(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158612
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】電子部品の実装方法、表示装置、及び、回路基板
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20221006BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20221006BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20221006BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221006BHJP
H01L 33/32 20100101ALN20221006BHJP
【FI】
G09F9/00 338
H05K1/18 S
G09F9/33
G09F9/30 320
G09F9/30 310
H01L33/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063629
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武政 健一
(72)【発明者】
【氏名】山田 一幸
(72)【発明者】
【氏名】浅田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】磯野 大樹
【テーマコード(参考)】
5C094
5E336
5F241
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA42
5C094BA25
5C094CA19
5C094EB10
5C094EC04
5C094FA01
5C094FA02
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5C094FB15
5C094GB01
5E336AA04
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5E336BB17
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5G435AA17
5G435BB04
5G435CC09
5G435HH14
5G435KK05
5G435KK10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】歩留まりを向上することが可能な電子部品の実装方法、表示装置、及び、回路基板を提供する。
【解決手段】第1面10Aを有する絶縁基板10、及び、前記第1面側に位置する端子部11及びスペーサSPを備えた回路基板CBと、第2面20Aを有するサファイア基板20、及び、前記第2面側に位置する電子部品LEDを備えたウエハWFと、を備えるワークWKを、前記第1面及び前記第2面が対向するようにステージSTと加圧ジグ41との間に載置し、前記加圧ジグを前記サファイア基板の一部に当接させ、前記スペーサの上面の一部と前記第2面との間の当接部分に荷重を加え、前記加圧ジグで前記サファイア基板を前記回路基板側に加圧し、前記スペーサの前記上面の他の部分と前記第2面とを当接させ、前記サファイア基板を平坦化する、電子部品の実装方法。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する絶縁基板、及び、前記第1面側に位置する端子部及びスペーサを備えた回路基板と、第2面を有するサファイア基板、及び、前記第2面側に位置する電子部品を備えたウエハと、を備えるワークを、前記第1面及び前記第2面が対向するようにステージと加圧ジグとの間に載置し、
前記加圧ジグを前記サファイア基板の一部に当接させ、前記スペーサの上面の一部と前記第2面との間の当接部分に荷重を加え、
前記加圧ジグで前記サファイア基板を前記回路基板側に加圧し、前記スペーサの前記上面の他の部分と前記第2面とを当接させ、前記サファイア基板を平坦化し、
前記加圧ジグの窓部を通して第1レーザー光を前記ワークに照射し、前記電子部品を前記回路基板に接合し、
前記窓部を通して前記第1レーザー光とは異なる波長帯を有する第2レーザー光を前記ワークに照射し、前記サファイア基板から前記電子部品を剥離し、
前記加圧ジグを前記サファイア基板から離間させる、電子部品の実装方法。
【請求項2】
