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特開2022-158434橋梁架設用移動作業車の稼働システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158434
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】橋梁架設用移動作業車の稼働システム
(51)【国際特許分類】
   E01D 21/00 20060101AFI20221006BHJP
   E01D 1/00 20060101ALI20221006BHJP
   E01D 2/04 20060101ALI20221006BHJP
   E01D 21/10 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E01D21/00 A
E01D1/00 C
E01D2/04
E01D21/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063335
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176202
【氏名又は名称】三信工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000194756
【氏名又は名称】成和リニューアルワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】中田 清博
(72)【発明者】
【氏名】行川 友和
(72)【発明者】
【氏名】杉山 英司
(72)【発明者】
【氏名】山下 真二
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA08
2D059BB39
2D059CC04
2D059DD03
2D059DD12
2D059EE10
(57)【要約】
【課題】本発明は、ジャッキストローク長の突出、退出状態をコンピュータで管理することができ、もって、手元作業員がジャッキストローク長をスケールなどで直接測定する必要がなく、また狭隘な箇所での作業を必要としないため、作業の安全性が向上し、架設する橋梁が傾斜のある場合に左右別々に専用の端末装置を用いて操作できる橋梁架設用移動作業車の稼働システムを提供する。
【解決手段】本発明は、既設橋桁のレール上を橋軸方向に走行して張出架設を行う橋梁架設用移動作業車1の稼働システムであり、橋幅方向左右に設けられ、前記レール上に載置される一対の主フレーム4を備えたフレーム体5と、該フレーム体5の先端部から吊り下げられた型枠6と、前記左右一対の主フレーム4に設置されたジャッキを有する橋梁架設用移動作業車1と、橋梁架設用移動作業車1の前記ジャッキを稼働制御する制御手段16を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設橋桁のレール上を橋軸方向に走行して張出架設を行う橋梁架設用移動作業車の稼働システムであり、
橋幅方向左右に設けられ、前記レール上に載置される一対の主フレームを備えたフレーム体と、該フレーム体の先端部から吊り下げられた型枠と、前記左右一対の主フレームに設置されたジャッキを有する橋梁架設用移動作業車と、橋梁架設用移動作業車の前記ジャッキを稼働制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記ジャッキが希望する伸縮量の値が設定されて入力された後、前記各ジャッキが希望する伸縮量の値を記憶しておき、
前記各ジャッキが伸縮操作されるとき、前記各ジャッキに設けられた反射式レーザー距離センサが各ジャッキの伸縮量を検知し、前記記憶してある各ジャッキが希望する伸縮量の値と前記反射式レーザー距離センサにより検知された各ジャッキの伸縮量の値とが比較され、各ジャッキの伸縮が希望する伸縮量まで到達したとき、各ジャッキが伸縮操作を停止させる、
ことを特徴とする橋梁架設用移動作業車の稼働システム。
【請求項2】
既設橋桁のレール上を橋軸方向に走行して張出架設を行う橋梁架設用移動作業車の稼働システムであり、
橋幅方向左右に設けられ、前記レール上に載置される一対の主フレームを備えたフレーム体と、該フレーム体の先端部から吊り下げられた型枠と、前記左右一対の主フレームに設置された前方支点用ジャッキ、後方支点用ジャッキ、後方車輪用ジャッキを有する橋梁架設用移動作業車と、橋梁架設用移動作業車の前記各ジャッキを稼働制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記各ジャッキが希望する伸縮量の値が設定されて入力された後、前記各ジャッキが希望する伸縮量の値を記憶しておき、
前記各ジャッキが伸縮操作されるとき、前記各ジャッキに設けられた反射式レーザー距離センサが各ジャッキの伸縮量を検知し、前記記憶してある各ジャッキが希望する伸縮量の値と前記反射式レーザー距離センサにより検知された各ジャッキの伸縮量の値とが比較され、各ジャッキの伸縮が個別に希望する伸縮量まで到達したとき、各ジャッキが伸縮操作を停止させる、
ことを特徴とする橋梁架設用移動作業車の稼働システム。
【請求項3】
前記端末装置は、橋幅方向左右に設置された一対の主フレームの各々に接続されて一対用意され、各々の端末装置は、各々の主フレームに設置されたジャッキのみの稼働操作を各々で行え、かつ前記稼働操作の結果が各々の端末装置に表示できる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の橋梁架設用移動作業車の稼働システム。
【請求項4】
既設橋桁のレール上を橋軸方向に走行して張出架設を行う橋梁架設用移動作業車の稼働システムであり、
橋梁架設用移動作業車の稼働に使用されるジャッキと、前記ジャッキを稼働制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記ジャッキの伸縮量の設定値が設定される伸縮量設定部と、前記伸縮量設定部で設定された設定値が記憶される記憶部と、
