(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158616
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】着色組成物、および、塗膜
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20221006BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20221006BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20221006BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/65
C09D7/61
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063637
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000206901
【氏名又は名称】大塚化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】清水 達彦
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CG141
4J038CG142
4J038CQ002
4J038DJ001
4J038HA026
4J038KA08
4J038KA09
4J038NA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】漆黒性の優れた塗膜を形成できる着色組成物を提供する。
【解決手段】着色組成物は、黒色着色材、分散剤、水性分散媒体を含有し、前記分散剤が、式(1)で表される構造単位を含有するAブロックと、式(3)で表される構造単位および塩基性基を有する構造単位を含有するBブロックとを有するブロック共重合体を含有することを特徴とする。
式(3)において、R
31は脂環式炭化水素基を表す。Z
3はOまたはNHを表す。R
32は水素原子またはメチル基を表す。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色着色材、分散剤、水性分散媒体を含有し、
前記分散剤が、式(1)で表される構造単位を含有するAブロックと、式(3)で表される構造単位および塩基性基を有する構造単位を含有するBブロックとを有するブロック共重合体を含有することを特徴とする着色組成物。
【化1】
[式(1)において、n1は2~30の整数を表す。R
11は水素原子または炭素数が1~3のアルキル基を表す。R
12は炭素数が1~3のアルキレン基を表す。R
13は水素原子またはメチル基を表す。なお、複数存在するR
12は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【化2】
[式(3)において、R
31は脂環式炭化水素基を表す。Z
3はOまたはNHを表す。R
32は水素原子またはメチル基を表す。]
【請求項2】
前記式(1)で表される構造単位の含有率が、前記Aブロック100質量%中において20質量%~95質量%である請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
前記式(3)で表される構造単位の含有率が、前記Bブロック100質量%中において15質量%~80質量%である請求項1または2に記載の着色組成物。
【請求項4】
前記Bブロックにおいて、前記式(3)で表される構造単位と前記塩基性基を有する構造単位との質量比(式(3)で表される構造単位/塩基性基を有する構造単位)が、0.15~4.0である請求項1~3のいずれか一項に記載の着色組成物。
【請求項5】
前記Aブロックが、さらに式(2)で表される構造単位を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の着色組成物。
【化3】
[式(2)において、R
21は、置換基を有していてもよい鎖状の炭化水素基を表す。R
22は水素原子またはメチル基を表す。]
【請求項6】
前記ブロック共重合体のアミン価が、10mgKOH/g~200mgKOH/gである請求項1~5のいずれか一項に記載の着色組成物。
【請求項7】
前記塩基性基を有する構造単位が、式(4)で表される構造単位である請求項1~6のいずれか一項に記載の着色組成物。
【化4】
[式(4)において、R
41およびR
42は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい鎖状もしくは環状の炭化水素基を表す。R
41およびR
42が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。R
43は2価の炭化水素基を表す。Z
4はO又はNHを表す。R
44は水素原子またはメチル基を表す。]
【請求項8】
前記ブロック共重合体中のAブロックとBブロックとの質量比(Aブロック/Bブロック)が、50/50~95/5である請求項1~7のいずれか一項に記載の着色組成物。
【請求項9】
前記ブロック共重合体の分子量分布(PDI)が、2.5以下である請求項1~8のいずれか一項に記載の着色組成物。
【請求項10】
前記ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)が、3,000~40,000である請求項1~9のいずれか一項に記載の着色組成物。
【請求項11】
前記ブロック共重合体が、リビングラジカル重合により重合されたものである請求項1~10のいずれか一項に記載の着色組成物。
【請求項12】
さらに塗膜形成用樹脂を含有する請求項11に記載の着色組成物。
【請求項13】
自動車用塗料組成物である請求項12に記載の着色組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の着色組成物から形成されてなることを特徴とする塗膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒色着色材、分散剤、水性分散媒体を含有する着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大気汚染を防止するという観点から、工場・事業所からの揮発性有機化合物(VOC)の排出量を低減することが求められている。そのため、自動車等の車体を構成する金属板の塗装に使用される塗料について、水性塗料への切り換えが検討されている。また、自動車塗料においては、高度の耐久性、耐酸性、耐洗車擦り傷性、耐チッピング性等の塗膜性能はもちろんのこと、これまで以上に透明性、発色性などの塗膜の仕上り外観も要求されている。
【0003】
塗料に使用される着色材は、一般的にその表面が疎水性である。また、溶剤型の着色塗料に用いられている分散剤は水に対する溶解性が低く、水性分散媒体中での分散安定性に劣っている。特に、黒色着色材として使用されるカーボンブラック等のカーボン粒子は、一次粒子径が小さく、比表面積が極めて大きいため、凝集力が非常に強い。そのため、カーボン粒子は、水性分散媒体中に均一に分散させることが難しく、また、分散しても凝集してしまうという問題がある。
【0004】
そこで、黒色着色材としてカーボンブラックを使用した塗料において、カーボンブラックの分散性を改善する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、DBP給油量150ml/100g以下、平均一次粒子径15nm以下、比表面積500m2/g以下、かつpHが酸性ないし中性の領域に含まれるカーボンブラックを、分散剤によって水性媒体中に微粒子分散させた高漆黒性カーボンブラック分散体(発色性のうち特に着色材が黒色着色材であるときに漆黒性ということがある)が記載されている。この特許文献1では、カーボンブラックの物性を制御することで、カーボンブラックの分散性を改善している(特許文献1(請求項1、段落0019、0021、0024)参照)。
【0005】
また、特許文献2には、(A)(a)特定のカチオン性官能基を有する重合性不飽和モノマー、(b)ポリオキシアルキレン鎖を有する重合性不飽和モノマー、及び(c)その他の重合性不飽和モノマーの共重合体、(B)顔料、及び(C)酸基及び水酸基含有アクリル樹脂を含有する水性塗料組成物が記載されている(特許文献1(請求項1、段落0014)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-285632号公報
【特許文献2】特開2014-5399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
黒色着色材としてカーボン粒子を用いた水性塗料において、カーボン粒子の分散性を改善した塗料が提案されているが、カーボン粒子の凝集の予防については改善の余地があった。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、黒色着色材(特にカーボン粒子)を含有する水性着色組成物であって、塗布したときの塗膜の漆黒性を向上できる着色組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することができた本発明の着色組成物は、黒色着色材、分散剤、水性分散媒体を含有し、前記分散剤が、式(1)で表される構造単位を含有するAブロックと、式(3)で表される構造単位および塩基性基を有する構造単位を含有するBブロックとを有するブロック共重合体を含有することを特徴とする。
【0009】
【化1】
[式(1)において、n1は2~30の整数を表す。R
11は水素原子または炭素数が1~3のアルキル基を表す。R
