(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158577
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】電源制御装置、電源制御方法、及び電源制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H02H 7/00 20060101AFI20221006BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20221006BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221006BHJP
B60R 16/03 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H02H7/00 L
H02H7/18
H02J7/00 S
B60R16/03 V
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063575
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】山本 一輝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 惇也
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
【Fターム(参考)】
5G053AA16
5G053BA01
5G053BA04
5G053CA02
5G053DA03
5G053EA01
5G053EC01
5G053FA05
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CC02
5G503FA16
5G503GA01
5G503GA12
5G503GA13
(57)【要約】
【課題】外部充電器が接続された状態でも、遮断リレーの動作診断が可能な電源制御装置、電源制御方法、及び電源制御プログラムを得る。
【解決手段】制御部14は、電源30の電圧を低下させて暗電流を生成する暗電流生成回路34のスイッチング素子34Fの負荷20側の端とIPD34I側の端との間の電圧降下V
f及び電流センサ40で検出した電流I
aに基づいて遮断リレー32の状態を判定する。制御部14は、電圧降下V
fが所定の閾値電圧未満で、かつ電流I
aが所定の閾値電流未満の場合に、電源30の負極と負荷20の一端とを導通する状態で外部充電器22から供給された電力の一部を消尽するバイパス回路38を導通状態に制御した際に各々検出された電圧降下V
f及び電流I
aに基づいて遮断リレー32の状態及び外部充電器22による電源30の充電の有無を判定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷の一端と直流電源の一方の極との間を導通又は遮断する第1切替部と、
前記第1切替部と並列となるように、一端が前記直流電源の前記一方の極に接続されると共に、他端が前記負荷の一端に接続された状態で、前記直流電源の電圧を低下させて暗電流を生成する暗電流生成回路と、
外部充電器により前記直流電源が充電される場合に、前記直流電源の他方の極と前記負荷の一端とを導通することで前記外部充電器から供給された電力の一部を消尽するバイパス回路と、
を含む電源制御装置。
【請求項2】
前記暗電流生成回路の他端と一端との電位差を検出する電圧検出部と、
前記負荷の他端と前記直流電源の前記他方の極との間の電流を検出する電流検出部と、
前記第1切替部の導通又は遮断を制御すると共に、前記電圧検出部で検出した電位差及び前記電流検出部で検出した電流に基づいて前記第1切替部の状態を判定する制御部と、 をさらに含む請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電圧検出部で検出した電位差が所定の閾値電圧以上の場合に、前記第1切替部が開状態であると判定する請求項2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電圧検出部で検出した電位差が所定の閾値電圧未満で、かつ前記電流検出部で検出した電流が所定の閾値電流以上の場合に、前記第1切替部が閉状態で固着していると判定する請求項2に記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記バイパス回路は、前記負荷の一端と前記直流電源の前記他方の極との間を導通又は遮断する第2切替部と、導通された電力の一部を消尽する抵抗部とを含み、
