(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158628
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】床用目地装置
(51)【国際特許分類】
E04B 1/68 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063658
(22)【出願日】2021-04-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001EA01
2E001FA11
2E001FA54
2E001GA12
2E001KA07
2E001PA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】目地プレート及びカバープレートが撓むことを阻止し、フラットな目地プレートを用いても揺れに追従することができる床用目地装置を提供する。
【解決手段】床用目地装置1は、第1及び第2の目地プレート支持部5、6と、可動可能に支持された目地プレート7と、カバープレート8と、カバープレート支持機構9とを備え、目地プレート7は一端部が第1の目地プレート支持部5にスライド移動可能に支持され、他端部が第2の目地プレート支持部6に設けられたレール部材11に支持されるバー部材15と、目地プレート本体16とで構成され、レール部材11はバー部材15の側面に当接して前後方向にスライド移動を阻止するとともに、バー部材15の他端部側を支持し、カバープレート支持機構9は、直立状態でカバープレート8を支持し、回転して目地プレート本体16の下部へ入り込むことができる支持具と、支持具を直立状態に付勢する付勢具とからなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の躯体と他方の躯体の間の目地部に設けられる床用目地装置であって、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に一端部が前後方向にスライド移動可能に支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部に左右方向にスライド移動可能に支持された目地プレートと、前記第2の目地プレート支持部の上方に設けられ、前記目地プレートの上面に一端部側が支持されるカバープレートと、前記カバープレートの下面を支持するカバープレート支持機構とで構成され、
前記目地プレートは、一端部が前記第1の目地プレート支持部に支持部材を介して前後方向にスライド移動可能に支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部に設けられた複数個のレール部材にそれぞれ支持される複数個のバー部材と、前記複数個のバー部材の上面に固定された目地プレート本体とで構成され、
前記複数個のレール部材は、前記バー部材の前後方向の側面に略当接して前後方向にスライド移動することを阻止するとともに、通常時において前記複数個のバー部材の他端部側を所定の長さ支持することができ、
前記カバープレート支持機構は、前記複数個のレール部材の間に所定間隔で回動可能に設けられ、直立状態では前記カバープレートを支持することができるとともに、前記目地プレート本体に側方から押圧された場合には回転して前記目地プレート本体の下部へ入り込むことができる支持具と、該支持具を直立状態となるように付勢する付勢具とからなる床用目地装置。
【請求項2】
前記カバープレート支持機構は、平面視、全体として略マトリックス状に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の床用目地装置。
【請求項3】
前記レール部材は、前記バー部材と接触する部位に滑り材を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の床用目地装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた躯体の間の目地部を塞ぐ床用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目地部を塞ぐ床用目地装置としては、「左右の躯体間の目地部を塞ぐ床用目地装置であって、前記躯体の一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記躯体の他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、該第2の目地プレート支持部に一端部が枢支状態で取り付けられた複数のレール部材と、前記第1の目地プレート支持部に一端部側が支持され、前記複数のレール部材に他端部側が支持された目地プレートと、前記第2の目地プレート支持部を覆うとともに、前記目地プレートの上方に位置するように前記他方の躯体に設けられたカバープレートと、前記レール部材に設けられ、前記カバープレートを支持するカバープレート支持機構とで構成され、前記レール部材は、目地プレートの他端部側を支持するガイド溝及びカバープレート支持機構を取付ける凹所状のカバープレート支持機構取付部を備え、前記目地プレートは、一端部側が前記第1の目地プレート支持部に枢支され、他端部側が前記複数のレール部材のガイド溝に支持部材を介して支持される複数のバー部材と、該複数のバー部材を前後方向に接続するように、前記バー部材に枢支状態で取り付けられた複数の目地プレート本体とを有し、前記カバープレート支持機構は、前記カバープレート支持機構取付部に所定間隔を有して複数個回動可能に設けられ、直立状態では前記カバープレートを支持することができるとともに、目地プレート本体に側方から押圧された場合には回転することができる支持具と、該複数個の支持具を直立状態となるようにそれぞれ付勢する付勢具とから成る床用目地装置」が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、この床用目地装置では、バー部材の両端部のみが目地プレート支持部等に支持されているため、支点間の距離が大きくなり、目地プレートに荷重がかかった際にバー部材(目地プレート)が下方へたわみやすいものであった。
