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特開2022-158566情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158566
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20221006BHJP
【FI】
G06Q40/02
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063558
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】593022629
【氏名又は名称】株式会社ジェーシービー
(71)【出願人】
【識別番号】518081429
【氏名又は名称】株式会社TECHFUND
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】間下 公照
(72)【発明者】
【氏名】南井 享
(72)【発明者】
【氏名】河野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】早川 裕太
(72)【発明者】
【氏名】松山 雄太
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】資金需要者による円滑な資金調達を支援する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】サーバ装置10及び複数の端末装置を備え、各装置が、ネットワークを介して相互に通信可能な資金調達プラットフォームシステム1において、情報処理装置であるサーバ装置10は、複数の資金需要者に関する情報に基づいて、資金需要者のそれぞれについて、資金提供に対する返済のリスクを評価する評価部、複数の資金需要者のそれぞれの属性に基づいて、複数の資金需要者を一つ又は複数のグループに分類する分類部及びグループのそれぞれについて、評価部により評価されたリスクに基づいて、グループに属する資金需要者に対して提供される資金を金融資産とする金融商品の組成に使用されるフレーム情報を生成する生成部を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の資金需要者に関する情報に基づいて、前記資金需要者のそれぞれについて、資金提供に対する返済のリスクを評価する評価部と、
前記複数の資金需要者のそれぞれの属性に基づいて、前記複数の資金需要者を一つ又は複数のグループに分類する分類部と、
前記グループのそれぞれについて、前記評価部により評価された前記リスクに基づいて、前記グループに属する前記資金需要者に対して提供される資金を金融資産とする金融商品の組成に使用されるフレーム情報を生成する生成部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
複数の資金需要者に関する情報は、前記資金需要者の事業活動に関する情報を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記資金需要者の事業活動に関する情報は、売上情報、決済情報、経費精算情報、経理処理情報、又は従業員情報を含む、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記属性は、前記評価部により評価された前記リスクを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記フレーム情報は、資金調達規模又は前記リスクの情報を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記フレーム情報に基づいて、前記金融商品の提供者の募集情報を外部装置に送信する第1送信部を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記募集情報の送信に応じて、前記金融商品の条件に関する見積情報を受信する受信部と、
前記見積情報に基づいて、前記金融商品の提供者を決定する決定部と
を備える、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記決定部は、前記見積情報と、予め設定された前記金融商品の条件に関する想定値とに基づいて、前記金融商品の提供者を決定する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記金融商品の購入者である資金提供者の募集情報を外部装置に送信する第2送信部を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記資金提供者は、前記金融商品の条件に関する決定又は合意を行う幹事提供者を含む、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記資金提供者は、前記幹事提供者以外の前記金融商品の購入者である一般提供者を含む、請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記金融商品の条件は、前記幹事提供者の出資比率に関する情報を含む、請求項10又は11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記資金需要者に関する情報に基づいて、前記金融商品を介して前記資金需要者に対して提供された資金の運用実績又は予測の報告情報を生成する報告部を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
コンピュータが、
複数の資金需要者に関する情報に基づいて、前記資金需要者のそれぞれについて、資金提供に対する返済のリスクを評価することと、
前記複数の資金需要者のそれぞれの属性に基づいて、前記複数の資金需要者を一つ又は複数のグループに分類することと、
前記グループのそれぞれについて、前記評価された前記リスクに基づいて、前記グループに属する前記資金需要者に対して提供される資金を金融資産とする金融商品の組成に使用されるフレーム情報を生成することと
を含む、情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータを、
複数の資金需要者に関する情報に基づいて、前記資金需要者のそれぞれについて、資金提供に対する返済のリスクを評価する評価部、
前記複数の資金需要者のそれぞれの属性に基づいて、前記複数の資金需要者を一つ又は複数のグループに分類する分類部、
前記グループのそれぞれについて、前記評価部により評価された前記リスクに基づいて、前記グループに属する前記資金需要者に対して提供される資金を金融資産とする金融商品の組成に使用されるフレーム情報を生成する生成部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