前記制御部は、前記電圧検出部で検出した電位差が所定の閾値電圧未満で、かつ前記電流検出部で検出した電流が所定の閾値電流未満の場合に、前記第2切替部をオンにする制御により、前記直流電源の他方の極と前記負荷の一端とを導通させる請求項2に記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記バイパス回路が前記直流電源の前記他方の極と前記負荷の一端とを導通する状態で、前記電流検出部で検出した電流が所定の閾値電流以上の場合に、前記外部充電器による前記直流電源の充電が行われていると判定する請求項5に記載の電源制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記バイパス回路が前記直流電源の前記他方の極と前記負荷の一端とを導通する状態で、前記電流検出部で検出した電流が所定の閾値電流未満で、かつ前記電圧検出部で検出した電位差が所定の閾値電圧以上の場合に前記第1切替部が開状態であると判定する請求項5に記載の電源制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記バイパス回路が前記直流電源の前記他方の極と前記負荷の一端とを導通する状態で、前記電流検出部で検出した電流が所定の閾値電流未満で、かつ前記電圧検出部で検出した電位差が所定の閾値電圧未満の場合に前記第1切替部が閉状態で固着していると判定する請求項5に記載の電源制御装置。
【請求項9】
負荷の一端と直流電源の一方の極との間を導通又は遮断する第1切替部と並列となるように、一端が前記直流電源の前記一方の極に接続されると共に、他端が前記負荷の一端に接続された状態で、前記直流電源の電圧を低下させて暗電流を生成する暗電流生成回路の他端と一端との電位差を検出する手順と、
前記負荷の他端と前記直流電源の他方の極との間の電流を検出する手順と、
前記電位差及び前記電流に基づいて前記第1切替部の状態を判定する手順と、
前記電位差が所定の閾値電圧未満で、かつ前記電流が所定の閾値電流未満の場合に、前記直流電源の他方の極と前記負荷の一端とを導通する状態で外部充電器から供給された電力の一部を消尽するバイパス回路を導通状態にする手順と、
前記バイパス回路により前記直流電源の他方の極と前記負荷の一端とが導通状態の場合に各々検出された前記暗電流生成回路の他端と一端との電位差及び前記負荷の他端と前記直流電源の前記他方の極との間の電流に基づいて前記第1切替部の状態及び前記外部充電器による前記直流電源の充電の有無を判定する手順と、
を含む電源制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、
負荷の一端と直流電源の一方の極との間を導通又は遮断する第1切替部と並列となるように、一端が前記直流電源の前記一方の極に接続されると共に、他端が前記負荷の一端に接続された状態で、前記直流電源の電圧を低下させて暗電流を生成する暗電流生成回路の他端と一端との電位差及び前記負荷の他端と前記直流電源の他方の極との間の電流に基づいて前記第1切替部の状態を判定する手順と、
前記電位差が所定の閾値電圧未満で、かつ前記電流が所定の閾値電流未満の場合に、前記直流電源の他方の極と前記負荷の一端とを導通する状態で外部充電器から供給された電力の一部を消尽するバイパス回路を導通状態に制御する手順と、
前記バイパス回路により前記直流電源の他方の極と前記負荷の一端とが導通状態の場合に各々検出された前記暗電流生成回路の他端と一端との電位差及び前記負荷の他端と前記直流電源の前記他方の極との間の電流に基づいて前記第1切替部の状態及び前記外部充電器による前記直流電源の充電の有無を判定する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源制御装置、電源制御方法、及び電源制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池等の車載の電源を含む回路の保護のために、電源と負荷との間に遮断リレーが設けられる場合があり、当該遮断リレーは、車両の機関始動時等に、作動状況が診断される。
【0003】