12は炭素数が1~3のアルキレン基を表す。R
13は水素原子またはメチル基を表す。なお、複数存在するR
12は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【0010】
【化2】
[式(3)において、R
31は脂環式炭化水素基を表す。Z
3はOまたはNHを表す。R
32は水素原子またはメチル基を表す。]
【0011】
本発明の着色組成物が分散剤として含有するブロック共重合体は、Aブロックが含有する式(1)で表される構造単位は水性分散媒体との親和性が高く、Bブロックが含有する式(3)で表される構造単位および塩基性基を有する構造単位が黒色着色材に吸着する。そのため、本発明の着色組成物は、黒色着色材の分散性が高く、漆黒性の優れた塗膜を形成できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の着色組成物は、黒色着色材(特にカーボン粒子)を含有する水性着色組成物であって、優れた漆黒性の塗膜を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、分散剤(ブロック共重合体)、黒色着色材、および、水性分散媒体を含有する。
【0014】
(着色材)
本発明で使用する黒色着色材としては特に限定されず、従来の塗料の黒色着色材として使用される顔料、染料を用いることができ、耐光性および耐熱性の観点から黒色顔料が好ましい。黒色顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、ボーンブラック等のカーボンブラック;カーボンナノチューブ;カーボンナノファイバー;フラーレン;天然黒鉛;グラファイト;ペリレン系顔料;ラクタム系顔料;チタンブラック;銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物;複合酸化物;金属硫化物;金属硫酸塩;金属炭酸塩等が挙げられ、好ましくはカーボンブラックおよびカーボンナノチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種のカーボン粒子である。
【0015】
カーボン粒子の一次粒子径は特に限定されないが、5nm~100nmが好ましい。
カーボン粒子の比表面積は、300m2/g~1300m2/gが好ましく、より好ましくは400m2/g~800m2/gである。前記比表面積は、JIS K 6217-3(2001)により測定する。
【0016】
カーボン粒子のDBP(フタル酸ジブチル)吸油量は、50ml/100g~150ml/100gが好ましく、より好ましくは80ml/100g~120ml/100gである。前記DBP吸油量は、JIS K 6217-4(2017)により測定する。
【0017】
カーボン粒子は、表面に酸化処理が施されていてもよい。酸化処理を施すことで、カーボン粒子の表面に、カルボキシ基やフェノール性ヒドロキシ基を付与することができる。酸化処理は、カーボン粒子の表面を、オゾン、硝酸等で処理することで行うことができる。表面にカルボキシ基やフェノール性ヒドロキシ基が付与されたカーボン粒子は、そのpHが酸性となる。
【0018】
カーボン粒子は、カーボン粒子1gを、水(25℃)100mlに分散させた時の分散液のpHが3~9であることが好ましく、より好ましくは5~9である。
【0019】
本発明の好ましい物性を損なわない範囲であれば、色相の調整等のために黒色以外の他の着色材を含有していてもよい。
【0020】
他の着色材としては、特に限定されず、従来の塗料の着色材として使用される顔料、染料を用いることができ、耐光性および耐熱性の観点から顔料が好ましい。顔料としては、有機顔料および無機顔料のいずれでもよいが、有機化合物を主成分とする有機顔料が好ましい。
【0021】
有機顔料としては、例えば、青色顔料、赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料、紫色顔料、橙色顔料等の各色の顔料が挙げられる。有機顔料の構造は、フタロシアニン系顔料、モノアゾ系顔料、ジアゾ系顔料、縮合ジアゾ系顔料等のアゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、キナクリドン系顔料、インディゴ系顔料、チオインディゴ系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料等の多環系顔料等が挙げられる。
【0022】
着色組成物に含まれる他の着色材は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。
【0023】
青色顔料としては、カラーインデックス(C.I.)においてピグメントに分類されている化合物によれば、具体的には、C.I.Pigment Blue 1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、16、17、17:1、19、22、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79、80等を挙げることができる。フタロシアニン系顔料としてはC.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、17:1、75が好ましく、銅フタロシアニン顔料やモノハロゲン化銅フタロシアニン顔料としてはC.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、17:1が好ましい。アントラキノン系顔料としてはC.I.Pigment Blue 60が好ましい。ジオキサジン系顔料としてはC.I.Pigment Blue 80が好ましい。
【0024】
赤色顔料としては、C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1,49:2、50:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、215、216、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、291等が挙げられる。
【0025】
黄色顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1、1;1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、60、61、62、62:1、63、65、73、74、75、77、81、83、87、93、94、95、97、98、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117,119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、213、215等を挙げることができる。
【0026】
緑色顔料としては、C.I.Pigment Green 1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58、59、62、63、アルミニウムフタロシアニン、ポリハロゲン化アルミニウムフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニンハイドロオキサイド、ジフェノキシホスフィニルオキシアルミニウムフタロシアニン、ジフェニルホスフィニルオキシアルミニウムフタロシアニン、ポリハロゲン化ジフェノキシホスフィニルオキシアルミニウムフタロシアニン、ポリハロゲン化ジフェニルホスフィニルオキシアルミニウムフタロシアニン等を挙げることができる。
【0027】
紫色顔料としては、C.I.Pigment Violet 1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等を挙げることができる。
【0028】
橙色顔料としては、C.I.Pigment Orange 1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、78、79等を挙げることができる。
【0029】
無機顔料としては、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型等)、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等が挙げられる。
【0030】
顔料の個数平均粒子径は、その用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定はない。前記着色組成物は、高輝度の観点から、個数平均粒子径が10nm~150nmの顔料を含有することが好ましい。
【0031】
顔料は、分散助剤として色素誘導体を含有していてもよい。前記色素誘導体としては、分散剤に含まれるブロック共重合体中の塩基性基(例えば、アミノ基)とイオン結合させて吸着させるために、酸性基を有する酸性の色素誘導体を含有することが好ましい。この色素誘導体は、色素骨格に酸性基が導入されたものである。色素骨格としては、着色組成物を構成している顔料と同一または類似の骨格、該顔料の原料となる化合物と同一または類似の骨格が好ましい。色素骨格の具体例としては、アゾ系色素骨格、フタロシアニン系色素骨格、アントラキノン系色素骨格、トリアジン系色素骨格、アクリジン系色素骨格、ペリレン系色素骨格等を挙げることができる。色素骨格に導入される酸性基としては、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基が好ましい。なお、合成の都合上、および酸性度の強さからスルホン酸基が好ましい。また、酸性基は、色素骨格に直接結合してもよいが、アルキル基やアリール基等の炭化水素基;エステル、エーテル、スルホンアミド、ウレタン結合を介して色素骨格に結合してもよい。
