(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015870
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】溶接部品の製造方法および溶接システム
(51)【国際特許分類】
B23K 31/00 20060101AFI20220114BHJP
B23K 37/04 20060101ALI20220114BHJP
F16B 11/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B23K31/00 H
B23K37/04 H
F16B11/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119005
(22)【出願日】2020-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】000200367
【氏名又は名称】川田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲田 正信
(72)【発明者】
【氏名】西川 正紀
【テーマコード(参考)】
3J023
【Fターム(参考)】
3J023EA02
3J023FA01
3J023GA02
(57)【要約】
【課題】隅肉溶接などの溶接時における溶接熱による薄鋼板の意図しない変形をより確実に抑制可能な溶接部品の製造方法および溶接システムを提供する。
【解決手段】第1の板材2の第1の表面2a上に第2の板材4が溶接される。溶接する工程においては、第1の板材2の第2の表面2bに冷却媒体14aが供給される。冷却媒体14aは、第1の板材2の第2の表面2b側に配置された導水管14から噴射される。溶接による加熱がなされる間において、第2の表面2bの、第1の表面2aと第2の板材4とが溶接されるべき部分と平面的に重なる領域に噴射された冷却媒体14aが供給される。溶接する工程は、第1の板材2の第1の表面2a上に載置され第1の表面2aに対して下方への力を印加可能な拘束部材18により、第1の板材2の第1の表面2a上に下方への力が加えられた状態でなされる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の板材および第2の板材を準備する工程と、
前記第1の板材の第1の表面上に前記第2の板材を溶接する工程とを備え、
前記溶接する工程においては、前記第1の板材の前記第1の表面と反対側の第2の表面に冷却媒体が供給され、
前記冷却媒体は、前記第1の板材の前記第2の表面側に配置された導水管から噴射され、
前記溶接による加熱がなされる間において、前記第2の表面の、前記第1の表面と前記第2の板材とが溶接されるべき部分と平面的に重なる領域に噴射された冷却媒体が供給され、
前記溶接する工程は、前記第1の板材の前記第1の表面上に載置され前記第1の表面に対して下方への力を印加可能な拘束部材により、前記第1の板材の前記第1の表面上に下方への力が加えられた状態でなされる、溶接部品の製造方法。
【請求項2】
前記導水管は平面視における第1の方向に沿うように延びており、
前記冷却媒体は、前記導水管にて前記第1の方向に沿って間隔を隔てて複数形成された噴射部のそれぞれから前記第2の表面上に供給される、請求項1に記載の溶接部品の製造方法。
【請求項3】
前記溶接する工程において前記第1の表面上に加えられる前記下方への力は、前記第1の板材と、前記第1の板材上に設置された端部拘束材とが万力で挟み込まれることにより印加される、請求項1または2に記載の溶接部品の製造方法。
【請求項4】
第1の板材の第1の表面上に第2の板材を溶接する溶接システムであって、
前記第1の板材を設置するための受け材と、
前記受け材に設置された前記第1の板材の、前記第2の板材が溶接される前記第1の表面と反対側の第2の表面に冷却媒体を供給可能な導水管と、
前記導水管の真下から前記導水管の周囲にまで拡がり、前記導水管から噴射される前記冷却媒体を排水するための第1の樋部材とを備え、
前記導水管は平面視における第1の方向に沿うように延びており、
前記導水管から前記冷却媒体が噴射される噴射部は、前記導水管における前記第1の方向に沿って間隔を隔てて複数配置され、
前記第1の板材の前記第1の表面上に載置され前記第1の表面に対して下方への力を印加可能な拘束部材をさらに備える、溶接システム。
【請求項5】
前記第1の樋部材の前記第1の方向についての一方の端部および他方の端部と平面視にて連続する位置に、前記第1の方向に交差する第2の方向に沿うように延びる第2の樋部材をさらに備える、請求項4に記載の溶接システム。
【請求項6】
前記受け材は前記第1の方向に沿うように延びており、
前記導水管は、前記第1の樋部材と平面的に重なる領域において、前記受け材を挟むように1対配置されている、請求項5に記載の溶接システム。
【請求項7】
前記拘束部材は、前記第1の板材の前記第1の表面上に載置可能な端部拘束材と、前記第1の板材とを挟み込むことが可能な万力である、請求項4~6のいずれか1項に記載の溶接システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、溶接部品の製造方法および溶接システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば矩形の薄鋼板の上側の表面上に、これに交差するように、他の鋼板をいわゆる隅肉溶接し、溶接部品を形成する技術が従来から知られている。当該他の鋼板により、薄鋼板が変形しにくいよう補強される。このような技術は、たとえば船舶製造、船舶修理業および船体ブロック製造業に用いられる。その他にもこのような技術は、たとえば鉄骨製造業、建設用金属製品製造業および製缶板金業にも用いられる。
【0003】
薄鋼板に他の鋼板を隅肉溶接する際には、その溶接熱による薄鋼板の意図しない変形が低減されることが好ましい。そのために、溶接時には薄鋼板の上側の表面上の溶接部を加熱しつつ、薄鋼板の下側の表面上が冷媒などで冷却される。このような技術は、たとえば特開2001-138087号公報(特許文献1)にて提案されている。特開2001-138087号公報においては、薄鋼板の上に防撓材としての他の鋼板を隅肉溶接する際に、薄鋼板の下に配置された冷媒噴出ノズルを移動させながら、噴出される冷却水が薄鋼板の下側の表面に供給される。これにより薄鋼板が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2001-138087号公報の開示技術によれば、薄鋼板上には複数の防撓材が順次溶接される。すなわち加熱に用いる溶接トーチと、冷媒噴出ノズルとがともに移動しながら、薄鋼板の加熱と冷却との双方がなされる。この場合、溶接トーチにより加熱された領域と平面的に重なる領域は、その加熱された直後に冷媒により冷却されるよう、冷媒噴出ノズルの位置が調整される。このため溶接トーチと冷媒噴出ノズルとの平面視での位置がほぼ同調することが望ましい。しかしながらそのように両者の位置を同調させることは困難である。ある領域における加熱と冷却とのタイミングに大きなずれが生じると、冷却による薄鋼板の変形を抑制する効果が得られなくなるおそれがある。
【0006】