事業者は、金融機関等を利用し、事業活動に必要な資金を調達する。特許文献1には、資金調達に利用されるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-079539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
資金を提供する者が、事業者などの資金需要者のリスク評価のために、紙ベースの資料の分析や、多数の人手による情報分析が必要なケースでは、効率的なリスク評価が難しくなる場合がある。また、高額の資金調達に対する資金提供に比べ、少額の資金調達に対する資金提供では、利益が少額となるため、資金を提供する者は、少額の資金調達を望む資金需要者への資金提供に対して積極的ではない場合がある。その結果、上記のような状況において、資金需要者は円滑に資金調達を行えない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、資金需要者による円滑な資金調達の支援に関する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、複数の資金需要者に関する情報に基づいて、前記資金需要者のそれぞれについて、資金提供に対する返済のリスクを評価する評価部と、前記複数の資金需要者のそれぞれの属性に基づいて、前記複数の資金需要者を一つ又は複数のグループに分類する分類部と、前記グループのそれぞれについて、前記評価部により評価された前記リスクに基づいて、前記グループに属する前記資金需要者に対して提供される資金を金融資産とする金融商品の組成に使用されるフレーム情報を生成する生成部とを備える。
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、複数の資金需要者に関する情報に基づいて、前記資金需要者のそれぞれについて、資金提供に対する返済のリスクを評価することと、前記複数の資金需要者のそれぞれの属性に基づいて、前記複数の資金需要者を一つ又は複数のグループに分類することと、前記グループのそれぞれについて、前記評価部により評価された前記リスクに基づいて、前記グループに属する前記資金需要者に対して提供される資金を金融資産とする金融商品の組成に使用されるフレーム情報を生成することとを含む。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、複数の資金需要者に関する情報に基づいて、前記資金需要者のそれぞれについて、資金提供に対する返済のリスクを評価する評価部、前記複数の資金需要者のそれぞれの属性に基づいて、前記複数の資金需要者を一つ又は複数のグループに分類する分類部、前記グループのそれぞれについて、前記評価部により評価された前記リスクに基づいて、前記グループに属する前記資金需要者に対して提供される資金を金融資産とする金融商品の組成に使用されるフレーム情報を生成する生成部、として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、資金需要者による円滑な資金調達の支援に関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態における資金調達プラットフォームシステムの構成の一例を示す概念図である。
図2】一実施形態における資金調達プラットフォームシステムによる例示的な処理の概要を説明するための概念図である。
図3】一実施形態における資金調達プラットフォームシステムによる例示的な処理の概要を説明するための概念図である。
図4】一実施形態における資金調達プラットフォームシステムによる例示的な処理を概念的に説明するための概念図である。
図5】一実施形態における資金調達プラットフォームシステムによる例示的な処理の詳細を説明するための概念図である。
図6】一実施形態における資金調達プラットフォームシステムによる例示的な処理の詳細を説明するための概念図である。
図7】一実施形態における資金調達プラットフォームシステムによる例示的な処理の詳細を説明するための概念図である。
図8】一実施形態における資金調達プラットフォームシステムによる例示的な処理の詳細を説明するための概念図である。
図9】一実施形態におけるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、「部」や「手段」、「装置」、「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や「手段」、「装置」、「システム」の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
【0012】
以下に、本発明の一実施形態における資金調達プラットフォームシステムについて、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形し、又は各実施例を組み合わせる等して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。
【0013】
[システムの構成]
図1を参照して、本実施形態における資金調達プラットフォームシステムの構成の一例を説明する。資金調達プラットフォームシステム1は、資金調達をする資金需要者が資金提供を受け、資金提供者が資金を提供することを支援するためのシステムである。資金調達プラットフォームシステム1は、サーバ装置10、及び端末装置20,30,40,50,60を備える。各装置は、ネットワークNを介して相互に通信可能に構成されている。
【0014】
サーバ装置10は、サーバコンピュータなどの情報処理装置である。サーバ装置10は、1つの情報処理装置(又はコンピュータ。以下同様。)によって構成されてもよいし、複数の情報処理装置によって構成されてもよい。サーバ装置10は特に、資金調達をする資金需要者が資金提供を受け、資金提供者が資金を提供することを支援するための各種の処理を実行する。当該処理の詳細は後述する。
【0015】
端末装置20,30,40,50,60は、パーソナルコンピュータ、又はモバイル端末(例えば、スマートフォン)などの情報処理装置である。これらの端末装置は、例えば、資金調達プラットフォームシステム1のユーザである資金需要者、金融商品提供者、資金提供者、データ提供者、及び運営者などにより使用される。各ユーザの説明については後述する。
【0016】
ネットワークNは、無線ネットワークや有線ネットワークにより構成される。ネットワークNには、例えば、インターネット、移動体通信網、LAN(Local Area Network)など、任意のネットワークが含まれる。
【0017】