特許文献1には、回路の電圧変化に基づいて遮断リレーの開閉を診断する電源保護装置、電源装置及びスイッチ故障診断方法の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、電源に外部充電器が接続されていると、回路の電圧が低下せず、遮断リレーの開閉が正常に行われているか否かの判断が困難になるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、外部充電器が接続された状態でも、遮断リレーの動作診断が可能な電源制御装置、電源制御方法、及び電源制御プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の電源制御装置は、負荷の一端と直流電源の一方の極との間を導通又は遮断する第1切替部と、前記第1切替部と並列となるように、一端が前記直流電源の前記一方の極に接続されると共に、他端が前記負荷の一端に接続された状態で、前記直流電源の電圧を低下させて暗電流を生成する暗電流生成回路と、外部充電器により前記直流電源が充電される場合に、前記直流電源の他方の極と前記負荷の一端とを導通することで前記外部充電器から供給された電力の一部を消尽するバイパス回路と、を含んでいる。
【0008】
請求項1に記載の電源制御装置によれば、バイパス回路により外部充電器から供給された電力の一部を消尽することで、外部充電器が接続された状態でも、遮断リレーである第1切替部の動作診断が可能となる。
【0009】
請求項2に記載の電源制御装置は、前記暗電流生成回路の他端と一端との電位差を検出する電圧検出部と、前記負荷の他端と前記直流電源の前記他方の極との間の電流を検出する電流検出部と、前記第1切替部の導通又は遮断を制御すると共に、前記電圧検出部で検出した電位差及び前記電流検出部で検出した電流に基づいて前記第1切替部の状態を判定する制御部と、をさらに含んでいる。
【0010】
請求項2に記載の電源制御装置によれば、暗電流生成回路の他端と一端との電位差と、負荷の他端と直流電源の他方の極との間の電流と基づいて第1切替部の状態を判定できる。
【0011】
また、制御部は、請求項3に記載の電源制御装置のように、電圧検出部で検出した電位差が所定の閾値電圧以上の場合に、第1切替部が開状態であると判定する。
【0012】
また、制御部は、請求項4に記載の電源制御装置のように、電圧検出部で検出した電位差が所定の閾値電圧未満で、かつ電流検出部で検出した電流が所定の閾値電流以上の場合に、第1切替部が閉状態で固着していると判定する。
【0013】
また、前記バイパス回路は、請求項5に記載の電源制御装置のように、負荷の一端と直流電源の他方の極との間を導通又は遮断する第2切替部と、導通された電力の一部を消尽する抵抗部とを含み、制御部は、電圧検出部で検出した電位差が所定の閾値電圧未満で、かつ電流検出部で検出した電流が所定の閾値電流未満の場合に、第2切替部をオンにする制御により、直流電源の他方の極と負荷の一端とを導通させる。
【0014】
また、制御部は、請求項6に記載の電源制御装置のように、バイパス回路が直流電源の他方の極と負荷の一端とを導通する状態で、電流検出部で検出した電流が所定の閾値電流以上の場合に、外部充電器による前記直流電源の充電が行われていると判定する。
【0015】
また、制御部は、請求項7に記載の電源制御装置のように、バイパス回路が直流電源の他方の極と負荷の一端とを導通する状態で、電流検出部で検出した電流が所定の閾値電流未満で、かつ電圧検出部で検出した電位差が所定の閾値電圧以上の場合に第1切替部が開状態であると判定する。
【0016】
また、制御部は、請求項8に記載の電源制御装置のように、バイパス回路が直流電源の他方の極と負荷の一端とを導通する状態で、電流検出部で検出した電流が所定の閾値電流未満で、かつ電圧検出部で検出した電位差が所定の閾値電圧未満の場合に第1切替部が閉状態で固着していると判定する。
【0017】
上記目的を達成するために請求項9に記載の電源制御方法は、負荷の一端と直流電源の一方の極との間を導通又は遮断する第1切替部と並列となるように、一端が前記直流電源の前記一方の極に接続されると共に、他端が前記負荷の一端に接続された状態で、前記直流電源の電圧を低下させて暗電流を生成する暗電流生成回路の他端と一端との電位差を検出する手順と、前記負荷の他端と前記直流電源の他方の極との間の電流を検出する手順と、前記電位差及び前記電流に基づいて前記第1切替部の状態を判定する手順と、前記電位差が所定の閾値電圧未満で、かつ前記電流が所定の閾値電流未満の場合に、前記直流電源の他方の極と前記負荷の一端とを導通する状態で外部充電器から供給された電力の一部を消尽するバイパス回路を導通状態にする手順と、前記バイパス回路により前記直流電源の他方の極と前記負荷の一端とが導通状態の場合に各々検出された前記暗電流生成回路の他端と一端との電位差及び前記負荷の他端と前記直流電源の前記他方の極との間の電流に基づいて前記第1切替部の状態及び前記外部充電器による前記直流電源の充電の有無を判定する手順と、を含んでいる。
【0018】