【0032】
色素誘導体の使用量は特に限定はないが、例えば、顔料100質量部に対して4質量部~17質量部であることが好ましい。
【0033】
着色組成物における着色材の含有量の上限値は、輝度の観点から、着色組成物の固形分全量中において、通常80質量%であり、70質量%であることが好ましく、60質量%であることがより好ましい。また、着色組成物における着色材の含有量の下限値は、着色組成物の固形分全量中において、通常3質量%であり、20質量%であることが好ましく、30質量%であることがより好ましい。ここで固形分とは、後述する分散媒体以外の成分である。
【0034】
着色組成物における着色材に対する分散剤の含有量は、着色材100質量部に対して5質量部以上が好ましく、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、200質量部以下が好ましく、より好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは80質量部以下である。
【0035】
(分散剤)
本発明で使用する分散剤は、式(1)で表される構造単位を含有するAブロックと、式(3)で表される構造単位および塩基性基を有する構造単位を含有するBブロックとを有するブロック共重合体を含有する。前記分散剤は、前記ブロック共重合体を主成分(50質量%以上)として含有するものであり、好ましくは前記ブロック共重合体を75質量%以上含有するものであり、より好ましくは前記ブロック共重合体のみから構成される。前記ブロック共重合体は、例えば、その構造中(Bブロック)の脂環式炭化水素基が、着色材の疎水表面と強固に結合し、このBブロックが黒色着色材(例えば、カーボン粒子)に吸着することで、黒色着色材の分散性を高める作用を発揮すると考えられる。
【0036】
前記分散剤は、着色組成物の作製前に、分散剤溶液としておくことで黒色着色材(例えば、カーボン粒子)の分散が容易となる。前記分散剤溶液に使用する溶媒としては、分散剤を溶解させることができ、かつ、これらの成分と反応せず、適度に揮発性を有する溶媒が好ましい。前記溶媒としては、例えば、後述する着色組成物に用いる分散媒体を挙げることができる。前記分散剤溶液中の溶媒の含有率は、特に限定されず、適宜調整することができる。分散剤溶液中の溶媒の含有率の上限値は、通常99質量%である。また、分散剤溶液中の分散媒体の含有率の下限値は、後述する着色組成物の製造に適した粘度を考慮して、通常10質量%であり、30質量%であることが好ましい。
【0037】
(ブロック共重合体)
本発明において、「Aブロック」は「Aセグメント」と言い換えることができ、「Bブロック」は「Bセグメント」と言い換えることができる。本発明において、「ビニルモノマー」とは分子中にラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合を有するモノマーのことをいう。「ビニルモノマーに由来する構造単位」とは、ビニルモノマーのラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合が、重合して炭素-炭素単結合になった構造単位をいう。「(メタ)アクリル」は「アクリルおよびメタクリルの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイルおよびメタクリロイルの少なくとも一方」をいう。
【0038】
(Aブロック)
Aブロックは、式(1)で表される構造単位を含有するブロックである。Aブロックにおける式(1)で表される構造単位は、1種のみでもあってもよいし、2種以上を有していてもよい。
【0039】
【化3】
[式(1)において、n1は2~30の整数を表す。R
11は水素原子または炭素数が1~3のアルキル基を表す。R
12は炭素数が1~3のアルキレン基を表す。R
13は水素原子またはメチル基を表す。なお、複数存在するR
12は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【0040】
式(1)のn1は、2以上、好ましくは5以上であり、30以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。
【0041】
R11で示される炭素数が1~3のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。前記R11で示される炭素数が1~3のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
【0042】
R12で示される炭素数が1~3のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。前記R12で示される炭素数が1~3のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン-1,2-ジイル基が挙げられる。R12は、エチレン基、トリメチレン基が好ましい。
【0043】
式(1)で表される構造単位を構成するモノマーとしては、ポリアルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、ポリアルキレングリコール部分は、例えばエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合体でもよい。前記ポリアルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコール(重合度=2~30)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=2~30)エチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=2~30)プロピルエーテル(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール構造を有する(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール(重合度=2~30)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=2~30)エチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=2~30)プロピルエーテル(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
式(1)で表される構造単位の含有率は、前記Aブロック100質量%中において20質量%以上が好ましく、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、95質量%以下が好ましく、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。前記含有率が20質量%以上であれば水性分散媒体との親和性がより向上し、95質量%以下であれば塗膜形成用樹脂との親和性がより良好となる。
【0045】
Aブロックは、さらに式(2)で表される構造単位を含有することが好ましい。Aブロックにおける式(2)で表される構造単位は、1種のみでもあってもよいし、2種以上を有していてもよい。Aブロックが、式(2)で表される構造単位を有することで、塗膜形成用樹脂との親和性がより向上する。
【0046】
【化4】
[式(2)において、R
21は、置換基を有していてもよい鎖状の炭化水素基を表す。R
22は水素原子またはメチル基を表す。]
【0047】
R21で表される鎖状の炭化水素基には、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基等を挙げることができる。直鎖状アルキル基の炭素数としては、炭素数1~20が好ましく、炭素数1~10がより好ましく、炭素数1~5がさらに好ましい。前記直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ラウリル基等が挙げられる。前記分岐鎖状アルキル基の炭素数としては、炭素数3~20が好ましく、炭素数3~10がより好ましく、炭素数3~5がさらに好ましい。分岐鎖状アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基、ネオペンチル基、イソオクチル基等が挙げられる。
【0048】
R21で表される鎖状の炭化水素基が有する置換基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、ベンゾイル基(-COC6H5)、ヒドロキシ基等が挙げられる。
【0049】
式(2)で表される構造単位を形成するビニルモノマーとしては、鎖状アルキル基(直鎖アルキル基または分岐鎖アルキル基)を有する(メタ)アクリレート、芳香族基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、鎖状アルキル基(直鎖アルキル基または分岐鎖アルキル基)を有する(メタ)アクリレートが好ましい。
【0050】
前記直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0051】
前記分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】
芳香族基としては、アリール基等を挙げることができ、またアルキルアリール基、アラルキル基、アリールオキシアルキル基等のように鎖状部分を有していてもよい。芳香族基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0053】