図1に示す例において、資金調達プラットフォームシステム1は、サーバ装置を1つ、端末装置を5つ含んで構成されているが、資金調達プラットフォームシステム1に含まれる装置の数はこれに限定されない。資金調達プラットフォームシステム1は、5つ未満又は6つ以上の端末装置を含んでもよいし、2つ以上のサーバ装置を含んでもよいし、他の装置を含んでもよい。なお、以降の説明において、サーバ装置の処理として記載されている処理が端末装置により実行されてもよいし、端末装置の処理として記載されている処理がサーバ装置により実行されてもよい。
【0018】
[システムの機能概要]
資金調達プラットフォームシステム1が有する機能の概要を説明する。資金調達プラットフォームシステム1は、資金を調達する資金需要者が資金提供を受け、資金提供者が資金を提供することを支援するための処理を実行する。上記の処理を実現するために、サーバ装置10は、複数の資金需要者に関する情報に基づいて、資金需要者のそれぞれについて、資金提供に対する返済のリスクを評価する機能と、上記複数の資金需要者のそれぞれの属性に基づいて、上記の複数の資金需要者を一つ又は複数のグループに分類する機能とを有する。サーバ装置10はさらに、上記グループのそれぞれについて、上記で評価されたリスクに基づいて、上記グループに含まれる資金需要者に対して提供される資金を金融資産とする金融商品の組成に使用されるフレーム情報を生成する機能を有する。これらの機能に関係するサーバ装置10(又は、資金調達プラットフォームシステム1)による処理の詳細は後述する。
【0019】
上記のとおり本実施形態によれば、サーバ装置10は、複数の資金需要者に関する情報に基づいて、資金需要者のそれぞれについて、資金提供に対する返済のリスクを評価する。その結果、資金需要者のリスク評価のために、紙ベースの資料の分析や、多数の人手による情報分析を行う場合と比較して、効率的なリスク評価を行うことが可能である。これにより、資金需要者による円滑な資金調達が可能となる。
【0020】
本実施形態における金融商品とは、予め規定されたグループに属する複数の資金需要者に対して提供される資金を金融資産とする金融商品である。本実施形態によれば、複数の資金需要者をグループにまとめることにより、資金需要を一定以上の規模にすることが可能である。また、本実施形態において、一つのグループに属する複数の資金需要者の資金需要を合算したものを一つの金融商品とする。資金提供者は、当該金融商品の購入により、グループに属する資金需要者に対して資金提供を行うことができ、その結果、一定以上の規模の資金提供を行うことが可能となる。これにより、資金提供者は、上記の金融商品を介した資金提供の方が、資金需要者に対する個別の資金提供よりも、積極的になり得るため、資金需要者による円滑な資金調達が可能となる。
【0021】
本実施形態において、複数の資金需要者を一つ又は複数のグループに分類するために使用される資金需要者の属性は、例えば、業種、地域、又は規模を含む。また、資金需要者の属性は、資金需要者の上記のように評価されたリスク(例えば、健全、注意、又はリスクあり)を含んでもよい。
【0022】
上記のとおり、資金調達プラットフォームシステム1のユーザは、資金需要者、金融商品提供者、資金提供者、データ提供者、及び運営者を含む。資金需要者は、資金の提供を望む者であり、例えば、事業者である。金融商品提供者は、資金調達プラットフォームシステム1を介して金融商品を提供する者であり、例えば、銀行、証券会社、又はフィンテック企業である。資金提供者は、金融商品を介して資金需要者に資金を提供する者であり、例えば、金融機関又は投資家である。データ提供者は、資金需要者の返済リスクの評価に使用される情報を提供する者であり、例えば、金融機関など、資金需要者の事業活動とつながりのある事業者である。運営者は、資金調達プラットフォームシステム1を介して資金需要者による資金調達の支援活動を行う事業者である。
【0023】
本実施形態において、資金需要者の返済リスクの評価に使用される情報(以下、リスク評価用情報)は、例えば、資金需要者の事業活動に関する情報を含み、データ提供者から提供される。リスク評価用情報は、例えば、売上情報、決済情報、経費精算情報、経理処理情報、又は従業員情報を含む。以下にそれぞれの情報について説明する。
【0024】
1)売上情報
売上情報は、資金需要者の事業活動における売上に関する情報である(オーソリゼーション情報を含んでもよい。)。売上情報のデータ提供者は、例えば、資金需要者の売上に関する情報を取得し管理しているカード会社、決済ネットワーク会社、又は金融機関などを含む。
【0025】
2)決済情報
決済情報は、資金需要者の事業活動における決済に関する情報であり、例えば、BtoBの決済に関する情報であってもよい。決済情報のデータ提供者は、例えば、資金需要者から決済に関する情報を得て管理している会計(クラウド)システム、SCM(Supply Chain Management)システム、若しくはERP(Enterprise Resources Planning)システムのプロバイダ、又は金融機関などを含む。
【0026】
3)経費精算情報
経費精算情報は、資金需要者による経費の精算に関する情報である。経費精算情報のデータ提供者は、例えば、資金需要者が利用する法人カードの発行者、又は資金需要者が利用する会計(クラウド)システムのプロバイダを含む。
【0027】
4)経理処理情報
経理処理情報は、資金需要者による経理処理に関する情報である。経理処理情報のデータ提供者は、例えば、資金需要者が利用する会計(クラウド)システムのプロバイダ、又は会計事務所などを含む。
【0028】
5)従業員情報
従業員情報は、事業者である資金需要者の従業員に関する情報であり、例えば、従業員の勤怠情報、又は従業員の採用情報を含む。従業員情報のデータ提供者は、例えば、需要者が利用する勤怠管理(クラウド)システム、又は採用システム(人事ソリューションシステム)のプロバイダを含む。
【0029】
[処理フローの概要]
図2及び図3を参照して、資金調達プラットフォームシステム1による処理フローの概要を説明する。以下に説明する各処理ステップは、例えば、サーバ装置10、及び端末装置20から60が有する制御部が、記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを読み込み、実行することにより実現される。
【0030】
図2を参照して、資金需要者の募集から資金提供までの処理の概要を説明する。まず、ステップS101において、サーバ装置10は、資金調達を希望する事業者(資金需要者)の募集情報を資金需要者の端末装置50に送信する。資金需要者の募集は、例えば、データ提供者、データ提供者と提携している事業者、又は運営者により行われてもよいし、他の者により行われてもよい。
【0031】
資金需要者の募集情報は、資金需要者の情報を記憶管理するデータベースとの連携により送信されてもよい。資金需要者の募集情報の送信は、任意の方法で行われ、例えば、サーバ装置10からメッセージ送信されてもよいし、端末装置50がWebページにアクセスしたことに応じて、端末装置50に送信(ダウンロード)されてもよい。