請求項9に記載の電源制御方法によれば、バイパス回路により外部充電器から供給された電力の一部を消尽することで、外部充電器が接続された状態でも、遮断リレーである第1切替部の動作診断が可能となる。
【0019】
上記目的を達成するために請求項10に記載の電源制御方法は、コンピュータに、負荷の一端と直流電源の一方の極との間を導通又は遮断する第1切替部と並列となるように、一端が前記直流電源の前記一方の極に接続されると共に、他端が前記負荷の一端に接続された状態で、前記直流電源の電圧を低下させて暗電流を生成する暗電流生成回路の他端と一端との電位差及び前記負荷の他端と前記直流電源の他方の極との間の電流に基づいて前記第1切替部の状態を判定する手順と、前記電位差が所定の閾値電圧未満で、かつ前記電流が所定の閾値電流未満の場合に、前記直流電源の他方の極と前記負荷の一端とを導通する状態で外部充電器から供給された電力の一部を消尽するバイパス回路を導通状態に制御する手順と、前記バイパス回路により前記直流電源の他方の極と前記負荷の一端とが導通状態の場合に各々検出された前記暗電流生成回路の他端と一端との電位差及び前記負荷の他端と前記直流電源の前記他方の極との間の電流に基づいて前記第1切替部の状態及び前記外部充電器による前記直流電源の充電の有無を判定する手順と、を実行させる。
【0020】
請求項10に記載の電源制御方法によれば、バイパス回路により外部充電器から供給された電力の一部を消尽することで、外部充電器が接続された状態でも、遮断リレーである第1切替部の動作診断が可能となる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係る電源制御装置、電源制御方法、及び電源制御プログラムによれば、外部充電器が接続された状態でも、遮断リレーの動作診断が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係る電源制御装置の一例を示したブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る制御部の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る電源制御装置の制御部の処理の一例を示したフローチャートである。
【
図4】遮断リレーが開状態になり、暗電流生成回路によって電圧降下が生じた場合を示した説明図である。
【
図5】バイパス回路を導通状態にした場合の電流の一例を示した説明図である。
【
図6】バイパス回路を導通状態にした状態で電圧降下が所定の閾値電圧以上の場合の電流の一例を示した説明図である。
【
図7】バイパス回路を導通状態にした状態で電圧降下が所定の閾値電圧未満の場合の電流の一例を示した説明図である。
【
図8】本実施形態に係る電源制御装置における遮断リレーの判定条件の一例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1を用いて、本実施形態に係る電源制御装置100について説明する。
図1に示した電源制御装置100は、車両200に搭載され、充放電が可能な直流電源である電源30に接続された遮断リレー32の動作状態を診断する機能を備えている。電源30の電力は、電流210として車両200内の負荷20に供給されるが、異常電流等が生じた場合には、回路保護のために遮断リレー32の接点が開状態となり、電源30から負荷20への電力供給を遮断する。
【0024】
電源30は、充放電が可能な二次電池等であり、一例として、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、ニッカド電池、及びリチウムイオン電池等である。
【0025】
図1に示したように、遮断リレー32は、コイル32CA、及びコイル32CBを備える。コイル32CAは、スイッチ32SAがオンになることによって、コイル32CBはスイッチ32SBがオンになることによって、各々励磁される。例えば、スイッチ32SAがオンになり、スイッチ32SBがオフになると、遮断リレー32は開状態となる。また、スイッチ32SAがオフになり、スイッチ32SBがオンになると、遮断リレー32は閉状態となる。電源30に係る電流は、電流センサ40で検出される。電流センサ40は、シャント抵抗40Rと電流計測回路40Cとで構成され、電流計測回路40Cは、シャント抵抗40Rの両端の電位差に基づいて、電源30に係る電流値を算出し、算出した電流値400を後述する制御部14に出力する。
【0026】
