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特開2022-158734スピンドルモータ及びそれを備えるディスク駆動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158734
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】スピンドルモータ及びそれを備えるディスク駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20221006BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20221006BHJP
   H02K 5/10 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H02K5/22
F16C17/02 A
H02K5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065669
(22)【出願日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】P 2021062978
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和博
(72)【発明者】
【氏名】今堀 正博
(72)【発明者】
【氏名】水上 順也
(72)【発明者】
【氏名】杉信 進悟
(72)【発明者】
【氏名】内堀 友紀
【テーマコード(参考)】
3J011
5H605
【Fターム(参考)】
3J011AA20
3J011BA11
3J011CA02
3J011JA02
3J011KA02
5H605AA02
5H605AA03
5H605BB05
5H605BB14
5H605BB15
5H605BB17
5H605BB19
5H605CC01
5H605CC02
5H605CC06
5H605DD09
5H605DD16
5H605EC01
5H605EC04
5H605GG01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】封止された貫通孔における密封性の低下を防止可能なスピンドルモータを提供する。
【解決手段】スピンドルモータは、ベース部71と、シャフトと、ステータと、ロータと、を備える。シャフトは、ベース部71に配置され、上下方向に延びる。ステータは、導線が巻回されて形成されたコイルを有し、ベース部71の上面に配置される。ロータは、シャフトを中心軸として回転可能に支持される。ベース部71は、上面から下面に貫通し、導線22aが内部を通って下面側に引き出され、封止材100により封止された貫通孔710を有する。貫通孔710は、柱体形状の下柱体部711と、柱体形状の上柱体部712と、を有する。下柱体部711は、ベース部71の下面側に配置される。上柱体部712の軸方向に直交する断面積は、下柱体部711の軸方向に直交する断面積よりも小さい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
前記ベース部に配置され、上下方向に延びるシャフトと、
導線が巻回されて形成されたコイルを有し、前記ベース部の上面に配置されるステータと、
前記シャフトを中心軸として回転可能に支持されたロータと、を備え、
前記ベース部は、上面から下面に貫通し、前記導線が内部を通って下面側に引き出され、封止材により封止された貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記ベース部の下面側に配置される下柱体部と、前記下柱体部よりも前記ベース部の上面側に配置される上柱体部と、を有し、
前記上柱体部の軸方向に直交する断面積は、前記下柱体部の軸方向に直交する断面積よりも小さい、スピンドルモータ。
【請求項2】
前記上柱体部又は前記下柱体部の少なくとも一方は、円柱状に形成されている、請求項1に記載のスピンドルモータ。
【請求項3】
前記下柱体部の軸方向の長さは、前記上柱体部の軸方向の長さよりも長い請求項1又は請求項2に記載のスピンドルモータ。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記上柱体部と前記下柱体部とを連結する連結部を有し、
前記連結部は、内径が前記ベース部の上面に向かうに従って小さく形成されている、請求項1~請求項3のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項5】
前記上柱体部の軸方向の長さは、2.0mm以上3.0mm以下である、請求項1~請求項4のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項6】
