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特開2022-158533ヘッドマウントディスプレイシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158533
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】ヘッドマウントディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20221006BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20221006BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20221006BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20221006BHJP
   G09G 5/22 20060101ALI20221006BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20221006BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20221006BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0969
G09G5/00 550C
G09G5/38 Z
G09G5/22 630Z
G09G3/20 680A
G09B29/10 A
G09B29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063503
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 偉凡
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5C080
5C182
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HC08
2C032HD07
2C032HD16
2F129AA06
2F129BB03
2F129BB26
2F129DD20
2F129EE22
2F129EE52
2F129EE73
2F129EE78
2F129EE80
2F129EE81
2F129EE85
2F129EE88
2F129FF12
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF37
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH15
5C080AA10
5C080EE26
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ07
5C080KK23
5C182AA03
5C182AB15
5C182AB34
5C182AC02
5C182AC04
5C182AC37
5C182BA02
5C182BA29
5C182BA35
5C182BC25
5C182CB41
5C182DA65
5C182FA11
5H181AA05
5H181AA15
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF05
5H181FF13
5H181FF24
5H181FF33
(57)【要約】
【課題】自転車や自動二輪車による走行中の経路案内において、適切な案内情報の提供が可能であり、かつ、案内情報以外の情報表示に関する利便性を確保することが可能なヘッドマウントディスプレイシステムを提供する。
【解決手段】このHMDシステム100は、HMD10と、目的地Pdへの案内情報120を含む経路情報112に基づいてHMD10を制御する制御部21と、を備える。HMD10は、目的地Pdへの案内情報120を表示する第1表示領域30Aと、案内情報120とは異なる情報を表示する第2表示領域30Bとを含む第1表示モードと、第1表示領域30Aと、第1表示領域30Aの案内情報120に続く案内情報120を予告表示する第3表示領域30Cとを含み、第3表示領域30Cが、第2表示領域30Bの少なくとも一部の代わりに表示される第2表示モードと、に切り替え表示可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地への経路案内を表示可能なヘッドマウントディスプレイと、
現在位置を取得し、目的地への少なくとも1つの案内情報を含む経路情報に基づいて前記ヘッドマウントディスプレイを制御する制御部と、を備え、
前記ヘッドマウントディスプレイは、
目的地への前記案内情報を表示する第1表示領域と、前記案内情報とは異なる情報を表示する第2表示領域とを含む第1表示モードと、
前記第1表示領域と、前記第1表示領域の前記案内情報に続く案内情報を予告表示する第3表示領域とを含み、前記第3表示領域が、前記第2表示領域の少なくとも一部の代わりに表示される第2表示モードと、
に切り替え表示可能に構成されている、ヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項2】
前記経路情報は、目的地へ至る一連の案内地点毎の、複数の前記案内情報を含み、
前記第1表示領域は、前記現在位置から直近の第1案内地点までの前記案内情報を表示し、
前記第3表示領域は、前記第1案内地点から次の第2案内地点までの前記案内情報を表示する、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項3】
前記制御部は、現在速度を取得可能に構成され、
前記制御部は、前記現在位置および前記現在速度と、目的地への前記経路情報とに基づいて、前記第1表示モードと前記第2表示モードとを切り替えるように構成されている、請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記現在位置から前記第1案内地点までの第1距離が、前記現在速度に基づく基準距離以下となることに基づいて、前記ヘッドマウントディスプレイを前記第2表示モードで表示させるように構成されている、請求項3に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1案内地点から前記第2案内地点までの第2距離が、前記現在速度に基づく基準距離以下となることに基づいて、前記ヘッドマウントディスプレイを前記第2表示モードで表示させるように構成されている、請求項3または4に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記現在位置から前記第1案内地点までの第1距離、および、前記第1案内地点から前記第2案内地点までの第2距離、の少なくともいずれかが、前記現在速度に基づく基準距離と比較して大きいことに基づいて、前記ヘッドマウントディスプレイを前記第1表示モードで表示させるように構成されている、請求項3~5のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項7】
前記第1表示モードと前記第2表示モードとで、前記第3表示領域と前記第2表示領域とが選択的に表示される、請求項1~6のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項8】
前記第2表示モードにおける前記第1表示領域と前記第3表示領域との合計面積が、前記ヘッドマウントディスプレイの表示画面の50%以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項9】
前記第1表示領域、前記第2表示領域および前記第3表示領域における各表示画像は、前記ヘッドマウントディスプレイに予め記録された複数の画像要素の組み合わせによって構成され、
前記制御部は、前記ヘッドマウントディスプレイに画像データを送信することなく、表示させる前記画像要素を指示するコマンドを送信することにより、前記ヘッドマウントディスプレイの表示制御を行うように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項10】
前記第1表示領域および前記第3表示領域に表示される前記案内情報は、
案内地点までの距離と、
前記案内地点における進行方向と、
前記案内地点に存在する交通信号機の情報と、を含む、請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項11】
前記制御部は、前記第3表示領域に表示させる前記案内情報の数を設定可能に構成され、
前記制御部は、2以上の前記案内情報の数が設定された場合、前記第3表示領域において、前記第2案内地点を含む、設定された数の連続する前記案内地点間のそれぞれの前記案内情報を、案内順序に従って表示させるように構成されている、請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項12】
前記経路情報は、目的地へ至る一連の案内地点毎の前記案内情報を含み、
前記制御部は、
前記第1表示領域に表示中の前記案内地点に到達すると、前記第1表示領域の表示を次の前記案内地点までの前記案内情報に切り替える制御を行い、
前記第1表示領域に表示する前記案内情報の切替タイミングを設定可能に構成されている、請求項1~11のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項13】
前記制御部は、配達依頼を受信し、前記配達依頼に含まれる配達先を目的地として経路案内を行うように構成され、
前記制御部は、前記配達依頼に関する所定の配達情報については、前記第1表示モードおよび前記第2表示モードのいずれにおいても前記ヘッドマウントディスプレイに表示させる制御を行う、請求項1~12のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドマウントディスプレイシステムに関し、特に、目的地までの経路案内を表示するヘッドマウントディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地までの経路案内を表示するヘッドマウントディスプレイシステムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、二輪車等やナビゲーションシステムから入力される情報を表示するヘッドマウントディスプレイが開示されている。ヘッドマウントディスプレイは、ヘルメットに装着され、運転者の眼の前方に配置されるプリズムによって、運転者の視界中に画像を表示するように構成されている。上記特許文献1では、ヘッドマウントディスプレイに、次の方向転換地点について、「100m先右折」といった案内と移動方向を示す矢印とが表示されることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-92810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように、自転車や自動二輪車による走行中の経路案内に用いられるヘッドマウントディスプレイでは、運転の邪魔にならないようユーザの前方視界を十分に確保することを前提として、視界中の一部に局所的に画像を表示する態様で経路案内が行われる。画像の表示領域が限定されるため、ヘッドマウントディスプレイに表示可能な情報量は比較的少ない。
【0006】
一方、自転車や自動二輪車の利点として、入り組んだ道路でも容易に進入して移動できる点があるため、経路案内を行う場合、短距離で右左折を繰り返すようなケースが少なくない。その場合、表示可能な情報量が制限されるヘッドマウントディスプレイでは、方向転換の案内表示が短時間に頻繁に切り替えられる可能性がある。そのため、走行中のユーザが案内情報を確認しきれない場合が生じるなど、適切な案内情報の提供ができないという課題がある。一方、ヘッドマウントディスプレイでは、経路案内以外にも多様な情報表示が可能である。そのため、仮に案内情報の表示だけを優先的に行う場合、ユーザの所望する情報表示ができずに利便性が低下する。