本開示は上記の課題に鑑みなされたものである。その目的は、隅肉溶接などの溶接時における溶接熱による薄鋼板の意図しない変形をより確実に抑制可能な溶接部品の製造方法および溶接システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従った溶接部品の製造方法においては、第1の板材および第2の板材が準備される。第1の板材の第1の表面上に第2の板材が溶接される。溶接する工程においては、第1の板材の第1の表面と反対側の第2の表面に冷却媒体が供給される。冷却媒体は、第1の板材の第2の表面側に配置された導水管から噴射される。溶接による加熱がなされる間において、第2の表面の、第1の表面と第2の板材とが溶接されるべき部分と平面的に重なる領域に噴射された冷却媒体が供給される。溶接する工程は、第1の板材の第1の表面上に載置され第1の表面に対して下方への力を印加可能な拘束部材により、第1の板材の第1の表面上に下方への力が加えられた状態でなされる。
【0008】
本開示に従った溶接システムは、第1の板材の第1の表面上に第2の板材を溶接する溶接システムである。当該溶接システムは、受け材と、導水管と、第1の樋部材とを備える。受け材は第1の板材を設置する。導水管は受け材に設置された第1の板材の第2の板材が溶接される第1の表面と反対側の第2の表面に冷却媒体を供給可能である。第1の樋部材は導水管の真下から導水管の周囲にまで拡がり、導水管から噴射される冷却媒体を排水する。導水管は平面視における第1の方向に沿うように延びている。導水管から冷却媒体が噴射される噴射部は、導水管における第1の方向に沿って間隔を隔てて複数配置される。第1の板材の第1の表面上に載置され第1の表面に対して下方への力を印加可能な拘束部材をさらに備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、隅肉溶接などの溶接時における溶接熱による薄鋼板の意図しない変形をより確実に抑制可能な溶接部品の製造方法および溶接システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る溶接システムの構成を示す概略斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る溶接システムの構成を示す概略平面図である。
【
図3】
図2中のIII-III線に沿う部分の概略断面図である。
【
図4】
図2中の点線で囲まれた領域IVの概略拡大平面図である。
【
図5】
図2中の点線で囲まれた領域Vの概略拡大平面図である。
【
図6】
図3中の点線で囲まれた領域VIに溶接対象物が搭載された状態における拘束部材の動作を示す概略拡大断面図である。
【
図7】実施の形態1の溶接システムを用いた溶接部品の製造工程を示す概略斜視図である。
【
図8】
図2中のIII-III線に沿う部分の、製造工程における態様を示す概略断面図である。
【
図9】実施の形態1の製造工程における
図8中のIX-IX線に沿う部分の概略断面図である。
【
図10】実施の形態2の溶接システムを用いた溶接部品の製造工程を示す概略斜視図である。
【
図11】実施の形態2の製造工程における
図8中のIX-IX線に沿う部分の概略断面図である。
【
図12】実施の形態3に係る溶接システムの構成を示す概略平面図である。
【
図13】
図12中のXIII-XIII線に沿う部分の概略断面図である。
【
図14】
図12中の点線で囲まれた領域XIVの概略拡大平面図である。
【
図15】
図14中のXV-XV線に沿う部分の概略断面図である。
【
図16】
図12中の点線で囲まれた領域XVIの概略拡大平面図である。
【
図17】
図16中のXVII-XVII線に沿う部分の概略断面図である。
【
図18】
図12中の点線で囲まれた領域XVIIIの概略拡大平面図である。
【
図19】
図18中のXIX-XIX線に沿う部分の第1例の概略断面図である。
【
図20】
図18中のXIX-XIX線に沿う部分の第2例の概略断面図である。
【
図21】実施の形態4における
図9に相当する部分の第1例の概略断面図である。
【
図22】実施の形態4における
図9に相当する部分の第2例の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態について説明する。なお説明の便宜上、各図にはX方向、Y方向、Z方向が導入されている。
【0012】
(実施の形態1)
まず
図1~
図6を用いて、本実施の形態に係る溶接システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る溶接システムの構成を示す概略斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る溶接システムの構成を示す概略平面図である。
図3は、
図2中のIII-III線に沿う部分の概略断面図である。
図4は、
図2中の点線で囲まれた領域IVの概略拡大平面図である。
図5は、
図2中の点線で囲まれた領域Vの概略拡大平面図である。
図6は、
図3中の点線で囲まれた領域VIに溶接対象物が搭載された状態における拘束部材の動作を示す概略拡大断面図である。
図1~
図6を参照して、本実施の形態の溶接システム100は、たとえば第1の板材の互いに対向する1対の主表面のうちの一方であるZ方向の上側(以下、単に上側)の第1の表面上に、第2の板材を溶接するための設備である。溶接システム100でなされるのはたとえば隅肉溶接であるがこれに限られず、他の溶接方法がなされてもよい。ここで第1の板材は、たとえば互いに対向する1対の主表面が矩形状であり、たとえば10mm以下の厚みを有する薄い鋼板である。また第2の板材は、第1の板材と同様に、たとえば互いに対向する1対の主表面が矩形状の薄い鋼板である。ただし第1の板材および第2の板材の材料および寸法はこれに限られない。
【0013】
溶接システム100は、架台10と、受け材12と、導水管14と、第1の樋部材16と、第2の樋部材16aと、拘束部材18とを主に備えている。架台10は、溶接システム100を構成する各部材を支持するための部材である。
図2に示すように、架台10はたとえばY方向に沿って延びており、X方向に間隔をあけて複数並んでいる。
図3に示すように、架台10はたとえばその延びる方向に交差する断面図がH字形状を有することが好ましい。すなわち架台10は
図3の断面図において、高さ方向に延びる部分と、その高さ方向の最上部および最下部のそれぞれに接続された1対の水平方向に延びる部分とを有する。
【0014】
受け材12は、架台10の上側に設置されている。ただしZ方向について架台10と受け材12との間には後述する第1の樋部材16などの他の部材を挟み、当該他の部材の上に受け材12が載置されていてもよい。受け材12は、溶接時に第1の板材を設置するための部材である。すなわち溶接時には受け材12の最上面に接触するようにその上に第1の板材が載置される。第1の板材の上に第2の板材が溶接される。
図2に示すように、受け材12はたとえば第1の方向としてのX方向に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて複数並んでいる。受け材12はたとえばその矩形の主表面がZ方向に延びるように、つまりXY平面に対してほぼ垂直に立つように配置されることが好ましい。以上より受け材12はX方向に長く(帯状に)延び、Y方向についての厚みを有する矩形の平板形状であることが好ましい。
