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特開2022-158507電動機用コイル、電動機用コイルの製造方法、及び電動機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158507
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】電動機用コイル、電動機用コイルの製造方法、及び電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/24 20060101AFI20221006BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20221006BHJP
   H02K 15/06 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H02K3/24 J
H02K15/04 Z
H02K15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063463
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】池見 健
(72)【発明者】
【氏名】磯部 真一
(72)【発明者】
【氏名】柳田 憲史
(72)【発明者】
【氏名】笠見 明子
(72)【発明者】
【氏名】新井 貴
(72)【発明者】
【氏名】中塚 怜志
【テーマコード(参考)】
5H603
5H615
【Fターム(参考)】
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB01
5H603CB03
5H603CC11
5H603CD04
5H603CD13
5H603CD22
5H603CE02
5H603CE05
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP14
5H615QQ03
5H615QQ12
(57)【要約】
【課題】容易に製造することが可能で、かつ小型化された電動機用コイル、電動機用コイルの製造方法、及び電動機を提供する。
【解決手段】電動機用コイルは、軸線回りに巻かれた導体からなるコイルと、体における互いに異なる巻き層に対応して設けられた複数の冷却部と、を備え、各冷却部は、各巻き層から径方向外側に突出する第1部分と、第1部分の先端から軸線方向一方側に向かって延びる第2部分と、を備え、第1部分は、軸線方向他方側に位置する第1部分ほど突出長が大きく、第2部分は、軸線方向他方側に位置する第1部分に対応する第2部分ほど径方向外側に位置しており、複数の第2部分は径方向に間隔をあけて重なるように配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに巻かれた導体からなるコイルと、
前記導体における互いに異なる巻き層に対応して設けられた複数の冷却部と、
を備え、
各前記冷却部は、
各前記巻き層から径方向外側に突出する第1部分と、
前記第1部分の先端から前記軸線方向一方側に向かって延びる第2部分と、を備え、
前記第1部分は、前記軸線方向他方側に位置する前記第1部分ほど突出長が大きく、
前記第2部分は、前記軸線方向他方側に位置する前記第1部分に対応する前記第2部分ほど径方向外側に位置しており、
複数の前記第2部分の少なくとも一部は径方向に間隔をあけて重なるように配置されている
電動機用コイル。
【請求項2】
前記軸線方向一方側に位置する前記第1部分に対応する前記第2部分ほど前記軸線方向一方側に突出している請求項1に記載の電動機用コイル。
【請求項3】
前記コイルと前記冷却部の表面に形成された絶縁層をさらに備える請求項1又は2に記載の電動機用コイル。
【請求項4】
前記第1部分を径方向に貫通する通風孔、及び前記第2部分を周方向に貫通する他の通風孔の少なくとも一方が形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の電動機用コイル。
【請求項5】
前記第2部分には開口部が形成され、該開口部の少なくとも一部を覆うフィン部を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の電動機用コイル。
【請求項6】
互いに隣り合う前記第2部分同士を接続するリブをさらに備える請求項1から5のいずれか一項に記載の電動機用コイル。
【請求項7】
複数の前記第2部分の前記軸線方向一方側の端部を覆うとともに、ハウジングに連結された連結部をさらに備える請求項1から6のいずれか一項に記載の電動機用コイル。