式(2)で表される構造単位を含有する場合、その含有率は、前記Aブロック100質量%中において5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、80質量%以下が好ましく、より好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。前記含有率が5質量%以上であれば塗膜形成用樹脂との親和性がより向上し、80質量%以下であれば水性分散媒体との親和性がより良好となる。
【0054】
Aブロックは、式(1)で表される構造単位のみ、あるいは、式(1)で表される構造単位および式(2)で表される構造単位のみであっても良いし、他の構造単位が含まれていてもよい。Aブロック中の式(1)で表される構造単位と式(2)で表される構造単位との合計含有率は、70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0055】
Aブロックの他の構造単位を形成し得るビニルモノマーの具体例としては、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、アルコキシ基を有する(メタ)アクリレート、酸性基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0056】
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも炭素数が1~5のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0057】
ラクトン変性ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、前記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートにラクトンを付加したものが挙げられ、カプロラクトンを付加したものが好ましい。カプロラクトンの付加量は、1mol~20molが好ましく、1mol~10molがより好ましい。前記ラクトン変性ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン1mol付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン2mol付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン3mol付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン4mol付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン5mol付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン10mol付加物等が好ましい。
【0058】
アルコキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0059】
酸性基としては、カルボキシ基(-COOH)、スルホン酸基(-SO3H)、リン酸基(-OPO3H2)、ホスホン酸基(-PO3H2)、ホスフィン酸基(-PO2H2)が挙げられる。前記酸性基を有する(メタ)アクリレートとしては、カルボキシ基を有する(メタ)アクリレート、リン酸基を有する(メタ)アクリレート、スルホン酸基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0060】
カルボキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレアート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートに無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の酸無水物を反応させたモノマー等が挙げられる。リン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸2-(ホスホノオキシ)エチル等が挙げられる。スルホン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、スルホン酸エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0061】
環状エーテル基を有する(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、2-〔(2-テトラヒドロピラニル)オキシ〕エチル(メタ)アクリレート、1,3-ジオキサン-(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0062】
Aブロックは、後述する式(3)で表される構造単位と塩基性基を有する構造単位と塩を形成している塩基性基を有する構造単位とを実質的に含有しないことが好ましい。すなわち(3)で表される構造単位、塩基性基を有する構造単位および塩を形成している塩基性基を有する構造単位の含有率は、Aブロック100質量%中において、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下がより好ましく、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、(3)で表される構造単位、塩基性基を有する構造単位および塩を形成している塩基性基を有する構造単位を含有しないことが特に好ましい。
【0063】
Aブロックにおいて2種以上の構造単位が含有される場合は、Aブロックに含有される各種構造単位は、Aブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合等の何れの態様で含有されていてもよく、均一性の観点からランダム共重合の態様で含有されていることが好ましい。例えば、Aブロックが、a1ブロックからなる構造単位とa2ブロックとからなる構造単位との共重合体により形成されていてもよい。
【0064】
(Bブロック)
Bブロックは、式(3)で表される構造単位および塩基性基を有する構造単位を含有するブロックである。
【0065】
(式(3)で表される構造単位)
Bブロックにおける式(3)で表される構造単位は、1種のみでもあってもよいし、2種以上を有していてもよい。
【0066】
【化5】
[式(3)において、R
31は脂環式炭化水素基を表す。Z
3はOまたはNHを表す。R
32は水素原子またはメチル基を表す。]
【0067】
R31で表される脂環式炭化水素基としては、単環構造の環状アルキル基、多環構造のアルキル基が挙げられる。前記脂環式炭化水素基の炭素数としては、4~18が好ましく、6~12がより好ましく、6~10がさらに好ましい。
【0068】
単環構造の環状アルキル基としては、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロドデシル基、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。多環構造のアルキル基としては、ボルニル基、イソボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基、ノルボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基等が挙げられる。
【0069】
式(3)で表される構造単位を形成するビニルモノマーの具体例としては、単環構造の環状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、多環構造の環状アルキル基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0070】
単環構造の環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイルオキシ基に環状アルキル基が直接結合した化合物が挙げられる。具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0071】
多環構造の環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイルオキシ基に橋かけ環構造を有する環状アルキル基が直接結合した化合物などが挙げられる。具体例としては、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0072】
式(3)で表される構造単位の含有率は、前記Bブロック100質量%中において15質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、80質量%以下が好ましく、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。前記含有率が15質量%以上であれば着色材に対する分散性能がより向上し、80質量%以下であれば着色組成物の粘度上昇を抑制することができる。
【0073】
(塩基性基を有する構造単位)
塩基性基を有する構造単位としては、塩基性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位であればよい。前記塩基性基としては、原料入手および合成の容易さからアミノ基であることが好ましい。本明細書におけるアミノ基とは、一般的なアミノ基の構造(-NH2)に加え、Hが炭化水素基により置換された、-NHR41、-NR41R42(R41、R42はそれぞれ独立に鎖状もしくは環状の炭化水素基を表す。また、R41およびR42が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)で表される置換アミノ基、および、含窒素ヘテロ環基(ピリジル基、イミダゾール基など)などを包含する。