【0007】
この発明は、自転車や自動二輪車による走行中の経路案内において、適切な案内情報の提供が可能であり、かつ、案内情報以外の情報表示に関する利便性を確保することが可能なヘッドマウントディスプレイシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面によるヘッドマウントディスプレイシステムは、目的地への経路案内を表示可能なヘッドマウントディスプレイと、現在位置を取得し、目的地への少なくとも1つの案内情報を含む経路情報に基づいてヘッドマウントディスプレイを制御する制御部と、を備え、ヘッドマウントディスプレイは、目的地への案内情報を表示する第1表示領域と、案内情報とは異なる情報を表示する第2表示領域とを含む第1表示モードと、第1表示領域と、第1表示領域の案内情報に続く案内情報を予告表示する第3表示領域とを含み、第3表示領域が、第2表示領域の少なくとも一部の代わりに表示される第2表示モードと、に切り替え表示可能に構成されている。
【0009】
この発明の一の局面によるヘッドマウントディスプレイシステムでは、上記の構成により、ヘッドマウントディスプレイが第2表示モードで動作する場合、ユーザは、第1表示領域で案内された経路を通過した後の経路案内を第3表示領域で予め確認しておくことができる。そのため、比較的短距離で頻繁に案内を行う必要がある状況下でも、ユーザが余裕を持って確認可能な適切な案内情報の提供が可能となる。また、頻繁な経路案内が不要な状況などで、動作モードを第1表示モードに切り替えれば、ユーザは、第1表示領域の案内情報に加えて、案内情報以外の情報を第2表示領域で確認できるので、案内情報以外の情報表示に関する利便性を確保することができる。そして、第2表示モードにおける第3表示領域が、第1表示モードにおける第2表示領域の少なくとも一部の代わりに表示されるので、自転車や自動二輪車による走行中の経路案内を行うために表示領域が制限されたヘッドマウントディスプレイでも、これらの第1表示領域~第3表示領域の情報を十分に表示できる。以上により、自転車や自動二輪車による走行中の経路案内において、適切な案内情報の提供が可能であり、かつ、案内情報以外の情報表示に関する利便性を確保することができる。
【0010】
上記一の局面によるヘッドマウントディスプレイシステムにおいて、好ましくは、経路情報は、目的地へ至る一連の案内地点毎の、複数の案内情報を含み、第1表示領域は、現在位置から直近の第1案内地点までの案内情報を表示し、第3表示領域は、第1案内地点から次の第2案内地点までの案内情報を表示する。このように構成すれば、第1表示領域で第1案内地点までの経路を案内している間に、第3表示領域で第1案内地点から第2案内地点までの次の案内を予告表示できる。そのため、案内地点間の距離が短い場合でも、ユーザは、1つ先の第2案内地点までの案内情報を事前に把握できるので、安全に、かつ余裕を持って走行できる。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部は、現在速度を取得可能に構成され、制御部は、現在位置および現在速度と、目的地への経路情報とに基づいて、第1表示モードと第2表示モードとを切り替えるように構成されている。このように構成すれば、現在位置から案内地点までの距離の大小や現在速度の高低の状況に応じて、自動的に第1表示モードと第2表示モードとを切り替えることができる。そのため、たとえばユーザが第1表示モードと第2表示モードとを切り替える操作等を行わなくてよいので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0012】
上記現在位置および現在速度と目的地への経路情報とに基づいて、第1表示モードと第2表示モードとを切り替える構成において、好ましくは、制御部は、現在位置から第1案内地点までの第1距離が、現在速度に基づく基準距離以下となることに基づいて、ヘッドマウントディスプレイを第2表示モードで表示させるように構成されている。このように構成すれば、現在速度(つまり、単位時間当たりの移動距離)に応じた基準距離に比べて第1距離が小さく、短時間で第1案内地点を通過することになる場合に、第2表示モードでの表示が行われる。これにより、第1案内地点通過後の案内情報を予告表示する必要性が高い状況下で、効果的な案内情報の提供が可能となる。
【0013】
上記現在位置および現在速度と目的地への経路情報とに基づいて、第1表示モードと第2表示モードとを切り替える構成において、好ましくは、制御部は、第1案内地点から第2案内地点までの第2距離が、現在速度に基づく基準距離以下となることに基づいて、ヘッドマウントディスプレイを第2表示モードで表示させるように構成されている。このように構成すれば、案内地点間の第2距離が短く、案内情報を確認するために十分な時間が確保できない可能性がある場合に、第1案内地点通過後の案内情報を第3表示領域に予告表示することができる。その結果、案内地点間の距離に応じた、より適切な案内情報の提供が可能となる。
【0014】
上記現在位置および現在速度と目的地への経路情報とに基づいて、第1表示モードと第2表示モードとを切り替える構成において、好ましくは、制御部は、現在位置から第1案内地点までの第1距離、および、第1案内地点から第2案内地点までの第2距離、の少なくともいずれかが、現在速度に基づく基準距離と比較して大きいことに基づいて、ヘッドマウントディスプレイを第1表示モードで表示させるように構成されている。このように構成すれば、第1距離が大きく第1案内地点に到達するまで時間がある場合や、第2距離が大きく、第1案内地点通過後に第2案内地点に到達するまで時間がある場合に、第1表示モードでの表示が行われる。つまり、案内情報が必要になるタイミングまでの時間が十分にありユーザに余裕がある状況下では、自動的に第1表示モードでの表示に切り替わり、ユーザは、案内情報とは異なる他の情報を第2表示領域から確認できる。そのため、ユーザの利便性をさらに向上させることができる。
【0015】
上記一の局面によるヘッドマウントディスプレイシステムにおいて、好ましくは、第1表示モードと第2表示モードとで、第3表示領域と第2表示領域とが選択的に表示される。このように構成すれば、第1表示モードでは第3表示領域の全範囲を第2表示領域の表示に利用でき、第2表示モードでは第2表示領域の全範囲を第3表示領域の表示に利用できる。そのため、ヘッドマウントディスプレイの表示可能領域を有効利用できるので、第2表示領域に表示される情報および第3表示領域に表示される情報の、それぞれの視認性を向上させるかまたは情報量を増大させることができる。
【0016】
上記一の局面によるヘッドマウントディスプレイシステムにおいて、好ましくは、第2表示モードにおける第1表示領域と第3表示領域との合計面積が、ヘッドマウントディスプレイの表示画面の50%以上である。このように構成すれば、第1表示領域および第3表示領域の表示面積を大きく確保できる。そのため、第1表示領域および第3表示領域にそれぞれ表示される各案内情報の視認性を向上させることができる。
【0017】
上記一の局面によるヘッドマウントディスプレイシステムにおいて、好ましくは、第1表示領域、第2表示領域および第3表示領域における各表示画像は、ヘッドマウントディスプレイに予め記録された複数の画像要素の組み合わせによって構成され、制御部は、ヘッドマウントディスプレイに画像データを送信することなく、表示させる画像要素を指示するコマンドを送信することにより、ヘッドマウントディスプレイの表示制御を行うように構成されている。このように構成すれば、情報量が大きい画像データそのものを送信することなく、ヘッドマウントディスプレイの画像表示を行える。これにより、送信する情報量を削減できるので、走行中の経路案内を行う場合に、ヘッドマウントディスプレイの画像表示の遅延を効果的に低減することができる。
【0018】
上記経路情報が目的地へ至る一連の案内地点毎の複数の案内情報を含む構成において、好ましくは、第1表示領域および第3表示領域に表示される案内情報は、案内地点までの距離と、案内地点における進行方向と、案内地点に存在する交通信号機の情報と、を含む。このように構成すれば、ユーザは、案内地点までの距離および進行方向に加えて、交通信号機の有無を把握できる。そのため、ユーザは、たとえば見通しが悪い道路等でも、事前に把握した交通信号機の情報に基づいて速度調節等ができるので、ユーザの交通安全に寄与する有用な情報提供ができる。
【0019】
上記経路情報が目的地へ至る一連の案内地点毎の複数の案内情報を含む構成において、好ましくは、制御部は、第3表示領域に表示させる案内情報の数を設定可能に構成され、制御部は、2以上の案内情報の数が設定された場合、第3表示領域において、第2案内地点を含む、設定された数の連続する案内地点間のそれぞれの案内情報を、案内順序に従って表示させるように構成されている。このように構成すれば、第3表示領域において、第2案内地点までの案内情報だけでなく、ユーザが所望する数の、第2案内地点以降の案内情報についても予告表示することができる。そのため、より遠方までの経路の見通しを得ることができるので、ユーザの経路把握に寄与する情報提供ができる。
【0020】
上記一の局面によるヘッドマウントディスプレイシステムにおいて、好ましくは、経路情報は、目的地へ至る一連の案内地点毎の案内情報を含み、制御部は、第1表示領域に表示中の案内地点に到達すると、第1表示領域の表示を次の案内地点までの案内情報に切り替える制御を行い、第1表示領域に表示する案内情報の切替タイミングを設定可能に構成されている。このように構成すれば、案内情報の切替タイミングを自由に設定できるので、ユーザが所望する適切なタイミングで、適切な案内情報を提供することができる。
【0021】
上記一の局面によるヘッドマウントディスプレイシステムにおいて、好ましくは、制御部は、配達依頼を受信し、配達依頼に含まれる配達先を目的地として経路案内を行うように構成され、制御部は、配達依頼に関する所定の配達情報については、第1表示モードおよび第2表示モードのいずれにおいてもヘッドマウントディスプレイに表示させる制御を行う。ここで、近年、自転車や自動二輪車による荷物配達業が普及しており、配達員がスマートフォンなどを利用して配達依頼を受注して配達元から配達先までの荷物配達を行う。そこで、上記のように構成すれば、通常であれば第2表示領域に表示される情報(案内情報とは異なる情報)であっても、所定の配達情報については、第2表示モードでも表示されることになる。これにより、配達依頼に関わる重要な情報の存在を、確実にユーザ(配達員)に通知することができる。そのため、ヘッドマウントディスプレイシステムの利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、自転車や自動二輪車による走行中の経路案内において、適切な案内情報の提供が可能であり、かつ、案内情報以外の情報表示に関する利便性を確保することが可能なヘッドマウントディスプレイシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】HMDシステムの概要を示す模式図である。
図2】HMDシステムのブロック図である。
図3】経路案内に用いるマップ情報(A)および経路情報(B)を説明するための図である。
図4】第1表示モードによる表示例を示した図である。
図5】第2表示モードによる表示例を示した図である。
図6】第1表示モードと第2表示モードとの切替方法を説明するための第1の図である。
図7】第1表示モードと第2表示モードとの切替方法を説明するための第2の図である。
