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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015871
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】検出デバイスおよび表示システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/115 20200101AFI20220114BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20220114BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20220114BHJP
【FI】
H05B47/115
H05B47/19
H05B47/165
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119008
(22)【出願日】2020-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】尾形 大輔
(72)【発明者】
【氏名】稲村 公孝
(72)【発明者】
【氏名】香川 修志
(72)【発明者】
【氏名】小林 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】谷藤 直輝
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA03
3K273PA04
3K273PA05
3K273QA07
3K273QA27
3K273QA30
3K273QA37
3K273RA02
3K273RA05
3K273RA16
3K273SA02
3K273SA23
3K273SA38
3K273SA39
3K273SA46
3K273SA57
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA18
3K273TA22
3K273TA28
3K273TA41
3K273TA47
3K273TA54
3K273TA57
3K273TA62
3K273TA63
3K273TA66
3K273TA70
3K273UA16
3K273UA27
(57)【要約】
【課題】 より多彩な検出領域に適用可能な検出デバイスおよび表示システムを提供すること。
【解決手段】 検出領域Arを通過する検出対象Obの有無および移動方向を検出する検出デバイスSdであって、x方向に沿って光を発する発光部411,421および検出対象Obによって反射された光を受光する受光部412,422を各々が有する第1センサ41および第2センサ42と、第1センサ41および第2センサ42の出力信号を処理する演算部43と、を備え、第1センサ41および第2センサ42は、y方向に互いに離間して配置されており、演算部43は、第1センサ41および第2センサ42によって検出される検出対象Obまでのx方向における距離と、第1センサ41および第2センサ42の出力信号の時間的なずれと、に基づいて、検出対象Obの有無および移動方向を検出する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域を通過する検出対象の有無および移動方向を検出する検出デバイスであって、
第1方向に沿って光を発する発光部および前記検出対象によって反射された光を受光する受光部を各々が有する第1センサおよび第2センサと、
前記第1センサおよび前記第2センサの出力信号を処理する演算部と、を備え、
前記第1センサおよび前記第2センサは、前記第1方向と直角である第2方向に互いに離間して配置されており、
前記演算部は、前記第1センサおよび前記第2センサによって検出される前記検出対象までの前記第1方向における距離と、前記第1センサおよび前記第2センサの出力信号の時間的なずれと、に基づいて、前記検出対象の有無および移動方向を検出することを特徴とする、検出デバイス。
【請求項2】
前記第1センサと前記第2センサとは、前記第2方向において15cm以上離れている、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項3】
検出領域を通過する検出対象の有無および移動方向を検出する複数の検出デバイスと、
制御装置と、
表示装置と、
前記複数の検出デバイス、前記制御装置および前記表示装置を接続するネットワークと、を備える表示システムであって、
前記複数の検出デバイスは、各々が特定空間の出入口に当該出入口の通過者を検出するように設置されており、
前記制御装置は、前記複数の検出デバイスの検出信号に含まれる前記通過者の有無および前記通過者の通過方向に関する情報に基づいて、前記特定空間内の滞在人数を演算し、前記滞在人数に応じた表示データを出力し、
前記表示装置は、前記表示データを表示することを特徴とする、表示システム。
【請求項4】
前記ネットワークは、前記特定空間を照らすように設けられた複数の照明器具を制御するために構築されており、
前記制御装置は、前記滞在人数に基づいて前記複数の照明器具を制御する、請求項3に記載の表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出デバイスおよび表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
検出対象の有無を検出するために光学的手段を用いる検出デバイスが、種々に提案されている。特許文献1には、従来の検出デバイスの一例が開示されている。同文献に開示された検出デバイスは、検出領域を挟んで対向配置された発光部および受光部を備える。発光部からの光は、検出領域を通過して受光部によって受光される。検出領域に検出対象の一例である人体等が存在すると、発光部からの光が遮られ、この光が受光部で受光されない。このように、受光部の受光の有無によって、検出領域における検出対象の有無を判断できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-47082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の検出デバイスを用いる場合、検出領域の両側に発光部と受光部とを配置する必要がある。たとえば、検出領域の一例である建物や部屋等の出入口において、検出対象としての人物を検出する場合、出入口の左右両側に発光部を内蔵した直立パネルと受光部を内蔵した直立パネルとを設置することが強いられる。出入口等の検出領域の存在位置や形状および大きさによっては、発光部および受光部を適切に配置することが困難な場合がある。