(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158619
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】水力機械のランナおよび水力機械
(51)【国際特許分類】
F03B 3/02 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
F03B3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063644
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】橋立 忠之
(72)【発明者】
【氏名】榎本 保之
(72)【発明者】
【氏名】中薗 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 高紀
【テーマコード(参考)】
3H072
【Fターム(参考)】
3H072AA07
3H072AA27
3H072BB31
3H072CC27
3H072CC42
(57)【要約】
【課題】円板摩擦損失を低減することができる水力機械のランナを提供する。
【解決手段】実施の形態による水力機械のランナは、回転軸線を有するランナ本体と、隙間を画定する前記ランナの外面に設けられ、隙間に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための摩擦低減構造と、を備えている。摩擦低減構造は、半径方向外側に向かって静止部材に近づくように階段状に形成されている。摩擦低減構造は、複数の段部を含んでいる。段部は、周方向に延びる壁面と、壁面よりも半径方向外側に位置するとともに静止部材に対向する対向面と、を含んでいる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水力機械の静止部材との間に隙間を形成する水力機械のランナであって、
回転軸線を有するランナ本体と、
前記隙間を画定する前記ランナの外面に設けられ、前記隙間に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための摩擦低減構造と、を備え、
前記摩擦低減構造は、半径方向外側に向かって前記静止部材に近づくように階段状に形成され、
前記摩擦低減構造は、複数の段部を含み、
前記段部は、周方向に延びる壁面と、前記壁面よりも半径方向外側に位置するとともに前記静止部材に対向する対向面と、を含む、水力機械のランナ。
【請求項2】
水力機械の静止部材との間に隙間を形成する水力機械のランナであって、
回転軸線を有するランナ本体と、
前記隙間を画定する前記ランナの外面に設けられ、前記隙間に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための摩擦低減構造と、を備え、
前記摩擦低減構造は、半径方向外側に向かって前記静止部材から遠ざかるように階段状に形成され、
前記摩擦低減構造は、複数の段部を含み、
前記段部は、周方向に延びる壁面と、前記壁面よりも半径方向内側に位置するとともに前記静止部材に対向する対向面と、を含む、水力機械のランナ。
【請求項3】
水力機械の静止部材との間に隙間を形成する水力機械のランナであって、
回転軸線を有するランナ本体と、
前記隙間を画定する前記ランナの外面に設けられ、前記隙間に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための摩擦低減構造と、を備え、
前記摩擦低減構造は、半径方向において互いに異なる位置に位置する複数の凸部を含み、
前記凸部は、半径方向において互いに異なる位置に位置する一対の壁面であって、周方向に延びる一対の壁面と、一対の前記壁面に接続され、前記静止部材に対向する対向面と、を含む、水力機械のランナ。
【請求項4】
前記壁面は、前記回転軸線に平行である、請求項1~3のいずれか一項に記載の水力機械のランナ。
【請求項5】
水力機械の静止部材との間に隙間を形成する水力機械のランナであって、
回転軸線を有するランナ本体と、
前記隙間を画定する前記ランナの外面に設けられ、前記隙間に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための摩擦低減構造と、を備え、
前記摩擦低減構造は、半径方向において互いに異なる位置に位置する複数の凸部を含み、
前記凸部は、周方向に延びる第1面と、前記第1面よりも半径方向外側に位置し、前記第1面に接続された第2面であって、前記第1面に対して傾斜した第2面と、を含み、
前記回転軸線を含む断面で見たときに、前記第1面と前記回転軸線とがなす角度は、45°以下であり、
一の前記凸部の前記第2面は、当該凸部に半径方向外側に隣り合う他の前記凸部の前記第1面に接続されている、水力機械のランナ。
【請求項6】
水力機械の静止部材との間に隙間を形成する水力機械のランナであって、
回転軸線を有するランナ本体と、
前記隙間を画定する前記ランナの外面に設けられ、前記隙間に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための摩擦低減構造と、を備え、
前記摩擦低減構造は、半径方向において互いに異なる位置に位置する複数の凸部を含み、
前記凸部は、周方向に延びる第1面と、前記第1面よりも半径方向内側に位置し、前記第1面に接続された第2面であって、前記第1面に対して傾斜した第2面と、を含み、
前記回転軸線を含む断面で見たときに、前記第1面と前記回転軸線とがなす角度は、45°以下であり、
一の前記凸部の前記第2面は、当該凸部に半径方向内側で隣り合う他の前記凸部の前記第1面に接続されている、水力機械のランナ。
【請求項7】
前記第1面は、前記回転軸線に平行である、請求項5または6に記載の水力機械のランナ。
【請求項8】
前記摩擦低減構造は、前記ランナの外周縁の半径方向位置を100%で表したときに、40%以上の領域に位置している、請求項1~7のいずれか一項に記載の水力機械のランナ。
【請求項9】
前記摩擦低減構造は、前記ランナ本体に一体に形成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の水力機械のランナ。
【請求項10】
前記摩擦低減構造は、前記ランナ本体と別部品で構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の水力機械のランナ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の水力機械のランナを備えた、水力機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、水力機械のランナおよび水力機械に関する。
【背景技術】
【0002】
フランシス水車などの水力機械のランナは、流入する作動水の流れを受けて回転するように構成されている。
【0003】
ランナの上方には、静止部材としての上カバーが設けられている。ランナのクラウンと上カバーとの間には、背圧室と称する円板状の隙間が形成されている。ランナに流入する作動水の流れの一部は背圧室に流入し、背圧室を通過した後に吸出し管に流入する。この背圧室を通過する作動水の流れと回転するランナとの間には円板摩擦が生じ、これにより、円板摩擦損失が問題となり得る。
【0004】
ランナの下方には、静止部材としての下カバーが設けられている。ランナのバンドと下カバーとの間には、側圧室と称する円板状の隙間が形成されている。ランナに流入する作動水の流れの一部は側圧室に流入し、側圧室を通過した後に吸出し管に流入する。この側圧室を通過する作動水の流れと回転するランナとの間には円板摩擦が生じ、これにより、円板摩擦損失が問題となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-121316号公報
【特許文献2】特開平11-311176号公報
【特許文献3】特開2005-233170号公報
【特許文献4】特開2019-85960号公報
【特許文献5】特許第6682483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施の形態は、円板摩擦損失を低減することができる水力機械のランナおよび水力機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態による水力機械のランナは、水力機械の静止部材との間に隙間を形成する水力機械のランナであル。ランナは、回転軸線を有するランナ本体と、隙間を画定するランナの外面に設けられ、隙間に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための摩擦低減構造と、を備えている。摩擦低減構造は、半径方向外側に向かって静止部材に近づくように階段状に形成されている。摩擦低減構造は、複数の段部を含んでいる。段部は、周方向に延びる壁面と、壁面よりも半径方向外側に位置するとともに静止部材に対向する対向面と、を含んでいる。
【0008】
また、実施の形態による水力機械のランナは、水力機械の静止部材との間に隙間を形成する水力機械のランナである。ランナは、回転軸線を有するランナ本体と、隙間を画定するランナの外面に設けられ、隙間に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための摩擦低減構造と、を備えている。摩擦低減構造は、半径方向外側に向かって静止部材から遠ざかるように階段状に形成されている。摩擦低減構造は、複数の段部を含んでいる。段部は、周方向に延びる壁面と、壁面よりも半径方向内側に位置するとともに静止部材に対向する対向面と、を含んでいる。
【0009】
