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  • 特開-水素タンク船舶 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158763
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】水素タンク船舶
(51)【国際特許分類】
   B63B 1/12 20060101AFI20221006BHJP
   B63B 11/04 20060101ALI20221006BHJP
   B63H 21/17 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B63B1/12 D
B63B11/04 B
B63H21/17
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021085689
(22)【出願日】2021-04-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】397033814
【氏名又は名称】株式会社タジマモーターコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】安田 憲太
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水素燃料を用いた推進システムを搭載した船舶の性能改善を図る。
【解決手段】人もしくは貨物を輸送することを目的とし、水素燃料と、水素燃料を備蓄する水素タンクと、水素燃料を電力変換する燃料電池と、電動機による推進器と、を備え、水素燃料を備蓄する水素タンクが主たる船体構造及び浮体を構成することを特徴とした無人もしくは有人の船舶である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人もしくは貨物を輸送することを目的とし、
水素燃料と、
水素燃料を備蓄する水素タンクと、
水素燃料を電力変換する燃料電池と、
電動機による推進器と、を備え、
水素燃料を備蓄する水素タンクが
主たる船体構造及び浮体を構成することを特徴とした無人もしくは有人の船舶
【請求項2】
前記船舶は、複数の前記水素タンクを組み合わせることで、
単胴船、双胴船、三胴船、などの多胴船舶の船型を構築できること、
を特徴とした船舶
【請求項3】
前記船舶は、前記水素タンクに水中翼を結合することで、
排水量型船舶と水中翼型船舶を複合した船型を構築できること、
を特徴とした船舶
【請求項4】
前記船舶は、前記水素タンクに気密壁を結合することで、
排水量型船舶とエアクッション船舶を複合した船型を構築できること、
を特徴とした船舶
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人もしくは貨物を輸送するための船舶に用いられ、水素燃料を用いた推進システムを搭載した船舶の性能改善を目的とする。
【背景技術】
【0002】
船舶の推進システムは、O2および汚染物質の排出削減が求められている。
水素燃料と、燃料電池と、電動機と、による推進システムは環境親和性が高く、必要とされている。
【0003】
水素燃料は、重量当たりエネルギー量が大きい反面、体積当たりのエネルギー量が小さい。
水素燃料を、高強度の水素タンクに高圧力に充填することで、搭載時の体積を小さくしている。
【特許文献1】特開2010-071444
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の水素タンクは、高圧力に耐えるために高強度とする必要があり、水素タンクの重量および製造コスト、が増加する。
【0005】
また、高圧力に燃料を充填する必要があるため、燃料充填時に大きな動力および冷却が必要であり、エネルギーの損失を招いている。
【0006】
また、高圧力で運用するため、水素タンク及びその配管の厳重な安全管理が必要で、運用コストが増大する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1から4に記載する以下の船舶により水素タンクを合理的に活用することで課題を解決するとともに船舶の性能を向上させる。
【0008】
人もしくは貨物を輸送することを目的とし、
水素燃料と、
水素燃料を備蓄する水素タンクと、
水素燃料を電力変換する燃料電池と、
電動機による推進器と、を備え、
水素燃料を備蓄する水素タンクが
主たる船体構造及び浮体を構成することを特徴とした無人もしくは有人の船舶
【0009】
前記船舶は、複数の前記水素タンクを組み合わせることで、
単胴船、双胴船、三胴船、などの多胴船舶の船型を構築できること、
を特徴とした船舶
【0010】
前記船舶は、前記水素タンクに水中翼を結合することで、
排水量型船舶と水中翼型船舶を複合した船型を構築できること、
を特徴とした船舶
【0011】
前記船舶は、前記水素タンクに気密壁を結合することで、
排水量型船舶とエアクッション船舶を複合した船型を構築できること、
を特徴とした船舶
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、当該船舶は、水素タンクが船舶の主構造を兼ねる。そのため、水素タンクの重量および製造コストを、船舶の主構造の重量および製造コストの削減で相殺できる。
【0013】
本発明によれば、当該船舶は、水素タンクが船舶の浮体を兼ねる。浮体は船舶全体の重量を浮力で支える十分な体積が必要である。そのため、水素タンクの圧力を高くして体積を削減する必要性が小さく、水素タンクの圧力を小さくすることができ、水素タンクの重量および製造コストを低減できる。
【0014】
また、水素タンクの圧力を小さくすることで、水素タンク及び配管の安全管理が容易となり、運用コストが低減できる。
