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  • 特開-ホイルハウス構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158716
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】ホイルハウス構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B62D25/08 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063814
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 直俊
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BC04
3D203BC10
3D203CA62
3D203CB04
3D203DA87
(57)【要約】
【課題】ホイルハウスインナとホイルハウスアウタとの接合点の損傷および劣化を効果的に防止できるホイルハウス構造を提供する。
【解決手段】ホイルハウス構造は、車幅方向内側に膨出したホイルハウスインナ12と、車幅方向外側に膨出し、前記ホイルハウスインナ12と接合されることで、下方に開口したホイルハウス空間16を形成するホイルハウスアウタ14と、を備え、前記ホイルハウスインナ12および前記ホイルハウスアウタ14は、いずれも、径方向に延びる接合フランジ20i,20oと、前記接合フランジ20i,20oの径方向内側端から車幅方向に延びるとともに側方視で車両上方に凸の略半円形状である肩部22i,22oと、を有しており、前記ホイルハウスアウタ14および前記ホイルハウスインナ12の少なくとも一方の前記肩部22i,22oに、周方向に長尺な補強ビード26f,26rが1以上形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向内側に膨出したホイルハウスインナと、
車幅方向外側に膨出し、前記ホイルハウスインナと接合されることで、下方に開口したホイルハウス空間を形成するホイルハウスアウタと、
を備え、前記ホイルハウスインナおよび前記ホイルハウスアウタは、いずれも、径方向に延びる接合フランジと、前記接合フランジの径方向内側端から車幅方向に延びるとともに側方視で車両上方に凸の略半円形状である肩部と、を有しており、
前記ホイルハウスアウタおよび前記ホイルハウスインナの少なくとも一方の前記肩部に、周方向に長尺な補強ビードが1以上形成されている、
ことを特徴とするホイルハウス構造。
【請求項2】
請求項1に記載のホイルハウス構造であって、
前記補強ビードは、前記肩部の主面から径方向内側に陥没した凹ビードである、ことを特徴とするホイルハウス構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のホイルハウス構造であって、
前記ホイルハウスアウタおよび前記ホイルハウスインナの少なくとも一方の前記肩部には、前側補強ビードと、前記前側補強ビードより車両後方位置において延びる後側補強ビードと、が形成されており
前記前側補強ビードと前記後側補強ビードは、分断されている、
ことを特徴とするホイルハウス構造。
【請求項4】
請求項3に記載のホイルハウス構造であって、
前記ホイルハウスアウタおよび前記ホイルハウスインナそれぞれの前記肩部に、前記前側補強ビードと前記後側補強ビードと、がそれぞれ、形成されている、ことを特徴とするホイルハウス構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、車幅方向内側に膨出したホイルハウスインナと、車幅方向外側に膨出し、前記ホイルハウスインナと接合されることで下方に開口したホイルハウス空間を形成するホイルハウスアウタと、を備えたホイルハウス構造を開示する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、車両の側部、フェンダパネルより車幅方向内側には、ホイルハウスが設けられている。ホイルハウスは、車幅方向内側に膨出したホイルハウスインナと、車幅方向外側に膨出したホイルハウスアウタとを接合して構成される。また、ホイルハウスインナの車幅方向中央部には、サスペンション取付部が接合されている。そのため、車両が凹凸路面を走行した場合、上向きの突き上げ荷重が、車輪から、サスペンションを介して、ホイルハウスにも入力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-020643号公報
【特許文献2】特開2019-093863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この突き上げ荷重を受けて、ホイルハウスの周形状が変形し、この周形状の変形に伴い、ホイルハウスインナとホイルハウスアウタとの接合点に剥離方向の荷重がかかることがあった。そこで、従来から、突き上げ荷重を受けた場合でも、ホイルハウスに設けられた接合点の破損等を防止するため、ホイルハウスインナまたはホイルハウスアウタまたはその両方に複雑な形状のビードを形成したり、補強用のガセットを追加したりすることが提案されている(例えば特許文献1,2等)。しかし、ビード形状を複雑にした場合、パネルの成形が難しくなり、製造コストの増加を招く。また、補強用のガセットを追加した場合、部品点数が増加し、製造コストや質量、設置スペース等の増加を招く。