【0032】
本実施形態において、資金需要者の募集情報は、サーバ装置10から端末装置50に送信されているが、変形例として、サーバ装置10からではなく、他の装置(例えば、データ提供者などの他の事業者の装置)から端末装置50に送信されてもよい。例えば、資金需要者の募集情報を送信するサーバ装置10の機能がAPI(Application Programming Interface)により公開され、他の装置が当該APIを利用することにより、サーバ装置10から募集情報を受信し、端末装置50に当該募集情報を送信してもよい。
【0033】
次に、ステップS102において、資金需要者が募集情報に対する応募の操作を端末装置50に対して行ったことに応じて、端末装置50は、当該応募の情報をサーバ装置10へ送信する。応募の情報は、例えば、資金需要者に関する情報(例えば、事業者の名称、所在地、規模、業種、事業者のその他の属性情報を含む。)、資金提供(資金調達)を希望する金額(希望融資金額)、及び希望融資期間を含んでもよい。
【0034】
さらに、資金需要者が、自身のリスク評価用情報の提供に対して同意する操作を端末装置50に対して行ったことに応じて、端末装置50は、当該同意の情報をサーバ装置10へ送信する。資金需要者の募集に対する応募及びリスク評価用情報提供の同意は、複数の資金需要者により複数の端末装置50を介して行われる。
【0035】
なお、上記の応募及び同意の情報は、端末装置50から、他の装置(例えば、データ提供者などの他の事業者の装置)を介してサーバ装置10に送信(アップロード)されてもよい。例えば、応募及び同意の情報をサーバ装置10に送信する機能がAPIにより公開され、他の装置が当該APIを利用することにより、端末装置50から応募及び同意の情報を受信し、サーバ装置10に送信してもよい。
【0036】
次に、ステップS103において、応募及び同意を行った資金需要者のリスク評価用情報がデータ提供者の端末装置20(端末装置ではなくサーバ装置であってもよい。本実施形態において、以下同様。)からサーバ装置10へ送信される。上記のとおり、リスク評価用情報は、例えば、売上情報、決済情報、経費精算情報、経理処理情報、又は従業員情報を含む。
【0037】
なお、サーバ装置10は、データ提供者の端末装置20と、資金需要者の端末装置50のそれぞれから、資金需要者の属性情報を受信し、当該属性情報の整合性に基づいて、ステップS102における募集情報に対する応募の虚偽など、応募の不正を判定してもよい。
【0038】
次に、ステップS104において、サーバ装置10は、上記応募のあった複数の資金需要者のそれぞれの属性に基づいて、当該複数の資金需要者を一つ又は複数のグループに分類する。また、サーバ装置10は、上記応募及び同意のあった複数の資金需要者に関する情報に基づいて、各資金需要者について、資金提供に対する返済のリスクを評価する。サーバ装置10はさらに、分類された資金需要者のグループのそれぞれについて、上記で評価されたリスクに基づいて、上記グループに含まれる資金需要者に対して提供される資金を金融資産とする金融商品の組成に使用されるフレーム情報を生成する。
【0039】
資金需要者に対して提供される資金は、例えば、資金需要者が調達を希望する資金の額であってもよいし、当該希望する資金の額と所定の基準に基づいて決定された資金の額であってもよい。フレーム情報は、例えば、グループに属する資金需要者に関する情報、グループに含まれる資金需要者に提供される資金の金額の総計(資金調達規模)、及び上記で評価されたリスクの情報(例えば、健全、注意、又はリスクあり)を含む。
【0040】
次に、スップS105において、サーバ装置10は、金融商品の商品条件に関する想定値を算定又は設定する。例えば、サーバ装置10は、ステップS104で生成されたフレーム情報が示す資金需要者に提供される資金について、資金調達手段の最適化(最適な資金調達手段の選択)、並びに、調達規模、利率、及び手数料の想定値の算定処理を行う。サーバ装置10はさらに、資金需要者に提供される資金の返済条件、担保条件、及びその他の諸条件の想定値を設定する。
【0041】
資金調達手段は、例えば、銀行、公的機関、債権の証券化(証券会社を活用)、STO(Security Token Offering)、DeFi(Decentralized Finance)、又はその他の調達手段を含む。資金調達手段の最適化の処理は、例えば、各資金調達手段について、フレーム情報に応じて、想定利率及び手数料の算出、並びにリスクの評価が行われ、当該算出及び評価の結果に基づいて、最適な資金調達手段の選択が行われる。資金調達手段の最適化の処理は、例えば、当該処理の時点における銀行又は公的機関の金利、又は融資期間等に基づいて行われる。
【0042】
利率の算定の処理は、例えば、上記で評価されたリスク情報に基づいて行われる。算定される利率は、複数種類であってもよく、例えば、資金提供者向け利率、及び資金需要者向け利率を含んでもよい。また、算定される資金提供者向け利率は、後述する資金提供者の幹事向け(優遇利率)と、一般の資金提供者向け(一般利率)とで異なる値が算定されてもよい。
【0043】
手数料の算定は、例えば、資金調達手段の最適化により選択された資金調達手段に基づいて算定される。算定される手数料は、複数種類であってもよく、例えば、データ提供者に還元される手数料、及び金融商品提供者向け手数料を含んでもよい。
【0044】
資金の返済条件、担保条件、及びその他の諸条件は、所定の条件に従って、又は運営者による操作入力に応じて、設定される。
【0045】
ステップS105において、サーバ装置10はさらに、所定の条件に従って、又は運営者による操作入力に応じて、後述する資金提供者の幹事提供者及び一般提供者の出資比率の想定値を算定してもよい。
【0046】
上記の想定値の算定又は設定の処理は、機械学習又は深層学習などの人工知能技術を利用して実行されてもよい。例えば、まず、評価されたリスク情報と、銀行又は公的機関の金利と、融資期間とを説明変数とし、利率及び手数料を目的変数として学習されたモデルを生成する。その後、当該モデルに対して、評価されたリスク情報と、銀行又は公的機関の金利と、融資期間とを入力することにより、利率及び手数料の想定値を算出してもよい。
【0047】
図4を参照して、図2のステップS105でサーバ装置10により算定及び設定された商品条件の想定値の例を説明する。図4には、資金需要者の属性である上記のリスクに基づいて分類された資金需要者のグループとして、リスク群、注意群、及び健全群が示されている。リスク群のグループには、商品条件として、金利:10%、手数料:5%、担保:要が設定されている。注意群のグループには、商品条件として、金利:6%、手数料:5%、担保:不要が設定されている。健全群のグループには、商品条件として、金利:4%、手数料:5%、担保:不要が設定されている。
【0048】
