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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158568
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/04 20060101AFI20221006BHJP
   E06B 1/04 20060101ALI20221006BHJP
   E06B 1/12 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
E06B3/04
E06B1/04 Z
E06B1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063563
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神山 功治
(72)【発明者】
【氏名】廻 朋志
【テーマコード(参考)】
2E011
2E014
【Fターム(参考)】
2E011AD01
2E011AD02
2E011AD03
2E011AD04
2E011AF07
2E014AA01
2E014BA01
2E014BA08
2E014BB00
2E014BC10
2E014BD06
(57)【要約】
【課題】製造および組み立て工程において人為的ミスをなくし、作業者負担を軽減するとともに外観品質を低下させることのない建具を提供する。
【解決手段】建具の上枠18における金属上枠18aには該金属上枠18aの製造情報および組立情報の少なくとも一方にかかる情報がレーザマーカーによって印字されたレーザマーキングM1が設けられている。レーザマーキングM1は組み立て後に他の部材、他の構成部品または取り付けられる躯体25によって覆われる箇所に設けられている。レーザマーキングM1は二次元コードM1aおよび文字情報M1bを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の枠材が組み立てられて構成された建具であって、
前記枠材の少なくとも1つには、該枠材の製造情報および組立情報の少なくとも一方にかかる情報がレーザマーカーによって印字されたレーザマーキングが付されており、
前記レーザマーキングは組み立て後に他の前記枠材、他の構成部品または取り付けられる躯体によって覆われる箇所に設けられていることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記枠材が四周枠組みした枠体と、
前記枠体の内周側に配置される面材と、
を有し、
前記レーザマーキングは前記枠体における前記面材の端面との対向面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記枠材は四周枠組みした枠体を構成し、
前記枠体のうち縦材および横材の一方の端部には前記レーザマーキングが付されており、該端部は他方における見込み方向の両側が壁部で覆われた嵌込部に嵌め込まれ、
前記レーザマーキングは前記嵌込部を構成する前記壁部によって覆われることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の枠材を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
ドアや窓などの建具は複数の枠材を有している。これらの枠材は組み立て工程においてそれぞれ手配番号、生産順番などを確認する必要から所定情報がプリントされたラベルを貼り付けていることがある。しかし、ラベルは脱落、貼り付け間違いなどの人為的ミスが発生する懸念があるとともに、貼り付け前には枠材ごとに異なるラベルを用意および管理する手間がある。また、このようなラベルは製造および組み立てに関する情報をプリントしたものであって、完成後の製品としては不要なものであることから出荷前には剥がす場合があり、作業者の負担となる。一方、このような情報管理は枠材ごとにRFIDなどの電子タグを取り付けることによって行うことも考えられるが、電子タグはラベルと同様の不都合があり、しかもコスト高となる。
【0003】
枠材に所定情報を付するための技術としては、例えば特許文献1に記載されているようなレーザマーキングを用いることが考えられる。レーザマーキングによればラベルのような脱落や貼り間違いのミスが発生しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-165659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のレーザマーキングに記録されている情報は、製品の廃棄に至るまでのライフサイクルで適宜読み取られるものである。そして補修、解体、再使用等何らかの処置が加えられた際には、情報を追加もしくは更新するというものであり、製造および組み立て工程において利用されるものではない。