図8】第1表示モードと第2表示モードとの切替方法を説明するための第3の図である。
図9】HMDに表示される画像の生成方法を説明するための模式図である。
図10】HMDシステムを利用した配達業務の流れを説明するためのフロー図である。
図11】HMDシステムによる経路案内処理を説明するためのフロー図である。
図12】第2実施形態による経路情報を説明するための図である。
図13】第2実施形態の第2表示モードによる表示例を示した図である。
図14】第2実施形態の経路案内処理を説明するためのフロー図である。
図15】第3実施形態による案内情報を表示する数の設定画面の一例である。
図16】第3実施形態の第2表示モードによる表示例(A)および(B)を示した図である。
図17】第4実施形態による案内情報の表示切替タイミングの設定画面の一例である。
図18】第4実施形態における各案内地点に対する表示切替タイミングのオフセット値を説明するための図である。
図19】第5実施形態の第1表示モードにおける特定配達情報の表示例を示した図である。
図20】第5実施形態の第2表示モードにおける特定配達情報の表示例を示した図である。
図21】第5実施形態の特定配達情報表示処理を説明するためのフロー図である。
図22】変形例による第2表示モードの表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
[第1実施形態]
まず、図1図9を参照して、第1実施形態によるヘッドマウントディスプレイシステム(以下、「HMDシステム」という)100の構成について説明する。第1実施形態では、一例として、自転車や自動二輪車による荷物配達業による配達業務における経路案内を行うHMDシステム100について説明する。
【0026】
第1実施形態によるHMDシステム100は、図1に示すように、ヘッドマウントディスプレイ(以下、「HMD」という)10と、携帯端末20と、を備える。HMDシステム100は、操作者90が、配達元へ荷物を受け取りに移動する際、および、配達先へ荷物を配達する際に、目的地(配達元または配達先)への経路を案内するように構成されている。
【0027】
(ヘッドマウントディスプレイの構成)
HMD10は、目的地への経路案内を行う画像30を表示可能に構成されている。HMD10の種類は特に限定されないが、第1実施形態では、HMD10は、表示画面が透過しない非透過型ディスプレイであり、使用者の視界の一部に局所的に表示画面が配置されるインサイト型のディスプレイであり、使用者の視界が覆われておらず表示画面外の領域に背景が視認可能な開放型のディスプレイであり、表示画面を片目で見る単眼型のディスプレイである。
【0028】
第1実施形態では、HMD10は、目的地への経路案内において、第1表示モードと、第2表示モードと、に切り替え表示可能に構成されている。これらの表示モードの詳細については後述する。
【0029】
図2に示すように、HMD10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、表示部14とを備える。また、HMD10は、窓部15と、表示部14および窓部15の間に配置された光学系16とを有している。HMD10は、これらの各部を収容する筐体17と、筐体17を使用者(操作者90)に対して取り付けるための装着部18とを備える。
【0030】
制御部11は、HMD10を構成する各部の制御を行う。制御部11は、通信部13を介して携帯端末20から取得したコマンドに基づいて、表示部14に画像を表示させる制御を行う。制御部11は、たとえば、MPU(Micro-processing unit)などのプロセッサによって構成されている。プロセッサが、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、HMD10の制御を行う制御部11として機能する。
【0031】
記憶部12は、制御部11が実行する各種プログラムを予め記憶している。記憶部12は、不揮発性の記憶装置を含む。記憶装置は、たとえば半導体記憶素子である。
【0032】
通信部13は、携帯端末20の通信部23と通信可能に構成されている。通信部13は、たとえば、近距離無線通信を行う通信モジュールを含む。近距離無線通信は、たとえば、Bluetooth(登録商標)通信である。
【0033】
表示部14は、制御部11により構築された画像を表示するように構成されている。表示部14は、所定のフレームレートで画像更新を行うことにより、画像を動画像として表示する。表示部14は、たとえば、液晶ディスプレイを含む。
【0034】
表示部14に表示された画像は、筐体17に設けられた窓部15から、光学系16を介して視認可能である。窓部15は、筐体17に設けられた開口部であり、筐体17の外部から筐体17の内部を視認可能にする。窓部15には透光性の保護部材が設けられ得る。光学系16は、レンズ、ミラー、鏡筒などを含んで構成され、窓部15を視認する操作者90の眼に対して、表示部14の画像を投影させるように構成されている。光学系16は、操作者90の視界中(図1参照)で、一定距離(数メートル程度)離れた位置に画像を視認可能な態様で、画像を結像させるように設計されている。なお、HMD10の画像表示方式は特に限定されず、どのような方式で画像表示を行ってもよい。
【0035】
装着部18は、操作者90(図1参照)自身、または操作者90が身に着ける物品に装着される。第1実施形態では、装着部18は、操作者90が装着するヘルメット95(図1参照)に着脱可能に取り付けられる。言い換えると、HMD10は、ヘルメット95を介して操作者90の頭部に装着される。装着部18の構成は特に限定されない。装着部18は、たとえば、ヘルメット95の一部と係合するアタッチメント、磁石、面ファスナーなどの結合手段の1つまたは複数を含みうる。
【0036】
装着部18によって、操作者90の眼と窓部15とが適切な位置関係となるように位置合わせされた状態で、HMD10が操作者90(ヘルメット95)に固定される。
【0037】
(携帯端末の構成)
携帯端末20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、表示部24と、入力受付部25と、を有する。第1実施形態では、携帯端末20は、いわゆる、スマートフォンである。なお、制御部21は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0038】
制御部21は、携帯端末20の各部を制御するように構成されている。制御部21は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などによって構成されている。第1実施形態では、制御部21は、現在位置P0(図3参照)を取得し、目的地Pd(図3参照)への経路情報112に基づいてHMD10の画面表示を制御するように構成されている。
【0039】
記憶部22は、制御部21が実行する各種プログラムを記憶している。記憶部22は、不揮発性の半導体記憶素子を含む。記憶部22は、配達依頼の受注、配達経路の経路案内、配達料の決済などの処理を行うためのプログラム(アプリケーションソフトウェア)を記憶している。制御部21(CPU)は、プログラムの実行により、HMD10への各種情報表示の制御を行う。
【0040】
通信部23は、HMD10の通信部13と通信可能に構成されている。また、通信部23は、インターネットなどのネットワークを介して、配達依頼の情報や経路情報112を提供するサーバ110と通信可能に構成されている。通信部23は、たとえば、近距離無線通信を行う通信モジュールと、携帯電話回線を利用して無線通信を行う通信モジュールと、を含む。近距離無線通信は、たとえば、Bluetooth(登録商標)通信である。携帯電話回線を利用した無線通信は、いわゆる4G、5Gなどの移動体無線通信システムによる無線通信のことである。制御部21は、通信部23によりネットワークを介してサーバ110にアクセスすることにより、マップ情報111、経路情報112、および配達依頼の情報を取得可能である。
【0041】
表示部24は、たとえば、液晶パネルおよびバックライト、または、有機エレクトロルミネッセンスパネルを含む。入力受付部25は、操作者90の操作入力を受け付けるように構成されている。入力受付部25は、たとえば、静電容量タッチセンサシートを含む。すなわち、携帯端末20が有する表示部24および入力受付部25は、いわゆる、タッチパネルディスプレイである。
【0042】
携帯端末20は、位置情報取得部26を備える。位置情報取得部26は、GPS(グローバルポジショニングシステム)などの衛星測位システムを利用して位置情報を取得するための受信モジュールを含む。制御部21は、位置情報取得部26が受信した情報に基づき現在位置P0(図3参照)を取得する。現在位置P0は、携帯端末20の位置情報であるが、携帯端末20とHMD10とが操作者90と一体的に移動するため、操作者90あるいはHMD10の位置と同視してよい。
【0043】
また、携帯端末20は、加速度センサ27を備える。加速度センサ27は、センサに作用する加速度の大きさおよび方向を検出する。制御部21は、位置情報取得部26が受信した情報および加速度センサ27の検出結果に基づき現在速度を取得する。現在速度は、携帯端末20の速度であるが、携帯端末20とHMD10とが操作者90と一体的に移動するため、操作者90あるいはHMD10の速度と同視してよい。
【0044】
(サーバ)
サーバ110は、携帯端末20と通信を行い、配達業務に関わる各種情報の送受信を行う。サーバ110は、顧客からの配達依頼を取得し、配達エリア内の携帯端末20に対して配達依頼を送信する。サーバ110は、配達業務に関わる配達情報113を記憶および管理する。サーバ110は、携帯端末20から配達依頼の受注および現在位置P0の情報を受け付ける。サーバ110は、配達元および配達先の所在地を含むマップ情報111と、携帯端末20の現在位置P0から配達元へ移動するための経路情報112と、配達元から配達先へ移動するための経路情報112とを、携帯端末20に送信する。携帯端末20の制御部21は、受信した経路情報112に基づいて、操作者90の移動中の経路案内を表示するように、HMD10を制御する。
【0045】
(ヘッドマウントディスプレイに表示される画像)
次に、図1を参照して、HMD10に表示される画像30について説明する。
【0046】
図1は、操作者90がHMD10を装着した斜視図、操作者90の視界に写る景色91における画像30の見え方、および、画像30の拡大図を模式的に示している。景色91は操作者90の視界を模したものであり、図1では景色91を矩形の画像のように図示しているが、実際の見え方(視界)とは異なる。図1に示す例では、ヘルメット95には、操作者90の眼を保護するためのバイザー96が設けられている。操作者90は、バイザー96を介して(バイザー越しに)HMD10の表示画面を視認することができる。
【0047】
HMD10が設けられたヘルメット95を操作者90が装着した場合、操作者90の視界に写る景色91の一部に、画像30が表示される。図1に示す例では、HMD10の装着位置に応じて、景色91(つまり、視界)の右上に画像30が表示されている。なお、画像30は、画像30の背景が黒色で、画像30中に含まれる情報を白色で示した画像である。以下、図1以外の各図では、説明の便宜上、画像30の背景を白色で示し、画像30中に含まれる情報を黒色で示す。
【0048】
(経路情報)
次に、図2に示したマップ情報111および経路情報112について説明する。図3に示すように、制御部21(図2参照)は、目的地Pdへの経路情報112に基づいてHMD10を制御する。制御部21は、サーバ110から取得されるマップ情報111および経路情報112を用いて、HMD10に案内情報120を表示する。
【0049】
図3(A)は、サーバ110から取得されるマップ情報111を示す。マップ情報111は、現在位置P0と、目的地Pdと、目的地Pdまでの経路(道路)とを少なくとも含む地図データである。マップ情報111は、携帯端末20の表示部24において表示可能であるが、HMD10には表示されない。