次に、ステップS106において、まず、金融商品提供者の募集のために、サーバ装置10は、一つ又は複数の金融商品提供者(の候補者)の端末装置30などの外部装置に、ステップS104で生成されたフレーム情報と、ステップS105で算定及び設定された想定値とを商品条件(商品仕様)の想定値とする金融商品の情報(金融商品提供者の募集情報)を送信し、開示する。送信される金融商品提供者の募集情報はさらに、金融商品を金融商品提供者の候補者が提供する場合の見積と、当該金融商品の提供についての入札とを依頼する情報を含む。
【0049】
見積は、金融商品の商品条件に関する見積である。見積は、例えば、金融商品提供者の候補者が、フレーム情報(例えば、グループに含まれる資金需要者に関する情報、グループに含まれる資金需要者に提供される資金の金額の総計、及び上記で評価されたリスクの情報)を考慮して金融商品を提供する場合における、金利、手数料、及び担保要否の見積を含む。すなわち、見積が示す値は、商品条件の想定値と異なる値であってもよい。
【0050】
端末装置30は、金融商品提供者の候補者による操作入力に応じて、受信した金融商品提供者の募集情報に対する見積及び入札の情報をサーバ装置10に送信する。
【0051】
サーバ装置10は、複数の端末装置30(すなわち、複数の金融商品提供者の候補者)から受信した見積と、上記で算定(予め設定)された商品条件の想定値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、提供者を募集した金融商品についての金融商品提供者を決定する。例えば、サーバ装置10は、見積が商品条件の想定値に最も近い入札者を金融商品提供者として決定してもよい。または、サーバ装置10は、上記比較の結果に基づいて、所定数(例えば、3事業者)の金融商品提供者の候補者を選択し、その中から、運営者による操作入力に基づいて、最終的な金融商品提供者を決定してもよい。最終的な金融商品提供者は、一事業者であってもよいし、複数事業者であってもよい。サーバ装置10は、決定した金融商品提供者が提示した見積が示す情報を金融商品の条件として決定する。
【0052】
次に、ステップS107において、資金需要者に条件を提示するために、サーバ装置10は、金融商品が示す資金需要者のグループに属する資金需要者の端末装置50に、ステップS106で決定した金融商品の条件の情報(金融商品条件情報)を送信する。
【0053】
資金需要者は、端末装置50が受信した金融商品条件情報を確認し、同意する場合、端末装置50に対して同意のための操作を行う。端末装置50は、資金需要者による同意の操作に応じて、同意情報をサーバ装置10に送信する。当該同意情報は、資金需要者による資金調達希望の本申込に相当する。条件の同意(申込)は、例えば、金融商品提供者に対するものであるが、運営者など他の者に対する同意であってもよい。
【0054】
次に、ステップS108において、サーバ装置10は、ステップS107で複数の端末装置50から受信した同意情報に応じて、金融商品の条件の内容を調整する。例えば、ステップS107で金融商品条件情報に対して同意せず、グループから脱退した資金需要者がいた場合、同意を得た資金需要者の情報に応じて、金融商品の条件のうち、調達規模の情報を更新する。
【0055】
サーバ装置10は、更新後の金融商品条件情報を金融商品提供者の端末装置30に送信し、金融商品提供者が当該金融商品条件情報に同意したことに応じて、同意情報を端末装置30から受信する。
【0056】
ステップS109において、金融商品を購入することにより資金提供を行う資金提供者のうち、幹事提供者を募集するために、サーバ装置10は、幹事提供者の募集情報を資金提供者(の候補)の端末装置40などの外部装置に送信する。幹事提供者は、金融商品の条件のうち、資金提供者に関係する条件(例えば、資金提供者向け利率など)に関する決定又は合意を行う権利を有する資金提供者である。
【0057】
資金提供者は、端末装置40が受信した幹事提供者の募集情報を確認し、幹事提供者に応募する場合、端末装置40を介して応募の操作を行う。端末装置40は、応募の操作に応じて、幹事提供者の応募情報をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、受信した応募情報に応じて、幹事提供者を決定する。なお、運営者又はデータ提供者が幹事提供者になってもよい。
【0058】
ステップS110において、金融商品を購入することにより資金提供を行う資金提供者のうち、一般提供者を募集するために、金融商品提供者の端末装置30は、一般提供者の募集情報を資金提供者(の候補)の端末装置40などの外部装置に送信する。一般提供者は、幹事提供者以外の資金提供者(すなわち、金融商品の購入者)である。
【0059】
なお、金融商品の上記の商品条件は、資金提供者の幹事提供者又は一般提供者の出資比率を含んでもよい。例えば、商品条件は、調達規模における幹事提供者の出資比率が50%以上という条件を含んでもよい。
【0060】
ステップS111において、資金提供者は、端末装置40が受信した一般提供者の募集情報を確認し、一般提供者に応募する(すなわち、金融商品を購入する)場合、端末装置40を介して応募(すなわち、金融商品の購入申込)の操作を行う。端末装置40は、応募の操作に応じて、一般提供者の応募情報をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、受信した応募情報に応じて、一般提供者を決定する。
【0061】
なお、金融商品は、STO(Security Token Offering)又はステーキングなど、仮想通貨の仕組みを用いて一般提供者に販売されてもよい。
【0062】
また、金融商品提供者の販売チャネルとして他の事業者が金融商品を販売可能とするために、サーバ装置10又は金融商品提供者のサーバ装置からAPIが提供されてもよい。金融商品提供者以外の事業者は、当該APIを利用して金融商品を販売することが可能となる。
【0063】
ステップS112において、金融商品提供者の端末装置30は、幹事提供者及び一般提供者により金融商品が購入され資金が提供された後、資金需要者に対して資金提供を行うための処理を実行する。資金提供を行うための処理は、例えば、資金を資金需要者の口座に振込む処理を含んでもよい。資金提供を行うための処理は、サーバ装置10又は他の装置により実行されてもよい。
【0064】
次に、図3を参照して、資金需要者への資金提供後から償還及び還元までの処理の概要を説明する。まず、ステップS201において、データ提供者の端末装置20は、資金需要者に提供された資金の返済(償還)状況及び返済能力などをモニタリングするための情報(モニタリング用情報)をサーバ装置10に送信する。モニタリング用情報は、例えば、前述のリスク評価用情報と同様に、売上情報、決済情報、経費精算情報、経理処理情報、又は従業員情報を含んでもよい。
【0065】