また、目地プレートは前後方向の揺れに追従するために複数個の目地プレート本体を重ね合わせて配置して構成しているが、小さな段差が多数生じてしまうものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、目地プレート及びカバープレートが曲面状に撓むことを効率よく阻止できるとともに、フラットな目地プレートを用いても地震による前後方向の揺れに追従することができる床用目地装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の床用目地装置は、一方の躯体と他方の躯体の間の目地部に設けられる床用目地装置であって、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に一端部が前後方向にスライド移動可能に支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部に左右方向にスライド移動可能に支持された目地プレートと、前記第2の目地プレート支持部の上方に設けられ、前記目地プレートの上面に一端部側が支持されるカバープレートと、前記カバープレートの下面を支持するカバープレート支持機構とで構成され、前記目地プレートは、一端部が前記第1の目地プレート支持部に支持部材を介して前後方向にスライド移動可能に支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部に設けられた複数個のレール部材にそれぞれ支持される複数個のバー部材と、前記複数個のバー部材の上面に固定された目地プレート本体とで構成され、前記複数個のレール部材は、前記バー部材の前後方向の側面に略当接して前後方向にスライド移動することを阻止するとともに、通常時において前記複数個のバー部材の他端部側を所定の長さ支持することができ、前記カバープレート支持機構は、前記複数個のレール部材の間に所定間隔で回動可能に設けられ、直立状態では前記カバープレートを支持することができるとともに、前記目地プレート本体に側方から押圧された場合には回転して前記目地プレート本体の下部へ入り込むことができる支持具と、該支持具を直立状態となるように付勢する付勢具とからなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載のカバープレート支持機構は、平面視、全体として略マトリックス状に設けられていることを特徴とする。また請求項3に記載の床用目地装置の前記レール部材は、前記バー部材と接触する部位に滑り材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、レール部材によってバー部材の他端部側を所定の長さ支持できるので、目地プレートの上面に重量物が載置された場合であっても、その荷重が分散し、バー部材がたわむことを防止できる。
(2)目地プレートの一端部側は前後方向にスライド移動可能に支持されており、バー部材の前後方向の側面がレール部材に当接しているので、地震によって躯体が前後方向に揺れ動いた際に、目地プレートを他方の躯体と同調させて前後方向にスライド移動させることができる。したがって、目地プレート等が変形することなく地震による揺れ動きを吸収することができる。
(3)目地プレートは、複数のバー部材と、該複数のバー部材に固定された目地プレート本体とから構成されているので、通常時及び地震時においても略フラットな状態で目地部を塞ぐことができる。
(4)請求項2に記載の発明は、前記(1)の効果を十分に得ることができる。
(5)請求項3に記載の発明においても、前記(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、バー部材の左右方向のスライド移動をさらにスムーズにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1乃至
図9は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図10乃至
図12は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
【
図1】第1の実施形態を示す床用目地装置の平面視からの説明図。
【
図9】地震で左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた状態の動作説明図。
【
図10】第2の実施形態を示す床用目地装置の平面視からの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至
図9に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた一方の躯体3及び他方の躯体4(左右の躯体3、4)間に設置された床用目地装置である。
【0012】
なお、左右方向とは
図1(平面視)において符号の向きを基準として左右方向であり、前後方向とは
図1において符号の向きを基準として上下方向をいい、上下方向とは
図2において符号の向きを基準として上下方向をいう。
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0013】
この床用目地装置1は、
図1乃至