また、実施の形態による水力機械のランナは、水力機械の静止部材との間に隙間を形成する水力機械のランナである。ランナは、回転軸線を有するランナ本体と、隙間を画定するランナの外面に設けられ、隙間に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための摩擦低減構造と、を備えている。摩擦低減構造は、半径方向において互いに異なる位置に位置する複数の凸部を含んでいる。凸部は、半径方向において互いに異なる位置に位置する一対の壁面であって、周方向に延びる一対の壁面と、一対の壁面に接続され、静止部材に対向する対向面と、を含んでいる。
【0010】
また、実施の形態による水力機械のランナは、水力機械の静止部材との間に隙間を形成する水力機械のランナである。ランナは、回転軸線を有するランナ本体と、隙間を画定するランナの外面に設けられ、隙間に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための摩擦低減構造と、を備えている。摩擦低減構造は、半径方向において互いに異なる位置に位置する複数の凸部を含んでいる。凸部は、周方向に延びる第1面と、第1面よりも半径方向外側に位置し、第1面に接続された第2面であって、第1面に対して傾斜した第2面と、を含んでいる。回転軸線を含む断面で見たときに、第1面と回転軸線とがなす角度は、45°以下である。一の凸部の第2面は、この凸部に半径方向外側に隣り合う他の凸部の第1面に接続されている。
【0011】
また、実施の形態による水力機械のランナは、水力機械の静止部材との間に隙間を形成する水力機械のランナである。ランナは、回転軸線を有するランナ本体と、隙間を画定するランナの外面に設けられ、隙間に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための摩擦低減構造と、を備えている。摩擦低減構造は、半径方向において互いに異なる位置に位置する複数の凸部を含んでいる。凸部は、周方向に延びる第1面と、第1面よりも半径方向内側に位置し、第1面に接続された第2面であって、第1面に対して傾斜した第2面と、を含んでいる。回転軸線を含む断面で見たときに、第1面と回転軸線とがなす角度は、45°以下である。一の凸部の第2面は、この凸部に半径方向内側で隣り合う他の凸部の第1面に接続されている。
【0012】
また、実施の形態による水力機械は、上述したランナを備えている。
【発明の効果】
【0013】
実施の形態によれば、円板摩擦損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態における水力機械の子午面断面図である。
【
図4】
図4は、
図2のランナのクラウンの外面における流れを説明するための図である。
【
図5】
図5は、
図3のランナのバンドの外面における流れを説明するための図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態におけるランナの半径方向における円板摩擦損失の分布を示すグラフである。
【
図7】
図7は、第2の実施の形態における背圧室を示す断面図である。
【
図8】
図8は、第2の実施の形態における側圧室を示す断面図である。
【
図11】
図11は、第3の実施の形態における背圧室を示す断面図である。
【
図12】
図12は、第3の実施の形態における側圧室を示す断面図である。
【
図15】
図15は、第4の実施の形態における背圧室を示す断面図である。
【
図16】
図16は、第4の実施の形態における側圧室を示す断面図である。
【
図17】
図17は、第5の実施の形態における背圧室を示す断面図である。
【
図18】
図18は、第5の実施の形態における側圧室を示す断面図である。
【
図19】
図19は、第6の実施の形態における背圧室を示す断面図である。
【
図22】
図22は、第8の実施の形態における背圧室を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における水力機械のランナおよび水力機械について説明する。
【0016】
図1~
図3を用いて、本実施の形態における水力機械のランナおよび水力機械について説明する。ここでは、まず、
図1を用いて水力機械の一例であるフランシス水車について説明する。
【0017】
図1に示すように、フランシス水車1は、水車運転時に上池から水圧鉄管(いずれも図示せず)を通って作動水が流入する渦巻き状のケーシング2と、複数のステーベーン3と、複数のガイドベーン4と、ランナ5と、を備えている。
【0018】
ステーベーン3は、ケーシング2に流入した作動水をガイドベーン4およびランナ5に導くための部材である。ステーベーン3は、周方向に所定の間隔をあけて配置されている。ステーベーン3の間に作動水が流れる流路が形成されている。
【0019】
ガイドベーン4は、流入した作動水をランナ5に導くための部材である。ガイドベーン4は、周方向に所定の間隔をあけて配置されている。ガイドベーン4の間には、作動水が流れる流路が形成されている。各ガイドベーン4は、回動可能に構成されており、各ガイドベーン4が回動して開度を変えることにより、ランナ5に流入する作動水の流量が調整可能になっている。このようにして、後述する発電機の発電量が調整可能になっている。
【0020】
ランナ5は、ケーシング2に対して回転軸線Xを中心に回転可能に構成されている。ランナ5は、水車運転時にケーシング2から流入する作動水によって回転駆動される。すなわち、ランナ5は、ランナ5に流入する作動水の圧力エネルギを回転エネルギへと変換するための部材である。
【0021】
ランナ5は、後述する主軸6に連結されたクラウン5aと、クラウン5aの外周側に設けられたバンド5bと、クラウン5aとバンド5bとの間に設けられた複数のランナ羽根5cと、を有している。このうちランナ羽根5cは、周方向に所定の間隔を開けて配置されている。ランナ羽根5cの間には、作動水が流れる流路が形成されている。
【0022】
ランナ5には、主軸6が連結されている。主軸6は、ランナ5とともに、上下方向に延びる回転軸線Xを中心に回転可能に構成されている。主軸6は、回転軸線Xに沿って延びている。
【0023】
主軸6には、図示しない発電機が連結されている。この発電機は、水車運転時には、ランナ5の回転エネルギが伝達されて発電を行うように構成されている。
【0024】
なお、発電機は、電動機としての機能をも有し、電力が供給されることによりランナ5を回転駆動するように構成されていてもよい。この場合、吸出し管7を介して下池の作動水を吸い上げて上池に放出させることができ、フランシス水車1を、ポンプ水車としてポンプ運転(揚水運転)することが可能になる。この際、ガイドベーン4の開度は、ポンプ揚程に応じて適切な揚水量になるように変えられる。
【0025】
ランナ5の水車運転時の下流側には、吸出し管7が設けられている。この吸出し管7は、図示しない下池または放水路に連結されており、ランナ5を回転駆動した作動水が、圧力を回復して、下池または放水路に放出されるようになっている。
【0026】
図1に示すように、ランナ5のクラウン5aの上方に、静止部材としての上カバー8が設けられている。クラウン5aと上カバー8との間に、背圧室9と称する円板状の隙間が形成されている。背圧室9には、発電運転時にガイドベーン4の流路を流れた作動水の一部が、漏れ流れとして流入する。より具体的には、
図2に示すように、ガイドベーン4とランナ5との間に背圧室入口10が形成されており、この背圧室入口10から背圧室9に作動水が流入する。背圧室9に流入した作動水は、
図1に示す背圧室シール部11およびバランスホール12を通過して、吸出し管7に流入する。
【0027】
図1に示すように、ランナ5のバンド5bの下方に、静止部材としての下カバー13が設けられている。バンド5bと下カバー13との間に、側圧室14と称する円板状の隙間が形成されている。側圧室14には、発電運転時にガイドベーン4の流路を流れた作動水の一部が、漏れ流れとして流入する。より具体的には、
図3に示すように、ガイドベーン4とランナ5との間に側圧室入口15が形成されており、この側圧室入口15から側圧室14に作動水が流入する。側圧室14に流入した作動水は、
図1に示す側圧室シール部16を通過して、吸出し管7に流入する。
【0028】
次に、
図2および
図3を用いて、本実施の形態による水力機械のランナ(以下、単にランナ5と記す)について説明する。
【0029】
ランナ5は、上述した回転軸線Xを有するランナ本体5dと、ランナ本体5dに設けられた摩擦低減構造20A、20Bと、を備えている。ランナ本体5dは、上述したクラウン5aと、バンド5bと、ランナ羽根5cとを含むように構成されている。
【0030】
摩擦低減構造20Aは、
図2に示すように、ランナ5のクラウン5aと上カバー8との間の背圧室9に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための構造である。摩擦低減構造20Aは、背圧室9を画定するクラウン5aの外面5eに設けられている。摩擦低減構造20Aは、半径方向外側に向かって上カバー8に近づくように階段状に形成されている。すなわち、摩擦低減構造20Aは、半径方向外側に向かって上方に向かうように階段状に形成されている。
【0031】
摩擦低減構造20Aは、複数の段部21Aを含んでいる。段部21Aは、周方向に延びる壁面22Aと、壁面22Aよりも半径方向外側に位置するとともに上カバー8に対向する対向面23Aと、を含んでいる。各段部21Aは、全周に延びており、回転軸線Xを中心として同芯状(
図4参照)に形成されている。各壁面22Aは、半径方向に等間隔に配置されていてもよい。対向面23Aは、壁面22Aに接続されるとともに、壁面22Aに対して垂直になっている。
【0032】
図2に示すように、各段部21Aの壁面22Aは、回転軸線Xに平行になっていてもよい。各段部21Aの対向面23Aは、回転軸線Xに垂直になっていてもよい。摩擦低減構造20Aを構成する段部21Aは、半径方向外側に向かって、上カバー8に近づくように位置づけられている。
【0033】