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、より多彩な検出領域に適用可能な検出デバイスおよび表示システムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される検出デバイスは、検出領域を通過する検出対象の有無および移動方向を検出する検出デバイスであって、第1方向に沿って光を発する発光部および前記検出対象によって反射された光を受光する受光部を各々が有する第1センサおよび第2センサと、前記第1センサおよび前記第2センサの出力信号を処理する演算部と、を備え、前記第1センサおよび前記第2センサは、前記第1方向と直角である第2方向に互いに離間して配置されており、前記演算部は、前記第1センサおよび前記第2センサによって検出される前記検出対象までの前記第1方向における距離と、前記第1センサおよび前記第2センサの出力信号の時間的なずれと、に基づいて、前記検出対象の有無および移動方向を検出することを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1センサと前記第2センサとは、前記第2方向において15cm以上離れている。
【0008】
本発明の第2の側面によって提供される表示システムは、検出領域を通過する検出対象の有無および移動方向を検出する複数の検出デバイスと、制御装置と、表示装置と、前記複数の検出デバイス、前記制御装置および前記表示装置を接続するネットワークと、を備える表示システムであって、前記複数の検出デバイスは、各々が特定空間の出入口に当該出入口の通過者を検出するように設置されており、前記制御装置は、前記複数の検出デバイスの検出信号に含まれる前記通過者の有無および前記通過者の通過方向に関する情報に基づいて、前記特定空間内の滞在人数を演算し、前記滞在人数に応じた表示データを出力し、前記表示装置は、前記表示データを表示することを特徴としている。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ネットワークは、前記特定空間を照らすように設けられた複数の照明器具を制御するために構築されており、前記制御装置は、前記滞在人数に基づいて前記複数の照明器具を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、検出デバイスおよび表示システムをより多彩な検出領域に適用することができる。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る表示システムを示すシステム構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る表示システムを示す概略レイアウト図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る表示システムの検出デバイスを示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る表示システムの検出デバイスを示す概略平面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る表示システムの検出デバイスを示す概略平面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る表示システムの検出デバイスを示す概略平面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る表示システムの検出デバイスを示す概略側面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る表示システムの検出デバイスによる検出例を示すグラフである。
図9】本発明の第1実施形態に係る表示システムの検出デバイスの検出例を示す表である。
図10】本発明の第1実施形態に係る表示システムの照明器具を示すブロック図である。
図11】本発明の第1実施形態に係る表示システムの制御装置を示すブロック図である。
図12】本発明の第1実施形態に係る表示システムの携帯端末を示すブロック図である。
図13】本発明の第1実施形態に係る表示システムの表示装置を示すブロック図である。
図14】本発明の第1実施形態に係る表示システムのシーケンスダイアグラムである。
図15】本発明の第1実施形態に係る表示システムの検出結果に基づく算出例である。
図16】本発明の第1実施形態に係る表示システムのシーケンスダイアグラムである。
図17】本発明の第2実施形態に係る表示システムを示すシステム構成図である。
図18】本発明の第3実施形態に係る表示システムを示す概略レイアウト図である。
図19】本発明の第4実施形態に係る表示システムを示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単にラベルとして用いたものであり、それらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0015】
<第1実施形態>
図1図13は、本発明の第1実施形態に係る表示システムを示している。本実施形態の表示システムA1は、複数の照明器具L、検出デバイスSd、制御装置Ct、携帯端末Mdおよび表示装置Dpを備えている。なお、本実施形態とは異なり、携帯端末Mdを備えない構成であってもよい。
【0016】
本発明に係る表示システムは、特定空間の出入口に当該出入口の通過者を検出し、関連する情報を表示するシステムであり、その具体的な構成は何ら限定されない。本実施形態の表示システムA1は、図2に示すように、たとえば特定空間としての店舗において複数の出入口Etの通過者を検出する場合を例に説明する。特定空間としては、屋内の部屋およびホールや、屋外の各種会場、公園、施設等が広く含まれる。
【0017】
図1は、表示システムA1を示すシステム構成図である。図2は、表示システムA1を示す概略レイアウト図である。図3は、表示システムA1の検出デバイスSdを示すブロック図である。図4は、表示システムA1の検出デバイスSdを示す概略平面図である。図5は、表示システムA1の検出デバイスSdを示す概略平面図である。図6は、表示システムA1の検出デバイスSdを示す概略平面図である。図7は、表示システムA1の検出デバイスSdを示す概略側面図である。図8は、表示システムA1の検出デバイスSdによる検出例を示すグラフである。図9は、表示システムA1の検出デバイスSdの検出例を示す表である。図10は、表示システムA1の照明器具Lを示すブロック図である。図11は、表示システムA1の制御装置Ctを示すブロック図である。図12は、表示システムA1の携帯端末Mdを示すブロック図である。図13は、表示システムA1の表示装置Dpを示すブロック図である。
【0018】
〔検出デバイスSd〕