【0050】
図3(B)は、サーバ110から取得される経路情報112を示す。経路情報112は、少なくとも1つの案内情報120を含む。図3(B)の例では、経路情報112は、目的地Pdへ至る一連の案内地点NP毎の、複数の案内情報120を含む。個々の案内情報120は、経路上に存在する案内地点NP毎に設定された、案内地点NPにおける進行方向と、案内地点間の距離情報とを含む。
【0051】
案内地点NPは、経路上で進行方向の案内を行う地点である。経路情報112は、現在位置P0から目的地Pdまでの案内地点NPの配列により構成される。案内地点NPは、典型的には、経路上に存在する分岐点である。分岐点は、交差点を含むほか、交差点以外の分岐路の岐点を含み得る。案内地点NPは、分岐点の他に、トンネルや橋などの道路構造物の開始点、車線数の変化点や一方通行の開始点などを含み得る。進行方向は、直進、右折、左折といった案内地点NPを通過する方向である。案内地点間の距離情報は、順序が隣り合う2つの案内地点NPの間の経路長さ(経路に沿った移動距離)である。なお、以下では、個々の案内地点NPを区別する場合、現在位置P0からの到達順序に従って、第1案内地点NP1、第2案内地点NP2、第3案内地点、・・・、第N案内地点、という。
【0052】
図3の例では、第1案内地点NP1(分岐点1)~第6案内地点(分岐点6)までの案内地点NPを示しており、マップ情報111においても、経路上に各案内地点NPが存在している。
【0053】
制御部21は、現在位置P0と、経路情報112とに基づいて、対応する案内情報120をHMD10に表示させる。
【0054】
(表示モード)
次に、HMD10の表示モードについて説明する。第1実施形態では、HMD10は、制御部21の制御信号に応じて、第1表示モード(図4参照)と第2表示モード(図5参照)と、に切り替え表示可能に構成されている。
【0055】
第1表示モードと第2表示モードとは、表示部14に表示される情報の種類と、表示部14に表示される情報の表示レイアウト(表示態様)とが少なくとも異なる。表示レイアウトは、表示される情報の位置および範囲(大きさ)を含む。
【0056】
第1実施形態では、HMD10には、第1表示モードと第2表示モードとの2つの表示モードが予め設定されており、第1表示モードと第2表示モードとのいずれかの表示モードが選択的に実行される。すなわち、HMD10の記憶部12(図2参照)には、第1表示モードで動作する際の表示レイアウトを規定した第1レイアウト情報41と、第2表示モードで動作する際の表示レイアウトを規定した第2レイアウト情報42と、が記憶されている。HMD10の制御部11(図2参照)は、携帯端末20の制御部21から表示モードを指定するコマンドを受信することにより、指定された表示モードのレイアウト情報を用いて、表示部14の表示制御を行う。
【0057】
〈第1表示モード〉
図4に示すように、第1表示モードは、目的地Pdへの案内情報120を表示する第1表示領域30Aと、案内情報120とは異なる情報を表示する第2表示領域30Bとを含む。図4の例では、第1表示モードは、第1表示領域30Aおよび第2表示領域30Bの2つの表示領域により構成されている。表示部14の表示画面の左側ほぼ半分を第1表示領域30Aが占め、表示画面の右側ほぼ半分を第2表示領域30Bが占めている。
【0058】
第1表示領域30Aには、案内情報120に含まれる各情報が表示される。すなわち、第1表示領域30Aには、案内地点NPにおける進行方向を矢印マークで示す方向表示31と、案内地点間の距離情報32とが表示される。進行方向は、直進、右折、左折などに対応した矢印マークにより表示される。距離情報32は、数値(図4では「489m」)により表示される。
【0059】
より具体的には、第1表示領域30Aは、現在位置P0から直近の第1案内地点NP1(図3(B)参照)までの案内情報120を表示する。図3(B)に示した経路情報112を例にすると、現在位置P0から「分岐点1」までの案内情報120が、第1表示領域30Aに表示される。操作者90の移動中、現在位置P0が時間経過に伴って変化するので、距離情報32は、現在位置P0から第1案内地点NP1までの残り距離を示す。
【0060】
仮に、図3(B)に示した経路情報112において、操作者90(現在位置P0)が「分岐点1」を通過した場合、直近の第1案内地点NP1が「分岐点2」に切り替わる。その場合、第1表示領域30Aの表示内容も、現在位置P0から「分岐点2」までの案内情報120に更新される。
【0061】
第1表示領域30Aは、現在位置P0から直近の第1案内地点NP1までの案内情報120を表示するため、情報の重要度が高い。そのため、後述するように、第1表示領域30Aは、第1表示モードおよび第2表示モードの両方で表示される共通の表示領域である。
【0062】
第2表示領域30Bには、案内情報120とは異なる情報が表示される。第2表示領域30Bに表示される情報の種類および数は、携帯端末20の入力受付部25を介して操作者90が任意に決定できる。
【0063】
具体的には、第2表示領域30Bは、現在時刻33a、HMD10の電池残量33b、現在位置から目的地までの総距離33c、携帯端末20のロック機能の設定情報(機能オンまたはオフを示す情報)33d、Bluetooth(登録商標)機能の設定情報33e、携帯端末20の録音機能の設定情報33f、携帯端末20の未確認着信履歴の存在を通知する着信情報33g、携帯端末20の未確認メールの存在を通知するメール情報33h、携帯端末20の未確認メッセージの存在を通知するメッセージ情報33i、事故多発地点を示す注意情報33j、などが表示される。
【0064】
このように、図4の例では、第2表示領域30Bは、HMD10の状態に関する情報(電池残量33b)を表示する。図4の例では、第2表示領域30Bは、第1表示領域30Aに表示されない経路情報112の一部(目的地までの総距離33c)を表示する。図4の例では、第2表示領域30Bは、携帯端末20の機能と連動した情報(設定情報33d~33f、着信情報33g、メール情報33h、メッセージ情報33i、注意情報33j)を表示する。
【0065】
〈第2表示モード〉
図5に示すように、第2表示モードは、第1表示領域30Aと、第1表示領域30Aの案内情報120に続く案内情報120を予告表示する第3表示領域30Cとを含む。また、第2表示モードでは、第3表示領域30Cが、第2表示領域30Bの少なくとも一部の代わりに表示される。図5の例では、第2表示モードは、第1表示領域30Aおよび第3表示領域30Cの2つの表示領域により構成されている。表示部14の表示画面の左側ほぼ半分を第1表示領域30Aが占め、表示画面の右側ほぼ半分を第3表示領域30Cが占めている。
【0066】
このように、第1実施形態では、第1表示モードと第2表示モードとで、第3表示領域30Cと第2表示領域30Bとが選択的に表示される。第1表示モードでは第3表示領域30Cが表示されず、第2表示モードでは第2表示領域30Bが表示されない。第3表示領域30Cと第2表示領域30Bとは、表示部14の表示画面のうちのほぼ同一の領域を利用して、表示モードに応じて交替で表示される。なお、第2表示モードにおいて、第2表示領域30Bの一部がそのまま表示されてもよいが、第2表示モードにおける第1表示領域30Aと第3表示領域30Cとの合計面積は、HMD10の表示画面の50%以上であることが好ましい。図5の例では、第1表示領域30Aおよび第3表示領域30Cのみが表示されているので、第1表示領域30Aと第3表示領域30Cとの合計面積は、表示画面の略100%である。
【0067】
第1表示領域30Aの表示内容は、上記第1表示モードと同様である。
【0068】
第3表示領域30Cは、第1表示領域30Aで表示された案内地点(第1案内地点NP1)の後に続いて到達する案内地点NPについての案内情報120を、第1案内地点NP1と通過する前に事前に表示するように構成されている。すなわち、第1実施形態では、第3表示領域30Cは、第1案内地点NP1から次の第2案内地点NP2までの案内情報120を表示する。
【0069】
図3(B)に示した経路情報112を例にすると、第2案内地点NP2は、直近の第1案内地点NP1である「分岐点1」の次の案内地点である「分岐点2」が該当する。仮に、図3(B)に示した経路情報112において、操作者90が「分岐点1」を通過した場合、第1案内地点NP1が「分岐点2」に切り替わるため、第2案内地点NP2は、「分岐点3」に切り替わる。
【0070】
第3表示領域30Cの表示態様は、基本的に第1表示領域30Aと同様である。第3表示領域30Cには、第2案内地点NP2における進行方向を矢印マークで示す方向表示31と、案内地点間(第1案内地点NP1と第2案内地点NP2との間)の距離情報32とが表示される。進行方向は、矢印マークにより表示される。距離情報32は、数値(図5では「20m」)により表示される。
【0071】
第2表示モードでは、さらに、案内順序を示すマーク34が表示される。マーク34は、第1表示領域30Aの(第1案内地点NP1の)案内情報120と、第3表示領域30Cの(第2案内地点NP2の)案内情報120との間で、第1表示領域30Aの案内情報120から第3表示領域30Cの案内情報120に向いた矢印(「>>」)の形態を有する。これにより、操作者90は、複数の案内情報120が表示されてもそれらの到達順序を確実に把握できる。第3表示領域30Cには、さらに付加的な情報が表示されてもよい。
【0072】
図5の例では、現在位置P0から100m先の第1案内地点NP1において右折し、次に、第1案内地点NP1から20m先の第2案内地点NP2で左折することが表示されている。これは、図3(B)の経路情報112において、「分岐点3」まで残り100mとなった状況(第1案内地点NP1が分岐点3で、第2案内地点NP2が分岐点4となる状況)を例示している。このように、第2表示モードでは、第1案内地点NP1に到達する前に、予め、第1案内地点NP1の通過後の案内情報120が第3表示領域30Cにおいて予告表示される。
【0073】
第1実施形態では、第3表示領域30Cには、案内情報120以外の、第2表示領域30Bに表示される各種情報は表示されない。つまり、第2表示モードでは、案内情報120だけが表示される。第2表示モードでは、たとえば第1表示モードの第2表示領域30Bで表示された電話の着信、メールまたはメッセージの受信の通知表示などは表示されない。
【0074】
(表示モードの切り替え)
次に、図6図8を参照して、第1表示モードと第2表示モードとの切り替えの処理について説明する。第1実施形態では、携帯端末20の制御部21が、操作者90からの操作入力を受け付けることなく、第1表示モードと第2表示モードとを自動的に切り替える制御を行う。
【0075】
具体的には、制御部21(図2参照)は、現在位置P0および現在速度と、目的地Pdへの経路情報112とに基づいて、第1表示モードと第2表示モードとを切り替えるように構成されている。制御部21は、位置情報取得部26(図2参照)および加速度センサ27(図2参照)により、現在位置P0および現在速度を一定時間間隔毎に取得する。そして、最新の現在位置P0および現在速度を取得する度に、HMD10の表示モードを切り替えるか否かの判定を行う。現在位置P0および現在速度の取得時間間隔は、たとえば、HMD10のフレームレートで規定される更新間隔と同じか、更新間隔よりも短時間である。
【0076】
第1実施形態では、第1表示モードが、通常時の表示モードである。制御部21は、以下に示す特定の条件を満たさない場合、基本的にHMD10を第1表示モードで動作させる。
【0077】
制御部21は、現在位置P0から第1案内地点NP1までの第1距離D1(図6参照)が、現在速度に基づく基準距離RD以下となること(第1の条件)に基づいて、HMD10を第2表示モードで表示させるように構成されている。