反射式レーザー距離センサにより稼働するジャッキの伸縮量が検知されて、該検知された値が入力される検知値入力部と、前記検知値入力部に入力される検知値と前記記憶部に記憶され設定値を比較する比較部と、前記随時入力される検知値が前記設定された設定値に達したとき、ジャッキの伸縮を自動停止させる自動停止部とを有し、
前記ジャッキの伸縮量の設定値の入力が長さの単位のデジタル数字で行え、反射式レーザー距離センサによるジャッキの伸縮量の検知も長さの単位に変換可能にして、前記比較部で設定値と検知される検知値との比較をおこなう、
ことを特徴とする橋梁架設用移動作業車の稼働システム。
【請求項5】
既設橋桁のレール上を橋軸方向に走行して張出架設を行う橋梁架設用移動作業車の稼働システムであり、
橋幅方向左右に設けられ、前記レール上に載置される一対の主フレームを備えたフレーム体と、前記左右一対の主フレームに各々設置された左推進ジャッキ及び右推進ジャッキとを有する橋梁架設用移動作業車と、
前記橋梁架設用移動作業車に取り付けられた前記左推進ジャッキ及び右推進ジャッキを稼働制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、左推進ジャッキ及び右推進ジャッキのラム部を伸長稼働して、レールに連結された反力棒の長手方向所定位置に係止する係止用ナットを押圧し、該押圧力により前記左推進ジャッキ及び右推進ジャッキが取り付けられた橋梁架設用移動作業車を前進させてなり、
前記左推進ジャッキ及び右推進ジャッキのラム部を伸長稼働前の位置に戻すと共に、前記移動係止用ナットの位置につき該係止用ナットを螺合移動させて押圧前の反力棒の位置に戻し、
再度、左推進ジャッキ及び右推進ジャッキのラム部を伸長稼働して、レールに連結された反力棒の所定位置に係止された係止用ナットを押圧し、該押圧力により前記左推進ジャッキ及び右推進ジャッキが取り付けられた橋梁架設用移動作業車を前進させる、
ことを特徴とする橋梁架設用移動作業車の稼働システム。
【請求項6】
既設橋桁のレール上を橋軸方向に走行して張出架設を行う橋梁架設用移動作業車の稼働システムであり、
橋幅方向左右に設けられ、前記レール上に載置される一対の主フレームを備えたフレーム体と、前記左右一対の主フレームに各々設置されて橋梁架設用移動作業車に取り付けられた左推進ジャッキ及び右推進ジャッキを有し、
前記左推進ジャッキ及び右推進ジャッキは両側突出型のラム部を備え、ラム部軸方向にはラム部を貫通する貫通孔には、外周面にねじ部を有し、前記レールに連結された反力棒が遊嵌してなり、
前記反力棒の所定位置に螺合された係止用ナットを前記突出したラム部が押圧して、レールに連結された反力棒の反力で前記橋梁架設用移動作業車の前進、後退操作が行え、
前記反力棒の所定位置への係止用ナットの移動は、該係止用ナットを回転させる回転体を稼働操作することで行える、
ことを特徴とする橋梁架設用移動作業車の稼働システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋桁上を橋軸方向に走行して張出架設を行う橋梁架設用移動作業車の稼働システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
橋梁架設用移動作業車を用いての橋梁架設工法は、橋梁主桁の先端側に例えば1ブロックあるいは数ブロック分のコンクリートを打設し、次いで前記移動作業車を前方に移動させてまた1ブロックあるいは数ブロック分のコンクリートを打設し、これを順次繰り返すことにより主桁を架設する工法である。
そして、橋梁架設用移動作業車を用いての橋梁架設工法としては特開2009-293207号に記載されている移動作業車が一般に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-293207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に橋梁架設用移動作業車は、主桁を架設するに際し、該移動作業車の水平度を保持したり、前方に移動させたり、あるいは既設橋梁に固定したりする必要上、各種のジャッキを前記移動作業車稼働に際して使用している。
ここで、移動作業車における各ジャッキの稼働操作を行うに際しては、該ジャッキのジャッキストローク長(ジャッキ伸縮量)がどれだけ変化したかを絶えず正確に管理していなければならない。
【0005】
よって、従来、手元作業員が前記ジャッキのジャッキストローク長をスケールなどで直接測定することが必要となっていた。すなわち、ジャッキストローク長は、手元作業員が直接スケール等により狭隘な箇所に行って測定し、ジャッキ操作オペレータに合図報告する必要があり、ジャッキ操作者と手元作業員などと少なくとも複数人が必要とされていた。またジャッキストローク長の測定作業は狭隘な箇所での作業であるため、作業者の安全管理上の課題も生じていた。
【0006】
さらに、従来では、一人のオペレータが複数フレーム、例えば橋幅方向左右に設置された左右一対の主フレームにおける各ジャッキ操作を行うよう構成されており、そのため、稼働操作に時間を要し、かつ一人のオペレータのみで複数フレーム(特に橋梁幅方向左右側に設置された左右のフレーム)のジャッキ操作を行わなければならない為ヒューマンエラーが発生しやすいとの課題もあった。
【0007】
すなわち、前記移動作業車の複数のフレームのジャッキ操作を一人のオペレータで操作するため時間がかかり、ヒューマンエラー発生の可能性が高くなっていたものである。
【0008】
特に架設する橋梁が傾斜のある場合においても、該橋梁架設用移動作業車の車体は水平に保たなければならず、そのため、特に橋梁幅方向左右側に設置された左右のフレームに設けられた各ジャッキのストローク長を異ならせて設定する必要がある。
【0009】
このような場合まで一人のオペレータのみで橋梁幅方向左右側に設置された左右のフレームのジャッキ操作を同時に行うこととなると、極めて困難な作業になると言わざるを得ないのである。
【0010】