前記加圧ジグを前記サファイア基板の一部に当接させ、前記スペーサの前記上面の一部と前記第2面との間の当接部分に荷重を加える際に、前記スペーサの前記上面の他の部分は、前記第2面から離間している、請求項1に記載の電子部品の実装方法。
【請求項3】
前記サファイア基板を平坦化した際に、前記スペーサの前記上面の全面と前記第2面とが当接する、請求項1又は2に記載の電子部品の実装方法。
【請求項4】
前記スペーサは、複数の孔部を有し、
前記加圧ジグで前記サファイア基板を前記回路基板側に加圧した際に、前記電子部品を前記孔部内に収める、請求項1乃至3の何れか1項に記載の電子部品の実装方法。
【請求項5】
前記スペーサの剛性は、前記サファイア基板の剛性と同等以上である、請求項1乃至4の何れか1項に記載の電子部品の実装方法。
【請求項6】
第1面を有する絶縁基板と、
前記第1面側に位置し、複数の孔部を有するスペーサと、
前記第1面側に位置し、前記孔部内に位置する複数の電子部品と、を備え、
前記スペーサは、酸化アルミニウムで形成されている、表示装置。
【請求項7】
前記スペーサの上面と前記電子部品の上面とは、同一平面上に位置する、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記スペーサは、平面視で格子状である、請求項6又は7に記載の表示装置。
【請求項9】
複数の前記孔部は、第1孔部及び第2孔部を含み、
前記電子部品は、前記第1孔部に位置し、前記第2孔部に位置しない、請求項6乃至8の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
1つの前記孔部内に複数の前記電子部品が位置している、請求項6乃至9の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
第1面を有する絶縁基板と、
前記第1面側に位置し、複数の孔部を有するスペーサと、
前記第1面側に位置し、前記孔部内に位置する複数の端子部と、を備え、
前記スペーサは、酸化アルミニウムで形成されている、回路基板。
【請求項12】
前記スペーサは、平面視で格子状である、請求項11に記載の回路基板。
【請求項13】
複数の前記孔部は、第1孔部及び第2孔部を含み、
前記端子部は、前記第1孔部に位置し、前記第2孔部に位置しない、請求項11又は12に記載の回路基板。
【請求項14】
1つの前記孔部内に複数の前記端子部が位置している、請求項11乃至13の何れか1項に記載の回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子部品の実装方法、表示装置、及び、回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自発光素子である発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いたLED表示装置が知られているが、近年では、より高精細化した表示装置として、マイクロLEDと称される微小なダイオード素子を用いた表示装置が開発されている。このマイクロLED表示装置は、従来の液晶表示装置や有機EL表示装置とは異なり、表示領域にチップ状の多数のマイクロLEDが実装されて形成されるため、高精細化と大型化の両立が容易であり、次世代の表示装置として注目されている。
【0003】
チップ状の多数のマイクロLEDを表示領域に実装する方法としては、レーザーリフトオフ(LLO:Laser Lift Off)を利用した方法が知られている。複数のマイクロLEDは、表示領域に実装される前にはサファイア基板上に形成されている。しかしながら、LLOによってマイクロLEDをサファイア基板から剥離する際に、サファイア基板に反りが生じている場合、レーザー光が所望の位置に照射されない恐れがある。これを解消するために、サファイア基板の全面を押し付けて、サファイア基板の反りを平坦化する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-83280号公報
【特許文献2】米国特許第10770426号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、歩留まりを向上することが可能な電子部品の実装方法、表示装置、及び、回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、第1面を有する絶縁基板、及び、前記第1面側に位置する端子部及びスペーサを備えた回路基板と、第2面を有するサファイア基板、及び、前記第2面側に位置する電子部品を備えたウエハと、を備えるワークを、前記第1面及び前記第2面が対向するようにステージと加圧ジグとの間に載置し、前記加圧ジグを前記サファイア基板の一部に当接させ、前記スペーサの上面の一部と前記第2面との間の当接部分に荷重を加え、前記加圧ジグで前記サファイア基板を前記回路基板側に加圧し、前記スペーサの前記上面の他の部分と前記第2面とを当接させ、前記サファイア基板を平坦化し、前記加圧ジグの窓部を通して第1レーザー光を前記ワークに照射し、前記電子部品を前記回路基板に接合し、前記窓部を通して前記第1レーザー光とは異なる波長帯を有する第2レーザー光を前記ワークに照射し、前記サファイア基板から前記電子部品を剥離し、前記加圧ジグを前記サファイア基板から離間させる、電子部品の実装方法が提供される。
