起動してデータを処理することによって、オペレータ端末50の機能を実現するように構成される。プロセッサ52は、コンピュータの一例である。記憶装置51により記憶されるプログラム及びデータは、ネットワークを介して提供されてもよいし、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録して提供されてもよい。なお、オペレータ端末50の機能の少なくとも一部が、1又は複数の専用のハードウェアにより実現されていてもよい。
【0157】
入出力インタフェース53は、オペレータ端末50に接続される入力デバイスから信号(例えば、ユーザの指示)を取得し、かつ、オペレータ端末50に接続される出力デバイスに情報(例えば、画像信号、制御信号)を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0158】
通信インタフェース54は、オペレータ端末50と外部装置(例えばサーバ30)との間の通信を制御するように構成される。一例として、通信インタフェース54は、Wi-Fiモジュール、イーサネットモジュール、LTE、4G、もしくは5G等の移動体通信用モジュール、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0159】
(6-2-2)情報処理
変形例2の情報処理について説明する。
図18は、変形例2の情報処理の全体フローを示す図である。
図19は、変形例2の情報処理において表示される画面例を示す図である。
図20は、変形例2の情報処理において表示される画面例を示す図である。
図21は、変形例2の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【0160】
図18の情報処理は、以下の開始条件のいずれかに応じて開始する。
・オペレータ端末50に対してオペレータにより情報処理の開始指示が入力されたこと
・所定の日時が到来したこと
【0161】
図18に示すように、オペレータ端末50は、指示の受付(S510)を実行する。
具体的には、プロセッサ52は、オペレータからロケータ情報の閲覧または変更を希望する空間(以下、「対象空間」と称する)を選択する指示を受け付ける。
【0162】
一例として、プロセッサ52は、ディスプレイに画面P10(
図19)を表示する。
図19の画面P10は、デジタルオブジェクト(ラジオボタンオブジェクトB101、およびボタンオブジェクトB102)を含む。各ラジオボタンオブジェクトB101は、いずれかの空間に関連付けられている。
【0163】
プロセッサ52は、入力デバイスが受け付けたオペレータの指示に応じて、対象空間を特定する。指示は、例えば、タップ、クリック、キー入力、音声入力、および、ジェスチャ入力の少なくとも1つであってよい。プロセッサ52は、ボタンオブジェクトB102が選択されたことに応じて、ラジオボタンオブジェクトB101の選択状態に対応する対象空間を特定する。
【0164】
ステップS510の後に、オペレータ端末50は、リクエスト(S520)を実行する。
具体的には、プロセッサ52は、ステップS510において受け付けた指示に応じてリクエストを生成する。プロセッサ52は、生成したリクエストをサーバ30へ送信する。
一例として、プロセッサ52は、ステップS510において受け付けた指示によって特定された対象空間を識別する情報を含むリクエストをサーバ30へ送信する。
【0165】
ステップS520の後に、サーバ30は、各種情報の取得(S360)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、ステップS520において送信されたリクエストを取得する。プロセッサ32は、上記リクエストに応じて、オペレータ端末50が対象空間に関連付けられるロケータ10(例えば対象空間に設置されたロケータ10)のロケータ情報をオペレータに閲覧させるために必要な情報を取得する。例えば、プロセッサ32は、以下の情報の少なくとも1つを取得してもよい。
・ロケータデータベース(
図7)に格納されたロケータ情報のうち対象空間に関連付けられるロケータ10に関する情報
・対象空間のマップ情報
・対象空間に存在する移動機器の位置情報
【0166】
ステップS360の後に、サーバ30は、レスポンス(S370)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、ステップS360において取得した情報を含むレスポンスを生成する。プロセッサ32は、生成したレスポンスをオペレータ端末50へ送信する。