【0074】
塩基性基を有する構造単位は、式(4)で表される構造単位、または、式(5)で表される構造単位であることが好ましい。Bブロックにおける式(4)で表される構造単位、または、式(5)で表される構造単位は、1種のみでもあってもよいし、2種以上を有していてもよい。
【0075】
【化6】
[式(4)において、R
41およびR
42は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい鎖状もしくは環状の炭化水素基を表す。R
41およびR
42が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。R
43は2価の炭化水素基を表す。Z
4はOまたはNHを表す。R
44は水素原子またはメチル基を表す。]
【0076】
R41およびR42で表される鎖状の炭化水素基としては、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基等を挙げることができる。直鎖状アルキル基の炭素数としては、炭素数1~20が好ましく、炭素数1~10がより好ましく、炭素数1~5がさらに好ましい。直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ラウリル基等が挙げられる。分岐鎖状アルキル基の炭素数としては、炭素数3~20が好ましく、炭素数3~10がより好ましく、炭素数3~5がさらに好ましい。前記分岐鎖状アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基、ネオペンチル基、イソオクチル基等が挙げられる。
【0077】
R41およびR42で表される鎖状の炭化水素基が有する置換基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、ベンゾイル基(-COC6H5)、ヒドロキシ基等が挙げられる。
【0078】
R41およびR42で表される環状の炭化水素基としては、環状アルキル基、芳香族基等が挙げられ、環状アルキル基および芳香族基は鎖状部分を有していてもよい。前記環状アルキル基の炭素数としては、炭素数4~18が好ましく、炭素数6~12がより好ましく、炭素数6~10がさらに好ましい。環状アルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。芳香族基の炭素数としては、炭素数6~18が好ましく、炭素数6~12がより好ましく、炭素数6~8がさらに好ましい。前記芳香族基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等が挙げられる。鎖状部分を有する環状アルキル基および鎖状部分を有する芳香族基の鎖状部分の例としては、炭素数1~12のアルキレン基、好ましくは炭素数1~6のアルキレン基、より好ましくは炭素数1~3のアルキレン基が挙げられる。
【0079】
R41およびR42で表される環状の炭化水素基が有する置換基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、鎖状のアルキル基、ヒドロキシ基等が挙げられる。
【0080】
R41またはR42が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば、5員環~7員環の含窒素ヘテロ環またはこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素ヘテロ環は芳香族性を有しないものが好ましく、飽和環がより好ましい。具体的には下記式(4-1)、(4-2)、(4-3)で表される構造が挙げられる。
【0081】
【化7】
[式(4-1)、(4-2)、(4-3)において、R
45は、炭素数1~6のアルキル基を示す。lは0~5の整数を表す。mは0~4の整数を表す。nは0~4の整数を表す。*は結合手を表す。lが2~5、mが2~4、nが2~4の場合、複数存在するR
45は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【0082】
R43で示される2価の炭化水素基としては、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数1~10のアルケニレン基、炭素数6~10のアレーンジイル基などが挙げられる。これらの中でも炭素数1~10のアルキレン基が好ましい。アルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。前記アルキレン基の炭素数は、より好ましくは1~4である。前記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等が挙げられる。
【0083】
式(4)で表される構造単位を形成するビニルモノマーの具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、エチルアミノブチル(メタ)アクリレート、プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、プロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート、プロピルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0084】
【化8】
[式(5)において、R
81、R
82およびR
83は、同一または異なって、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を示す。R
84は、含窒素ヘテロ環基を示す。m8は0~4の整数を示す。]
【0085】
R81~R83におけるアルキル基の炭素数としては、1~6が好ましく、より好ましくは1~4である。アルキル基として、更に好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。R81~R83における置換基としては、特に制限されないが、カルボキシ基、スルホン酸基及びこれらのエステルや塩;アミノ基;ヒドロキシ基等が挙げられる。R81~R83としては水素原子であることが好ましい。
【0086】
R84で表される含窒素ヘテロ環基としては、4-ピリジル基、1-イミダゾール基、2-ピリジル基、9-カルバゾール基等が挙げられ、4-ピリジル基が好ましい。
【0087】
m8としては、0~2の整数であることが好ましく、より好ましくは0~1の整数であり、更に好ましくは0である。
【0088】
式(5)で表される構造単位を形成するビニルモノマーとしては、例えば、4-ビニルピリジン、4-アリルピリジン、4-(3-ブテニル)ピリジン、1-ビニル-1H-イミダゾール、1-アリル-1Hイミダゾール、2-ビニルピリジル、9-ビニルカルバゾール等が挙げられる。これらの中でも4-ビニルピリジンが好ましい。
【0089】
塩基性基を有する構造単位の含有率は、前記Bブロック100質量%中において20質量%以上が好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上であり、85質量%以下が好ましく、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。前記含有率が20質量%以上であれば着色材に対する分散性能がより向上し、80質量%以下であれば色組成物の粘度上昇を抑制することができる。
【0090】
Bブロックにおいて、前記式(3)で表される構造単位と塩基性基を有する構造単位との質量比(式(3)で表される構造単位/塩基性基を有する構造単位)は、0.15以上が好ましく、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.4以上であり、4.0以下が好ましく、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下である。
【0091】
式(3)で表される構造単位と塩基性基を有する構造単位の合計含有率は、前記Bブロック100質量%中において70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。前記Bブロックが、式(3)で表される構造単位と塩基性基を有する構造単位のみから構成されていてもよい。
【0092】
塩基性基を有する構造単位は、塩基性基の一部が塩を形成してもよい。塩基性基の塩としては、塩基性基のハロゲン化物塩(F、Cl、Br、I等)、硫酸塩等の無機塩;有機化合物のスルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩もしくはカルボン酸塩等が挙げられる。なお、塩基性基の塩としては、原料入手および合成の容易さからアミノ基の塩であることが好ましい。なお、本明細書においては、アミノ基の塩としては、第4級アンモニウム基(-NH4
+、-NR4
+等)の塩(例えばハロゲン化物等)も含む。
【0093】
Bブロックの他の構造単位を形成し得るビニルモノマーの具体例としては、Aブロックの他の構造単位を形成し得るモノマーの具体例として例示したものと同一のものを挙げることができる。
【0094】
Bブロックは、(1)で表される構造単位の含有率は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下であり、(1)で表される構造単位を含有しないことが特に好ましい。
【0095】