検出デバイスSdは、図4に示すように、検出領域Arを通過する検出対象Obの有無および移動方向を検出するデバイスであり、検出領域Arに対して本発明の第1方向に相当するx方向の片側に配置されている。検出領域Arや検出対象Obの具体的な構成は何ら限定されない。本実施形態においては、出入口Etに検出領域Arが設定されており、検出対象Obとして出入口Etの通過者を検出する。図3および図4に示すように、本実施形態の検出デバイスSdは、第1センサ41、第2センサ42、演算部43、無線通信部44および電源部45を備える。
【0019】
第1センサ41および第2センサ42は、検出対象Obとの距離を光学的手法で検出する機能を果たすセンサである。第1センサ41および第2センサ42は、互いの構成が共通していても良いし、互いに異なる構成であってもよい。以下の説明においては、第1センサ41および第2センサ42の構成が共通である場合を例に説明する。
【0020】
第1センサ41は、発光部411および受光部412を有する。発光部411は、図4においてx方向に沿って光を出射する。発光部411からの光は、x方向に沿って広がり角度が極力抑えられた指向性が高い光が好ましい。発光部411は、LEDやレーザ素子が用いられる。また、これらの発光素子からの光の指向性を高めるためのレンズ等を適宜備えていてもよい。受光部412は、発光部411から発せられた光が検出対象Obによって反射された場合に、この反射光を受光することにより、受光信号を出力するものである。受光部412としては、光電変換機能を果たす様々な構成が採用可能であり、たとえばフォトダイオードやフォトトランジスタ等が挙げられる。
【0021】
本実施形態の発光部411および受光部412は、LiDAR(Light Detection And Ranging)が採用されている。発光部411は、レーザ光をパルス状に照射可能であり、たとえばイットリウムを主原料とする半導体から波長600~900nmのレーザ光を出射する。受光部412は、たとえばケイ素とインジウムガリウム砒素を用いたフォトダイオードによって構成される。発光部411からの発振周波数は、20~100Hzの範囲で行う。このような発振周波数の検出デバイスSdによれば、検出対象Obの進入角度を検出しやすくなる。
【0022】
第2センサ42は、発光部421および受光部422を有している。発光部421および受光部422は、上述の発光部411および受光部412と同じ構成である。
【0023】
図4に示すように、第1センサ41および第2センサ42は、各々がx方向に沿って光を出射する。そして、第1センサ41および第2センサ42は、本発明の第2方向に相当するy方向に互いに離間して配置されている。第1センサ41と第2センサ42とのy方向における距離Dyは、15cm以上が好ましく、より好ましくは20cm以上である。なお、図4における距離Dyは、たとえば発光部411から出射される光の光軸と発光部421から出射される光の光軸との距離として定義される。
【0024】
演算部43は、第1センサ41および第2センサ42からの信号を処理するものである。図3に示すように、本実施形態の演算部43は、第1マイコン431、第2マイコン432およびメインマイコン433を有する。第1マイコン431には、たとえばUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)によって第1センサ41が接続されており、第2マイコン432には、UARTによって第2センサ42が接続されている。第1マイコン431および第2マイコン432は、たとえばGPIO(General-purpose input/output)によってメインマイコン433に接続されている。
【0025】
図5に示す状態においては、出入口Etに設定された検出領域Arには、検出対象Obである通過者は存在しておらず、第1センサ41および第2センサ42は、所定距離離れた壁Wlを検知している。一方、検出領域Arを通過者が通過すると、第1センサ41および第2センサ42が、この通過者を検出対象Obとして検出する。
【0026】
第1マイコン431は、第1センサ41からの信号に基づいて検出対象Obが通過者等の人体であるか否かを判断する。人体を検出した場合、第1マイコン431は、人検知信号をメインマイコン433に送信する。第2マイコン432は、第2センサ42からの信号に基づいて検出対象Obが通過者等の人体であるか否かを判断する。人体を検出した場合、第2マイコン432は、人検知信号をメインマイコン433に送信する。
【0027】
なお、図7に示すように、検出デバイスSdが店舗の出入口Etに設置される場合、床Flから検出デバイスSdまでの高さH(第1センサ41および第2センサ42からのレーザ光までの高さ)は、80~120cmが好ましい。1つの出入口Etに2つの検出デバイスSdを互いに異なる高さに設置し、一方を成人用、他方を子供用に用いてもよい。また、カートなどを利用する店舗の出入口に設置する場合、この高さHを110cmから120cmとする。設置する場所によっては、外光の影響を受けやすくなるため検出デバイスSdの第1センサ41および第2センサにひさしやブラインドを設けて誤作動を防ぐことができる。
【0028】
メインマイコン433は、第1マイコン431および第2マイコン432からの人検知信号を受けて、通過者のy方向における移動方向を判断する。たとえば、図8は、ある通過者を検出した場合の第1センサ41および第2センサ42からの距離検出信号を示している。それぞれの距離検出信号が一時的に短くなっているタイミングが、通過者を検出対象Obとして検出したタイミングである。この検出に基づいて、第1マイコン431および第2マイコン432からメインマイコン433に人検知信号が送信される。それぞれの人検知信号には、人を検知した時刻がタイムスタンプとして含まれている。メインマイコン433は、第1センサ41および第2センサ42が同一の通過者を検出対象Obとして検出したこと、およびその検知の時刻差に基づいて、通過者の移動方向を判断する。図示された例においては、第1センサ41による検知の後に第2センサ42による検知がなされている。このため、この通過者は、y方向において第1センサ41側から第2センサ42側(図中上側から下側)に移動したと判断する。通過者が逆の方向に通過した場合、図8における第1センサ41および第2センサ42の距離検知信号が逆の関係となる。
【0029】
メインマイコン433は、検出対象Obとしての通過者の移動方向を判断し、本実施形態においては、当該通過者が特定空間である店舗への入店者か退店者であるかに対応させて人数増減情報を生成する。そして、メインマイコン433は、機器ID、人数増減情報やタイムスタンプ等を含む検出データを生成する。
【0030】
なお、図2においては、複数の検出デバイスSdである検出デバイスSd1~Sd4が複数の出入口Et1~Et4に個別に配置されている。図1に示す検出デバイスSdnは、検出デバイスSd1~Sd4を一般化して示したものである。
【0031】
