(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158499
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】保持部材
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20221006BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063449
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 考史
(72)【発明者】
【氏名】杉山 慶吾
(72)【発明者】
【氏名】石井 竜馬
(72)【発明者】
【氏名】牧野 礼佳
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA03
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB14
5F131EB15
5F131EB17
5F131EB18
5F131EB54
5F131EB72
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB84
(57)【要約】
【課題】対象物の均熱性を向上させることができる保持部材を提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、セラミックス部材10と、ヒータ層17と、内部電極41と、を有し、セラミックス部材10の保持面11上に半導体ウエハWを保持する静電チャック1において、Z軸方向から見たときに、セラミックス部材10は、内部電極41を有する第1の領域10aと、内部電極41を有さない第2の領域10bと、を備え、Z軸方向から見たときに、凸部14の少なくとも一部が、第2の領域10bと重なっている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凸部が形成された第1の面と、第1の方向にて前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面とを備えるセラミックス部材と、
前記セラミックス部材を加熱する発熱抵抗体と、
前記セラミックス部材の内部に、前記発熱抵抗体より前記第1の面側に配置された内部電極と、を有し、
前記セラミックス部材の前記第1の面上に対象物を保持する保持部材において、
前記第1の方向から見たときに、前記セラミックス部材は、前記内部電極を有する第1の領域と、前記内部電極を有さない第2の領域と、を備え、
前記第1の方向から見たときに、前記凸部の少なくとも一部が、前記第2の領域と重なっていること、
を特徴とする保持部材。
【請求項2】
請求項1の保持部材において、
前記第1の方向から見たときに、前記複数の凸部のすべてが、前記第2の領域の少なくとも一部と重なっていること、
を特徴とする保持部材。
【請求項3】
請求項1または2の保持部材において、
前記第1の方向から見たときに、前記凸部の全領域が、前記第2の領域と重なっていること、
を特徴とする保持部材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つの保持部材において、
前記第1の面には、前記複数の凸部のすべてを囲むように配置された環状凸部が形成されており、
前記第1の方向から見たときに、前記環状凸部は、前記第1の領域と重なっていないこと、
を特徴とする保持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象物を保持する保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
保持部材に関する従来技術として、特許文献1には、静電電極と発熱部を備えるセラミック基板を有する静電チャックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている静電チャックは、保持する対象物である半導体ウエハを、セラミック基板の第1の主面に形成された凸部に接触させて保持している。そのため、半導体ウエハとセラミック基板との間の熱移動について、凸部の領域では起こり易いが、凸部以外の領域では起こり難くなるおそれがある。