また、このレーザマーキングは枠材が組み立てられて製品として完成した後にも外部から読取可能な位置に設ける必要がある。このような情報表示は当然ユーザにも視認されるものであり外観品質が低下することになる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、製造および組み立て工程における情報管理において人為的ミスをなくし、作業者負担を軽減するとともに外観品質を低下させることのない建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる建具は、複数の枠材が組み立てられて構成された建具であって、前記枠材の少なくとも1つには、該枠材の製造情報および組立情報の少なくとも一方にかかる情報がレーザマーカーによって印字されたレーザマーキングが付されており、前記レーザマーキングは組み立て後に他の前記枠材、他の構成部品または取り付けられる躯体によって覆われる箇所に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる建具は、製造および組み立て工程における情報管理において、ラベルのように貼り付けミスや脱落などの人為的ミスがなくなり、作業者負担を軽減することができるとともに、製造および組み立て工程後には不要であることから視認されない位置に付することができ、外観品質を低下させることがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態にかかる建具を示す模式正面図である。
図2】建具の分解斜視図である。
図3】上枠の分解斜視図である。
図4】下枠の分解斜視図である。
図5】右縦枠の分解斜視図である。
図6】上框の分解斜視図である。
図7】上框と左縦框の一部拡大分解斜視図である。
図8】右縦框の分解斜視図である。
図9】レーザマーキングを示す模式図である。
図10】変形例にかかる框と面材との分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる建具の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、本発明にかかる実施形態である建具10を示す模式正面図である。建具10は、枠体12と、框組構造体であるドアパネル14とを備え、枠体12及びドアパネル14の間に介在させた複数のドアリンク38により回転可能となる状態でドアパネル14を枠体12に支持させたものである。枠体12は、上枠18、下枠20、右縦枠22および左縦枠24を備え、これらを四周枠組みすることによって縦長の長方形状に構成したものである。建具10は開き窓であるが、引戸、ドアなどであってもよい。
【0012】
本出願において、見込み方向とは建具10の室内外方向、(図中に矢印Zで示す。図1では紙面の垂直方向)をいう。見込み面とは見込み方向に沿って延在する面をいう。見付け方向とは見込み方向に直交する方向であり、上下方向に長尺な右縦枠22等の場合はその長手方向に直交する左右方向(図中に矢印Xで示す方向)をいい、左右方向に長尺な上枠18等の場合はその長手方向に直交する上下方向(図中に矢印Yで示す方向)をいう。見付け面とは見付け方向に沿って延在する面をいう。枠状部材の内側(内周側)とは、例えば枠体12の枠内部分をいう。枠状部材の外側(外周側)とは、例えばの枠体12側の枠外部分をいう。
【0013】
上枠18、下枠20、右縦枠22、左縦枠24はアルミニウム合金等の金属および樹脂によって成形した押し出し形材であり、それぞれが長手方向に沿った全長にわたってほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。上枠18、下枠20は横材であり、右縦枠22、左縦枠24は縦材である。枠体12は建物の躯体25に取り付けられる。躯体25は、例えば木材またはコンクリートである。
【0014】
ドアパネル14は、縦長の長方形状を成すガラス板等の面材26の四周に上框28、下框30、右縦框32、左縦框34を装着することによって構成したものである。室内側から見て右側に位置する右縦框32にはハンドル36が設けてある。上框28、下框30にはドアリンク38が設けてある。本実施の形態では、これらのドアリンク38によって枠体12に対してドアパネル14が室外側に突出するように移動可能に支持してある。建具10は、ハンドル36およびドアリンク38以外にも複数の小部品を有しているが説明を省略する。
【0015】
ドアパネル14を構成する上框28、下框30、右縦框32、左縦框34は、それぞれアルミニウム合金等の金属および樹脂によって成形した押し出し形材であり、それぞれが長手方向に沿った全長にわたってほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。上框28、下框30は横材であり、右縦框32、左縦框34は縦材である。なお、本願ではこれらの框材について「枠材」の一種とする。
【0016】