【請求項8】
永久磁石を有するロータと、
該ロータを外周側から覆うように環状に連結された複数のステータコアと、
該ステータコアが前記コイルの内周側に挿通されている請求項1から7のいずれか一項に記載の電動機用コイルと、
を備える電動機。
【請求項9】
軸線回りに巻かれた導体からなるコイルと、
前記導体における互いに異なる巻き層に対応して設けられた複数の冷却部と、
を備え、
各前記冷却部は、
各前記巻き層から径方向外側に突出する第1部分と、
前記第1部分の先端から前記軸線方向一方側に向かって延びる第2部分と、を備え、
前記第1部分は、前記軸線方向他方側に位置する前記第1部分ほど突出長が大きく、
前記第2部分は、前記軸線方向他方側に位置する前記第1部分に対応する前記第2部分ほど径方向外側に位置しており、
複数の前記第2部分の少なくとも一部は径方向に間隔をあけて重なるように配置されている電動機用コイルの製造方法であって、
前記コイルと前記冷却部とを積層造形によって一体に形成する工程を含む電動機用コイルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動機用コイル、電動機用コイルの製造方法、及び電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機(モータ)のコイルを形成する線材は一般的に樹脂等の絶縁被膜で覆われている。コイルに通電することで当該コイルが発熱し、絶縁被膜が劣化することがある。そこで、下記特許文献1に例示されるように、コイルの巻き線の一部を延長させて張り出し部を形成し、冷却フィンとして機能させる構成が提唱されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-163377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の冷却フィンを形成するように線を安定的に巻くことは非常に難しい。また、冷却フィンが大きく張り出していることから、電動機の寸法体格が大きくなってしまうという課題もある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、容易に製造することが可能で、かつ小型化された電動機用コイル、電動機用コイルの製造方法、及び電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る電動機用コイルは、軸線回りに巻かれた導体からなるコイルと、前記導体における互いに異なる巻き層に対応して設けられた複数の冷却部と、を備え、各前記冷却部は、各前記巻き層から径方向外側に突出する第1部分と、前記第1部分の先端から前記軸線方向一方側に向かって延びる第2部分と、を備え、前記第1部分は、前記軸線方向他方側に位置する前記第1部分ほど突出長が大きく、前記第2部分は、前記軸線方向他方側に位置する前記第1部分に対応する前記第2部分ほど径方向外側に位置している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、容易に製造することが可能で、かつ小型化された電動機用コイル、電動機用コイルの製造方法、及び電動機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る電動機の構成を示す断面図である。
図2】本開示の実施形態に係る電動機用コイルの構成を示す断面図である。
図3】本開示の実施形態に係る電動機用コイルの構成を示す正面図である。
図4】本開示の実施形態に係る電動機用コイルを内周側から見た図である。
図5】本開示の実施形態に係る電動機の製造方法の各工程を示すフローチャートである。
図6】本開示の実施形態に係る冷却部の変形例を示す図である。
図7】本開示の実施形態に係る電動機用コイルの変形例を示す要部拡大図である。
図8】本開示の実施形態に係る電動機用コイルのさらなる変形例を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(電動機の構成)
以下、本開示の実施形態に係る電動機100について、図1から図4を参照して説明する。図1に示すように、電動機100は、ロータ1と、ステータ2と、ハウジング3と、を備えている。ロータ1は、主軸線O1に沿って延びる円柱状をなしている。詳しくは図示しないが、ロータ1の内部には永久磁石が周方向に複数配列されている。又は、ロータ1の外周面に円筒形状の磁石を取り付ける構成を採ることも可能である。ロータ1は主軸線O1回りに回転可能に支持されている。
【0010】