【0078】
また、制御部21は、第1案内地点NP1から第2案内地点NP2までの第2距離D2(図6参照)が、現在速度に基づく基準距離RD以下となること(第2の条件)に基づいて、HMD10を第2表示モードで表示させるように構成されている。
【0079】
第1実施形態では、制御部21は、第1の条件および第2の条件の両方を満たした場合に、HMD10を第2表示モードで表示させるように構成されている。
【0080】
〈基準距離〉
ここで、第1実施形態では、基準距離RDが一定値(定数)ではなく、可変値(変数)となっている。制御部21は、現在速度と、予め記憶部22に記憶された事前確認時間Tc(図2参照)の情報とを用いて、基準距離RDを取得するように構成されている。
【0081】
事前確認時間Tcは、操作者90がHMD10に表示された情報を、余裕を持って確認できるようにするため、情報確認用に確保される余裕時間である。つまり、事前確認時間Tcは、案内情報120が表示されてから、その案内情報120で示された案内地点NPに操作者90が到達するまでに、確保されるべき時間として設定される。事前確認時間Tcは、予め設定される固定値であるが、操作者90の操作入力に応じて変更可能としてもよい。事前確認時間Tcの大きさは特に限定されないが、たとえば10秒、5秒、3秒などでありうる。
【0082】
基準距離RDは、たとえば事前確認時間Tcと現在速度との積により表される。つまり、基準距離RDは、現在速度(=Vとする)で移動を継続した場合に、事前確認時間Tcの間に進むと推定される推定移動距離である。一例として、基準距離RD(m)=事前確認時間Tc(秒)×現在速度V(m/秒)である。したがって、基準距離RDは、現在速度が大きい程、値が大きくなり(長距離となり)、現在速度が小さいほど値が小さくなる(短距離となる)。
【0083】
〈第1距離〉
第1距離D1は、上記の通り、現在位置P0から第1案内地点NP1までの距離である。つまり、第1距離D1は、HMD10の第1表示領域30Aに表示される距離(図4の例では「489m」、図5の例では「100m」)である。
【0084】
〈第2距離〉
第2距離D2は、上記の通り、第1案内地点NP1から第2案内地点NP2まで距離である。つまり、図3(B)に示した経路情報112における案内地点NP毎の距離情報のうち、現在位置P0に応じて第2案内地点NP2に該当する距離情報が第2距離D2として取得される。
【0085】
図6に示すように、第1距離D1が基準距離RD以下となるまで第1案内地点NP1に接近し(第1の条件を満たし)、かつ、第2距離D2が基準距離RD以下となる程度に次の第2案内地点NP2が第1案内地点NP1に近い(第2の条件を満たす)場合、制御部21は、HMD10を第2表示モードで表示させる。
【0086】
図6では、第1距離D1(100m)≦基準距離RD、かつ、第2距離D2(20m)≦基準距離RDであるケースを例示している。この場合、操作者90が現在速度を維持して第1案内地点NP1を通過した場合、第2案内地点NP2に到達するまでに、次の案内情報(20m先を左折)を確認する時間が事前確認時間Tcよりも短くなる。そのため、制御部21により、第1距離D1が基準距離RD以下となった時点で第2表示モードに切り替えられることで、操作者90に、次の第2案内地点NP2の案内情報120が予告される。
【0087】
図7および図8に示すように、制御部21は、現在位置P0から第1案内地点NP1までの第1距離D1、および、第1案内地点NP1から第2案内地点NP2までの第2距離D2、の少なくともいずれかが、現在速度に基づく基準距離RDと比較して大きいことに基づいて、HMD10を第1表示モードで表示させるように構成されている。
【0088】
図7は、第1距離D1が基準距離RDよりも大きいケースを示している。このケースでは、現在位置P0が第1案内地点NP1から十分に遠く(または現在速度が十分に低く)、操作者90に第2案内地点NP2の案内情報120を予告する必要性が低い。このため、制御部21により、直近の第1案内地点NP1の案内情報120と、案内情報120以外の他の情報とを含む第1表示モードが選択される。
【0089】
図8は、第2距離D2が基準距離RDよりも大きいケースを示している。このケースでは、第2案内地点NP2が第1案内地点NP1から十分に遠く(または現在速度が十分に低く)、操作者90が第1案内地点NP1を通過してからでも、事前確認時間Tcよりも長い時間、第2案内地点NP2の案内情報120を確認できる。このため、制御部21により、直近の第1案内地点NP1の案内情報120と、案内情報120以外の他の情報とを含む第1表示モードが選択される。
【0090】
制御部21は、このようにして、第1表示モードと第2表示モードとの選択を行う。制御部21は、HMD10の更新間隔毎に、表示モードを指定するコマンドをHMD10に送信する。HMD10の制御部11は、第1レイアウト情報41または第2レイアウト情報42を用いて、受信したコマンドに応じた表示モードとなるように表示部14を制御する。
【0091】
(表示画像の生成)
次に、図9を参照して、HMD10において表示される画像30の生成手法について説明する。
【0092】
第1実施形態では、第1表示領域30A、第2表示領域30Bおよび第3表示領域30Cにおける各表示画像は、図9に示すように、HMD10に予め記録された複数の画像要素50の組み合わせによって構成される。携帯端末20の制御部21(図2参照)は、HMD10に画像データを送信することなく、表示させる画像要素50を指示するコマンドを送信することにより、HMD10の表示制御を行うように構成されている。
【0093】
具体的には、図9には、HMD10の記憶部12(図2参照)に予め記憶される画像要素50の一部を示している。画像要素50は、0~9までの数値、進行方向を示す矢印、各種のアイコン(ピクトグラム)、などの、表示単位となる小さな画像である。個々の画像要素50は、一意の画像ID(識別情報)によって区別される。
【0094】
携帯端末20の制御部21から送信されるコマンドは、表示すべき画像要素50の指定(ID)を含む。これにより、制御部21は、表示画像に含める画像要素50の種類を、コマンドにより1つずつ指定する。
【0095】
HMD10の制御部11(図2参照)は、制御部21から受信したコマンドに基づいて、指定された画像要素50を、レイアウト情報(第1レイアウト情報41または第2レイアウト情報42)により特定される位置および大きさで配列することにより、表示画像を生成し、表示部14に出力する。これにより、第1表示領域30A、第2表示領域30Bおよび第3表示領域30Cにおける各表示画像が生成され、画像30として構築される。
【0096】
このように、制御部21は、HMD10の更新間隔毎に、表示モードを指定するコマンドと、表示させる画像要素50を指示するコマンドとをHMD10に送信することによって、HMD10の表示制御を行う。
【0097】
(配達業務の流れ)
次に、図10を参照して、第1実施形態のHMDシステム100による経路案内を伴う配達業務の流れについて説明する。HMDシステム100による経路案内は、以下の配達業務におけるステップS4およびステップS6においてそれぞれ実行される。なお、HMDシステム100およびサーバ110の構成については、図2を参照するものとする。
【0098】
まず、ステップS1において、携帯端末20が、通信部23により、サーバ110から送信された配達依頼を受信する。携帯端末20の制御部21は、受信した配達依頼を表示部24に表示するなどにより操作者90に通知する。配達依頼は、配達元および配達先の各位置情報を含み得る。操作者90は、表示された配達依頼を確認し、配達依頼を受託するか否かを決定する。
【0099】
ステップS2において、携帯端末20の制御部21は、操作者90による受託の操作入力を受け付けたことに基づいて、受信した配達依頼が受託されたか否かを判断する。配達依頼が受託された場合、制御部21はステップS3に進む。なお、制御部21は、配達依頼の受託をサーバ110へ送信する。サーバ110は、マップ情報111と、配達元を目的地Pdとする現在位置P0から配達元までの経路情報112と、配達先を目的地Pdとする配達元から配達先までの経路情報112とを、携帯端末20に送信する。なお、配達依頼が受託されずに拒否された場合、制御部21はステップS1に戻り、新たな配達依頼を受け付ける。
【0100】
ステップS3において、受託した配達依頼の荷物を受け取るため、操作者90は、自転車等を運転して配達元へ移動を開始する。
【0101】
そして、ステップS4において、HMDシステム100による経路案内処理が実行される。ステップS4では、配達元を目的地Pdとする現在位置P0から目的地Pdまでの経路情報112に基づいて、経路案内処理が行われる。経路案内処理の詳細は後述する。操作者90は、HMD10に表示された案内情報120に従って移動することにより、配達元まで移動する。配達元付近に到達すると、ステップS4の経路案内処理が終了する。
【0102】
ステップS5において、配達元に到着した操作者90が、配達物(配達すべき荷物)を受け取る。
【0103】
ステップS6において、HMDシステム100による経路案内処理が実行される。ステップS6では、配達先を目的地Pdとする配達元(現在位置P0)から目的地Pdまでの経路情報112に基づいて、経路案内処理が行われる。操作者90は、HMD10に表示された案内情報120に従って移動することにより、配達先まで移動する。配達先付近に到達すると、ステップS6の経路案内処理が終了する。
【0104】
ステップS7において、配達先に到着した操作者90が、配達物を引き渡す。以上により、1回の配達業務が完了する。
【0105】
(経路案内処理)
次に、図10のステップS4およびS6に示した経路案内処理を説明する。図11に示す経路案内処理の各ステップは、携帯端末20の制御部21により実行される。HMD10の画面表示は、携帯端末20の制御部21の指示(コマンド)に基づいて、HMD10の制御部11が実行する。なお、HMDシステム100およびサーバ110の構成については、図2を参照するものとする。
【0106】
ステップS11において、携帯端末20の制御部21は、記憶部22に記憶された事前確認時間Tcを取得する。
【0107】
ステップS12において、制御部21は、サーバ110から受信した目的地Pdまでのマップ情報111および経路情報112を記憶部22から取得する。
【0108】
ステップS13において、制御部21は、位置情報取得部26および加速度センサ27により、現在位置P0および現在速度を取得する。
【0109】
ステップS14において、制御部21は、現在速度に応じた基準距離RDを取得する。制御部21は、ステップS11で取得した事前確認時間Tcと、ステップS13で取得した現在速度とに基づいて、基準距離RDを算出する。
【0110】
ステップS15において、制御部21は、現在位置P0から第1案内地点NP1までの第1距離D1を取得する。制御部21は、経路情報112と現在位置P0とに基づき、現在位置P0から直近の第1案内地点NP1までの距離を算出することにより、第1距離D1を取得する。
【0111】
ステップS16において、制御部21は、第1距離D1が基準距離RD以下か否かを判断する。第1距離D1が基準距離RDよりも大きい場合、制御部21は、ステップS17に処理を進める。
【0112】
第1距離D1が基準距離RDよりも大きい場合、ステップS17において、制御部21は、第1表示モードで案内情報120を表示するように、HMD10を制御する。すなわち、制御部21は、通信部23により、第1表示モードを指定するコマンドと、第1表示モードにおいて表示する画像要素50を指定するコマンドとを、HMD10に送信する。HMD10の制御部11は、受信したコマンドに基づき、第1レイアウト情報41を用いて、指定された画像要素50を表示するように表示部14を制御する。この結果、操作者90は、図4に示した第1表示モードによる表示画面を確認できる。制御部21は、次の画面更新のため、処理をステップS13に戻す。
