(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158519
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
B60L 7/18 20060101AFI20221006BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20221006BHJP
B60L 58/15 20190101ALI20221006BHJP
【FI】
B60L7/18
B60L50/60
B60L58/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063487
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】堀元 成樹
(72)【発明者】
【氏名】平井 明
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125BC14
5H125CA01
5H125CB02
5H125EE27
5H125EE52
(57)【要約】
【課題】駆動モータの回生運転の制限により車速が急激に変化することを抑制できる、制御装置を提供する。
【解決手段】ハイブリッド車両の車速が第1車速以上であるときには、電池のSOCが上限値よりも低い値に設定された制限開始値以上に上昇すると、駆動モータの回生運転が制限される。具体的には、電池のSOCが制限開始値未満である間は、回生トルクの目標値がハイブリッド車両の減速度の目標に応じた値に設定され、駆動モータの回生運転は制限されない。電池のSOCが制限開始値から上限値までの範囲に含まれる領域では、SOCが上昇するにつれて、回生トルクの目標値が小さい値に設定される。これにより、電池のSOCが制限開始値に達してから上限値に達するまでは、SOCが上昇するにつれて、駆動モータの回生運転により発生する回生トルクが小さくなるよう、駆動モータの回生運転が制限される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
力行運転により走行駆動系に伝達される動力を発生し、回生運転により前記走行駆動系の動力で発電する駆動モータと、前記駆動モータの力行運転に使用する電力を蓄える駆動用バッテリとを搭載した電動車両に用いられる制御装置であって、
前記電動車両の減速時に、前記駆動モータを回生運転させ、
前記駆動モータが回生運転により出力する電力を前記電池に充電させ、
前記駆動モータの回生運転時に、前記電池の充電状態を表す充電状態値が前記電池への充電が禁止される上限値よりも低い制限開始値以上に上昇した場合、前記制限開始値から前記上限値までの範囲で前記充電状態値が上昇するにつれて、前記駆動モータが回生運転により出力する回生トルクが小さくなるように、前記駆動モータの回生運転を制限する、制御装置。
【請求項2】
前記電動車両の車速が大きいほど、前記充電状態値の上昇量に対する前記回生トルクの低下量の比が小さくなるように、前記駆動モータの回生運転を制限する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記電動車両の車速が所定値以下であるときには、前記制限開始値を前記上限値に設定し、前記充電状態値が前記上限値に上昇したことに応じて、前記駆動モータの回生運転を停止する、請求項1または2に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両(HV:Hybrid Vehicle)などの電動車両に用いられる制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両や電気自動車(EV:Electric Vehicle)などの電動車両には、走行用の動力を発生する駆動モータと、駆動モータで使用される電力を蓄える電池(バッテリ)とが搭載されている。
【0003】
電動車両の加速時には、電池の出力で駆動モータが力行運転されて、駆動モータの動力が駆動輪に伝達される。一方、電動車両の減速時には、駆動モータが回生運転されることにより、駆動輪から駆動モータに伝達される動力が電力に変換され、その電力が電池に充電される。また、駆動モータが走行駆動系に対して抵抗となる負の回生トルクを出力し、その回生トルクが制動力として走行駆動系に作用する。
【0004】
ところが、電池には、使用範囲が電池の充電容量に対する充電残量の比率であるSOC(State Of Charge)の範囲として設けられており、駆動モータの回生運転中に電池のSOCが使用範囲の上限に達すると、それ以上の電池の充電が行われないように、駆動モータの回生運転が停止される。これに伴い、駆動モータが回生運転により出力する回生トルクが急速に低下し、ハイブリッド車両の車速(減速度)が急激に変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、駆動モータの回生運転の制限により車速が急激に変化することを抑制できる、制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明に係る制御装置は、力行運転により走行駆動系に伝達される動力を発生し、回生運転により走行駆動系の動力で発電する駆動モータと、駆動モータの力行運転に使用する電力を蓄える駆動用バッテリとを搭載した電動車両に用いられる制御装置であって、電動車両の減速時に、駆動モータを回生運転させ、駆動モータが回生運転により出力する電力を電池に充電させ、駆動モータの回生運転時に、電池の充電状態を表す充電状態値が電池への充電が禁止される上限値よりも低い制限開始値以上に上昇した場合、制限開始値から上限値までの範囲で充電状態値が上昇するにつれて、駆動モータが回生運転により出力する回生トルクが小さくなるように、駆動モータの回生運転を制限する。
