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特開2022-158761シールドノズルおよびコンタクトチップ
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  • 特開-シールドノズルおよびコンタクトチップ 図1
  • 特開-シールドノズルおよびコンタクトチップ 図2
  • 特開-シールドノズルおよびコンタクトチップ 図3
  • 特開-シールドノズルおよびコンタクトチップ 図4
  • 特開-シールドノズルおよびコンタクトチップ 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158761
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】シールドノズルおよびコンタクトチップ
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/26 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B23K9/26 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021084953
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】392014760
【氏名又は名称】新光機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】蕗澤 武夫
(72)【発明者】
【氏名】増岡 悦男
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001LA01
4E001LE16
4E001LH03
4E001LH06
(57)【要約】
【課題】スパッタ付着防止効果が長時間失われることがなく、長時間の溶接が安定してでき、溶接効率が向上し、またスパッタの付着を防止できるとともに、付着したスパッタを弱い力にて剥離することができるシールドノズルおよびコンタクトチップを提供すること。
【解決手段】シールドノズルの金属製の母材にメッキ被膜を施し、メッキ被膜の上にブラスト処理を施したのちBNコートの塗膜を施した。導電性金属製のコンタクトチップの母材にメッキ被膜を施し、メッキ被膜の上にブラスト処理を施したのちBNコートの塗膜を施した
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接ワイヤを案内するとともに、溶接ワイヤに溶接電流を供給するコンタクトチップと、該コンタクトチップを包容するシールドノズルを備え、該シールドノズルとコンタクトチップの間の隙間からシールドガスを溶接部に噴出するガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズルにおいて、金属製のシールドノズルの母材にメッキ被膜を施し、メッキ被膜の上にブラスト処理を施したのちBNコートの塗膜を施したことを特徴とするシールドノズル。
【請求項2】
溶接ワイヤを案内するとともに、溶接ワイヤに溶接電流を供給するコンタクトチップと、該コンタクトチップを包容するシールドノズルを備え、該シールドノズルとコンタクトチップの間の隙間からシールドガスを溶接部に噴出するガスシールドアーク溶接トーチのコンタクトチップにおいて、導電性金属製のコンタクトチップの母材にメッキ被膜を施し、メッキ被膜の上にブラスト処理を施したのちBNコートの塗膜を施したことを特徴とするコンタクトチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスシールドアーク溶接の溶接トーチに用いられるシールドノズルおよびコンタクトチップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスシールドアーク溶接では、溶接中に飛散するスパッタがコンタクトチップや金属製のシールドノズルに付着すると、コンタクトチップとシールドノズルとの間の隙間が狭くなり充分なシールドガスが供給されないので、ブローホールによる溶接不良が起こりやすくなり、頻繁にスパッタを除去しなければならないため、従来、特許文献1に記載されているようにスパッタ付着防止液を塗布してスパッタの付着を防止するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平03-085175公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のものでは、幾本もの溶接線を連続して溶接しようとする場合、溶接中の高温にてスパッタ付着防止液が蒸発し、短時間でスパッタ付着防止液の効果が失われるため、各溶接線の溶接を終わる都度スパッタ付着防止液を塗布しなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は、前記の問題を解決し、スパッタ付着防止効果が長時間失われることがなく、長時間の溶接が安定してでき、溶接効率が向上でき、またスパッタの付着を防止できるとともに、付着したスパッタを弱い力にて剥離することができるシールドノズルおよびコンタクトチップを提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明のシールドノズルは、溶接ワイヤを案内するとともに、溶接ワイヤに溶接電流を供給するコンタクトチップと、該コンタクトチップを包容しシールドノズルを備え、該シールドノズルとコンタクトチップの間の隙間からシールドガスを溶接部に噴出するガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズルにおいて、金属製のシールドノズルの母材にメッキ被膜を施し、メッキ被膜の上にブラスト処理を施したのちBNコートの塗膜を施したことを特徴とするものである。
【0007】