【0015】
導水管14は、平面視において複数の受け材12のそれぞれのY方向に隣接するように、受け材12を挟むように1対ずつ配置される管状の部材である。したがって導水管はX方向に沿うように延びている。導水管14は一般公知のビニル製である。導水管14はZ方向について受け材12と同じ位置に配置されることが好ましい。しかし導水管14はZ方向について受け材12と異なる位置に配置されてもよい。いずれにせよ導水管14は、受け材12に設置された第1の板材のZ方向の下側(以下、単に下側)に配置され、第1の板材の下側の表面に冷却媒体であるたとえば冷却水14aを供給可能である。具体的には、
図4に示すように、導水管14のX方向の一方の端部には給水部22が繋がれている。個々の給水部22は、受け材12を挟む1対の導水管14のそれぞれの内部に冷却水14aを供給できる。給水部22から導水管14内に冷却水14aが、図中矢印14a
inのように供給される。この冷却水14aは導水管14内を
図2の右側から左側へ流れつつ、導水管14に設けられた孔部としての噴射部14bから導水管14の外部に噴出される。この噴出された冷却水14aが第1の板材の下側の表面に供給される。導水管14から冷却水14aが噴射される噴射部14bは、導水管14におけるX方向に沿ってある間隔を隔てて複数配置されている。この間隔は
図2のように各場所においてほぼ等しくてもよいが、場所ごとに当該間隔が異なっていてもよい。なお冷却媒体は冷却水14aに限られない。たとえば冷却媒体としては、上記の導水管14とは異なる他の部材により第1の板材の下側の表面に供給可能な冷風が用いられてもよい。
【0016】
第1の樋部材16は、受け材12、導水管14と同様にX方向に沿って延びている。第1の樋部材16は、複数の架台10と交差(たとえば直交)することにより、複数の架台10の最上面上にそれらを跨ぐように載置されている。第1の樋部材16はX方向に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて複数並んでいる。第1の樋部材16は、Z方向の最下部の矩形状の底面部と、それに直交するようZ方向に延びる1対の側面部とを有している。第1の樋部材16は、底面部と側面部とに囲まれる部分に、複数の受け材12のうちの1つ、およびそれを挟むように隣接する1対の導水管14が(少なくとも部分的に)収納されるように配置される。したがって第1の樋部材16は、底面部が導水管14の真下から導水管14の周囲にまで拡がっている。言い換えれば、受け材12を挟む1対の導水管14は、第1の樋部材16と平面的に重なる領域に配置されている。架台10と受け材12との間には少なくとも第1の樋部材16の底面部が配置される。第1の樋部材16の底面部と側面部とに囲まれる部分には、導水管14の噴射部14bから噴射される冷却水14aが貯められる。
【0017】
第2の樋部材16aは、第1の樋部材16と平面視にて交差(たとえば直交)するように、すなわち第2の方向としてのY方向に沿うように延びている。第2の樋部材16aは第1の樋部材16と同様に、底面部と側面部とを有する形状である。第2の樋部材16aは、第1の樋部材16のX方向についての一方の端部および他方の端部のそれぞれと平面視にて連続する位置に1つずつ配置されている。すなわち
図4に示すように、X方向に延びる第1の樋部材16の右側の一方の端部が、Y方向に延びる第2の樋部材16aの左側の縁部とほぼ重なっている。また第2の樋部材16aは第1の樋部材16よりも下側に配置されている。このため第1の樋部材16内に溜まった冷却水14aは図中矢印14a
outのように、第1の樋部材16の端部から第2の樋部材16a内に流動できる。このようにして、第1の樋部材16は、導水管14から噴射される冷却水14aを第2の樋部材16aへ排水する。
【0018】
同様に、
図5に示すように、X方向に延びる第1の樋部材16の右側の一方の端部が、Y方向に延びる第2の樋部材16aの左側の縁部とほぼ重なっている。これにより、第1の樋部材16内に溜まった冷却水14aは図中矢印14a
outのように、第1の樋部材16の端部から第2の樋部材16a内に流動できる。なお第1の樋部材16の一方の端部および他方の端部は、第2の樋部材16aの幅方向(左右方向)の中央部およびその近くに重なるように配置されてもよい。この場合も第1の樋部材16内の冷却水14aを第2の樋部材16a内に流動させることができる。なお導水管14の最下流の端部には、たとえばビニル製の導水管栓24が設けられている。導水管栓24により導水管14の端部がブロックされている。
【0019】
図2の溶接システム100は、溶接作業の際には、特に複数の受け材12が並ぶ領域、およびその外周の部分を上から覆うように、第1の板材が載置される。すなわち第1の板材は、その主表面が
図2の溶接システム100のほぼ全体を覆う大きさを有する薄い板材である。
図2の溶接システム100の拘束部材18は、この載置された第1の板材の第1の表面上に載置され第1の表面に対して下方への力を印加可能である。
【0020】
具体的には、
図6に示すように、本実施の形態の拘束部材18は、押圧材18aと、回転中心18bと、押圧面18cとを有している。なお
図6においては受け材12上に設置された第1の板材2と、その上側の表面に載置される平板形状の鋼板部材である端部拘束材19とが、押圧材18aの一部である押圧面18cにより下方に押圧される。これにより第1の板材2は溶接システム100に固定される。また
図6には第1の板材2上に後述の第2の板材4が図示されている。
図2に示すように、拘束部材18の押圧材18aは、溶接システム100のX方向の一方および他方の端部に、Y方向に間隔をあけて複数配置される。また押圧材18aは、溶接システム100のY方向の一方および他方の端部に、X方向に間隔をあけて複数配置される。たとえば押圧材18aは、Z方向に延びる部分と、そのZ方向の比較的上方に、Y(X)方向に沿って延びる部分とを有している。つまり押圧材18aはZ方向の上方において下方に比べてY(X)方向の幅が大きくなっている。この幅が大きくなった部分の最下面が押圧面18cとして、端部拘束材19などに下向きの押圧力を加える。ただし
図6は押圧材18aを模式的に示しており、押圧材18aの形状は
図6に示すものに限られない。
【0021】
回転中心18bは、押圧材18aが回転中心18bを中心として
図6(A),(B)のように回転可能なヒンジ状の任意の構成とすることができる。たとえば回転中心18bは溶接システム100の
図2でのY(X)方向端部をX(Y)方向に延びる円柱形状のいわゆる丸鋼であってもよい。たとえば押圧材18aには貫通孔が形成されており、その貫通孔を回転中心18bが貫通することにより、押圧材18aは回転中心18bを中心に回転可能である。
【0022】
押圧材18aは、
図6(A)においては実際に対象物に接触しこれに力を加える押圧面18cが対象物である端部拘束材19に接触しておらず、下方に傾いた状態である。
図6(A)では押圧材18aは、受け材12上に載置された部材から離れている。しかし
図6(A)の状態にある押圧材18aが、回転中心18bを中心に図中矢印Rの方向に回転される。これにより
図6(B)のように押圧材18aが、第1の板材2上に設置された端部拘束材19に接触しながら、第1の板材2および端部拘束材19に下向きの圧力を印加する。このようにして第1の板材2は溶接システム100に固定される。