ステータ2は、ロータ1を外周側から覆っている。ステータ2は、主軸線O1を中心とする環状をなしている。ステータ2は、複数のステータコア26(後述)を周方向に連結することによって構成されている。ステータコア26、及び電動機用コイル20の構成については後述する。ハウジング3は、このステータ2を外周側から覆っている。ステータ2はハウジング3の内周面に対して焼き嵌め等によって固定されている。
【0011】
(電動機用コイルの構成)
次に、図2から図4を参照して電動機用コイル20の構成について説明する。図2に示すように、電動機用コイル20は、コイル軸線O2を中心として巻かれた2つのコイル(内周側コイル22、及び外周側コイル24)と、これらコイルにそれぞれ設けられた冷却部23、及び冷却部25と、ステータコア26と、を有している。
【0012】
コイル軸線O2は、上述した主軸線O1の径方向に延びている。内周側コイル22はこのコイル軸線O2方向における径方向内側に位置し、外周側コイル24はこのコイル軸線O2方向における径方向外側に位置している。図4に示すように、これら内周側コイル22、及び外周側コイル24は、コイル軸線O2方向から見て矩形又は円形の環状をなすように巻かれている。また、詳しくは図示しないが、これら内周側コイル22と外周側コイル24は互いに電気的に接続されている。内周側コイル22と外周側コイル24は互いに同等の寸法を有している。また、内周側コイル22と外周側コイル24は導体で形成されている。
【0013】
図2に示すように、内周側コイル22には、一対の冷却部23が一体に設けられている。一方の冷却部23は、内周側コイル22における主軸線O1方向の一方側に設けられ、他方の冷却部23は内周側コイル22における主軸線O1方向の他方側に設けられている。
【0014】
冷却部23は、内周側コイル22からコイル軸線O2の径方向外側に向かって突出する第1部分23aと、この第1部分23aの先端からコイル軸線O2方向一方側に向かって延びる第2部分23bとを有している。これにより、冷却部23はL字状の断面形状を有している。また、図3に示すように、第2部分23bは主軸線O1方向から見て矩形である。さらに、図4に示すように、第1部分23a、及び第2部分23bの少なくとも一方には、1つ、又は複数(図4中では第1部分23aに一例として3つの通風孔hが形成されている。)の通風孔hが形成されている。これら通風孔hは、主軸線O1方向に互いに間隔をあけて配列されている。
【0015】
再び図2に示すように、外周側コイル24には、一対の冷却部25が一体に設けられている。一方の冷却部25は、外周側コイル24における主軸線O1方向の一方側に設けられ、他方の冷却部25は外周側コイル24における主軸線O1方向の他方側に設けられている。つまり、上述した内周側コイル22の冷却部23と、この冷却部25とは、一例としてコイル軸線O2に対する周方向の同一位置に設けられている。なお、冷却部23と冷却部25は、その少なくとも一部同士が軸線O2に対する周方向に互いに重なっていればよい。
【0016】
冷却部25は、外周側コイル24からコイル軸線O2の径方向外側に向かって突出する第1部分25aと、この第1部分25aの先端からコイル軸線O2方向一方側に向かって延びる第2部分25bとを有している。これにより、冷却部25はL字状の断面形状を有している。また、図3に示すように、第2部分25bは主軸線O1方向から見て矩形である。さらに、詳しくは図示しないが、第1部分23aと同様に、第1部分25aには、複数(一例として3つ)の通風孔hが形成されている。なお、第2部分25bに同様の通風孔hが形成されていてもよい。また、通風孔hの数は1つでもよいし、複数でもよい。これら通風孔hは、主軸線O1に対する周方向に間隔をあけて配列されている。また、第1部分23aの通風孔hと第1部分25aの通風孔hは、コイル軸線O2方向から見て互いに重なっている。
【0017】
このように構成された冷却部23、25では、図2に示すように、コイル軸線O2方向の他方側(つまり、主軸線O1に対する径方向内側)に位置する冷却部23の第1部分23aの方が、コイル軸線O2方向の一方側に位置する冷却部25の第1部分25aよりも突出長が大きい。言い換えれば、第1部分23aは、第1部分25aよりもコイル軸線O2に対する径方向の長さが大きい。また、コイル軸線O2の他方側に位置する第1部分23aに対応する第2部分23bの方が径方向外側に位置している。
【0018】
さらに、図2図3に示すように、冷却部23の第2部分23bと、冷却部25の第2部分25bの少なくとも一部は、コイル軸線O2に対する径方向に重なっている。また、冷却部23の第2部分23bよりも、冷却部25の第2部分25bの方が、コイル軸線O2方向の一方側に突出している。したがって、コイル軸線O2の径方向から見た場合、冷却部25の第2部分25bの少なくとも一部が露出している。