したがって、半導体ウエハの均熱性が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は上記した問題点を解決するためになされたものであり、対象物の均熱性を向上させることができる保持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、複数の凸部が形成された第1の面と、第1の方向にて前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面とを備えるセラミックス部材と、前記セラミックス部材を加熱する発熱抵抗体と、前記セラミックス部材の内部に、前記発熱抵抗体より前記第1の面側に配置された内部電極と、を有し、前記セラミックス部材の前記第1の面上に対象物を保持する保持部材において、前記第1の方向から見たときに、前記セラミックス部材は、前記内部電極を有する第1の領域と、前記内部電極を有さない第2の領域と、を備え、前記第1の方向から見たときに、前記凸部の少なくとも一部が、前記第2の領域と重なっていること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、凸部の下方に内部電極を有さない第2の領域が配置されるため、凸部の下方に内部電極が存在しなくなる部分ができ、凸部への熱伝達が抑制される。そのため、凸部と対象物との熱移動が抑制される。従って、保持している対象物において、凸部と接触する部分と、それ以外の部分との温度差を小さくすることができ、対象物の均熱性を向上させることができる。
【0008】
上記の態様においては、前記第1の方向から見たときに、前記複数の凸部のすべてが、前記第2の領域の少なくとも一部と重なっていること、が好ましい。
【0009】
この態様によれば、複数の凸部のすべてに対して第2の領域が配置されることにより、すべての凸部と対象物との熱移動が抑制されるため、保持している対象物において、凸部と接触する部分と、それ以外の部分との温度差をより小さくすることができる。これにより、対象物の均熱性をより向上させることができる。
【0010】
上記の態様においては、前記第1の方向から見たときに、前記凸部の全領域が、前記第2の領域と重なっていること、が好ましい。
【0011】
この態様によれば、第1の方向から見たときに、凸部の全領域と重なるように第2の領域を形成することにより、凸部全域において熱移動が抑制されるため、保持している対象物において、凸部と接触する部分と、それ以外の部分との温度差をより一層小さくすることができる。これにより、対象物の均熱性をより一層向上させることができる。
【0012】
上記の態様においては、前記第1の面には、前記複数の凸部のすべてを囲むように配置された環状凸部が形成されており、前記第1の方向から見たときに、前記環状凸部は、前記第1の領域と重なっていないこと、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、第1の方向から見たときに、内部電極が環状凸部に重なり合わないように配置することにより、対象物と接触する環状凸部においても熱移動が抑制されるため、保持している対象物において、凸部及び環状凸部と接触する部分と、それ以外の部分との温度差を小さくすることができる。これにより、対象物の外周部分においても、均熱性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の保持部材によれば、対象物の均熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態の静電チャックの概略斜視図である。
【
図2】本実施形態の静電チャックのXZ側面(一部、断面)の概略構成図である。
【
図3】本実施形態の静電チャックのXY平面の概略構成図である。
【
図4】本実施形態のセラミックス部材のXZ断面の一部の拡大図である。
【
図5】従来のセラミックス部材のXZ断面の一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示に係る実施形態である保持部材について説明する。本実施形態では、保持部材として、対象物である半導体ウエハWを保持する静電チャック1を例示して説明する。
【0017】
<静電チャックの全体説明>
本実施形態の静電チャック1は、半導体ウエハW(対象物)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば、半導体製造装置の真空チャンバー内で半導体ウエハWを固定するために使用される。
図1に示すように、静電チャック1は、セラミックス部材10と、ベース部材20と、セラミックス部材10とベース部材20とを接合する接合層30とを有する。
【0018】
なお、以下の説明においては、説明の便宜上、
図1に示すようにXYZ軸を定義する。ここで、Z軸は、静電チャック1の軸線方向(
図1において上下方向)の軸であり、X軸とY軸は、静電チャック1の径方向の軸である。
【0019】
セラミックス部材10は、