図3に示すように、一方の躯体3に設けられた第1の目地プレート支持部5と、前記他方の躯体4に設けられた凹所状の第2の目地プレート支持部6と、前記第1の目地プレート支持部5に一端部が前後方向にスライド移動可能に支持されていると共に、他端部が前記第2の目地プレート支持部6に左右方向にスライド移動可能に支持された目地プレート7と、前記第2の目地プレート支持部6の上方に設けられていると共に、前記目地プレート7の上面に一端部側が支持されるカバープレート8と、前記第2の目地プレート支持部6に左右方向及び前後方向に所要間隔を有して設置され、かつ、前記カバープレート8の下面を支持する複数個のカバープレート支持機構9とで構成されている。
【0014】
第1の目地プレート支持部5は、本実施形態では、一方の躯体3の目地部2側の壁面部3aに固定され、前後方向に延在するクランク状のガイドレール5で構成されている。このガイドレール5には目地プレート7の前後方向の摺動をスムーズにするローラーやコロ等の滑動部材10が設けられている。なお、この第1の目地プレート支持部5は、一方の躯体3の目地部側の壁面部3aを凹所状に加工して第1の目地プレート支持部5としてもよいし、またこの凹所にガイドレール5を固定して第1の目地プレート支持部5としてもよい。
【0015】
ガイドレール5は、本実施形態では、クランク状に形成されているが、例えば上面が開口した断面形状コ字状のレールを用いてもよい。
【0016】
第2の目地プレート支持部6は、前記他方の躯体4の床面に凹所状に形成されており、本実施の形態においては、左右方向の寸法が目地部2の約2倍以上の寸法に形成されており、本実施形態では、目地部2の左右方向の寸法の2倍よりやや大きい寸法となっている。
【0017】
この第2の目地プレート支持部6には、左右方向に延在するレール部材11が前後方向に所定間隔を有して複数、例えば合計7本固定されている。このレール部材11は、
図4に示すように上面が開口する断面視略コ字状或いは端面チャンネル形状に形成されている。
【0018】
レール部材11の左右方向の寸法は、前記第2の目地プレート支持部6と略同一となるように形成されており、その目地部2側の端部は、他方の躯体4の目地部2側端部と略面一となるような寸法に形成されている。このレール部材11の内側の底面が目地プレート7を支持する目地プレート受け部12となっている。そして、好ましくはこの目地プレート受け部12には、前記目地プレート7の左右方向の摺動をスムーズにするための滑り材13が設けられている。
【0019】
目地プレート7は、
図5に示すように、一端部が前記第1の目地プレート支持部5に支持部材14を介して前後方向にスライド移動可能に支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部6に設けられた複数個、例えば7本のレール部材11にそれぞれ支持される複数個のバー部材15と、前記複数個のバー部材15の上面に固定された1枚の板状の目地プレート本体16とで構成されている。
【0020】
本実施形態では、支持部材14は前記ガイドレール5の内部に設置可能で前後方向に延在する角柱又は角パイプ状の部材で、この支持部材14の上面に複数個のバー部材15の一端部の底面がそれぞれ固定されており、複数個のバー部材15が支持部材14を介して連結された状態となっている。
【0021】
また本実施形態では、第1の目地プレート支持部5(ガイドレール5)に滑動部材10を設けているが、この支持部材14の底面に複数個の滑動部材10を設けてもよい。
支持部材14は、前記ガイドレール5内部に前後方向にのみスライド移動できるような幅の角柱に形成されており、好ましくは支持部材14の左右方向の側面またはガイドレール5の壁面等に滑動部材(図示せず)を設けることが望ましい。
【0022】
バー部材15は、本実施形態では長尺の角柱状又は角パイプ状の部材で、その左右方向の寸法は、目地部2の左右方向の寸法の約2倍程度に形成されている。またバー部材15の略中央部が他方の躯体4の目地部2側端部に位置するように形成されており、バー部材15の略中央部から他端部側はそれぞれレール部材11の目地プレート受け部12に支持される。なお、バー部材15はレール部材11の数と同数になるように複数個配置されており、本実施形態では、それぞれ7つ配置されている。このバー部材15は目地プレート本体16にそれぞれ溶接、ビス、リベット等により固定されている。
【0023】
滑り材13は、本実施形態では、シート状、板状又は目地プレート受け部12に塗布されるものであり、略面接触状態でバー部材15の他端部側を支持している。
【0024】
このように、通常時においてバー部材15の略中央部から他端部側をレール部材11により支持することで、目地プレート本体16に重量物が載置された場合であっても、バー部材の支点間の距離が短くなるため、バー部材15等が下方へたわむことを防止することができる。またバー部材15にかかる荷重自体も分散することができ、変形等も防止することができる。
【0025】
またレール部材11の前後方向の側面は、バー部材15の前後方向の側面に略当接状態となるように形成されており、バー部材15が前後方向に移動することを阻止している。
カバープレート8は、平面視矩形状或いは方形状の金属製の薄板材で、第2の目地プレート支持部6の上方覆うように設けられている。このカバープレート8は他方の躯体4の床面と上面がフラットとなるように設けられることが望ましい。
【0026】
カバープレート8の一端部は前記他方の躯体4の床面又は第2の目地プレート支持部6に固定された金具等に固定され、他端部(目地部側の端部)は前記目地プレート7の上面に支持されている。またこの他端部は、
図2等に示すように前記他方の躯体4の目地部2側の壁面部4a(端部)と略同一面となるような寸法に形成されている。この他端部は段差を解消するための傾斜面(図示せず)に形成されていることが望ましい。
【0027】
カバープレート支持機構9は、前述したように、第2の目地プレート支持部6に左右方向及び前後方向に所要間隔を有して設置されているが、例えば
図1、
図2、
図3及び