【0167】
ステップS370の後に、オペレータ端末50は、指示の受付(S530)を実行する。
具体的には、プロセッサ52は、オペレータからロケータ情報の変更に関する指示を受け付ける。
【0168】
一例として、プロセッサ52は、ステップS370において送信されたレスポンスを取得する。プロセッサ52は、取得したレスポンスを参照して、画面P11(
図20)を生成する。プロセッサ52は、ディスプレイに画面P11を表示する。これにより、オペレータは、対象空間に関連付けられるロケータ10のロケータ情報を閲覧することができる。
【0169】
画面P11は、空間表示領域SPC1と、ロケータ表示領域TBL1とを含む。
空間表示領域SPC1には、対象空間情報が表示される。対象空間情報は、対象空間に関する情報である。ロケータ表示領域TBL1には、ロケータ情報が表示される。
【0170】
図20の例では、空間表示領域SPC1に表示される対象空間情報は、対象空間の地理を表すマップ画像と、対象空間内に存在する移動機器の位置を表す移動機器画像と、対象空間に関連付けられるロケータ10のロケータ情報(例えば、ロケータの名称情報、位置情報、検知タグ数情報、有効範囲情報、およびモード情報)を表すロケータ画像とを含む。
【0171】
オペレータは、ロケータ表示領域TBL1に表示されたロケータ情報の一部の要素(例えば、名称情報、モード情報、有効範囲情報、または遷移指標情報)を変更する指示をオペレータ端末50に与えることができる。オペレータは、例えば、ロケータ3の動作モードをActiveに変更する指示をオペレータ端末50に与える。
【0172】
ステップS530の後に、オペレータ端末50は、リクエスト(S540)を実行する。
具体的には、プロセッサ52は、ステップS530において受け付けた指示に応じてリクエストを生成する。プロセッサ52は、生成したリクエストをサーバ30へ送信する。
一例として、プロセッサ52は、ステップS510において受け付けた指示によって特定された、ロケータ情報の変更に関する情報を含むリクエストをサーバ30へ送信する。
【0173】
ステップS540の後に、サーバ30は、ロケータ情報の更新(S380)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、ステップS540において送信されたリクエストを取得する。プロセッサ32は、上記リクエストに応じて、ロケータデータベース(
図7)に格納されたロケータ情報を更新する。
【0174】
ステップS380の後に、サーバ30は、レスポンス(S390)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、ステップS380におけるロケータ情報の更新結果を含むレスポンスを生成する。プロセッサ32は、生成したレスポンスをオペレータ端末50へ送信する。
【0175】
ステップS390の後に、オペレータ端末50は、画面表示(S550)を実行する。
具体的には、プロセッサ52は、ステップS540において送信したリクエストに対するレスポンスに関する画面をディスプレイに表示する。
【0176】
一例として、プロセッサ52は、ステップS390において送信されたレスポンスを取得する。プロセッサ52は、取得したレスポンスを参照して、画面P12(
図21)を生成する。プロセッサ52は、ディスプレイに画面P12を表示する。これにより、オペレータは、自らの要求したロケータ情報の更新結果を含む、対象空間に関連付けられるロケータ10のロケータ情報を閲覧することができる。
【0177】
画面P12は、画面P11(
図20)と同様に、空間表示領域SPC1と、ロケータ表示領域TBL1とを含む。ただし、画面P11(
図20)と比較すると、画面P12の空間表示領域SPC1またはロケータ表示領域TBL1の少なくとも1つにおいて、ステップS380におけるロケータ情報の更新が反映され得る。
【0178】
(6-2-3)小括
以上説明したように、変形例2のサーバ30は、オペレータ端末50から送信されるリクエストに応じて、ロケータ情報を更新する。これにより、オペレータは、ロケータ10の挙動を柔軟にカスタマイズすることができる。例えば、オペレータは、測位システム2によって提供される測位サービスに対するニーズの移り変わりに合わせて、測位の精度よりも省電力性能を重視してロケータ10を積極的に休止させることも、省電力性能よりも測位の精度を重視してロケータ10を積極的に起動させることもできる。
【0179】