【0007】
本実施形態によれば、第1面を有する絶縁基板と、前記第1面側に位置し、複数の孔部を有するスペーサと、前記第1面側に位置し、前記孔部内に位置する複数の電子部品と、を備え、前記スペーサは、酸化アルミニウムで形成されている、表示装置が提供される。
【0008】
本実施形態によれば、第1面を有する絶縁基板と、前記第1面側に位置し、複数の孔部を有するスペーサと、前記第1面側に位置し、前記孔部内に位置する複数の端子部と、を備え、前記スペーサは、酸化アルミニウムで形成されている、回路基板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、表示装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、回路基板の構成を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、ウエハの構成を概略的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る実装方法の第1工程を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る実装方法の第2工程を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る実装方法の第3工程を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る実装方法の第4工程を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る実装方法の第5工程を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る実装方法の第6工程を示す図である。
【
図10】
図10は、表示パネルの構成を概略的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る回路基板及びウエハを示す平面図である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る表示パネルを示す平面図である。
【
図13】
図13は、第1変形例に係る回路基板及びウエハを示す平面図である。
【
図14】
図14は、第1変形例に係る表示パネルを示す平面図である。
【
図15】
図15は、第2変形例に係る回路基板及びウエハを示す平面図である。
【
図16】
図16は、第2変形例に係る表示パネルを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
図1は、表示装置DSPの構成を概略的に示す斜視図である。
本明細書においては、図示したように第1方向X、第2方向Y、第3方向Zを定義する。第2方向Yは、第1方向Xに対して垂直な方向であり、第3方向Zは、第1方向X、第2方向Yに対して垂直な方向である。第1方向Xと第2方向Yは、垂直に交わっているが、垂直以外の角度で交わってもよい。本明細書において、第3方向Zを示す矢印の先端に向かう方向を「上」と称し、矢印の先端から逆に向かう方向を「下」と称する。また、第3方向Zを示す矢印の先端側に表示装置DSPや製造装置などを観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。
【0012】
本明細書においては、電子部品として、表示装置DSPに用いるLEDチップ(発光素子)を一例として説明する。
以下、本明細書においては、表示装置DSPが自発光素子であるマイクロLEDを用いたマイクロLED表示装置である場合について説明する。
図1に示すように、表示装置DSPは、表示パネルPNL、プリント回路基板PCB1及びPCB2、及び、駆動ICチップ2を備えている。
【0013】