図1に示すように、円盤状の部材であり、セラミックスにより形成されている。セラミックスとしては、様々なセラミックスが用いられるが、強度や耐摩耗性、耐プラズマ性等の観点から、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ、Al
2O
3)または窒化アルミニウム(AlN)を主成分とするセラミックスが用いられることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、含有割合の最も多い成分(例えば、体積含有率が90vol%以上の成分)を意味する。
【0020】
また、セラミックス部材10の直径は、例えば150~300mm程度である。セラミックス部材10の厚さは、例えば2~6mm程度である。なお、セラミックス部材10の熱伝導率は、10~50W/mK(より好ましくは、18~30W/mK)の範囲内が望ましい。
【0021】
図1と
図2に示すように、セラミックス部材10は、半導体ウエハWを保持する保持面11と、セラミックス部材10の厚み方向(Z軸方向、上下方向)について保持面11とは反対側に設けられる下面12とを備えている。なお、Z軸方向は本開示の「第1の方向」の一例であり、保持面11は本開示の「第1の面」の一例であり、下面12は本開示の「第2の面」の一例である。
【0022】
セラミックス部材10の保持面11は、凹凸形状をなしている。具体的には、保持面11には、
図2と
図3に示すように、その外縁付近に環状の環状凸部13が形成され、環状凸部13の内側に複数の独立した柱状の凸部14が形成されている。このようにして、保持面11には、複数の凸部14のすべてを囲むように配置された環状凸部13が形成されている。なお、環状凸部13は、シールバンドとも呼ばれる。環状凸部13の断面(XZ断面)の形状は、
図2に示すように、略矩形である。環状凸部13の高さ(Z軸方向の寸法)は、例えば、10μm~20μm程度である。また、環状凸部13の幅(X軸方向の寸法)は、例えば、0.5mm~5.0mm程度である。
【0023】
なお、不図示ではあるがセラミックス部材10にはリフトピン用の貫通孔等が形成されており、保持面11において各々の貫通孔を囲むように環状の凸部が形成されている。
【0024】
各凸部14は、
図3に示すように、Z軸方向視(平面視)で略円形をなしており、略均等間隔で配置されている。また、各凸部14の断面(XZ断面)の形状は、
図2に示すように、略矩形である。凸部14の高さは、環状凸部13の高さと略同一であり、例えば、10~20μm程度である。また、凸部14の幅(Z軸方向視での凸部14の最大径)は、例えば、0.5~1.5mm程度である。なお、セラミックス部材10の保持面11における環状凸部13より内側において、凸部14が形成されていない部分は、凹部15となっている。
【0025】
そして、半導体ウエハWは、セラミックス部材10の保持面11における環状凸部13と、複数の凸部14と、リフトピン用の貫通孔等を囲むように形成された環状の凸部(不図示)に支持されて、静電チャック1に保持される。半導体ウエハWが静電チャック1に保持された状態では、半導体ウエハWの表面(下面)と、セラミックス部材10の保持面11(詳細には、保持面11の凹部15)との間に、空間Sが存在することとなる(
図2参照)。この空間Sには、
図3に示すガス孔16を介して不活性ガス(例えば、ヘリウムガス)が供給されるようになっている。
【0026】
また、セラミックス部材10は、
図2に示すように、その内部に、ヒータ層17と内部電極部18を備えている。ヒータ層17は、セラミックス部材10を加熱して、セラミックス部材10の保持面11に保持される半導体ウエハWの温度を調整する。なお、ヒータ層17は、セラミックス部材10の下面12に形成されていてもよい。また、ヒータ層17は、本開示の「発熱抵抗体」の一例である。
【0027】
内部電極部18は、セラミックス部材10の内部において、ヒータ層17よりも保持面11側の位置に配置されている。
【0028】
本実施形態では、内部電極部18は、板状に形成されており、電極が形成される内部電極41と、内部電極部18をその厚み方向に貫通するように形成される貫通孔42と、を備えている。この内部電極41と貫通孔42は、セラミックス部材10の内部において、ヒータ層17よりも保持面11側の位置に配置されている。
【0029】
内部電極41は、例えば、チャック電極や、RF電極や、ランド電極などである。内部電極41は、金属により構成されており、内部電極41の金属材料は、例えばタングステンまたはモリブデン、またはそれらの合金である。
【0030】
貫通孔42は、セラミックス部材10をZ軸方向から見たときに、例えば、外形が円形である丸孔に形成されている。また、貫通孔42は、例えば、シート部材を積層してセラミックス部材10を形成するときに、マスクをして形成される。
【0031】