【0023】
次に、
図7~
図9、および必要に応じて適宜
図1~
図6を用いて、本実施の形態の上記溶接システム100を用いた溶接部品の製造方法について説明する。
【0024】
図7は、実施の形態1の溶接システムを用いた溶接部品の製造工程を示す概略斜視図である。
図8は、
図2中のIII-III線に沿う部分の、製造工程における態様を示す概略断面図である。
図9は、
図8中のIX-IX線に沿う部分の概略断面図である。
【0025】
図7~
図9を参照して、まず第1の板材2および第2の板材4が準備される。
図9に示すように、溶接システム100のほぼ全面を覆う大きさの第1の板材2の上側の表面を第1の表面2aとし、これと反対側の下側の表面を第2の表面2bとする。
図7および
図8に示すように、第2の板材4は、たとえば
図2の溶接システム100および第1の板材2のX方向の長さにほぼ等しい長さを有する、矩形であり帯状の補強部材、防撓材である。
図9における第2の板材4の右側の表面を第3の表面4aとし、これと反対側の左側の表面を第4の表面4bとする。
【0026】
第1の板材2および第2の板材4が、溶接システム100に設置される。具体的には、
図7に示すように、溶接システム100の複数の受け材12を跨ぐように、かつ受け材12の最上面が第2の表面2bに接触するように、単一の大きな第1の板材2が載置される。また
図9に示すように、第2の板材4は、第1の板材2の第1の表面2a上に、その主表面である第3の表面4aおよび第4の表面4bが第1の表面2aにほぼ垂直になるように配置される。このとき
図7に示すように、第2の板材4は第1の表面2a上に複数、Y方向に間隔をあけて配置されることが好ましい。すなわち複数の第2の板材4のそれぞれは、たとえばX方向に延びる複数の受け材12のそれぞれの真上に、おおよそ受け材12と重なるように配置されることが好ましい。これにより複数の帯状の第2の板材4が、Y方向についてほぼ等しい間隔で複数、互いにほぼ平行となるように配置される。
【0027】
次に、第1の板材2の第1の表面2a上に第2の板材4が溶接される。具体的には、
図9に示すように、たとえば第1の板材2の端部に、端部拘束材19が載置される。端部拘束材19はたとえば矩形の小さい主表面を有する薄い鋼板である。
図6(B)のように拘束部材18の押圧材18aが、端部拘束材19と接触しこれに下向きの圧力を加えることが可能となるよう、回転中心18bを中心として回転される。このようにして第1の板材2のX(Y)方向の端部には拘束部材18による下向きの拘束力が加えられる。すなわち溶接工程(たとえば上記の隅肉溶接工程)は、上記のように第1の板材2の第1の表面2a上に載置され第1の表面2aに対して下方への力を印加可能な拘束部材18により、第1の板材2の第1の表面2a上に下方への力が加えられた状態でなされる。
【0028】
このように拘束力が加えられた状態で、第1の板材2の第1の表面2aと反対側の第2の表面2bに冷却水14aが供給される。具体的には、導水管14内には給水部22から冷却水14aが供給され、導水管14内を冷却水14aが流れる。導水管14にはX方向に沿って間隔を隔てて複数の噴射部14bが形成されている。この複数の噴射部14bのそれぞれから噴射される冷却水14aが、これが対向する第1の板材2の第2の表面2b上に供給される。以上のように冷却水14aは、第1の板材2の第2の表面2b側(下側)に配置された導水管14から噴射される。
【0029】
このように第2の表面2b上に冷却水14aが供給された状態を保ちながら、第1の表面2a上への第2の板材4の溶接がなされる。ここでの溶接工程は一般公知のたとえば溶接トーチによりなされる。すなわち溶接トーチをX方向に移動させながら、X方向に帯状に延びる第2の板材4を順次加熱しつつ第1の板材2と溶接させる。これにより
図9に示す溶接部6が、第1の板材2と第2の板材4との境界部に形成される。このようにして第1の板材2の第1の表面2a上に第2の板材4が溶接(たとえば隅肉溶接)される。
【0030】
なお溶接部6の真下に確実に冷却水14aを噴射する観点から、
図9の噴射部14bは、真上よりもやや(たとえば5°以上10°以下程度)受け材12側を向く角度を有するように形成されることが好ましい。
【0031】
また
図9に示すように、導水管14は、第1の樋部材16の底面部と側面部とに囲まれる部分において、導水管固定材20の上に載置されることが好ましい。なお受け材12も導水管固定材20の上に載置されてもよい。
【0032】
上記の溶接工程においては、第1の板材2の一部分が溶接トーチにより加熱される。この加熱される領域が、たとえば1つの第1の板材2の延びるX方向に沿って移動する。1つの第1の板材2の加熱溶接が終われば、たとえばそれに隣接する他の第1の板材2が同様の手順で加熱溶接される。当該溶接による加熱がなされる間において、第1の板材2の第2の表面2bの、第1の表面2aと第2の板材4とが溶接されるべき部分(
図9の溶接部6が形成されるべき部分)と平面的に重なる領域に、噴射された冷却水14aが供給される。ここでは溶接による加熱がなされる時間のすべてにおいて冷却水14aが供給されることが好ましい。ただし少なくとも溶接による加熱がなされる時間の80%以上の時間において、より好ましくは90%以上の時間において、冷却水14aが供給されることが好ましい。また上記の冷却水14aが供給される間は、複数の噴射部14bのすべてから冷却水14aが出ることが好ましい。ただし少なくとも全体の80%以上、好ましくは90%以上から冷却水14aが供給されることが好ましい。つまり最終的に溶接部6となるべき領域の真下の領域の少なくとも大部分が、いずれかの領域にて加熱溶接がなされている時間の少なくとも大部分においては冷却水14aの噴射を受けている状態である。以上により、隅肉溶接の処理がなされる。なお導水管14から噴射される冷却水14aは、X方向について隣り合う1対の噴射部14bの間隔に当たる距離程度は、X方向に飛散することが好ましい。これにより、X方向に隣り合う1対の噴射部14bの間の領域についても、そのほぼすべてが冷却水14aの噴射を受けることにより冷却される。そうすればX方向についての溶接部6が形成されるべき部分の全体が、どこかの領域での加熱がなされている間じゅうはほぼ常時、冷却水14aの噴射を受けている。
【0033】
溶接すべきすべての領域について隅肉溶接などの処理が終わった後、溶接部6に隣接する領域が冷却されたことが確認される。その後、給水部22からの冷却水14aの供給が止められる。そして、第1の板材2から拘束部材18が外される。受け材12の上から、第1の板材2と第2の板材4との溶接部品が撤去される。
【0034】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0035】
本実施の形態に係る溶接部品の製造方法においては、第1の板材2および第2の板材4が準備される。第1の板材2の第1の表面2a上に第2の板材4が溶接される。上記溶接する工程においては、第1の板材2の第1の表面2aと反対側の第2の表面2bに冷却媒体としての冷却水14aが供給される。冷却水14aは、第1の板材2の第2の表面2b側に配置された導水管14から噴射される。溶接による加熱がなされる間において、第2の表面2bの、第1の表面1aと第2の板材4とが溶接されるべき部分と平面的に重なる領域に噴射された冷却水14aが供給される。上記溶接する工程は、第1の板材2の第1の表面2a上に載置され第1の表面2aに対して下方への力を印加可能な拘束部材18により、第1の板材2の第1の表面2a上に下方への力が加えられた状態でなされる。