図6に示すように、複数個のレール部材11の間にそれぞれ左右方向に所定間隔で複数個設けられ、例えば
図1の平面視を基準にすると、全体として略マトリックス状(列状及び行状)に配設されている。
【0028】
しかして、カバープレート支持機構9は、支持具17と、該支持具17の上端部にローラー18と、該支持具17を直立状態となるように付勢する付勢具19とで構成されている。
【0029】
前記支持具17は、直立状態では前記カバープレート8を支持することができるとともに、目地プレート本体16に側方から押圧された場合には回転することができるように正面視略L字状に形成されている。
【0030】
前記支持具17のローラー18付近には、前記付勢具19を取付ける付勢具取付部20が形成され、前記付勢具19(本実施の形態においてはコイルスプリング)の一端部が第2の目地プレート支持部6に固定され、他端部が前記付勢具取付部20に固定される。
また、この支持具17は、直立状態において前記ローラー18によって前記カバープレート8の底面を支持しており、地震によって目地部2が狭くなる方向に躯体が揺れ動き、前記目地プレート本体16がローラー18を押圧し、前記支持具17が押圧された方向に傾倒した際には、前記ローラー18が目地プレート本体16の底面に当接するので、目地プレート本体16の底面との間に大きな摩擦力が発生せずスムーズにスライド移動できる。
なお、ローラー18を用いず、支持具17の上端部付近が直接カバープレート8を支持するように構成してもよい。
【0031】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、
図7に示すように、目地プレート7のバー部材15がレール部材11に支持された状態で左右方向にスライド移動するとともに、目地プレート本体16の他端部に押圧されたカバープレート支持機構9の支持具17が押圧された方向に回転し、目地プレート本体16の下側に潜り込むことで揺れ動きを吸収する。このときカバープレート支持機構9の支持具17が傾いた部位については、カバープレート8を目地プレート7が支持することになり、カバープレート8が下方へ撓むことを防止できる。また目地プレート7が位置しない部位については、通常時と同様にカバープレート支持機構9の支持具17がカバープレート8を支持する。
地震による揺れ動きが終了し、目地部2の寸法が通常時と同様に復帰した場合には、目地 プレート本体16によって押圧され傾倒していたカバープレート支持機構9の支持具17は、付勢具19の付勢力により直立状態となってカバープレート8を支持する。
【0032】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、
図8に示すように、目地プレート7のバー部材15がレール部材11に支持された状態で左右方向にスライド移動し揺れ動きを吸収する。このとき、通常時は目地プレート7によってカバープレート8を支持していた部位に設けられているカバープレート支持機構9の支持具17が付勢具19の付勢力により直立状態となってカバープレート8を支持する。これにより、目地部2が広くなってもカバープレート8が撓むことを防止できる。
【0033】
地震で左右の躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合、
図9に示すように、バー部材15はレール部材11の前後方向の壁面に略当接しているとともに、目地プレート本体16も他方の躯体4の前後方向の壁面(第2の目地プレート支持部6の前後方向の壁面)に当接し、かつ、目地プレート7の一端部は第1の目地プレート支持部5であるガイドレール5に前後方向にスライド移動可能に支持されているため、目地プレート7が他方の躯体4と同調して前後方向に移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0034】
なお、目地プレート本体16の前後方向の側面が第2の目地プレート支持部6の前後方向の壁面等に略当接しない寸法に形成されている場合であっても、バー部材15の前後方向の側面がレール部材11の前後方向の壁面に略当接しているため、目地プレート7が他方の躯体4と同調して前後方向に移動し、地震による揺れ動きを吸収することができる。
【0035】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図10乃至
図12に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図10乃至
図12に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、目地プレート受け部12に複数個の丸棒状のコロ部材21を配置した滑り材13Aを備えるレール部材11Aを用いた点で、このようなレール部材11Aを用いた床用目地装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
このような丸棒状のコロ部材21を滑り材13Aとして備えたレール部材11Aを用いる場合には、バー部材15の他端部側は線接触状態で複数箇所支持される。コロ部材21は多数設けることが望ましく、例えばローラーコンベアのように配置することが望ましい。
【0037】
なお、本実施の形態においては、左右の躯体の壁面間に壁面用目地装置等を図示していないが、必要に応じて壁面用目地装置を用いるとよい。
【0038】
また、カバープレート支持機構の付勢具としてコイルスプリングを用いるものについて説明したが、支持具の回転軸にゼンマイバネを設けて付勢具としてもよく、支持具の先端(ローラーを設けていない先端)に重り等を用いて自重で直立するように付勢してもよい。
さらに、滑り材としてコロ部材や板状等の滑り材を用いるものについて説明したが、目地プレート受け部にベアリングやローラー等を配置して滑り材としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は床用目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0040】