無線通信部44は、対応する照明器具Lと後述の第2プロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。本実施形態においては、検出デバイスSdが固有の機器IDを有する。機器IDの具体例は何ら限定されず、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。なお、機器IDは、無線通信部44に記憶されていてもよいし、たとえば演算部43のメモリ(図示略)に記憶されていてもよい。
【0032】
電源部45は、第1センサ41、第2センサ42、演算部43および無線通信部44等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部45は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有するもの、あるいは充電可能なバッテリーである。
【0033】
図9は、距離Dyと通過者の検出精度の関係を示している。距離Dyが20cm以上であれば、検出デバイスSdと検出対象Obとしての通過者との距離設定を変更しても、通過者の検出に誤判定が生じず、通過者のカウントを適切に行うことができた。一方、距離Dyが10cmの場合、検出対象Obとしての通過者との距離設定が遠くなると、通過者の検出に誤判定が生じ、通過者のカウントに誤差が認められた。
【0034】
これらの誤差は、検出デバイスSdから距離に応じた発光部411、421からのレーザ光のスポット径の変化による。本実施形態で利用する検出デバイスSdの場合、検出デバイスSdからの距離が1m、2m、3m、5mと離れると、スポット径が6cm、12cm、18cm、30cmとなる。スポット径が大きくなるほどレーザ光が互いに干渉する領域が多くなり、第1センサ41と第2センサ42の距離が10cmの場合、検出デバイスSdからの距離が2m以上離れると、通過者のカウントに誤差が生じやすくなる。一方、距離を20cm以上離すとレーザ光が互いに干渉する領域が少なくなり、誤差が低減されることになる。
【0035】
〔照明器具L〕
複数の照明器具Lは、たとえば屋内の照明に用いられ、天井、壁面、床面等の種々の箇所に設置される。また、照明器具Lは、屋外の照明に用いられる構成であってもよい。照明器具Lの具体的な形態は何ら限定されず、直管形蛍光灯の代替照明や高天井照明、シーリングライト、ダウンライト、ベースライト、スポットライト等の種々の形態を適宜採用可能である。以降の説明においては、照明器具Lは、特定空間としての屋内の店舗の照明として用いられる構成を例に説明する。また、照明器具Lの一般的な構成を述べる場合に照明器具Lと称するとともに、複数の照明器具Lを区別する場合に照明器具L1、・・・照明器具Ln等の符号を適宜用いる場合がある。複数の照明器具L1~Lnは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数の照明器具L1~Lnが同一の構成である場合を例に説明する。
【0036】
図10は、照明器具Lのブロック図である。照明器具Lは、光源部11、制御部12、記憶部13、無線通信モジュール14および電源部15を備える。
【0037】
光源部11は、照明器具L1において発光機能を果たす部位である。光源部11の具体的構成は何ら限定されず、たとえば、基板と当該基板に列をなして搭載された複数のLEDとからなる。また、照明器具L1は、光源部11からの光を透過させる透明または半透明のカバー(図示略)を適宜有する。
【0038】
制御部12は、制御装置Ctからの指示等に基づいて、照明器具Lの各部を制御するためのものである。制御部12の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部13は、制御部12の制御に必要な情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリからなる。なお、記憶部13は、照明器具Lの筐体(図示略)に内蔵されるものに限定されず、照明器具Lの筐体の外部に着脱可能に設けられるものであってもよい。
【0039】
無線通信モジュール14は、制御装置Ctや複数の照明器具Lおよび検出デバイスSdと無線通信を行うためのものであり、無線信号を送信および受信するモジュールである。無線通信モジュール14は、たとえば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信によって制御部12と接続されているが、これに限定されない。無線通信モジュール14は、第1無線通信部141および第2無線通信部142を有する。
【0040】
無線通信モジュール14の機能を例示すると、制御装置Ctからの信号を受信し、受信した信号に含まれるデータ(たとえば照明制御信号)を制御部12に送信する。また、照明制御信号を受信したことを示すアクノリッジ信号を制御装置Ctに送信する。また、照明器具Lの動作状況を示すステータス情報信号を制御装置Ctに送信してもよい。
【0041】
本実施形態においては、複数の照明器具Lの各々が有する固有の灯具IDが、無線通信モジュール14に記憶されている。灯具IDの情報形式は特に限定されず、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。なお、灯具IDは、第1無線通信部141および第2無線通信部142のいずれか、もしくはこれら以外の無線通信モジュール14の構成要素に記憶されていてもよいし、たとえば記憶部13に記憶されていてもよい。
【0042】
第1無線通信部141は、制御装置Ctおよび他の照明器具Lと第1プロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。第1プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第1プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが例示される。本実施形態においては、第1無線通信部141を有する複数の照明器具Lと制御装置Ctとが、メッシュネットワークである通信ネットワークCn1を構築している。第1プロトコルは、後述のように複数の照明器具L間で各種データの転送に用いられるため、それらのデータ転送に必要となる転送速度や、信頼性を確保した上で、メッシュネットワークを構築できるプロトコルが選択される。
【0043】
第2無線通信部142は、検出デバイスSdと第2プロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。第2プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第2プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが例示される。図示された例においては、第2無線通信部142は、SPI(Serial Peripheral Interface)通信によって第1無線通信部141と接続されているが、これに限定されない。本実施形態においては、図1に示すように、第2無線通信部142を有する照明器具Lと対応する検出デバイスSdとが、通信ネットワークCn2を構築している。第2プロトコルは、検出デバイスSd等とのデータの転送に用いられ、たとえばBLE、Wi-Fiなどが選択される。