前記上柱体部の軸方向に直交する断面積は、0.28mm2以上0.80mm2以下である、請求項1~請求項5のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項7】
前記下柱体部の軸方向の長さは、3.0mm以上である、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のスピンドルモータ。
【請求項8】
前記下柱体部の軸方向に直交する断面積は、0.78mm2以上20.00mm2以下である、請求項1から請求項7のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項9】
前記貫通孔は、前記ベース部の上端に配されるとともに、内径が前記ベース部の上面に向かうに従って大きく形成された上側開口部を有する、請求項1~請求項8のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項10】
前記貫通孔は、前記ベース部の下端に配されるとともに、内径が前記ベース部の上面に向かうに従って小さく形成された下側開口部を有する、請求項1~請求項9のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれかに記載のスピンドルモータと、
前記スピンドルモータにより回転するディスクと、
前記ディスクに対して情報の読み取り及び書き込みの少なくとも一方を行うアクセス部と、
前記スピンドルモータと、前記ディスクと、前記アクセス部と、を収容し、前記ベース部を含む筐体と、を備えるディスク駆動装置。
【請求項12】
前記筐体の内部に空気よりも低密度の気体が充填されている、請求項11に記載のディスク駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピンドルモータ及びそれを備えるディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスピンドルモータは、ベースプレートと、シャフトと、ステータと、ロータと、を備える。ステータは、ベース部の上面に配置され、導線が巻回されて形成されたコイルを有する。ベース部は、上面から下面に貫通する貫通孔を有する。導線は、貫通孔の内部を通って下面側に引き出され、貫通孔は封止材により封止される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-058217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献に開示されたスピンドルモータは、封止材を貫通孔に充填する際に、封止材に気泡が発生し、貫通孔における密封性が低下する可能性があった。また、封止材が貫通孔の端部まで充填されず、貫通孔における密封性が低下する可能性があった。
【0005】
本発明は、封止された貫通孔における密封性の低下を防止可能なスピンドルモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なスピンドルモータは、ベース部と、シャフトと、ステータと、ロータと、を備える。シャフトは、ベース部に配置され、上下方向に延びる。ステータは、導線が巻回されて形成されたコイルを有し、ベース部の上面に配置される。ロータは、シャフトを中心軸として回転可能に支持される。ベース部は、上面から下面に貫通し、導線が内部を通って下面側に引き出され、封止材により封止された貫通孔を有する。貫通孔は、柱体形状の下柱体部と、柱体形状の上柱体部と、を有する。下柱体部は、ベース部の下面側に配置される。上柱体部は、下柱体部よりもベース部の上面側に配置される。上柱体部の軸方向に直交する断面積は、下柱体部の軸方向に直交する断面積よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明によれば、封止された貫通孔における密封性の低下を防止可能なスピンドルモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係るディスク駆動装置の縦断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るスピンドルモータの縦断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るスピンドルモータのベース部の一部を拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本願では、中心軸Cと平行な方向を「軸方向」、中心軸Cに直交する方向を「径方向」、中心軸Cを中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願では、軸方向を上下方向とし、ベース部に対してカバー部側を上として、各部の形状および位置関係を説明する。ただし、この上下方向の定義により、本発明に係るスピンドルモータ及びディスク駆動装置の使用時の向きを限定する意図はない。