表示パネルPNLは、一例では矩形状である。図示した例では、表示パネルPNLの短辺EXは第1方向Xと平行であり、表示パネルPNLの長辺EYは第2方向Yと平行である。第3方向Zは、表示パネルPNLの厚さ方向に相当する。表示パネルPNLの主面は、第1方向Xと第2方向Yとにより規定されるX-Y平面に平行である。表示パネルPNLは、表示領域DAと、表示領域DAの外側の非表示領域NDAと、を有している。図示した例では、非表示領域NDAは、表示領域DAを囲んでいる。表示パネルPNLは、非表示領域NDAに端子領域MTを有している。端子領域MTは、表示パネルPNLの短辺EXに沿って設けられ、表示パネルPNLを外部装置などと電気的に接続するための端子を含んでいる。
【0014】
表示領域DAは、画像を表示する領域であり、例えばマトリクス状に配置された複数の画素PXを備えている。画素PXは、発光素子(マイクロLED)及び発光素子を駆動するためのスイッチング素子などを含んでいる。
【0015】
プリント回路基板PCB1は、端子領域MTの上に実装され、表示パネルPNLと電気的に接続されている。プリント回路基板PCB1は、例えばフレキシブルプリント回路基板である。プリント回路基板PCB2は、例えばプリント回路基板PCB1の下方においてプリント回路基板PCB1と接続されている。プリント回路基板PCB2は、例えばリジットなプリント回路基板である。
【0016】
駆動ICチップ2は、プリント回路基板PCB1上に実装されている。なお、駆動ICチップ2は、プリント回路基板PCB1の下に実装されてもよいし、表示パネルPNLの非表示領域NDAに実装されてもよいし、プリント回路基板PCB2に実装されてもよい。駆動ICチップ2は、例えばプリント回路基板PCB1及びPCB2を介して図示しない制御基板と接続されている。駆動ICチップ2は、制御基板から出力される映像信号に基づいて、複数の画素PXを駆動し表示パネルPNLに画像を表示する制御を実行する。
【0017】
以下では、上記した表示パネルPNLのベース基板となる回路基板CBに対して発光素子LEDを実装する方法を説明する。より詳しくは、
図3に示すウエハWFから発光素子LEDをレーザーリフトオフ(LLO)により剥離して、
図2に示す回路基板CBに実装する方法について説明する。
【0018】
まず、
図2及び
図3を参照して、回路基板CB及びウエハWFの構成について説明する。
【0019】
図2は、回路基板CBの構成を概略的に示す断面図である。
回路基板CBは、絶縁基板10、複数の端子部11、複数の接合部材12、及び、スペーサSPを備えている。
【0020】
絶縁基板10は、例えばガラス基板もしくは可撓性を有する樹脂基板であり、面(第1面)10Aと、面10Aの反対側の面10Bと、を有している。図示を省略しているが、絶縁基板10上には、発光素子LEDを駆動するためのスイッチング素子や各種配線パターンが形成されている。スイッチング素子は薄膜トランジスタであり、回路基板CBはアレイ基板やバックプレーン基板などと称されることもある。
【0021】
複数の端子部11は、絶縁基板10の面10A側に位置している。1つの端子部11は、1組の第1電極11A及び第2電極11Bによって構成されている。端子部11は、例えば、表示装置DSPに実装される発光素子LEDと同数だけ形成されている。端子部11は、例えば、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)などの金属材料、及び、これらの金属材料の積層体で形成されている。
【0022】
複数の接合部材12は、それぞれ端子部11の上に配置されている。1つの接合部材12は、1組の第1接合部材12A及び第2接合部材12Bによって構成されている。第1接合部材12Aは、第1電極11Aの上に位置している。第2接合部材12Bは、第2電極11Bの上に位置している。接合部材12は、端子部11と、後述する発光素子LEDの端子部22とを接合するための部材である。詳細については後述するが、接合部材12は、400nm~3000nmの波長帯のレーザー光が照射されると、レーザーアブレーションにより加熱・溶融する金属材料で形成されており、例えばSn(スズ)、Ag(銀)などの金属材料で形成されている。接合部材12は、半田部材と称されてもよい。また、図示した例では、接合部材12は端子部11に設けられているが、後述する発光素子LEDの端子部22に設けられていてもよい。
【0023】
スペーサSPは、絶縁基板10の面10A側に位置している。スペーサSPは、
図11で後述するように一体で形成されており、複数の孔部HLを有している。スペーサSPは、例えば、Al
2O
3(酸化アルミニウム)で形成されている。複数の端子部11は、それぞれ孔部HL内に位置している。
【0024】