【0019】
また、上記の内周側コイル22、外周側コイル24、冷却部23、及び冷却部25の表面にはエナメル樹脂等によって形成された薄膜状の絶縁層が設けられている。
【0020】
(ステータコアの構成)
次いで、図3を参照してステータコア26の構成について説明する。ステータコア26は、矩形、又は円形の環状をなす内周側コイル22、及び外周側コイル24の内周側に挿通されている。ステータコア26は、ヨーク部26aと、ティース26bと、先端部26cと、を有している。ヨーク部26aのコイル軸線O2方向の一方側の面(周面26s)は、円弧状の断面形状を有している。これにより、複数のステータコア26を連結した際に、周面26sが連続することで円筒面を形成する。
【0021】
ティース26bは、ヨーク部26aからコイル軸線O2方向他方側に向かって突出している。ティース26bは、コイル軸線O2方向から見てヨーク部26aよりも小さな断面積を有している。ティース26bには内周側コイル22、及び外周側コイル24が巻かれている。ティース26bのコイル軸線O2方向他方側には先端部26cが設けられている。先端部26cは、コイル軸線O2に対する径方向に張り出している。これにより、内周側コイル22、及び外周側コイル24がティース26bから脱落不能に保持されている。
【0022】
(電動機の製造方法)
次いで、図5を参照して電動機100の製造方法(及び、電動機用コイル20の製造方法)について説明する。同図に示すように、電動機100の製造方法は、積層造形によって内周側コイル22、外周側コイル24、冷却部23、及び冷却部25を製造するステップS1と、ステータコア26を内周側コイル22、及び外周側コイル24に装着するステップS2と、複数のステータコア26を連結するステップS3と、ロータ1を取り付けるステップS4と、を含む。
【0023】
ステップS1では、Additive Modelling造形法(AM造形法)によって、微粉状の金属を積層・硬化させて内周側コイル22、外周側コイル24、冷却部23、及び冷却部25の所定の形状を得る。その後、上述した絶縁層を内周側コイル22、外周側コイル24、冷却部23、及び冷却部25の表面に形成する。ステップS2では、ステータコア26のティース26bと先端部26cをヨーク部26aから取り外した上で、ティース26bに内周側コイル22、及び外周側コイル24を装着する。これにより、電動機用コイル20が完成する。ステップS3では、複数の電動機用コイル20のステータコア26を主軸線O1の周方向に連結して環状のステータ2を形成する。最後にステップS4では、ステータ2にロータ1を挿通する。以上により、電動機100の製造方法に係る全工程が完了する。
【0024】
(作用効果)
次いで、電動機100の動作の一例について説明する。電動機100を動作させるに当たってはまず、内周側コイル22、及び外周側コイル24に外部から電流を供給する。これにより、これら内周側コイル22、及び外周側コイル24の周囲に磁界が形成される。この磁界と、ロータ1に内蔵された永久磁石の磁界との相互作用によって電磁力が発生する。この電磁力に基づいて、ロータ1は主軸線O1回りに回転する。
【0025】
ここで、電動機100の運転に伴って、内周側コイル22、及び外周側コイル24は発熱する。発熱が進行すると絶縁層が破壊され、電動機100の安定的な運用に影響が及ぶ可能性がある。そこで、本実施形態では上述のように冷却部23、及び冷却部25が設けられている。
【0026】
上記構成によれば、冷却部23、及び冷却部25によって内周側コイル22、及び外周側コイル24の熱を逃がし、温度上昇を回避することができる。さらに、それぞれの冷却部23、25が第1部分23a、25aと第2部分23b、25bとによってL字状になるように形成されている。また、複数の第2部分23b、25bが径方向に重なるように配置されている。これにより、コイル軸線O2方向から見た場合の冷却部23、25の専有面積が削減され、電動機用コイル20を小型化することができる。
【0027】
さらに、上記構成によれば、複数の第2部分23b、25bのうちの少なくとも一部が互いに重複していないことから、例えば外部からファン等によって冷却部23、25に対して送風を行う際に、全ての第2部分23b、25bに対して当該送風を接触させることができる。これにより、より効率的に冷却を行うことができる。
【0028】