【0036】
上記製造方法による溶接部品は、防撓材として溶接された第2の板材4により、撓みなどの意図しない変形が抑制され、強度が高められる。しかし仮に溶接時に第1の板材2を冷却しなければ、溶接時に第1の板材2に加わる熱量が多いために、溶接後の溶接部品における第1の板材2が意図せず反るなどの変形を起こすことがある。そこで上記製造方法による溶接がなされれば、冷却水14aにより、溶接熱に起因する第1の板材2の意図しない変形が抑制できる。さらに本方法によれば、溶接によるいずれかの領域の加熱がなされる時間の少なくとも大部分において、第2の表面2bの、第1の表面2aと第2の板材4とが溶接されるべき領域の少なくとも大部分が一様に冷却される。このため、たとえば加熱用の溶接トーチと冷却水の噴出ノズルとがともに移動しながら加熱と冷却とがなされる場合のような、両者のタイミングの同調が不要となる。溶接トーチの移動速度がどのように変化されても、また溶接トーチがどの領域を加熱していても、そのことが溶接されるべき部分の冷却のされ方に与える影響が少なくなる。このため加熱と冷却とのタイミングのずれに起因する意図しない第1の板材2の変形を抑制できる。
【0037】
また溶接する工程は、第1の板材2には拘束部材18による下方への力が加えられた状態でなされる。このため溶接熱による第1の板材2の意図しない変形を抑制できる。拘束部材18による力の印加と導水管14からの冷却水14aの噴射とが併用されることにより、第1の板材2の変形を抑制する効果がいっそう高められる。
【0038】
上記溶接部品の製造方法において、導水管14は平面視における第1の方向であるX方向に沿うように延びており、冷却水14aは、導水管14にてX方向に沿って間隔を隔てて複数形成された噴射部14bのそれぞれから第2の表面2b上に供給されてもよい。X方向について隣り合う1対の噴射部14bの間隔に当たる距離だけX方向に飛散できるよう噴射部14bの間隔が調整される。これにより、導水管14から噴射される冷却水14aは、溶接されるべき部分のX方向に沿う少なくともいずれかの領域を加熱工程を行なっている時間中のほぼ常時、一様に第1の板材2を冷却することができる。したがって、第1の板材2の変形を抑制する効果が高められる。
【0039】
本実施の形態に係る溶接システム100は、第1の板材2の第1の表面2a上に第2の板材4を溶接する。当該溶接システム100は、受け材12と、導水管14と、第1の樋部材16とを備える。受け材12は第1の板材2を設置する。導水管14は、受け材12に設置された第1の板材2の、第2の板材4が溶接される第1の表面2aと反対側の第2の表面2bに冷却媒体としての冷却水14aが供給可能である。第1の樋部材16は導水管14の真下から導水管14の周囲にまで拡がり、導水管14から噴射される冷却水14aを排水する。導水管14は平面視における第1の方向であるX方向に沿うように延びている。導水管14から冷却水14aが噴射される噴射部14bは、導水管14におけるX方向に沿って間隔を隔てて複数配置される。第1の板材2の第1の表面2a上に載置され第1の表面2aに対して下方への力を印加可能な拘束部材18をさらに備える。
【0040】
導水管14からの冷却水14aにより、溶接熱に起因する第1の板材2の意図しない変形が抑制できる。第1の樋部材16が導水管14の真下から導水管14の周囲にまで拡がり、導水管14から噴射される冷却水14aを排水可能である。これにより導水管14から噴射される冷却水14aの無秩序な飛散を防止できる。
【0041】
また冷却水14aを噴射する噴射部14bがX方向に沿って間隔を隔てて複数配置されるため、溶接によるいずれかの領域の加熱がなされる時間の少なくとも大部分において、第2の表面2bの、第1の表面2aと第2の板材4とが溶接されるべき領域の少なくとも大部分が一様に冷却される。したがって加熱されている場所および時間の変化が溶接されるべき部分の冷却のされ方に与える影響が少なくなる。このため加熱と冷却とのタイミングのずれに起因する意図しない第1の板材2の変形を抑制できる。さらに拘束部材18による力の印加と導水管14からの冷却水14aの噴射とが併用されることにより、第1の板材2の変形を抑制する効果がいっそう高められる。
【0042】
上記の溶接システム100において、第1の樋部材16のX方向についての一方の端部および他方の端部と平面視にて連続する位置に、X方向に交差する第2の方向としてのY方向に沿うように延びる第2の樋部材16aをさらに備えてもよい。これにより、導水管14から第1の樋部材16内に収納された冷却水14aを、
図4および
図5のように第2の樋部材16aからスムーズに排水させることができる。
【0043】
上記の溶接システム100において、受け材12はX方向に沿うように延びており、導水管14は、第1の樋部材16と平面的に重なる領域において、受け材12を挟むように1対配置されていてもよい。これにより、導水管14から第1の板材2に向けて噴射される冷却水14aが、受け材12の真上の第2の板材4が溶接されるべき部分の真下に供給され、冷却効率が高められる。溶接システム100に用いられる受け材12、導水管14、第1の樋部材16はすべてX方向に沿って延び、複数配置される。これらのY方向についての間隔を調整することにより、たとえばY方向の寸法が異なる様々なサイズの第1の板材2に第2の板材4を溶接できる。
【0044】
また
図1などにおける複数並ぶ受け材12のそれぞれは、主表面が矩形状であり、Z方向の寸法は等しい。つまり複数の受け材12のそれぞれの最上面は直線状に延び、そのZ方向の位置はほぼ等しい。これにより平坦な第1の板材2の上に第2の板材4を安定に溶接できる。しかし溶接システム100においては、複数の受け材12のそれぞれは領域ごとにZ方向の寸法が変化してもよく、たとえばその最上面が曲線状であってもよい。たとえば溶接システム100の平面視での中央部における受け材12をZ方向の最上部が低くなるように寸法を小さくし、そこから平面視での外側に向けて漸次Z方向の最上部が高くなるように受け材12の寸法を大きくしてもよい。このようにすれば、その受け材12の上に接するように載置された第1の板材2は、溶接後に、受け材12の高さに追随するように、中央部が最も低い位置にあり、外側が高い位置にある、船舶の本体のようないわゆる下に凸の曲面状となるよう加工することができる。
【0045】
(実施の形態2)
図10は、実施の形態2の溶接システムを用いた溶接部品の製造工程を示す概略斜視図である。
図11は、実施の形態2の製造工程における
図8中のIX-IX線に沿う部分の概略断面図である。
図10および
図11を参照して、本実施の形態の溶接システム100およびそれを用いた溶接部品の製造方法は、基本的に実施の形態1と同様である。このため実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1と同様の特徴についてはその説明を繰り返さない。ただし本実施の形態においては拘束部材18の構成について、実施の形態1と異なっている。