一の段部21Aの対向面23Aは、当該段部21Aに半径方向外側で隣り合う他の段部21Aの壁面22Aに接続されている。
図2に示すように、左側の段部21Aの対向面23Aは、右側の段部21Aの壁面22Aに接続されている。
図2においては、複数の段部21Aが、連続して形成されている。
【0034】
摩擦低減構造20Bは、
図3に示すように、ランナ5のバンド5bと下カバー13との間の側圧室14に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための構造である。摩擦低減構造20Bは、側圧室14を画定するバンド5bの外面5fに設けられている。摩擦低減構造20Bは、半径方向外側に向かって下カバー13に近づくように階段状に形成されている。
【0035】
摩擦低減構造20Bは、複数の段部21Bを含んでいる。段部21Bは、周方向に延びる壁面22Bと、壁面22Bよりも半径方向外側に位置するとともに下カバー13に対向する対向面23Bと、を含んでいる。各段部21Bは、全周に延びており、回転軸線Xを中心として同芯状(
図5参照)に形成されている。各壁面22Bは、半径方向に等間隔に配置されていてもよい。対向面23Bは、壁面22Bに接続されるとともに、壁面22Bに対して垂直になっている。
【0036】
図3に示すように、各段部21Bの壁面22Bは、回転軸線Xに平行になっていなくてもよい。しかしながら、各段部21Bの壁面22Bは、回転軸線Xに平行になっていてもよい。摩擦低減構造20Bを構成する段部21Bは、半径方向外側に向かって、下カバー13に近づくように位置づけられている。
【0037】
一の段部21Bの対向面23Bは、当該段部21Bに半径方向外側で隣り合う他の段部21Bの壁面22Bに接続されている。
図3に示すように、左側の段部21Bの対向面23Bは、右側の段部21Bの壁面22Bに接続されている。
図3においては、複数の段部21Bが、連続して形成されている。
【0038】
図2に示すように、摩擦低減構造20Aは、ランナ本体5dのクラウン5aに一体に形成されている。
図3に示すように、摩擦低減構造20Bは、ランナ本体5dのバンド5bに一体に形成されている。
【0039】
摩擦低減構造20Aは、ランナ5の外周縁の半径方向位置を100%で表したときに、40%以上の領域に位置していてもよい。回転軸線Xは、0%の位置になる。また、摩擦低減構造20Aは、背圧室シール部11よりも半径方向外側の領域に位置していてもよい。
【0040】
同様に、摩擦低減構造20Bは、ランナ5の外周縁の半径方向位置を100%で表したときに、40%以上の領域に位置していてもよい。摩擦低減構造20Bは、側圧室シール部16よりも半径方向外側の領域に位置していてもよい。
【0041】
次に、このような構成からなる本実施の形態において、水車運転時の作動水の流れについて説明する。
【0042】
水車運転時、ガイドベーン4の流路を流れた作動水が、ランナ5の流路に流入し、ランナ5が回転駆動される。このことにより、ランナ5は主軸6とともに、回転軸線Xを中心に回転する。ランナ5を回転駆動させた作動水は、ランナ5の流路から排出されて、吸出し管7に流入する。
【0043】
ガイドベーン4の流路を流れる作動水の一部は、背圧室入口10を通過して背圧室9に流入する。背圧室9において、作動水は、主として、回転しながら半径方向内側(実線矢印で示す方向)に流れる。そして、作動水は、背圧室シール部11およびバランスホール12を通過して、吸出し管7に流入する。
【0044】
図2に示すように、背圧室9においてクラウン5aの外面5eの近傍では、回転しながら半径方向外側(破線矢印で示す方向)に流れる。クラウン5aとの摩擦による影響と、ランナ5の回転による影響とを受けるためである。このクラウン5aの外面5eの近傍における作動水の流れは、
図4に示す速度ベクトルで表される。
図4は、
図2の摩擦低減構造20Aを上方から見た図であり、任意の地点P1における速度ベクトルを示している。
【0045】
図4に示すように、クラウン5aの外面5eの近傍における作動水の流れは、周方向速度成分Vc1と、半径方向速度成分Vr1と、を有している。周方向速度成分Vc1は、ランナ5の回転方向Cと同じ方向の速度成分となっている。半径方向速度成分Vr1は、半径方向外側を向く速度成分となっている。周方向速度成分Vc1と半径方向速度成分Vr1とを合成すると、作動水の流れの速度ベクトルV1が得られる。ランナ5の周方向速度をU1とすると、作動水の流れの速度V1とランナ5の周方向速度U1とがなす角度は、θ1で表される。
【0046】
水車運転時、ランナ5は高速で回転するため、背圧室9におけるクラウン5aの外面5eの近傍における作動水の流れは、クラウン5aの外面5eとの摩擦による影響と、ランナ5の回転による影響とを受ける。このことにより、クラウン5aの外面5eの近傍における作動水の流れは、ランナ5の周方向速度U1と同一方向の周方向速度成分Vc1を有する。また、作動水が周方向速度成分を有することにより遠心力の影響を受ける。このことにより、クラウン5aの外面5eの近傍における作動水の流れは、半径方向速度成分Vr1を有する。このため、クラウン5aの外面5eの近傍における作動水は、周方向速度成分Vc1と半径方向速度成分Vr1とで合成された速度ベクトルV1を有する。
【0047】
ランナ5の周方向速度U1と、作動水の周方向速度成分Vc1との差により、ランナ5と作動水との間に摩擦が生じる。周方向速度成分Vc1は、周方向速度U1よりも小さいため、ランナ5の回転に対して作動水の流れがブレーキとなって、円板摩擦損失が発生する。特に、半径方向速度成分Vr1が大きい場合、上述した角度θ1が大きくなる。これに伴い、周方向速度成分Vc1が小さくなり、周方向速度U1と周方向速度成分Vc1との差が大きくなる。この結果、円板摩擦損失が増大する。
【0048】
これに対して本実施の形態においては、クラウン5aの外面5eに、階段状に形成された摩擦低減構造20Aが設けられている。摩擦低減構造20Aの各段部21Aが、周方向に延びる壁面22Aを含んでいる。このことにより、作動水の流れは、壁面22Aに衝突し、半径方向外側への流れが抑制されるとともに周方向に案内される。このため、半径方向速度成分Vr1が小さくなり、上述した角度θ1が小さくなる。この結果、周方向速度成分Vc1が大きくなり、周方向速度U1と周方向速度成分Vc1との差が小さくなる。この結果、円板摩擦損失を低減することができる。
【0049】
また、ガイドベーン4の流路を流れる作動水の一部は、側圧室入口15を通過して側圧室14に流入する。側圧室14において、作動水は、主として、回転しながら半径方向内側(実線矢印で示す方向)に流れる。そして、作動水は、側圧室シール部16を通過して、吸出し管7に流入する。
【0050】
図3に示すように、側圧室14においてバンド5bの外面5fの近傍では、回転しながら半径方向外側(破線矢印で示す方向)に流れる。バンド5bとの摩擦による影響と、ランナ5の回転による影響とを受けるためである。このバンド5bの外面5fの近傍における作動水の流れは、
図5に示す速度ベクトルで表される。
図5は、
図3の摩擦低減構造20Bを下方から見た図であり、任意の地点P2における速度ベクトルを示している。
【0051】
図5に示すように、バンド5bの外面5fの近傍における作動水の流れは、周方向速度成分Vc2と、半径方向速度成分Vr2と、を有している。周方向速度成分Vc2は、ランナ5の回転方向Cと同じ方向の速度成分となっている。半径方向速度成分Vr2は、半径方向外側を向く速度成分となっている。周方向速度成分Vc2と半径方向速度成分Vr2とを合成すると、作動水の流れの速度ベクトルV2が得られる。ランナ5の周方向速度成分をU2とすると、作動水の流れの速度V2とランナ5の周方向速度U2とがなす角度は、θ2で表される。
【0052】
水車運転時、ランナ5は高速で回転するため、側圧室14におけるバンド5bの外面5fの近傍における作動水の流れは、バンド5bの外面5fとの摩擦による影響と、ランナ5の回転による影響と、を受ける。このことにより、バンド5bの外面5fの近傍における作動水の流れは、ランナ5の周方向速度U2と同一方向の周方向速度成分Vc2を有する。また、作動水が周方向速度成分を有することにより遠心力の影響を受ける。このことにより、バンド5bの外面5fの近傍における作動水の流れは、半径方向速度成分Vr2を有する。このため、バンド5bの外面5fの近傍における作動水は、周方向速度成分Vc2と半径方向速度成分Vr2とで合成された速度ベクトルV2を有する。
【0053】
ランナ5の周方向速度U2と、作動水の周方向速度成分Vc2との差により、ランナ5と作動水との間に摩擦が生じる。周方向速度成分Vc2は、周方向速度U2よりも小さいため、ランナ5の回転に対して作動水の流れがブレーキとなって、円板摩擦損失が発生する。特に、半径方向速度成分Vr2が大きい場合、上述した角度θ2が大きくなる。これに伴い、周方向速度成分Vc2が小さくなり、周方向速度U2と周方向速度成分Vc2との差が大きくなる。この結果、円板摩擦損失が増大する。
【0054】
これに対して本実施の形態においては、バンド5bの外面5fに、階段状に形成された摩擦低減構造20Bが設けられている。摩擦低減構造20Bの各段部21Bが、周方向に延びる壁面22Bを含んでいる。このことにより、作動水の流れは、壁面22Bに衝突し、半径方向外側への流れが抑制されるとともに周方向に案内される。このため、半径方向速度成分Vr2が小さくなり、上述した角度θ2が小さくなる。この結果、周方向速度成分Vc2が大きくなり、周方向速度U2と周方向速度成分Vc2との差が小さくなる。この結果、円板摩擦損失を低減することができる。
【0055】
図6に、ランナ5の半径方向における円板摩擦損失の分布を示している。
図6の横軸は、半径方向位置を示し、縦軸は、円板摩擦損失を示している。
図6における破線は、摩擦低減構造20A、20Bが設けられていない一般的なフランシス水車のランナにおける円板摩擦損失の分布を示している。