電源制御装置100は、電流センサ40の他に、遮断リレー32が開状態の際に、電源30の電流を負荷20等に導通させる暗電流生成回路34、暗電流生成回路34の通電状態をモニタするモニタ回路36、及び車両200の回路に外部充電器22が接続され、外部充電器22から車両200の回路に電流220が流れた際にオンとなって、遮断リレー32の状態診断の際における電流220の影響に対処するバイパス回路38を含んでいる。
【0027】
暗電流生成回路34は、遮断リレー32と並列に設けられる。暗電流生成回路34は、一端が電源30の陽極及び遮断リレー32の一端に接続されると共に、他端が電界効果トランジスタ等のスイッチング素子34Fのドレインが接続された保護回路内蔵の半導体スイッチであるIPD(Intelligent Power Device)34Iと、ドレインがIPD34Iの他端に接続されると共に、ソースが遮断リレー32の他端及び負荷20の一端に接続されたスイッチング素子と、を含む。
【0028】
IPD34Iは、制御信号340Aが印加されることによりオン状態となり、万が一、回路の短絡等で異常電流等が生じた場合は、内蔵された保護回路で異常電流等による負荷を吸収すると共に、異常が生じた旨を示す信号340Bを制御部14に出力する。
【0029】
スイッチング素子34Fは、ゲートに印加される制御信号340Cによりオンとなる。スイッチング素子34Fは、ゲートに印加される制御信号340Cの電圧値に応じて導電率が変化する線形領域で使用されることにより、一種の可変抵抗器として機能する。
【0030】
IPD34Iは、車両200のイグニッションスイッチ又はパワースイッチ等がオフの状態で、オンになって暗電流を車両200の回路に供給するスイッチであり、スイッチング素子34Fは抵抗器として、電源30の電圧を暗電流になるまで低下させる。
【0031】
モニタ回路36は、一端がIPD34Iの他端に接続された抵抗36Rと、一端が抵抗36Rの他端に接続され、他端がスイッチング素子34Fのソース、遮断リレー32の他端及び負荷20の一端に接続されたスイッチ36Sと、抵抗36Rの両端の電位差を増幅するアンプ36Aを含む。
【0032】
モニタ回路36は、スイッチ36Sがオンになることにより、抵抗36Rの両端に電位差が生じる。生じた電位差はアンプにより増幅され、電圧値360Aとして制御部14に出力される。
【0033】
バイパス回路38は、電源30及び遮断リレー32と並列に設けられている。また、バイパス回路38は、スイッチ38SA、抵抗38RA、抵抗38RB、及びスイッチ38SBが直列に接続され、スイッチ38SBの一端は電源30の負極に接続され、スイッチ38SAの一端は、スイッチ36Sの他端、スイッチング素子34Fのソース、及び遮断リレー32の他端に各々接続されている。制御部14は、外部充電器22が車両200の回路に接続されたと判定された場合に、バイパス回路38のスイッチ38SA、38SBをオンにして、抵抗38RA、38RBで余剰電力を消尽し、電流220の影響を抑制する。
【0034】
以上説明した電流計測回路40C、暗電流生成回路34、モニタ回路36、及びバイパス回路38は、電源監視ユニット12を構成する。そして電源30と電源監視ユニット12とで、電源assy10を構成する。
【0035】
図2は、本実施形態に係る制御部14の具体的な構成の一例を示すブロック図である。制御部14は、一種のコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)42、ROM(Read Only Memory)44、RAM(Random Access Memory)46、及び入出力ポート48を備える。
【0036】
制御部14では、CPU42、ROM44、RAM46、及び入出力ポート48がアドレスバス、データバス、及び制御バス等の各種バスを介して互いに接続されている。入出力ポート48には、電源監視ユニット12、及び車両200の負荷20等を制御する車両ECU(Electronic Control Unit)50等が各々接続されている。
【0037】
また、制御部14のCPU42は、電源制御のプログラムにより、モニタ回路36で検出した電位差及び電流センサ40で検出した電流に基づいて遮断リレー32の状態及び外部充電器による電源30の充電の有無を判定する判定機能と、遮断リレー32を含む各種スイッチを制御するスイッチ制御機能とを備えるようになる。CPU42がこの各機能を有するプログラムを実行することで、CPU42は、判定部、及びスイッチ制御部として機能する。
【0038】
図3は、本実施形態に係る電源制御装置100の制御部14の処理の一例を示したフローチャートである。
図3に示した処理は、車両200のイグニッションスイッチ又はパワースイッチがオンになると開始される。
【0039】
