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  • 特開-リアルタイムリモート中継システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158770
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】リアルタイムリモート中継システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20221006BHJP
   H04N 21/2187 20110101ALI20221006BHJP
   H04B 7/155 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H04N5/232 300
H04N21/2187
H04N5/232 060
H04N5/232 990
H04B7/155
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021086508
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】521219604
【氏名又は名称】有限会社スピリット・エンターテイメント
(72)【発明者】
【氏名】飯澤 善生
(72)【発明者】
【氏名】川原田 稔
【テーマコード(参考)】
5C122
5C164
5K072
【Fターム(参考)】
5C122DA02
5C122EA54
5C122EA55
5C122EA67
5C122EA68
5C122FA01
5C122FA18
5C122GC04
5C122GC15
5C122GC19
5C122GD04
5C122GD06
5C122GD09
5C164SA11S
5C164SA25P
5C164TA06S
5K072AA23
5K072AA27
5K072AA30
5K072BB03
5K072BB04
5K072BB14
5K072BB25
(57)【要約】
【課題】 従来の携帯キャリア回線を使った映像伝送では、約4秒から10秒以上の遅延が発生するため、リアルタイムにワイヤレスカメラで撮影したTV生中継において活用することが出来なかった。又一方で、ワイヤレスカメラを導入したTV中継には、機材や人材に莫大なコストが掛かった。
【解決手段】 そこで、本映像伝送装置を使って映像環境を再構築する事で、映像伝送遅延は0.1秒以下となり、このシステムを使用したワイヤレスカメラによるTV生中継は、従来の装置では達成が不可能となっていた。そして本発明の中継基地のカメラリモートコントロール機能を活用する事により、機材及び人的なコスト削減が可能となった。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワイヤレスカメラと、
映像伝送を0.1秒以下にて行うリアルタイム映像送信機を特徴とし、
個別に接続された複数の異なるキャリアのモバイル回線を1つの回線に束ね、通信速度の高速化・安定化を図り、
ほぼ同時に中継スタジオに於いて、ネットワークに接続された映像受信機によって、複数のリモートコントロール機能を有するワイヤレスカメラで得られた映像信号をそれぞれ受信し、
更にその映像をスイッチング(映像の切替え)し、テレビ局などの生放送事業者やストリーミング配信事業者に対してワンストップ(One-Stop)で、リアルタイムに映像伝送することを特徴とする新規映像中継システム。
【請求項2】
TV中継に於いて、複数のワイヤレスカメラにこのシステムを導入することによって、従来映像伝送に携わる技術者3名を事実上TVカメラマン1名で実現可能にする事が出来る請求項1記載の映像中継システム。
【請求項3】
TV中継に於いて、複数のワイヤレスカメラを搭載し、上空を降下するパラシューティング映像では、従来重量10キロの映像伝送装置だったものを、重量1キロ乃至1以下で実現可能となる請求項1記載の映像中継システム。
【請求項4】
請求項1記載の中継スタジオに於いて、前記リモートコントロール機能を有するワイヤレスカメラを、陸上競技種目の内、フル・マラソン、駅伝などの生中継スタッフと共に並走するオートバイクの車体に取り付けることにより、本来同乗するカメラマンをリモートで操作するカメラ付き防振装置(ジンバル)に置き換えることを特徴とする請求項1記載の映像中継システム。
【請求項5】
前記リモートコントロール機能を有したモータースポーツ車載映像では、遠隔でカメラのアングル(角度)をコントロール(操作)することで、後方や側面のアングル(角度)にリアルタイムで撮影を可能とする請求項1記載の映像中継システム。
【請求項6】