かくして、本発明は、前記の従来の課題を解決すべくなされたものであり、ジャッキのジャッキストローク長を、さらに詳細に説明するとジャッキストローク長の突出、退出状態を例えば実際の長さの単位で表示できてコンピュータで管理することができ、もって、手元作業員がジャッキストローク長をスケールなどで直接測定する必要がなく、また狭隘な箇所での作業を必要としないため、作業の安全性が向上し、また、例えば左右のフレームにおけるジャッキの稼働操作をそれぞれ専用の端末を用いて行えるよう構成し、そのため、作業時間が短縮でき、かつヒューマンエラーを防止でき、特に、架設する橋梁が傾斜のある場合において、橋梁架設用移動作業車の車体を水平に保たなければならないとき、橋梁幅方向左右側に設置された左右のフレームに設けられた各ジャッキのストローク長を異ならせて設定するが、このような場合、左右別々に専用の端末装置を用いて操作でき、よって従来の如く一人のオペレータのみで橋梁幅方向左右側に設置された左右のフレームのジャッキ操作を同時に行うことがない橋梁架設用移動作業車の稼働システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
既設橋桁のレール上を橋軸方向に走行して張出架設を行う橋梁架設用移動作業車の稼働システムであり、
橋幅方向左右に設けられ、前記レール上に載置される一対の主フレームを備えたフレーム体と、該フレーム体の先端部から吊り下げられた型枠と、前記左右一対の主フレームに設置されたジャッキを有する橋梁架設用移動作業車と、橋梁架設用移動作業車の前記ジャッキを稼働制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記ジャッキが希望する伸縮量の値が設定されて入力された後、前記各ジャッキが希望する伸縮量の値を記憶しておき、
前記各ジャッキが伸縮操作されるとき、前記各ジャッキに設けられた反射式レーザー距離センサが各ジャッキの伸縮量を検知し、前記記憶してある各ジャッキが希望する伸縮量の値と前記反射式レーザー距離センサにより検知された各ジャッキの伸縮量の値とが比較され、各ジャッキの伸縮が希望する伸縮量まで到達したとき、各ジャッキが伸縮操作を停止させる、
ことを特徴とし、
または、
既設橋桁のレール上を橋軸方向に走行して張出架設を行う橋梁架設用移動作業車の稼働システムであり、
橋幅方向左右に設けられ、前記レール上に載置される一対の主フレームを備えたフレーム体と、該フレーム体の先端部から吊り下げられた型枠と、前記左右一対の主フレームに設置された前方支点用ジャッキ、後方支点用ジャッキ、後方車輪用ジャッキを有する橋梁架設用移動作業車と、橋梁架設用移動作業車の前記各ジャッキを稼働制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記各ジャッキが希望する伸縮量の値が設定されて入力された後、前記各ジャッキが希望する伸縮量の値を記憶しておき、
前記各ジャッキが伸縮操作されるとき、前記各ジャッキに設けられた反射式レーザー距離センサが各ジャッキの伸縮量を検知し、前記記憶してある各ジャッキが希望する伸縮量の値と前記反射式レーザー距離センサにより検知された各ジャッキの伸縮量の値とが比較され、各ジャッキの伸縮が個別に希望する伸縮量まで到達したとき、各ジャッキが伸縮操作を停止させる、
ことを特徴とし、
または、
前記端末装置は、橋幅方向左右に設置された一対の主フレームの各々に接続されて一対用意され、各々の端末装置は、各々の主フレームに設置されたジャッキのみの稼働操作を各々で行え、かつ前記稼働操作の結果が各々の端末装置に表示できる、
ことを特徴とし、
または、
既設橋桁のレール上を橋軸方向に走行して張出架設を行う橋梁架設用移動作業車の稼働システムであり、
橋梁架設用移動作業車の稼働に使用されるジャッキと、前記ジャッキを稼働制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記ジャッキの伸縮量の設定値が設定される伸縮量設定部と、前記伸縮量設定部で設定された設定値が記憶される記憶部と、
反射式レーザー距離センサにより稼働するジャッキの伸縮量が検知されて、該検知された値が入力される検知値入力部と、前記検知値入力部に入力される検知値と前記記憶部に記憶され設定値を比較する比較部と、前記随時入力される検知値が前記設定された設定値に達したとき、ジャッキの伸縮を自動停止させる自動停止部とを有し、
前記ジャッキの伸縮量の設定値の入力が長さの単位のデジタル数字で行え、反射式レーザー距離センサによるジャッキの伸縮量の検知も長さの単位に変換可能にして、前記比較部で設定値と検知される検知値との比較をおこなう、
ことを特徴とし、
または、
既設橋桁のレール上を橋軸方向に走行して張出架設を行う橋梁架設用移動作業車の稼働システムであり、
橋幅方向左右に設けられ、前記レール上に載置される一対の主フレームを備えたフレーム体と、前記左右一対の主フレームに各々設置された左推進ジャッキ及び右推進ジャッキとを有する橋梁架設用移動作業車と、
前記橋梁架設用移動作業車に取り付けられた前記左推進ジャッキ及び右推進ジャッキを稼働制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、左推進ジャッキ及び右推進ジャッキのラム部を伸長稼働して、レールに連結された反力棒の長手方向所定位置に係止する係止用ナットを押圧し、該押圧力により前記左推進ジャッキ及び右推進ジャッキが取り付けられた橋梁架設用移動作業車を前進させてなり、
前記左推進ジャッキ及び右推進ジャッキのラム部を伸長稼働前の位置に戻すと共に、前記移動係止用ナットの位置につき該係止用ナットを螺合移動させて押圧前の反力棒の位置に戻し、
再度、左推進ジャッキ及び右推進ジャッキのラム部を伸長稼働して、レールに連結された反力棒の所定位置に係止された係止用ナットを押圧し、該押圧力により前記左推進ジャッキ及び右推進ジャッキが取り付けられた橋梁架設用移動作業車を前進させる、
ことを特徴とし、
または、
既設橋桁のレール上を橋軸方向に走行して張出架設を行う橋梁架設用移動作業車の稼働システムであり、
橋幅方向左右に設けられ、前記レール上に載置される一対の主フレームを備えたフレーム体と、前記左右一対の主フレームに各々設置されて橋梁架設用移動作業車に取り付けられた左推進ジャッキ及び右推進ジャッキを有し、