図3は、ウエハWFの構成を概略的に示す断面図である。
ウエハWFは、サファイア基板20、及び、複数の発光素子(電子部品)LEDを備えている。サファイア基板20は、面(第2面)20Aと、面20Aの反対側の面20Bと、を有している。サファイア基板20は、Al
2O
3で形成されている。
【0025】
複数の発光素子LEDは、サファイア基板20の面20A側に位置している。発光素子LEDは、発光層21及び端子部22を備えている。
【0026】
発光層21は、図示しない剥離層を介してサファイア基板20の面20Aに固着されている。端子部22は、発光層21の上に配置されている。1つの端子部22は、1組の第1電極22A及び第2電極22Bによって構成されている。第1電極22A及び第2電極22Bは、一方がアノード電極に相当し、もう一方がカソード電極に相当する。端子部22は、回路基板CB側に配置された接合部材12により端子部11に接合され、端子部11と電気的に接続される。端子部22は、バンプと称されてもよい。
【0027】
次に、
図4乃至
図9を参照して、発光素子LEDを回路基板CBに実装する実装方法について説明する。以下、本明細書では、上述した回路基板CB及びウエハWFを積層したものをワークWKと称することとする。
【0028】
図4は、本実施形態に係る実装方法の第1工程を示す図である。第1工程は、ステージST上にワークWKを載置する工程を示している。なお、回路基板CBの端子部11及び接合部材12と、ウエハWFの発光素子LEDとはそれぞれ簡略化した一層として図示している。
【0029】
まず、実装装置100の構成について説明する。実装装置100は、ウエハWF上の発光素子LEDを回路基板CBに実装するための装置である。
【0030】
実装装置100は、ワークが載置されるステージST、加圧ジグ41、レーザー装置60、及び、駆動部DRを備えている。
ステージSTは、ワークを支持する支持面STAを有している。
【0031】
加圧ジグ41は、ステージSTと第3方向Zに対向している。加圧ジグ41は、ステージSTとの間でワークWKを加圧するように構成されている。加圧ジグ41は、支持面STAと第3方向Zに対向する窓部41Aを有している。窓部41Aは、例えば透明な材料で形成され、レーザー光を透過する。
【0032】
レーザー装置60は、第1レーザー光源LS1、第2レーザー光源LS2、光学系OS、及び、レーザーヘッド60Aを備えている。第1レーザー光源LS1は、第1レーザー光LZ1を出射する。第2レーザー光源LS2は、第2レーザー光LZ2を出射する(
図7及び
図8参照)。光学系OSは、例えば、第1レーザー光LZ1及び第2レーザー光LZ2の光路を調整するミラーなどを有している。レーザー装置60は、レーザーヘッド60Aから第1レーザー光LZ1及び第2レーザー光LZ2を出射する。
【0033】
駆動部DRは、加圧ジグ41の駆動を制御する第1駆動部DR1、及び、レーザー装置60の駆動を制御する第2駆動部DR2を備えている。第1駆動部DR1は、加圧ジグ41を支持面STAに対して垂直方向Vに移動させる。ここで垂直方向Vは、第3方向Zと平行な方向である。第2駆動部DR2は、レーザー装置60から第1レーザー光LZ1及び第2レーザー光LZ2を出射させる。また、第2駆動部DR2は、例えば、レーザーヘッド60Aを移動させる。
【0034】
ここで、第1工程について説明する。回路基板CB及びウエハWFが重なって構成されたワークWKをステージSTと加圧ジグ41との間に載置する。なお、ワークWKをステージST上に載置した後に加圧ジグ41をワークWK上に配置してもよい。回路基板CB及びウエハWFは、絶縁基板10の面10Aと、サファイア基板20の面20Aとが対向するように重ねられている。絶縁基板10の面10Bは、支持面STAに接している。サファイア基板20の面20Bは、加圧ジグ41と対向している。また、ワークWKをステージST上に載置する際には、回路基板CBとウエハWFとの位置合わせが行われる。
【0035】
本実施形態では、ウエハWFに反りが生じた場合を想定している。すなわち、回路基板CBとウエハWFとの間には、部分的に隙間GPが生じている。図示した例では、隙間GPは、ワークWKの周縁部CAに行くほど増大している。一方、ワークWKの中央部MAにおいては、回路基板CBとウエハWFとは接している。
【0036】
図5は、本実施形態に係る実装方法の第2工程を示す図である。第2工程は、ステージST上のワークWKに加圧ジグ41を当接させる工程を示している。
