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  • 特開-調理具及びバーベキューグリル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158632
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】調理具及びバーベキューグリル
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/07 20060101AFI20221006BHJP
   F24B 1/20 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A47J37/07
F24B1/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063662
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】511055809
【氏名又は名称】株式会社イーコンセプト
(71)【出願人】
【識別番号】511055810
【氏名又は名称】松山 進
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】松山 進
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA04
4B040AE14
4B040CA03
4B040GD01
(57)【要約】
【課題】食材の加熱効率や燃焼器の排気効率を向上させること。
【解決手段】本発明では、火炎が形成される燃焼空間(8)の外方に、燃焼空間(8)に空気を旋回させて流入させるための旋回流入部(9)を形成するとともに、燃焼空間(8)の上方に、燃焼空間(8)から燃焼ガスを旋回させて流出させるための旋回流出部(15)を形成し、旋回流出部(15)の上方に、網状の調理具(4)を載置したバーベキューグリル(1)において、調理具(4)は、上下に貫通する貫通孔18(中央貫通孔19、螺旋貫通孔20)を有する網状の調理体(16)の外周に、調理体(16)の表面よりも上方に向けて筒状に伸延する外周筒(17)を設けることにした。また、前記貫通孔18(螺旋貫通孔20)を旋回流出部(15)での旋回方向と同一方向へ向けて螺旋状に並べて形成することにした。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火炎が形成される燃焼空間の上方に排気孔を形成した燃焼器の上部に載置する網状の調理具において、
上下に貫通する貫通孔を有する網状の調理体の外周に、調理体の表面よりも上方に向けて筒状に伸延する外周筒を設けたことを特徴とする調理具。
【請求項2】
火炎が形成される燃焼空間の外方に、燃焼空間に空気を旋回させて流入させるための旋回流入部を形成するとともに、燃焼空間の上方に、燃焼空間から燃焼ガスを旋回させて流出させるための旋回流出部を形成し、旋回流出部の上方に、網状の調理具を載置したバーベキューグリルにおいて、
調理具は、上下に貫通する貫通孔を有する網状の調理体の外周に、調理体の表面よりも上方に向けて筒状に伸延する外周筒を設けたことを特徴とするバーベキューグリル。
【請求項3】
前記貫通孔を旋回流出部での旋回方向と同一方向へ向けて螺旋状に並べて形成したことを特徴とする請求項2に記載のバーべキューグリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理具及びバーベキューグリルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンロや七輪などの燃焼器を用いて食材の加熱調理を行う際には、燃焼器の上部に網状の調理具を載置し、調理具の上部に食材を載置する。
【0003】
この調理具としては、金属製の枠に金網を取付けて、平板状に形成されたものが多用されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-35470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の調理具では、平板状に形成されているために、燃焼器で生成された熱が調理具を通過する際に外方に拡散していた。
【0006】
そのため、従来の調理具では、食材の加熱効率が低いだけでなく、燃焼器の排気効率も低く、燃焼温度の低下による不完全燃焼に起因して煙が発生してしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、火炎が形成される燃焼空間の上方に排気孔を形成した燃焼器の上部に載置する網状の調理具において、上下に貫通する貫通孔を有する網状の調理体の外周に、調理体の表面よりも上方に向けて筒状に伸延する外周筒を設けることにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、火炎が形成される燃焼空間の外方に、燃焼空間に空気を旋回させて流入させるための旋回流入部を形成するとともに、燃焼空間の上方に、燃焼空間から燃焼ガスを旋回させて流出させるための旋回流出部を形成し、旋回流出部の上方に、網状の調理具を載置したバーベキューグリルにおいて、調理具は、上下に貫通する貫通孔を有する網状の調理体の外周に、調理体の表面よりも上方に向けて筒状に伸延する外周筒を設けることにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項2に係る本発明において、前記貫通孔を旋回流出部での旋回方向と同一方向へ向けて螺旋状に並べて形成することにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、火炎が形成される燃焼空間の上方に排気孔を形成した燃焼器の上部に載置する網状の調理具において、上下に貫通する貫通孔を有する網状の調理体の外周に、調理体の表面よりも上方に向けて筒状に伸延する外周筒を設けているために、外周筒によって燃焼器の排気孔から排出される熱が直ちに外方に拡散されてしまうのを抑制することができ、食材の加熱効率を向上させることができるとともに、燃焼器の排気効率を向上させることができて、燃焼温度の低下による不完全燃焼に起因して煙が発生してしまうのを抑制することができる。