次に、ステップS202において、サーバ装置10は、端末装置20から受信したモニタリング用情報に基づいて、資金需要者に提供された資金の返済状況及び返済能力をモニタリングする。資金の返済状況は、例えば、モニタリング用情報に含まれる経理処理情報に基づいてモニタリングされる。資金の返済能力は、例えば、モニタリング用情報に含まれる売上情報、決済情報、経費精算情報、又は従業員情報の変化に基づいてモニタリングされる。例えば、売上が下がっている場合、又は決済が遅れている場合、資金の返済能力が下がっていると判断されてもよい。また、売上が上昇している場合、又は従業員数が上昇している場合、資金の返済能力が上がっていると判断されてもよい。
【0066】
次に、ステップS203において、サーバ装置10は、資金需要者に関する情報に基づいて、金融商品を介して資金需要者に対して提供された資金の運用実績又は運用予測についての報告情報を生成する。資金需要者に関する情報は、例えば、ステップS201でサーバ装置10が受信したモニタリング用情報、及び外部で公開されている資金需要者に関する情報(例えば、決算情報及びニュース)を含む。資金の運用実績の報告情報は、例えば、ステップS202でモニタリングされた返済状況の情報を使用して生成されてもよい。資金の運用予測は、例えば、ステップS202でモニタリングされた返済能力の情報を使用して生成されてもよい。
【0067】
次に、ステップS204において、サーバ装置10は、ステップS203で生成された資金の運用実績又は運用予測についての報告情報を金融商品提供者の端末装置30及び資金提供者の端末装置40に送信する。金融商品提供者及び資金提供者は、端末装置30又は端末装置40を介して受信した報告情報を確認することができる。
【0068】
ステップS205において、資金需要者の端末装置50は、資金需要者の操作入力に応じて、提供された資金を金融商品提供者に返済(償還)するための処理を実行する。返済するための処理は、例えば、金融商品提供者の口座に振込む処理を含んでもよい。返済は、金融商品の条件に従ったタイミングで行われる。変形例として、資金需要者による資金の返済は、金融商品提供者に対して直接行われるのではなく、仲介業者を介して行われてもよい。また、運用者又はデータ提供者が、資金需要者に対して反対債権を有する場合、サーバ装置10又は端末装置20が当該反対債権を充当する処理を実行ことで返済されてもよい。
【0069】
次に、ステップS206において、端末装置30は、金融商品の条件及び資金の運用実績に基づいて、資金提供者に還元する金額又はその他の価値を算出し、当該算出の結果に基づいて、資金提供者に還元する処理を実行する。還元する処理は、例えば、資金提供者の口座に振込む処理を含んでもよい。また、ステップS206において、端末装置30は、金融商品の条件及び資金の運用実績に基づいて、データ提供者に分配する報酬を算出し、当該算出の結果に基づいて、データ提供者に報酬を分配する処理を実行してもよい。分配する処理は、例えば、データ提供者の口座に振込む処理を含んでもよい。
【0070】
なお、資金需要者から償還されなかった資金について、運用者又は金融商品提供者は、当該資金を含んだジャンク債として金融商品を組成し、一般消費者に販売してもよい。運用者又は金融商品提供者は、当該ジャンク債の運用実績に基づいて、資金供給者に還元してもよい。
【0071】
ステップS207において、サーバ装置10は、資金需要者又は資金提供者に対して、会計処理に関するデータ提供、会計処理の実行を行う。例えば、資金需要者若しくは資金提供者の会計システムへのデータ送信、又は資金需要者若しくは資金提供者のシステムへ会計処理結果の送信を行ってもよい。なお、ステップS207の処理は、任意のタイミングで実行される。
【0072】
[処理フローの詳細]
図5から図8を参照して、資金調達プラットフォームシステム1による処理フローの詳細を説明する。以下に説明する各処理ステップは、例えば、サーバ装置10、及び端末装置20から60が有する制御部が、記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを読み込み、実行することにより実現される。上記で既に説明した内容については、説明を簡略化又は省略する。
【0073】
まず、図5のステップS1011において、端末装置60は、運用者による資金需要者の募集のための操作入力に応じて、資金需要者の募集指示をサーバ装置10に送信する。資金需要者の募集指示は、端末装置60により開始されるのではなく、所定の条件に従ってサーバ装置10において開始されるなど、他の方法により開始されてもよい。
【0074】
ステップS1012において、サーバ装置10は、資金需要者の募集情報を複数の端末装置50に送信する。資金需要者の募集情報を受信した端末装置50は、資金需要者による操作入力に応じて、当該募集情報を端末装置50の表示部に表示する。
【0075】
ステップS1021において、資金需要者が募集情報に対する応募の操作と、自身のリスク評価用情報の提供に対して同意する操作とを端末装置50に対して行ったことに応じて、端末装置50は、当該応募及び合意の情報をサーバ装置10へ送信する。送信される応募の情報は、例えば、資金需要者に関する情報(例えば、事業者の名称、所在地、規模、業種、事業者のその他の属性情報を含む。)、資金提供(資金調達)を希望する金額(希望融資金額)、及び希望融資期間を含んでもよい。
【0076】
ステップS1022において、サーバ装置10は、端末装置50から受信した募集情報に対する応募のうち、虚偽の応募を特定し、排除する。例えば、サーバ装置10は、データ提供者の端末装置20などから予め受信し記憶部に記憶した資金需要者の属性情報と、ステップS1021で資金需要者の端末装置50から受信した資金需要者の属性情報とを比較し、属性情報の整合性に基づいて応募が虚偽であるか否かを判断してもよい。この場合において、サーバ装置10は、属性情報が整合する場合、応募は正当であると判断し、整合しない場合、応募は虚偽内容を含むと判断してもよい。
【0077】
ステップS1023において、サーバ装置10は、複数の端末装置50から受信した応募のうち、ステップS1022で正当であると判断された応募に含まれる情報及び上記の合意の情報を資金需要者の応募情報としてサーバ装置10の記憶部に記憶する。
【0078】
ステップS1031において、サーバ装置10は、ステップS1023で応募情報が記憶された資金需要者の返済リスクの評価に使用される評価用情報の提供依頼を端末装置20へ送信する。
【0079】
ステップS1032において、端末装置20は、受信した評価用情報の提供依頼に応じて、資金需要者の評価用情報をサーバ装置10に送信する。リスク評価用情報は、例えば、データ提供者が記憶管理している売上情報、決済情報、経費精算情報、経理処理情報、又は従業員情報を含む。リスク評価用情報は、さらに、Webクローリングやその他の方法により、外部から収集されてもよい。外部から収集されるリスク評価用情報は、例えば、資金需要者の事業運営情報(信用調査会社情報)、顧客からの評判(Webページ、又はソーシャルネットワーキングサイトからの情報)、又は市場での評判(信用調査会社情報、証券・金融機関等の情報)を含む。