また、本実施形態では、内部電極部18の外周部18aは、セラミックス部材10の径方向について、最も外側の凸部14よりも外側にある環状凸部13の内周面13aの位置、または、その位置からわずかに内側の位置に形成されている。これにより、セラミックス部材10をZ軸方向から見たときに、内部電極部18の外周部18aよりも内側に、すべての凸部14と凹部15が形成されている。
【0032】
ベース部材20は、
図1に示すように円柱状に形成されている。このベース部材20は、金属(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等)により形成されていることが好ましいが、金属以外であってもよい。
【0033】
ベース部材20の直径は、例えば180mm~350mm程度である。また、ベース部材20の厚さ(Z軸方向の寸法)は、例えば20mm~50mm程度である。なお、ベース部材20(アルミニウムを想定)の熱伝導率は、セラミックス部材10よりも大きく、180~250W/mK(好ましくは、230W/mK程度)の範囲内が望ましい。
【0034】
接合層30は、セラミックス部材10の下面12とベース部材20との間に配置され、セラミックス部材10とベース部材20とを接合している。この接合層30を介して、セラミックス部材10の下面12とベース部材20とが熱的に接続されている。接合層30は、例えばシリコーン系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の接着材により構成されている。なお、接合層30の厚さ(Z軸方向の寸法)は、例えば0.1~1.0mm程度である。また、接合層30の熱伝導率は、例えば1.0W/mKである。なお、接合層30(シリコーン系樹脂を想定)の熱伝導率は、0.1~2.0W/mK(好ましくは、0.5~1.5W/mK)の範囲内が望ましい。
【0035】
<半導体ウエハの均熱性を向上させる手段について>
次に、半導体ウエハWの均熱性を向上させる手段について説明する。
【0036】
図5に示すように、セラミックス部材10の保持面11において、凸部14と環状凸部13の領域では、半導体ウエハWが直接接しているので、半導体ウエハWとセラミックス部材10との間で熱移動が起こり易い。一方、凸部14と環状凸部13以外の領域、すなわち、凹部15の領域では、不活性ガスが充填されているが、半導体ウエハWが直接接していないので、半導体ウエハWとセラミックス部材10との間で熱移動が起こり難い。そのため、従来では、凸部14と環状凸部13の領域から半導体ウエハWへヒータ層17の熱が伝わり易い一方で、凹部15の領域からヘリウムガスを介して半導体ウエハWへヒータ層17の熱が伝わり難かった。したがって、半導体ウエハWの温度分布が悪化して、半導体ウエハWの均熱性が低下するおそれがあった。
【0037】
そこで、本実施形態では、セラミックス部材10の内部の構造を工夫して、半導体ウエハWの均熱性を向上させている。
【0038】
具体的には、
図4に示すように、セラミックス部材10は、その内部の凸部14と凹部15の下方にて、XY面方向に配列されるようにして、内部電極部18の内部電極41を有する第1の領域10aと、内部電極41を有さない第2の領域10bと、を備えている。すなわち、セラミックス部材10は、内部電極41が形成される第1の領域10aと、貫通孔42が形成される第2の領域10bと、を備えている。このようにして、Z軸方向から見たときに、セラミックス部材10は、第1の領域10aと第2の領域10bとを備えている。
【0039】
そして、
図4に示すように、凸部14の下方(下面12方向)の位置に、第2の領域10b、すなわち、貫通孔42が配置されている。このようにして、セラミックス部材10をZ軸方向(
図4の上方)から見たときに、凸部14が、貫通孔42と重なっている。
【0040】
本実施形態では、このように凸部14の下方に貫通孔42が配置されるため、凸部14の下方に、内部電極41が存在しない部分、すなわち、内部電極41を形成する金属よりも熱伝導率の低いセラミックで形成される部分が形成され、ヒータ層17から凸部14への熱伝達が抑制される。そのため、凸部14と半導体ウエハWとの間の熱移動が抑制される。したがって、保持している半導体ウエハWにおいて、凸部14と接触する部分と、それ以外の部分との温度差を小さくすることができ、半導体ウエハWの均熱性を向上させることができる。
【0041】
ここで、
図4に示す例では、セラミックス部材10の径方向(すなわち、