ステップ300では、遮断リレー32が開状態にされる。遮断リレー32が開状態になることで、暗電流生成回路34が通電状態になるように、IPD34I及びスイッチング素子34Fをオンにする。イグニッションスイッチ又はパワースイッチがオフの状態で、車両200に暗電流を供給する状態になっているのであれば、IPD34I及びスイッチング素子34Fは予めオンになっている。
【0040】
遮断リレー32が開状態になると、暗電流生成回路34には、
図4に示したように電圧降下V
fが生じる。電源30の電流は、開状態になった遮断リレー32を介して負荷20側の回路には流れず、負荷20側の回路には電源30の電圧を低下させるスイッチング素子34Fを介して暗電流が供給されるからである。また、遮断リレー32が開状態であっても閉状態であっても電流センサ40は電流I
aを検出する。電流I
aは、遮断リレー32が閉状態だと大きくなり、遮断リレー32が開状態で、遮断リレー32よりも抵抗値が大きい暗電流生成回路を電流が流れている状態だと、小さくなる。
【0041】
ステップ302では、スイッチ36Sがオンになったモニタ回路36で検出した電圧降下Vfが所定の閾値電圧以上か否かを判定する。所定の閾値電圧は、回路の構成に基づいて推算し、さらに実機を通じた実験で決定する。
【0042】
ステップ302で、モニタ回路36で検出した電圧降下Vfが所定の閾値電圧以上の場合は、ステップ304で遮断リレー32が開状態で正常であると判定して処理を終了する。
【0043】
ステップ302で、モニタ回路36で検出した電圧降下Vfが所定の閾値電圧未満の場合は、ステップ306で、電流センサ40で計測した電流Iaが所定の閾値電流以上か否かを判定する。所定の閾値電流は、回路の構成に基づいて推算し、さらに実機を通じた実験で決定する。
【0044】
ステップ306で、電流センサ40で計測した電流Iaが所定の閾値電流以上の場合は、ステップ308で遮断リレー32が閉状態で固着した異常な状態であると判定して処理を終了する。
【0045】
ステップ306で、電流センサ40で計測した電流I
aが所定の閾値電圧未満の場合は、外部充電器22によって電源30が充電されている可能性があるので、ステップ310で、スイッチ38SA、38SBの各々をオンにしてバイパス回路38を導通状態にする。電力を供給する状態の外部充電器22が車両200の回路に接続された状態でバイパス回路38を導通状態にすると、車両200の回路には、
図5に示したような電流250が流れる。
【0046】
ステップ312では、電流センサ40で計測した電流Iaが所定の閾値電流以上か否かを判定する。
【0047】
ステップ312で、電流センサ40で計測した電流Iaが所定の閾値電流以上の場合は、外部充電器22が接続されていると判定する。そして、ステップ316では、遮断リレー32の状態判定を中止して処理を終了する。
【0048】
ステップ318では、モニタ回路36で検出した電圧降下Vfが所定の閾値電圧以上か否かを判定する。外部充電器22から電源30を含む回路に電力が供給されると、暗電流生成回路34を構成するスイッチング素子34Fの負荷20側の端子の電圧が上がり、スイッチング素子34Fの両端の電位差が減少することになり、電圧降下Vfが抑制される。しかしながら、バイパス回路38に外部充電器22から供給された電力を流すことにより、バイパス回路38を構成する抵抗38RA、38RBによって当該電力の一部を消尽できる。その結果、暗電流生成回路34を構成するスイッチング素子34Fの負荷20側の端子の電圧の上昇を抑制できる。
【0049】
ステップ318で、モニタ回路36で検出した電圧降下V
fが所定の閾値電圧以上の場合は、ステップ320で遮断リレー32が開状態で正常であると判定して処理を終了する。モニタ回路36で検出した電圧降下V
fが所定の閾値電圧以上の場合、電源制御装置100の回路には、
図6に示したような電流260が流れる。
【0050】
ステップ319で、モニタ回路36で検出した電圧降下V
fが所定の閾値電圧未満の場合は、ステップ322で遮断リレー32が閉状態で固着した異常な状態であると判定して処理を終了する。モニタ回路36で検出した電圧降下V
fが所定の閾値電圧未満の場合、電源制御装置100の回路には、
図7に示したような電流270が流れることにより、暗電流生成回路34を構成するスイッチング素子34Fの負荷20側の端子の電圧が上がりやすくなる。
【0051】
図8は、本実施形態に係る電源制御装置100における遮断リレー32の判定条件の一例を示した説明図である。判定条件は、電圧降下V
fの大小、電流I
aの大きさ、バイパス回路38のオン/オフ、及び外部充電器22のあり/なしである。
【0052】