【0010】
(1.ディスク駆動装置の構成)
本発明の例示的な一実施形態のディスク駆動装置1について説明する。図1は本発明の実施形態に係るディスク駆動装置1の縦断面図である。
【0011】
ディスク駆動装置1は、ハードディスクドライブである。ディスク駆動装置1は、スピンドルモータ10と、ディスク50と、アクセス部60と、筐体70と、を備える。
【0012】
筐体70は、内部にスピンドルモータ10と、ディスク50と、アクセス部60と、を収容する。筐体70の内部には、空気よりも低密度の気体が、充填される。具体的には、ヘリウムガスが、充填される。なお、ヘリウムガスの代わりに水素ガス等を充填してもよい。
【0013】
筐体70は、アルミニウム合金を材料とする金属製のダイカスト部材を鋳造成形して形成される。なお、ダイカスト部材はアルミニウム合金以外の金属を用いてもよい。
【0014】
筐体70は、ベース部71と、カバー部72と、を有する。筐体70の内部には、ベース部71上にディスク50、スピンドルモータ10及びアクセス部60を配置する。ベース部71は側方を囲む側壁を有して上面を開口する。ベース部71の上部の開口は、カバー部72により塞がれる。
【0015】
ディスク50は、中央部に孔を有する円板状の情報記録媒体である。各ディスク50は、スピンドルモータ10に装着され、スペーサ80を介して軸方向に互いに平行且つ等間隔に配置されている。
【0016】
アクセス部60は、ヘッド61と、アーム62と、ヘッド移動機構63と、を有する。ヘッド61は、ディスク50に対して情報の読み出し又は書き込みを磁気的に行う。アーム62は、ヘッド61を支持する。ヘッド移動機構63は、アーム62を移動することにより、ヘッド61をディスク50に対して相対的に移動する。
【0017】
(2.スピンドルモータの構成)
図2はスピンドルモータ10の縦断面図である。スピンドルモータ10は、ディスク50を支持しながら、中心軸Cを中心としてディスク50を回転させる。スピンドルモータ10は、シャフト11と、ステータ20と、ロータ30と、軸受部40と、ベース部71と、を有する。
【0018】
ベース部71は、筐体70の一部であるとともに、スピンドルモータ10の一部でもある。ベース部71は、軸方向に貫通する挿入孔720と、貫通孔710と、を有する。挿入孔720は中心軸C上に配置される。貫通孔710の詳細は後述する。
【0019】
シャフト11は、上下方向に延びる中心軸Cに沿って延びる柱状の部材である。シャフト11の下端部は、挿入孔720に圧入される。これにより、シャフト11とベース部71とが、固定される。すなわち、シャフト11はベース部71に配置され、上下方向に延びる。シャフト11は、上端から軸方向下側に延びるネジ孔11aを有する。ネジ孔11aと、カバー部72に設けられたカバーネジ孔72aとが、軸方向に重なり、ネジ90を介してネジ止めされる(図1参照)。これにより、シャフト11とカバー部72とが、固定される。なお、カバーネジ孔72aは、ねじ切り加工されていない貫通孔であってもよい。
【0020】
ステータ20は、シャフト11の下部を囲み、ベース部71に固定される。ステータ20は、ステータコア21と複数のコイル22とを有する。ステータコア21は、磁性体を複数積層した環状の積層構造体である。ステータコア21は、径方向外側へ向けて突出する複数のティース21aを有する。複数のコイル22は、ティース21aに巻かれた導線22aにより構成される。すなわち、ステータ20は、導線22aが巻回されて形成されたコイル22を有し、ベース部71の上面に配置される。
【0021】
軸受部40は、ロータ30を中心軸C周りに回転可能に支持するコニカル型の流体動圧軸受である。すなわち、ロータ30は、シャフト11を中心軸として回転可能に支持される。軸受部40は、環状部材41a、41bと、スリーブ42と、を備える。
【0022】
環状部材41a、41bは、シャフト11の外周面から径方向外側に突出する。環状部材41a、41bは、シャフト11の外周面に軸方向に互いに間隔をおいて上下に固定されている。なお、環状部材41a、41bは、シャフト11と一体成形してもよい。
【0023】
環状部材41a、41bのスリーブ42と対向する外周面は、略円錐形状である。環状部材41aの下部は下方に向かって漸次小径に形成され、環状部材41bの上部は上方に向かって漸次小径に形成される。
【0024】
スリーブ42は、略円筒状に形成され、第1、第2、第3内周面42a、42b、42cを上方から順に有している。第1内周面42aは、上方に向かってシャフト11から離れる方向に傾斜し、環状部材41aに対向する。第2内周面42bは、中心軸Cに沿って形成され、シャフト11の外周面に対向する。第3内周面42cは、下方に向かってシャフト11から離れる方向に傾斜し、環状部材41bに対向する。