図2は、建具10の分解斜視図である。図2に示すように、上枠18は金属上枠18aと樹脂上枠18bとが組み合わさって構成されている。下枠20は金属下枠20aと樹脂下枠20bとが組み合わさって構成されている。右縦枠22は金属縦枠22aと樹脂縦枠22bとが組み合わさって構成されている。左縦枠24は、金属縦枠24aと樹脂縦枠24bとが組み合わさって構成されている。上框28は金属上框28aと樹脂上框28bとが組み合わさって構成されている。下框30は金属下框30aと樹脂下框30bとが組み合わさって構成されている。右縦框32は金属縦框32aと樹脂縦框32bとが組み合わさって構成されている。左縦框34は金属縦框34aと樹脂縦框34bとが組み合わさって構成されている。
【0017】
このように建具10は、四周枠組みされた枠材と框材で構成され、一辺ごとに金属製の押出材、樹脂製の押出材で組み合わされており、一つの建具で合計16の押出材を有している。また、各枠材は他の製品用のものと区別される必要がある。そのためそれぞれの枠材には識別用のレーザマーキングMn(n=1~10、代表的にレーザマーキングMともいう。)が付されている。
【0018】
レーザマーキングM(図9参照)は、枠材の製造情報および組立情報の少なくとも一方にかかる情報が含まれており、レーザマーカーによって各枠材の一部または全てに印字されている。レーザマーカーは汎用のものを利用可能である。レーザマーキングMに含まれる情報は、基本的に建具10が製品として完成した後には利用されることのないものである。また、基本的に情報の追加や更新などが不要のものである。
【0019】
レーザマーカーによる枠材への印字はロボットのハンドリングによって行われる。ロボットは、例えば生産管理システムと連動し、または各枠材の製造ラインごとに独立的に設けられ、印字する対象の枠材を正しく認識することができて間違った情報を印字することがない。このようなレーザマーキングMは、ラベルのように脱落の懸念がなく、さらに枠材ごとに異なるものを用意および管理する手間がない。レーザマーキングMは、暗い色の枠材に対しては白色印字とし、明るい色の枠材に対しては黒色印字とするとよい。
【0020】
次に、レーザマーキングMの印字位置について説明する。
図3は、上枠18の分解斜視図である。金属上枠18aは上方に突出するヒレ片18aaを有している。ヒレ片18aaの端部における室外側見付け面にはレーザマーキングM1が付されている。金属上枠18aは躯体25に取り付けられ、ヒレ片18aaの室外側見付け面は躯体25によって覆われる。したがって、レーザマーキングM1は躯体25によって覆われるため、建具10が製品として完成した後には視認されなくなる。金属上枠18aは、内周側に見込み面を形成する壁部18abを有する。
【0021】
レーザマーキングM1は二次元コードM1aおよび文字情報M1bから構成されている。二次元コードM1aと文字情報M1bとは近接して配置されている。以下、レーザマーキングMについては添え字「a」が二次元コードを示し、「b」が文字情報を示すものとする。
【0022】
樹脂上枠18bは、外周側の壁部18baの端部における外周側見込み面にレーザマーキングM2が付されている。樹脂上枠18bは金属上枠18aの内周側に取り付けられ、壁部18baの外周側見込み面は壁部18abによって覆われる。したがって、レーザマーキングM2は視認されなくなる。
【0023】
図4は、下枠20の分解斜視図である。金属下枠20aは下方に突出するヒレ片20aaを有している。ヒレ片20aaの端部における室外側見付け面にはレーザマーキングM3が付されている。金属下枠20aは躯体25に取り付けられ、ヒレ片20aaの室外側見付け面は躯体25によって覆われる。したがって、レーザマーキングM3は視認されなくなる。金属下枠20aは内周側に突出する一対のヒレ片20abを有する。
【0024】
樹脂下枠20bは、一対のヒレ片20abの内周側に取り付けられる略板状の枠材である。樹脂下枠20bの端部における外周側見込み面にはレーザマーキングM4が付されている。樹脂下枠20bは一対のヒレ片20abに取りつけられることからレーザマーキングM4は視認されなくなる。
【0025】
図5は、右縦枠22の分解斜視図である。金属縦枠22aは外周側に突出するヒレ片22aaを有している。ヒレ片22aaの端部における室外側見付け面にはレーザマーキングM5が付されている。金属縦枠22aは躯体25に取り付けられ、ヒレ片22aaの室外側見付け面は躯体25によって覆われる。したがって、レーザマーキングM5は視認されなくなる。金属縦枠22aは見込み方向に突出する壁部22abを有する。
【0026】
樹脂縦枠22bは壁部22abの内周側に取り付けられる枠材である。樹脂縦枠22bの見込み面を形成する壁部22baの端部で、外周側見込み面にはレーザマーキングM6が付されている。樹脂縦枠22bは壁部22abの内周側に取りつけられることからレーザマーキングM6は視認されなくなる。なお、左縦枠24についても右縦枠22と同様にレーザマーキングM5,M6が付されている。