Bブロックにおいて2種以上の構造単位が含有される場合は、Bブロックに含有される各種構造単位は、Bブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合等の何れの態様で含有されていてもよく、均一性の観点からランダム共重合の態様で含有されていることが好ましい。例えば、Bブロックが、b1ブロックからなる構造単位とb2ブロックとからなる構造単位との共重合体により形成されていてもよい。
【0096】
(ブロック共重合体)
ブロック共重合体の構造は、線状ブロック共重合体であることが好ましい。また、線状ブロック共重合体は、いずれの構造(配列)であっても良いが、線状ブロック共重合体の物性、または組成物の物性の観点から、AブロックをA、BブロックをBと表現したとき、(A-B)m型、(A-B)m-A型および(B-A)m-B型(mは1以上の整数、例えば1~3の整数)よりなる群から選択される少なくとも1種の構造を持つ共重合体であることが好ましい。これらの中でも、加工時の取扱い性、組成物の物性の観点から、A-B型ジブロック共重合体であることが好ましい。A-B型ジブロック共重合体を構成することで、Aブロックに式(1)で表される構造単位と、Bブロックに式(3)で表される構造単位とが局在化し、効率的に顔料と、分散媒体(溶媒)と好適に作用することができると考えられる。前記ブロック共重合体は、AブロックおよびBブロック以外の他のブロックを有していてもよい。
【0097】
Aブロックの含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、50質量%以上が好ましく、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、95質量%以下が好ましく、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。Bブロックの含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。AブロックおよびBブロックの含有率を、上記範囲内に調整することで、分散剤として使用した際の分散性能がより一層向上する。
【0098】
ブロック共重合体中のAブロックとBブロックとの質量比(Aブロック/Bブロック)は、50/50以上が好ましく、より好ましくは55/45以上、さらに好ましくは60/40以上であり、95/5以下が好ましく、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは80/20以下である。AブロックとBブロックとの質量比が前記範囲内であれば、分散剤として使用した際の分散性能がより一層向上する。
【0099】
式(1)で示される構造単位の含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、10質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。
【0100】
式(3)で示される構造単位の含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、1質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、40質量%以下が好ましく、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0101】
塩基性基を有する構造単位の含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、1質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、45質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。
【0102】
ブロック共重合体の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下「GPC」という)法により測定される。前記ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は3,000以上が好ましく、より好ましくは5,000以上、さらに好ましくは7,000以上、特に好ましくは10,000以上であり、40,000以下が好ましく、より好ましくは35,000以下、さらに好ましくは30,000以下である。重量平均分子量が上記範囲内にあれば、分散剤として使用した際の分散性能がより良好となる。
【0103】
ブロック共重合体の分子量分布(PDI)は、2.5以下が好ましく、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.7以下である。なお、本発明において、分子量分布(PDI)とは、(ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw))/(ブロック共重合体の数平均分子量(Mn))によって求められるものである。PDIが小さいほど分子量分布の幅が狭い、分子量の揃った共重合体となり、その値が1.0のとき最も分子量分布の幅が狭い。即ち、PDIの下限値は1.0である。ブロック共重合体の分子量分布(PDI)が、2.5を超えると、分子量の小さいものや、分子量の大きいものが含まれることになる。
【0104】
ブロック共重合体のアミン価は、10mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは20mgKOH/g以上、さらに好ましくは30mgKOH/g以上であり、200mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは150mgKOH/g以下、さらに好ましくは120mgKOH/g以下である。前記アミン価が10mgKOH/g以上であれば着色材に対する分散性能がより向上し、200mgKOH/g以下であれば着色組成物の粘度上昇を抑制することができる。
【0105】
(ブロック共重合体の製造方法)
ブロック共重合体の製造方法としては、ビニルモノマーの重合反応によって、Aブロックを先に製造し、AブロックにBブロックのモノマーを重合する方法;Bブロックを先に製造し、BブロックにAブロックのモノマーを重合する方法;AブロックとBブロックとを別々に製造した後、AブロックとBブロックとをカップリングする方法等が挙げられる。
【0106】
重合法は特に限定されないが、リビングラジカル重合が好ましい。すなわち、前記ブロック共重合体としては、リビングラジカル重合により重合されたものが好ましい。リビングラジカル重合法は、従来のラジカル重合法の簡便性と汎用性を保ちながら、停止反応や、連鎖移動が起こりにくく、成長末端が失活させる副反応で妨げられることなく成長するため、分子量分布の精密制御、均一な組成のポリマーの製造が容易である点で好ましい。
【0107】
リビングラジカル重合法には、重合成長末端を安定化させる手法の違いにより、遷移金属触媒を用いる方法(ATRP法);硫黄系の可逆的連鎖移動剤を用いる方法(RAFT法);有機テルル化合物を用いる方法(TERP法)等の方法がある。これらの方法のなかでも、使用できるモノマーの多様性、高分子領域での分子量制御、均一な組成、あるいは着色の観点から、TERP法を用いることが好ましい。
【0108】
TERP法とは、有機テルル化合物を連鎖移動剤として用い、ラジカル重合性化合物(ビニルモノマー)を重合させる方法であり、例えば、国際公開第2004/14848号、国際公開第2004/14962号、国際公開第2004/072126号、および国際公開第2004/096870号に記載された方法である。
【0109】
TERP法の具体的な重合法としては、下記(a)~(d)が挙げられる。
(a)ビニルモノマーを、式(6)で表される有機テルル化合物を用いて重合する方法。
(b)ビニルモノマーを、式(6)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤との混合物を用いて重合する方法。
(c)ビニルモノマーを、式(6)で表される有機テルル化合物と式(7)で表される有機ジテルリド化合物との混合物を用いて重合する方法。
(d)ビニルモノマーを、式(6)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤と式(7)で表される有機ジテルリド化合物との混合物を用いて重合する方法。
【0110】
【化11】
[一般式(6)において、R
61は、炭素数1~8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基を示す。R
62およびR
63は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~8のアルキル基を示す。R
64は、炭素数1~8のアルキル基、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、アリル基またはプロパルギル基を示す。
一般式(7)において、R
61は、炭素数1~8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基を示す。]
【0111】
一般式(6)で表される有機テルル化合物は、具体的にはエチル-2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート、エチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート、(2-ヒドロキシエチル)-2-メチル-メチルテラニル-プロピオネート等、国際公開第2004/14848号、国際公開第2004/14962号、国際公開第2004/072126号、および国際公開第2004/096870号に記載された有機テルル化合物が挙げられる。一般式(7)で表される有機ジテルリド化合物の具体例としては、ジメチルジテルリド、ジブチルジテルリド等が挙げられる。アゾ系重合開始剤は、通常のラジカル重合で使用するアゾ系重合開始剤であれば特に制限なく使用することができ、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-70)等が挙げられる。
