(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158477
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】スピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/28 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
H04R1/28 310Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063415
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521149666
【氏名又は名称】林 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】林 毅
【テーマコード(参考)】
5D018
【Fターム(参考)】
5D018AD18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気駆動されて振動し、音を発する発音体とパイプとを組み合わせて備えるスピーカを提供する。
【解決手段】スピーカ10Aは、発音体24と、両端が開口しかつ一端の開口が発音体24に臨む第1のパイプ11と、両端が開口し、かつ、一端の開口が第1のパイプ11と反対側から発音体24に臨む第2のパイプ12と、を備える。また、第2のパイプ12の一端と発音体24との間には、側方に向かって開口する側方開口が設けられている。このようにスピーカ10Aでは、第1のパイプ11と第2のパイプ12の一端の開口が発音源に対して互いに反対側となる方向から臨んでおり、1つの発音源からの音を、第1のパイプ及び第2のパイプの両方で共鳴させて、互いに離れた第1のパイプ及び第2のパイプの他端の端部開口15A~15Iから放射し、臨場感にあふれる音場を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気駆動されて振動し、音を発する発音体(24)と、前記発音体(24)が発する音を共鳴させるパイプ(11,12,41~46)とを備えるスピーカ(10A~10D)であって、
両端が開口しかつ一端の開口が前記発音体(24)に臨む第1のパイプ(11,41,43,45)と、
両端が開口しかつ一端の開口が前記第1のパイプ(11,41,43,45)と反対側から前記発音体(24)に臨む第2のパイプ(12,42,44,46)と、
前記第2のパイプ(12,42,44,46)の一端と前記発音体(24)との間に設けられて側方に向かって開口する側方開口(27E)と、を備えるスピーカ(10A~10D)。
【請求項2】
前記側方開口(27E)により前記第2のパイプ(12,42,44,46)の一端が共鳴の自由端になる請求項1に記載のスピーカ(10A~10D)。
【請求項3】
両端部に前記第1及び第2のパイプ(11,12,41~46)の一端部が接続され、中間部に前記発音体(24)が固定されているベーススリーブ(20,20A,20B,20C)を備え、
前記ベーススリーブ(20,20A,20B,20C)のうち前記発音体(24)と前記第2のパイプ(12,42,44,46)の一端との間には、前記側方開口(27E)に含まれる複数の貫通孔(27D,27G)が半周以上に亘って環状に並べて形成されている請求項1又は2に記載のスピーカ(10A~10D)。
【請求項4】
前記ベーススリーブ(20A)に対して軸方向にスライド可能に嵌合し、そのスライド位置の変更により複数の貫通孔(27D)の開度を変更するスライドスリーブ(92)を有する請求項3に記載のスピーカ(10A)。
【請求項5】
前記ベーススリーブ(20B,20D)に対して回転可能に嵌合すると共に、前記ベーススリーブ(20B,20D)の前記複数の貫通孔(27G)に重ね合わせ可能な複数の貫通孔(93A)を有し、前記ベーススリーブ(20B,20D)に対する回転位置の変更により前記ベーススリーブ(20B)の前記複数の貫通孔(27G)の開度を変更する回転スリーブ(93)を有する請求項3に記載のスピーカ(10A)。
【請求項6】
前記発音体(24)は、前記第1のパイプ(11)の一端部に固定され、