【0027】
図6は、上框28の分解斜視図である。金属上框28aは見付け面を形成する壁部28aaと、該壁部28aaから見込み方向に突出するヒレ片28abとを有している。壁部28aaの端部における室外側見付け面にはレーザマーキングM7が付されている。
【0028】
図7は、上框28と左縦框34の一部拡大分解斜視図である。金属上框28aの端部は左縦框34の嵌込部34cに嵌り込むように構成されている。嵌込部34cは、見込み方向の両側、つまり室内側および室外側が金属縦框34aの壁部34aaと樹脂縦框34bとによって覆われている部分である。レーザマーキングM7はこの嵌込部34cにおける壁部34aaで覆われて視認されなくなる。レーザマーキングM7は嵌込部34cからはみ出ることがないように二次元コードM7aと文字情報M7bとが縦方向に配列されている。なお、この例では横材である上框28が縦材である左縦框34の嵌込部34cに嵌め込まれているが、逆に縦材の端部にレーザマーキングMが付されており、該端部が横材における嵌込部に嵌め込まれるようにしてもよい。
【0029】
図6に戻り、樹脂上框28bは、見付け面を形成する壁部28baと、該壁部28baに形成された係合部28bbとを有している。壁部28baの端部における室外側見込み面にはレーザマーキングM8が付されている。樹脂上框28bは、係合部28bbがヒレ片28abの縁に係合することにより金属上框28aに固定される。レーザマーキングM8は、金属上框28aの壁部28aaとの対向面に付されており視認されなくなる。なお、下框30についても上框28と同様にレーザマーキングM7,M8が付されている。
【0030】
図8は、右縦框32の分解斜視図である。金属縦框32aは見付け面を形成する壁部32aaと、該壁部32aaから室内側に突出する中空の角柱部32abと、角柱部32abの長手方向に沿って設けられた2つの係合部32acとを有している。角柱部32baの下端部における内周側見込み面にはレーザマーキングM9が付されている。金属縦框32aの端部には下框30の嵌込部に取り付けられることから、レーザマーキングM9は該下框30によって覆われて視認されなくなる。
【0031】
樹脂縦框32bは、略板状の枠材であり室外側見付け面における下端部にはレーザマーキングM10が付されている。樹脂縦框32bは、長手方向に延在する2つの係合部32bbを有している。樹脂縦框32bは、係合部32bbが係合部32acに係合することにより金属縦框32aに取り付けられる。レーザマーキングM10は、金属縦框32aの角柱部32abとの対向面に付されており視認されなくなる。なお、左縦框34についても右縦框32と同様にレーザマーキングM9,M10が付されている。
【0032】
図9は、レーザマーキングMを示す模式図である。レーザマーキングMは、上記のとおり製造および組み立てに関する情報を示すものであり、製造工程(搬送工程、検査工程などを含む)および組み立て工程において参照される。レーザマーキングMは、基本的に二次元コードMaと、文字情報Mbとからなるが、条件によってはいずれか一方だけであってもよい。二次元コードMaが示す情報と文字情報Mbが示す情報とは一部または全部が重複していてもよい。レーザマーキングMは各枠材の組み立て後には視認されなくなるが、組み立て前の段階ではレーザマーカーによって印字しやすい位置であり、かつスキャナおよび目視によって読み取りやすい位置に設けられている。以下、レーザマーキングMの情報についてさらに説明する。
【0033】
二次元コードMaは、例えばQRコード(登録商標)である。二次元コードMaは、製造工程および組み立て工程においてスキャナで読み込まれる。スキャナは作業員によって操作されるが、ロボットなどの自動機によって操作されてもよい。二次元コードMaは、部品、同梱、生産工程情報と現物との一致/不一致にかかる情報、生産実績にかかる情報などである。
【0034】
文字情報Mbは、数字やアルファベット等の文字または記号からなり、所定のルールに基づいたコードを示している。文字情報Mbは、手配番号、生産順番情報、部品種類情報、型番・図番情報、包装納期情報、色情報、寸法情報、セット数情報などである。
【0035】
手配番号は、生産手配の割り振り番号や個体識別番号である。生産順番情報は、製造組み立てラインにおける生産順番を示す。部品種類情報は、四方枠における位置の識別情報である。例えば「L」が左、「R」が右、「U」が上、「D」が下を示すように規定している。型番・図番情報は、部品の型番・図番情報であり加工検査時に使用される。包装納期情報は、手配の包装納期や再手配発生時に納期優先で処理される指示情報である。色情報は、枠材の色を示し、似ている色を識別するために用いられる。寸法情報は、枠材の各部の長さを示し、検査時に使用される。セット数情報は、同手配のセット数や歩留り順の枠材を生産順に並べ替えるために用いられる。
【0036】