【0112】
重合工程は、不活性ガスで置換した容器で、ビニルモノマーと一般式(6)の有機テルル化合物と、ビニルモノマーの種類に応じて反応促進、分子量および分子量分布の制御等の目的で、さらにアゾ系重合開始剤および/または一般式(7)の有機ジテルリド化合物を混合する。このとき、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができる。好ましくは、アルゴン、窒素が良い。前記(a)、(b)、(c)および(d)におけるビニルモノマーの使用量は、目的とする共重合体の物性により適宜調節すればよい。
【0113】
重合反応は、無溶媒でも行うことができるが、ラジカル重合で一般に使用される非プロトン性溶媒またはプロトン性溶媒を使用し、前記混合物を撹拌して行なってもよい。使用できる非プロトン性溶媒は、例えば、アニソール、ベンゼン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。また、プロトン性溶媒としては、例えば、水、メタノール、1-メトキシ-2-プロパノール等が挙げられる。溶媒は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。溶媒の使用量としては、適宜調節すればよく、例えば、ビニルモノマー1gに対して、0.01ml~50mlが好ましい。反応温度、反応時間は、得られる共重合体の分子量或いは分子量分布により適宜調節すればよいが、通常、0℃~150℃で、1分~100時間撹拌する。重合反応の終了後、得られた反応混合物から、通常の分離精製手段により、使用溶媒、残存ビニルモノマーの除去等を行い、目的とする共重合体を分離することができる。
【0114】
重合反応により得られる共重合体の成長末端は、テルル化合物由来の-TeR61(式中、R61は上記と同じである)の形態であり、重合反応終了後の空気中の操作により失活していくが、テルル原子が残存する場合がある。テルル原子が末端に残存した共重合体は着色したり、熱安定性が劣ったりするため、テルル原子を除去することが好ましい。テルル原子を除去する方法としては、ラジカル還元方法;活性炭等で吸着する方法;イオン交換樹脂等で金属を吸着する方法等が挙げられ、また、これらの方法を組み合わせて用いることもできる。なお、重合反応により得られる共重合体の他方端(成長末端と反対側の末端)は、テルル化合物由来の-CR62R63R64(式中、R62、R63およびR64は、式(6)中のR62、R63およびR64と同じである。)の形態である。
【0115】
(水性分散媒体)
水性分散媒体としては、水または水性溶剤(水と混和可能な溶剤)が挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-ブトキシ-2-プロパノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール、モノメチルエーテル、モノエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの中でも、アルコール類、グリコール類が好ましい。水性溶剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0116】
着色組成物中の水性分散媒体の含有量は、特に限定されず、適宜調整することができる。着色組成物中の水性分散媒体の含有量の上限値は、通常99質量%である。また、着色組成物中の水性分散媒体の含有量の下限値は、着色組成物の塗布に適した粘度を考慮して、通常60質量%であり、80質量%であることが好ましい。
【0117】
着色組成物は、用途に応じて、さらに、塗膜形成用樹脂、界面活性剤、レベリング剤、充填材、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防カビ剤、粘度調整剤、pH調整剤、消泡剤、架橋剤等の添加剤を、配合してもよい。また、着色組成物に導電性のカーボン粒子を用いた場合は電極に用いることができる。この場合、着色組成物に、電極形成用樹脂、電極活物質、界面活性剤、成膜助剤、レベリング剤、防腐剤、防カビ剤、粘度調整剤、pH調整剤、消泡剤、架橋剤等の添加剤を配合してもよい。
【0118】
(塗膜形成用樹脂)
前記塗膜形成用樹脂は、着色組成物を用いて塗膜を形成した際に、膜の本体となる成分である。前記塗膜形成用樹脂は、特に限定されず、従来塗料に使用されているものが使用できる。塗膜形成樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、重合性化合物(重合性樹脂、重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマー、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマー、オリゴマー等)等が挙げられる。塗膜形成用樹脂は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。着色組成物に前記塗膜形成用樹脂を配合する場合、塗膜形成用樹脂の含有率は、着色組成物の固形分全量中、60質量%~95質量%が好ましい。
【0119】
(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)
熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム、エポキシ樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0120】
(重合性化合物)
重合性化合物としての重合性樹脂としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等を介して、(メタ)アクリル化合物、ケイヒ酸等の架橋性基を導入した樹脂が用いられる。スチレン-無水マレイン酸共重合物やα-オレフィン-無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化した重合物も用いられる。
【0121】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレン系界面活性剤等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩類、特殊高分子系界面活性剤等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩類、イミダゾリン誘導体類、アルキルアミン塩類等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ベタイン型化合物類、イミダゾリウム塩類、イミダゾリン類、アミノ酸類等が挙げられる。
【0122】
(レベリング剤)
レベリング剤としては、たとえばシリコーン系、フッ素系等が挙げられる。シリコーン系としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、オキシアルキル変性シリコーン、グリコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン等が挙げられる。フッ素系としては、フッ化炭素系化合物、フッ素シリコーン等が挙げられる。これらは単独でまたは2 種以上を混合して用いることができる。
【0123】
(充填材)
充填材としては、たとえば二酸化ケイ素、アルミナ、亜鉛華、チタン酸カリウム繊維、アルミニウムフレーク、ステンレス粉、錫粉、金粉、金属メッキガラス粉、チタンマイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、カオリン、バリタ、クレーやその他の金属酸化物、複合金属酸化物などが挙げられ、粘性低下や光沢不良を防止するために、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0124】
(電極形成用樹脂) 電極形成用樹脂は、活物質や導電性の炭素材料などの粒子同士、あるいは導電性のカーボン粒子と集電体を結着させるために使用される。前記電極形成用樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等のセルロース樹脂、スチレンブタジエンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴム、ポリアニリンやポリアセチレン等の導電性樹脂等、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン等のフッ素原子を含む高分子化合物が挙げられる。また、これらの樹脂の変性物、混合物、または共重合体も使用できる。これら樹脂は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。
【0125】
<着色組成物の製造方法>
着色組成物は、着色材、分散剤(ブロック共重合体)、水性分散媒体、必要に応じて、塗膜形成用樹脂、他の配合剤を混合することで調製できる。混合は、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ボールミル、ディゾルバー、ニーダー等の混合分散機を用いることができる。着色組成物は、混合後に濾過することが好ましい。着色組成物としては、自動車用塗料組成物が挙げられる。
【0126】
