(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158613
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01G 9/14 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
A01G9/14 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063630
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】坂井 義明
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029GA05
2B029GA06
2B029GA08
2B029GA10
(57)【要約】
【課題】植物栽培施設内を走行する移動作業車において隣接する作業通路への進入位置合わせを容易且つ効率良く行なわせる。
【解決手段】多数の栽培ベッド5間の各作業通路9と栽培ベッド5の端部で各作業通路9に通じる移動通路4を走行する作業車両において、走行車体21に各作業通路9に配置した左右一対のレール13を走行する軌道輪20bと移動通路4を走行する車輪20aを設け、車輪(20a、20b)は車輪転回手段(M)によって方向転回可能であり、
走行車体21の前記レール13に対向する側にレール13を検出する作業通路進入位置検知センサ33,37L,37R,40L,40Rを設け、移動通路4走行時に作業通路進入位置検知センサ(33,37L,37R,40L,40R)が作業通路進入位置を検知すると作業車体21を停止する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の栽培ベッド(5)間の各作業通路(9)と栽培ベッド(5)の端部で各作業通路(9)に通じる移動通路(4)を走行する作業車両において、走行車体(21)に、各作業通路(9)に配置した左右一対のレール(13)を走行する軌道輪(20b)と移動通路(4)を走行する車輪(20a)を設け、車輪(20a、20b)は車輪転回手段(M)によって方向転回可能であり、走行車体(21)の前記レール(13)に対向する側に、レール(13)を検出する作業通路進入位置検知センサ(33,37L,37R,40L,40R)を設け、移動通路(4)走行時に作業通路進入位置検知センサ(33,37L,37R,40L,40R)が作業通路進入位置を検知すると作業車体(21)を停止することを特徴とする作業車両。
【請求項2】
走行車体(21)の前側に前方突出するセンサアーム(34)に、作業通路進入位置検知センサ(33,37L,37R,40L,40R)を設けてなる請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
作業通路進入位置検知センサ(40L,40R)は近接センサ型のセンサである請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
レール(13)は温湯管であって、作業通路(9)始端側においてU字に接続するレール端部(13t)を備え、前記センサアーム(34)にレール端部(13t)を検出する接触防止用検知センサ(39,41)を設けてなる請求項2又は請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
走行車体(21)に対してセンサアーム(34)を前方突出する状態と退避状態とする伸縮手段(42,43)を備え、センサアーム(34)を移動通路(4)走行中は突出状態に伸長し、作業通路(9)走行中は退避状態に短縮する構成とした請求項2から請求項4のいずれか一に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培施設において、収穫作物を収納する収納バケットを運搬する運搬車両等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