図6における実線は、摩擦低減構造20A、20Bが設けられた本実施の形態によるランナ5における円板摩擦損失の分布を示している。
【0056】
図6に示すように、本実施の形態によるランナ5の円板摩擦損失が、一般的なランナの円板摩擦損失よりも低減されていることがわかる。上述したように、クラウン5aまたはバンド5bの外面の近傍における作動水の流れの周方向速度成分Vc1、Vc2が大きくなり、ランナ5の周方向速度U1、U2との差が低減されたためと考えられる。
【0057】
なお、ランナ5の周方向速度U1および作動水の流れの周方向速度成分Vc1、Vc2は、ランナ5の外周縁に近いほど大きくなる。このことにより、円板摩擦損失も、半径方向外側に向かって大きくなる。
図6に示されているように、半径方向位置が40%から、半径方向外側に向かって円板摩擦損失が増大しているが、40%の半径方向位置から半径方向内側では、円板摩擦損失はほぼ発生していない。このため、半径方向位置が40%以上となる領域に、摩擦低減構造20A、20Bを設けるようにしてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、摩擦低減構造20A、20Bは、半径方向位置が40%未満の領域に位置していてもよい。
【0058】
このように本実施の形態によれば、背圧室9を画定するランナ本体5dのクラウン5aの外面5eに、半径方向外側に向かって上カバー8に近づくように階段状に形成された摩擦低減構造20Aが設けられている。摩擦低減構造20Aは、複数の段部21Aを含み、段部21Aは、周方向に延びる壁面22Aと、壁面22Aよりも半径方向外側に位置するとともに上カバー8に対向する対向面23Aと、を含んでいる。このことにより、クラウン5aの外面5eの近傍における作動水の流れは、壁面22Aに衝突することができ、半径方向外側への流れが抑制できるとともに周方向に案内することができる。このため、作動水の流れの半径方向成分を小さくするとともに周方向速度成分を大きくすることができ、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差を小さくすることができる。この結果、円板摩擦損失を低減することができる。
【0059】
また、本実施の形態によれば、側圧室14を画定するランナ本体5dのバンド5bの外面5fに、半径方向外側に向かって下カバー13に近づくように階段状に形成された摩擦低減構造20Bが設けられている。摩擦低減構造20Bは、複数の段部21Bを含み、段部21Bは、周方向に延びる壁面22Bと、壁面22Bよりも半径方向外側に位置するとともに下カバー13に対向する対向面23Bと、を含んでいる。このことにより、バンド5bの外面5fの近傍における作動水の流れは、壁面22Bに衝突することができ、半径方向外側への流れが抑制できるとともに周方向に案内することができる。このため、作動水の流れの半径方向成分を小さくするとともに周方向速度成分を大きくすることができ、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差を小さくすることができる。この結果、円板摩擦損失を低減することができる。
【0060】
また、本実施の形態によれば、段部21Aの壁面22Aは、回転軸線Xに平行になっている。このことにより、クラウン5aの外面5eの近傍において、半径方向外側への作動水の流れを、効果的に抑制できるとともに周方向に効果的に案内することができる。このため、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差をより一層小さくすることができ、円板摩擦損失をより一層低減することができる。
【0061】
なお、上述した本実施の形態においては、摩擦低減構造20Aの段部21Aの壁面22Aが、回転軸線Xに平行になっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、壁面22Aは、半径方向外側への流れを抑制できるとともに周方向に案内することができれば、壁面22Aは、回転軸線Xに平行になっていなくてもよい。例えば、回転軸線Xを含む断面(子午面断面)で見たときに、壁面22Aが回転軸線Xに対して傾斜していてもよい。
【0062】
(第2の実施の形態)
次に、
図7~
図10を用いて、第2の実施の形態による水力機械のランナおよび水力機械について説明する。
【0063】
図7~
図10に示す第2の実施の形態においては、摩擦低減構造が、半径方向において互いに異なる位置に位置する複数の凸部を含み、凸部は、第1面と、第1面よりも半径方向外側に位置する第2面と、を含み、回転軸線を含む断面で見たときに、第1面と回転軸線とがなす角度が、45°以下である、点が主に異なり、他の構成は、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図7~
図10において、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0064】
図7および
図8に示すように、本実施の形態においては、ランナ5のランナ本体5dに、摩擦低減構造30A、30Bが設けられている。
【0065】
図7に示すように、摩擦低減構造30Aは、
図2に示す摩擦低減構造20Aと同様に、ランナ5のクラウン5aと上カバー8との間の背圧室9に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための構造である。摩擦低減構造30Aは、背圧室9を画定するクラウン5aの外面5eに設けられている。
【0066】
図7に示すように、摩擦低減構造30Aは、半径方向において互いに異なる位置に位置する複数の凸部31Aを含んでいる。凸部31Aは、周方向に延びる第1面32Aと、第1面32Aよりも半径方向外側に位置する第2面33Aと、を含んでいる。各凸部31Aは、全周に延びており、回転軸線Xを中心として同芯状に形成されている。各第1面32Aは、半径方向に等間隔に配置されていてもよい。
【0067】
回転軸線Xを含む断面で見たときに、第1面32Aと回転軸線Xとがなす角度α(
図9A、
図10A参照)は、45°以下になっている。本実施の形態においては、回転軸線Xを含む断面で見たときに、凸部31Aの第1面32Aと回転軸線Xとがなす角度αが、0°となっている。
図7に示すように、各凸部31Aの第1面32Aは、回転軸線Xに平行になっている。
【0068】
各凸部31Aの第2面33Aは、第1面32Aに接続されるとともに、第1面32Aに対して傾斜している。回転軸線Xを含む断面で見たときに、第2面33Aが回転軸線Xに対して傾斜している。
図7に示す例では、凸部31Aの先端(第1面32Aと第2面33Aとの接続点)は、回転軸線Xに沿う方向において、クラウン5aの外面5eと同じ位置に位置していてもよい。
【0069】
一の凸部31Aの第2面33Aは、当該凸部31Aに半径方向外側で隣り合う他の凸部31Aの第1面32Aに接続されている。
図7に示すように、左側の凸部31Aの第2面33Aは、右側の凸部31Aの第1面32Aに接続されている。
図7においては、複数の凸部31Aが、連続して形成されている。半径方向において互いに隣り合う凸部31Aの間には、凹部34Aが形成されている。凹部34Aは、一の凸部31Aの第2面33Aと、当該凸部31Aに半径方向外側で隣り合う他の凸部31Aの第1面32Aとにより画定されている。
【0070】
図8に示すように、摩擦低減構造30Bは、
図3に示す摩擦低減構造20Bと同様に、ランナ5のバンド5bと下カバー13との間の側圧室14に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための構造である。摩擦低減構造30Bは、側圧室14を画定するバンド5bの外面5fに設けられている。
【0071】
図8に示すように、摩擦低減構造30Bは、半径方向において互いに異なる位置に位置する複数の凸部31Bを含んでいる。凸部31Bは、周方向に延びる第1面32Bと、第1面32Bよりも半径方向外側に位置する第2面33Bと、を含んでいる。各凸部31B、全周に延びており、回転軸線Xを中心として同芯状に形成されている。各第1面32Bは、半径方向に等間隔に配置されていてもよい。
【0072】
回転軸線Xを含む断面で見たときに、第1面32Bと回転軸線Xとがなす角度β(
図9B、
図10B参照)は、45°以下になっている。本実施の形態においては、回転軸線Xを含む断面で見たときに、凸部31Bの第1面32Bと回転軸線Xとがなす角度βが、0°となっている。
図8に示すように、各凸部31Bの第1面32Bは、回転軸線Xに平行になっている。
【0073】
各凸部31Bの第2面33Bは、第1面32Bに接続されるとともに、第1面32Bに対して傾斜している。回転軸線Xを含む断面で見たときに、第2面33Bが回転軸線Xに対して傾斜している。
図8に示す例では、凸部31Bの先端(第1面32Bと第2面33Bとの接続点)は、バンド5bの外面5fの延長上に位置していてもよい。
【0074】
一の凸部31Bの第2面33Bは、当該凸部31Bに半径方向外側で隣り合う他の凸部31Bの第1面32Bに接続されている。
図8に示すように、左側の凸部31Bの第2面33Bは、右側の凸部31Bの第1面32Bに接続されている。
図8においては、複数の凸部31Bが、連続して形成されている。半径方向において互いに隣り合う凸部31Bの間には、凹部34Bが形成されている。凹部34Bは、一の凸部31Bの第2面33Bと、当該凸部31Bに半径方向外側で隣り合う他の凸部31Bの第1面32Bとにより画定されている。
【0075】