【0080】
次に、図6のステップS1041において、サーバ装置10は、サーバ装置10は、応募(虚偽応募を除く)のあった複数の資金需要者のそれぞれの属性に基づいて、当該複数の資金需要者を一つ又は複数のグループに分類する。応募のあった資金需要者の情報、及び資金需要者の属性情報は、例えば、サーバ装置10の記憶部を参照することにより取得される。
【0081】
また、サーバ装置10は、記憶部を参照し、応募のあった複数の資金需要者に関する情報に基づいて、各資金需要者について、資金提供に対する返済のリスクを評価する。評価されたリスクの情報は、例えば、健全、注意、又はリスクありを含む。サーバ装置10は、資金需要者の情報に対応付けて、グループ及びリスクの情報を記憶部に記憶する。
【0082】
ステップS1042において、サーバ装置10は、分類された資金需要者のグループのそれぞれについて、上記で評価されたリスクに基づいて、上記グループに含まれる資金需要者に対して提供される資金を金融資産とする金融商品の組成に使用されるフレーム情報を生成する。フレーム情報は、例えば、グループに属する資金需要者に関する情報、グループに含まれる資金需要者に提供される資金の金額の総計(資金調達規模)、及び上記で評価されたリスクの情報を含む。サーバ装置10は、生成したフレーム情報を記憶部に記憶する。
【0083】
ステップS1051において、サーバ装置10は、フレーム情報又は運営者による端末装置60への操作入力の少なくとも一方に基づいて、金融商品の商品条件に関する想定値を算定又は設定する。金融商品の商品条件に関する想定値は、例えば、最適化な資金調達手段(最適な資金調達手段の選択)、並びに、調達規模、利率、手数料、資金の返済条件、担保条件、及びその他の諸条件の想定値を含む。サーバ装置は、設定又は算定した想定値を記憶部に記憶する。
【0084】
ステップS1061において、サーバ装置10は、記憶部を参照して、一つ又は複数の金融商品提供者(の候補者)の端末装置30に、ステップS1042で生成されたフレーム情報と、ステップS1051で算定及び設定された想定値とを商品条件(商品仕様)の想定値とする金融商品の情報(金融商品提供者の募集情報)を送信する。
【0085】
ステップS1062において、サーバ装置10は、記憶部を参照して、金融商品提供者の候補者が募集に係る金融商品を提供する場合の見積と、当該金融商品の提供についての入札とを依頼する情報を端末装置30に送信する。
【0086】
ステップS1063において、端末装置30は、金融商品提供者による操作入力に応じて、見積及び入札の情報をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、複数の端末装置30を介して異なる複数の見積及び入札の情報を受信し、記憶部に記憶する。
【0087】
ステップS1064において、サーバ装置10は、記憶部を参照し、複数の端末装置30から受信した見積と、上記で予め設定された商品条件の想定値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、提供者を募集した金融商品についての金融商品提供者を決定する。例えば、サーバ装置10は、見積が商品条件の想定値に最も近い入札者を金融商品提供者として決定してもよい。サーバ装置10は、決定した金融商品提供者の情報を記憶部に記憶する。
【0088】
次に、図7のステップS1071において、サーバ装置10は、記憶部を参照して、金融商品に係る資金需要者のグループに属する資金需要者の端末装置50に、当該金融商品の金融商品条件情報を送信する。
【0089】
ステップS1072において、端末装置50は、資金需要者による金融商品条件への同意の操作に応じて、同意情報をサーバ装置10に送信する。端末装置50は、端末装置50から受信した同意情報を記憶部に記憶する。
【0090】
ステップS1073において、サーバ装置10は、ステップS1072で端末装置50から同意情報を受信したことに応じて、資金需要者による金融商品の購買の正式な申込(本申込)情報を端末装置30に送信する。
【0091】
ステップS1081において、サーバ装置10は、記憶部を参照して、資金需要者による金融商品条件への同意の有無に応じて、金融商品条件の内容を更新して記憶部に記憶する。例えば、金融商品条件情報に対して同意せず、グループから脱退した資金需要者がいた場合、サーバ装置10は、同意を得た資金需要者の情報に応じて、金融商品条件のうち、調達規模の情報を更新して記憶部に記憶する。
【0092】
ステップS1082において、サーバ装置10は、更新後の金融商品条件情報を端末装置30へ送信する。端末装置30は、受信した更新後の金融商品条件情報を記憶部へ記憶する。
【0093】
ステップS1083において、端末装置30は、金融商品提供者による更新後の金融商品条件に対する同意の操作に応じて、同意情報をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、受信した同意情報を記憶部に記憶する。
【0094】
ステップS1091において、資金提供者のうち、幹事提供者を募集するために、サーバ装置10は、幹事提供者の募集情報を端末装置40に送信する。
【0095】
ステップS1092において、端末装置40は、資金提供者による幹事提供者になることへの合意の操作に応じて、合意情報をサーバ装置10へ送信する。サーバ装置10は、端末装置40から受信した合意情報を記憶部へ記憶する。
【0096】
ステップS1093において、サーバ装置10は、記憶部を参照して、幹事提供者の合意情報を端末装置30へ送信する。端末装置30は、受信した合意情報を記憶部に記憶する。
【0097】
次に、図8のステップS1101において、端末装置30は、記憶部を参照して、一般提供者を募集するために、一般提供者の募集情報を端末装置40に送信する。
【0098】
ステップS1111において、端末装置40は、一般提供者として金融商品を購買する操作に応じて、応募情報(購買申込)をサーバ装置10へ送信する。サーバ装置10は、端末装置40から受信した応募情報を記憶部へ記憶する。さらに、端末装置40は、資金提供者による操作に応じて、資金提供のための処理を実行する。資金提供のための処理は、例えば、資金を金融商品提供者の口座に振込む処理を含んでもよい。
【0099】
ステップS1121において、端末装置30は、ステップS1111の処理に応じて、資金需要者への資金提供のための処理を実行する。資金提供のための処理は、例えば、資金を資金需要者の口座に振込む処理を含んでもよい。
【0100】