【0005】
そこで、本明細書では、簡易な構造でありながら、ホイルハウスインナとホイルハウスアウタとの接合点の損傷および劣化を効果的に防止できるホイルハウス構造を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示するホイルハウス構造は、車幅方向内側に膨出したホイルハウスインナと、車幅方向外側に膨出し、前記ホイルハウスインナと接合されることで、下方に開口したホイルハウス空間を形成するホイルハウスアウタと、を備え、前記ホイルハウスインナおよび前記ホイルハウスアウタは、いずれも、径方向に延びる接合フランジと、前記接合フランジの径方向内側端から車幅方向に延びるとともに側方視で車両上方に凸の略半円形状である肩部と、を有しており、前記ホイルハウスアウタおよび前記ホイルハウスインナの少なくとも一方の前記肩部に、周方向に長尺な補強ビードが1以上形成されている、ことを特徴とする。
【0007】
かかる構成とすることで、ホイルハウスの周形状の変形を効果的に抑制でき、ひいては、接合点の劣化および損傷を効果的に防止できる。また、単純な形状の補強ビードを追加しているだけであるため、製造コストの増加を抑制できる。結果として、簡易な構造でありながら、ホイルハウスインナとホイルハウスアウタとの接合点の損傷および劣化を効果的に防止できる。
【0008】
この場合、前記補強ビードは、前記肩部の主面から径方向内側に陥没した凹ビードであってもよい。
【0009】
補強ビードを、凹ビードとすることで、凸ビードの場合に比べて、周面が径方向内側に向かう変形をより確実に防止できる。結果として、接合点の劣化および損傷をより効果的に防止できる。
【0010】
また、前記ホイルハウスアウタおよび前記ホイルハウスインナの少なくとも一方の前記肩部には、前側補強ビードと、前記前側補強ビードより車両後方位置において延びる後側補強ビードと、が形成されており、前記前側補強ビードと前記後側補強ビードは、分断されていてもよい。
【0011】
補強ビードを、前後で分断する構成、ひいては、車両前後方向中央部に補強ビードを設けない構成とすることで、突き上げ荷重がダイレクトに入力される頂部付近における、接合点の劣化および損傷を効果的に防止できる。
【0012】
また、前記ホイルハウスアウタおよび前記ホイルハウスインナそれぞれの前記肩部に、前記前側補強ビードと前記後側補強ビードと、がそれぞれ、形成されていてもよい。
【0013】
ホイルハウスアウタの前側および後側と、ホイルハウスインナの前側および後側の合計4か所に補強ビードを設けることで、ホイルハウスの変形をより確実に防止でき、接合点の劣化および損傷をより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本明細書で開示の技術によれば、簡易な構造でありながら、ホイルハウスインナとホイルハウスアウタとの接合点の損傷および劣化を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ホイルハウス周辺を側方からみた図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図1のB-B断面図である。
図4】ホイルハウスインナを側方から見た図である。
図5】補強ビードを有さないホイルハウスインナを側方からみた図である。
図6】補強ビードを有さないホイルハウスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照してホイルハウス10の構成について説明する。図1は、ホイルハウス10周辺を側方からみた図である。また、図2は、図1のA-A断面図であり、図3は、図1のB-B断面図である。ただし、図2図3では、後輪52の図示を省略している。さらに、図4は、ホイルハウスインナ12を側方から見た図である。なお、各図面において「Fr」、「Up」、「Out」は、それぞれ、車両前方、車両上方、車幅方向外側を示している。
【0017】
図1に示すように、車両の側面の後部には、リアフェンダパネル50が設けられており、このリアフェンダパネル50の下端は、後輪52の上部形状に沿うように、上方に凸の円弧状となっている。リアフェンダパネル50より車幅方向内側には、後輪52の上方に、ホイルハウス空間16を形成するためのホイルハウス10が設けられている。
【0018】
ホイルハウス10は、図2図3に示すように、車幅方向内側に膨出したホイルハウスインナ12と、車幅方向外側に膨出したホイルハウスアウタ14と、を接合して構成される。ホイルハウスインナ12は、図4に示すように、車両側方から見た場合、車両上方に凸の略半円状である。このホイルハウスインナ12は、径方向に延びる接合フランジ20iと、当該接合フランジ20iの径方向内側端から車幅方向内側に延びる肩部22iと、肩部22iの車幅方向端部から下方に垂れる垂れ部24iと、が連続的に繋がって構成されている。また、垂れ部24iの高さ方向中間、車幅方向略中央部分には、サスペンション取付ブラケット18が取り付けられている。そして、このサスペンション取付ブラケット18を介して、ホイルハウスインナ12に、サスペンション54が連結されている。