【0025】
また、スリーブ42は、環状部材41a、41b、及びシャフト11との間に微小間隙Sを有する。
【0026】
シール部44aは、スリーブ42の上面に取付けられ、シール部44bは、スリーブ42の下面に取付けられる。シール部44a、44bは、微小間隙S内に潤滑油43を封入する。なお、微小間隙S内には、潤滑油の代わりにガス等の流体を充填してもよい。
【0027】
対向する第1内周面42a及び環状部材41aには動圧溝(不図示)が、形成される。また、対向する第3内周面42c及び環状部材41bには動圧溝(不図示)が、形成される。動圧溝は、ロータ30の回転時に潤滑油43に流体動圧を誘起する。なお、第1内周面42a及び環状部材41bの一方に動圧溝を形成してもよく、第3内周面42c及び環状部材41bの一方に動圧溝を形成してもよい。
【0028】
ロータ30は、ハブ部材31と、マグネット32と、ヨーク33と、を有する。ハブ部材31は、筒状に形成され、内部にスリーブ42が固定される。
【0029】
ヨーク33は、環状に形成され、ハブ部材31の下部内周面に固定される。マグネット32は、ヨーク33の内周面に取り付けられる。これにより、マグネット32は、ヨーク33を介してハブ部材31に保持される。マグネット32の内周面は磁極面となっており、複数のティース21aの外周面と径方向に対向する。
【0030】
コイル22に駆動電流が供給されると、複数のティース21aに磁束が生じる。そして、ティース21aとマグネット32との間の磁束の相互作用により、周方向のトルクが発生する。その結果、ステータ20に対してロータ30が、中心軸Cを中心として回転する。ハブ部材31に支持されたディスク50は、ロータ30とともに、中心軸Cを中心として回転する。
【0031】
このとき、スリーブ42が、環状部材41a、41bに対して回転駆動すると、動圧溝は、ポンピング作用により微小間隙S中に充填された潤滑油43に流体動圧を誘起する。これにより、スリーブ42は、環状部材41a、41bと非接触で径方向及び軸方向に支持され、環状部材41a、41b及びシャフト11に対して円滑に高速回転することができる。
【0032】
(3.ベース部の詳細な構成)
図3は、ベース部71の一部を拡大して示す縦断面図である。ベース部71は、上面から下面に貫通する貫通孔710を有する。貫通孔710は、中心軸Cと平行に延びる。貫通孔710は、導線22aが内部を通って下面側に引き出され、封止材100により封止される。貫通孔710は、導線22aが内部を通って下面側に引き出され、封止材100により封止される。封止材100は、ベース部71の下面側から貫通孔710に充填される。封止材100は、例えば、接着剤である。ベース部71の下面側に引き出された導線22aは、ベース部71の下面側に配置された配線基板(不図示)に接続される。
【0033】
貫通孔710は、下柱体部711と、上柱体部712と、連結部713と、下側開口部714と、上側開口部715と、を有する。下柱体部711は、ベース部71の下面側に配置される。上柱体部712は、下柱体部711よりもベース部71の上面側に配置される。
【0034】
上柱体部712の内径は、下柱体部711の内径よりも小さい。すなわち、上柱体部712の軸方向に直交する断面積は、下柱体部711の軸方向に直交する断面積よりも小さい。これにより、封止材100を貫通孔710に充填する際に、封止材100が、毛細管現象により、下柱体部711から上柱体部712に向かって円滑に流入する。従って、上柱体部712の上端部まで封止材100を確実に流入させることができる。これにより、貫通孔710全体に封止材100を充填することができ、封止材100の未充填を防止できる。従って、封止された貫通孔710における密封性の低下を防止できる。これにより、筐体70内に充填されたヘリウムガスが、貫通孔710を介してリークすることを防止できる。
【0035】
また、毛細管現象を利用して上柱体部712の上端部まで封止材100を充填できるため、上柱体部712の内径をより小さく形成することができる。これにより、封止材100の未充填を防止しながら、封止された貫通孔710における密封性の低下をより防止できる。
【0036】
下柱体部711及び上柱体部712は、円柱状に形成されている。これにより、封止材100が、貫通孔710全体により円滑に流入する。
【0037】
また、下柱体部711の内径を大きく形成することにより、封止材100の充填速度を速くすることができる。これにより、封止材100に気泡が発生することを防止できる。従って、封止された貫通孔710における密封性の低下をより防止できる。また、スピンドルモータ10の製造効率を向上できる。
【0038】
封止材100の充填は、第1充填工程と第2充填工程とを有する。第1充填工程の終了後に、第2充填工程が実行される。第1充填工程では、上柱体部712に充填される封止材100を貫通孔710に充填する。第2充填工程では、下柱体部711に充填される封止材100を貫通孔710に充填する。第1充填工程における充填速度は、第2充填工程における充填速度よりも低速で行われる。