電圧降下Vfが所定の閾値電圧以上で、バイパス回路38がオフの場合は、外部充電器22のあり/なしにかかわらず、遮断リレー32は開状態で正常であると判定する。
【0053】
電圧降下Vfが所定の閾値電圧未満で、電流Iaの大きさが所定の閾値電流以上で、バイパス回路38がオフの場合は、遮断リレー32は閉状態で固着し、異常であると判定する。
【0054】
電圧降下Vfの値にかかわらず、電流Iaの大きさが所定の閾値電流以上で、バイパス回路38がオンで、外部充電器22がありの場合は、外部充電器22が接続されていると判定されるが、遮断リレー32の正確な状態判定は困難なことから、遮断リレー32の状態判定は中止する。
【0055】
電圧降下Vfが所定の閾値電圧以上で、電流Iaの大きさが所定の閾値電流未満で、バイパス回路38がオンの場合は、遮断リレー32は開状態で正常であると判定する。
【0056】
電圧降下Vfが所定の閾値電圧未満で、電流Iaの大きさが所定の閾値電流未満で、バイパス回路38がオンの場合は、遮断リレー32は閉状態で固着し、異常であると判定する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態は、外部充電器22で電源30を充電する電力で暗電流生成回路34による電圧降下Vfが抑制され得る場合に、抵抗38RA、38RBを備えたバイパス回路38により外部充電器22が供給した電力の一部を消尽させる。かかる電力の消尽により、暗電流生成回路34による電圧降下Vfが顕在化するので、遮断リレー32が開状態であることを判定できる。
【0058】
また、バイパス回路38により外部充電器22が供給した電力の一部を消尽させる状態で、検出した電圧降下Vfと、電流Iaとに基づいて、遮断リレー32の状態のみならず、外部充電器22による電源30の充電が行われているか否かを判定できる。
【0059】
本実施形態では、電源30の正極に遮断リレー32、及び暗電流生成回路34等が接続されているが、これに限定されない。電源30の極性を
図1等に記載した状態から反転させて、電源30の負極に遮断リレー32、及び暗電流生成回路34等が接続されていてもよい。電源30の極性を反転させた場合は、必要に応じて、外部充電器22、負荷20、スイッチング素子34F等の極性も、
図1等に示した状態から反転させる。
【0060】
なお、特許請求の範囲に記載の「直流電源」は明細書の発明の詳細な説明に記載の「電源30」に、特許請求の範囲に記載の「第1切替部」は、同「遮断リレー32」に、特許請求の範囲に記載の「電圧検出部」は、同「モニタ回路36」に、特許請求の範囲に記載の「電流検出部」は、同「電流センサ40」に、特許請求の範囲に記載の「第2切替部」は、同「スイッチ38SA、38SB」に、そして特許請求の範囲に記載の「抵抗部」は、同「抵抗38RA、38RB」に各々該当する。
【0061】
なお、上記各実施形態でCPU42がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0062】
(付記項1)
メモリと、
前記メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサと、
を含み、
前記プロセッサは、
負荷の一端と直流電源の一方の極との間を導通又は遮断する第1切替部と並列となるように、一端が前記直流電源の前記一方の極に接続されると共に、他端が前記負荷の一端に接続された状態で、前記直流電源の電圧を低下させて暗電流を生成する暗電流生成回路の他端と一端との電位差及び前記負荷の他端と前記直流電源の他方の極との間の電流に基づいて前記第1切替部の状態を判定し、
前記電位差が所定の閾値電圧未満で、かつ前記電流が所定の閾値電流未満の場合に、前記直流電源の他方の極と前記負荷の一端とを導通する状態で外部充電器から供給された電力の一部を消尽するバイパス回路を導通状態に制御し、
前記バイパス回路により前記直流電源の他方の極と前記負荷の一端とが導通状態の場合に各々検出された前記暗電流生成回路の他端と一端との電位差及び前記負荷の他端と前記直流電源の前記他方の極との間の電流に基づいて前記第1切替部の状態及び前記外部充電器による前記直流電源の充電の有無を判定する、
ように構成されている電源制御装置。
【符号の説明】
【0063】
14 制御部
20 負荷
22 外部充電器
30 電源
32 遮断リレー
34 暗電流生成回路
36 モニタ回路
38 バイパス回路
38RA 抵抗
38RB 抵抗
38SA スイッチ
38SB スイッチ
40 電流センサ
42 CPU
44 ROM
46 RAM
48 入出力ポート
100 電源制御装置
Ia 電流
Vf 電圧降下