ステップS2011において、端末装置20は、資金需要者に提供された資金の返済状況及び返済能力などをモニタリングするためのモニタリング用情報をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、受信したモニタリング用情報を記憶部に記憶する。
【0101】
ステップS2021において、サーバ装置10は、ステップS2011で受信したモニタリング用情報に基づいて、資金需要者に提供された資金の返済状況及び返済能力をモニタリングする。
【0102】
ステップS2031において、サーバ装置10は、記憶部を参照し、資金需要者に関する情報(モニタリング用情報を含む。)に基づいて、金融商品を介して資金需要者に対して提供された資金の運用実績又は運用予測についての報告情報を生成する。サーバ装置10は、生成した報告情報を記憶部に記憶する。
【0103】
ステップS2041において、サーバ装置10は、ステップS2031で生成した報告情報を端末装置30に送信する。ステップS2042において、サーバ装置10はさらに、ステップS2031で生成した報告情報を端末装置40にも送信する。
【0104】
ステップS2051において、端末装置50は、記憶部を参照して、資金需要者の操作入力又は所定の条件に従って、資金を金融商品提供者に返済(償還)するための処理を実行する。返済するための処理は、例えば、金融商品提供者の口座に振込む処理を含んでもよい。
【0105】
ステップS2061において、端末装置30は、記憶部を参照して、金融商品の条件及び資金の運用実績に基づいて、資金提供者に還元する金額又はその他の価値を算出し、当該算出の結果に基づいて、資金提供者に還元する処理を実行する。還元する処理は、例えば、資金提供者の口座に振込む処理を含んでもよい。ステップS2062において、端末装置30は、記憶部を参照して、金融商品の条件及び資金の運用実績に基づいて、データ提供者に分配する報酬を算出し、当該算出の結果に基づいて、データ提供者に報酬を分配する処理を実行する。分配する処理は、例えば、データ提供者の口座に振込む処理を含んでもよい。
【0106】
ステップS2071において、サーバ装置10は、記憶部を参照して、資金需要者又は資金提供者に対する会計サポート処理を実行する。会計サポート処理は、例えば、資金需要者若しくは資金提供者の会計システムへのデータ送信、又は資金需要者若しくは資金提供者のシステムへ会計処理結果の送信を含む。
【0107】
以上のように本実施形態によれば、サーバ装置10は、複数の資金需要者に関する情報に基づいて、資金需要者のそれぞれについて、資金提供に対する返済のリスクを評価する。その結果、資金需要者のリスク評価のために、紙ベースの資料の分析や、多数の人手による情報分析を行う場合と比較して、効率的なリスク評価を行うことが可能である。これにより、資金需要者による円滑な資金調達が可能となる。
【0108】
また、本実施形態によれば、複数の資金需要者をグループにまとめることにより、資金需要を一定以上の規模にすることが可能である。また、本実施形態において、一つのグループに属する複数の資金需要者の資金需要を合算したものを一つの金融商品とする。資金提供者は、当該金融商品の購入により、グループに属する資金需要者に対して資金提供を行うことができ、その結果、一定以上の規模の資金提供を行うことが可能となる。これにより、資金提供者は、上記の金融商品を介した資金提供の方が、資金需要者に対する個別の資金提供よりも、積極的になり得るため、資金需要者による円滑な資金調達が可能となる。
【0109】
なお、本実施形態において、資金調達プラットフォームシステム1のユーザは、資金需要者、金融商品提供者、資金提供者、データ提供者、及び運営者を含むことを前提に説明をしたが、これらは、ユーザの役割にすぎない。そのため、例えば、一事業者が資金需要者、金融商品提供者、資金提供者、データ提供者、及び運営者のうち複数の役割を担ってもよい。また、複数の事業者が共同で一つの役割を担ってもよい。
【0110】
また、本実施形態において、資金需要者に提供される資金は、典型的には現金ですが、これに限定されず、仮想通貨、電子マネー、又はその他の価値の形式であってもよい。
【0111】
[ハードウェア構成]
図9を参照して、サーバ装置10又は端末装置20,30,40,50,60をコンピュータ800により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0112】
図9に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811、及び表示装置813を含む。
【0113】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ800における各種の処理を制御する制御部である。
【0114】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0115】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0116】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0117】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0118】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0119】
表示装置813は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置813の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示装置813は、コンピュータ800の外部に設けられても良い。その場合、表示装置813は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ800に接続される。また、入力I/F部807としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置813は、入力I/F部807と一体化して構成することが可能である。
【0120】
[変形例]
本実施形態における資金調達プラットフォームシステム1(または、サーバ装置10及び端末装置20,30,40)を実装するためのプログラムは、CD-ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0121】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0122】
1 資金調達プラットフォームシステム
10 サーバ装置
20,30,40,50,60 端末装置
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9