植物栽培施設において、作物栽培条に沿う作業通路における作業走行および別の作物栽培条に沿う作業通路に通じる移動通路における移動走行を行う走行装置の構成がある(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、作業通路から作業車両が出たと制御装置が判定すると、左右の走行車輪のうち、旋回外側を正転、旋回内側を逆転させることにより、走行車体をその場で旋回させる構成であるから、旋回半径を小さくできる利点がある。
【0005】
ところが、走行車体が旋回するため隣接する次の作業通路における進入位置合わせが困難である。
【0006】
本発明は、上記に鑑み隣接する作業通路への進入位置合わせを容易且つ効率良く行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、請求項1記載の発明は、多数の栽培ベッド(5)間の各作業通路(9)と栽培ベッド(5)の端部で各作業通路(9)に通じる移動通路(4)を走行する作業車両において、走行車体(21)に、各作業通路(9)に配置した左右一対のレール(13)を走行する軌道輪(20b)と移動通路(4)を走行する車輪(20a)を設け、車輪(20a、20b)は車輪転回手段(M)によって方向転回可能であり、
走行車体(21)の前記レール(13)に対向する側に、レール(13)を検出する作業通路進入位置検知センサ(33,37L,37R,40L,40R)を設け、移動通路(4)走行時に作業通路進入位置検知センサ(33,37L,37R,40L,40R)が作業通路進入位置を検知すると作業車体(21)を停止する構成とした。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、走行車体21の前側に前方突出するセンサアーム34に、作業通路進入位置検知センサ33,37L,37R,40L,40Rを設ける。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、作業通路進入位置検知センサ(40L,40R)は近接センサ型のセンサとした。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、レール13は温湯管であって、作業通路9始端側においてU字に接続するレール端部13tを備え、前記センサアーム34にレール端部13tを検出する接触防止用検知センサ39,41を設ける。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2から請求項4のいずれか一に記載の発明において、走行車体21に対してセンサアーム34を前方突出する状態と退避状態とする伸縮手段42,43を備え、センサアーム34を移動通路4走行中は突出状態に伸長し、作業通路9走行中は退避状態に短縮する構成とした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によると、隣接する栽培ベッド5に移動したとき、走行車体21を栽培ベッド間に進入する姿勢の変更を少なくして位置合わせを容易化する。また走行車体21の旋回を行わないので移動通路4のスペースをコンパクトにできる。
【0013】
請求項2及び請求項3に記載の発明によると、請求項1に記載の効果に加え、作業通路進入位置検知センサ33,37L,37R,40L,40Rは確実にレール13を検知できる。また走行車体21と栽培ベッド5の距離を所定にとることができ、走行車体21が栽培ベッド5に当接することを防止できる。
【0014】
請求項4に記載の発明によると、請求項2及び請求項3に記載の効果に加え、走行車体21が作業通路9に進入状態であることを検知できる。また、移動通路4走行中の走行車体21のレール13への異常接近を防止できる。
【0015】
請求項5に記載の発明によると、請求項2から請求項4に記載の効果に加え、移動通路4走行時には走行車体21が栽培ベッド5に当接し難い。作業通路9での移動時には通路奥側まで走行車体21を進入できるので通路奥側の作物に対する作業を行える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる作業車両を利用する植物栽培設備の概要図である。
【
図2】(A)同作業車両における収穫作業車の側面図、(B)同収穫作業車の平面図である。
【
図3】同作業車の収穫作業一例を示す側面図である。
【
図4】同作業車のバケットの段積みを示す説明図である。
【
図5】同作業車の走行手段及びその周辺を示す側面図である。
【
図6】(A)(B)同作業車における作業通路進入位置検知状態を示す平面図である。