【0008】
この構成によれば、電動車両の減速時には、駆動モータが回生運転される。その回生運転により、走行駆動系の動力が電力に変換され、走行駆動系に対して抵抗となる負の回生トルクが駆動モータから出力される。駆動モータが出力する電力は、電池に充電される。そのため、電池の充電状態を表す充電状態値が上昇する。充電状態値が電池への充電が禁止される上限値よりも低い制限開始値以上に上昇した場合、駆動モータの回生運転が制限されることにより、充電状態値が制限開始値から上限値に向けてさらに上昇するにつれて、駆動モータから走行駆動系に付与される回生トルクが小さくなる。これにより、駆動モータの回生運転の制限による回生トルクの急速な低下を抑制でき、電動車両の車速が急激に変化(電動車両の減速度が急激に低下)することを抑制できる。その結果、電動車両の車速の急激な変化を抑制できながら、できる限りの回生エネルギ(回生電力、回生トルク)を取得することができる。
【0009】
電動車両の車速が大きいほど、充電状態値の上昇量に対する回生トルクの低下量の比が小さくなるように、駆動モータの回生運転を制限してもよい。
【0010】
言い換えれば、電動車両の車速が大きいほど長い時間をかけて、回生トルクが0まで減少するように、駆動モータの回生運転を制限してもよい。
【0011】
これにより、電動車両の車速が大きいほど、回生トルクを緩やかに低下させることができる。
【0012】
電動車両の車速が所定値以下であるときには、制限開始値を上限値に設定し、充電状態値が上限値に上昇したことに応じて、駆動モータの回生運転を停止してもよい。
【0013】
電動車両の車速が低いときには、回生トルクの低下による車速の変化が小さいので、充電状態値が上限値に上昇するまで、駆動モータの回生運転を制限しないことにより、車速の急激な変化を生じることなく、より多くの回生エネルギを取得することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、駆動モータの回生運転の制限により車速が急激に変化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る制御装置が適用されたハイブリッド車両の要部の構成を示すブロック図である。
【
図2】ハイブリッド車両の車速が第1車速以上であるときの電池のSOCと回生トルクの目標値との関係を示す図である。
【
図3】ハイブリッド車両の車速が第2車速以下であるときの電池のSOCと回生トルクの目標値との関係を示す図である。
【
図4】ハイブリッド車両の車速が第1車速と第2車速との間であるときの電池のSOCと回生トルクの目標値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
<ハイブリッド車両の要部構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置が適用されたハイブリッド車両1の要部の構成を示すブロック図である。
【0018】
ハイブリッド車両1は、シリーズ方式のハイブリッドシステムを搭載した車両である。ハイブリッド車両1には、エンジン2、発電モータ(MG1)3および駆動モータ(MG2)4が搭載されている。
【0019】
エンジン2は、たとえば、3気筒4ストロークのレシプロエンジンである。エンジン2には、燃焼室への吸気量を調整するための電子スロットルバルブ、燃料を吸入空気に噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)および燃焼室内に電気放電を生じさせる点火プラグなどが設けられている。
【0020】
発電モータ3および駆動モータ4は、たとえば、永久磁石同期モータ(PMSM:Permanent Magnet Synchronous Motor)からなる。
【0021】
発電モータ3は、エンジン2の動力により発電を行う発電モータとして、たとえば、その回転軸がエンジン2のクランクシャフトと一体に回転するように設けられることにより、エンジン2に直結されている。
【0022】
駆動モータ4は、ハイブリッド車両1の走行用の動力を発生する駆動モータとして、その回転軸がハイブリッド車両1の走行駆動系に連結される。走行駆動系には、たとえば、デファレンシャルギヤ5が含まれており、デファレンシャルギヤ5のリングギヤ6には、駆動モータ4の回転軸に一体に回転するように設けられた駆動モータギヤ7が噛合している。駆動モータ4が発生する動力は、駆動モータギヤ7からデファレンシャルギヤ5のリングギヤ6に伝達され、デファレンシャルギヤ5から左右のドライブシャフト8を介して、左右の駆動輪9に伝達される。これにより、駆動輪9が回転し、ハイブリッド車両1が前進走行または後進走行する。
【0023】
また、ハイブリッド車両1には、電池(BAT)11およびPCU(Power Control Unit:パワーコントロールユニット)12が搭載されている。