【0012】
特に、火炎が形成される燃焼空間の外方に、燃焼空間に空気を旋回させて流入させるための旋回流入部を形成するとともに、燃焼空間の上方に、燃焼空間から燃焼ガスを旋回させて流出させるための旋回流出部を形成し、旋回流出部の上方に、網状の調理具を載置し、調理具は、上下に貫通する貫通孔を有する網状の調理体の外周に、調理体の表面よりも上方に向けて筒状に伸延する外周筒を設けることにした場合には、外周筒によって燃焼器の排気孔から排出される熱(燃焼ガス)が直ちに外方に拡散されてしまうのを抑制することができ、食材の加熱効率を向上させることができるとともに、燃焼器の排気効率を向上させることができて、燃焼温度の低下による不完全燃焼に起因して煙が発生してしまうのを抑制することができる。
【0013】
また、前記貫通孔を旋回流出部での旋回方向と同一方向へ向けて螺旋状に並べて形成することにした場合には、より一層燃焼器の排気効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るバーベキューグリルを示す正面図。
図2】同分解説明図。
図3】旋回流入部を示す平面図。
図4】旋回流出部を示す平面図。
図5】調理具を示す平面図。
図6】同側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係るバーベキューグリルの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1及び図2に示すように、バーベキューグリル1は、燃焼促進器2の上部に五徳3を設けるとともに、五徳3の上部に調理具4を設けた構成となっている。
【0017】
燃焼促進器2は、図1図3に示すように、円板状の底板5の上方に複数枚(ここでは、4枚)の円環状の仕切板6をそれぞれの外周端を揃えて上下に等間隔をあけて配置するとともに、底板5及び仕切板6の上部に複数枚(ここでは、8枚)の整流板7を底板5及び仕切板6の外周端から中心へ向かう放射方向に対して一定の傾斜角度で傾斜させた状態で円周方向に等間隔をあけて取付けている。なお、整流板7は、円環状の仕切板6の外周端から内周端まで伸延させている。
【0018】
燃焼促進器2は、底板5の中央上部に載置した炭や薪などの燃焼材に着火することで火炎を形成することができる。
【0019】
この燃焼促進器2では、底板5の中央上部に仕切板6の内周端で囲まれた中空円筒状の燃焼空間8(火炎が形成される空間)が形成されているとともに、一定方向に傾斜する整流板7によって燃焼空間8の外側の空気(外気)が燃焼空間8の内部に一定方向に傾斜しながら流入することで燃焼空間8に空気を旋回(ここでは、平面視で左回転)させて流入させる旋回流入部9が形成されている。
【0020】
これにより、燃焼促進器2では、旋回流入部9によって燃焼空間8の内部に形成される旋回流によって火炎の燃焼を促進することができ、燃焼効率を向上させることができる。
【0021】
五徳3は、図1,2,4に示すように、円板状の台板10の外周端部に下方に向けて折曲した縁枠11を形成し、中央部(燃焼促進器2の燃焼空間8の中央部上方)に中央排気孔12を設けるとともに、その外周(燃焼促進器2の燃焼空間8の外周側上方)に複数個(ここでは、4個)の外側排気孔13を設け、さらに、隣り合う外側排気孔13の間に上方へ向けて折曲した複数枚(ここでは、4枚)の支持板14を中心から外方へ向かう放射方向に対して一定の傾斜角度で傾斜させた状態で円周方向に等間隔をあけて形成している。
【0022】
五徳3は、燃焼促進器2の上端部(仕切板6の上端部)に縁枠11を被せて装着することで、燃焼促進器2の上端部に回動自在に装着することができる。
【0023】
また、五徳3は、支持板14で調理具4や鍋・薬缶などの調理器具を支持することができる。
【0024】
この五徳3では、燃焼空間8から中央排気孔12や外側排気孔13を通って排出される燃焼ガスが調理具4や調理器具の底に遮られて水平方向に向けて排出された後に、一定方向に傾斜する支持板14によって燃焼空間8の外部に一定方向に傾斜しながら流出することで燃焼空間8から燃焼ガスを旋回(ここでは、平面視で左回転)させて流出させる旋回流出部15が形成されている。なお、旋回流入部9と旋回流出部15とは同一方向(ここでは、平面視で左回転方向)に旋回するようにしている。
【0025】
これにより、五徳3では、旋回流出部15によって燃焼空間8から燃焼ガスを円滑に排出することができ、火炎の燃焼を促進させて燃焼効率を向上させることができる。
【0026】
調理具4は、図1,2,5,6に示すように、食材を載置するための円板状の調理体16の外周に筒状の外周筒17を設けている。
【0027】