このように本実施の形態によれば、背圧室9を画定するランナ本体5dのクラウン5aの外面5eに摩擦低減構造30Aが設けられている。摩擦低減構造30Aは、複数の凸部31Aを含み、凸部31Aは、周方向に延びる第1面32Aと、第1面32Aよりも半径方向外側に位置する第2面33Aと、を含んでいる。第2面33Aは、第1面32Aに接続されており、第1面32Aに対して傾斜している。回転軸線Xを含む断面で見たときに、第1面32Aと回転軸線Xとがなす角度αは、45°以下になっている。このことにより、クラウン5aの外面5eの近傍における作動水の流れは、第1面32Aに衝突することができ、半径方向外側への流れが抑制できるとともに周方向に案内することができる。このため、作動水の流れの半径方向成分を小さくするとともに周方向速度成分を大きくすることができ、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差を小さくすることができる。この結果、円板摩擦損失を低減することができる。
【0076】
また、本実施の形態によれば、側圧室14を画定するランナ本体5dのバンド5bの外面5fに摩擦低減構造30Bが設けられている。摩擦低減構造30Bは、複数の凸部31Bを含み、凸部31Bは、周方向に延びる第1面32Bと、第1面32Bよりも半径方向外側に位置する第2面33Bと、を含んでいる。第2面33Bは、第1面32Bに接続されており、第1面32Bに対して傾斜している。回転軸線Xを含む断面で見たときに、第1面32Bと回転軸線Xとがなす角度βは、45°以下になっている。このことにより、バンド5bの外面5fの近傍における作動水の流れは、第1面32Bに衝突することができ、半径方向外側への流れが抑制できるとともに周方向に案内することができる。このため、作動水の流れの半径方向成分を小さくするとともに周方向速度成分を大きくすることができ、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差を小さくすることができる。この結果、円板摩擦損失を低減することができる。
【0077】
また、本実施の形態によれば、凸部31A、31Bの第1面32A、32Bは、回転軸線Xに平行になっている。このことにより、クラウン5aの外面5eの近傍において、半径方向外側への作動水の流れを、効果的に抑制できるとともに周方向に効果的に案内することができる。また、バンド5bの外面5fの近傍において、半径方向外側への作動水の流れを、効果的に抑制できるとともに周方向に効果的に案内することができる。このため、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差をより一層小さくすることができ、円板摩擦損失をより一層低減することができる。
【0078】
なお、上述した本実施の形態においては、摩擦低減構造30A、30Bの凸部31A、31Bの第1面32A、32Bが、回転軸線Xに平行になっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、第1面32A、32Bは、半径方向外側への流れを抑制できるとともに周方向に案内することができれば、第1面32A、32Bは、回転軸線Xに平行になっていなくてもよい。
【0079】
例えば、
図9Aに示すように、回転軸線Xを含む断面で見たときに、凸部31Aの第1面32Aが回転軸線Xに対して傾斜していてもよい。第1面32Aと回転軸線Xとがなす角度αは、45°以下になっている。
図9Aに示す例では、第1面32Aは、ランナ本体5dの側に位置する第1端32Aaと、ランナ本体5dとは反対側に位置する第2端32Abと、を含んでいる。第2端32Abは、第1端32Aaよりも半径方向内側に位置している。この場合、凸部31Aは、上方に向かうとともに半径方向内側に向かって凸となる。
【0080】
例えば、
図9Bに示すように、回転軸線Xを含む断面で見たときに、凸部31Bの第1面32Bが回転軸線Xに対して傾斜していてもよい。第1面32Bと回転軸線Xとがなす角度βは、45°以下になっている。
図9Bに示す例では、第1面32Bは、ランナ本体5dの側に位置する第1端32Baと、ランナ本体5dとは反対側に位置する第2端32Bbと、を含んでいる。第2端32Bbは、第1端32Baよりも半径方向内側に位置している。この場合、凸部31Bは、上方に向かうとともに半径方向内側に向かって凸となる。
【0081】
また、例えば、
図10Aに示すように、回転軸線Xを含む断面で見たときに、凸部31Aの第1面32Aが回転軸線Xに対して傾斜していてもよい。第1面32Aと回転軸線Xとがなす角度αは、45°以下になっている。
図10Aに示す例では、第1面32Aの第2端32Abは、第1端32Aaよりも半径方向外側に位置している。
【0082】
また、例えば、
図10Bに示すように、回転軸線Xを含む断面で見たときに、凸部31Bの第1面32Bが回転軸線Xに対して傾斜していてもよい。第1面32Bと回転軸線Xとがなす角度βは、45°以下になっている。
図10Bに示す例では、第1面32Bの第2端32Bbは、第1端32Baよりも半径方向外側に位置している。
【0083】
(第3の実施の形態)
次に、
図11~
図14を用いて、第3の実施の形態による水力機械のランナおよび水力機械について説明する。
【0084】
図11~
図14に示す第3の実施の形態においては、摩擦低減構造が、半径方向において互いに異なる位置に位置する複数の凸部を含み、凸部は、第1面と、第1面よりも半径方向内側に位置する第2面と、を含み、回転軸線を含む断面で見たときに、第1面と回転軸線とがなす角度が、45°以下である、点が主に異なり、他の構成は、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図7~
図10において、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0085】
図11および
図12に示すように、本実施の形態においては、ランナ5のランナ本体5dに、摩擦低減構造40A、40Bが設けられている。
【0086】
図11に示すように、摩擦低減構造40Aは、
図2に示す摩擦低減構造20Aと同様に、ランナ5のクラウン5aと上カバー8との間の背圧室9に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための構造である。摩擦低減構造40Aは、背圧室9を画定するクラウン5aの外面5eに設けられている。
【0087】
図11に示すように、摩擦低減構造40Aは、半径方向において互いに異なる位置に位置する複数の凸部41Aを含んでいる。凸部41Aは、周方向に延びる第1面42Aと、第1面42Aよりも半径方向内側に位置する第2面43Aと、を含んでいる。各凸部41Aは、全周に延びており、回転軸線Xを中心として同芯状に形成されている。各第1面42Aは、半径方向に等間隔に配置されていてもよい。
【0088】
回転軸線Xを含む断面で見たときに、第1面42Aと回転軸線Xとがなす角度α(
図13A、
図14A参照)は、45°以下になっている。本実施の形態においては、回転軸線Xを含む断面で見たときに、凸部41Aの第1面42Aと回転軸線Xとがなす角度αが、0°となっている。
図11に示すように、各凸部41Aの第1面42Aは、回転軸線Xに平行になっている。
【0089】
各凸部41Aの第2面43Aは、第1面42Aに接続されるとともに、第1面42Aに対して傾斜している。回転軸線Xを含む断面で見たときに、第2面43Aが回転軸線Xに対して傾斜している。
図11に示す例では、凸部41Aの先端(第1面42Aと第2面43Aとの接続点)は、クラウン5aの外面5eよりも上カバー8の側に位置していてもよい。
【0090】
一の凸部41Aの第2面43Aは、当該凸部41Aに半径方向内側で隣り合う他の凸部41Aの第1面42Aに接続されている。
図11に示すように、右側の凸部41Aの第2面43Aは、左側の凸部41Aの第1面42Aに接続されている。
図11においては、複数の凸部41Aが、連続して形成されている。半径方向において互いに隣り合う凸部41Aの間には、凹部44Aが形成されている。凹部44Aは、一の凸部41Aの第2面43Aと、当該凸部41Aに半径方向内側で隣り合う他の凸部41Aの第1面42Aとにより画定されている。
【0091】
図12に示すように、摩擦低減構造40Bは、
図3に示す摩擦低減構造20Bと同様に、ランナ5のバンド5bと下カバー13との間の側圧室14に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための構造である。摩擦低減構造40Bは、側圧室14を画定するバンド5bの外面5fに設けられている。
【0092】
図12に示すように、摩擦低減構造40Bは、半径方向において互いに異なる位置に位置する複数の凸部41Bを含んでいる。凸部41Bは、周方向に延びる第1面42Bと、第1面42Bよりも半径方向内側に位置する第2面43Bと、を含んでいる。各凸部41Bは、全周に延びており、回転軸線Xを中心として同芯状に形成されている。各第1面42Bは、半径方向に等間隔に配置されていてもよい。
【0093】
回転軸線Xを含む断面で見たときに、第1面42Bと回転軸線Xとがなす角度β(
図13B、
図14B参照)は、45°以下になっている。本実施の形態においては、回転軸線Xを含む断面で見たときに、凸部41Bの第1面42Bと回転軸線Xとがなす角度βが、0°となっている。
図12に示すように、各凸部41Bの第1面42Bは、回転軸線Xに平行になっている。
【0094】
各凸部41Bの第2面43Bは、第1面42Bに接続されるとともに、第1面42Bに対して傾斜している。回転軸線Xを含む断面で見たときに、第2面43Bが回転軸線Xに対して傾斜している。
図12に示す例では、凸部41Bの先端(第1面42Bと第2面43Bとの接続点)は、下カバー13の側に位置していてもよい。
【0095】
一の凸部41Bの第2面43Bは、当該凸部41Bに半径方向内側で隣り合う他の凸部41Bの第1面42Bに接続されている。
図12に示すように、右側の凸部41Bの第2面43Bは、左側の凸部41Bの第1面42Bに接続されている。