第1駆動部DR1は、加圧ジグ41をステージST側へ垂直方向Vに移動させサファイア基板20の一部に当接させる。第1駆動部DR1は、さらに加圧ジグ41でサファイア基板20を回路基板CB側に加圧していき、スペーサSPの上面USの一部と面20Aとの間の当接部分に荷重を加える。このとき、スペーサSPの上面USの他の部分は、面20Aから離間している。また、ワークWKの中央部MAにおいては、発光素子LEDの端子部22は、接合部材12に接触している、もしくは、接合部材12を若干押し潰している。
【0037】
スペーサSPの高さHSは、端子部11、接合部材12、端子部22、及び、発光層21の厚さの合計と同等もしくはそれより小さくなるように形成されている。高さHSが上記した各部材の厚さの合計より小さい場合、加圧ジグ41でサファイア基板20を加圧した際に接合部材12は元の形状より若干押し潰される。
【0038】
図6は、本実施形態に係る実装方法の第3工程を示す図である。第3工程は、加圧ジグ41によって、ワークWKをステージST側に加圧する工程を示している。
第1駆動部DR1は、加圧ジグ41をステージST側へ垂直方向Vに移動させる。すなわち、第1駆動部DR1は、
図5に示した状態からさらに加圧ジグ41でサファイア基板20を回路基板CB側に加圧していく。これにより、サファイア基板20が平坦化される。このとき、発光素子LEDを孔部HL内に収める。また、
図5において離間していたスペーサSPの上面USの他の部分と面20Aとを当接させる。例えば、スペーサSPの上面USの全面と面20Aとが当接している。加圧ジグ41は、ステージSTとの間でワークWKを固定している。回路基板CBの端子部11とウエハWFの端子部22とが重畳した状態でワークWKが固定されている。窓部41Aは、サファイア基板20の面20Bに接している。
このように、サファイア基板20の反りを矯正し回路基板CBとウエハWFとを密着させることで、発光素子LEDを回路基板CBに接合可能な状態にすることができる。
【0039】
例えば、サファイア基板20を平坦化する過程において、
図5に示したように回路基板CBとウエハWFとが最初に当接している位置には、最も大きな荷重がかかり端子部11、接合部材12、端子部22が過剰に潰れる恐れがある。また、これによりショートが発生する恐れがある。
【0040】
本実施形態によれば、スペーサSPの上面USと面20Aとが当接する。そのため、スペーサSPの上面USと面20Aとの当接部分が荷重を受け、端子部11、接合部材12、端子部22に加えられる荷重を軽減することができる。つまり、荷重によって端子部11、接合部材12、端子部22が過剰に潰れるのを抑制し、ショートの発生を抑制することができる。よって、製造歩留まりを向上することが可能である。
【0041】
また、スペーサSPの剛性は、サファイア基板20の剛性と同等以上である。これにより、スペーサSPは、サファイア基板20の反りを矯正するための荷重を加えられても変形などを生じない。
【0042】
図7は、本実施形態に係る実装方法の第4工程を示す図である。第4工程は、第1レーザー光LZ1をワークWKに照射する工程を示している。
第2駆動部DR2は、レーザー装置60を駆動してレーザーヘッド60Aから第1レーザー光LZ1を出射させる。レーザー装置60は、加圧ジグ41の窓部41Aを通して第1レーザー光LZ1をワークWKに照射し、発光素子LEDを回路基板CBに接合する。すなわち、レーザーアブレーションにより接合部材12を加熱・溶融させることで、回路基板CBの端子部11と、ウエハWFの端子部22とが接合される。より具体的には、第1電極22Aは、第1接合部材12Aによって、第1電極11Aに接合される。また、第2電極22Bは、第2接合部材12Bによって、第2電極11Bに接合される。第1レーザー光LZ1の波長帯は、400nm~3000nmである。
【0043】
図8は、本実施形態に係る実装方法の第5工程を示す図である。第5工程は、第2レーザー光LZ2をワークWKに照射する工程を示している。
第2駆動部DR2は、レーザー装置60を駆動してレーザーヘッド60Aから第2レーザー光LZ2を出射させる。レーザー装置60は、加圧ジグ41の窓部41Aを通して第2レーザー光LZ2をワークWKに照射し、サファイア基板20から発光素子LEDを剥離する。すなわち、発光素子LEDをサファイア基板20に固着している図示しない剥離層はレーザーアブレーションにより昇華しサファイア基板20から剥離される。第2レーザー光LZ2は、第1レーザー光LZ1とは異なる波長帯を有している。第2レーザー光LZ2の波長帯は、200nm~366nmである。
【0044】
図9は、本実施形態に係る実装方法の第6工程を示す図である。第6工程は、加圧ジグ41を移動させる工程を示している。