図4ではX軸方向)について、各凸部14の全領域の下方に、貫通孔42が配置されている。このようにして、Z軸方向から見たときに、各凸部14の全領域を孔内に含むように貫通孔42が形成されており、各凸部14の全領域が貫通孔42と重なっている。これにより、各凸部14の全領域において熱移動が抑制されるため、保持している半導体ウエハWにおいて、凸部14と接触する部分と、それ以外の部分との温度差をより一層小さくすることができる。これにより、半導体ウエハWの均熱性をより一層向上させることができる。
【0042】
また、貫通孔42は凸部14のすべてに対して1対1で形成されており、Z軸方向から見たときに、複数の凸部14のすべてが、貫通孔42と重なっている。すなわち、すべての凸部14の総面積の100%に対して、貫通孔42が形成されている。これにより、複数の凸部14のすべてに対して貫通孔42が形成されることにより、すべての凸部14と半導体ウエハWとの熱移動が抑制されるため、保持している半導体ウエハWにおいて、凸部14と接触する部分と、それ以外の部分との温度差をより小さくすることができる。これにより、半導体ウエハWの均熱性をより向上させることができる。
【0043】
また、1つの凸部14の面積よりも大きい貫通孔42としてもよい。これにより、セラミックス部材10の製作時における凸部14と貫通孔42の位置ずれにも対応できる。但し、貫通孔42の面積が大きすぎると、凹部15の下方まで貫通孔42が設けられてしまうことになり、本願の半導体ウエハWの均熱性を向上させる効果が低減してしまうので、貫通孔42の面積の大きさには上限がある。例えば、1つの凸部14の径が1mmならば、貫通孔42の外周が凸部14の外周よりも1mm以下の範囲内で外側に形成されるような貫通孔42の面積の大きさを上限とする。
【0044】
さらに、
図4に示すように、セラミックス部材10の径方向について環状凸部13の内周面13aの位置、または、その位置よりもわずかに内側の位置に、内部電極部18の外周部18aが形成されている。これにより、凸部14と同様に、環状凸部13の下方の位置に、内部電極41が存在していない。このようにして、Z軸方向から見たときに、環状凸部13は、第1の領域10a、すなわち、内部電極41と重なっていない。なお、ヒータ層17は、環状凸部13の下方にも配置されている。
【0045】
このようにして、環状凸部13の下方に内部電極41が存在していないため、環状凸部13の下方に、内部電極41を形成する金属よりも熱伝導率の低いセラミックで形成される部分が形成され、ヒータ層17から環状凸部13への熱伝達が抑制される。そのため、環状凸部13と半導体ウエハWとの間の熱移動も抑制される。したがって、保持している半導体ウエハWにおいて、凸部14及び環状凸部13と接触する部分と、それ以外の部分との温度差を小さくすることができる。これにより、半導体ウエハWの外周部分においても、均熱性を向上させることができる。
【0046】
また、Z軸方向から見たときに、凸部14の少なくとも一部が貫通孔42と重なっていればよく、凸部14の全領域ではなくその一部が貫通孔42と重なっていてもよい。
【0047】
また、Z軸方向から見たときに、複数の凸部14のすべてが貫通孔42の少なくとも一部と重なっていればよく、複数の凸部14のすべてが貫通孔42の一部と重なっていてもよい。例えば、貫通孔42は、すべての凸部14の総面積の30%以上に対して形成されていることが好ましく、より好ましくはすべての凸部14の総面積の50%以上に対して形成されているとよい。具体的な一例として、すべての凸部14の総面積の50%の範囲に貫通孔42が形成されている場合には、2個の凸部14のうちの1個の凸部14の全体に、または、2個の凸部14の個々の凸部14の半分ずつに、貫通孔42が形成されていてもよい。
【0048】
また、貫通孔42は、その中心軸がZ軸方向に対して斜めになるようにして、斜めに形成されていてもよい。この場合、Z軸方向から見たときに、凸部14の少なくとも一部が、貫通孔42のZ軸方向で貫通している部分と重なっているようにする。
【0049】
また、貫通孔42は、Z軸方向から見たときに、線状の孔に形成されていてもよいが、丸孔に形成されている方が半導体ウエハWの均熱性の向上を図る点でより好ましい。
【0050】
また、Z軸方向から見たときに、リフトピン用の貫通孔等を囲むように形成された環状の凸部(不図示、本開示の「凸部」の一例)の少なくとも一部が、内部電極部18の第2の領域10b、すなわち、貫通孔42と重なっていてもよい。
【0051】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0052】
1 静電チャック
10 セラミックス部材
10a 第1の領域
10b 第2の領域
11 保持面
12 下面
13 環状凸部
13a 内周面
14 凸部
15 凹部
16 ガス孔
17 ヒータ層
18 内部電極部
18a 外周部
20 ベース部材
30 接合層
41 内部電極
42 貫通孔
W 半導体ウエハ
S 空間
Ca 中心軸