図12においては、複数の凸部41Bが、連続して形成されている。互いに隣り合う凸部41Bの間には、凹部44Bが形成されている。凹部44Bは、一の凸部41Bの第2面43Bと、当該凸部41Bに半径方向内側で隣り合う他の凸部41Bの第1面42Bとにより画定されている。
【0096】
このように本実施の形態によれば、背圧室9を画定するランナ本体5dのクラウン5aの外面5eに摩擦低減構造40Aが設けられている。摩擦低減構造40Aは、複数の凸部41Aを含み、凸部41Aは、周方向に延びる第1面42Aと、第1面32Aよりも半径方向内側に位置する第2面43Aと、を含んでいる。第2面43Aは、第1面42Aに接続されており、第1面42Aに対して傾斜している。回転軸線Xを含む断面で見たときに、第1面42Aと回転軸線Xとがなす角度αは、45°以下になっている。このことにより、クラウン5aの外面5eの近傍における作動水の流れは、第2面43Aを通過した後に第1面42Aから剥離することができ、半径方向速度成分を低減することができる。このため、作動水の流れの半径方向成分を小さくするとともに周方向速度成分を大きくすることができ、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差を小さくすることができる。この結果、円板摩擦損失を低減することができる。
【0097】
また、本実施の形態によれば、側圧室14を画定するランナ本体5dのバンド5bの外面5fに摩擦低減構造30Bが設けられている。摩擦低減構造30Bは、複数の凸部31Bを含み、凸部31Bは、周方向に延びる第1面32Bと、第1面32Bよりも半径方向外側に位置する第2面33Bと、を含んでいる。第2面33Bは、第1面32Bに接続されており、第1面32Bに対して傾斜している。回転軸線Xを含む断面で見たときに、第1面32Bと回転軸線Xとがなす角度βは、45°以下になっている。このことにより、バンド5bの外面5fの近傍における作動水の流れは、第2面43Bを通過した後に第1面42Bから剥離することができ、半径方向速度成分を低減することができる。このため、作動水の流れの半径方向成分を小さくするとともに周方向速度成分を大きくすることができ、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差を小さくすることができる。この結果、円板摩擦損失を低減することができる。
【0098】
また、本実施の形態によれば、凸部41A、41Bの第1面42A、42Bは、回転軸線Xに平行になっている。このことにより、クラウン5aの外面5eの近傍において、半径方向外側への作動水の流れを、第1面42Aから効果的に剥離でき、その流れの半径方向速度成分を低減することができる。また、バンド5bの外面5fの近傍において、半径方向外側への作動水の流れを、第1面42Bから効果的に剥離でき、その流れの半径方向速度成分を低減することができる。このため、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差をより一層小さくすることができ、円板摩擦損失をより一層低減することができる。
【0099】
なお、上述した本実施の形態においては、摩擦低減構造40A、40Bの凸部41A、41Bの第1面42A、42Bが、回転軸線Xに平行になっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、第1面42A、42Bは、作動水の流れを剥離することができれば、第1面42A、42Bは、回転軸線Xに平行になっていなくてもよい。
【0100】
例えば、
図13Aに示すように、回転軸線Xを含む断面で見たときに、凸部41Aの第1面42Aが回転軸線Xに対して傾斜していてもよい。第1面42Aと回転軸線Xとがなす角度αは、45°以下になっている。
図13Aに示す例では、第1面42Aは、ランナ本体5dの側に位置する第1端42Aaと、ランナ本体5dとは反対側に位置する第2端42Abと、を含んでいる。第2端42Abは、第1端42Aaよりも半径方向外側に位置している。この場合、凸部41Aは、上方に向かうとともに半径方向外側に向かって凸となる。
【0101】
例えば、
図13Bに示すように、回転軸線Xを含む断面で見たときに、凸部41Bの第1面42Bが回転軸線Xに対して傾斜していてもよい。第1面42Bと回転軸線Xとがなす角度βは、45°以下になっている。
図13Bに示す例では、第1面42Bは、ランナ本体5dの側に位置する第1端42Baと、ランナ本体5dとは反対側に位置する第2端42Bbと、を含んでいる。第2端42Bbは、第1端42Baよりも半径方向外側に位置している。この場合、凸部41Bは、上方に向かうとともに半径方向外側に向かって凸となる。
【0102】
また、例えば、
図14Aに示すように、回転軸線Xを含む断面で見たときに、凸部41Aの第1面42Aが回転軸線Xに対して傾斜していてもよい。第1面42Aと回転軸線Xとがなす角度αは、45°以下になっている。
図14Aに示す例では、第1面42Aの第2端42Abは、第1端42Aaよりも半径方向内側に位置している。
【0103】
また、例えば、
図14Bに示すように、回転軸線Xを含む断面で見たときに、凸部41Bの第1面42Bが回転軸線Xに対して傾斜していてもよい。第1面42Bと回転軸線Xとがなす角度βは、45°以下になっている。
図14Bに示す例では、第1面42Bの第2端42Bbは、第1端42Baよりも半径方向内側に位置している。
【0104】
(第4の実施の形態)
次に、
図15および
図16を用いて、第4の実施の形態による水力機械のランナおよび水力機械について説明する。
【0105】
図15および
図16に示す第4の実施の形態においては、摩擦低減構造が、半径方向外側に向かって静止部材から遠ざかるように階段状に形成されている、点が主に異なり、他の構成は、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図15および
図16において、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0106】
図15および
図16に示すように、本実施の形態においては、ランナ5のランナ本体5dに、摩擦低減構造50A、50Bが設けられている。
【0107】
図15に示すように、摩擦低減構造50Aは、
図2に示す摩擦低減構造20Aと同様に、ランナ5のクラウン5aと上カバー8との間の背圧室9に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための構造である。摩擦低減構造50Aは、背圧室9を画定するクラウン5aの外面5eに設けられている。
【0108】
図15に示すように、摩擦低減構造50Aは、半径方向外側に向かって上カバー8から遠ざかるように階段状に形成されている。すなわち、摩擦低減構造50Aは、半径方向外側に向かって下方に向かうように階段状に形成されている。
【0109】
摩擦低減構造50Aは、複数の段部51Aを含んでいる。段部51Aは、周方向に延びる壁面52Aと、壁面52Aよりも半径方向内側に位置するとともに上カバー8に対向する対向面53Aと、を含んでいる。各段部51Aは、全周に延びており、回転軸線Xを中心にして同芯状に形成されている。各壁面52Aは、半径方向に等間隔に配置されていてもよい。対向面53Aは、壁面52Aに接続されるとともに、壁面52Aに対して垂直になっている。
【0110】
図15に示すように、壁面52Aは、回転軸線Xに平行になっていてもよい。壁面52Aおよび対向面53Aは、
図2に示す壁面22Aおよび対向面23Aと同様に構成することができるため、詳細な説明は省略する。摩擦低減構造50Aを構成する段部51Aは、半径方向外側に向かって、上カバー8から遠ざかるように位置づけられている。
【0111】
一の段部51Aの対向面53Aは、当該段部51Aに半径方向内側で隣り合う他の段部51Aの壁面52Aに接続されている。
図15に示すように、右側の段部51Aの対向面53Aは、左側の段部51Aの壁面52Aに接続されている。
図15においては、複数の段部51Aが、連続して形成されている。
【0112】
図16に示すように、摩擦低減構造50Bは、
図3に示す摩擦低減構造20Bと同様に、ランナ5のバンド5bと下カバー13との間の側圧室14に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための構造である。摩擦低減構造50Bは、側圧室14を画定するバンド5bの外面5fに設けられている。
【0113】
図16に示すように、摩擦低減構造50Bは、半径方向外側に向かって下カバー13から遠ざかるように階段状に形成されている。
【0114】
摩擦低減構造50Bは、複数の段部51Bを含んでいる。段部51Bは、周方向に延びる壁面52Bと、壁面52Bよりも半径方向内側に位置するとともに下カバー13に対向する対向面53Bと、を含んでいる。各段部51Bは、全周に延びており、回転軸線Xを中心にして同芯状に形成されている。各壁面52Bは、半径方向に等間隔に配置されていてもよい。対向面53Bは、壁面52Bに接続されるとともに、壁面52Bに対して垂直になっている。
【0115】
図16に示すように、各段部51Bの壁面52Bは、回転軸線Xに平行になっていなくてもよい。しかしながら、各段部51Bの壁面52Bは、回転軸線Xに平行になっていてもよい。壁面52Bおよび対向面53Bは、
図3に示す壁面22Bおよび対向面23Bと同様に構成することができるため、詳細な説明は省略する。摩擦低減構造50Bを構成する段部51Bは、半径方向外側に向かって、下カバー13から遠ざかるように位置づけられている。
【0116】
一の段部51Bの対向面53Bは、当該段部51Bに半径方向内側で隣り合う他の段部51Bの壁面52Bに接続されている。
図16に示すように、右側の段部51Bの対向面53Bは、左側の段部51Bの壁面52Bに接続されている。
図16においては、複数の段部51Bが、連続して形成されている。
【0117】