【0024】
電池11は、複数の二次電池を組み合わせた組電池である。二次電池は、たとえば、リチウムイオン電池である。電池11は、たとえば、約200~150V(ボルト)の直流電力を出力する。
【0025】
PCU12は、発電モータ3および駆動モータ4の駆動を制御するためのユニットであり、インバータ13,14、コンバータ(CONV)15およびMGECU16を備えている。
【0026】
インバータ(INV1)13は、発電モータ3を駆動する三相電圧形インバータであり、2個のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)の直列回路をU相、V相およびW相の各相に対応して設け、それらの直列回路をプラス配線とマイナス配線との間に互いに並列に接続した構成を有している。インバータ13は、発電モータ3の力行運転時に、直流電力を交流電力に変換して、交流電力を発電モータ3に供給する。また、インバータ13は、発電モータ3の回生運転(発電運転)時に、発電モータ3で発生する交流電力を直流電力に変換する。
【0027】
インバータ(INV2)14は、駆動モータ4を駆動する三相電圧形インバータであり、インバータ13と同様に、2個のIGBTの直列回路をU相、V相およびW相の各相に対応して設け、それらの直列回路をプラス配線とマイナス配線との間に互いに並列に接続した構成を有している。インバータ14は、駆動モータ4の力行運転時に、直流電力を交流電力に変換して、交流電力を駆動モータ4に供給する。また、インバータ14は、駆動モータ4の回生運転(発電運転)時に、駆動モータ4で発生する交流電力を直流電力に変換する。
【0028】
コンバータ15は、発電モータ3および駆動モータ4の力行運転時に、電池11から出力される直流電力を昇圧してインバータ13,14に供給する。また、発電モータ3および駆動モータ4の回生運転時には、インバータ13,14から出力される直流電力を降圧して電池11に供給する。
【0029】
ハイブリッド車両1には、複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が搭載されており、MGECU16は、複数のECUのうちの1つである。各ECUは、マイコン(マイクロコントローラ)を備えており、マイコンには、たとえば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。複数のECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。
【0030】
複数のECUには、VCU(Vehicle Control Unit:車両制御ユニット)17が含まれている。VCU17は、ハイブリッド車両1の全体を統括的に制御するユニットである。VCU17には、ハイブリッド車両1の車速を検出する車速センサ21が接続されている。車速センサ21は、ハイブリッド車両1の走行に伴って回転する回転体の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力し、VCU17では、車速センサ21の検出信号から、その検出信号(パルス信号)の周波数が求められて、その周波数が車速に換算される。
【0031】
発電モータ3および駆動モータ4の制御では、VCU17からMGECU16にモータ制御指令が送信され、MGECU16により、そのモータ制御指令に従って、インバータ13,14およびコンバータ15の動作が制御される。
【0032】
ハイブリッド車両1では、エンジン2の始動時には、電池11から発電モータ3に電力が供給されて、発電モータ3が力行運転されることにより、エンジン2が発電モータ3によりモータリング(クランキング)される。モータリングによりエンジン2の回転数がファイアリングに必要な回転数まで上昇した状態で、エンジン2の点火プラグがスパークされると、エンジン2がファイアリングする。
【0033】
ハイブリッド車両1の走行時には、駆動モータ4が力行運転されて、駆動モータ4が動力を発生する。エンジン2が停止し、発電モータ3による発電が行われない状態で、電池11の出力で駆動モータ4が駆動されることにより、ハイブリッド車両1は、電気自動車としてEV(Electric Vehicle)走行する。また、エンジン2が運転状態(ファイアリング)にされて、発電モータ3が発電運転(回生運転)されながら、発電モータ3の出力(発電電力)と電池11の出力とを合わせた電力で駆動モータ4が駆動されることにより、ハイブリッド車両1は、HV走行する。
【0034】
ハイブリッド車両1の減速時には、駆動モータ4が回生運転されて、駆動輪から駆動モータ4に伝達される動力が交流電力に変換される。このとき、駆動モータ4が走行駆動系の抵抗となり、その抵抗がハイブリッド車両1を制動する制動力(回生制動力)として作用する。このときにも、駆動モータ4の発電電力が電池11に供給されることにより、電池11が充電される。
【0035】
<回生制限処理>
駆動モータ4の回生運転時には、VCU17により、駆動モータ4が発生する回生トルクの目標値が設定される。そして、その回生トルクの目標値に応じたモータ制御指令がVCU17からMGECU16に送信され、MGECU16により、そのモータ制御指令に従って、インバータ14の動作が制御される。
【0036】