【0044】
第1プロトコルと第2プロトコルとは、互いの通信が干渉しないように通信周波数が異なるものを選択することが好ましい。また、第1無線通信部141による無線通信と第2無線通信部142による無線通信とは、互いの通信タイミングを異ならせることが好ましい。なお、第2プロトコルを用いた無線通信は、たとえば、第1プロトコルを用いた無線通信よりも通信距離が短いものを選択してもよい。
【0045】
無線通信モジュール14は、たとえば第1無線通信部141によって制御装置Ctから検出デバイスSdのデータ取得を要求する要求信号を受信した場合、当該要求信号を第1プロトコルから第2プロトコルに変換することによって転送信号を生成し、この転送信号を制御部12から検出デバイスSdに送信する。また、検出デバイスSdから送信された検出データを第2無線通信部142が受信した場合、当該検出データを第1プロトコルに変換することによって転送データを生成し、制御装置Ctに送信する。具体的な例を挙げると、無線通信モジュール14は、検出デバイスSdからの検出データが第2プロトコルを用いた通信であることを通信データ中のプロトコルフラグから検出する。次いで、第2プロトコルに応じた手順で所定の処理を行って第2無線通信部142によって受信する。そして、検出データを第1プロトコルを用いた通信のデータ形式に変換することで転送データを生成し、通信ネットワークCn1で隣接する照明器具Lに転送する。
【0046】
電源部15は、光源部11、制御部12および無線通信モジュール14等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部15は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0047】
〔制御装置Ct〕
制御装置Ctは、複数の照明器具L1~Lnの点灯制御や複数の検出デバイスSdの検出データに基づいた処理、および表示装置Dpへの表示指令を行うものである。制御装置Ctは、本実施形態の場合には、複数の照明器具L1~Lnや複数の検出デバイスSdが設置されている部屋(店舗)と同じ部屋に設置されていてもよいし、同じ建物の別の部屋や別のフロアに設置されていてもよいし、別の建物に設置されていてもよい。制御装置Ctと複数の照明器具L1~Lnとがある程度離れている場合、制御装置Ctと複数の照明器具L1~Lnとは、無線通信だけでなく、有線通信と無線通信とを利用して互いに通信する構成であってもよい。なお、表示システムA1は、少なくとも1つの制御装置Ctを備えていればよく、他の構成において複数の制御装置Ctを備えていてもよい。なお、本実施形態の制御装置Ctは、複数の照明器具Lと携帯端末Mdとの双方に通信可能である。
【0048】
図11は、制御装置Ctのブロック図である。本実施形態においては、制御装置Ctは、表示部21、制御部22、記憶部23、無線通信部24および電源部25を備える。
【0049】
表示部21は、後述する表示システムA1の制御においては、必ずしも必要ではないが、制御装置Ctの初期設定やメンテナンス等に用いられる。表示部21は、たとえば液晶ディスプレイ等であり、さらにタッチパネル機能を有してもよい。また、表示部21がタッチパネルとして機能することに代えて、制御装置Ctは、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。
【0050】
制御部22は、複数の照明器具L1~Lnの点灯制御や複数の検出デバイスSdの検出データに基づいた処理、および表示装置Dpへの表示指令を行う主要な構成要素であり、制御装置Ctの各部を制御するためのものである。たとえば、制御部22は、無線通信部24が携帯端末Mdから受信した指示信号に基づいて、対象とする照明器具Lへ制御信号を送信するように、無線通信部24に制御信号を伝達する。制御部22の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部23は、制御部22の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。
【0051】
無線通信部24は、複数の照明器具L1~Lnの無線通信モジュール14の第1無線通信部141および携帯端末Mdと無線通信を行うためのものである。無線通信部24の周波数帯や準拠する無線通信の規格は、上述の第1プロトコルを用いた無線通信である。無線通信部24は、たとえば、制御部22から複数の照明器具L1~Lnへの制御信号を送信する。また、複数の検出デバイスSdへの検出要求信号を送信してもよい。あるいは、携帯端末Mdから送信されるユーザによる指示信号を受信する。受信した指示信号は、制御部22に伝達される。なお、制御装置Ctは、無線通信部24に加えて、インターネットに接続する有線または無線の通信回路を有していてもよい。
【0052】
電源部25は、表示部21、制御部22および無線通信部24等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部25は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0053】
制御装置Ctは、複数の照明器具Lの灯具IDや複数の検出デバイスSdの機器IDを保有しており、これらがたとえば記憶部23に記憶されている。制御装置Ctが保有する灯具IDや機器IDは、照明器具Lが保有する灯具IDとしてのMACアドレスや検出デバイスSdが保有する機器IDとしてのMACアドレスでもよいし、これらのMACアドレスと対応付けされた別の灯具IDや機器IDであってもよい。
【0054】
本実施形態においては、制御装置Ctは、検出デバイスSdからの検出データに基づいて、特定空間としての店舗における滞在人数をカウントする。そして、この滞在人数やこの滞在人数に基づいた店舗の混雑状況に対応する情報を表示装置Dpに表示する指令を送信する。あるいは、複数の照明器具Lを、店舗の混雑状況に対応する照明状態とする照明制御指令を送信する。
【0055】
なお、表示システムA1内に時計ユニット(図示略)を別途配置してもよい。この時計ユニットは、FM電波を受信し、通信ネットワークCn1を介して時間情報を制御装置Ctに送信する。制御装置Ctから各照明器具Lや検出デバイスSdに送信されるデータには、この時間情報を付与する。各照明器具Lや各検出デバイスSdは受信した時計情報をもとにそれぞれの時刻をカウントする。これにより、表示システムA1を構成する機器や装置の時刻をより正確に合わせることができる。
【0056】