このように本実施の形態によれば、背圧室9を画定するランナ本体5dのクラウン5aの外面5eに、半径方向外側に向かって上カバー8から遠ざかるように階段状に形成された摩擦低減構造50Aが設けられている。摩擦低減構造50Aは、複数の段部51Aを含み、段部51Aは、周方向に延びる壁面52Aと、壁面52Aよりも半径方向内側に位置するとともに上カバー8に対向する対向面53Aと、を含んでいる。このことにより、クラウン5aの外面5eの近傍における作動水の流れは、対向面53Aを通過した後に壁面52Aから剥離することができ、半径方向速度成分を低減することができる。このため、作動水の流れの半径方向成分を小さくするとともに周方向速度成分を大きくすることができ、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差を小さくすることができる。この結果、円板摩擦損失を低減することができる。
【0118】
また、本実施の形態によれば、側圧室14を画定するランナ本体5dのバンド5bの外面5fに、半径方向外側に向かって下カバー13から遠ざかるように階段状に形成された摩擦低減構造50Bが設けられている。摩擦低減構造50Bは、複数の段部51Bを含み、段部51Bは、周方向に延びる壁面52Bと、壁面52Bよりも半径方向内側に位置するとともに下カバー13に対向する対向面53Bと、を含んでいる。このことにより、バンド5bの外面5fの近傍における作動水の流れは、対向面53Bを通過した後に壁面52Bから剥離することができ、半径方向速度成分を低減することができる。このため、作動水の流れの半径方向成分を小さくするとともに周方向速度成分を大きくすることができ、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差を小さくすることができる。この結果、円板摩擦損失を低減することができる。
【0119】
また、本実施の形態によれば、段部51Aの壁面52Aは、回転軸線Xに平行になっている。このことにより、クラウン5aの外面5eの近傍において、半径方向外側への作動水の流れを、対向面53Aから効果的に剥離でき、その流れの半径方向速度成分を低減することができる。このため、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差をより一層小さくすることができ、円板摩擦損失をより一層低減することができる。
【0120】
なお、上述した本実施の形態においては、摩擦低減構造50Aの段部51Aの壁面52Aが、回転軸線Xに平行になっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、壁面52Aは、半径方向外側への流れを抑制できるとともに周方向に案内することができれば、壁面52Aは、回転軸線Xに平行になっていなくてもよい。例えば、回転軸線Xを含む断面(子午面断面)で見たときに、壁面52Aが回転軸線Xに対して傾斜していてもよい。
【0121】
(第5の実施の形態)
次に、
図17および
図18を用いて、第5の実施の形態による水力機械のランナおよび水力機械について説明する。
【0122】
図17および
図18に示す第5の実施の形態においては、摩擦低減構造の凸部が、半径方向において互いに異なる位置に位置する一対の第1面であって、周方向に延びる一対の第1面と、一対の前記第1面に接続され、静止部材に対向する第2面と、を含む、点が主に異なり、他の構成は、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図17および
図18において、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0123】
図17および
図18に示すように、本実施の形態においては、ランナ5のランナ本体5dに、摩擦低減構造60A、60Bが設けられている。
【0124】
図17に示すように、摩擦低減構造60Aは、
図2に示す摩擦低減構造20Aと同様に、ランナ5のクラウン5aと上カバー8との間の背圧室9に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための構造である。摩擦低減構造60Aは、背圧室9を画定するクラウン5aの外面5eに設けられている。
【0125】
図17に示すように、摩擦低減構造60Aは、半径方向において互いに異なる位置に位置する複数の凸部61Aを含んでいる。凸部61Aは、一対の壁面62A、63Aと、対向面64Aと、を含んでいる。一対の壁面62A、63Aは、半径方向において互いに異なる位置に位置しており、周方向に延びている。
【0126】
各凸部61Aは、全周に延びており、回転軸線Xを中心として同芯状に形成されている。壁面62Aが、半径方向内側に位置し、壁面63Aが、半径方向外側に位置している。各凸部61Aは、半径方向に等間隔に配置されていてもよい。各壁面62A、63Aは、半径方向に等間隔に配置されていてもよい。
【0127】
図17に示すように、各凸部61Aの壁面62A、63Aは、回転軸線Xに平行になっていてもよい。各凸部61Aの対向面64Aは、回転軸線Xに垂直になっていてもよい。
【0128】
対向面64Aは、一対の壁面62A、63Aに接続され、上カバー8に対向している。対向面64Aは、壁面62Aと壁面63Aの間に位置している。
図17に示す例では、凸部61Aの対向面64Aは、回転軸線Xに沿う方向において、クラウン5aの外面5eと同じ位置に位置している。対向面64Aは、壁面62A、63Aに対してそれぞれ垂直になっている。
【0129】
互いに隣り合う凸部61Aの間に、凹部65Aが形成されている。凹部65Aは、一の凸部61Aの壁面63Aと、当該凸部61Aに半径方向外側で隣り合う他の凸部61Aの壁面62Aと、凹面66Aとにより画定されている。凹面66Aは、一の凸部61Aの壁面63Aと、当該凸部61Aに半径方向外側で隣り合う他の凸部61Aの壁面62Aに接続されている。
【0130】
凸部61Aと凹部65Aは、互いに交互に形成されている。凸部61Aと凹部65Aとの組み合わせは、連続して形成されている。
【0131】
図18に示すように、摩擦低減構造60Bは、
図3に示す摩擦低減構造20Bと同様に、ランナ5のバンド5bと下カバー13との間の側圧室14に形成される作動水の流れによって生じる円板摩擦を低減するための構造である。摩擦低減構造60Bは、側圧室14を画定するバンド5bの外面5fに設けられている。
【0132】
図18に示すように、摩擦低減構造60Bは、半径方向において互いに異なる位置に位置する複数の凸部61Bを含んでいる。凸部61Bは、一対の壁面62B、63Bと、対向面64Bと、を含んでいる。一対の壁面62B、63Bは、半径方向において互いに異なる位置に位置しており、周方向に延びている。
【0133】
各凸部61Bは、全周に延びており、回転軸線Xを中心として同芯状に形成されている。壁面62Bが、半径方向内側に位置し、壁面63Bが、半径方向外側に位置している。各凸部61Bは、半径方向に等間隔に配置されていてもよい。各壁面62B、63Bは、半径方向に等間隔に配置されていてもよい。
【0134】
図18に示すように、各凸部61Bの壁面62B、63Bは、回転軸線Xに平行になっていなくてもよい。しかしながら、各凸部61Bの壁面62B、63Bは、回転軸線Xに平行になっていてもよい。
【0135】
対向面64Bは、一対の壁面62B、63Bに接続され、下カバー13に対向している。対向面64Bは、壁面62Bと壁面63Bの間に位置している。対向面64Bの一端が、壁面62Bに接続され、他端が、壁面63Bに接続されている。対向面64Bは、壁面62B、63Bに対してそれぞれ垂直になっている。
図18に示す例では、凸部61Bの対向面64Bは、バンド5bの外面5fの延長上に位置していてもよい。
【0136】
互いに隣り合う凸部61Bの間に、凹部65Bが形成されている。凹部65Bは、一の凸部61Bの壁面63Bと、当該凸部61Bに半径方向外側で隣り合う他の凸部61Bの壁面62Bと、凹面66Bとにより画定されている。凹面66Bは、一の凸部61Bの壁面63Bと、当該凸部61Bに半径方向外側で隣り合う他の凸部61Bの壁面62Bに接続されている。
【0137】
凸部61Bと凹部65Bは、互いに交互に形成されている。凸部61Bと凹部65Bとの組み合わせは、連続して形成されている。
【0138】
このように本実施の形態によれば、背圧室9を画定するランナ本体5dのクラウン5aの外面5eに摩擦低減構造60Aが設けられている。摩擦低減構造60Aは、複数の凸部61Aを含み、凸部61Aは、半径方向において互いに異なる位置に位置するとともに周方向に延びる複数の一対の壁面62A、63Aと、一対の壁面62A、63Aに接続され、上カバー8に対向する対向面64Aと、を含んでいる。このことにより、クラウン5aの外面5eの近傍における作動水の流れは、壁面62Aに衝突することができ、半径方向外側への流れが抑制できるとともに周方向に案内することができる。また、対向面64Aを通過した作動水は、壁面63Aから剥離することができる。このため、作動水の流れの半径方向成分を小さくするとともに周方向速度成分を大きくすることができ、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差を小さくすることができる。この結果、円板摩擦損失を低減することができる。
【0139】
また、本実施の形態によれば、側圧室14を画定するランナ本体5dのバンド5bの外面5fに摩擦低減構造60Bが設けられている。摩擦低減構造60Bは、複数の凸部61Bを含み、凸部61Bは、半径方向において互いに異なる位置に位置するとともに周方向に延びる複数の一対の壁面62B、63Bと、一対の壁面62B、63Bに接続され、下カバー13に対向する対向面64Bと、を含んでいる。このことにより、バンド5bの外面5fの近傍における作動水の流れは、壁面62Bに衝突することができ、半径方向外側への流れが抑制できるとともに周方向に案内することができる。また、対向面64Bを通過した作動水は、壁面63Bから剥離することができる。このため、作動水の流れの半径方向成分を小さくするとともに周方向速度成分を大きくすることができ、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差を小さくすることができる。この結果、円板摩擦損失を低減することができる。