また、オペレータ端末50は、対象空間情報またはロケータ情報の少なくとも1つを含む画面をディスプレイに表示してもよい。これにより、オペレータは、対象空間またはロケータ10の状況を視覚的に把握することができる。
【0180】
(7)その他の変形例
記憶装置11は、ネットワークNWを介して、ロケータ10と接続されてもよい。記憶装置31は、ネットワークNWを介して、サーバ30と接続されてもよい。
【0181】
上記説明では、各処理において各ステップを特定の順序で実行する例を示したが、各ステップの実行順序は、依存関係がない限りは説明した例に制限されない。
【0182】
上記説明において、プロセッサ12を実行主体として説明した処理の一部が、通信インタフェース14(例えばBLEモジュール)に内蔵されたプロセッサによって行われてもよい。
【0183】
本実施形態および変形例1において、間欠動作ロケータの起動(つまり、より消費電力の大きい動作モードへの遷移)をサーバ30、見張り番ロケータまたは他の間欠動作ロケータが制御する例を説明した。説明を省略するが、間欠動作ロケータが自らの起動を受信電力情報に基づいて制御してもよい。例えば、間欠動作ロケータが、受信電力が閾値以上であると判断した場合に、当該間欠動作ロケータの動作モードをより消費電力の大きい動作モードに遷移させてもよい。
【0184】
本実施形態において、間欠動作ロケータの休止(つまり、より消費電力の小さい動作モードへの遷移)をサーバ30が制御する例を説明した。説明を省略するが、間欠動作ロケータの休止を、見張り番ロケータ、他の間欠動作ロケータ、または当該間欠動作ロケータ自体が受信電力情報に基づいて制御してもよい。例えば、間欠動作ロケータが、所定時間継続して受信電力が閾値未満であると判断した場合に、当該間欠動作ロケータの動作モードをより消費電力の小さい動作モードに遷移させてもよい。
【0185】
本実施形態において、測位システム1が複数のロケータ10を有する例を中心に説明した。ただし、単一のロケータ10を有する測位システム1に本実施形態で説明した内容を適用してもよい。例えば、単一のロケータ10が間欠動作ロケータとして動作し、受信電力の大きさに基づいて自身の動作モードを遷移させてもよい。
【0186】
本実施形態において、受信電力の判定(S130)の一例として、受信電力が閾値Th以上であるか否かを判定する例を示した。ここで、閾値Thは、移動機器の種別(モデル)または個体の少なくとも1つに依存して異なるように定められてよい。つまり、ロケータ10のプロセッサ12は、受信電力の判定(S130)に先立ち、移動機器の種別または個体の少なくとも1つを特定することで、受信電力の判定(S130)において使用する閾値Thを決定してもよい。これにより、移動機器の種別または個体によって、受信電力と距離との関係が異なる場合であっても、受信電力に対応する距離を適切に評価することができる。
【0187】
本実施形態において、間欠動作ロケータの休止または起動をサーバ30の算出した移動機器の位置に応じて制御する例を示した。しかしながら、外部装置から取得した位置情報を参照して間欠動作ロケータの休止または起動を制御してもよい。
例えば、セキュリティゲートから認証結果に関する情報を参照することで、認証を行った人間に所持される移動機器が、セキュリティゲート付近に居たこと、およびセキュリティゲートを通って空間に入場または退場したことが判明するので、適切なロケータを起動または休止させることができる。
或いは、照明システムまたは人感センサによる人の検出結果を参照することで、空間に人間が存在するか否かが判明するので、適切なロケータを起動または休止させることができる。
【0188】
ある空間において異常が検知された場合に、当該異常を検知したロケータ10またはサーバ30は、当該空間に関連付けられる全てのロケータ10を起動させてもよい。これにより、空間内で移動機器の見落としが生じた場合であっても、当該移動機器を早期に捕捉することができる。
一例として、各ロケータ10には、到来角の異常範囲が定義されてよい。到来角の異常範囲は、ロケータ情報の要素としてロケータデータベース(
図7)に格納されてもよいし、個別のロケータ10の記憶装置11に保存されてもよい。ロケータ10またはサーバ30は、当該ロケータ10の算出した到来角が当該ロケータ10に対して定義された異常範囲にある場合に、当該空間における異常を検知する。到来角の異常範囲は、移動機器が存在する可能性の低い(例えば、移動機器を所持した人間が通行または滞留する可能性の低い)位置に対応する到来角の範囲である。到来角の異常範囲は、例えば以下の要素を考慮して定義されてよい。
・空間の形状(例えばBIM(Building Information Modeling)データ)