【0113】
一方、ステップS16で第1距離D1が基準距離RD以下である場合、制御部21は、ステップS18に処理を進める。ステップS18において、制御部21は、経路情報112に基づいて、第1案内地点NP1から第2案内地点NP2までの第2距離D2を取得する。
【0114】
ステップS19において、制御部21は、第2距離D2が基準距離RD以下か否かを判断する。第2距離D2が基準距離RDよりも大きい場合、制御部21は、ステップS17に処理を進め、上記の通り第1表示モード(図4参照)で画面表示を行うようにHMD10を制御する。
【0115】
一方、ステップS19で第2距離D2が基準距離RD以下である場合、制御部21は、ステップS20に処理を進める。ステップS20において、制御部21は、第2表示モードで案内情報120を表示するように、HMD10を制御する。
【0116】
すなわち、制御部21は、通信部23により、第2表示モードを指定するコマンドと、第2表示モードにおいて表示する画像要素50を指定するコマンドとを、HMD10に送信する。HMD10の制御部11は、受信したコマンドに基づき、第2レイアウト情報42を用いて、指定された画像要素50を表示するように表示部14を制御する。この結果、操作者90は、図5に示した第2表示モードによる表示画面を確認できる。制御部21は、次の画面更新のため、処理をステップS13に戻す。
【0117】
以降の経路案内処理は、ステップS13からステップS20までの処理が画面更新の度に繰り返されることにより、継続的に実施される。経路案内処理は、現在位置P0が目的地Pdに所定の許容範囲内で一致するか、または、操作者90が携帯端末20に案内終了の操作入力を行う場合に、終了される。
【0118】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0119】
第1実施形態では、上記のように、HMD10が第1表示モードと第2表示モードと、に切り替え表示可能に構成されている。これにより、HMD10が第2表示モードで動作する場合、ユーザは、第1表示領域30Aで案内された経路を通過した後の経路案内を第3表示領域30Cで予め確認しておくことができる。そのため、比較的短距離で頻繁に案内を行う必要がある状況下でも、ユーザが余裕を持って確認可能な適切な案内情報120の提供が可能となる。また、頻繁な経路案内が不要な状況などで、表示モードを第1表示モードに切り替えれば、ユーザは、第1表示領域30Aの案内情報120に加えて、案内情報120以外の情報を第2表示領域30Bで確認できるので、案内情報120以外の情報表示に関する利便性を確保することができる。そして、第2表示モードにおける第3表示領域30Cが、第1表示モードにおける第2表示領域30Bの少なくとも一部の代わりに表示されるので、自転車や自動二輪車による走行中の経路案内を行うために表示領域が制限されたHMD10でも、これらの第1表示領域30A~第3表示領域30Cの情報を十分に表示できる。以上により、自転車や自動二輪車による走行中の経路案内において、適切な案内情報120の提供が可能であり、かつ、案内情報120以外の情報表示に関する利便性を確保することができる。
【0120】
また、第1実施形態では、上記のように、第1表示領域30Aは、現在位置P0から直近の第1案内地点NP1までの案内情報120を表示し、第3表示領域30Cは、第1案内地点NP1から次の第2案内地点NP2までの案内情報120を表示する。これにより、第1表示領域30Aで第1案内地点NP1までの経路を案内している間に、第3表示領域30Cで第1案内地点NP1から第2案内地点NP2までの次の案内を予告表示できる。そのため、案内地点間の距離が短い場合でも、ユーザは、1つ先の第2案内地点NP2までの案内情報120を事前に把握できるので、安全に、かつ余裕を持って走行できる。
【0121】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部21は、現在位置P0および現在速度と、目的地Pdへの経路情報112とに基づいて、第1表示モードと第2表示モードとを切り替えるように構成されている。これにより、現在位置P0から案内地点NPまでの距離の大小や現在速度の高低の状況に応じて、自動的に第1表示モードと第2表示モードとを切り替えることができる。そのため、たとえばユーザが第1表示モードと第2表示モードとを切り替える操作等を行わなくてよいので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0122】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部21は、現在位置P0から第1案内地点NP1までの第1距離D1が、現在速度に基づく基準距離RD以下となることに基づいて、HMD10を第2表示モードで表示させるように構成されている。これにより、現在速度に応じた基準距離RDに比べて第1距離D1が小さく、短時間で第1案内地点NP1を通過することになる場合に、第2表示モードでの表示が行われる。これにより、第1案内地点NP1通過後の案内情報120を予告表示する必要性が高い状況下で、効果的な案内情報120の提供が可能となる。
【0123】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部21は、第1案内地点NP1から第2案内地点NP2までの第2距離D2が、現在速度に基づく基準距離RD以下となることに基づいて、HMD10を第2表示モードで表示させるように構成されている。これにより、案内地点NP間の第2距離D2が短く、案内情報120を確認するために十分な時間が確保できない可能性がある場合に、第1案内地点NP1通過後の案内情報120を第3表示領域30Cに予告表示することができる。その結果、案内地点NP間の距離に応じた、より適切な案内情報120の提供が可能となる。
【0124】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部21は、現在位置P0から第1案内地点NP1までの第1距離D1、および、第1案内地点NP1から第2案内地点NP2までの第2距離D2、の少なくともいずれかが、現在速度に基づく基準距離RDと比較して大きいことに基づいて、HMD10を第1表示モードで表示させるように構成されている。これにより、第1距離D1が大きく第1案内地点NP1に到達するまで時間がある場合や、第2距離D2が大きく、第1案内地点NP1通過後に第2案内地点NP2に到達するまで時間がある場合に、第1表示モードでの表示が行われる。つまり、案内情報120が必要になるタイミングまでの時間が十分にありユーザに余裕がある状況下では、自動的に第1表示モードでの表示に切り替わり、ユーザは、案内情報120とは異なる他の情報を第2表示領域30Bから確認できる。そのため、ユーザの利便性をさらに向上させることができる。
【0125】
また、第1実施形態では、上記のように、第1表示モードと第2表示モードとで、第3表示領域30Cと第2表示領域30Bとが選択的に表示される。これにより、第1表示モードでは第3表示領域30Cの全範囲を第2表示領域30Bの表示に利用でき、第2表示モードでは第2表示領域30Bの全範囲を第3表示領域30Cの表示に利用できる。そのため、HMD10の表示可能領域を有効利用できるので、第2表示領域30Bに表示される情報および第3表示領域30Cに表示される情報の、それぞれの視認性を向上させるかまたは情報量を増大させることができる。
【0126】
また、第1実施形態では、上記のように、第2表示モードにおける第1表示領域30Aと第3表示領域30Cとの合計面積が、HMD10の表示画面(つまり、画像30の全体)の50%以上である。これにより、第1表示領域30Aと第3表示領域30Cとの表示面積を大きく確保できる。そのため、第1表示領域30Aおよび第3表示領域30Cにそれぞれ表示される各案内情報120の視認性を向上させることができる。
【0127】
また、第1実施形態では、上記のように、第1表示領域30A、第2表示領域30Bおよび第3表示領域30Cにおける各表示画像は、HMD10に予め記録された複数の画像要素50の組み合わせによって構成され、制御部21は、HMD10に画像データを送信することなく、表示させる画像要素50を指示するコマンドを送信することにより、HMD10の表示制御を行うように構成されている。これにより、情報量が大きい画像データそのものを送信することなく、HMD10の画像表示を行える。これにより、送信する情報量を削減できるので、走行中の経路案内を行う場合に、HMD10の画像表示の遅延を効果的に低減することができる。
【0128】
[第2実施形態]
図12図14を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、第1表示領域30Aおよび第3表示領域30Cに、案内地点NPまでの距離と、案内地点NPにおける進行方向とを表示するように構成した上記第1実施形態とは異なり、案内地点NPまでの距離と、案内地点NPにおける進行方向とに加えて、さらに交通信号機の情報を表示する例について説明する。
【0129】
第2実施形態において、HMDシステム100のハードウェア構成は、上記第1実施形態(図2参照)と同様であるので説明を省略する。第2実施形態では、携帯端末20の制御部21が、第2表示モードにおける第1表示領域30Aおよび第3表示領域30C(図13参照)に、案内地点NPまでの距離と、案内地点NPにおける進行方向と、案内地点NPに存在する交通信号機の情報と、を含む案内情報220を表示するように構成されている。
【0130】
具体的には、図12に示すように、第2実施形態では、経路情報212の内容が、上記第1実施形態とは異なる。第2実施形態の経路情報212は、案内地点NP毎の案内情報220として、進行方向と、案内地点間の距離情報と、案内地点NPにおける交通信号機TS(図3(A)参照)の有無の情報と、を含む。
【0131】
これにより、第2実施形態では、第1表示領域30Aおよび第3表示領域30Cに表示される案内情報220は、(1)案内地点NPまでの距離と、(2)案内地点NPにおける進行方向と、(3)案内地点NPに存在する交通信号機の情報と、を含む。
【0132】
図13は、第2実施形態による第2表示モードでの動作時のHMD10の表示画面例を示す。第2実施形態では、第1表示領域30Aおよび第3表示領域30Cに、交通信号機の情報に対応するアイコン230が表示されている。
【0133】
第1表示領域30Aの方向表示31の上部に表示されたアイコン230は、第1案内地点NP1(図12の分岐点1)に交通信号機が存在することを表す。第3表示領域30Cの方向表示31の上部に表示されたアイコン230は、第2案内地点NP2(図12の分岐点2)に交通信号機が存在することを表す。
【0134】
図13の例では、さらに、第2案内地点NP2以降に続く案内地点NPにおける交通信号機の情報が、第3表示領域30Cに表示されている。第3表示領域30Cにおける十字のマーク231は、案内地点NP(分岐点)を示しており、その隣にアイコン230が表示されることで、その案内地点NPに交通信号機が存在することを示している。図13の例では、上下に並ぶ3つのマーク231が、下から順に、第3案内地点NP3(図12参照)、第4案内地点NP4(図12参照)、第5案内地点NP5(図12参照)を表す。図12に示した経路情報212の例では、分岐点3および分岐点5に交通信号機があり、分岐点4には交通信号機がない。このため、図13においても、第4案内地点NP4(分岐点4)を示す中間のマーク231の隣には、アイコン230が表示されず、その上下のマーク231の隣には、アイコン230が表示されている。
【0135】
