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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158788
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】クローラ駆動ユニット及び建設機械
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/125 20060101AFI20221006BHJP
   B62D 55/07 20060101ALI20221006BHJP
   B60K 1/02 20060101ALI20221006BHJP
   B60K 7/00 20060101ALI20221006BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20221006BHJP
   E02F 9/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B62D55/125
B62D55/07
B60K1/02
B60K7/00
F16H1/06
E02F9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095955
(22)【出願日】2021-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2021059731
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 拓也
(72)【発明者】
【氏名】小森 悦朗
【テーマコード(参考)】
3D235
3J009
【Fターム(参考)】
3D235AA19
3D235BB43
3D235CC42
3D235FF32
3D235FF35
3D235GA06
3D235GA12
3D235GA15
3D235GA52
3D235GB03
3D235GB37
3J009DA16
3J009EA05
3J009EA11
3J009EA21
3J009EA32
3J009EA43
3J009FA03
(57)【要約】
【課題】土砂や岩等にモータが接触してしまう可能性を低減できるクローラ駆動ユニット及び建設機械を提供する。
【解決手段】実施形態のクローラ駆動ユニット1は、車体本体101を走行させる走行部102に設けられ、走行部102に設けられたクローラに駆動力を伝達する減速機構4と、減速機構4に駆動力を伝達する伝達機構3と、減速機構4に回転力を付与する電動モータ2と、を備える。電動モータ2のモータシャフト7は、減速機構4の入力シャフト16の回転軸線Jnよりも上方に位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体本体を走行させる走行部に設けられ、前記走行部に設けられたクローラに駆動力を伝達する減速機構と、
前記減速機構に駆動力を伝達する伝達機構と、
前記伝達機構に回転力を付与する電動モータと、
を備え、
前記電動モータのモータシャフトは、前記減速機構の前記伝達機構からの駆動力が入力される入力部の回転軸線よりも上方に位置している
クローラ駆動ユニット。
【請求項2】
前記モータシャフトの回転軸線と前記入力部の回転軸線とが平行である
請求項1に記載のクローラ駆動ユニット。
【請求項3】
前記電動モータは、前記減速機構から前記車体本体の車幅方向に突出して設けられている
請求項1又は請求項2に記載のクローラ駆動ユニット。
【請求項4】
前記伝達機構は、複数の歯車を噛み合わせてなる
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のクローラ駆動ユニット。
【請求項5】
前記伝達機構は、前記モータシャフトの回転を減速して前記入力部に伝達する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のクローラ駆動ユニット。
【請求項6】
前記電動モータの全体は、前記入力部の回転軸線よりも上方に位置している
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のクローラ駆動ユニット。
【請求項7】
前記電動モータの全体は、前記車体本体の底面から上方に位置している
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のクローラ駆動ユニット。
【請求項8】
前記減速機構の少なくとも一部は、前記クローラにおける前記車体本体の車幅方向の幅内に収納されている
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のクローラ駆動ユニット。
【請求項9】