1、1A:床用目地装置、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5:第1の目地プレート支持部、 6:第2の目地プレート支持部、
7:目地プレート、 8:カバープレート、
9:カバープレート支持機構、 10:滑動部材、
11、11A:レール部材、 12:目地プレート受け部、
13、13A:滑り材、 14:支持部材、
15:バー部材、 16:目地プレート本体、
17:支持具、 18:ローラー、
19:付勢具、 20:付勢具取付部、
21:コロ部材。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の躯体と他方の躯体の間の目地部に設けられる床用目地装置であって、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に一端部が前後方向にスライド移動可能に支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部に左右方向にスライド移動可能に支持された目地プレートと、前記第2の目地プレート支持部の上方に設けられ、前記目地プレートの上面に一端部側が支持されるカバープレートと、前記カバープレートの下面を支持するカバープレート支持機構とで構成され、
前記目地プレートは、一端部が前記第1の目地プレート支持部に支持部材を介して前後方向にスライド移動可能に支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部に設けられた複数個のレール部材にそれぞれ支持される複数個のバー部材と、前記複数個のバー部材の上面に固定された目地プレート本体とで構成され、
前記複数個のレール部材は、前記バー部材の前後方向の側面に略当接して前後方向にスライド移動することを阻止するとともに、通常時において前記複数個のバー部材の他端部側を所定の長さ支持することができ、
前記カバープレート支持機構は、前記複数個のレール部材の間に所定間隔で回動可能に設けられ、直立状態では前記カバープレートを支持することができるとともに、前記目地プレート本体に側方から押圧された場合には回転して前記目地プレート本体の下部へ入り込むことができる支持具と、該支持具を直立状態となるように付勢する付勢具とからなり、前記左右方向は、前記レール部材が延在する方向であり、前記前後方向は、前記支持部材が延在する方向である床用目地装置。
【請求項2】
前記カバープレート支持機構は、平面視、全体として略マトリックス状に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の床用目地装置。
【請求項3】
前記レール部材は、前記バー部材と接触する部位に滑り材を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の床用目地装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた躯体の間の目地部を塞ぐ床用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目地部を塞ぐ床用目地装置としては、「左右の躯体間の目地部を塞ぐ床用目地装置であって、前記躯体の一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記躯体の他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、該第2の目地プレート支持部に一端部が枢支状態で取り付けられた複数のレール部材と、前記第1の目地プレート支持部に一端部側が支持され、前記複数のレール部材に他端部側が支持された目地プレートと、前記第2の目地プレート支持部を覆うとともに、前記目地プレートの上方に位置するように前記他方の躯体に設けられたカバープレートと、前記レール部材に設けられ、前記カバープレートを支持するカバープレート支持機構とで構成され、前記レール部材は、目地プレートの他端部側を支持するガイド溝及びカバープレート支持機構を取付ける凹所状のカバープレート支持機構取付部を備え、前記目地プレートは、一端部側が前記第1の目地プレート支持部に枢支され、他端部側が前記複数のレール部材のガイド溝に支持部材を介して支持される複数のバー部材と、該複数のバー部材を前後方向に接続するように、前記バー部材に枢支状態で取り付けられた複数の目地プレート本体とを有し、前記カバープレート支持機構は、前記カバープレート支持機構取付部に所定間隔を有して複数個回動可能に設けられ、直立状態では前記カバープレートを支持することができるとともに、目地プレート本体に側方から押圧された場合には回転することができる支持具と、該複数個の支持具を直立状態となるようにそれぞれ付勢する付勢具とから成る床用目地装置」が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、この床用目地装置では、バー部材の両端部のみが目地プレート支持部等に支持されているため、支点間の距離が大きくなり、目地プレートに荷重がかかった際にバー部材(目地プレート)が下方へたわみやすいものであった。