【0015】
低圧のタンクおよびその固定機器は、製造法が確立しており調達が容易である。複数の水素タンクを組み合わせることで、多胴船舶や、水中翼船舶や、エアクッション船舶、の複雑な船型を容易に構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は水素タンク船舶の側面図である。
図2は水素タンク船舶の正面図である。
船舶1の仕様は以下である。
船舶1の重量は3000キログラム、全長は8メートルである。
船舶1の船型は、2つの水素タンク2を浮体とした双胴船である。ただし、単胴船や三胴船でもよい。
また、2つの水素タンク2の間を水中翼3で結合し水中翼船と複合してもよい。
また、2つの水素タンク2の間を気密壁4で結合しエアクッション船型と複合してもよい。
水素タンク2は、充填圧力が9メガパスカルの低圧タンクである。ただし、より高圧のタンクでもよい。
水素タンク2は、ガラス繊維複合材構造である。ただし、金属構造や、炭素繊維複合材構造や、アラミド繊維複合材構造でもよい。
2つの側面構造5は、2つの水素タンク2とデッキ構造6を結合する。
デッキ構造6は水面より上に配置される。
デッキ構造6の上に、貨客7が搭載される。
燃料電池8はデッキ構造6に搭載される。ただし側面構造5に搭載されてもよい。
推進器9はデッキ構造6の後部に設置される。出力は50キロワットである。ただし、側面構造5や、水素タンク2の後部に搭載されてもよい。
前部タンクキャップ10は発泡樹脂構造である。衝撃吸収機能を有する。
後部タンクキャップ11はガラス繊維複合材構造である。整流効果を有する。
【0017】
図1では、水素タンク2は船舶1を浮力で指示するため大きな体積を有し、低圧でも十分な量の水素燃料を搭載することができる。また、水素タンク2は気密構造であるため、浸水の心配がなく船舶の安全性も高い。
【0018】
また、水素タンク2は船舶1の縦曲げや浮力等の主たる荷重を支えるため、船舶1の構造を大幅に簡略化し、軽量化することができる。
【0018】
また、水素タンク2は気密構造であるため、浸水の心配がなく船舶の安全性も高い。
【0019】
図2では、同一形状の水素タンク2を2つ結合するのみで容易に双胴船型を構築し、水面と接する長さ方向形状の細長比を向上し、船舶1の造波抵抗を効果的に削減できる。
【0019】
また、双胴船型により、水中の推進抵抗を増やすことなく船舶1のデッキ構造6の面積を増大でき貨客7の搭載に有利である。
【0020】
図3は、2つ水素タンク2の間に水中翼3を追加し、水中翼3の揚力と水素タンク2の浮力の複合により船舶1を支える場合の正面図である。水中に没している部分の体積を削減し、推進抵抗を削減する。
【0021】
図4は、2つの水素タンク2の間に気密壁4を設置し、水素タンク2と気密壁4で囲われた部分の気圧を制御することでエアクッションの圧力と水素タンク2の浮力の複合により船舶1を支える場合の断面図である。水中に没している部分の体積を削減し、推進抵抗を削減する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は船舶1の構成を説明するための側面図である。
図2図2は船舶1の構成を説明するための正面図である。
図3図3は水中翼3を追加した場合の船舶1の正面図である。
図4図4は気密壁4を追加した場合の船舶1の断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 船舶
2 水素タンク
3 水中翼
4 気密壁
5 側面構造
6 デッキ構造
7 貨客
8 燃料電池
9 推進器
10 前部タンクキャップ
11 後部タンクキャップ
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人もしくは貨物を輸送することを目的とし、
水素燃料と、
前記水素燃料を備蓄する水素タンクと、
前記水素燃料を電力変換する燃料電池と、
電動機による推進器と、を備え、
前記水素燃料を備蓄する前記水素タンクが
主たる船体構造及び浮体を構成することを特徴とした無人もしくは有人の船舶
【請求項2】
前記船舶は、複数の前記水素タンクを組み合わせることで、
単胴船、双胴船、三胴船、などの多胴船舶の船型を構築できること、
を特徴とした、請求項1に記載の船舶
【請求項3】
前記船舶は、前記水素タンクに水中翼を結合することで、
排水量型船舶と水中翼型船舶を複合した船型を構築できること、
を特徴とした、請求項1または請求項2に記載の船舶
【請求項4】
前記船舶は、前記水素タンクに気密壁を結合することで、
排水量型船舶とエアクッション船舶を複合した船型を構築できること、
を特徴とした、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の船舶
【手続補正書】
【提出日】2022-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人もしくは貨物を輸送することを目的とし、
水素燃料と、
前記水素燃料を備蓄する水素タンクと、
前記水素燃料を電力変換する燃料電池と、
電動機による推進器と、を備え、
前記水素燃料を備蓄する前記水素タンクが
主たる船体構造及び浮体を構成し、
前記水素タンクに気密壁を結合することで、
排水量型船舶とエアクッション船舶を複合した船型を構築できること、
を特徴とした無人もしくは有人の船舶。
【請求項2】
前記船舶は、複数の前記水素タンクを組み合わせることで、
単胴船、双胴船、三胴船、などの多胴船舶の船型を構築できること、
を特徴とした、請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記船舶は、前記水素タンクに水中翼を結合することで、
排水量型船舶と水中翼型船舶を複合した船型を構築できること、
を特徴とした、請求項1または請求項2に記載の船舶。