・ロケータ10の位置
・ロケータ10の姿勢
・空間における人流
【0189】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【0190】
(8)付記
実施形態および変形例で説明した事項を、以下に付記する。
【0191】
(付記1)
移動機器から送信された無線信号を受信する手段と、
無線信号の受信電力を算出する手段(S120)と、
受信電力が所定の条件を満たすか否かを判定する手段(S130)と、
無線信号の到来角を算出する手段(S140)と、
受信電力が所定の条件を満たす場合に、制御装置(30)へ到来角に関する到来角情報を送信する手段(S150)とを具備し、
到来角情報を送信する手段は、受信電力が所定の条件を満たさない場合に、到来角情報の送信を省略する、
通信装置(10)。
【0192】
(付記2)
到来角を算出する手段は、受信電力が所定の条件を満たさない場合に、到来角の算出を省略する、
付記1に記載の通信装置。
【0193】
(付記3)
制御信号を取得する手段(S180)と、
制御信号が休止信号である場合に、少なくとも到来角情報を送信する手段を停止させる手段とをさらに具備する、
付記1または付記2に記載の通信装置。
【0194】
(付記4)
制御信号を取得する手段は、制御装置から受信した制御信号を取得し、
制御装置から受信した制御信号が起動信号である場合に、少なくとも、無線信号を受信する手段、および受信電力を算出する手段を起動させる手段(S190)をさらに具備する、
付記3に記載の通信装置。
【0195】
(付記5)
制御信号を取得する手段は、他の通信装置から受信した制御信号を取得し、
他の通信装置から受信した制御信号が起動信号である場合に、少なくとも、無線信号を受信する手段、および受信電力を算出する手段を起動させる手段(S190)をさらに具備する、
付記3に記載の通信装置。
【0196】
(付記6)
受信電力が所定の条件を満たす場合に、他の通信装置に関する情報を参照し、当該他の通信装置から起動対象装置を選択する手段(S210)と、
起動対象装置へ、少なくとも、移動機器から送信された無線信号を受信するための手段、および当該無線信号の受信電力を算出するための手段を起動させるための制御信号を送信する手段(S220)とをさらに具備する、
付記1乃至付記5のいずれかに記載の通信装置。
【0197】
(付記7)
第1の通信装置を含む複数の通信装置(10)が移動機器から受信した無線信号の到来角に関する到来角情報を取得する手段(S310)と、
到来角情報を参照して、移動機器の位置を算出する手段(S320)と、
移動機器の位置を参照して、複数の通信装置のうち第1の通信装置を除いた第2の通信装置から休止対象装置を選択する手段(S330)と、
休止対象装置へ、少なくとも、到来角情報を送信するための手段を停止させるための制御信号を送信する手段(S340)と
を具備する、制御装置(30)。
【0198】
(付記8)
移動機器の位置を参照し、第2の通信装置から起動対象装置を選択する手段(S350)と、
起動対象装置へ、少なくとも、移動機器から送信された無線信号を受信するための手段、および当該無線信号の受信電力を算出するための手段を起動させるための制御信号を送信する手段(S360)とをさらに具備する、
付記7に記載の制御装置。
【0199】
(付記9)
コンピュータ(10)が、
移動機器から送信された無線信号を受信することと、
無線信号の受信電力を算出すること(S120)と、
受信電力が所定の条件を満たすか否かを判定すること(S130)と、
無線信号の到来角を算出すること(S140)と、
受信電力が所定の条件を満たす場合に、制御装置(30)へ到来角に関する到来角情報を送信すること(S150)とを具備し、
受信電力が所定の条件を満たさない場合に、到来角情報の送信が省略される、
通信方法。
【0200】
(付記10)
コンピュータに、付記1~付記8の何れかに記載の各手段を実現させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0201】
1 :測位システム
2 :測位システム
10 :ロケータ
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
30 :サーバ
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース
50 :オペレータ端末
51 :記憶装置
52 :プロセッサ
53 :入出力インタフェース
54 :通信インタフェース