前記リモートコントロール機能を有した海上の船上映像では、遠隔でカメラのアングル(角度)をコントロール(操作)することで、船上の甲板や船の周辺海上のアングル(角度)に対し、リアルタイムで撮影を可能とする請求項1記載の映像中継システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアルタイムリモート中継システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでのTV中継に於けるワイヤレスカメラは、大掛かりな機材と人員を必要としており、それに伴い莫大な費用がかかるため、手軽な民間キャリア回線を用いた映像伝送が利用されるようになってきたが、従来の機材では被写体を撮影したデータを送信し、受信する間の映像遅延がおよそ4秒から10秒以上かかり、TV中継ではほとんど活用されてこなかった。本発明のリアルタイムリモート中継システムは、遅延速度が0.1秒以下であり、これら映像技術に携わる人々にとって、かかる課題を大幅にクリアしたものとなっている。近年、固定式小型カメラやスマートフォンの発展により、スポーツなどで、ライブカメラを使って競技を撮影するだけでなく、自らからの映像配信が盛んになってきた事もあり、現実ではTV中継レベルとしては活用できずにいた。そこで、本件中継システムは、TV生中継やストリーミング生配信による映像コンテンツの拡大にも繋がるものとなる。
【0003】
一システムでは、広域IP(Internet Protocol)やキャリア回線を使用して、オンボード映像からの中継を試みる特許も取得されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-46354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1では、リモートコントロール機能はなく、通信が一方通行なためカメラアングルのリモート変更は不可能となっている。
【0006】
上述の競技車両オンボードカメラでの映像は、映像伝送に遅延がおこり、画像の解像度も720pと低いために、TV中継クオリティには至っていない。
【0007】
上述の競技車両オンボードカメラ機材は、予備バッテリーを含め総重量が2キロ以上となっているため、グラム単位での減量が必要なフォーミュラカーでの搭載は事実上不可能となっている。
【0008】
本発明は、上記の様々な問題点をクリアするために、映像送信機の選定から始まり、非常にリアルタイムで良好な映像伝送となる試験結果を生み出す製品を特定した事によって、比較的低コストで競技者やリモートコントロールを有するワイヤレスカメラとしての機能をも果たし、その複数の映像をスイッチング(映像の切替え)し、テレビ局などの生放送事業者やストリーミング配信事業者に対してワンストップ(One-Stop)で、リアルタイムに映像伝送することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るリアルタイムリモート中継システムは、一台から複数のカメラと、映像送信機を繋ぎ、送信機に個別に接続された複数の異なるキャリアのモバイル回線とネットワークに接続された映像受信機により、0.1秒以下のリアルタイム映像を伝送する。前記の映像送信機は、それぞれ通信規格4G及び次世代通信規格5Gの下所定の携帯電話キャリアの携帯電話通信網に常時接続しながら、ネットワークに接続された映像受信機へ映像を送信し、リモートコントロール機能により、受信機よりカメラ側へのコントロールが可能となっている。複数のリアルタイムで伝送されたカメラ映像は、同時にスイッチング(映像の切替え)して1つにしたプログラム映像を、テレビ局などの生放送事業者やストリーミング生配信者に対して遅延がなくクオリティの高い映像をワンストップ(One-Stop)で伝送する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低コストで且つ少人数で生中継映像やストリーミング生配信を速やかに編集し、放送業者やストリーミング配信者へ伝送する事が可能となる。
【0011】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るリアルタイムリモート中継システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示すリアルタイムリモート中継システムにおける、リモートコントロール機能を有するモータースポーツ競技車両内の設置カメラ21、映像送信装置22を説明する図である。
図3図3は、図1に示すリアルタイムリモート映像中継システムにおける映像送信装置22の構成を説明する図である。
図4図4は、図1に示すリアルタイムリモート映像中継システムにおける映像送信装置の構成を説明する図である。
図5図5は、図1に示すリアルタイムリモート映像中継システムにおける映像送信装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
実施形態1.
【0015】
実施形態1では、マラソンや駅伝などの陸上競技に於いて、1人のランナーに並行して走行する複数のバイク並走車のそれぞれに対して、少なくとも一台のカメラを映像送信機に繋ぎ、送信機に個別に接続された複数の異なるキャリアのモバイル回線とネットワークに接続された映像受信機によってリアルタイム映像を伝送する。前記の映像送信機は、それぞれ通信規格4G及び次世代通信規格5Gの下所定の携帯電話キャリアの携帯電話通信網に常時接続しながら、ネットワークに接続された映像受信機へ映像を送信し、リモートコントロール機能により、受信機よりカメラ側へのコントロールが可能となっている。例えば、1人のランナーに対し撮影を行いながら、受信機より複数のリアルタイムで伝送されたカメラ映像を、同時にスイッチング(映像の切替え)して1つにまとめたプログラム映像を、それぞれ変換するようにしてもよい。
【0016】
実施形態2.