また、目地プレートは前後方向の揺れに追従するために複数個の目地プレート本体を重ね合わせて配置して構成しているが、小さな段差が多数生じてしまうものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、目地プレート及びカバープレートが曲面状に撓むことを効率よく阻止できるとともに、フラットな目地プレートを用いても地震による前後方向の揺れに追従することができる床用目地装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の床用目地装置は、一方の躯体と他方の躯体の間の目地部に設けられる床用目地装置であって、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に一端部が前後方向にスライド移動可能に支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部に左右方向にスライド移動可能に支持された目地プレートと、前記第2の目地プレート支持部の上方に設けられ、前記目地プレートの上面に一端部側が支持されるカバープレートと、前記カバープレートの下面を支持するカバープレート支持機構とで構成され、前記目地プレートは、一端部が前記第1の目地プレート支持部に支持部材を介して前後方向にスライド移動可能に支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部に設けられた複数個のレール部材にそれぞれ支持される複数個のバー部材と、前記複数個のバー部材の上面に固定された目地プレート本体とで構成され、前記複数個のレール部材は、前記バー部材の前後方向の側面に略当接して前後方向にスライド移動することを阻止するとともに、通常時において前記複数個のバー部材の他端部側を所定の長さ支持することができ、前記カバープレート支持機構は、前記複数個のレール部材の間に所定間隔で回動可能に設けられ、直立状態では前記カバープレートを支持することができるとともに、前記目地プレート本体に側方から押圧された場合には回転して前記目地プレート本体の下部へ入り込むことができる支持具と、該支持具を直立状態となるように付勢する付勢具とからなり、前記左右方向は、前記レール部材が延在する方向であり、前記前後方向は、前記支持部材が延在する方向であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載のカバープレート支持機構は、平面視、全体として略マトリックス状に設けられていることを特徴とする。また請求項3に記載の床用目地装置の前記レール部材は、前記バー部材と接触する部位に滑り材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、レール部材によってバー部材の他端部側を所定の長さ支持できるので、目地プレートの上面に重量物が載置された場合であっても、その荷重が分散し、バー部材がたわむことを防止できる。
(2)目地プレートの一端部側は前後方向にスライド移動可能に支持されており、バー部材の前後方向の側面がレール部材に当接しているので、地震によって躯体が前後方向に揺れ動いた際に、目地プレートを他方の躯体と同調させて前後方向にスライド移動させることができる。したがって、目地プレート等が変形することなく地震による揺れ動きを吸収することができる。
(3)目地プレートは、複数のバー部材と、該複数のバー部材に固定された目地プレート本体とから構成されているので、通常時及び地震時においても略フラットな状態で目地部を塞ぐことができる。
(4)請求項2に記載の発明は、前記(1)の効果を十分に得ることができる。
(5)請求項3に記載の発明においても、前記(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、バー部材の左右方向のスライド移動をさらにスムーズにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1乃至
図9は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図10乃至
図12は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
【
図1】第1の実施形態を示す床用目地装置の平面視からの説明図。
【
図9】地震で左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた状態の動作説明図。
【
図10】第2の実施形態を示す床用目地装置の平面視からの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至
図9に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた一方の躯体3及び他方の躯体4(左右の躯体3、4)間に設置された床用目地装置である。
【0012】
なお、左右方向とは
図1(平面視)において符号の向きを基準として左右方向であり、
前後方向とは
図1において符号の向きを基準として上下方向をいい、上下方向とは
図2において符号の向きを基準として上下方向をいう。
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0013】
この床用目地装置1は、
図1乃至
図3に示すように、一方の躯体3に設けられた第1の目地プレート支持部5と、前記他方の躯体4に設けられた凹所状の第2の目地プレート支持部6と、前記第1の目地プレート支持部5に一端部が前後方向にスライド移動可能に支持されていると共に、他端部が前記第2の目地プレート支持部6に左右方向にスライド移動可能に支持された目地プレート7と、前記第2の目地プレート支持部6の上方に設けられていると共に、前記目地プレート7の上面に一端部側が支持されるカバープレート8と、前記第2の目地プレート支持部6に左右方向及び前後方向に所要間隔を有して設置され、かつ、前記カバープレート8の下面を支持する複数個のカバープレート支持機構9とで構成されている。
【0014】
第1の目地プレート支持部5は、本実施形態では、一方の躯体3の目地部2側の壁面部3aに固定され、前後方向に延在するクランク状のガイドレール5で構成されている。このガイドレール5には目地プレート7の前後方向の摺動をスムーズにするローラーやコロ等の滑動部材10が設けられている。なお、この第1の目地プレート支持部5は、一方の躯体3の目地部側の壁面部3aを凹所状に加工して第1の目地プレート支持部5としてもよいし、またこの凹所にガイドレール5を固定して第1の目地プレート支持部5としてもよい。