前記第1と第2のパイプ(11,12)の一端部同士と同軸上に位置決めしかつその軸方向に直線移動可能に支持して前記側方開口(27E)の開口幅を変更可能にする直線ガイド機構(95)を備える請求項1又は2に記載のスピーカ(10A)。
【請求項7】
前記ガイド機構(95)には、
前記第1のパイプ(11)の一端部に固定されて側方に張り出す複数の第1のガイド支持部(96)と、
前記第2のパイプ(12)の一端部に固定されて側方に張り出す複数の第2のガイド支持部(97)と、
前記複数の第1又は第2のガイド支持部(96,97)の一方に固定されて、前記第1と第2のパイプ(11,12)の一端部の軸方向に延びる複数のガイドシャフト(98)と、
前記複数の第1又は第2のガイド支持部(96,97)の他方に形成されて、前記複数のガイドシャフト(98)が内側に嵌合する複数のガイド孔(97A)と、
前記ガイドシャフト(98)を前記ガイド孔(97A)に対する任意の嵌合位置で固定する固定部(97K)と、が備えられている請求項6に記載のスピーカ(10A)。
【請求項8】
前記第1及び第2のパイプ(11,12,41~46)には、前記発音体(24)を挟んで同一直線上に延びる第1直線部(11A,12A)と、前記第1直線部(11A,12A)のうち前記発音体(24)のから離れた側の先端部と交差して真っ直ぐ延びる第2直線部(11B,12B)とが備えられ、前記第1直線部(11A,12A)及び前記第2直線部(11B,12B)の先端か開口している請求項1から7の何れか1の請求項に記載のスピーカ(10A~10D)。
【請求項9】
床面又は地面に載置されて起立し、水平姿勢の前記第1と第2のパイプ(11,12,41~46)を下方から支持する複数の支持スタンド(30)を備える請求項1から8の何れか1の請求項に記載のスピーカ(10A~10D)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気駆動されて振動し、音を発する発音体とパイプとを組み合わせて備えるスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスピーカとして、パイプの開口に発音体を含んだスピーカユニットが取り付けられたパイプスピーカが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】株式会社タイムドメイン ヨシイナインマークツー(Yoshii9 MK2)、インターネット令和3年3月12日検索、<URL:http://www.timedomain.co.jp/product/yoshii9_mk2.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のものより臨場感にあふれる音場を生成することが可能なスピーカの開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本開示の請求項1のスピーカ(10A~10D)は、電気駆動されて振動し、音を発する発音体(24)と、前記発音体(24)が発する音を共鳴させるパイプ(11,12,41~46)とを備えるスピーカ(10A~10D)であって、両端が開口しかつ一端の開口が前記発音体(24)に臨む第1のパイプ(11,41,43,45)と、両端が開口しかつ一端の開口が前記第1のパイプ(11,41,43,45)と反対側から前記発音体(24)に臨む第2のパイプ(12,42,44,46)と、前記第2のパイプ(12,42,44,46)の一端と前記発音体(24)との間に設けられて側方に向かって開口する側方開口(27E)と、を備えるスピーカ(10A~10D)である。
【発明の効果】
【0006】
本開示のスピーカ(10A~10D)では、第1と第2のパイプ(11,12,41~46)の一端の開口が発音体(24)を挟んで臨んでいるので、1つの発音体(24)からの音を、第1及び第2のパイプ(11,12,41~46)の両方で共鳴させて、互いに離れた第1及び第2のパイプ(11,12,41~46)の他端の端部開口(15A~15H)から放射し、従来より臨場感にあふれる音場の生成が可能になる。また、第2のパイプ(12,42,44,46)の一端と発音体(24)との間に側方開口(27E)を備えたことで、少なくとも第2のパイプ(12,42,44,46)の一端が共鳴の自由端となるか、それに近い状態になって音が広がり、このことによっても臨場感のあふれる音場の生成が可能になる。