着色組成物のステンレス鋼板、アルミ板などの被処理体への塗布(塗装)は、例えば、ロールコート、スピンコート、フローコート、スロットダイ塗装、スプレーコート、浸漬塗り、電着塗装、静電塗装、刷毛塗り、粉体塗装等の手法で行うことができる。その後、必要により加熱して溶媒を蒸発させ、塗膜を乾燥させて硬化させる。このとき加熱または紫外線等を照射してもよい。前記着色組成物を塗布して得られた塗膜は、該塗膜上に、さらにトップクリヤー塗料を1層もしくは2層以上塗布して、トップクリヤー塗膜を形成させてもよい。トップクリヤー塗料とは、樹脂成分および溶剤を主成分として、さらに必要に応じてその他の塗料用添加剤などを配合してなる無色もしくは有色の透明塗膜を形成する液状塗料である。
【実施例0127】
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、ブロック共重合体の重合率、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(PDI)、アミン価、および、塗膜物性は、下記の方法に従って評価した。
【0128】
なお、略語の意味は下記のとおりである。
BTEE:エチル-2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート
AIBN:2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)
BA:ブチルアクリレート
M9EGA:ポリエチレングリコール(重合度=9)メチルエーテルアクリレート(日油社製、ブレンマー(登録商標)AME-400)
M11EGA:ポリエチレングリコール(重合度=11)メチルエーテルアクリレート(Green社製、KOMERATE-A040TT)
CHA:シクロヘキシルアクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
DCPA:ジシクロペンタニルアクリレート
DMAEMA:ジメチルアミノエチルメタクリレート
4VPy:4-ビニルピリジン
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MP:1-メトキシ-2-プロパノール
【0129】
(重合率)
核磁気共鳴(NMR)測定装置(ブルカー・バイオスピン社製、型式:AVANCE500(周波数500MHz))を用いて、1H-NMRを測定(溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)した。得られたNMRスペクトルについて、モノマー由来のピークとポリマー由来のピークの積分比を求め、モノマーの重合率を算出した。
【0130】
(重量平均分子量(Mw)および分子量分布(PDI))
高速液体クロマトグラフ(東ソー製、型式HLC-8320)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)より求めた。カラムはSHODEX KF-603(φ6mm×150mm)(SHODEX社製)を1本、移動相に臭化リチウム(10mmol/L)-酢酸(10mmol/L)-メチルピロリドン溶液、検出器に示差屈折計を使用した。測定条件は、カラム温度を40℃、試料濃度を20mg/mL、試料注入量を10μm、流速を0.2mL/minとした。標準物質としてポリスチレン(分子量70,500、37,900、19,920、10,200、4,290、2,630、1,150)を使用して検量線(校正曲線)を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。この測定値から分子量分布(PDI=Mw/Mn)を算出した。
【0131】
(アミン価)
アミン価は、固形分1gあたりの塩基性成分と当量の水酸化カリウム(KOH)の質量を表したものである。測定試料をテトラヒドロフランに溶解し、電位差滴定装置(商品名:GT-06、三菱化学社製)を用いて、得られた溶液を塩酸(0.1mol/L)-プロパノール溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として次式によりアミン価(B)を算出した。
B=56.11×Vs×0.1×f/w
B:アミン価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した塩酸(0.1mol/L)-プロパノール溶液の使用量(mL)
f:塩酸(0.1mol/L)-プロパノール溶液の力価
w:測定サンプルの質量(g)(固形分換算)
【0132】
(黒色評価)
黒色塗料を、バーコーター(#20)を用いてステンレス鋼板に塗布し、60℃で10分間乾燥させて塗膜を形成し、試験片を作製した。
得られた試験片の塗膜形成面について、L値測定器(コニカミノルタジャパン社製、型式CM-2600d)を用いて、正反射光除去でL値を測定した。評価は、調製直後の黒色塗料、および、調整後35℃で3週間放置した後の黒色塗料について行った。
【0133】
(顕微鏡観察)
黒色塗料を、バーコーター(#20)を用いてステンレス鋼板に塗布し、60℃で10分間乾燥させて塗膜を形成し、試験片を作製した。
得られた試験片の塗膜形成面について、顕微鏡を用いて観察し、凝集が見られなかったものを「〇」、凝集が僅かに見られたものを「△」、凝集が見られたものを「×」と評価した。
【0134】
<ブロック共重合体の合成>
(ブロック共重合体No.1)
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコにBA 9.0g、M9EGA 18.0g、AIBN 0.05g、PMA 6.8gを仕込み、窒素置換後、BTEE 0.45gを加え、60℃で48時間反応させAブロックを重合した。重合率は100%であった。
【0135】
反応溶液に、予めアルゴン置換したCHA 5.0g、DMAEMA 7.1g、AIBN 0.05g、PMA 3.0gの混合溶液を加え、60℃で55時間反応させ、Bブロックを重合した。重合率は93%であった。
【0136】
反応終了後、撹拌しているn-ヘプタン中に反応液を注いだ。析出したポリマーを吸引濾過、乾燥することによりブロック共重合体No.1を得た。得られたブロック共重合体No.1は、Mwが24,880、PDIが1.48、アミン価が68mgKOH/gであった。
【0137】
(ブロック共重合体No.2~6)
ブロック共重合体No.1の製造法と同様にして、ブロック共重合体No.2~6を作製した。表1に、使用したモノマー、有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤、溶媒、反応条件、重合率を示した。また、表2に各ブロック共重合体の組成、Mw、PDI、アミン価を示した。なお、共重合体中の各構造単位の含有率は、重合反応に用いたモノマーの仕込み比率および重合率から算出した。
【0138】
【0139】
【0140】
(黒色塗料No.1~6)
分散剤として、上記で得たブロック共重合体No.1~6を用いて黒色塗料を調製した。具体的には、表3に示した配合となるように各成分を50mLマヨネーズ瓶に投入し、さらにジルコニアビーズ(φ0.3mm)66gを入れ、分散機(オーウエル社製、SKANDEX DISPERSER BA-S20)を用いて、5時間撹拌した。撹拌終了後、ビーズをろ別して、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液にクリヤー塗料を混ぜることで黒色塗料No.1~6を調製した。なお、得られた黒色塗料No.1~6について、カーボンブラックの分散性が良好であることを目視で確認した。
【0141】
【表3】
黒色顔料1:商品名「EMPEROR(登録商標)2000」、キャボットコーポレーション社製、カーボンブラック、pH6~9
消泡剤:商品名「BYK-024」、ビックケミー社製、シリコーン系界面活性剤
アクリル樹脂:商品名「ウォーターゾール(登録商標)ACD-2001」、DIC社製、不揮発分;40質量%、溶媒;水、プロピレングリコール-n-ブチルエーテル
メラミン樹脂:商品名「サイメル(登録商標)303LF」、allnex社製、メチル化メラミン樹脂、不揮発分;100質量%
【0142】
(黒色塗料No.7~9)
分散剤として、上記で得たブロック共重合体No.2~4を用いて顔料分散液を調製した。具体的には、表4に示した配合となるように各成分を50mLマヨネーズ瓶に投入し、さらにジルコニアビーズ(φ0.3mm)66gを入れ、分散機(オーウエル社製、SKANDEX DISPERSER BA-S20)を用いて、5時間撹拌した。撹拌終了後、ビーズをろ別して、黒色塗料No.7~9を調製した。なお、得られた黒色塗料No.7~9について、カーボンナノチューブの分散性が良好であることを目視で確認した。
【0143】
【表4】
黒色顔料2:商品名「Nanocyl7000」、NANOCOYL社製、多層カーボンナノチューブ
消泡剤:商品名「BYK-024」、ビックケミー社製、シリコーン系界面活性剤
【0144】
ブロック共重合体No.1~5は、式(1)で表される構造単位を含有するAブロックと、式(3)で表される構造単位と塩基性基を有する構造単位を含有するBブロックとを有する。これらのブロック共重合体No.1~5を含有する黒色塗料No.1~5は、調製直後および3週間保管後のいずれにおいても、作製した塗膜のL値が低かった。
さらに、ブロック共重合体No.2~4を用いて調製した黒色塗料No.7~9は、カーボンナノチューブ(カーボン粒子)の分散性能も優れていた。なお、ブロック共重合体No.1は、ブロック共重合体No.2と同様の構造を有するため、このブロック共重合体No.1もカーボンナノチューブ(カーボン粒子)の分散性能が高いと考えられる。
【0145】
ブロック共重合体No.6は、式(3)で表される構造単位を含有するBブロックを有さない場合である。このブロック共重合体No.6を用いた黒色塗料は、調製直後および3週間保管後のいずれにおいても、作製した塗膜のL値が高かった。