〔携帯端末Md〕
携帯端末Mdは、表示システムA1においてユーザが操作する端末である。携帯端末Mdは、ユーザの操作を実現可能な携帯性や情報処理能力等を有するものであれば特に限定されず、たとえばタブレット、スマートフォン、ノートPC等である。なお、表示システムA1を構成する複数の照明器具Lが広範な領域に設置されている場合、表示システムA1は、複数の携帯端末Mdを備えていてもよい。
【0057】
図12は、携帯端末Mdのブロック図である。本実施形態においては、携帯端末Mdは、表示部31、制御部32、記憶部33、無線通信部35および電源部36を備える。
【0058】
表示部31は、携帯端末Mdの操作等に必要な情報や画像を表示するためのものである。表示部31は、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、本実施形態においてはタッチパネル機能を有している。なお、表示部31がタッチパネルとして機能することに代えて、携帯端末Mdは、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。また、本実施形態とは異なり、表示部31を有する携帯端末Mdが、本発明における表示装置としての役割を果たしてもよい。
【0059】
制御部32は、携帯端末Mdの各部を制御するためのものである。制御部32の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部33は、制御部32の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。
【0060】
無線通信部35は、制御装置Ctへ複数の照明器具L1~Lnの点灯/消灯等の指示信号を送信したり、制御装置Ctから複数の照明器具L1~Lnのステータス情報信号等を受信したりする。また、無線通信部35は、制御装置Ctから検出デバイスSdの検出データに基づく表示データの表示要求信号を受信する。無線通信部35の周波数帯や準拠する無線通信の規格は、上述の第1無線通信部141、無線通信部24と同様であってもよいし異なっていてもよく、たとえばWi-Fi(登録商標)が選択される。なお、無線通信部35は、携帯端末Mdとしてのタブレット等に内蔵された無線通信モジュールであってもよいし、USB端子等に接続された外付けの無線通信モジュールであってもよい。本実施形態においては、携帯端末Mdと制御装置Ctとによって、通信ネットワークCn3が構築されている。なお、通信ネットワークCn3は、通信ネットワークCn1と同じ第1プロトコルを用いた無線通信を行うものであってもよい。
【0061】
電源部36は、表示部31、制御部32および無線通信部35等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部36は、たとえば充電可能なバッテリーである。
【0062】
〔表示装置Dp〕
表示装置Dpは、制御装置Ctからの表示要求信号にしたがって検出デバイスSdの検出データに基づく情報を表示するものである。本実施形態においては、表示装置Dpは、制御装置Ctからの表示要求信号にしたがって店舗の人数増減に関する情報を表示する。表示装置Dpの設置場所は特に限定されず、図2に示された例においては、店舗外側における出入口Et1の近傍に配置されている。また、本実施形態においては、表示装置Dpは、携帯端末MdにHDMI(登録商標)等の有線通信で接続された場合を例に説明するが、これに限定されない。表示装置Dpは、携帯端末Mdと無線通信で接続されていてもよいし、携帯端末Mdを介することなく制御装置Ctと有線通信または無線通信等によって接続された構成であってもよい。
【0063】
図13に示すように、本実施形態の表示装置Dpは、表示部51、制御部52、通信部54および電源部55を有する。
【0064】
表示部51は、後述する表示システムA1の制御において、制御装置Ctからの表示要求信号にしたがって検出デバイスSdの検出データに基づく情報を表示するものであり、本実施形態においては、店舗の人数増減に関する情報を表示する。表示部51は、たとえば液晶表示パネルや有機EL表示パネル等によって構成されている。
【0065】
制御部52は、携帯端末Mdを介して送信された制御装置Ctからの表示要求信号に基づいて、表示部51の表示状態を制御するものである。制御部52は、たとえばドライバI等である。
【0066】
通信部54は、携帯端末Mdや制御装置Ctと通信するための部位である。本実施形態においては、通信部54は、HDMI(登録商標)等の有線通信によって携帯端末Mdと接続するためのインターフェース部である。
【0067】
電源部55は、表示部51、制御部52および通信部54等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部25は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。または、電源部55は、たとえば充電可能なバッテリーである。
【0068】
次に、表示システムA1の動作例について、以下に説明する。図14および図16は、表示システムA1の動作例を示すシーケンスダイアグラムである。
【0069】
ステップS1においては、検出デバイスSdn(本実施形態においては、n=1,2,3,4)は、隣接する出入口Etn(検出領域Ar)を通過する通過者を第1センサ41および第2センサ42によって検出し、上述した処理によって特定空間である店舗への入店者および退店者の人数に相当する人数増減情報、機器ID、および測定した時間情報を示すタイムスタンプを含む検出データDdnを作成する。そして、検出データDdnを第2プトロコルに変換し、通信ネットワークCn2によって照明器具Lnに送信する。なお、検出デバイスSdnによる検出データDdnの送信は、検出対象Obとしての通過者を検出するたびに行ってもよいし、制御装置Ctからの要求信号に応じて行ってもよい。あるいは、上述したFM電波を利用した表示システムA1における時刻合わせによって各検出デバイスSdの時刻情報を設定し、所定の時間間隔等で検出データDdnを送信する構成であってもよい。
【0070】
ステップS2においては、検出デバイスSdnからの検出データDdnを照明器具Lnが受信する。照明器具Lnは、検出データDdnを第1プロトコルに変換し、転送データDtnを生成する。そして、転送データDtnを通信ネットワークCn1によって隣接する照明器具Lに転送する。
【0071】
ステップS3においては、通信ネットワークCn1において複数の照明器具L間を転送された転送データDtnを、照明器具L1が受信する。照明器具L1は、転送データDtnを制御装置Ctに送信する。
【0072】