【
図7】(A)(B)同作業車におけるセンサアームの出退を示す側面図である。
【
図8】同作業車における、別例の作業通路進入位置検知状態を示す平面図である。
【
図9】(A)同別例の作業車の走行手段及びその周辺を示す側面図、(B)同別例の作業通路進入位置検知状態を示す平面図である。
【
図10】(A)同別例の作業車の走行手段及びその周辺を示す側面図、(B)同別例の作業通路進入位置検知状態を示す平面図である。
【
図11】(A)(B)同別例の作業通路進入位置検知状態を示す平面図である。
【
図12】(A)(B)本発明の実施の形態にかかる作業車両のセンサアームの伸縮手段の作用状態を示す平面図である。
【
図13】(A)(B)同センサアームの他の伸縮手段作用状態を示す平面図である。
【
図14】本発明の実施の形態にかかる作業車両の制御ブロック図である。
【
図15】(A)(B)同作業車両における車輪転回手段による車輪の動作説明平面図である。
【
図16】同車輪転回手段による車輪の動作説明平面図である。
【
図17】同車輪転回手段による車輪の動作説明平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態の温室設備について以下説明する。
【0018】
図1は栽培施設の一例を示すものであり、この栽培施設は、暖房機や加湿機等により温度及び湿度等の室内環境が管理される温室である栽培室1と、該栽培室1に隣接する出荷室2とを備えている。前記栽培室1内の中央には作業者又は移動作業車(作業台車)3あるいは防除作業車等が通過できるメイン通路4を設けており、このメイン通路4は、路面がコンクリートで構成されたコンクリート通路である。メイン通路4の両側の側方位置には、栽培ユニットとなる栽培ベッド5を多数列配置した作物を栽培するための栽培スペース6を構成している。尚、前記栽培ベッド5は培地となるロックウールで形成された栽培床部であり、出荷室2内の養液供給装置7から各栽培ベッド5へ養液が供給される構成となっている。
【0019】
また、メイン通路4の両端には開閉扉を備える栽培室1への出入り口8を設け、一方の出入り口8を介して隣接する出荷室2へ行き来できる構成となっている。尚、他方の出入り口8は、栽培施設の屋外から出入りできる構成となっている。そして、移動作業車3をメイン通路4から各々の栽培ベッド5の間のサブ通路9に移動させ、該サブ通路9で栽培ベッド5に沿って移動作業車3を移動させながら栽培する植物に対する各種作業を行うことができる。サブ通路9は、各々の栽培ベッド5の左右間で前後方向に形成される通路となる。尚、移動作業車3は、サブ通路9上に敷設された温室全体を暖房する左右の暖房用管を走行用のレール13として走行する。
【0020】
前記出荷室2内には、前述した養液供給装置7と、収穫されたトマト等の収穫物(果実)を重量や大きさあるいは等級別に選別する選別装置10とを備えている。尚、該選別装置10が、栽培された作物を出荷前に処理する前処理装置となる。選別装置10は、収穫物を搬送して選別する選別コンベア11と、該選別コンベア11の両側の側方に設けられた各階級毎の収穫物収容部12とを備えて構成され、選別コンベア11から各収穫物収容部12へ収穫物を供給して各階級に選別する構成となっている。尚、前記選別コンベア11は、平面視でL字状に屈曲した構成となっている。また、各々の収穫物収容部12には収穫物を収容する収容箱を設けて、この収容箱ごとに収穫物を出荷すればよい。
【0021】
栽培ベッド5の上側には、該栽培条に沿う誘引ワイヤ15を設け、栽培される植物Pの栽培株は、誘引ワイヤ15から誘引フック16を介して垂れ下がる誘引部材としての誘引紐17により誘引される。尚、誘引フック16は、誘引ワイヤ15に吊り下げられる構成であり、巻き付けた誘引紐17を適宜繰り出して下方に垂れ下がらせる周知の構成となっている。また、植物が所定の高さ(誘引フック16の近く)まで成長した以降は、誘引フック16から誘引紐17を繰り出しながら、順次誘引紐17を前記複数の栽培株の配列方向、すなわち栽培ベッド5の長手方向にずらせて植物の高さを低下させ、植物を継続的に栽培する。従って、例えばトマトfを栽培する場合、トマトの茎cが栽培ベッド5から誘引紐17を伝って伸長することになる(
図3)。
【0022】
移動作業車3は、
図2,