ところで、これらの情報は製造および組み立てに関するものであり、各枠材が建具10として組み立てられて完成した後には、基本的には使用されることのないものである。したがって、製品として完成した後には外部から読み取られる必要はなく、上記のように視認されない位置に設けることが可能であって、外観品質が低下することがない。レーザマーキングMは、ラベルと異なって剥がすものではなく、また視認されない箇所に付されることから消去作業も不要であって、作業者の負担が軽減される。したがって、このようなレーザマーキングMによれば製造および組み立て工程の情報管理において人為的ミスをなくし、作業者負担を軽減するとともに外観品質を低下させることがない。レーザマーキングMはそれぞれ長尺枠材の端部に設けられており、作業者は該レーザマーキングMを見つけやすい。
【0037】
上記の建具10では、枠体12およびドアパネル14を構成する枠材および框材の合計16にそれぞれレーザマーキングMが付されているものとしたが、必ずしも全てに付する必要はなく、条件によっては枠材の少なくとも1つに設けることにより相応の効果が得られる。また、枠材および框材以外の部品、例えばハンドル36やドアリンク38についても完成後に視認されない位置にレーザマーキングMを付してもよい。必要な情報量が少ない場合には二次元コードMaを一次元コードに置き換えてもよい。
【0038】
図10は、変形例にかかる框40と面材(他の構成部品)42との分解斜視図である。框40は見込み面を形成する壁部40aと、該壁部40aから内周方向に向かって突出するヒレ片40b,40cとを有している。ヒレ片40b,40cは、壁部40aにおける見込み方向の両側、つまり室内側および室外側に設けられている。面材42はヒレ片40b,40cの間に形成される開口部40dに嵌め込まれる。面材42は、例えば複層ガラスであり、壁部40aとの間には樹脂スペーサ(図示略)が設けられる。壁部40aの内周側見込み面(つまり面材42の端面との対向面)にはレーザマーキングMが印字されている。この場合の框40は横材または縦材のいずれでもよい。
【0039】
このように框40に付されたレーザマーキングMは、室内側および室外側からはヒレ片40b,40cに遮られて視認されない。また、開口部40dには面材42が嵌め込まれており、しかも壁部40aはある程度奥まった箇所にあることから内周側からは実質的に視認されない。
【0040】
このように、建具10においてレーザマーキングMを視認されないように覆う枠材は枠材、框材または躯体に限らず面材42で覆うようにしてもよい。面材42に対しても完成後に視認されなくなる位置にレーザマーキングMを付してもよい。また、建具10が非防火タイプである場合には壁部40aに防火材・耐火材を設ける必要がなく、レーザマーキングMを付するのに好適である。
【0041】
本発明にかかる建具は、複数の枠材が組み立てられて構成された建具であって、前記枠材の少なくとも1つには、該枠材の製造情報および組立情報の少なくとも一方にかかる情報がレーザマーカーによって印字されたレーザマーキングが付されており、前記レーザマーキングは組み立て後に他の前記枠材、他の構成部品または取り付けられる躯体によって覆われる箇所に設けられていることを特徴とする。
このような建具は、製造および組み立て工程の情報管理において、ラベルのように貼り付けミスや脱落などの人為的ミスがなくなり、作業者負担を軽減することができるとともに、製造および組み立て工程後には不要であることから視認されないように付すことができ、外観品質を低下させることがない。
【0042】
本発明にかかる建具は、前記枠材が四周枠組みした枠体と、前記枠体の内周側に配置される面材と、を有し、前記レーザマーキングは前記枠体における前記面材の端面との対向面に設けられていることを特徴とする。
建具が非防火タイプである場合、このような箇所にレーザマーキングを付することができる。
【0043】
本発明にかかる建具は、前記枠材は四周枠組みした枠体を構成し、前記枠体のうち縦材および横材の一方の端部には前記レーザマーキングが付されており、該端部は他方における見込み方向の両側が壁部で覆われた嵌込部に嵌め込まれ、前記レーザマーキングは前記嵌込部を構成する前記壁部によって覆われることを特徴とする。
このように、枠材の端部に付されたレーザマーキングは、枠体を構成する他の枠材の嵌込部に嵌め込むことによって視認されなくなる。
【0044】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
10 建具、12 枠体、14 ドアパネル、18 上枠、20 下枠、20a 金属下枠、20b 樹脂下枠、22 右縦枠、24 左縦枠、25 躯体、26 面材、28 上框、30 下框、32 右縦框、34 左縦框、36 ハンドル、38 ドアリンク、40 框、42 面材(他の構成部品)、M,Mn(n=1~10) レーザマーキング、Ma,Mna(n=1~10) 二次元コード、Mb,Mnb(n=1~10) 文字情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10