ステップS4においては、転送データDtnを受信した制御装置Ctが、転送データDtnに含まれる人数増減情報、機器ID、および測定した時間情報を示すタイムスタンプを取得する。制御装置Ctの記憶部23には、たとえば図15に示すテーブルが記憶されている。転送データDtnに含まれるタイムスタンプによって、検出デバイスSd1~検出デバイスSd4に対応する出入口Et1~Et4における入店者および退店者の数である人数増減情報が当該テーブルに入力される。これにより、ある時刻(たとえば12:00)における店舗全体の増減人数(表中において+7名)を算出し、その時点での店舗全体の滞在人数(表中において47名)を把握する。このような人数増減情報の取得を順次行うことにより、時々刻々における店舗全体滞在人数を把握することができる。そして、制御装置Ctは、ステップS4によって得られた店舗滞在人数に基づいた表示データを生成し、当該表示データを携帯端末Mdを介して、あるいは直接に表示装置Dpに送信する。
【0073】
ステップS5においては、表示データを受信した表示装置Dpが、表示データに基づいた内容を表示部51に表示させる。表示部51の表示内容としては、その時点での店舗全体滞在人数や、店舗全体滞在人数に基づく入店制限情報等が挙げられる。入店制限情報は、たとえば店舗全体滞在人数が50名未満である場合に「入店できます」とのメッセージ、店舗全体滞在人数が50名以上75名未満である場合に「店内が込み合っています」とのメッセージ、店舗全体滞在人数が75名以上である場合に「入店をお控えください」とのメッセージ、が適宜設定される。店舗内の密集および密接を防ぎ、混雑具合によっては窓を開放し、店舗内の密閉を防ぐタイミングを知ることができる。
【0074】
また、携帯端末Mdが、本発明の表示装置を兼ねる構成であってもよい。すわなち、制御装置Ctから送信された表示データに基づいた表示内容を、表示部21に表示することが、本発明の表示装置の表示に該当する例である。表示システムA1においては、表示装置Dpのみにおける表示、携帯端末Mdのみにおける表示、表示装置Dpおよび携帯端末Mdの双方における表示、等の構成が適宜選択可能である。
【0075】
さらに、表示システムA1は、表示装置Dp(携帯端末Md)における表示処理に加えて、以下の処理を行ってもよい。図16に示すように、ステップS6において、制御装置Ctは、店舗全体滞在人数に応じて、各照明器具Lの発光色の色温度を指定する色温度コマンドを作成する。そして、色温度コマンドを第1プロトコルに変換して、通信ネットワークCn1を介して複数の照明器具Lに送信する。色温度の設定は、たとえば店舗全体滞在人数が50名未満である場合に適正な人数に対応する色温度:5000K(昼白色)、店舗全体滞在人数が50名以上75名未満である場合に混んでいる人数に対応する色温度:3500K(温白色)、店舗全体滞在人数が75名以上である場合に入店を規制する人数に対応する色温度:2700K(電球色)、が適宜設定される。なお、制御装置Ctは、色温度を指定するコマンドに代えて、照明器具Lの明るさを指定するコマンドや、点灯、消灯、点滅等の点灯状態を変更するコマンドを作成してもよい。
【0076】
ステップS7において、通信ネットワークCn1を介して制御装置Ctに最も近い照明器具L1が色温度コマンドを受信する。この照明器具L1では、色温度コマンドの指定内容が自器具の灯具IDを対象とするものである場合、制御部12が光源部11の色温度を指定の色温度に変更制御する。また、通信ネットワークCn1を介して、色温度コマンドを他の照明器具Lに転送する。
【0077】
ステップS8において、照明器具L1からの通信ネットワークCn1を介して転送された色温度コマンドを受信した照明器具Lnは、照明器具L1と同様に、自器具が対象である場合に、光源部11の色温度を変更制御する。以上の処理により、複数の照明器具Lのうち指定された照明器具Lの発光色が指定された色温度に設定される。
【0078】
次に、検出デバイスSdおよび表示システムA1の作用について説明する。
【0079】
本実施形態によれば、図2および図4に示すように、検出デバイスSdは、x方向の片側から第1センサ41の発光部411および第2センサ42の発光部421から検出領域Arに向けて光を出射し、検出対象Obによって反射された光を受光部412および受光部422によって受光する。このため、検出領域Arのx方向の片側のみに検出デバイスSdを配置可能であり、検出領域Arのx方向の両側に配置する必要がない。したがって、より多彩な検出領域Arに適用可能であり、たとえば様々な店舗の出入口Etに設置することができる。
【0080】
図4図6に示すように、第1センサ41と第2センサ42とのy方向における距離Dyは、好ましくは15cm以上であり、より好ましくは20cm以上である。これにより、検出デバイスSdを出入口Et等に設置可能な程度にコンパクトな構成としつつ、図9に示すように、通過者の誤検出を抑制することができる。
【0081】
表示システムA1によれば、特定空間に滞在する人数をより正確に把握可能であり、滞在人数に応じた表示内容をいわゆるリアルタイムで表示装置Dpに表示することが可能である。したがって、表示装置Dpの表示によって、特定空間の滞在人数をより迅速且つ正確に報知することができる。たとえば、特定空間として店舗を採用した場合、店舗外の人々に店舗内の混雑状況をより迅速且つ正確に知らせることができる。
【0082】
また、図16のステップS6~S8を行うことにより、特定空間としての店舗の滞在人数に応じて店舗照明である複数の照明器具Lの発光状態を制御する。これにより、たとえば照明器具Lの色温度を店舗全体滞在人数に応じて設定可能であり、店舗内の顧客や店員に対して、店舗内の混雑状況を表示装置Dpを視認することなくより自然に知らせることができる。
【0083】
図17は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0084】
表示システムA1の変形例として、店舗の大きさ、特に出入口Etの幅によっては、1つの出入口Etのx方向両側に2つの検出デバイスSdを対向配置させてもよい。検出デバイスSdがLiDARを用いた構成である場合、検出領域Arとしての出入口Etがより広い場合であっても、検出対象Obとしての通過者を適切に検出することができる。なお、2つの検出デバイスSdを対向配置する場合、2つの検出デバイスSdの測長距離を出入口Etの長さよりも明確に短い距離に設定したり、測長の発振周波数を互いに異なる周波数に設定したりしてもよい。
【0085】
<第2実施形態>
図17は、本発明の第2実施形態に係る表示システムを示している。本実施形態の表示システムA2は、複数の照明器具L1~L9、検出デバイスSd1~Sd3、制御装置Ct、携帯端末Mdおよび表示装置Dpを備えている。
【0086】
本実施形態の照明器具L1,L2,L3は、各々がゲートモジュールとして機能する。ゲートモジュールは、メッシュネットワークである通信ネットワークCn1内において、一部の照明器具Lとともに小さなネットワーク(クラスタ)を構成するモジュールとして機能する。そして、複数のクラスタ間の無線通信は、ゲートモジュール同士によってなされる。ゲートモジュールとして機能する照明器具L1,L2,L3は、たとえば上述した構成の照明器具Lの無線通信モジュール14の設定プログラム等を適宜変更することによって構築可能である。