図13では、第5案内地点NP5までの交通信号機の情報を表示する例を示しているが、交通信号機の情報を表示する案内地点NPの数は、設定変更可能である。携帯端末20の制御部21は、交通信号機の情報を表示する案内地点の数(Nとする)を、操作者90の操作入力により取得し、記憶部22に予め記憶(設定)する。制御部21は、設定値に基づき、第N案内地点までの交通信号機の情報を表示させる制御を行う。案内地点の数Nは、予め設定された固定値でもよい。
【0136】
(経路案内処理)
次に、図14を参照して、第2実施形態における経路案内処理を説明する。図14において、ステップS11~S19の処理は、上記第1実施形態(図11)と同様であるので説明を省略する。
【0137】
第2実施形態では、ステップS19で第2距離D2が基準距離RD以下である場合、携帯端末20の制御部21は、ステップS31に処理を進める。ステップS31において、制御部21は、経路情報212のうちから、第1~第N案内地点までの交通信号機の情報を取得する。
【0138】
ステップS32において、制御部21は、第2表示モードで、第1~第N案内地点までの交通信号機の情報を含む案内情報220を表示するように、HMD10を制御する。
【0139】
なお、第2実施形態によるHMDシステムのその他の構成は、上記第1実施形態によるHMDシステム100の構成と同様である。
【0140】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0141】
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、HMD10が第1表示モードと第2表示モードと、に切り替え表示可能に構成することによって、自転車や自動二輪車による走行中の経路案内において、適切な案内情報220の提供が可能であり、かつ、案内情報220以外の情報表示に関する利便性を確保することができる。
【0142】
また、第2実施形態では、上記のように、第1表示領域30Aおよび第3表示領域30Cに表示される案内情報220は、案内地点NPまでの距離と、案内地点NPにおける進行方向と、案内地点NPに存在する交通信号機の情報と、を含む。これにより、ユーザは、案内地点NPまでの距離および進行方向に加えて、交通信号機の有無を把握できる。そのため、ユーザは、たとえば見通しが悪い道路等でも、事前に把握した交通信号機の情報に基づいて速度調節等ができるので、ユーザの交通安全に寄与する有用な情報提供ができる。
【0143】
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態によるHMDシステム100の効果と同様である。
【0144】
[第3実施形態]
図15および図16を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、第2表示モードにおいて第2案内地点NP2までの案内情報120を第3表示領域30Cに表示させた上記第1実施形態とは異なり、第3表示領域30Cにおいて案内する案内地点NPの数を設定可能に構成した例について説明する。
【0145】
第3実施形態において、HMDシステム100のハードウェア構成は、上記第1実施形態(図2参照)と同様であるので説明を省略する。第3実施形態では、携帯端末20の制御部21が、第3表示領域30Cに表示させる案内情報120の数を設定可能に構成されている。
【0146】
図15に示すように、携帯端末20の制御部21(図2参照)は、たとえば案内情報表示設定画面310を表示部24に表示させ、入力受付部25を介して、操作者90からの操作入力を受け付ける。案内情報表示設定画面310における入力欄に、第3表示領域30Cに表示させる案内情報120の数が入力される。入力可能な値は、1以上の整数であれば特に限定されない。第3表示領域30Cに表示させる案内情報120の数が「1」の場合、上記第1実施形態で示した図5の例と同様の表示態様となる。
【0147】
制御部21は、2以上の案内情報120の数が設定された場合、第3表示領域30Cにおいて、第2案内地点NP2を含む、設定された数の連続する案内地点NP間のそれぞれの案内情報120を、案内順序に従って表示させるように構成されている。
【0148】
図16(A)および(B)は、第3表示領域30Cに表示させる案内情報120の数が「3」の場合の例を示す。
【0149】
図16(A)では、第3表示領域30Cにおいて、第2案内地点NP2の案内情報120b、第3案内地点の案内情報120c、および第4案内地点の案内情報120dの、連続する3箇所の案内地点の案内情報120が表示されている。なお、図16では、第1案内地点NP1の案内情報120を案内情報120aとする。第3表示領域30Cの案内情報120b~120dは、第3表示領域30Cにおける第1表示領域30A側から順番に(つまり、図16(A)の左側から右側へ順番に)、案内順序に従って配列される態様で表示されている。各案内情報120の間には、案内順序を示すマーク34が表示される。
【0150】
図16(B)に示すように、第3表示領域30Cにおいて2以上の案内地点の案内情報120を表示する場合、案内順序を示すマーク34を非表示としてもよい。
【0151】
図16では、表示部14の表示画面内(第3表示領域30C内)に、全ての案内情報120の表示を納めるように示しているが、表示画面をはみ出す形態で案内情報120を表示させてもよい。たとえば、第3表示領域30C内で、複数の案内情報120が画面外からスクロールして順番にアニメーション表示されてもよい。
【0152】
なお、第3実施形態によるHMDシステムのその他の構成は、上記第1実施形態によるHMDシステム100の構成と同様である。
【0153】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0154】
第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に、HMD10が第1表示モードと第2表示モードと、に切り替え表示可能に構成することによって、自転車や自動二輪車による走行中の経路案内において、適切な案内情報120の提供が可能であり、かつ、案内情報120以外の情報表示に関する利便性を確保することができる。
【0155】
また、第3実施形態では、上記のように、制御部21は、第3表示領域30Cに表示させる案内情報120の数を設定可能に構成され、2以上の案内情報120の数が設定された場合、第3表示領域30Cにおいて、第2案内地点NP2を含む、設定された数の連続する案内地点NP間のそれぞれの案内情報120を、案内順序に従って表示させるように構成されている。これにより、第3表示領域30Cにおいて、第2案内地点NP2までの案内情報120だけでなく、ユーザが所望する数の、第2案内地点NP2以降の案内情報120についても予告表示することができる。そのため、HMD10の限られた表示領域でも、より遠方までの経路の見通しを得ることができるので、ユーザの経路把握に寄与する情報提供ができる。
【0156】
このような第3実施形態の表示形態は、特に周辺地理および走行中の案内表示に習熟した操作者90にとっては、特に有用である。
【0157】
第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態によるHMDシステム100の効果と同様である。
【0158】
[第4実施形態]
図17および図18を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、上記第1実施形態に加えて、HMD10で表示する案内情報120の表示切り替えタイミングを設定可能に構成した例について説明する。
【0159】
第4実施形態において、HMDシステム100のハードウェア構成は、上記第1実施形態(図2参照)と同様であるので説明を省略する。第4実施形態では、携帯端末20の制御部21(図2参照)が、第1表示領域30Aに表示する案内情報120の切替タイミングを設定可能に構成されている。
【0160】
すなわち、制御部21は、第1表示領域30Aに表示中の案内地点NPに到達すると、第1表示領域30Aの表示を次の案内地点NPまでの案内情報120に切り替える制御を行う。この際、制御部21は、図17に示した案内情報120の切替タイミングの設定に基づいて、現在位置P0が案内地点NPに到達するタイミングに対して、案内情報120を次の案内地点NPの案内情報120に切り替えるタイミングを早めるかまたは遅くする。
【0161】
図17の例では、制御部21は、たとえば表示切替タイミング設定画面410を表示部24に表示させ、入力受付部25を介して、操作者90からの操作入力を受け付ける。表示切替タイミング設定画面410では、「-2、-1、0、+1、+2」の5段階のタイミング設定値が選択可能となっている。設定値「0」が、標準値であり、たとえば現在位置P0が案内地点NPに一致したタイミングとされる。これに対して、マイナス(-)の数値が設定されると、標準よりも切り替えタイミングが遅くなり、現在位置P0が案内地点NPを通過した後に次の案内情報120に表示切り替えされる。逆に、プラス(+)の数値が設定されると、標準よりも切り替えタイミングが早くなり、現在位置P0が案内地点NPを通過する前に次の案内情報120に表示切り替えされる。設定される数値(絶対値)が大きくなるほど、標準値に対する切替タイミングの変化量が大きくされる。
【0162】
図18に示すように、制御部21は、図17のタイミング設定値に基づいて、経路情報112に含まれる各案内情報120に対して、表示切替タイミングのオフセット値420を設定する。図18は、タイミング設定値=「+1」の例を示す。図18の例では、制御部21は、タイミング設定値と、案内地点間の距離情報32とに基づいて、オフセット値420を決定する。タイミング設定値がプラス(+)の場合、制御部21は、案内地点間の距離が大きい程小さなオフセット値420を設定し、案内地点間の距離が小さい程大きなオフセット値420を設定する。たとえば案内地点間の距離が100m以上の場合、タイミング設定値=「+1」に対応するオフセット値420が「5m(5m手前で表示切替)」とされ、案内地点間の距離が100m未満の場合、タイミング設定値=「+1」に対応するオフセット値420が「10m(10m手前で表示切替)」とされる。タイミング設定値がマイナス(-)の場合、案内地点間の距離が大きい程大きなオフセット値420が設定され、案内地点間の距離が小さい程小さなオフセット値420が設定される。オフセット値420は、案内地点間の距離に依存せずタイミング設定値のみによって決定される値であってもよい。
【0163】
制御部21は、経路情報112に従った経路案内処理中、案内地点NP毎の表示切替タイミングのオフセット値420に基づいて、案内情報120の表示切替のタイミングを制御する。この結果、案内情報120の切替タイミングが設定値に応じて変化する。案内情報120の切替タイミングは、第1表示モードおよび第2表示モードの両方に適用される。タイミング設定値は、5段階でなくてもよく、たとえば2段階、3段階、4段階、6段階以上でもよい。
【0164】
なお、第4実施形態によるHMDシステムのその他の構成は、上記第1実施形態によるHMDシステム100の構成と同様である。
【0165】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0166】
第4実施形態では、上記第1実施形態と同様に、HMD10が第1表示モードと第2表示モードと、に切り替え表示可能に構成することによって、自転車や自動二輪車による走行中の経路案内において、適切な案内情報120の提供が可能であり、かつ、案内情報120以外の情報表示に関する利便性を確保することができる。
【0167】
また、第4実施形態では、上記のように、制御部21は、第1表示領域30Aに表示する案内情報120の切替タイミングを設定可能に構成されている。これにより、案内情報120の切替タイミングを自由に設定できるので、ユーザが所望する適切なタイミングで、適切な案内情報120を提供することができる。