車体本体を走行させる走行部に設けられ、前記走行部に設けられたクローラに駆動力を伝達する減速機構と、
前記減速機構に駆動力を伝達する伝達機構と、
前記減速機構から前記車体本体の車幅方向に突出して設けられ、前記減速機構に回転力を付与する電動モータと、
を備え、
前記伝達機構は、前記電動モータのモータシャフトの回転を減速して前記減速機構に伝達し、
前記電動モータの全体は、前記車体本体の底面から上方に位置している
クローラ駆動ユニット。
【請求項10】
車体本体を走行させる左右の2つの走行部に設けられ、各々前記走行部に設けられたクローラに駆動力を伝達する2つの減速機構と、
前記減速機構に駆動力を伝達する伝達機構と、
前記減速機構から前記車体本体の車幅方向内側に突出して設けられ、前記減速機構に回転力を付与する2つの電動モータと、
を備え、
前記2つの電動モータは、前記車体本体の前後方向に並んで配置されている
クローラ駆動ユニット。
【請求項11】
前記電動モータのモータシャフトは、前記減速機構の前記伝達機構からの駆動力が入力される入力部の回転軸線よりも上方に位置している
請求項10に記載のクローラ駆動ユニット。
【請求項12】
車体本体と、
前記車体本体を走行させる走行部と、
前記走行部に設けられ、前記走行部に設けられたクローラに駆動力を伝達する減速機構と、
前記減速機構に駆動力を伝達する伝達機構と、
前記減速機構から前記車体本体の車幅方向に突出して設けられ、前記減速機構に回転力を付与する電動モータと、
を備え、
前記伝達機構は、前記電動モータのモータシャフトの回転を減速して前記減速機構に伝達し、
前記電動モータの全体は、前記車体本体の底面から上方に位置している
建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラ駆動ユニット及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械は、悪路での車体本体の走行を可能にする走行部として、乗用自動車等に用いられる車輪に代わってクローラを備える。クローラは、回転軸線回りに回転する駆動輪(スプロケット)に噛み合わされる。
駆動輪を回転駆動させる駆動ユニットとしては、大きな回転トルクを得やすい油圧モータを用いた油圧式の駆動ユニットが用いられる場合が多い。油圧式の駆動ユニットは、油圧モータの他に、この油圧モータに作動油を供給するための油圧ポンプや油圧ポンプを駆動するためのエンジンを備える。油圧ポンプから吐出された作動油は、建設機械に引き回された配管を通って油圧モータに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-240342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、建設機械の簡素化を目的として油圧式の駆動ユニットに代わって電気式の駆動ユニットを用いる要望が高まっている。電気式の駆動ユニットは、エンジンに代わるバッテリと、バッテリの電力によって駆動する電動モータと、等を備える。電気式の駆動ユニットは、油圧ポンプも必要なくなるとともに、配管も引き回す必要がなくなる。
【0005】
ここで、電動モータと油圧モータとを同サイズで比較した場合、電動モータの回転トルクは、油圧モータの回転トルクよりも小さくなりがちである。このため、電気式の駆動ユニットを用いる場合、電動モータのサイズを大きくするとともに、電動モータの回転を減速して出力する減速機構を電動モータと併用することになる。
【0006】
減速機構は、ハウジング内に複数の歯車が回転自在に設けられている。走行部に設けられている減速機構は、ハウジングを出力部としているものがある。このような構成のもと、建設機械の走行中に土砂や岩等によって駆動ユニットが損傷してしまうことを抑えるために、できる限り電気式の駆動ユニットが走行部から突出しないようにすることが望ましい。このため、駆動輪内に、減速機構を駆動輪と同軸上に収納することが考えられる。そして、ハウジング(出力部)と一体となって駆動輪を回転させる。
【0007】
しかしながら、単純に油圧式の駆動ユニットを電気式の駆動ユニットに置き換えようとすると、元々油圧モータが配置されていたスペースに、電動モータと減速機構とを配置することになる。このため、走行部の車幅方向の幅内(スプロケットの幅内)に減速機構を収めることができても、電動モータが走行部から車幅方向に突出してしまう。この結果、建設機械の走行中、土砂や岩等に電動モータが接触してしまい、この電動モータが損傷する可能性があった。とりわけ、減速機構と電動モータとが同じような高さに配置されている場合、路面からの電動モータの位置が近くなってしまう。この分、電動モータが損傷してしまう可能性が高まる。
【0008】
