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特開2022-158762汚染水の固化剤及び地下水のシールド施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158762
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】汚染水の固化剤及び地下水のシールド施工方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/06 20060101AFI20221006BHJP
   G21F 9/16 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G21F9/06 591
G21F9/16 511A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021085688
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】596079884
【氏名又は名称】小山 央二
(72)【発明者】
【氏名】小山 央二
(57)【要約】
【課題】 原子力発電所から発生する汚染水から石膏を作製し地盤シールド材として有効に利用する。
【解決手段】 原子力発電所の周辺地中深くトリチウム汚染水を半水石膏で固化した二水石膏を配置し、その地中にケイ酸ソーダーを注入し反応させ固化させることによって地下水のシールドを行い地下水が構内に侵入しないようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
福島第一原子力発電所等から発生するトリチウムを含有する汚染水に粉体の半水石膏(CaSO・1/2HO)を注ぎ、この粉体固体を汚染水水面下に沈め水と接触させ化学反応させながら汚染水水面の高さまでこの粉体を注いだ後、撹拌して混合し短時間にて化学反応させ二水石膏(CaSO・2HO)として汚染水を固化させることを特徴とするトリチウム汚染水の固化施工方法。
【請求項2】
福島第一原子力発電所の周辺地中深く土壌にトリチウム汚染水を半水石膏で固化した二水石膏を配置し発電所を取り囲むダムのように埋め、地下水が構内に侵入しにくいように配置させ、そのような状態の二水石膏の層にケイ酸ソーダー水を注ぎ注入しケイ酸ソーダー水が二水石膏と反応して固化し地下水のシールドを行い地下水が構内に侵入しないようにする地下水シールド施工方法。
【請求項3】
二水石膏を地中に埋めた土壌あるいは石膏の層にケイ酸ソーダーを注入して反応固化させ地盤を強固にしたりこの地盤への地下水の侵入を防止させることを特徴とする地盤シールド施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【001】
本発明は、福島第一原子力発電所及び地下水から発生したトリチウム汚染水の貯蔵タンクに蓄積されたトリチウム汚染水の固化処理方法とその固化剤を再利用した地下水シールド方法によって福島第一原子力発電所の地下地盤に新たに流入する地下水を遮断するとともにタンクに蓄積されたトリチウム汚染水を除去する対策に関するものである。
【背景技術】
【002】
従来、福島第一原子力発電所の地下構内及び地下土壌に侵入する新たな地下水の侵入を防止するために地下構内の周囲の地下土壌部分の水分を冷却して水分凍結によるシールドによって地下水の流入を防止する方法が実施されている。また発電所の周囲の地盤に鉄の矢板による地下水の流入を防止する施工方法がある。
また、タンクに貯蔵されたトリチウムの汚染水を減少させるために海洋投棄による希釈処分処理がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【003】
そのために、次のような問題点があった。
(イ)福島第一原子力発電所の地下構内及び地下土壌に侵入する新たな地下水の侵入を防止するために地下構内の周囲の地下土壌部分の水分を冷却して水分凍結によるシールドによって地下水の流入を防止する方法では地中深くに冷凍設備を設置するので施工するのに非常に困難であり規模を拡大するのに限度がある。また施工後の設備運用維持のための電気代等の維持費とメンテナンスが困難である。
(ロ)発電所の周囲の地盤に鉄の矢板による地下水の流入を防止する施工方法では材質の腐食、地下水の完全な遮断、矢板の隙間に地下水が侵入するなどの問題がある。
(ハ)タンクに貯蔵されたトリチウムの汚染水を減少させるために海洋投棄による希釈処分処理には放射性物質であるトリチウムの半減期は約12年程度であるが海洋汚染という問題がある。
【課題を解決するための手段】
【004】
福島第一原子力発電所等から発生するトリチウムを含有する汚染水に粉体の半水石膏(CaSO・1/2HO)を注ぎ、この粉体固体を汚染水水面下に沈め水と接触させ化学反応させながら汚染水水面の高さまでこの粉体を注いだ後、撹拌して混合し短時間にて化学反応させ二水石膏(CaSO・2HO)として汚染水を固化させる。
また福島第一原子力発電所の周辺地中深く土壌にトリチウム汚染水を半水石膏で固化した二水石膏を配置し発電所を取り囲むダムのように埋め、地下水が構内に侵入しにくいように配置させ、そのような状態の二水石膏の層にケイ酸ソーダー水を注ぎ注入しケイ酸ソーダー水が二水石膏と反応して固化し地下水のシールドを行い地下水が構内に侵入しないようにする。
【発明の効果】
【005】
(イ)原子力発電所に周辺に貯蔵されたタンク中のトリチウムを含有した汚染水が減少する。
(ロ)原子力発電所の地下構内に侵入する地下水を遮断し減少させるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。福島第一原子力発電所等から発生するトリチウムを含有する汚染水に粉体の半水石膏(CaSO・1/2HO)を注ぎ、この粉体固体を汚染水水面下に沈め水と接触させ化学反応させながら汚水水面の高さまでこの粉体を注いだ後、撹拌して混合し短時間にて化学反応させ二水石膏(CaSO・2HO)として汚染水を固化させる。
福島第一原子力発電所の周辺地中深く土壌にトリチウム汚染水を半水石膏で固化した二水石膏を配置し発電所を取り囲むダムのように埋め、地下水が構内に侵入しにくいように配置させ、そのような状態の二水石膏の層にケイ酸ソーダー水を注ぎ注入しケイ酸ソーダー水が二水石膏と反応して固化し地下水のシールドを行い地下水が構内に侵入しないようにする。
また、二水石膏を地中に埋めた土壌あるいは石膏の層にケイ酸ソーダーを注入して反応固化させ地盤を強固にしたりこの地盤へのひび割れ個所への地下水の侵入を防止させシールド材を形成する。