第1駆動部DR1は、加圧ジグ41を垂直方向Vに移動させてサファイア基板20から離間させる。つまり、加圧ジグ41は、ステージSTから離間する側に、垂直方向Vに移動する。加圧ジグ41がワークWKから離間したことで、サファイア基板20の反りの状態が
図4に示した状態に戻る。図に示すように、発光素子LEDは、サファイア基板20から離間している。
【0045】
図10は、表示パネルPNLの構成を概略的に示す断面図である。
図10は、
図3に示したウエハWFを用いて
図2に示した回路基板CBに発光素子LEDを実装することで製造された表示パネルPNLを示している。
表示パネルPNLは、面10Aを有する絶縁基板10と、面10A側に位置し複数の孔部HLを有するスペーサSPと、面10A側に位置し孔部HL内に位置する複数の発光素子LEDなどを備えている。また、表示パネルPNLは、上述した第1電極11A及び第2電極11B、第1接合部材12A及び第2接合部材12Bを備えている。
【0046】
スペーサSPの上面USと発光素子LEDの上面LUとは、同一平面上に位置している。発光素子LEDの上面LUは、例えば、光が出射される発光面に相当する。発光素子LEDの第1電極22Aは、第1接合部材12Aを介して第1電極11Aに接続されている。発光素子LEDの第2電極22Bは、第2接合部材12Bを介して第2電極11Bに接続されている。
【0047】
なお、表示パネルPNLは、スペーサSP、発光素子LEDなどを覆う接着層と、接着層を覆う絶縁基板と、を備えていてもよい。接着層は、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)、OCR(Optical Clear Resin)によって形成される。また、表示パネルPNLは、スペーサSP、発光素子LEDなどを覆う樹脂層を備えていてもよい。
【0048】
図11は、本実施形態に係る回路基板CB及びウエハWFを示す平面図である。
図11(a)は、回路基板CBを示している。
図11(b)は、ウエハWFを示している。
図11(b)に示すウエハWFを用いて
図11(a)に示す回路基板CBに発光素子LEDが実装される。
【0049】
図11(a)に示すように、回路基板CBの外形は、矩形状である。つまり、絶縁基板10の外形は、矩形状である。スペーサSPは、平面視で格子状である。スペーサSPは、第1方向Xに延出し第2方向Yに並んだ複数の第1部分SP1と、第2方向Yに延出し第1方向Xに並んだ複数の第2部分SP2と、を備えている。1つの孔部HLは、隣り合う2本の第1部分SP1と、隣り合う2本の第2部分SP2とによって囲まれた空間に相当する。複数の孔部HLは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に並んでいる。複数の孔部HLは、ピッチPT1で第1方向Xに並び、ピッチPT2で第2方向Yに並んでいる。図示した例では、1つの端子部11が1つの孔部HLに位置している。上述したように、1つの端子部11は、1組の第1電極11A及び第2電極11Bによって構成されている。
【0050】
図11(b)に示すように、ウエハWFの外形は、円状である。つまり、サファイア基板20の外形は、円状である。複数の発光素子LEDは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に並んでいる。複数の発光素子LEDは、ピッチPT3で第1方向Xに並び、ピッチPT4で第2方向Yに並んでいる。ピッチPT3は、孔部HLのピッチPT1と等しい。ピッチPT4は、孔部HLのピッチPT2と等しい。
【0051】
図6に示したように、サファイア基板20を平坦化した際に、1つの発光素子LEDが1つの孔部HL内に収められる。そして、略全ての孔部HLに1つずつの発光素子LEDが実装される。なお、回路基板CB及びウエハWFの平面的な形状は上記した例に限らない。
【0052】
図12は、本実施形態に係る表示パネルPNLを示す平面図である。
図12は、
図11(b)に示したウエハWFを用いて
図11(a)に示した回路基板CBに発光素子LEDを実装することで製造された表示パネルPNLを示している。
それぞれの孔部HLに1つずつの発光素子LEDが実装されている。1つの発光素子LEDは、隣り合う2本の第1部分SP1と、隣り合う2本の第2部分SP2とによって囲まれている。
【0053】
なお、上述した例では、一枚の回路基板CBに対して一枚のウエハWFを用いているが、例えば、回路基板CBの面積がウエハWFの複数枚分の面積に相当する場合、ウエハWFを交換しながら発光素子LEDの実装が行われる。また、赤色、緑色、青色などの異なる発光色の発光素子LEDを実装する場合、各色の発光素子LEDを備えるそれぞれのウエハWFから実装を行う場合がある。