図3に示すように収穫作業車とされる。前後左右の走行車輪20で走行可能に支持された走行車体21には収穫アーム22を備え、走行車体21に形成される上下の収容空間23,24に収穫物収容バケットA,A…を多段に段積したり段ばらしする狭持リフト機構25,26を備えている。そして、収穫アーム22や上下狭持リフト機構25,26は設定信号や図外撮像装置等各種センサからの入力信号を受ける制御装置C(
図14参照)によって演算処理されて出力される指令信号によって制御モータ等のアクチュエータが作動し自動的に果実収穫やバケットAへの果実収容作業が実行される構成としている。
【0023】
バケットAは、上下の収容空間23,24のうち、下方の収容空間24に段積みされ、その状態で収穫アーム22で収穫したトマトfは最上段のバケットAに順次供給される(
図4(イ))。最上段のバケットAが満杯になると、下側の狭持リフト機構26は最下段のバケットAを持ち上げ、すなわち全バケットA,A…を上昇する(同図(ロ))。そして、最上段のバケットAが上側の狭持リフト機構25の待機位置まで上昇するとこの上側の狭持リフト機構25は最上段のバケットAを係合して上昇させることで、トマトが収容された最上段バケットAは上側収容空間23にて待機することとなる(同図(ハ))。
【0024】
引き続き、空のバケットAで下方の収容空間24の最上位置となったバケットAに収穫アーム22で収穫したトマトfを満杯まで供給する。その後、一旦上側の狭持リフト機構25で支持されているバケットAを下降させて上記満杯となったバケットAに一旦重ね(同図(ニ))、下側の狭持リフト機構26で全バケットA,A…を上昇移行し、上位2段目の満杯バケットAを上側の狭持リフト機構25で支持しつつ上昇させる(同図(ホ))。このように順次満杯となったバケットAは上側収容空間23に段積み移送されることとなる。そして、下側の狭持リフト機構26で支持される最下段のバケットAに収穫トマトfを満杯にすると(同図(ヘ))、収穫終了となる。この最下段のバケットAに、上側の狭持リフト機構25で支持されているバケットAを積み重ね(同図(ト))、上段のバケットAを全て下降させる(同図(チ))。このように収穫されたトマトfを収容した多段バケットAを下側の収容空間24に移すこととなる。この下側の収容空間24に待機のバケットAは適宜に底部開放やコンベア搬送の手段をもって走行車体21の外側に移されるようになっている。
【0025】
なお、
図3に示す例では、収穫アーム22の支持台27は、上下の収容空間23,24の境界線に沿うよう設けたガイドレール28により走行車体21の前後方向に移動しうる構成としている。したがって、下側の収容空間24に全バケットA,A…を位置させておけば、収穫アーム22をガイドレール28に沿って前側に移動させることができ、建屋壁29に接近する茎cに生るトマトfを収穫できることになり、収穫されたトマトfは左程に多くないため、予め収容空間の残る最上段のバケットAに収容することができる。
【0026】
次いで、移動作業車3の走行機構およびその周辺構成について説明する。前後左右一対の走行車輪20は、車輪軸30に支持される径大のゴム車輪20aと同軸に支持される径小の軌道輪20bとからなり、車輪軸30は各別に走行駆動モータ31をもって駆動される構成である。したがって、ゴム車輪20aで栽培室1内のメイン通路4(以下、移動通路4という)を走行し、軌道輪20bによってサブ通路9(以下、作業通路9という)のレール13に沿い走行できる構成である。また、各車輪軸30には車輪転回手段Mを備え、車輪軸30を縦軸芯回りに回動可能に構成し、これらゴム車輪20aと軌道輪20bは、走行車体21を固定状態のまま一体的に角度を0度と90度に変更できる構成とされ、例えば角度0度方向ではゴム車輪20aにて移動経路4を走行し、角度90度方向に変更するとレール13に沿い軌道輪20bにて作業通路9を走行できる。このため走行車体21を方向変換する必要がない。なお、前後左右の各走行装置20に設けられる車輪転回手段Mの具体例としては、前記縦軸芯に設けたモータ軸の下端には車輪軸30を連結し、上端には正逆転可能な転回駆動モータを設けてなる。この転回駆動モータの正転、逆転に伴って車輪軸30を縦軸芯回りに回動し、同時にゴム車輪20aと軌道輪20bとを回転させる構成としている。
【0027】