【0087】
図示された例においては、互いに近い位置に設置された照明器具L1,L4,L7によってクラスタCn11が構築されている。また、互いに近い位置に設置された照明器具L2,L5,L8によってクラスタCn12が構築されている。また、互いに近い位置に設置された照明器具L3,L6,L9によってクラスタCn13が構築されている。
【0088】
たとえば、制御装置Ctからの制御データは、通信ネットワークCn1において、制御装置Ctから照明器具L1,L2,L3にそれぞれ送信される。照明器具L1は、受信したデータを照明器具L4および照明器具L7に転送する。同様に、照明器具L2は、受信したデータを照明器具L5および照明器具L8に転送し、照明器具L3は、受信したデータを照明器具L6および照明器具L9に転送する。
【0089】
照明器具L7は、受信したデータを第2プロトコルの方式に変換し、通信ネットワークCn2を介して検出デバイスSd1に送信する。同様に、照明器具L8は、受信したデータを第2プロトコルの方式に変換し、通信ネットワークCn2を介して検出デバイスSd2に送信し、照明器具L9は、受信したデータを第2プロトコルの方式に変換し、通信ネットワークCn2を介して検出デバイスSd3に送信する。また、照明器具L7は、検出デバイスSd1からの検出データDd1を第1プロトコルの方式に変換し、クラスタCn11に送信する。照明器具L8は、検出デバイスSd2からの検出データDd2を第1プロトコルの方式に変換し、クラスタCn12に送信する。照明器具L9は、検出デバイスSd3からの検出データDd1を第1プロトコルの方式に変換し、クラスタCn13に送信する。クラスタCn11~Cn13に送信された検出データDdnは、クラスタCn11~Cn13および通信ネットワークCn1において転送され、制御装置Ctによって受信される。
【0090】
本実施形態によっても、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。また、ゲートモジュールとして機能する照明器具L1,L2,L3を備えることによって、クラスタCn11,Cn12,Cn13を構築可能であり、メッシュネットワークである通信ネットワークCn1の通信効率をより高めることができる。
【0091】
<第3実施形態>
図18は、本発明の第3実施形態に係る表示システムを示している。本実施形態の表示システムA3は、複数の検出デバイスSd1~Sd4の構成が、上述した実施形態と異なっている。本実施形態の検出デバイスSd1~Sd4は、検出領域Arとしての出入口Et1~Et4を挟んで対向配置された発光部および受光部を各々が有している。
【0092】
本実施形態によっても、表示装置Dpの表示によって、特定空間の滞在人数をより迅速且つ正確に報知するという効果を奏する。また、本実施形態から理解されるように、本発明の表示システムに用いられる検出デバイスSdとしては、検出領域Arの片側のみに配置される構成に限定されず、検出領域Arの両側に配置される構成であってもよい。また、これらの異なる構成の検出デバイスSdの双方を備える表示システムであってもよい。
【0093】
<第4実施形態>
図19は、本発明の第4実施形態に係る表示システムを示している。本実施形態の表示システムA6は、外部記憶装置Edを備えている。
【0094】
外部記憶装置Edは、通信ネットワークCn1の外部に設置されており、たとえばサーバ、商用クラウド等である。外部記憶装置Edと制御装置Ctとの通信は、たとえば商用インターネット回線や専用回線等が利用される。外部記憶装置Edは、表示システムA4を構成する複数の照明器具Lや複数の検出デバイスSdが設置された店舗等の特定空間から離れた場所において、外部使用者Euが随時アクセス可能とされている。制御装置Ctは、たとえば収集した測定データを外部記憶装置Edに保存してもよい。
【0095】
外部使用者Euは、外部記憶装置Edに保存された滞在人数等の情報をそのまま、または任意に加工して、種々に利用可能である。たとえば、外部使用者Euは、これらのデータをデジタルサイネージなどの電光掲示板、大型スクリーン(いずれも図示略)に表示してもよい。あるいは、図示されたように、外部記憶装置Edに表示装置Dpを接続し、この表示装置Dpに滞在人数等の情報を表示してもよい。
【0096】
本実施形態によっても、表示装置Dpの表示によって、特定空間の滞在人数をより迅速且つ正確に報知するという効果を奏する。また、本実施形態から理解されるように、本発明における表示装置Dpは、無線通信ネットワークを介して制御装置Ctから信号が送信される構成のみに限定されず、外部記憶装置Edに一旦保存された情報を表示する構成であってもよい。
【0097】
本発明に係る検出デバイスおよび表示システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る検出デバイスおよび表示システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0098】
A1,A2:表示システム
11 :光源部
12 :制御部
13 :記憶部
14 :無線通信モジュール
15 :電源部
21 :表示部
22 :制御部
23 :記憶部
24 :無線通信部
25 :電源部
31 :表示部
32 :制御部
33 :記憶部
35 :無線通信部
36 :電源部
41 :第1センサ
42 :第2センサ
43 :演算部
44 :無線通信部
45 :電源部
51 :表示部
52 :制御部
54 :通信部
55 :電源部
141 :第1無線通信部
142 :第2無線通信部
411 :発光部
412 :受光部
421 :発光部
422 :受光部
431 :第1マイコン
432 :第2マイコン
433 :メインマイコン
Ar :検出領域
Cn1,Cn2,Cn3:通信ネットワーク
Cn11,Cn12,Cn13:クラスタ
Ct :制御装置
Dd1,Dd2,Ddn:検出データ
Dp :表示装置
Dtn :転送データ
Dy :距離
Ed :外部記憶装置
Et,Et1,Et2,Et3,Et4,Etn:出入口
Eu :外部使用者
Fl :床
I :ドライバ
L,L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,Ln:照明器具
Md :携帯端末
Ob :検出対象
S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8:ステップ
Sd,Sd1,Sd2,Sd3,Sd4,Sdn:検出デバイス
Wl :壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19