【0019】
また、本例において、ホイルハウスインナ12の肩部22iには、前側補強ビード26fおよび後側補強ビード26rが設けられている。前側補強ビード26fは、肩部22iの前側の領域内において、周方向に延びるビードである。この前側補強ビード26fは、肩部22iの主面よりも径方向内側に陥没した凹ビードである。また、後側補強ビード26rは、肩部22iのうち、前側補強ビード26fより車両後方のエリアにおいて、周方向に延びるビードである。この後側補強ビード26rも、肩部22iの主面よりも径方向内側に陥没した凹ビードである。こうした補強ビード26f,26rは、ホイルハウス10の変形、ひいては、接合点32の劣化・損傷を防止するために設けているが、これについては、後述する。
【0020】
ホイルハウスアウタ14も、ホイルハウスインナ12と同様に、車両側方から見た場合、車両上方に凸の略半円状である。また、ホイルハウスアウタ14も、径方向に延びる接合フランジ20oと、当該接合フランジ20oの下端から車幅方向外側に延びる肩部22oと、肩部22oの車幅方向端部から下方に垂れる垂れ部24oと、が連続的に繋がって構成されている。垂れ部24oの下端は、リアフェンダパネル50に溶接等により接合される。また、ホイルハウスアウタ14の接合フランジ20oは、ホイルハウスインナ12の接合フランジ20iに、溶接等により接合され、接合点32を構成する。接合フランジ20i,20oを互いに接合することで、ホイルハウスインナ12とホイルハウスアウタ14の間に、ホイルハウス空間16が形成される。ここで、二つの接合フランジ20i,20oは、厚み方向、換言すれば、車幅方向に重ねられた状態で接合される。そのため、接合点32は、車幅方向の引っ張りの力が入力されると剥離しやすい。
【0021】
ホイルハウスアウタ14の肩部22oにも、前側補強ビード26fおよび後側補強ビード26rが形成されている。ホイルハウスアウタ14の前側補強ビード26fおよび後側補強ビード26rは、互いに分断されており、両者は、いずれも、肩部22oの主面より径方向内側に陥没した凹ビードである。
【0022】
次に、ホイルハウスインナ12およびホイルハウスアウタ14に、補強ビード26f,26rを設ける理由について、補強ビード26f,26rが無い場合と比較して説明する。図5は、補強ビード26f,26rが無いホイルハウスインナ12*を車両側方から見た図であり、図6は、補強ビード26f,26rが無いホイルハウス10*の断面図である。なお、以下の説明では、インナとアウタとを区別しない場合は、添え字i,oを省略する。
【0023】
ホイルハウスインナ12*の車幅方向略中央には、サスペンション取付ブラケット18を介してサスペンション54が連結されている。そのため、車両が、凹凸路面を走行した場合、上向きの突き上げ荷重Faが、後輪から、サスペンション54を介してホイルハウス10の車幅方向略中央付近に入力されることになる。
【0024】
補強ビード26が無いホイルハウス10*の場合、突き上げ荷重Faが入力されると、その頂部が上方に引っ張られる一方で、肩部22の周形状が、円弧状から、図5における二点鎖線で示すように略直線状に近づくように変形する。換言すれば、肩部22の前側領域および後側領域には、径方向内側の力Fbが入力され、肩部22が径方向内側方向に変形する。この肩部22の周形状の変化に伴い、肩部22の前後方向視の形状も変化する。具体的には、肩部22が径方向内側に変形すると、肩部22の前後方向視での形状も、図6の二点鎖線で示すように、接合点32からホイルハウス10*の下端までのラインが直線に近づくように変化する。その結果、肩部22より上側部分、特に、接合点32付近には、車幅方向外向きの力Fcが入力されることになる。この車幅方向外向きの力Fcは、接合点32を剥離させる剥離荷重となる。
【0025】
つまり、補強ビード26f,26rの無いホイルハウス10*の場合、突き上げ荷重Faを受けると、接合点32に剥離荷重Fcが入力され、接合点32が破損や劣化するおそれがあった。こうした問題を避けるために、接合点32付近において、肩部22iおよび肩部22oに跨って、双方に接合される補強用のガセット60を設けることも考えられる。しかし、かかるガセット60を設けた場合、部品点数が増加し、コストの増加を招く。そこで、本例では、部品点数の増加を抑えた簡易な構成で、接合点32の破損や劣化を防止するために、肩部22に、補強ビード26r,26fを設けている。
【0026】
補強ビード26r,26fを設けることで、ホイルハウスインナ12およびホイルハウスアウタ14の剛性が向上し、これらの変形が生じにくくなる。特に、補強ビード26f,26rは、周方向に長尺であるため、周形状の変化、すなわち、円弧形状が直線に近づくような変形を効果的に防止できる。
【0027】