次いで、移動通路4走行時の移動作業車3における作業通路9進入位置判定制御について説明する。2条に並設されたレール13、レール13に温水を循環するために略U字状に形成した端部13tを複数列に配置しており、制御装置Cは、作業通路進入位置検知センサ33の検出値を入力し、この作業通路進入位置検知センサ33の検知に基づいて進入位置に達したか否かの判定を行う。なおレール端部13tは各作業通路9の始端側に設けている。
【0028】
走行車体1の前方にセンサアーム34を突出して設け、左右センサアーム34L,34Rを連結するセンサ支持ロッド35に、移動通路4進行前方向Fa側において、リミットスイッチ形態の作業通路進入位置検知センサ33を設け、該センサ33の検知アクチュエータ33aを垂下状態に設けている。センサアーム34の設定長さによって作業通路進入位置検知センサ33の検知アクチュエータ33aはレール13の2条のうち走行車体21進行後方側レール13Lに接触して検知し(
図6(A))、さらに走行車体21の前進により進行前方側レール13Rに接触して検知する(
図6(B))。
【0029】
この時点で、制御装置Cは、走行車体21が隣接の作業通路9に達したと判定して、走行駆動モータ31を停止制御する。これとともに車輪転回手段Mに角度を変更すべく制御する。再度走行駆動モータ31が起動されると、走行車体21は作業通路9奥側を進行前方向Fbとして軌道輪20bが一対のレール13L,13Rに沿い移動するものである。そして、建屋壁29に接近したことを図外接近位置検出センサで検知して走行車体21は停止制御され、走行駆動モータ31は逆転され走行車体21は進行後方向に移動し、再度移動通路4に復帰するものである。
【0030】
さらに、隣接の作業通路9に移動して作業を継続するが、制御手段Cは車輪転回手段Mを角度0度に復帰させ走行駆動モータ31を再度駆動し作業車体21を移動通路4に沿い移動させて、次の作業通路9の進入位置を検知することで前記移動を繰り返す。
【0031】
図7に示す例は、前記センサアーム34の支持構成の改良に関する。センサアーム34を突出方向前後に出退自在に走行車体21に支持し、センサアーム34の先端において、レール13に温水を循環するために略U字状に形成した前記レール端部13tを係合して走行車体21前方に突出したり退避動させるよう構成している。すなわち、作業通路9を移動中の場合、センサアーム34の突出は不要であるため退避させておく。そして作業車体21が作業通路9から脱する際にレール端部13tに係合し得るように垂下状態の係止部材36を前記センサ支持ロッド35に設置することにより、走行車体21の後退移動によって係止部材36がレール端部13tに係合してさらに続く後退移動でセンサアーム34が突出するように構成されている。なお、係止部材36はセンサアーム34が最大突出状態にあってさらに過剰の後退移動による外力では適宜に撓む素材で構成するなど、レール端部13tを越え得る構成としている。
【0032】
図8に示す例は、センサアーム34先端のセンサ支持ロッド35に、移動通路4進行前方向Fa側及び後方向の2か所において、リミットスイッチ形態の作業通路進入位置検知センサ37L,37Rを設ける。このように構成すると、走行車体21の移動通路4における移動に伴い先行する作業通路進入位置検知センサ37Rが前記実施例の作業通路進入位置検知センサ33の機能を有して作業通路9の進入位置を検知できる点に加えて、後行の作業通路進入位置検知センサ37Lは、レール検知の無いことで正規に作業通路進入位置検知センサ37Rが検知し制御装置Cの判定に寄与するものとするが、後行の作業通路進入位置検知センサ37Lが検知することで、走行車体21の行き過ぎを検知できるものとなる。すなわち、一対のレール13間隔に対して左右の作業通路進入位置検知センサ37L,37R間隔を大に設定することで、後行の作業通路進入位置検知センサ37Lがレール13Lを検知すると行き過ぎと判定できる。この場合には、走行駆動モータ31を逆転して再度レール13Lを検知するまで走行車体21を後退させることにより正規の進入位置に達することができる。
【0033】
図9に示す例は、センサアーム34の中間部に架け渡す補助支持ロッド38に接触防止用検知センサ39を配置している。この接触防止用検知センサ39がレール13やレール端部13tに接触してこれを検知すると、移動通路4を移動中の走行車体21が栽培ベッド5に異常接近の可能性が大と判定するなどして、接触防止用検知センサ39が非検知の状態まで走行車体21を栽培ベッド5側から離れるよう走行制御することができる。