【0046】
具体的には、本実施の形態では、拘束部材18として、
図7~
図9に示す押圧材18aなどの部材の代わりに、万力すなわちシャコ万力18dが用いられる。シャコ万力18dは、第1の板材2の第1の表面2a上に載置可能な端部拘束材19と、その真下の第1の板材2とを、それらの上下から挟み込むことが可能な構成を有している。
図11に示すように、たとえば複数の第1の樋部材16のうちY方向の一方の最も端部にある第1の樋部材16の外側に隣接する固定部材21と、その上に配置される第1の板材2および端部拘束材19とを上下から挟むようにシャコ万力18dが設置されてもよい。なお固定部材21と第1の板材2との間にはZ方向に隙間が存在してもよい。これによりシャコ万力18dは、実施の形態1と同様に、第1の板材2の第1の表面2a、および端部拘束材19に下向きの圧力を印加する。したがって、本実施の形態の溶接部品の製造方法においては、溶接する工程において第1の表面2a上に加えられる下方への力は、第1の板材2と、第1の板材2上に設置された端部拘束材19とがシャコ万力18dで挟み込まれることにより印加される。このように拘束部材18としてシャコ万力18dを用いることにより、実施の形態1の押圧材18aを用いる場合に比べて、設備がシンプルなものとなる。
【0047】
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1に示す溶接システム100と大筋で同様であるが、実施の形態1の溶接システム100をより具体化させたものである。
図12は、実施の形態3に係る溶接システムの構成を示す概略平面図である。
図13は、
図12中のXIII-XIII線に沿う部分の概略断面図である。
図12~
図13を参照して、本実施の形態の溶接システム100は、実施の形態1の溶接システム100と大筋で同様の構成を有するため、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、機能等が同様である限りその説明を繰り返さない。また本実施の形態においても実施の形態1と同様に、溶接システム100の第1の樋部材16に収納される受け材12の上には第1の板材2が載置され、これにほぼ垂直に交差するように第2の板材4が配置される。このため
図12以降の各図においては第1の板材2および第2の板材4を点線で示す場合がある。なお本実施の形態の溶接システム100は、ハンドル部材30が設けられている。
【0048】
図14は、
図12中の点線で囲まれた領域XIVの概略拡大平面図である。
図15は、
図14中のXV-XV線に沿う部分の概略断面図である。
図16は、
図12中の点線で囲まれた領域XVIの概略拡大平面図である。
図17は、
図16中のXVII-XVII線に沿う部分の概略断面図である。
【0049】
図14~
図17を参照して、本実施の形態においては、実施の形態1の拘束部材18として、拘束部材28が設けられている。拘束部材28は、ヒンジボルト28aと、ヒンジボルト丸鋼28bとを有している。ヒンジボルト28aは、頭部に貫通孔が設けられ、頭部以外のまっすぐ延びる部分には雄ねじが形成されている。ヒンジボルト28aの雄ねじが形成されるまっすぐ延びる部分の外周にはバネ28cが巻かれるように設けられている。ヒンジボルト28aは、たとえば
図17に示すように、貫通孔のある頭部がZ方向の下側に、雄ねじが形成された部分がZ方向の上側となるように配置されている。ヒンジボルト28aはおよそ実施の形態1の押圧材18aが置き替えられたものであり、X方向に間隔をあけて複数設置されている。ヒンジボルト28aの貫通孔にはヒンジボルト丸鋼28bが貫通されている。ヒンジボルト丸鋼28bは、溶接システム100のY方向の一方および他方の端部に1本ずつ配置されている。ヒンジボルト丸鋼28bはおよそ実施の形態1の回転中心18bが置き替えられたものである。この1本のヒンジボルト丸鋼28bは、たとえば最もX方向左側の架台10から最もX方向右側の架台10まで跨ぐようにX方向に長く延びていてもよい。
【0050】
端部拘束材29は実施の形態1の端部拘束材19に相当し、第1の板材2上に乗るように設置される。端部拘束材19はバネ28cにより下方に移動しないように拘束され、第1の板材2の第1の表面2a上に下方への力を加えることができる。端部拘束材29には、1対の矩形の主表面を貫通する貫通孔が形成されている。その貫通孔をヒンジボルト28aの雄ねじ部が貫通する(バネ28cは貫通しない)。ヒンジボルト28aの端部拘束材29の貫通孔を貫通する部分よりも上側にナット28nが配置される。当該ナット28nに形成された雌ねじとヒンジボルト28aの雄ねじとが嵌合する。このナット28nにより、端部拘束材29は上方に移動しないよう拘束されている。雄ねじが形成されまっすぐ上下に延びる部材と、バネ28cと、ナット28nとにより、ヒンジボルト28aが構成されている。ナット28nとバネ28cとにより端部拘束材29は上下から挟み込まれる。端部拘束材29は、X方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0051】
バネ28cとナット28nとの上下方向の位置を調整することにより、端部拘束材29の上下方向の位置を調整可能である。受け材12のZ方向の最上部の高さは、受け材12のX方向およびY方向の位置に応じて異なる場合がある。このような場合において、各受け材12の上に取り付けられる端部拘束材29のZ方向の高さを調整できることは実益がある。
【0052】
ハンドル部材30は、ハンドル30aと、ハンドル丸鋼30bとを有している。ハンドル30aは、ハンドル部材30のうち実際に使用者が回転させる部分である。ハンドル30aは、
図14中に「30」と示す、XV-XV線上のY方向中央部に配置されている。ハンドル30aは、回転させていない初期状態においては、
図15に示すようにZ方向に向けて延びている円柱形状のいわゆる丸鋼である。ハンドル丸鋼30bはハンドル部材30のたとえばハンドル30aのZ方向最下部の幅が広くなった鋼板の部分に設けられた貫通孔を貫通する。ハンドル丸鋼30bはヒンジボルト丸鋼28bと同様に、溶接システム100のY方向の一方および他方の端部に配置されている。このハンドル丸鋼30bは、たとえば最もX方向左側の架台10から最もX方向右側の架台10まで跨ぐようにX方向に長く延びていてもよい。
【0053】
なお
図15、
図17に示すように、架台10の上からヒンジボルト丸鋼28bが外れないように保持する観点から、たとえば鋼板としての固定部材31が設けられている。
【0054】
ハンドル丸鋼30bは、ヒンジボルト丸鋼28bのたとえば上側に、Y方向についてヒンジボルト丸鋼28bに隣接する位置に1本ずつ配置されている。これにより1対のハンドル丸鋼30bが、1本のヒンジボルト丸鋼28bをY方向について挟むように配置されている。なお1対のハンドル丸鋼30bは、少なくともその表面の一部がヒンジボルト丸鋼28bの表面の一部に接触することが好ましい。以上の構成を有することにより、たとえば使用者がハンドル30aを回転させることにより、これを貫通するハンドル丸鋼30bに回転力が伝えられる。この回転力により、ハンドル丸鋼30bに接触するヒンジボルト丸鋼28bにも回転力が伝えられ、ヒンジボルト28aが回転する。このヒンジボルト28aの回転の方向に応じて端部拘束材29が動く。端部拘束材29は上下から挟み込まれ上下に移動できないためである。具体的には、たとえば