前記左推進ジャッキ及び右推進ジャッキは両側突出型のラム部を備え、ラム部軸方向にはラム部を貫通する貫通孔には、外周面にねじ部を有し、前記レールに連結された反力棒が遊嵌してなり、
前記反力棒の所定位置に螺合された係止用ナットを前記突出したラム部が押圧して、レールに連結された反力棒の反力で前記橋梁架設用移動作業車の前進、後退操作が行え、
前記反力棒の所定位置への係止用ナットの移動は、該係止用ナットを回転させる回転体を稼働操作することで行える、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ジャッキのジャッキストローク長を長さの単位によってコンピュータで管理することができ、もって、手元作業員がジャッキストローク長をスケールなどで直接測定する必要がなく、また狭隘な箇所での作業を必要としないため、作業の安全性が向上し、また、複数フレームのジャッキの操作を複数のそれぞれ専用の端末を用いて行えるよう構成してなり、そのため、作業時間が短縮でき、かつヒューマンエラーを防止でき、特に、架設する橋梁が傾斜のある場合において、橋梁架設用移動作業車の車体を水平に保たなければならないとき、橋梁幅方向左右側に設置された左右のフレームに設けられた各ジャッキのストローク長を異ならせて設定するが、このような場合、左右別々に専用の端末装置を用いて操作でき、よって従来の如く一人のオペレータのみで橋梁幅方向左右側に設置された左右のフレームのジャッキ操作を同時に行うことがない橋梁架設用移動作業車の稼働システムを提供できるとの優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
図1に本発明による橋梁架設用移動作業車1の概略構成を示す。橋梁架設用移動作業車1は、既設橋梁部分の上面箇所2に設置されたレール3上を略橋軸方向前方に進行できるよう構成されている。また、図2は、橋梁架設用移動作業車1に設置された後述する各ジャッキの設置位置の概略を示す平面図である。
【0014】
ここで、橋梁架設用移動作業車1は、前記レール3上に載置され、橋幅方向左右に設けられた一対の主フレーム4を備えたフレーム体5と、該フレーム体5の先端部から吊り下げられた型枠6と、前記左右一対をなす主フレーム4に設置された前方支点用左ジャッキ7、前方支点用右ジャッキ8、後方支点用左ジャッキ9、後方支点用右ジャッキ10、後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12、左推進ジャッキ26、右推進ジャッキ27を有して構成されている(図1図2参照)。
【0015】
前記前方支点用左ジャッキ7、前方支点用右ジャッキ8は主に左右一対の主フレーム4、ひいては橋梁架設用移動作業車1を水平にセットすべく用いられ、後方支点用左ジャッキ9、後方支点用右ジャッキ10も同様に前記主フレーム4、ひいては橋梁架設用移動作業車1を水平にセットすべく用いられる。
【0016】
特に、傾きを有する橋梁を構築する場合にあっても、橋梁架設用移動作業車1は水平にセットする必要があり、その場合、左右一対の主フレーム4に各々取り付けられた前方支点用左ジャッキ7、前方支点用右ジャッキ8、後方支点用左ジャッキ9、後方支点用右ジャッキ10を左右の主フレーム4ごとに制御しなければならない。すなわち、左右別々の主フレーム4に取り付けられたジャッキは、左右別々のジャッキ伸長量に制御しなければ水平にセットできないからである。
【0017】
また、後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12は左右一対の主フレーム4を含む橋梁架設用移動作業車1をレール3に係止させるなどの機能を有して前記左右一対の主フレーム4に設けられている。
【0018】
さらに、橋梁架設用移動作業車1は左推進ジャッキ26、右推進ジャッキ27を有しており、該左推進ジャッキ26、右推進ジャッキ27は橋梁架設用移動作業車1を例えば1ブロックあるいは数ブロック分前進させるべく用いられる。
【0019】
すなわち、該左推進ジャッキ26、右推進ジャッキ27は、例えばレール3に対し反力を用いて主フレーム4を有するフレーム体5をいわゆる尺取り虫的に前進させるものとして使用される。
なお、型枠セット装置14により型枠6が既設橋梁部分の前方にセットされ、例えば1ブロックあるいは数ブロック分のコンクリートが既設橋梁の前方側に打設されるものとなり、これにより橋梁が構築されるものとなる。
【0020】
前記コンクリートの硬化後、型枠6が脱型され、その後、前記レール3を橋梁架設方向となる前方に移動した後、左推進ジャッキ26、右推進ジャッキ27を稼働して、左右一対の主フレーム4を有するフレーム体5自体を前進させる。すなわち、左推進ジャッキ26、右推進ジャッキ27を用いて反力を取り、もってこの反力によって主フレーム4を有するフレーム体5、ひいては橋梁架設用移動作業車1をいわゆる尺取り虫的に前進させるのである。そして、以降、前記工程が順次繰り返されて主桁が張出架設される。
【0021】
なお、上記橋梁架設用移動作業車1を前進移動させるに際しては、該橋梁架設用移動作業車1を既設橋梁45に固定してあるアンカー44は取り外し、前記後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12などを伸長稼働して橋梁架設用移動作業車1をレール3から浮かせておくことが必要である。
【0022】
ここで、左推進ジャッキ26、右推進ジャッキ27、及びこれらジャッキの稼働と連動させて操作する自動戻し装置40の構成につき、図3を参照して説明する。
【0023】
図3において左推進ジャッキ26そして図示されていないが右推進ジャッキ27は、軸方向にセンターホールを有する両側ロッド突出型のジャッキとして構成されている。左推進ジャッキ26そして図示されていないが右推進ジャッキ27は、本体部48と該本体部48の両側から突出するラム部47を有しており、さらにラム部47には軸方向に貫通するセンターホールが設けられている。
【0024】