【0140】
また、本実施の形態によれば、凸部61Aの壁面62Aは、回転軸線Xに平行になっている。このことにより、クラウン5aの外面5eの近傍において、半径方向外側への作動水の流れを、壁面62Aから効果的に剥離でき、その流れの半径方向速度成分を低減することができる。このため、ランナ5の周方向速度と作動水の流れの周方向速度成分との差をより一層小さくすることができ、円板摩擦損失をより一層低減することができる。
【0141】
なお、上述した本実施の形態においては、摩擦低減構造60Aの凸部61Aの壁面62A、63Aが、回転軸線Xに平行になっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、壁面62A、63Aは、半径方向外側への流れを抑制できるとともに周方向に案内することができれば、壁面62A、63Aは、回転軸線Xに平行になっていなくてもよい。例えば、回転軸線Xを含む断面で見たときに、壁面62A、63Aが回転軸線Xに対して傾斜していてもよい。
【0142】
(第6の実施の形態)
次に、
図19~
図21を用いて、第6の実施の形態による水力機械のランナおよび水力機械について説明する。
【0143】
図19~
図21に示す第6の実施の形態においては、ランナ本体のクラウンまたはバンドに、複数の摩擦低減構造が設けられている、点が主に異なり、他の構成は、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図19~
図21において、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0144】
図19~
図21に示すように、本実施の形態においては、ランナ5のランナ本体5dのクラウン5aに、複数の摩擦低減構造が設けられている。
【0145】
例えば、
図19に示すように、クラウン5aの外面5eに、
図7に示す複数の摩擦低減構造30Aが設けられていてもよい。
図19においては、クラウン5aの外面5eに、2つの摩擦低減構造30Aが設けられている。2つの摩擦低減構造30Aは、半径方向において互いに異なる位置に形成されている。2つの摩擦低減構造30Aの間には、クラウン5aの外面5eが介在されている。
【0146】
また、例えば、
図20に示すように、クラウン5aの外面5eに、
図2に示す摩擦低減構造20Aと、
図15に示す摩擦低減構造50Aとが設けられていてもよい。
図20においては、半径方向内側に摩擦低減構造20Aが設けられ、半径方向外側に摩擦低減構造50Aが設けられている。上カバー8は、摩擦低減構造20Aおよび摩擦低減構造50Aに沿うように形成されていてもよい。このことにより、上カバー8のクラウン5aに対向する面が、上方に膨らむように形成されている場合であっても、上カバー8の形状に対応するように摩擦低減構造を構成することができる。
【0147】
また、例えば、
図21に示すように、クラウン5aの外面5eに、
図2に示す摩擦低減構造20Aと、
図7に示す摩擦低減構造30Aと、
図15に示す摩擦低減構造50Aとが設けられていてもよい。
図21においては、半径方向内側に摩擦低減構造20Aが設けられ、半径方向外側に摩擦低減構造50Aが設けられている。摩擦低減構造30Aと、は、摩擦低減構造20Aと摩擦低減構造50Aとの間に位置している。このことにより、上カバー8のクラウン5aに対向する面が、上方に膨らむように形成されている場合であっても、上カバー8の形状に対応するように摩擦低減構造を構成することができる。
【0148】
なお、クラウン5aの外面5eに、複数の摩擦低減構造を設ける場合には、摩擦低減構造の組み合わせは、1種類でもよく、2種類以上でもよく、任意である。また、外面5eに設ける摩擦低減構造の組み合わせは、
図19~
図21に示す例に限られることはなく、任意である。また、バンド5bの外面5fにも、同様にして複数の摩擦低減構造が設けられていてもよい。
【0149】
(第7の実施の形態)
次に、
図22~
図24を用いて、第7の実施の形態による水力機械のランナおよび水力機械について説明する。
【0150】
図22~
図24に示す第7の実施の形態においては、摩擦低減構造が、ランナ本体と別部品で構成されている、点が主に異なり、他の構成は、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図22~
図24において、
図1~
図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0151】
図22~
図24に示すように、本実施の形態においては、摩擦低減構造は、ランナ5のランナ本体5dと別部品で構成されている。摩擦低減構造は、ランナ本体5dのクラウン5aに、取り外し可能に取り付けられていてもよい。
【0152】
例えば、
図22に示すように、クラウン5aの外面5eに、
図7に示す摩擦低減構造30Aが、設けられていてもよい。
図22に示す摩擦低減構造30Aは、ランナ本体5dとは別部品として作製されている。この摩擦低減構造30Aの複数の凸部31Aが、一体に形成されている。この摩擦低減構造30Aは、図示しないボルトによって、クラウン5aの外面5eに取り外し可能に取り付けられていてもよい。
【0153】
また、例えば、
図23に示すように、クラウン5aの外面5eに、
図2に示す摩擦低減構造20Aが、設けられていてもよい。
図23に示す摩擦低減構造20Aは、ランナ本体5dとは別部品として作製されている。この摩擦低減構造20Aの複数の段部21Aが、一体に形成されている。この摩擦低減構造20Aは、図示しないボルトによって、クラウン5aの外面5eに取り外し可能に取り付けられていてもよい。
【0154】
また、例えば、
図24に示すように、クラウン5aの外面5eに、
図15に示す摩擦低減構造50Aが、設けられていてもよい。
図23では、外面5eに、複数の摩擦低減構造50Aが、設けられている。各摩擦低減構造50Aは、ランナ本体5dとは別部品として作製されており、外面5eに単独で、図示しないボルトによって取り外し可能に取り付けられていてもよい。複数の摩擦低減構造50Aは、半径方向において互いに異なる位置に位置している。互いに隣り合う摩擦低減構造50Aの間に、クラウン5aの外面5eが露出されている。各摩擦低減構造50Aは、2つの段部51Aを含んでおり、各摩擦低減構造50Aが、一体に形成されている。各摩擦低減構造50Aは、外面5eよりも上カバー8の側に位置している。
【0155】
なお、クラウン5aの外面5eに設ける摩擦低減構造は、
図22~
図24に示す例に限られることはなく、任意である。外面5eに設ける摩擦低減構造の個数は、任意である。また、バンド5bの外面5fに、同様にして、摩擦低減構造が設けられていてもよい。
【0156】
このように本実施の形態によれば、摩擦低減構造が、ランナ本体5dとは別部品で構成されている。このことにより、摩擦低減構造を、ランナ本体5dとは別々に作製することができ、摩擦低減構造の加工性を向上させることができる。また、摩擦低減構造をランナ本体5dとは別部品で構成することにより、摩擦低減構造を持たせるように既設のランナ5を容易に改修することができる。この結果、円板摩擦損失を低減可能なランナ5を容易に得ることができる。
【0157】
また、本実施の形態によれば、摩擦低減構造が、ランナ本体5dに取り外し可能に取り付けられている。このことにより、既設のランナ本体5dに、摩擦低減構造を容易に取り付けることができる。また、ランナ本体5dから、摩擦低減構造を容易に取り外すことができ、摩擦低減構造を容易に補修することができる。
【0158】
なお、上述した本実施の形態においては、摩擦低減構造が、ランナ本体5dのクラウン5aに、取り外し可能に取り付けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、ランナ本体5dとは別部品で構成された摩擦低減構造が、ランナ本体5dのクラウン5aに溶接等によって接合されていてもよい。同様に、別部品で構成された摩擦低減構造は、ランナ本体5dのバンド5bに溶接等によって接合されていてもよい。
【0159】
以上述べた実施の形態によれば、円板摩擦損失を低減することができる。
【0160】
上述した本実施の形態においては、水力機械の一例としてフランシス水車を例にとって説明したが、このことに限られることはない。本実施の形態による水力機械は、フランシス水車1以外の水車に適用されてもよい。また、水車以外にもポンプなど水力機械に適用されてもよい。
【0161】
本発明の実施形態といくつかの変形例を説明したが、これらの実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態および変形例を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0162】
1:フランシス水車、5:ランナ、5d:ランナ本体、8:上カバー、9:背圧室、13:下カバー、14:側圧室、20A、20B:摩擦低減構造、21A、21B:段部、22A、22B:壁面、23A、23B:対向面、30A、30B:摩擦低減構造、31A、31B:凸部、32A、32B:第1面、33A、33B:第2面、40A、40B:摩擦低減構造、41A、41B:凸部、42A、42B:第1面、43A、43B:第2面、50A、50B:摩擦低減構造、51A、51B:段部、52A、52B:壁面、53A、53B:対向面、60A、60B:摩擦低減構造、61A、61B:凸部、62A、62B、63A、63B:壁面、64A、64B:対向面、