なお、側方開口(27E)は、発音体(24)と第2のパイプ(12,42,44,46)との間のみに設けてもよいし、第1及び第2のパイプ(11,12,41~46)の両方と発音体(24)との間に設けてもよい。また、発音体(24)を間に挟んだ両側に側方開口(27E)を設ける場合には、それら側方開口(27E)同士が同じであってもよいし、異なっていてもよい。さらに、第1と第2のパイプ(11,12,41~46)の長さ及び太さは同じであってもよいし、長さ及び太さの何れか一方又は両方が異なっていてもよい。なお、第1と第2のパイプ(11,12,41~46)の長さを異ならせて共鳴の周波数が異なるようにすれば、より臨場感のあふれる音場の生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】第2実施形態のベーススリーブの部分側断面図
【
図5】第3実施形態のベーススリーブの部分側断面図
【
図6】第4実施形態のベーススリーブの部分側断面図
【
図7】第5実施形態のベーススリーブの部分側断面図
【
図8】第6実施形態の(A)第1のスピーカの斜視図,(B)第2のスピーカの斜視図、(C)第3のスピーカの平面図、
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図3に基づいて本開示の第1実施形態に係るステレオシステム100Aについて説明する。
図1に示すように本実施形態のステレオシステム100Aは、オーディオアンプ90に1対のスピーカ10Aを接続して備える。各スピーカ10Aは、スピーカユニット21を内蔵するベーススリーブ20の両端に第1と第2のパイプ11,12を接続した構造をなしている。
【0009】
ベーススリーブ20内のスピーカユニット21は、市販されている一般的なものである。具体的には、
図2に示すように、スピーカユニット21は、磁石22による磁場内に配置されたボイスコイル23がコーン形の発音体24の中心部に固定され、発音体24の外縁部と磁石22とが例えば、スケルトン構造の支持部材25に固定された構造になっている。そして、オーディオアンプ90の出力によってボイスコイル23が励磁されて発音体24が振動し、音を発生する。
【0010】
なお、スピーカユニット21は、ボイスコイル23が電気駆動により振動するものであれば、
図2に示された構造に限定されない。
【0011】
また、ベーススリーブ20は、水平方向に延びる1対の分割スリーブ27に分割されている。各分割スリーブ27は、大径筒部27Aと小径筒部27Cとの間をテーパー筒部27Bで連絡してなり、両分割スリーブ27の大径筒部27A側の端部同士が接合されている。そして、一方の分割スリーブ27の大径筒部27A内に前記支持部材25のうち発音体24の外側を支持する第1支持枠25Aが固定され、ベーススリーブ20内が発音体24にて2つに仕切られている。
【0012】
また、スピーカユニット21の磁石22を収容している側の分割スリーブ27の大径筒部27Aには、周方向に延びるスリット状の複数の貫通孔27Dが、環状に並べて形成されている。そして、これら貫通孔27Dによって、発音体24と次述する第2のパイプ12の端部との間に側方に向かって開口する側面開口27Eが形成されている。
【0013】
なお、大径筒部27Aの内径をD1、小径筒部27Cの内径をD2とした場合、D2/D1は、0.25~1であることが好ましい。
【0014】
第1と第2のパイプ11,12は、ベーススリーブ20の両端部の小径筒部27Cの内側に回転可能に嵌合されている。また、
図1に示すように、第1と第2のパイプ11,12は、複数の分割パイプ13,14を接続してなる。それら複数の分割パイプ13,14には、均一外径をなして延びる複数の雄型分割パイプ13Aと、雄型分割パイプ13Aの外側に回転可能に嵌合される複数の端部を有する、所謂、パイプジョイントとしての雌型パイプ14A,14Bとが含まれている。また、雌型パイプ14A,14Bの各端部の内側は、ベーススリーブ20の両端の小径筒部27C(
図2参照)の内側と同じ構造になっている。そして、ベーススリーブ20の両端の小径筒部27Cには、第1と第2のパイプ11,12にそれぞれ含まれる雄型分割パイプ13Aの端部が嵌合している。この意味において、ベーススリーブ20は、第1と第2のパイプ11,12を同一直線上に並べて接続するストレート型のパイプジョイントになっている。
【0015】
また、