前記センターホールには例えばPC鋼棒からなる反力棒36が貫挿している。そして、該反力棒36の例えば左先端部はストップ部37に連結係止されており、このストップ部37はレール3と連結一体化されている(図1参照)。なお、レール3はアンカー44によって既設橋梁45と連結されている。
【0025】
よって、前記反力棒36の反力を利用すべく左推進ジャッキ26そして図示されていないが右推進ジャッキ27の反力棒36を軸方向へ押圧する押圧力により後述する後方係止用ナット38の位置が反力棒36の軸方向において右方向へ移動した長さだけ主フレーム4、そして主フレーム4を含む橋梁架設用移動作業車1が既設橋梁45の前へ、すなわち図3において左側へ移動できるよう構成されている。
【0026】
反力棒36の外周面にはねじ部が設けられており、このねじ部に後方係止用ナット38のねじ部が螺合されている。さらにこの後方係止用ナット38を囲むようにコ字状の後方係止壁39が設けられ、前記左推進ジャッキ26を構成するラム部47が本体部48から図3において右側に突出移動したとき、左推進ジャッキ26の先端部が後方係止壁39の一方の壁に当接し、後方係止壁39及び後方係止用ナット38を所定の長さ分右側へ移動させる。この移動は反力棒36の軸方向移動を意味するのではなく、左推進ジャッキ26、右推進ジャッキ27が固着された橋梁架設用移動作業車1自体がレール3上において前進移動することを意味する。
【0027】
よって橋梁架設用移動作業車1は、前記後方係止壁39及び後方係止用ナット38が右側へ移動した長さ分、例えば図3においてA部からB部までの長さ分、前進することになる。
【0028】
ところで、さらに前進させる場合には、左推進ジャッキ26のラム部47を図3において本体部48から左側へ突出移動させる必要がある。そして、右側に移動した後方係止用ナット38も元の位置、すなわち図3に示すA部に戻す必要がある。
【0029】
なお、図3において、符号49は前方係止用ナットであり、符号50は該前方係止用ナット49を囲む前方係止壁である。前述した左推進ジャッキ26を図3において左側へ移動させるとき、前方係止用ナット49及び前方係止壁50もD部からC部に移動させなければならない。そうしなければ、ラム部47が図3において左側へ移動出来ないからである。
【0030】
そこで、上記の操作を行うため、本発明では自動戻し装置40を使用することとした。
図3から理解されるように、左推進ジャッキ26と該左推進ジャッキ26の上方に配置された移動補助杆41とは板状の取付体52に一体的に取り付けられており、該取付体52は橋梁架設用移動作業車1の側面に固着されている。
【0031】
そして、左推進ジャッキ26が前述の後方係止用ナット38を押圧してレール3に係止されている反力棒36において図3に示すA部からB部まで移動させると、その長さ分だけ橋梁架設用移動作業車1はレール3上において前進するものとなる。
【0032】
ところで、左推進ジャッキ26の上方には、該左推進ジャッキ26の長手方向両側方向に、反力棒36と水平に配置され、外周面に軸方向に向かって延びる凹溝が設けられた移動補助杆41が各々一対設置されている。
【0033】
そして前記凹溝に遊嵌する凸部が貫通孔内に設けられた移動用ナット42が前記各々の移動用補助杆41に貫挿して取り付けられ、移動用補助杆41と移動用ナット42は共に回転するよう構成されている。なお、前記凹溝と凸部の刻設が逆の部材にされていても構わないものである。そして、移動用補助杆41には前記移動用ナット42を囲むように囲み係止壁53が取り付けられている。
【0034】
前記反力棒26に螺挿する後方係止用ナット38と移動用補助杆41に取り付けられた移動用ナット42あるいは前方係止用ナット49と移動用補助杆41に取り付けられた移動用ナット42との間には例えばスプロケットとチェーンなどにより構成されたループ状回転体43で連結されており、このループ状回転体43が回転することにより、図3において、後方係止用ナット38を回転させ、もって反力棒36に対する後方係止用ナット38の螺合移動によって図3におけるB部の位置からA部の位置に移動させ、戻すことが出来る構成になっている。
【0035】
この際、図3において、D部の位置にある前方係止用ナット49及び前方係止壁50もC部の位置に戻さなければならない。前記したようにそうしなければラム部47が図3において左側へ突出移動させることが出来ないからである。
【0036】
そして、後方係止用ナット38がA部の位置に戻った後、再度左推進ジャッキ26を稼働すれば、再度反力を用いて橋梁架設用移動作業車1をさらに前進させることが出来ることとなる。
【0037】
ここで、自動戻し装置40は、後方係止用ナット38と移動用ナット42、あるいは前方係止用ナット49と移動用ナット42、そしてこれらナットを繋ぎ、連動して回転させる例えばスプロケットとチェーンとを有するループ状回転体43、さらにはループ状回転体43を回転させる回転装置(図示せず)を備えて構成されるものとなる。
【0038】
ここで、自動戻し装置40を使用しての後方係止用ナット38及び前方係止用ナット49の移動操作につき、図4を参照してさらに説明する。
なお、図4では、後方係止壁39や前方係止壁50は省略して説明している。
【0039】
図4(1)は、ラム部47により、後方係止用ナット38を押圧した状態を示しており、前記押圧力の反力により橋梁架設用移動作業車1は前進するものとなる。
【0040】
次いで、自動戻し装置40を稼働させ、前方係止用ナット49を図4(2)の位置まで移動させる。その後、ラム部47を左側へ移動操作する(図4(3))。ラム部47を左側へ移動させた後、後方係止用ナット38を左側へ回転移動させる(図4(4))。
【0041】
前記図4(4)の状態からジャッキが起動し、ラム部47により、後方係止用ナット38を押圧し、反力棒36の反力により橋梁架設用移動作業車1は前進するものとなる。
なお、図3図4は左推進ジャッキ26の動作について説明したものであるが、右側推進ジャッキ27の動作についても前進の方向が変わるだけで稼働動作は同様である。
【0042】