さらに、本発明のコンタクトチップは溶接ワイヤを案内するとともに、溶接ワイヤに溶接電流を供給するコンタクトチップと、該コンタクトチップを包容するシールドノズルを備え、該シールドノズルとコンタクトチップの間の隙間からシールドガスを溶接部に噴出するガスシールドアーク溶接トーチのコンタクトチップにおいて、導電性金属製のコンタクトチップの母材にメッキ被膜を施し、メッキ被膜の上にブラスト処理を施したのちBNコートの塗膜を施したものであり、これを請求項2に係る発明とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、金属製のシールドノズルの母材にメッキ被膜を施し、メッキ被膜の上にブラスト処理を施したのちBNコートの塗膜を施したので、スパッタ付着防止効果が長時間失われることがなく、長時間の溶接が安定してでき、溶接効率が向上し、またスパッタの付着を防止できるとともに、付着したスパッタを弱い力にて剥離することができ、剥離時に表面を傷つける恐れを無くしたのでシールドノズル5の寿命が大幅を大幅に伸ばすことができる。
【0009】
請求項2の発明では、導電性金属製のコンタクトチップの母材にメッキ被膜を施し、メッキ被膜の上にブラスト処理を施したのちBNコートの塗膜を施したので、スパッタ付着防止効果が長時間失われることがなく、長時間の溶接が安定してでき、溶接効率が向上し、またスパッタの付着を防止できるとともに、付着したスパッタを弱い力にて剥離することができ、剥離時に表面を傷つける恐れを無くしたのでシールドノズルの寿命が大幅を大幅に伸ばすことができる、またBNコートの塗膜は硬いので溶接ワイヤの移動により挿通孔1a先端が変形する恐れもなくしたことによりコンタクトチップの寿命を更に伸ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
図2】コンタクトチップの断面図である。
図3図2のA部拡大図である。・
図4】シールドノズルの断面図である。
図5図4のB部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図1乃至図5に基づいて説明する。
1は導電性に優れた銅、クロム銅、ベリリウム銅等の銅合金からなり、先端先細状のコンタクトチップであり、コンタクトチップ1は軸方向に溶接ワイヤ2を挿通する挿通孔1aが形成されるとともに、基端の突出部の外周面にねじ部が螺刻された取付け部1bが形成されている。
【0012】
また、コンタクトチップ1には、図3に示すように、導電性金属製のコンタクトチップ1の母材1cの表面には、メッキ被膜1dであるニッケルボロンメッキ被膜が施され、このメッキ被膜1dの上にブラスト処理1eを施したのち窒化ホウ素を含有するコーティング剤のコーティング(以下BNコートと言う。)の塗膜1fが施越されている。
【0013】
3は導電性に優れた銅、クロム銅、ベリリウム銅等の銅合金からなるチップホルダーであり、チップホルダー3は軸方向に溶接ワイヤ2を挿通する挿通孔3aが形成されるとともに、先端部に、前記コンタクトチップ1の基端部の取付け部1bが螺合されてコンタクトチップ1を保持する内周面にねじ部が螺刻された取付け部3bが形成され、基端部の外周面にねじ部が螺刻された取付け部3cが形成され、また中間部に炭酸ガス、アルゴンガスと炭酸ガス又は酸素ガスの混合ガス等のシールドガスを供給する、複数のガス供給口3dが形成されている。
【0014】
4はインシュレータであり、先端部分には外周面に螺子溝が螺刻された取付け部4aが形成されるとともに、基端部内周面にはチップホルダー3の取付け部3cに螺合されるねじ部が螺刻された取付け部4bが形成されている。
【0015】
5は銅、銅合金等の金属からなり、円筒形のシールドノズルであり、基端部分の内周面に螺子溝が螺刻された取付け部5aが形成されており、基端部分の取付け部5aをインシュレータ4の先端部分の取付け部4aに螺合され、コンタクトチップ1の先端を突出した状態で、コンタクトチップ1とチップホルダー3を包容している。
【0016】
また、シールドノズル5には、図5に示すように、金属からなるシールドノズル5の母材5bの表面には、メッキ被膜であるニッケルクロムメッキ被膜5cが施され、このメッキ被膜5dの上にブラスト処理5dを施したのちBNコートの塗膜5eが施されている。
【0017】
前記シールドノズル5およびコンタクトチップ1のメッキ被膜5c、1dの上に施されたBNコートの塗膜5e、1fはメッキ被膜5c、1dを施された母材5b、1cの上にブラスト処理5d、1eを施したのちBNコートを塗布し、焼付乾燥させることにより、BNコートの塗膜5e、1fを施しており、BNコートの塗膜5e、1fは900°まで安定して使用でき、硬く、長時間濡れ性が悪いのでスパッタの付着を抑制し、付着しても付着力が弱い。
【0018】
尚、ブラスト処理5d、1eBNコートの塗膜5e、5fはスパッタが付着する可能性のある箇所に施せばよく、例えば、前記実施の形態では外径20mm、内径16mm、長さ73mmのシールドノズル5は外面では先端から53mm、内面では先端から20mm施されており、またコンタクトチップ1では外面と先端面に施されている。
【0019】
以上のように、本発明によれば、金属製のシールドノズル5の母材5bにメッキ被膜5cを施し、メッキ被膜5cの上にブラスト処理5d施したのちBNコートの塗膜5e施しているので、スパッタ付着防止効果が長時間失われることがなく、長時間の溶接が安定してでき、溶接効率が向上する。またスパッタの付着を防止できるとともに、付着したスパッタを弱い力にて剥離することができ、剥離時に表面を傷つける恐れを無くしたのでシールドノズル5の寿命を大幅に伸ばすことができる。
【0020】
また、本発明によれば、コンタクトチップ1の母材1cにメッキ被膜1dを施し、メッキ被膜1dにブラスト処理1eを施したのちBNコートの塗膜1fを施しているので、スパッタ付着防止効果が長時間失われることがなく、長時間の溶接が安定してでき、溶接効率が向上し、またスパッタの付着を防止できるとともに、付着したスパッタを弱い力にて剥離することができ、剥離時に表面を傷つける恐れを無くしたのでコンタクトチップ1の寿命を大幅に伸ばすことができ、またBNコートの塗膜は硬いので溶接ワイヤ2の移動により挿通孔1a先端が変形する恐れもなくしたことによりコンタクトチップ1の寿命を更に伸ばすことができる。
【符号の説明】
【0021】
1 コンタクトチップ
1b 取付け部
1c 母材
1d メッキ被膜
1e ブラスト処理
1f BNコートの塗膜
2 溶接ワイヤ
3 チップホルダー
3a 取付け部
4 インシュレータ
5 シールドノズル
5b 母材
5c メッキ被膜
5d ブラスト処理
5e BNコートの塗膜
図1
図2
図3
図4
図5