図1に示した例では、長さが異なる複数のストレート型の雄型分割パイプ13Aのみが示されているが、雄型分割パイプ13Aには、全体が円弧状に湾曲したエルボー型や、螺旋状に湾曲した螺旋型等、様々なものものが用意されている。さらに、
図1に示した例では、T型とY型の雌型パイプ14A,14Bのみが示されているが、全体が円弧状に湾曲したエルボー型や、直線状に延びるI型や、4つの端部を有するクロス型等、様々なものものが用意されている。そして、任意に分割パイプ13,14を組み合わせて接続することができる。
【0016】
また、1対のスピーカ10Aは、複数のスタンド30によって下方から支持されて、地面又は床面から浮いた状態になっている。なお、スタンド30の代わりにスピーカ10Aを線材にて天井から吊ってもよい。また、本実施形態の第1と第2のパイプ11,12及びベーススリーブ20は樹脂製であるが金属製、紙製、竹製等であってもよい。
【0017】
本実施形態のスピーカ10Aを含んだステレオシステム100Aの構成に関する説明は以上である。次に、本実施形態のスピーカ10Aの作用効果について説明する。上述したように本実施形態のスピーカ10Aでは、第1と第2のパイプ11,12の一端の開口が発音体24に対して互いに反対側となる方向から臨んでいるので、1つの発音体24からの音を、第1及び第2のパイプ11,12の両方で共鳴させて、互いに離れた第1及び第2のパイプ11,12の他端の端部開口15A,15B・・・から放射し、従来より臨場感にあふれる音場の生成が可能になる。
【0018】
また、スピーカ10Aは、形状を任意に変更して、形状の変更による共鳴音の変化を楽しむこともできる。ここで、スピーカ10Aの分割パイプ13,14の組み合わせる際には、例えば、第1及び第2のパイプ11,12が複数の端部開口15A,15B,15C,・・を備えて、それら第1及び第2のパイプ11,12に含まれる共鳴部の長さが異なる構造とすることが好ましく、
図1に例示したスピーカ10Aは、そのような構造になっている。
【0019】
具体的には、
図1の一方のスピーカ10Aの第1のパイプ11には、ベーススリーブ20から真っ直ぐ延びる第1直線部11Aの先端に端部開口15Aを有し、その第1直線部11Aの先端寄り位置から直角の曲がった第2直線部11Bの先端に端部開口15Bを有し、さらに、第2直線部11Bの先端寄り位置から直角の曲がった第3直線部11Cの先端に端部開口15Cを有する。また、このスピーカ10Aの第2のパイプ12には、ベーススリーブ20から真っ直ぐ延びる第1直線部12Aの先端に端部開口15Dを有し、その第1直線部12Aの先端寄りの中間位置から直角の曲がった第2直線部12Bの先端に端部開口15Eを有する。
【0020】
そして、
図3に示すように、発音体24から端部開口15Aまでの第1共鳴部の距離L1と、発音体24から端部開口15Bまでの第2共鳴部の距離L2+L3と、発音体24から端部開口15Cまでの第3共鳴部の距離L2+L4+L6と、発音体24から端部開口15Dまでの第4共鳴部の距離L10と、発音体24から端部開口15Eまでの第5共鳴部の距離L11+L12と、さらには、端部開口15Aと端部開口15Bとの間の第6共鳴部の距離L3+L7と、端部開口15Aと端部開口15Cとの間の第7共鳴部の距離L4+L6+L7と、端部開口15Bと端部開口15Cとの間の第8共鳴部の距離L5+L6と、端部開口15Dと端部開口15Eとの間の第9共鳴部の距離L12+L13とが相互に異なる。また、他方のスピーカ10Aも同様に、複数の端部開口15F~15Iと、距離が互いに異なる複数の共鳴部とを有する。なお、上記した本実施形態のスピーカ10Aでは、上記した距離L1,L3,L6、L10,L12で示した空間が独立した空間をなし、共鳴密度を高め、音圧レベルの高い鳴動頻度を上げるためには、上記した任意の2つの距離の比が整数とならないことが好ましい。
【0021】
このように各スピーカ10Aでは、第1及び第2のパイプ11,12に複数の端部開口15A~15Iと距離が互いに異なる複数の共鳴部とを有するので、発音体24が発する周波数が異なる様々な音が異なる位置の複数の共鳴部で共鳴して様々な方向に放出される。また、ベーススリーブ20のうち第2のパイプ12が接続されている側は側面開口27E(
図2参照)を有する解放端になっている一方、第1のパイプ11が接続されている側は側面開口27Eを有しない固定端になっているので、このことによっても共鳴する周波数が変わり、周波数が異なる様々な音を第1及び第2のパイプ11,12で共鳴させて放出することができる。