図2は、ハイブリッド車両1の車速が第1車速以上であるときの電池11のSOCと回生トルクの目標値との関係を示す図である。
【0037】
駆動モータ4の回生運転時には、駆動モータ4の発生電力が電池11に充電されるので、電池11の充電容量に対する充電残量の比率であるSOC(State Of Charge)が増加する。電池11には、電池11の保護のため、使用範囲がSOCの範囲として設定されており、SOCが使用範囲の上限値に達すると、電池11への充電が禁止される。駆動モータ4の回生運転中に、回生トルクが制限されることなく、電池11のSOCが使用範囲の上限に達した場合、駆動モータ4の回生運転が停止されて、回生トルクが0まで急速に低下する。車速が大きいときに、回生トルクが0まで急速に低下すると、ハイブリッド車両1の減速度が急激に変化し、ドライバビリティが悪化するおそれがある。
【0038】
そのため、ハイブリッド車両1の車速が第1車速(たとえば、50km/h)以上であるときには、電池11のSOCが上限値よりも低い値に設定された制限開始値以上に上昇すると、駆動モータ4の回生運転が制限される。具体的には、電池11のSOCが制限開始値未満である間は、回生トルクの目標値がハイブリッド車両1の減速度の目標に応じた値に設定され、駆動モータ4の回生運転は制限されない。電池11のSOCが制限開始値から上限値までの範囲に含まれる領域では、SOCが上昇するにつれて、回生トルクの目標値が小さい値に設定される。
【0039】
これにより、電池11のSOCが制限開始値に達してから上限値に達するまでは、SOCが上昇するにつれて、駆動モータ4の回生運転により発生する回生トルクが小さくなり、駆動モータ4の回生運転の制限による回生トルクの急速な低下を抑制することができる。その結果、ハイブリッド車両1の車速が急激に変化(ハイブリッド車両1の減速度が急激に低下)することを抑制でき、ドライバビリティおよび安全性を確保できながら、できる限りの回生エネルギ(回生電力、回生トルク)を取得することができる。
【0040】
図3は、ハイブリッド車両1の車速が第2車速以下であるときの電池11のSOCと回生トルクの目標値との関係を示す図である。
【0041】
ハイブリッド車両1の車速が第1車速よりも低い第2車速(たとえば、30km/h)以下であるときには、制限開始値が設定されず、言い換えれば、制限開始値が上限値に設定される。そのため、電池11のSOCが上限値に上昇するまで、回生トルクの目標値がハイブリッド車両1の減速度の目標に応じた値に設定され、駆動モータ4の回生運転は制限されない。そして、電池11のSOCが上限値まで上昇すると、回生トルクの目標値が0に設定されて、駆動モータ4の回生運転が停止される。
【0042】
ハイブリッド車両1の車速が低いときには、回生トルクの低下による車速の変化が小さいので、電池11のSOCが上限値に上昇するまで、駆動モータ4の回生運転を制限しないことにより、車速の急激な変化を生じることなく、より多くの回生エネルギを取得することができる。
【0043】
図4は、ハイブリッド車両1の車速が第1車速と第2車速との間であるときの電池11のSOCと回生トルクの目標値との関係を示す図である。
【0044】
ハイブリッド車両1の車速が第1車速と第2車速との間であるときには、車速が大きいほど、制限開始値が低い値に設定される。これにより、電池11のSOCが制限開始値から上限値までの範囲に含まれる領域において、車速が大きいほど、電池11のSOCの上昇量に対する回生トルクの低下量の比が小さくなるように、駆動モータ4の回生トルクの目標値が設定される。言い換えれば、電池11のSOCが制限開始値から上限値までの範囲に含まれる領域において、車速が大きいほど長い時間をかけて、回生トルクが0まで減少するように、駆動モータ4の回生トルクの目標値が設定される。
【0045】
ハイブリッド車両1の車速が第1車速と第2車速との間であるときには、車速が大きいほど、回生トルクを緩やかに低下させることができる。その結果、ドライバビリティおよび安全性を確保することができる。
【0046】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0047】
たとえば、
図2および
図4では、電池11のSOCが制限開始値から上限値までの範囲に含まれる領域において、SOCの増減に対して回生トルクの目標値が線形に変化する例が示されているが、SOCの増加に対して回生トルクの目標値が単調に減少する関係であれば、SOCの増減に対して回生トルクの目標値が非線形に変化してもよい。
【0048】
また、発電モータ3は、エンジン2と直結されていなくてもよく、発電モータ3の回転軸とエンジン2のクランクシャフトとがギヤを介して連結されていてもよい。
【0049】
また、前述の実施形態では、電動車両の一例として、シリーズ方式のハイブリッドシステムを搭載したハイブリッド車両1を取り上げたが、電動車両は、シリーズ方式以外の方式のハイブリッドシステムを搭載したハイブリッド車両であってもよいし、モータを走行用の駆動源として搭載した電動車両であれば、エンジンを搭載していない電気自動車(EV:Electric Vehicle)であってもよい。
【0050】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1:ハイブリッド車両(電動車両)
4:駆動モータ
11:電池
17:VCU(制御装置)