【0015】
ガイドレール5は、本実施形態では、クランク状に形成されているが、例えば上面が開口した断面形状コ字状のレールを用いてもよい。
【0016】
第2の目地プレート支持部6は、前記他方の躯体4の床面に凹所状に形成されており、本実施の形態においては、左右方向の寸法が目地部2の約2倍以上の寸法に形成されており、本実施形態では、目地部2の左右方向の寸法の2倍よりやや大きい寸法となっている。
【0017】
この第2の目地プレート支持部6には、左右方向に延在するレール部材11が前後方向に所定間隔を有して複数、例えば合計7本固定されている。このレール部材11は、
図4に示すように上面が開口する断面視略コ字状或いは端面チャンネル形状に形成されている。
【0018】
レール部材11の左右方向の寸法は、前記第2の目地プレート支持部6と略同一となるように形成されており、その目地部2側の端部は、他方の躯体4の目地部2側端部と略面一となるような寸法に形成されている。このレール部材11の内側の底面が目地プレート7を支持する目地プレート受け部12となっている。そして、好ましくはこの目地プレート受け部12には、前記目地プレート7の左右方向の摺動をスムーズにするための滑り材13が設けられている。
【0019】
目地プレート7は、
図5に示すように、一端部が前記第1の目地プレート支持部5に支持部材14を介して前後方向にスライド移動可能に支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部6に設けられた複数個、例えば7本のレール部材11にそれぞれ支持される複数個のバー部材15と、前記複数個のバー部材15の上面に固定された1枚の板状の目地プレート本体16とで構成されている。
【0020】
本実施形態では、支持部材14は前記ガイドレール5の内部に設置可能で前後方向に延在する角柱又は角パイプ状の部材で、この支持部材14の上面に複数個のバー部材15の一端部の底面がそれぞれ固定されており、複数個のバー部材15が支持部材14を介して連結された状態となっている。
【0021】
また本実施形態では、第1の目地プレート支持部5(ガイドレール5)に滑動部材10を設けているが、この支持部材14の底面に複数個の滑動部材10を設けてもよい。
支持部材14は、前記ガイドレール5内部に前後方向にのみスライド移動できるような幅の角柱に形成されており、好ましくは支持部材14の左右方向の側面またはガイドレール5の壁面等に滑動部材(図示せず)を設けることが望ましい。
【0022】
バー部材15は、本実施形態では長尺の角柱状又は角パイプ状の部材で、その左右方向の寸法は、目地部2の左右方向の寸法の約2倍程度に形成されている。またバー部材15の略中央部が他方の躯体4の目地部2側端部に位置するように形成されており、バー部材15の略中央部から他端部側はそれぞれレール部材11の目地プレート受け部12に支持される。なお、バー部材15はレール部材11の数と同数になるように複数個配置されており、本実施形態では、それぞれ7つ配置されている。このバー部材15は目地プレート本体16にそれぞれ溶接、ビス、リベット等により固定されている。
【0023】
滑り材13は、本実施形態では、シート状、板状又は目地プレート受け部12に塗布されるものであり、略面接触状態でバー部材15の他端部側を支持している。
【0024】
このように、通常時においてバー部材15の略中央部から他端部側をレール部材11により支持することで、目地プレート本体16に重量物が載置された場合であっても、バー部材の支点間の距離が短くなるため、バー部材15等が下方へたわむことを防止することができる。またバー部材15にかかる荷重自体も分散することができ、変形等も防止することができる。
【0025】
またレール部材11の前後方向の側面は、バー部材15の前後方向の側面に略当接状態となるように形成されており、バー部材15が前後方向に移動することを阻止している。
カバープレート8は、平面視矩形状或いは方形状の金属製の薄板材で、第2の目地プレート支持部6の上方覆うように設けられている。このカバープレート8は他方の躯体4の床面と上面がフラットとなるように設けられることが望ましい。
【0026】
カバープレート8の一端部は前記他方の躯体4の床面又は第2の目地プレート支持部6に固定された金具等に固定され、他端部(目地部側の端部)は前記目地プレート7の上面に支持されている。またこの他端部は、
図2等に示すように前記他方の躯体4の目地部2側の壁面部4a(端部)と略同一面となるような寸法に形成されている。この他端部は段差を解消するための傾斜面(図示せず)に形成されていることが望ましい。
【0027】
カバープレート支持機構9は、前述したように、第2の目地プレート支持部6に左右方向及び前後方向に所要間隔を有して設置されているが、例えば
図1、
図2、
図3及び
図6に示すように、複数個のレール部材11の間にそれぞれ左右方向に所定間隔で複数個設けられ、例えば
図1の平面視を基準にすると、全体として略マトリックス状(列状及び行状)に配設されている。
【0028】
しかして、カバープレート支持機構9は、支持具17と、該支持具17の上端部にローラー18と、該支持具17を直立状態となるように付勢する付勢具19とで構成されている。
【0029】
前記支持具17は、直立状態では前記カバープレート8を支持することができるとともに、目地プレート本体16に側方から押圧された場合には回転することができるように正面視略L字状に形成されている。
【0030】
前記支持具17のローラー18付近には、前記付勢具19を取付ける付勢具取付部20が形成され、前記付勢具19(本実施の形態においてはコイルスプリング)の一端部が第2の目地プレート支持部6に固定され、他端部が前記付勢具取付部20に固定される。