【0054】
図13は、第1変形例に係る回路基板CB及びウエハWFを示す平面図である。
図13(a)は、回路基板CBを示している。
図13(b)は、ウエハWFを示している。
図13(b)に示すウエハWFを用いて
図13(a)に示す回路基板CBに発光素子LEDが実装される。
図13(b)に示すウエハWFの構成は、
図11(b)に示したウエハWFの構成と同一である。
【0055】
図13(a)に示す回路基板CBは、
図11(a)に示した回路基板CBと比較して、端子部11が配置されない孔部HLが設けられている点で相違している。複数の孔部HLは、第1孔部HL1及び第2孔部HL2を含んでいる。端子部11は、第1孔部HL1に位置し、第2孔部HL2に位置しない。図示した例では、端子部11は、第1方向Xに1つおきの孔部HLに設けられ、第2方向Yに1つおきの孔部HLに設けられている。
【0056】
図6に示したように、サファイア基板20を平坦化した際に、1つの発光素子LEDが1つの孔部HL内に収められる。そして、端子部11が位置している孔部HLのみに1つずつの発光素子LEDが実装される。実装に用いられない発光素子LEDはウエハWFから剥離されない。このように、実装されない発光素子LEDに対応する位置にも孔部HLを設けることで、発光素子LEDがスペーサSPと突き当たるのを抑制することができる。
【0057】
図14は、第1変形例に係る表示パネルPNLを示す平面図である。
図14は、
図13(b)に示したウエハWFを用いて
図13(a)に示した回路基板CBに発光素子LEDを実装することで製造された表示パネルPNLを示している。
発光素子LEDは、第1孔部HL1に位置し、第2孔部HL2に位置しない。図示した例では、発光素子LEDは、第1方向Xに1つおきの孔部HLに設けられ、第2方向Yに1つおきの孔部HLに設けられている。なお、発光素子LEDが配置される孔部HLと、発光素子LEDが配置されない孔部HLのレイアウトはこの例に限らない。また、発光素子LEDが配置されない孔部HLには、光センサなどの他の電子部品を配置してもよい。
【0058】
図15は、第2変形例に係る回路基板CB及びウエハWFを示す平面図である。
図15(a)は、回路基板CBを示している。
図15(b)は、ウエハWFを示している。
図15(b)に示すウエハWFを用いて
図15(a)に示す回路基板CBに発光素子LEDが実装される。
図15(b)に示すウエハWFの構成は、
図11(b)に示したウエハWFの構成と同一である。
【0059】
図15(a)に示す回路基板CBは、
図11(a)に示した回路基板CBと比較して、スペーサSPの第2部分SP2が形成されていない点で相違している。すなわち、スペーサSPは、第1方向Xに延出し第2方向Yに並んだ複数の第1部分SP1を有している。複数の孔部HLは、第1方向Xに延出し第2方向Yに並んでいる。また、1つの孔部HLに複数の端子部11が位置している。
【0060】
図6に示したように、サファイア基板20を平坦化した際に、複数の発光素子LEDが1つの孔部HL内に収められる。そして、1つの孔部HLに複数の発光素子LEDが実装される。
【0061】
図16は、第2変形例に係る表示パネルPNLを示す平面図である。
図16は、
図15(b)に示したウエハWFを用いて
図15(a)に示した回路基板CBに発光素子LEDを実装することで製造された表示パネルPNLを示している。
1つの孔部HL内に複数の発光素子LEDが位置している。なお、図示した例では、孔部HLは、第1方向Xに延出しているが、第2方向Yに延出していてもよい。つまり、スペーサSPの第1部分SP1が形成されずに第2部分SP2のみが形成されていてもよい。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、歩留まりを向上することが可能な電子部品の実装方法、表示装置、及び、回路基板を得ることができる。
なお、本明細書においては、電子部品として発光素子を例に説明したが、本実施形態は発光素子以外の電子部品に対しても適用可能である。
【0063】
また、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
DSP…表示装置、CB…回路基板、WF…ウエハ、
10…絶縁基板、20…サファイア基板、
10A、10B、20A、20B…面、LED…発光素子、
11…端子部、SP…スペーサ、HL…孔部、
WK…ワーク、ST…ステージ、41…加圧ジグ、
US、LU…上面、41A…窓部、LZ1…第1レーザー光、LZ2…第2レーザー光。