【0022】
なお、
図1に示されたスピーカ10Aは、第1及び第2のパイプ11,12の各複数の端部が端部開口15A~15Eとして開口しているが一部を閉塞して共鳴部における固定端としてもよい。
【0023】
[第2実施形態]
図4には、本開示の第2実施形態のスピーカ10A,10Bに含まれるベーススリーブ20Aが示されている。このベーススリーブ20Aは、前記第1実施形態で説明したベーススリーブ20を改造したもので、貫通孔27Dを備える大径筒部27Aの外側にスライドスリーブ92がスライド可能に嵌合されると共に、その大径筒部27Aとテーパー筒部27Bとの境界部分からストッパ用のフランジ91が側方に張り出している。そして、スライドスリーブ92をフランジ91に突き当たる位置に配置すると、スライドスリーブ92によって複数の貫通孔27Dが閉塞される。また、スライドスリーブ92を複数の貫通孔27Dの幅方向における一部に差し掛かった状態にて半開状態にすることもできる。本実施形態では、貫通孔27Dによる側面開口27Eの開度を変更してスピーカ10A,10Bによって生成される音場の状態を変えることができる。
【0024】
[第3実施形態]
図5には、本開示の第3実施形態のスピーカ10A,10Bに含まれるベーススリーブ20Bが示されている。このベーススリーブ20Bも、前記第1実施形態で説明したベーススリーブ20を改造したもので、本実施形態のベーススリーブ20Bでは、スリット状の貫通孔27Dに代えて例えば円形の貫通孔27Gが大径筒部27Aの周方向に間隔を開けて形成されている。また、隣合う貫通孔27G同士の間は、例えば1つの貫通孔27Gを追加して穿孔することができる大きさになっている。また、このベーススリーブ20Bにも第2実施形態で説明したフランジ91が設けられている。さらには、大径筒部27Aの外側には、回転スリーブ93が回転可能に嵌合され、その回転スリーブ93にはベーススリーブ20Bの複数の貫通孔27Gに対応した複数の貫通孔93Aが形成されている。そして、回転スリーブ93の一端をフランジ91に重ねた状態にして回転スリーブ93を所定の回転位置に配置すると、回転スリーブ93の複数の貫通孔93Aの全てが、ベーススリーブ20Bの複数の貫通孔27Gの全てと丁度重なってそれら貫通孔27Gが全開状態になる。そこから回転スリーブ93を回転させると、複数の貫通孔27Gの開度が徐々に下がっていき、やがて貫通孔27Gが全閉状態になる。本実施形態の構成によっても、第2実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0025】
[第4実施形態]
【0026】
図6には、本開示の第4実施形態のスピーカ10A,10Bに含まれるベーススリーブ20Cが示されている。このベーススリーブ20Cも、前記第1実施形態で説明したベーススリーブ20を改造したもので、本実施形態のベーススリーブ20Cでは、スリット状の貫通孔27Dに代えて一方の分割スリーブ27のテーパー部27Bが大径筒部27Aと小径筒部27Cとの間を複数の梁27Jのみで連絡したスケルトン構造をなしている。そして、梁27Jの間が側面開口27Eになっている。
【0027】
[第5実施形態]
図7には、本開示の第5実施形態のスピーカ10A,10Bに含まれるベーススリーブ20Dが示されている。このベーススリーブ20Dは、前記第3実施形態で説明したベーススリーブ20Bを改造したもので、第1のパイプ11が取り付けられる一方の分割スリーブ27の大径筒部27Aに、複数の貫通孔27Gとフランジ91とが形成されると共に、それら貫通孔27Gを開閉するための回転スリーブ93が装着されている。また、その大径筒部27Aの先端部の外側には、リング96Rが嵌合固定され、そのリング96Rを周方向で複数等分する位置から側方に複数の第1のガイド支持部96が張り出している。それと同様に、他方の分割スリーブ27の大径筒部27Aの外側にリング97Rが嵌合固定され、そのリング97Rを周方向で複数等分する位置から側方に複数の第2のガイド支持部97が張り出して、複数の第1のガイド支持部96と対向している。
【0028】