また、橋梁架設用移動作業車1を前進させる操作につき述べたが、ラム部47が前方係止用ナット49を押圧する操作を行えば、橋梁架設用移動作業車1を後退させることも出来る。
【0043】
さらに、前記回転装置の稼働をコンピュータあるいはタブレット端末装置などの制御手段16で制御することも出来、その場合、さらに作業の迅速化、安全化が図れるものとなる。
【0044】
ところで、本発明は、前記前方支点用左ジャッキ7、前方支点用右ジャッキ8、後方支点用左ジャッキ9、後方支点用右ジャッキ10、後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12、左推進ジャッキ26、右推進ジャッキ27、これらジャッキを稼働させる例えば油圧装置などを有して構成される稼働手段15、またコンピュータなどから構成される制御手段16、該制御手段16とワイヤレスで送受信できるタブレットなどから構成される端末装置17などを有している。
【0045】
前記稼働手段15としては前記したように油圧ポンプなどの油圧装置が用いられ、該稼働手段15を稼働制御する装置として制御手段16、ワイヤレス送受信可能なタブレット型の端末装置17が用いられる。
【0046】
制御手段16は、図5などから理解されるように送信部18、受信部19、制御部20、記憶部21、入力部22、表示部23などを有した制御装置として構成され、さらに、タブレットなどの端末装置17も送信部18、受信部19、制御部20、記憶部21、入力部22、表示部23などを有して構成されている。そして、前記制御手段16と端末装置17は、例えば通信回線網24を介して、あるいは通信回線網24を介さずにワイヤレスで送受信できる様構成され、もって端末装置17によって前記制御手段16にアクセスし、前記前方支点用左ジャッキ7、前方支点用右ジャッキ8、後方支点用左ジャッキ9、後方支点用右ジャッキ10、後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12を稼働させる稼働手段15を稼働制御できるように構成されている。
【0047】
本発明において、前記端末装置17は複数台必要とされており、例えば左側専用の端末装置17と右側専用の端末装置17として2台用意される。そして、左側専用の端末装置17は、橋幅方向左側の主フレーム4に設けられた前方支点用左ジャッキ7、後方支点用左ジャッキ9、後方車輪用左ジャッキ11を操作して稼働制御するよう構成され、右側専用の端末装置17は、橋幅方向右側の主フレーム4に設けられた前方支点用右ジャッキ8、後方支点用右ジャッキ10、後方車輪用右ジャッキ12を稼働制御するよう構成される。
【0048】
上記のように、専用の端末装置17を複数用意し、複数用意された専用の端末装置17について、複数人の操作者が各々決められたそれぞれ専用の端末装置17を使用してジャッキを個別に操作することにより、1人の操作者が1つの端末で複雑な位置にあるジャッキをすべて操作する煩雑さを解消でき、その結果単純なヒューマンエラーを未然に防止することができる。
【0049】
すなわち、橋梁架設用移動作業車1の左右一対の主フレーム4のジャッキの操作を左右一対の主フレーム4毎に別々に行えるようにすることで(主フレーム4が2つなら無線適用の端末装置17を2つ使用する)、違う主フレーム4のジャッキを同時に別々に操作できるため、前記橋梁架設用移動作業車1の移動・設置作業の効率があがり時間短縮可能となる。また、一人のオペレータは自分が担当する専用のジャッキのみ集中して操作にあたることができ、ヒューマンエラー発生可能性は小さくなる。なお、一見、人数が増えるようにも思えるが、一人で橋梁架設用移動作業車1を移動設置することは実際にないため、主フレーム4の数に応じた人数で移動・設置する方が効率的で時間短縮可能なのである。
【0050】
次に、本発明を使用しての操作につき説明する。
図6乃至図15に左右それぞれの専用の端末装置17における表示画面を示す。各図に示すように画面には左側専用あるいは右側専用と明確に表示してあり、操作者が混同しないように表示してある。
【0051】
図6には、左側専用及び右側専用の端末装置17における初期画面の画像が示されている。例えば、左側専用及び右側専用の端末装置17の電源投入後に、この画面が表示される。この画面において例えば「○×建設」のLOGOをタッチすると、図7の画面が表示される。
【0052】
図7は詳細設定の画面である。該詳細設定画面では使用する各ジャッキの各種設定が行える。例えば、使用するジャッキの定格容量、使用するジャッキの受圧面積、使用するジャッキの使用圧力、圧力変換器の定格出力(製品の検査成績書参照)などが数値で入力される。なお、変更したい数値部をタッチするとテンキ-が表示され、変更した数値入力が行える。
【0053】
図8では、左側専用及び右側専用の端末装置17における異常設定/確認画面が示されており、左側専用の端末装置17において、橋幅方向左側の主フレーム4に設けられた前方支点用左ジャッキ7、後方支点用左ジャッキ9、後方車輪用左ジャッキ11の荷重上限値が設定でき、右側専用の端末装置17において、橋幅方向右側の主フレーム4に設けられた前方支点用右ジャッキ8、後方支点用右ジャッキ10、後方車輪用右ジャッキ12の荷重上限値が設定できる。
【0054】
ここで登録した荷重値が上限となり、この上限値が例えば圧力変換器にて検出された際には非常停止となる。値の変更については、変更したい数値部をタッチするとテンキ-が表示され、そこで数値入力が行なえる。また、非常停止ボタンを押した場合、ブザー音と共にこの画面へ移行する。左/右側の端末装置17とも赤枠部に表示された異常発生原因を確認し、原因除去を行なうことが出来る。
【0055】
図9には、左側専用及び右側専用の端末装置17における操作選択画面が示されている。ここでは、操作する各ジャッキが選択できる。そして、選択と同時に各操作画面へ移行する。例えば左側専用の端末装置17で「移動用操作」を選択した場合、右側専用の端末装置17では「移動用操作」以外は選択出来ない。なお、先に選択をした側の端末装置17のジャッキ操作が優先される。
【0056】