調理体16は、一定の厚みの円板に上下に貫通する複数の貫通孔18を形成することで網状に形成している。この貫通孔18は、中央に円形状の中央貫通孔19を形成するとともに、中央貫通孔19の外側に複数個(ここでは、5個)の螺旋貫通孔20を旋回流出部15での旋回方向(ここでは、平面視で左回転方向)と同一方向へ向けて螺旋状に並べた螺旋貫通孔列21を円周方向に向けて等間隔に複数列(ここでは、16列)並べて形成している。なお、中央から外周側に向けて隣接する貫通孔18(中央貫通孔19、螺旋貫通孔20)の間には、同心円状に並べた円環状の複数個(ここでは、6個)の環状加熱板22が形成され、円周方向に隣接する螺旋貫通孔20の間には、旋回流出部15での旋回方向(ここでは、平面視で左回転方向)と同一方向へ向けて螺旋状に湾曲する複数本(ここでは、16本)の螺旋状加熱板23が形成されている。ここでは、同心円状に並べた環状加熱板22のそれぞれの幅は、外周側へ向けて漸次広くなるようにしており、各螺旋状加熱板23の幅は、外周側へ向けて漸次広くなるようにし、さらに、螺旋貫通孔列21を形成する螺旋貫通孔20のそれぞれの開口面積は、外周側へ向けて広くなるようにしている。
【0028】
外周筒17は、調理体16の外周縁に調理体16の表面(上面:調理面)よりも上方に向けて筒状に伸延させて、調理体16の表面全体を囲むようにしている。なお、外周筒17は、調理体16の表面よりも上方だけでなく下方にも筒状に形成してもよい。なお、外周筒17の高さ(調理体16の表面よりも上方側の高さ)は、五徳3の支持板14の高さ(燃焼促進器2の上端面と調理具4の下端面との間隔)よりも高くしている。
【0029】
そして、バーベキューグリル1では、燃焼促進器2の燃焼空間8から排出される熱(燃焼ガス)が、加熱板(環状加熱板22及び螺旋状加熱板23)を加熱するとともに、貫通孔18(中央貫通孔19、螺旋貫通孔20)から上方へ向けて排出される。その際に、燃焼ガスが調理体16を通過後に一気に拡散することなく外周筒17に案内されて上方へ向けて円滑に排出されることになる。しかも、調理体16の螺旋貫通孔20を旋回流出部15での旋回方向と同一方向へ向けて螺旋状に並べているために、燃焼ガスが抵抗なくより一層円滑に排出されることになる。
【0030】
バーベキューグリル1は、以上に説明したように、燃焼促進器2と五徳3と調理具4とに分離可能に構成しているが、これに限られず、全体を一体として構成してもよく、燃焼促進器2と五徳3とを一体的に形成してもよく、また、五徳3と調理具4とを一体的に形成してもよい。なお、本発明では、燃焼促進器2単独で、又は、燃焼促進器2と五徳3とによって、燃焼器として用いることができる。
【0031】
以上に説明したように、上記バーベキューグリル1は、火炎が形成される燃焼空間8の上方に排気孔(中央排気孔12及び外側排気孔13)を形成した燃焼器(燃焼促進器2及び五徳3)の上部に載置する網状の調理具4が設けられた構成となっている。
【0032】
そして、上記調理具4は、上下に貫通する貫通孔18を有する網状の調理体16の外周に、調理体16の表面よりも上方に向けて筒状に伸延する外周筒17を設けた構成となっている。
【0033】
そのため、上記構成の調理具4では、外周筒17によって燃焼器(燃焼促進器2及び五徳3)の排気孔(中央排気孔12及び外側排気孔13)から排出される熱(燃焼ガス)が直ちに外方に拡散されてしまうのを抑制することができ、食材の加熱効率を向上させることができるとともに、燃焼器(燃焼促進器2及び五徳3)の排気効率を向上させることができて、燃焼温度の低下による不完全燃焼に起因して煙が発生してしまうのを抑制することができる。
【0034】
また、上記構成の調理具4では、調理体16の外周に設けた外周筒17によって、調理体16の変形を防止することができるとともに、調理体16から食材が落下してしまうのを防止することができ、さらに、外周筒17で保熱されて熱反射によって食材を短時間で良好に加熱することができる。
【0035】
特に、上記バーべキューグリル1では、火炎が形成される燃焼空間8の外方に、燃焼空間8に空気を旋回させて流入させるための旋回流入部9を形成するとともに、燃焼空間8の上方に、燃焼空間8から燃焼ガスを旋回させて流出させるための旋回流出部15を形成し、旋回流出部15の上方に、網状の調理具4を載置した構成となっている。
【0036】
そのため、上記構成のバーベキューグリル1では、外周筒17によって燃焼器(燃焼促進器2及び五徳3)の排気孔(中央排気孔12及び外側排気孔13)から排出される熱(燃焼ガス)が直ちに外方に拡散されてしまうのを抑制することができ、食材の加熱効率を向上させることができるとともに、燃焼器(燃焼促進器2及び五徳3)の排気効率を向上させることができて、燃焼温度の低下による不完全燃焼に起因して煙が発生してしまうのを抑制することができる。
【0037】
また、上記のバーベキューグリル1は、貫通孔(螺旋貫通孔20)を旋回流出部15での旋回方向と同一方向へ向けて螺旋状に並べて形成した構成となっている。
【0038】
そのため、上記構成のバーベキューグリル1では、より一層燃焼器(燃焼促進器2及び五徳3)の排気効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 バーベキューグリル 2 燃焼促進器
3 五徳 4 調理具
5 底板 6 仕切板
7 整流板 8 燃焼空間
9 旋回流入部 10 台板
11 縁枠 12 中央排気孔
13 外側排気孔 14 支持板
15 旋回流出部 16 調理体
17 外周筒 18 貫通孔
19 中央貫通孔 20 螺旋貫通孔
21 螺旋貫通孔列 22 環状加熱板
23 螺旋状加熱板
図1
図2
図3
図4
図5
図6