図15における半時計方向にハンドル30aを回転させれば端部拘束材29は第1の板材2から離れるように左側へ移動する。また
図15における時計方向にハンドル30aを回転させれば端部拘束材29は第1の板材2に近づき第1の板材2を押圧するように右側へ移動する。以上のように、ハンドル30aを回すと、ヒンジボルト28aがハンドル30aに合わせるように回転し、端部拘束材29が第1の板材2に押圧力を加えたり第1の板材2に対して退いたりする。
【0055】
図18は、
図12中の点線で囲まれた領域XVIIIの概略拡大平面図である。
図19は、
図18中のXIX-XIX線に沿う部分の第1例の概略断面図である。
図18および
図19を参照して、溶接システム100のX方向の一方および他方の端部には、シャコ万力28d、端部拘束材29およびネジ棒38dが設置されている。これらはY方向に間隔をあけて複数設けられている。
図19に示すように、ネジ棒38dはZ方向に延びており、そのほぼ全体に雄ねじが形成されている。ネジ棒38dの雄ねじが形成されるまっすぐ延びる部分の外周にはバネ38cが巻かれるように設けられている。端部拘束材29はバネ38cにより下方に移動しないように拘束される。また端部拘束材29には1対の矩形の主表面を貫通する貫通孔が形成されており、その貫通孔より上部にナット38nが配置されている。ネジ棒38dは端部拘束材29の貫通孔を貫通する(バネ38cは貫通しない)。当該ナット38nの雌ねじがネジ棒38dの雄ねじと嵌合する。このナット38nにより、端部拘束材29は上方に移動しないよう拘束されている。雄ねじが形成されまっすぐ上下に延びる部材と、バネ38cと、ナット38nとにより、ネジ棒38dが構成されている。ナット38nとバネ38cとにより端部拘束材29は上下から挟み込まれている。なお
図18に示すように、Y方向についてシャコ万力28dを挟むように、1対のネジ棒38dが設けられ、これらを挟むように、1対のネジ棒固定部材32が設けられている。これらのシャコ万力28d、ネジ棒38d、ネジ棒固定部材32のまとまりと、第1の樋部材16とが、Y方向について交互に並ぶように配置されている。この場合もバネ38cとナット38nとの上下方向の位置を調整することにより、端部拘束材29の上下方向の位置を調整可能である。
【0056】
なお
図20は、
図18中のXIX-XIX線に沿う部分の第2例の概略断面図である。
図19では端部拘束材29を貫通する部材としてネジ棒38dが用いられる。しかし
図20を参照して、
図18でのネジ棒38dの配置される位置に、ネジ棒38dの代わりにヒンジボルト28aが用いられてもよい。この場合、
図14~
図17と同様にヒンジボルト28aが複数の端部拘束材29の貫通孔を貫通し、ヒンジボルト28aの雄ねじ部とナット28nの雌ねじとが嵌合される。ヒンジボルト28aに含まれるバネ28cとナット28nとにより、端部拘束材29は上下から挟み込まれる。また
図14~
図17と同様に、
図20のヒンジボルト28aはY方向に間隔をあけて複数配置される。それぞれのヒンジボルト28aの孔部のそれぞれを貫通するようにY方向に長く延びる1本のヒンジボルト丸鋼28bと、その上側に配置され1本のヒンジボルト丸鋼28bをX方向について挟む1対のハンドル丸鋼30bとが配置されてもよい。この場合にはX方向端部用のハンドル30aとハンドル丸鋼30bとを有するハンドル部材30が別途設置される。この場合も1対のハンドル丸鋼30bは、少なくともその表面の一部がヒンジボルト丸鋼28bの表面の一部に接触することが好ましい。
【0057】
なお
図19および
図20に示すように、架台10とその直上の部材(たとえば第1の樋部材16または
図11の固定部材21など)とがシャコ万力28dで固定されてもよい。このことは本実施の形態に限らず、実施の形態1,2においても同様になされてもよい。
【0058】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0059】
本実施の形態においては、実施の形態1の拘束部材18としての押圧材18aの代わりに、ヒンジボルト28aが用いられている。端部拘束材29の上にナット28nが設けられることにより、ヒンジボルト28aの雄ねじとナット28nとが互いに嵌合され、ヒンジボルト28aに貫通される端部拘束材29が、ナット28nおよびバネ28cにより上下から挟み込まれる。これにより、実施の形態1,2のように複数の端部拘束材19のそれぞれを1つずつの押圧材18aまたはシャコ万力18dで挟むようにセットする手間を省くことができる。つまり実施の形態1などに比べて第1の板材2などの設置工程の作業効率を大幅に向上させることができる。複数のヒンジボルト28aの貫通孔に同一の(1本の)ヒンジボルト丸鋼28bが貫通することで、複数のヒンジボルト28aのそれぞれに貫通される複数の端部拘束材29は、これらがヒンジボルト丸鋼28bに沿って延びる1本として繋げて一体化させたかのように駆動させることができるためである。
【0060】
本実施の形態においては、1対のハンドル丸鋼30bは、1本のヒンジボルト丸鋼28bをY方向について挟むように、1本のヒンジボルト丸鋼28bの上側に配置される。ハンドル丸鋼30bのそれぞれはヒンジボルト丸鋼28bと少なくとも部分的に接触している。これにより、ハンドル30aを回すことで、ハンドル丸鋼30bからヒンジボルト丸鋼28bへの力の伝達がスムーズに行われる。このためハンドル30aを回すだけで、ヒンジボルト28aに貫通された端部拘束材29は容易に第1の板材2などを押圧できる。
【0061】
なおヒンジボルト丸鋼28bの上にハンドル丸鋼30bが存在しない場合は、ヒンジボルト28aの貫通孔と、当該貫通孔を貫通するヒンジボルト丸鋼28bとを固定する加工が必要となる。しかし本実施の形態によれば、ヒンジボルト丸鋼28bを回転させるハンドル丸鋼30bの存在により、上記のヒンジボルト28aとヒンジボルト丸鋼28bとを固定する加工が不要となる。これはハンドル30aからハンドル丸鋼30bに力が伝えられ、さらにそこからヒンジボルト28aに回転力が伝えられるため、ヒンジボルト丸鋼28bからヒンジボルト28aに伝える力が弱くても十分に機能するためである。これにより、ヒンジボルト28aとヒンジボルト丸鋼28bとを固定する工程を省略でき、作業効率を高められる。
【0062】
(実施の形態4)
図21は、実施の形態4における
図9に相当する部分の第1例の概略断面図である。
図22は、実施の形態4における
図9に相当する部分の第2例の概略断面図である。本実施の形態の溶接システム100は基本的に上記各実施の形態の溶接システム100と同様であるため詳細な説明を繰り返さない。しかし
図21および
図22を参照して、本実施の形態の溶接システム100は、受け材12に、冷却媒体保持材13aおよび冷却媒体保持材13bのいずれかが取り付けられている。
【0063】