また、この支持具17は、直立状態において前記ローラー18によって前記カバープレート8の底面を支持しており、地震によって目地部2が狭くなる方向に躯体が揺れ動き、前記目地プレート本体16がローラー18を押圧し、前記支持具17が押圧された方向に傾倒した際には、前記ローラー18が目地プレート本体16の底面に当接するので、目地プレート本体16の底面との間に大きな摩擦力が発生せずスムーズにスライド移動できる。
なお、ローラー18を用いず、支持具17の上端部付近が直接カバープレート8を支持するように構成してもよい。
【0031】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、
図7に示すように、目地プレート7のバー部材15がレール部材11に支持された状態で左右方向にスライド移動するとともに、目地プレート本体16の他端部に押圧されたカバープレート支持機構9の支持具17が押圧された方向に回転し、目地プレート本体16の下側に潜り込むことで揺れ動きを吸収する。このときカバープレート支持機構9の支持具17が傾いた部位については、カバープレート8を目地プレート7が支持することになり、カバープレート8が下方へ撓むことを防止できる。また目地プレート7が位置しない部位については、通常時と同様にカバープレート支持機構9の支持具17がカバープレート8を支持する。
地震による揺れ動きが終了し、目地部2の寸法が通常時と同様に復帰した場合には、目地 プレート本体16によって押圧され傾倒していたカバープレート支持機構9の支持具17は、付勢具19の付勢力により直立状態となってカバープレート8を支持する。
【0032】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、
図8に示すように、目地プレート7のバー部材15がレール部材11に支持された状態で左右方向にスライド移動し揺れ動きを吸収する。このとき、通常時は目地プレート7によってカバープレート8を支持していた部位に設けられているカバープレート支持機構9の支持具17が付勢具19の付勢力により直立状態となってカバープレート8を支持する。これにより、目地部2が広くなってもカバープレート8が撓むことを防止できる。
【0033】
地震で左右の躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合、
図9に示すように、バー部材15はレール部材11の前後方向の壁面に略当接しているとともに、目地プレート本体16も他方の躯体4の前後方向の壁面(第2の目地プレート支持部6の前後方向の壁面)に当接し、かつ、目地プレート7の一端部は第1の目地プレート支持部5であるガイドレール5に前後方向にスライド移動可能に支持されているため、目地プレート7が他方の躯体4と同調して前後方向に移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0034】
なお、目地プレート本体16の前後方向の側面が第2の目地プレート支持部6の前後方向の壁面等に略当接しない寸法に形成されている場合であっても、バー部材15の前後方向の側面がレール部材11の前後方向の壁面に略当接しているため、目地プレート7が他方の躯体4と同調して前後方向に移動し、地震による揺れ動きを吸収することができる。
【0035】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図10乃至
図12に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図10乃至
図12に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、目地プレート受け部12に複数個の丸棒状のコロ部材21を配置した滑り材13Aを備えるレール部材11Aを用いた点で、このようなレール部材11Aを用いた床用目地装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
このような丸棒状のコロ部材21を滑り材13Aとして備えたレール部材11Aを用いる場合には、バー部材15の他端部側は線接触状態で複数箇所支持される。コロ部材21は多数設けることが望ましく、例えばローラーコンベアのように配置することが望ましい。
【0037】
なお、本実施の形態においては、左右の躯体の壁面間に壁面用目地装置等を図示していないが、必要に応じて壁面用目地装置を用いるとよい。
【0038】
また、カバープレート支持機構の付勢具としてコイルスプリングを用いるものについて説明したが、支持具の回転軸にゼンマイバネを設けて付勢具としてもよく、支持具の先端(ローラーを設けていない先端)に重り等を用いて自重で直立するように付勢してもよい。
さらに、滑り材としてコロ部材や板状等の滑り材を用いるものについて説明したが、目地プレート受け部にベアリングやローラー等を配置して滑り材としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は床用目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0040】
1、1A:床用目地装置、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5:第1の目地プレート支持部、 6:第2の目地プレート支持部、
7:目地プレート、 8:カバープレート、
9:カバープレート支持機構、 10:滑動部材、
11、11A:レール部材、 12:目地プレート受け部、
13、13A:滑り材、 14:支持部材、
15:バー部材、 16:目地プレート本体、
17:支持具、 18:ローラー、
19:付勢具、 20:付勢具取付部、
21:コロ部材。