すなわち、補強ビード26f,26rは、それぞれ、一対の側壁40と、一対の側壁40を接続する底壁42と、を有している。一対の側壁40および底壁42は、互いに繋がっており、互いの変形を拘束している。また、側壁40は、厚み方向が車幅方向と略平行であり、長尺方向が周方向と略平行であり、短尺方向が径方向と略平行な壁である。かかる側壁40は、厚み方向(車幅方向)および長尺方向(周方向)の力に対しては、若干変形しやすいが、短尺方向(径方向)の力に対して高い曲げ強さを発揮する。その結果、突き上げ荷重に伴い、肩部22に径方向内向きの力が入力されたとしても、補強ビード26f,26rの変形を側壁40が抑制する。その結果、補強ビード26f,26r、ひいては、当該補強ビード26f,26rが形成された肩部22は、変形することなく、元の形状を維持し続ける。つまり、補強ビード26f,26rを設けることで、ホイルハウス10の周形状の変形が効果的に抑制される。そして、周形状の変形が抑制されることで、車幅方向の変形、ひいては、接合点32周辺に入力される剥離荷重Fcも大幅に軽減できる。結果として、接合点32の劣化および損傷を効果的に防止できる。
【0028】
ところで、補強ビード26f,26rは、周方向に沿って延びる一直線状のビードである。また、補強ビード26f,26rの形成範囲は、厳密に規定する必要はなく、車種によってこまめに変更する必要はない。したがって、補強ビード26f,26rを有するホイルハウスインナ12およびホイルハウスアウタ14は、複雑な設計計算が不要であり、また、一般的なプレス成型で容易に製造することができる。また、これまでの説明で明らかなとおり、本例では、補強ガセットのような別部品を用いていない。その結果、本例によれば、コスト増加や質量増加を抑えつつ、簡易な構成でありながら、接合点32の剥離を効果的に防止できる。
【0029】
なお、これまでの説明では、補強ビード26f,26rを、肩部22の主面より径方向内側に陥没した凹ビードとしているが、補強ビード26f,26rは、周方向に長尺であれば、肩部22の主面より径方向外側に突出した凸ビードでもよい。ただし、凸ビードとした場合、接合点32と干渉しないように、その高さや範囲を調整することが求められる。また、突き上げ荷重Faを受けた場合、肩部22には、径方向内向きの力Fbがかかるが、この径方向内向きの力Fbに抗するためには、補強ビード26f,26rは、凸ビードよりも、凹ビードであることが望ましい。
【0030】
また、これまでの説明では、補強ビード26は、ホイルハウスインナ12の肩部22iおよびホイルハウスアウタ14の肩部22oそれぞれの前側および後側に、それぞれ一つずつ、合計4つ設けている。しかし、こうした補強ビード26の個数は、適宜、変更されてもよい。例えば、補強ビード26は、ホイルハウスインナ12およびホイルハウスアウタ14のいずれか一方にだけ設けるのでもよい。また、補強ビード26は、肩部22の前側および後側のいずれか一方にだけ設けるのでもよい。また、補強ビード26は、より多数設けられてもよい。例えば、一つの肩部22に、車幅方向に間隔を開けて複数本の前側補強ビード26fや、複数本の後側補強ビード26rを設けてもよい。
【0031】
また、前側補強ビード26fは、ホイルハウス10の前端近傍から頂部付近まで連続して延びているが、前側補強ビード26fは、複数個に分割されてもよい。すなわち、周方向に長尺な前側補強ビード26fが、周方向に間隔を開けて、複数本、形成されてもよい。後側補強ビード26rにおいても同様である。さらに、補強ビード26は、ホイルハウス10の前端近傍から頂部を通過して後端近傍まで連続して延びるものでもよい。ただし、この場合、突き上げ荷重Faがダイレクトに入力される頂部付近では、この突き上げ荷重を受けて、補強ビード26が、その溝幅が広がる方向に変形しやすい。そして、これに伴い、接合フランジ20i,20oが互いに離れる方向に変形しやすくなる。そのため、補強ビード26は、ホイルハウス10の頂部付近で前後に分断されることが望ましい。
【0032】
また、補強ビード26の溝幅および溝深さは、一律でもよいし、局所的に変化してもよい。例えば、突き上げ荷重Faを受けた際、最も変形しやすい箇所においては、補強ビード26の溝幅および溝深さの少なくとも一方を、他の箇所よりも大きくまたは小さくしてもよい。変形しやすい箇所としては、例えば、肩部22のうち、ホイルハウス10の半円の中心からみて、1時から2時の方向、および、10時から11時の方向となる箇所等が挙げられる。また、上述の説明では、後輪の上側に設けられるホイルハウス10を例に挙げて説明したが、本明細書の技術は、後輪用ホイルハウスに限らず、前輪用ホイルハウスに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10,10* ホイルハウス、12,12* ホイルハウスインナ、14 ホイルハウスアウタ、16 ホイルハウス空間、18 サスペンション取付ブラケット、20i,20o 接合フランジ、22i,22o 肩部、24i,24o 垂れ部、26f 前側補強ビード、26r 後側補強ビード、32 接合点、40 側壁、42 底壁、50 リアフェンダパネル、52 後輪、54 サスペンション、60 ガセット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6