冷却媒体保持材13aは、たとえば1枚の熱に強く水を吸収しやすい布により形成されている。冷却媒体保持材13aは、受け材12のZ方向についての最上部を含む上側の領域の表面を覆うように、言い換えれば受け材12の上側の領域の表面上に巻かれるように、配置されている。冷却媒体保持材13aは、受け材12がX方向に長く延びる部分のほぼ全体において、受け材12のY方向正側および負側を向く1対の表面の一部を覆う第1の部分と、それら1対の表面の間を繋ぐように受け材12のZ方向最上面を覆う第2の部分とを有している。したがって冷却媒体保持材13aはX方向に沿って延びている。第2の部分は受け材12のZ方向最上面と、第1の板材2の第2の表面2bとに挟まれている。
【0064】
冷却媒体保持材13bは、たとえば熱に強く不燃性で水を吸収しやすく、かつ力を加えると変形しやすい、綿状の部材により形成されている。冷却媒体保持材13bは、冷却媒体保持材13aと同様に、受け材12のZ方向についての最上部を含む上側の領域の表面を覆うように、言い換えれば受け材12の上側の領域の表面上に巻かれるように、配置されている。冷却媒体保持材13bは、冷却媒体保持材13aと同様に、第1の部分と第2の部分とを有しており、X方向に沿って延びている。第2の部分は受け材12のZ方向最上面と第1の板材2の第2の表面2bとに挟まれている。これにより冷却媒体保持材13bは挟まれる方向に大きく変形し、第2の部分は第1の部分に比べてZ方向の寸法が非常に小さくなっている。
【0065】
図21および
図22は、実施の形態1の溶接システム100が冷却媒体保持材13a,13bを有する例を示している。しかしこれに限らず、たとえば
図11に示す実施の形態2の溶接システム100、または実施の形態3の溶接システム100が冷却媒体保持材13a,13bを有してもよい。
【0066】
冷却媒体保持材13a,13bは、水を吸収しやすい布状または綿状の部材などにより形成されている。冷却媒体保持材13a,13bは、導水管14から噴射される冷却水を吸収することにより、これを分散および保持することができる。このことについて以下に説明する。
【0067】
導水管14の噴射部14bは導水管14の延びるX方向についてある間隔を有する。このためX方向について噴射部14bとそれに隣接する噴射部14bとの間の領域の真上の第1の板材2の領域には、冷却水14aが飛散により直接届かない不具合が起こり得る。しかし受け材12の延びるX方向に沿って延び、受け材12の表面に巻かれた冷却媒体保持材13a,13bが、受けた冷却水を吸収し分散保持する。つまり冷却媒体保持材13a,13bは、噴射部14bから受けた冷却水14aを吸収し、X方向などに沿ってその全体に染み渡らせることができる。このため、噴射部14bから噴射する冷却水14aが届きにくい第1の板材2の表面上の領域についても、冷却媒体保持材13a,13bを介して、冷却水14aが供給される。したがって冷却水14aが第1の板材2の全体を冷やすことにより、第1の板材2の冷却効果が高められる。このようにして、冷却媒体保持材13a,13bにより、第1の板材2に達する冷却媒体の量、およびこれによる第1の板材2の冷却効果を制御できる。
【0068】
以上に述べた各実施の形態(に含まれる各例)に記載した特徴を、技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせるように適用してもよい。
【0069】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
2 第1の板材、2a 第1の表面、2b 第2の表面、4 第2の板材、4a 第3の表面、4b 第4の表面、6 溶接部、10 架台、12 受け材、13a,13b 冷却媒体保持材、14 導水管、14a 冷却水、14b 噴射部、16 第1の樋部材、16a 第2の樋部材、18,28 拘束部材、18a 押圧材、18b 回転中心、18c 押圧面、18d,28d シャコ万力、19,29 端部拘束材、20 導水管固定材、21,31 固定部材、22 給水部、24 導水管栓、28a ヒンジボルト、28b ヒンジボルト丸鋼、28c,38c バネ、28n,38n ナット、30 ハンドル部材、30a ハンドル、30b ハンドル丸鋼、32 ネジ棒固定部材、38d ネジ棒、100 溶接システム。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の板材および第2の板材を準備する工程と、
前記第1の板材の第1の表面上に前記第2の板材を溶接する工程とを備え、
前記溶接する工程においては、前記第1の板材の前記第1の表面と反対側の第2の表面に冷却媒体が供給され、
前記冷却媒体は、前記第1の板材の前記第2の表面側に配置された導水管から噴射され、
前記溶接による加熱がなされる間において、前記第2の表面の、前記第1の表面と前記第2の板材とが溶接されるべき部分である溶接部が配置される部分と平面的に重なる領域に噴射された冷却媒体が供給され、
前記溶接する工程は、前記第1の板材の前記第1の表面上に載置され前記第1の表面に対して下方への力を印加可能な拘束部材により、前記第1の板材の前記第1の表面上に下方への力が加えられた状態でなされ、
前記導水管は、前記第1の板材を設置するための受け材を挟むように1対隣接し、
前記受け材は前記第2の板材の真下に配置される、溶接部品の製造方法。
【請求項2】
前記導水管は平面視における第1の方向に沿うように延びており、
前記冷却媒体は、前記導水管にて前記第1の方向に沿って間隔を隔てて複数形成された噴射部のそれぞれから前記第2の表面上に供給される、請求項1に記載の溶接部品の製造方法。
【請求項3】
前記溶接する工程において前記第1の表面上に加えられる前記下方への力は、前記第1の板材と、前記第1の板材上に設置された端部拘束材とが万力で挟み込まれることにより印加される、請求項1または2に記載の溶接部品の製造方法。
【請求項4】
第1の板材の第1の表面上に第2の板材を溶接する溶接システムであって、
前記第1の板材を設置するための受け材と、
前記受け材に設置された前記第1の板材の、前記第2の板材が溶接される前記第1の表面と反対側の第2の表面に冷却媒体を供給可能な導水管と、
前記導水管の真下から前記導水管の周囲にまで拡がり、前記導水管から噴射される前記冷却媒体を排水するための第1の樋部材とを備え、
前記第2の表面の、前記第1の表面と前記第2の板材とが溶接されるべき部分である溶接部が配置される部分と平面的に重なる領域に噴射された前記冷却媒体が供給され、
前記導水管は平面視における第1の方向に沿うように延びており、
前記導水管から前記冷却媒体が噴射される噴射部は、前記導水管における前記第1の方向に沿って間隔を隔てて複数配置され、
前記第1の板材の前記第1の表面上に載置され前記第1の表面に対して下方への力を印加可能な拘束部材をさらに備え、
前記導水管は、前記第1の板材を設置するための前記受け材を挟むように1対隣接し、
前記受け材は前記第2の板材の真下に配置される、溶接システム。
【請求項5】
前記第1の樋部材の前記第1の方向についての一方の端部および他方の端部と平面視にて連続する位置に、前記第1の方向に交差する第2の方向に沿うように延びる第2の樋部材をさらに備える、請求項4に記載の溶接システム。
【請求項6】
前記受け材は前記第1の方向に沿うように延びており、
前記導水管は、前記第1の樋部材と平面的に重なる領域において、前記受け材を挟むように1対配置されている、請求項5に記載の溶接システム。
【請求項7】
前記拘束部材は、前記第1の板材の前記第1の表面上に載置可能な端部拘束材と、前記第1の板材とを挟み込むことが可能な万力である、請求項4~6のいずれか1項に記載の溶接システム。