【0017】
実施形態2では、ゴルフトーナメント競技に於いて、1人のプレイヤー競技者に伴走するカート或いはキャディーとカメラ・クルーのそれぞれに対して、本発明に係るリアルタイムリモート中継システムでは、一台から複数のカメラと、映像送信機を繋ぎ、送信機に個別に接続された複数の異なるキャリアのモバイル回線とネットワークに接続された映像受信機によって、リアルタイム映像を伝送する。前記の映像送信機は、それぞれ通信規格4G及び次世代通信規格5Gの下所定の携帯電話キャリアの携帯電話通信網に常時接続しながら、ネットワークに接続された映像受信機へ映像を送信し、リモートコントロール機能により、受信機よりカメラ側へのコントロールが可能となっている。例えば、ゴルフプレイヤーに同行したキャディー又は、カメラスタッフに対しカメラを備えつけ、撮影を行いながら複数のリアルタイムで伝送されたカメラ映像は、同時にスイッチング(映像の切替え)して1つにまとめたプログラム映像を、それぞれ変換するようにしてもよい。
また複数の映像データに基づいて映像データに更に、上述のリアルタイム映像に加え、ピッチ撮影を行うカメラ(例えば、各地点のクルーが撮影するカメラ、競技内コースに沿って設置されたカメラなど)により得られた映像信号を、上述のリモートコントロール機能を有するカメラの映像信号と一緒にし、同時にスイッチング(映像の切替え)して、1つにまとめたプログラム映像を、それぞれ変換するようにしてもよい。
【0018】
実施形態3
【0019】
実施形態3では、パラシュート競技に於いて、1人のプレイヤー競技者に対し、本発明に係るリアルタイムリモート中継システムでは、図5のように一台の撮影カメラと、映像送信機を繋ぎ、送信機に個別に接続された複数の異なるキャリアのモバイル回線とネットワークに接続された映像受信機によって、リアルタイム映像を伝送する。前記の映像送信機は、それぞれ通信規格4G及び次世代通信規格5Gの下所定の携帯電話キャリアの携帯電話通信網に常時接続しながら、ネットワークに接続された映像受信機へ映像を送信し、リモートコントロール機能により、受信機よりカメラ側へのコントロールが可能となっている。例えば、パラシューターにカメラを備えつけ、撮影を行いながら複数のリアルタイムで伝送されたカメラ映像は、同時にスイッチング(映像の切替え)して1つにまとめたプログラム映像を、それぞれ変換するようにしてもよい。
【0020】
実施形態4.
【0021】
実施形態4では、競争自動車競技に於いて、1人のドライバーのキャビン或いは、コックピットの任意の場所に、本発明に係るリアルタイムリモート中継システムでは、少なくとも一台のカメラと、映像送信機を繋ぎ、送信機に個別に接続された複数の異なるキャリアのモバイル回線とネットワークに接続された映像受信機によって、リアルタイム映像を伝送する。前記の映像送信機は、それぞれ通信規格4G及び次世代通信規格5Gの下所定の携帯電話キャリアの携帯電話通信網に常時接続しながら、ネットワークに接続された映像受信機へ映像を送信し、リモートコントロール機能により、受信機よりカメラ側へのコントロールが可能となっている。例えば、ドライバーのシフトポジション、車両の前後左右の状況を把握できるようにカメラを備えつけ、撮影を行いながら複数のリアルタイムで伝送されたカメラ映像は、同時にスイッチング(映像の切替え)して1つにまとめたプログラム映像を、それぞれ変換するようにしてもよい。
【0022】
実施形態5.
【0023】
実施形態5では、ウインドサーフィンや、トライアスロンに於いて、小型モーターボートを使用し、1人のプレイヤーを撮影するための任意の場所に、本発明に係るリアルタイムリモート中継システムを、少なくとも一台のジンバルに取り付けたカメラを装着し、映像送信機を繋ぎ、送信機に個別に接続された複数の異なるキャリアモバイル回線とネットワークに接続された映像受信機によって、リアルタイム映像を伝送する。前記の映像送信機は、それぞれ通信規格4G及び次世代通信規格5Gの下所定の携帯電話キャリアの携帯電話通信網に常時接続しながら、ネットワークに接続された映像受信機へ映像を送信し、リモートコントロール機能により、受信機よりカメラ側へのコントロールが可能となっている。例えば、プレイヤーのポジションに合わせ、前後左右の状況を常に把握できるようにリアルタイムリモートカメラを操作し、撮影を行いながら複数のリアルタイムで伝送されたカメラ映像は、同時にスイッチング(映像の切替え)して1つにまとめたプログラム映像を、それぞれ変換するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、とりわけスポーツ生中継などのリアルタイム中継映像に関するものであり、最近需要の多い質の高いコンテンツ映像に於いて遅延速度を0.1秒以下にすることで映像切替えの利点を生かし、迅速なライブ中継を伝送することに期待が寄せられている。このような瞬間的且つ高速映像を撮影する為の技術系スタッフへの要望が年々増しており、人材育成の観点から言えば技術スタッフの増員も必要不可欠である。しかしながら、現実的には限られた技術系スタッフを現場に同行させる事は難しく、瞬間的且つ高速映像を撮影するには困難となっていた。例えば、マラソンや駅伝の陸上競技映像、ゴルフ生中継映像、パラシュートなどの降下映像、二輪車や四輪車による競争自動車中継映像、そして、ウインドサーフィン、トライアスロンのような海上競技映像など、陸・海・空のそれぞれの競技シーンでのリアルタイムリモート中継に適用可能である。
【符号の説明】
【0025】
12 映像送信装置
21 リアルタイムリモートカメラ
22 映像通信装置
33 データ通信端末
41 映像受信機
51 リモートカメラコントロール機
図1
図2
図3
図4
図5