図10は、左側専用及び右側専用の端末装置17における後方車輪操作画面が示されており、それぞれ後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12の変位値(伸縮量)を例えば実際の長さの単位、具体的にはmmの単位で表示される様に構成されている。
【0057】
それぞれの後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12におけるジャッキの伸縮量(変位値)は、後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12に設置された反射式レーザー距離センサ25及び反射板35によって長さの単位、具体的にはmmの単位で測定される。
【0058】
ここで、反射式レーザー距離センサ25は、レーザービームなどの投光信号を投光する投光部と該投光信号を反射板35と、反射板35で反射された反射光を受光する受光部とを有して構成され、受光部によって受光された受光信号をジャッキの伸縮量として測定するものである。なお、反射式レーザー距離センサ25と反射板35のジャッキへの取付例としては図16に示す例が考えられる。
【0059】
ここで、図10に示された「ポンプ起動」ボタンを押すと油圧ポンプなどで構成されたポンプが起動する。そして、所定の周波数にてモーターが作動・運転し、後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12が前記設定された変位値(伸縮量)になるよう稼働する。
【0060】
後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12の稼働制御を具体的に説明する。
制御手段16は、設定された後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12が希望する伸縮量の値が長さの単位、具体的にはmmの単位で数字により入力されると、前記後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12が希望する伸縮量の値が記憶部21に記憶される。
【0061】
次いで、前記後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12が稼働手段15により伸縮操作されると共に、反射式レーザー距離センサ25により前記後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12の伸縮量が随時検知され、該検知された値は制御部20に入力される。そして、記憶してある前記後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12が希望する伸縮量の値と前記反射式レーザー距離センサ25により随時検知されたジャッキの伸縮量の値とが比較部33で比較され、前記後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12の伸縮が個別に希望する伸縮量まで到達したとき、自動停止させるものとなる。
【0062】
また、前記後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12の伸縮量につき、個別に伸縮量をゼロリセット出来る機能を備えているのでジャッキの現状の伸縮位置からの目標伸縮量を足し算せずに直接入力することも出来る。
【0063】
さらにジャッキの稼働制御を説明すると、まず、端末装置17によりジャッキ伸縮の目標値を指定する。この目標値は前述の如く実際の長さの単位、具体的にはmmの単位でデジタル数字により指定できるのが特徴である。
【0064】
すると、稼働手段16である例えば、油圧ポンプと油圧回路中の電磁切替弁とが起動し、油圧ジャッキとして構成されている前記後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12に作動油が送られる。
【0065】
そして伸縮する前記後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12のジャッキ長さが反射式距離センサ25により常時計測され、制御手段16(例えばPLCの制御部20の比較部33)内で前記指定された伸縮目標値と比較される。
【0066】
指定されたジャッキの伸縮目標値と計測値とが合致したときPLCなどで構成された制御手段16から合致信号が発信され、この信号の発信により、稼働手段16である例えば油圧回路中の電磁切替弁が油圧回路を遮断し油圧ジャッキなどで構成された前記後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12の伸縮が停止するものとなるのである。
なお、前述した「異常設定/確認画面」で登録した荷重上限値に到達すると非常停止と判断し、ポンプが停止すると共に、ジャッキ動作も停止する。
【0067】
図11に後方支点操作画面を示す。この後方支点操作画面によって、後方支点用左ジャッキ9、後方支点用右ジャッキ10の稼働制御操作ができる。
図10と同様にそれぞれの後方支点用左ジャッキ9、後方支点用右ジャッキ10の変位値を例えば実際の長さの単位、具体的にはmmの単位のデジタル数字で表せる様に構成されている。
【0068】
後方支点用左ジャッキ9、後方支点用右ジャッキ10におけるジャッキの伸縮量(変位値)は、やはり、後方支点用左ジャッキ9、後方支点用右ジャッキ10に設置された反射式レーザー距離センサ25によって測定される。
【0069】
「ポンプ起動」ボタンを押すと油圧ポンプなどで構成されたポンプが起動する。そして、所定の周波数にてモ-タ-が作動・運転し、後方支点用左ジャッキ9、後方支点用右ジャッキ10が前記設定された変位値になるよう稼働する。
【0070】
ここで、後方支点用左ジャッキ9、後方支点用右ジャッキ10の稼働制御の詳細は後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12の稼働制御と同様である。
【0071】
図12に「前方支点操作画面」を示す。