【0039】
連結部713は、上柱体部712と下柱体部711とを連結する。連結部713は、内径がベース部71の上面に向かうに従って小さく形成されている。これにより、封止材100が、連結部713を介して下柱体部711から上柱体部712へより円滑に流入する。
【0040】
下柱体部711の軸方向の長さは、上柱体部712の軸方向の長さよりも長い。これにより、封止材100の充填速度をより速くすることができる。
【0041】
具体的には、上柱体部712の軸方向の長さは、2.0mm以上3.0mm以下が好ましい。この範囲においては、透過による筐体70内部の密封気体のリークを十分に抑制できる距離が確保され、かつ上柱体部712の先端部に充填されるまでの時間を短縮できる。
【0042】
上柱体部の軸方向に直交する断面積は、0.28mm2以上0.80mm2以下が好ましい。この範囲においては、透過による筐体70内部の密封気体のリークを十分に抑制できる面積が確保され、かつ上柱体部712の先端部に充填されるまでの時間を短縮できる。
【0043】
また、下柱体部711の軸方向の長さは、3.0mm以上が好ましい。これにより、第1充填工程から第2充填工程に移行する際、充填速度を低速から高速へと滑らかな切り替えをするために十分な下柱体部711の軸方向の長さが確保される。従って、急激な充填速度の変更に伴う気泡の発生や未充填を抑制することができる。
【0044】
下柱体部712の軸方向に直交する断面積は、0.78mm2以上20.00mm2以下が好ましい。この範囲においては、封止材100の充填速度をより速くすることができ、かつ下柱体部711を充填するのに必要な封止材100の量を減らすことができる。
【0045】
下側開口部714は、ベース部71の下端に配され、内径がベース部71の上面に向かうに従って小さく形成される。下側開口部714を設けることにより、封止材100が、下側開口部714を介して下柱体部711に円滑に流入する。また、封止材100が、ベース部71の下面から下側に隆起して固まることを抑制できる。
【0046】
上側開口部715は、ベース部71の上端に配され、内径がベース部71の上面に向かうに従って大きく形成される。下側開口部714を設けることにより、封止材100が、表面張力により上側開口部715上に溜まり易くなる。従って、封止材100が、ベース部71の上面において貫通孔710の周囲に溢れることを防止できる。封止材100が、ベース部71の上面から上側に隆起して固まることを抑制できる。
【0047】
(4.その他)
上記実施形態は、本発明の例示にすぎない。実施形態の構成は、本発明の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されてもよい。また、実施形態は、可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。本実施形態では、下柱体部711及び上柱体部712を円柱状に形成したが、下柱体部711及び上柱体部712の一方を円柱状に形成し、他方を楕円柱状や多角柱状に形成してもよい。また、下柱体部711又は上柱体部712の一方を円錐台状に形成してもよい。このとき、下柱体部711又は上柱体部712の内径をベース部71の上面に向かうに従って小さく形成する。これにより、封止材100が、下柱体部711から上柱体部712へより円滑に流入する。
【0048】
また、本実施形態では、流体動圧軸受を有するスピンドルモータ10について説明したが、軸受部40として例えば、ボールベアリング等の軸受を有するスピンドルモータでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によると、ハードディスクドライブ等のディスク駆動装置に用いられる筐体に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ディスク駆動装置
10 スピンドルモータ
11 シャフト
11a ネジ孔
20 ステータ
21 ステータコア
21a ティース
22 コイル
22a 導線
30 ロータ
31 ハブ部材
32 マグネット
33 ヨーク
40 軸受部
41a、41b 環状部材
42 スリーブ
42a、42b、42c 第1、第2、第3内周面
43 潤滑油
44a、44b シール部
50 ディスク
60 アクセス部
61 ヘッド
62 アーム
63 ヘッド移動機構
70 筐体
71 ベース部
72 カバー部
72a カバーネジ孔
80 スペーサ
90 ネジ
100 封止材
710 貫通孔
711 下柱体部
712 上柱体部
713 連結部
714 下側開口部
715 上側開口部
720 挿入孔
C 中心軸
S 微小間隙
図1
図2
図3