また、上記構成によれば、絶縁層が設けられていることで、冷却部23、25同士が電気的に絶縁される。これにより、冷却部23、25同士の間の間隔を可能な限り小さくすることができる。その結果、電動機用コイル20をさらに小型化することができる。
【0029】
加えて、上記構成によれば、第1部分23a、25aに通風孔hが形成されていることで、例えば外部からファン等によって送風する際に、当該通風孔hを通じて送風を各冷却部23、25に行き渡らせることができる。これにより、さらに効率的に冷却することができる。なお、上記のファンの実装例として、ロータ1の主軸線O1方向の端面に複数の羽根を設けてファンを構成する例が考えられる。
【0030】
また、上記の製造方法によれば、内周側コイル22、外周側コイル24、及び冷却部23、25が積層造形によって一体に形成されることから、より容易かつ短時間で電動機用コイル20を製造することができる。
【0031】
以上、本開示の実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記実施形態では、内周側コイル22、及び外周側コイル24からなる2層のコイルを形成した例について説明した。しかしながら、コイルの数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0032】
また、上記実施形態で説明した冷却部23、25の変形例として、図6に示すような構成を採ることが可能である。同図の例では、第2部分23b、25bに、開口部Aと、フィン部27が形成されている。開口部Aは、第2部分23b、25bを貫通している。フィン部27は、この開口部Aの端縁から張り出すことで、当該開口部Aの少なくとも一部を覆っている。この構成によれば、第2部分23b、25bに形成された開口部Aとフィン部27とによって、当該第2部分23b、25bの排熱効率が向上する。これにより、より早期にコイルの熱を逃がすことができる。
【0033】
さらに、他の変形例として図7に示すように、第2部分23b、25b同士をコイル軸線O2の径方向に接続するリブ28を設けることも可能である。この構成によれば、第2部分23b、25b同士がリブ28で接続されていることから、例えば振動が生じた際に第2部分23b、25b同士が接触する可能性を低減することができる。これにより、騒音を抑制することができる。
【0034】
加えて、さらなる変形例として図8に示すように、2つの第2部分23b、25bのコイル軸線O2方向一方側の端部を覆うとともに、ハウジング3に連結された連結部29をさらに備える構成を採ることも可能である。連結部29は熱伝導性の高い樹脂や金属によって一体に形成されている。この構成によれば、連結部29を通じて第2部分23b、25bの熱をハウジング3に逃がすことができる。その結果、電動機100の冷却をさらに効率的に行うことができる。
【0035】
<付記>
各実施形態に記載の電動機用コイル20、電動機用コイル20の製造方法、及び電動機100は、例えば以下のように把握される。
【0036】
(1)第1の態様に係る電動機用コイル20は、軸線(コイル軸線O2)回りに巻かれた導体からなるコイル(内周側コイル22、外周側コイル24)と、前記導体における互いに異なる巻き層に対応して設けられた複数の冷却部23、25と、を備え、各前記冷却部23、25は、各前記巻き層から径方向外側に突出する第1部分23a、25aと、前記第1部分23a、25aの先端から前記軸線方向一方側に向かって延びる第2部分23b、25bと、を備え、前記第1部分23a、25aは、前記軸線方向他方側に位置する前記第1部分23a、25aほど突出長が大きく、前記第2部分23b、25bは、前記軸線方向他方側に位置する前記第1部分23a、25aに対応する前記第2部分23b、25bほど径方向外側に位置しており、複数の前記第2部分23b、25bの少なくとも一部は径方向に間隔をあけて重なるように配置されている。
【0037】
上記構成によれば、冷却部23、25によってコイルの熱を逃がし、温度上昇を回避することができる。さらに、それぞれの冷却部23、25が第1部分23a、25aと第2部分23b、25bとによって形成されている。また、複数の第2部分23b、25bが径方向に重なるように配置されている。これにより、冷却部23、25の専有面積が削減され、電動機用コイル20を小型化することができる。
【0038】
(2)第2の態様に係る電動機用コイル20では、前記軸線方向一方側に位置する前記第1部分23a、25aに対応する前記第2部分23b、25bほど前記軸線方向一方側に突出している。
【0039】