【0168】
第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態によるHMDシステム100の効果と同様である。
【0169】
[第5実施形態]
図19図21を参照して、第5実施形態について説明する。この第5実施形態では、第2表示モードで案内情報120だけが表示された上記第1実施形態とは異なり、案内情報120以外でも、特定の情報については、第1表示モードおよび第2表示モードの両方で表示される例について説明する。
【0170】
第5実施形態において、HMDシステム100のハードウェア構成は、上記第1実施形態(図2参照)と同様であるので説明を省略する。また、第5実施形態でも、上記第1実施形態と同様に、制御部21は、配達依頼を受信し、配達依頼に含まれる配達先を目的地Pdとして経路案内を行うように構成されている。
【0171】
一方、第5実施形態では、上記第1実施形態と異なり、制御部21は、配達依頼に関する所定の配達情報(以下、特定配達情報510という、図19参照)については、第1表示モードおよび第2表示モードのいずれにおいてもHMD10に表示させる制御を行うように構成されている。
【0172】
配達依頼に関する情報のうち、どの情報を特定配達情報510とするかについては、予め携帯端末20に設定されていても良いし、アプリケーション上で操作者90が任意に設定できるようにしてもよい。
【0173】
特定配達情報510は、たとえば、配達依頼のキャンセル通知である。操作者90が配達依頼を受託し、受託がサーバ110(図2)に通知された後、発送先または発送元の都合により、当該配達依頼がキャンセルされることがある。その場合、サーバ110から携帯端末20に、配達依頼のキャンセル通知が送信される。
【0174】
携帯端末20が配達依頼のキャンセル通知をサーバ110から受信した場合、制御部21は、図19および図20に示すように、特定配達情報510を示す表示(「ORDER CANCELLED」)を、HMD10に表示させる。
【0175】
この際、制御部21は、HMD10が第1表示モードで動作しているか、第2表示モードで動作しているかに関わらず、特定配達情報510を示す表示をHMD10に表示させる。図19は、第1表示モード中に特定配達情報510を示す表示を行った表示画面の例を示し、図20は、第2表示モード中に特定配達情報510を示す表示を行った表示画面の例を示す。特定配達情報510を示す表示は、予め設定された一定時間で画面から消去される。特定配達情報510を示す表示は、一定時間の間、たとえば点滅表示により、元の画面表示(案内情報120などの表示)と交互に表示されてもよい。
【0176】
特定配達情報510は、キャンセル通知以外でありうる。特定配達情報510は、たとえば配達依頼の訂正又は変更でもよい。特定配達情報510は、たとえば配達元または配達先から操作者90(配達者)に送信されたメッセージでもよい。
【0177】
(特定配達情報表示処理)
次に、図21を参照して、第5実施形態における特定配達情報510の表示処理を説明する。図21に示す特定配達情報510の表示処理は、図11に示した経路案内処理の実行中に、経路案内処理と並行して制御部21が実行する処理である。
【0178】
ステップS41において、制御部21は、通信部23によりメールやメッセージなどの情報を受信したか否かを判断する。情報を受信していない場合、処理が終了する。情報を受信した場合、制御部21は、処理をステップS42に進める。
【0179】
ステップS42において、制御部21は、受信した情報が、予め設定された特定配達情報510であるか否かを判断する。受信した情報が特定配達情報510である場合、制御部21は、ステップS43において、特定配達情報510を表示するようにHMD10を制御する。
【0180】
なお、ステップS42において、受信した情報が特定配達情報510でない場合、制御部21は、処理をステップS44に進め、HMD10が第1表示モード中か否かを判断する。
【0181】
ステップS44で第1表示モード中であると判断した場合、制御部21は、処理をステップS45に進める。ステップS45では、制御部21は、受信した情報の通知を第2表示領域30Bに表示させるように、第1表示モード中のHMD10を制御する。たとえば、受信した情報がメールまたはメッセージの場合、図4に示した第2表示領域30Bのメール情報33h、メッセージ情報33iにより、受信した情報の通知が表示される。
【0182】
ステップS44で第1表示モード中でない(第2表示モード中である)と判断した場合、制御部21は、処理をステップS46に進める。ステップS46では、制御部21は、HMD10の表示モードが第1表示モードに切り替えられた時に、受信した情報の通知を第2表示領域30Bに表示するように、HMD10を制御する。受信した情報の通知は、HMD10が第2表示モードで動作している間は、表示されない。
【0183】
ステップS43、S45、S46のいずれかの処理が行われた後、制御部21は、その情報に対する特定配達情報表示処理を完了する。第5実施形態では、制御部21は、経路案内処理の実行中、通信部23から情報を受信する度に特定配達情報表示処理を実行する。
【0184】
なお、第5実施形態によるHMDシステムのその他の構成は、上記第1実施形態によるHMDシステム100の構成と同様である。
【0185】
(第5実施形態の効果)
第5実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0186】
第5実施形態では、上記第1実施形態と同様に、HMD10が第1表示モードと第2表示モードと、に切り替え表示可能に構成することによって、自転車や自動二輪車による走行中の経路案内において、適切な案内情報120の提供が可能であり、かつ、案内情報120以外の情報表示に関する利便性を確保することができる。
【0187】
また、第5実施形態では、上記のように、制御部21は、配達依頼に関する所定の配達情報(特定配達情報510)については、第1表示モードおよび第2表示モードのいずれにおいてもHMD10に表示させる制御を行う。これにより、通常であれば第2表示領域30Bに表示される情報(案内情報120とは異なる情報)であっても、所定の配達情報(特定配達情報510)については、第2表示モードでも表示されることになる。これにより、配達依頼に関わる重要な情報の存在を、確実にユーザ(配達員)に通知することができる。そのため、HMDシステム100の利便性を向上させることができる。
【0188】
第5実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態によるHMDシステム100の効果と同様である。
【0189】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0190】
たとえば、上記第1~第5実施形態では、制御部21が、HMD10に表示させる画像要素50を指示するコマンドを送信することにより、HMD10の表示制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、制御部21が画像要素50を指示するコマンドを送信することに代えて、制御部21が表示画面の画像データをHMD10に送信することによって、HMD10の表示制御を行ってもよい。この場合、HMD10の制御部11は、受信した画像データをそのまま表示部14に表示させればよいので、HMD10の記憶部12に画像要素50やレイアウト情報(第1レイアウト情報41および第2レイアウト情報42)が記憶されている必要はない。また、第1表示モードと第2表示モードとの切り替えも、制御部21がHMD10に送信する画像データを表示モードに合わせて切り替えればよい。
【0191】
また、上記第1~第5実施形態では、HMD10が、携帯端末20の制御部21の制御信号に応じて、第1表示モードと、第2表示モードとを切り替える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえばHMD10の筐体17に操作部(スイッチ)を設け、操作者90による操作部への入力操作に応じて表示モードを切り替えてもよい。また、操作者90から音声コマンドの入力を受け付けることにより表示モードを切り替えてもよい。この場合、HMD10にマイクを設けるか、HMD10にマイクと接続する音声入力端子を設けることにより、HMD10の制御部11が表示モードを切り替える制御を行ってもよい。あるいは、携帯端末20に接続されたマイクにより入力された音声信号に基づいて制御部21が表示モードを切り替える制御を行ってもよい。
【0192】
また、上記第1~第5実施形態では、第1表示モードの第2表示領域30Bの全部に代えて、第2表示モードの第3表示領域30Cを表示させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図22に示す変形例のように、第2表示領域30Bの一部に代えて、第3表示領域30Cを表示させてもよい。図22の変形例による第2表示モードでは、第1表示領域30A、第3表示領域30Cに加えて、第2表示領域30Bの一部が表示される。
【0193】
また、上記第1~第5実施形態では、携帯端末の通信部23とHMD10の通信部13とが、Bluetooth(登録商標)通信によって無線接続される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、通信部23と通信部13とは、Wi-Fi(登録商標)通信によって無線接続されるように構成されていてもよい。通信方式はどのような方式であってもよい。また、通信部23と通信部13とは、有線接続されていてもよい。
【0194】
また、上記第1~第5実施形態では、HMD10が、ヘルメット95を介して操作者90に装着される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、HMD10は、バイザー96、メガネなどに装着されていてもよい。HMD10は、ヘッドバンドなどの専用の装着具により操作者90に装着されてもよい。
【0195】
また、上記第1~第5実施形態では、HMDシステム100の制御部21が、スマートフォン(携帯端末20)の制御部21である例を示したが、本発明はこれに限られない。HMDシステム100の制御部21は、たとえば自転車に装着されるサイクルコンピュータの制御部であってもよい。また、HMDシステム100の制御部21は、HMD10専用の制御装置として構成され、HMD10と有線または無線接続されてもよい。また、HMDシステム100の制御部21は、HMD10専用の制御装置として構成され、HMD10の筐体17に内蔵されてもよい。言い換えると、HMD10の制御部11が、上述した制御部21の処理を行うように構成してもよい。
【0196】
なお、上記第1~第5実施形態の各々を、個別の実施形態とする例を示したが、上記第1実施形態に対して、上記第2実施形態~第5実施形態の各構成のいずれか1つまたは任意の複数を組み合わせてもよい。上記第1~第5実施形態の各構成を全て組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0197】
10 HMD(ヘッドマウントディスプレイ)
21 制御部
30A 第1表示領域
30B 第2表示領域
30C 第3表示領域
50 画像要素
100 HMDシステム(ヘッドマウントディスプレイシステム)
112、212 経路情報
120、120a、120b、120c、120d、220 案内情報
510 特定配達情報(所定の配達情報)
D1 第1距離
D2 第2距離
NP 案内地点
NP1 第1案内地点
NP2 第2案内地点
P0 現在位置
Pd 目的地
RD 基準距離
TS 交通信号機
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