また、複数の第1のガイド支持部96には、第1及び第2のパイプ11,12の軸方向に延びる複数のガイドシャフト98の一端部が固定され、それらガイドシャフト98が第2のガイド支持部97側に延びている。一方、複数の第2のガイド支持部97には、複数のガイドシャフト98がスライド可能に嵌合した複数の貫通孔97Aが形成されている。そして、これら第1と第2のガイド支持部96,97とガイドシャフト98とを含んでなるガイド機構95により、第1と第2のパイプ11,12の一端部同士が同軸上に位置決めされかつその軸方向に直線移動可能に支持されている。また、複数の第2のガイド支持部97のうちの1つには、貫通孔97Aに側方から連通する螺子孔97Bが形成され、そこに固定用螺子97Nが螺合し、これら螺子孔97Bと固定用螺子97Nとから第1と第2のパイプ11,12の相互間の間隔を任意の大きさで固定するための固定部97Kが構成されている。
【0029】
本実施形態のベーススリーブ20Dによれば、第2のパイプ12の一端と発音体24(詳細には、発音体24の大径側の端部)との間に全側方に開放された側方開口27Eが形成され、その側方開口27Eを任意の大きさに用に変更することができ、スピーカ10A,10Bによって生成される音場の状態を変えることができる。
【0030】
なお、前記第1実施形態のスピーカ10A,10Bにおいて、ベーススリーブ20から第2のパイプ12を離脱し、ベーススリーブ20と第2のパイプ12の端部との間に本実施形態と同様の側方開口27Eが形成されるように第1と第2のパイプ11,12をスタンド30にて支持してもよい。
【0031】
[第6実施形態]
図8(A)~
図8(C)には、本実施形態の第1~第3のスピーカ10B,10C,10Dが示されている。
図8(A)に示された第1のスピーカ10Bは、ベーススリーブ20の両端部に直線状に延びる第1と第2のパイプ41,42を嵌合した構造になっている。また、
図8(B)に示された第2のスピーカ10Cは、ベーススリーブ20の両端部に、L形に屈曲した第1と第2のパイプ43,44を回転可能に嵌合した構造になっている。さらに、
図8(C)に示された第3のスピーカ10Dは、ベーススリーブ20の両端部に、C形に屈曲した第1と第2のパイプ45,46を回転可能に嵌合した構造になっている。
【0032】
[他の実施形態]
(1)前記第1実施形態のベーススリーブ20には、発音体24より一方側に複数の貫通孔27Dが設けられて側面開口27Eが形成されていたが、発音体24より一方側と他方側との両方に複数の貫通孔27Dが設けられてよい。また、前記第1実施形態の複数の貫通孔27Dは、スリット状であったが、丸孔であってもよい。さらには、前記第1実施形態では、複数の貫通孔27Dがベーススリーブ20の全周に形成されていたが、ベーススリーブ20の半周部分に偏在するように形成されていてもよい。
【0033】
(2)前記第5実施形態のガイド機構95は、固定部97Kを備えていた、固定部97Kを備えない構成としてもよい。また、第1及び第2のガイド支持部96,97の両方からガイドシャフト98を延ばし、それらの突き合わされた先端部のそれぞれに螺子部を形成し、それら螺子部を共通のナットに螺合した構成としてもよい。
【0034】
(3)前記第5実施形態では、ベーススリーブ20Dが1対の分割スリーブ27がガイド機構95によって接近及び離間可能に支持されることで、実質的に「発音体24は、第1のパイプ11の一端部に固定され、第1と第2のパイプ11,12の一端部同士と同軸上に位置決めしかつその軸方向に直線移動可能に支持して側方開口27Eの開口幅を変更可能」になっていたが、ベーススリーブ20Dを介さず、第1のパイプ11に発音体24を含んだスピーカユニット21とガイド機構95に含まれる一方のリング96Rとが直接固定されると共に、第2のパイプ12にガイド機構95に含まれる他方のリング97Rが直接固定されていてもよい。
【0035】
(4)前記第1及び第2の実施形態のスピーカ10A~10Dに含まれる第1と第2のパイプの太さは同じであったが異なっていてもよい。
【0036】
(5)前記第1及び第2の実施形態のスピーカ10A~10Dに含まれる第1と第2のパイプは、断面円形であったが、断面楕円形や多角形であってもよい。
【0037】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0038】
10A~10D スピーカ
11,41,43,45 第1のパイプ
12,42,44,46 第2のパイプ
13,14 分割パイプ
20,20A~20D ベーススリーブ
21 スピーカユニット
24 発音体
27D,27G 貫通孔
27E 側面開口
30 スタンド
91 スライドスリーブ
93 回転スリーブ