【0034】
図10に示す例は、作業通路進入位置検知センサ33,37L,37Rや接触防止用検知センサ39を近接センサ型の作業通路進入位置検知センサ40L,40R及び接触防止用検知センサ41に代替する構成としている。近接センサとしては、近接センサは、対象に非接触で存否等を検知できるセンサで、誘導型センサ、静電容量型センサ、磁気センサなどがある。リミットスイッチ型に代表される接触センサの場合には当たった衝撃で装置やアクチュエータがずれる可能性があるが、近接センサで構成すると、このような恐れが少なく、また比較的廉価に構成できる。
【0035】
図11に示す例は、近接センサ型の作業通路進入位置検知センサ40L,40Rの少なくとも一方(図例では両方)を前後一対型の近接センサ40Lf,40Lr及び近接センサ40Rf,40Rrで構成している。平面視において、走行車体21が作業通路9に進入する際、レール13に対し走行車体21が斜めにならず進入すると、作業通路進入位置検知センサ40Lf,40Lrはほぼ同時にレール13を検知できている場合には、走行車体21の進入方向は正規であると判定される。なお作業通路進入位置検知センサ40Rf,40Rrの関係についても同様である。一方作業通路進入位置検知センサ40Lf,40Lrのうちいずれか一方が先行して検知する場合には平面視で斜め方向に進入しているものと判定する。この斜め進入に対しては、一旦所定に走行車体21を後退し、進入姿勢を調整して再度の進入を図るとよい。
【0036】
図12に示す例は、前記センサアーム34を走行車体21前方に突出する伸長状態又は退避する縮小状態とする伸縮手段としてのシリンダ機構42を設け、任意に又は自動的に退避させることによって、作業通路9における移動時には退避させて他物との衝突を防止させることができる。なお、
図13においては伸縮手段としてパンタグラフ43を構成し同様の効果を得ることができる。
【0037】
なお、前記実施例における作業通路進入位置検知センサ33,37L,37Rは正規の進入位置において、レール13検知位置から若干ずらせて設け、検知状態から非検知状態への切換判定によって進入位置が適当であると判定する構成としたが、作業通路進入位置検知センサ33,37L,37Rが正にレール13検知している状態が適正となるようにセンサ位置を配置することもできる。
【0038】
図15~
図17は、前記車輪転回手段Mの作用を示すものである。
図15(A)(B)は、作業通路9から移動通路4に後退してきた作業車体21の走行装置20を移動通路4走行状態に変更する場合を示し、矢印は転回方向を示している。
図15(A)の場合は前後左右の車輪軸30、ゴム車輪20a及び軌道輪20bを同じ方向に転回させた場合である。この場合でもゴム車輪20aの向きが移動通路4に沿う状態に変更できているが、走行車体21の前側車輪軸30に支持される前輪側ゴム車輪及び軌道輪20bの位相が異なって、走行装置20を駆動する際に車体旋回方向の回動力が引き起こされる恐れがある。このため、
図15(B)に示すように、左右の車輪軸30の転回方向を異ならせることによって回動力を打ち消しあって上記の恐れが少ない。
【0039】
図16は、作業通路9のレール13を軌道輪20bで走行する場合を示すが、車輪転回手段Mの転回操作により、軌道輪20bがゴム車輪20aに対して左右とも内側になるよう転回操作し、径大のゴム車輪20aにレール13からの脱輪防止機能を持たせている。
【0040】
また、
図17は、車輪転回手段Mをもって車輪軸30を転回角度45度程度の斜め方向に設定している。これによって旋回動作を得ることができる。
【符号の説明】
【0041】
4 移動通路
5 栽培ベッド
9 作業通路
13 レール
13t レール端部
20 走行車輪
20a ゴム車輪(車輪)
20b 軌道輪
21 走行車体
33 作業通路進入位置検知センサ
34 センサアーム
37L 作業通路進入位置検知センサ
37R 作業通路進入位置検知センサ
39 接触防止用検知センサ
40L 作業通路進入位置検知センサ
40R 作業通路進入位置検知センサ
41 接触防止用検知センサ
42 シリンダ機構(伸縮手段)
43 パンタグラフ(伸縮手段)
M 車輪転回手段