「前方支点操作画面」では、前方支点用左ジャッキ7、前方支点用右ジャッキ8の操作が行える。図10図11と同様にそれぞれの前方支点用左ジャッキ7、前方支点用右ジャッキ8の変位値を例えば実際の長さの単位、具体的にはmmの単位のデジタル数字で表せる様に構成されている。
【0072】
前方支点用左ジャッキ7、前方支点用右ジャッキ8におけるジャッキの伸縮量(変位値)は、前方支点用左ジャッキ7、前方支点用右ジャッキ8に設置された反射式レーザー距離センサ25によって測定される。
【0073】
画面上の「ポンプ起動」ボタンを押すとポンプが起動する。すなわち、所定の周波数にてモーターが作動・運転し、これにより前方支点用左ジャッキ7、前方支点用右ジャッキ8が前記設定された変位値になるよう稼働する。
【0074】
なお、前方支点用左ジャッキ7、前方支点用右ジャッキ8の稼働制御についても、後方車輪用左ジャッキ11、後方車輪用右ジャッキ12の稼働制御と同様である。
【0075】
図13に「移動用操作画面」を示す。「移動用操作画面」では、移動用の左推進ジャッキ26、右推進ジャッキ27のジャッキ操作が行える。前述したように、このジャッキの伸長分だけ反力を利用して橋梁架設用移動作業車1を前方に移動させることが出来る。
【0076】
すなわち、所定の長さに突出させた左推進ジャッキ26、右推進ジャッキ27は、主フレーム4に取り付けた反力棒36の反力を利用して主フレーム4を有するフレーム体5をいわゆる尺取り虫的に前進させるものである。
左推進ジャッキ26、右推進ジャッキ27の自動戻し装置40を使用しての稼働制御については既に説明したとおりである。
【0077】
次に、図16に基づき、本発明による反射式レーザー距離センサ25と反射板35を備えた各ジャッキの稼働制御方法につき、さらに説明する。
制御手段16あるいはタブレット型の端末装置17には各々制御部20を有しており、該制御部20の伸縮量設定部30では、例えば左側専用の端末装置17であれば、橋幅方向左側の主フレーム4に設けられた前方支点用左ジャッキ7、後方支点用左ジャッキ9、後方車輪用左ジャッキ11を稼働するジャッキ伸縮量が長さの単位のデジタル数字であらかじめ設定できるように構成されている。そして、設定された前記伸縮量は記憶部21に記憶保存される。
【0078】
端末装置17の各画面において、「ジャッキ伸」あるいは「ジャッキ縮」の文字をタップするとジャッキ稼働指示部31がジャッキ稼働の指示を稼働手段15に送出し、各ジャッキが稼働する。該ジャッキの伸縮は、反射式レーザー距離センサ25により随時検知され、検知された値は検知値入力部32に随時入力される。
【0079】
そして、比較部33では前記設定された伸縮量と随時入力される検知値とが比較され、前記随時入力される検知値が前記設定された設定値である伸縮量に達したとき、ジャッキの伸縮が自動停止部34により自動停止される。
【0080】
上記のようにジャッキの伸縮量の設定値の入力も長さの単位で行え、反射式レーザー距離センサ25と反射板35とによるジャッキの伸縮量の随時検知も長さの単位に変換可能にして行え、前記比較部33による設定値と随時検知値の比較も長さの単位で行えるため、従来のように、手元作業員が伸縮したジャッキストローク長をスケールなどで直接測定する必要がなく、また狭隘な箇所での作業を必要としないため、作業の安全性が向上し、また、複数フレームのジャッキの操作を複数のそれぞれ専用の端末を用いて行えるよう構成して、作業時間を短縮させると共に、単純なヒューマンエラーを防止できるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1】本発明による橋梁架設用移動作業車の一例を示す概略側面図である。
図2】本発明による橋梁架設用移動作業車に設けられた各ジャッキの設置位置を示す概略平面図である。
図3】推進ジャッキの稼働動作と自動戻し装置の動作状態を説明する説明図である。
図4】自動戻し装置の動作状態を説明する説明図である。
図5】本発明による稼働システムの概略を説明する説明図である。
図6】本発明による端末装置の表示画面を説明する説明図(1)である。
図7】本発明による端末装置の表示画面を説明する説明図(2)である。
図8】本発明による端末装置の表示画面を説明する説明図(3)である。
図9】本発明による端末装置の表示画面を説明する説明図(4)である。
図10】本発明による端末装置の表示画面を説明する説明図(5)である。
図11】本発明による端末装置の表示画面を説明する説明図(6)である。
図12】本発明による端末装置の表示画面を説明する説明図(7)である。
図13】本発明による端末装置の表示画面を説明する説明図(8)である。
図14】本発明による端末装置の表示画面を説明する説明図(9)である。
図15】本発明による端末装置の表示画面を説明する説明図(10)である。
図16】本発明による反射式レーザー距離センサと反射板を備えた各ジャッキの稼働制御方法を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0082】
1 橋梁架設用移動作業車
2 既設橋梁部分の上面箇所
3 レール
4 主フレーム
5 フレーム体
6 型枠
7 前方支点用左ジャッキ
8 前方支点用右ジャッキ
9 後方支点用左ジャッキ
10 後方支点用右ジャッキ
11 後方車輪用左ジャッキ
12 後方車輪用右ジャッキ
14 型枠セット装置
15 稼働手段
16 制御手段
17 端末装置
18 送信部
19 受信部
20 制御部
21 記憶部
22 入力部
23 表示部
24 通信回線網
25 反射式レーザー距離センサ
26 左推進ジャッキ
27 右推進ジャッキ
30 伸縮量設定部
31 ジャッキ稼働指示部
32 検知値入力部
33 比較部
34 自動停止部
35 反射板
36 反力棒
37 ストップ部
38 係止用ナット
39 係止壁
40 自動戻し装置
41 移動補助杆
42 移動用ナット
43 ループ状回転体
44 アンカー
45 既設橋梁
47 ラム部
48 本体部
49 前方係止用ナット
50 前方係止壁
52 取付体
53 囲み係止壁

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16