上記構成によれば、複数の第2部分23b、25bのうちの少なくとも一部が互いに重複していないことから、例えば外部からファン等によって冷却部23、25に対して送風を行う際に、全ての第2部分23b、25bに対して当該送風を接触させることができる。これにより、より効率的にコイルを冷却することができる。
【0040】
(3)第3の態様に係る電動機用コイル20は、前記コイルと前記冷却部23、25の表面に形成された絶縁層をさらに備える。
【0041】
上記構成によれば、絶縁層が設けられていることで、冷却部23、25同士が電気的に絶縁される。これにより、冷却部23、25同士の間の間隔を小さくすることが可能となる。その結果、電動機用コイル20をさらに小型化することができる。
【0042】
(4)第4の態様に係る電動機用コイル20では、前記第1部分23a、25aを径方向に貫通する通風孔h、及び前記第2部分23b、25bを周方向に貫通する他の通風孔hの少なくとも一方が形成されている。
【0043】
上記構成によれば、第1部分23a、25a、及び第2部分23b、25bの少なくとも一方に通風孔が形成されていることで、例えば外部からファン等によって送風する際に、当該通風孔hを通じて送風を各冷却部23、25に行き渡らせることができる。これにより、コイルをさらに効率的に冷却することができる。
【0044】
(5)第5の態様に係る電動機用コイル20では、前記第2部分23b、25bには開口部Aが形成され、該開口部Aの少なくとも一部を覆うフィン部27を有する。
【0045】
上記構成によれば、第2部分23b、25bに形成された開口部Aとフィン部27とによって、当該第2部分23b、25bの排熱効率が向上する。これにより、より早期にコイルの熱を逃がすことができる。
【0046】
(6)第6の態様に係る電動機用コイル20は、互いに隣り合う前記第2部分23b、25b同士を接続するリブ28をさらに備える。
【0047】
上記構成によれば、第2部分23b、25b同士がリブ28で接続されていることから、例えば振動が生じた際に第2部分23b、25b同士が接触する可能性を低減することができる。これにより、騒音を抑制することができる。
【0048】
(7)第7の態様に係る電動機用コイル20では、複数の前記第2部分23b、25bの前記軸線方向一方側の端部を覆うとともに、ハウジング3に連結された連結部29をさらに備える。
【0049】
上記構成によれば、連結部29を通じて第2部分23b、25bの熱をハウジング3に逃がすことができる。
【0050】
(8)第8の態様に係る電動機100は、永久磁石を有するロータ1と、該ロータ1を外周側から覆うように環状に連結された複数のステータコア26と、該ステータコア26が前記コイルの内周側に挿通されている上記いずれか一の態様に係る電動機用コイル20と、を備える。
【0051】
上記構成によれば、より小型化されるとともに、冷却効率が向上した電動機100を提供することができる。
【0052】
(9)第9の態様に係る電動機用コイル20の製造方法は、軸線(コイル軸線O2)回りに巻かれた導体からなるコイル(内周側コイル22、外周側コイル24)と、前記導体における互いに異なる巻き層に対応して設けられた複数の冷却部23、25と、を備え、各前記冷却部23、25は、各前記巻き層から径方向外側に突出する第1部分23a、25aと、前記第1部分23a、25aの先端から前記軸線方向一方側に向かって延びる第2部分23b、25bと、を備え、前記第1部分23a、25aは、前記軸線方向他方側に位置する前記第1部分23a、25aほど突出長が大きく、前記第2部分23b、25bは、前記軸線方向他方側に位置する前記第1部分23a、25aに対応する前記第2部分23b、25bほど径方向外側に位置しており、複数の前記第2部分23b、25bの少なくとも一部は径方向に間隔をあけて重なるように配置されている電動機用コイル20の製造方法であって、前記コイルと前記冷却部23、25とを積層造形によって一体に形成する工程(ステップS1)を含む。
【0053】
上記構成によれば、コイルと冷却部23、25とが積層造形によって一体に形成されることから、より容易かつ短時間で電動機用コイル20を製造することができる。
【符号の説明】
【0054】
100 電動機
1 ロータ
2 ステータ
3 ハウジング
20 電動機用コイル
22 内周側コイル
23 冷却部
23a 第1部分
23b 第2部分
24 外周側コイル
25 冷却部
25a 第1部分
25b 第2部分
26 ステータコア
26a ヨーク部
26b ティース
26c 先端部
27 フィン部
28 リブ
29 連結部
A 開口部
h 通風孔
O1 主軸線
O2 コイル軸線
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8