本発明は、土砂や岩等に電動モータが接触してしまう可能性を低減できるクローラ駆動ユニット及び建設機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るクローラ駆動ユニットは、車体本体を走行させる走行部に設けられ、前記走行部に設けられたクローラに駆動力を伝達する減速機構と、前記減速機構に駆動力を伝達する伝達機構と、前記伝達機構に回転力を付与する電動モータと、を備え、前記電動モータのモータシャフトは、前記減速機構の前記伝達機構からの駆動力が入力される入力部の回転軸線よりも上方に位置している。
【0010】
このように構成することで、減速機構に対して電動モータの位置を上方に位置させることができる。このため、電動モータと減速機構とを備えるクローラ駆動ユニットをクローラに設ける場合で、例えばローラから電動モータが車幅方向に突出する場合でも電動モータの位置を路面からできる限り離間させることができる。よって、土砂や岩等に電動モータが接触してしまう可能性を低減できる。
【0011】
上記構成で、前記モータシャフトの回転軸線と前記入力部の回転軸線とが平行でもよい。
【0012】
上記構成で、前記電動モータは、前記減速機構から前記車体本体の車幅方向に突出して設けられてもよい。
【0013】
上記構成で、前記伝達機構は、複数の歯車を噛み合わせてなってもよい。
【0014】
上記構成で、前記伝達機構は、前記モータシャフトの回転を減速して前記入力部に伝達してもよい。
【0015】
上記構成で、前記電動モータの全体は、前記入力部の回転軸線よりも上方に位置してもよい。
【0016】
上記構成で、前記電動モータの全体は、前記車体本体の底面から上方に位置してもよい。
【0017】
上記構成で、前記減速機構の少なくとも一部は、前記クローラにおける前記車体本体の車幅方向の幅内に収納されてもよい。
【0018】
本発明の他の態様に係るクローラ駆動ユニットは、車体本体を走行させる走行部に設けられ、前記走行部に設けられたクローラに駆動力を伝達する減速機構と、前記減速機構に駆動力を伝達する伝達機構と、前記減速機構から前記車体本体の車幅方向に突出して設けられ、前記減速機構に回転力を付与する電動モータと、を備え、前記伝達機構は、前記電動モータのモータシャフトの回転を減速して前記減速機構に伝達し、前記電動モータの全体は、前記車体本体の底面から上方に位置している。
【0019】
このように構成することで、減速機構に対して電動モータの位置を上方に位置させることができる。このため、電動モータと減速機構とを備えるクローラ駆動ユニットをクローラに設ける場合で、例えばローラから電動モータが車幅方向に突出する場合でも電動モータの位置を路面からできる限り離間させることができる。よって、土砂や岩等に電動モータが接触してしまう可能性を低減できる。
また、減速機構に加え、伝達機構でもモータシャフトの回転を減速できる。このため、クローラ駆動ユニットを小型化しつつ、高い減速比を得ることができ、高出力なクローラ駆動ユニットを提供できる。
【0020】
本発明の他の態様に係るクローラ駆動ユニットは、車体本体を走行させる左右の2つの走行部に設けられ、各々前記走行部に設けられたクローラに駆動力を伝達する2つの減速機構と、前記減速機構に駆動力を伝達する伝達機構と、前記減速機構から前記車体本体の車幅方向内側に突出して設けられ、前記減速機構に回転力を付与する2つの電動モータと、を備え、前記2つの電動モータは、前記車体本体の前後方向に並んで配置されている。
【0021】
このように構成することで、左右のクローラの間隔が短い場合であっても各クローラに設けたクローラ駆動ユニット同士が干渉してしまうことを防止できる。
また、左右のクローラの間隔の違いに応じて個別にクローラ駆動ユニットを用意する必要がなく、クローラ駆動ユニットの汎用性を高めることができる。
【0022】
上記構成で、前記電動モータのモータシャフトは、前記減速機構の前記伝達機構からの駆動力が入力される入力部の回転軸線よりも上方に位置してもよい。
【0023】
本発明の他の態様に係る建設機械は、車体本体と、前記車体本体を走行させる走行部と、前記走行部に設けられ、前記走行部に設けられたクローラに駆動力を伝達する減速機構と、前記減速機構に駆動力を伝達する伝達機構と、前記減速機構から前記車体本体の車幅方向に突出して設けられ、前記減速機構に回転力を付与する電動モータと、を備え、前記伝達機構は、前記電動モータのモータシャフトの回転を減速して前記減速機構に伝達し、前記電動モータの全体は、前記車体本体の底面から上方に位置している。
【0024】
このように構成することで、減速機構に対して電動モータの位置を上方に位置させることができる。このため、電動モータと減速機構とを備えるクローラ駆動ユニットをクローラに設ける場合で、例えばローラから電動モータが車幅方向に突出する場合でも電動モータの位置を路面からできる限り離間させることができる。よって、土砂や岩等に電動モータが接触してしまう可能性を低減でき、走行性の高い建設機械を提供できる。
【発明の効果】
【0025】
上述のクローラ駆動ユニット及び建設機械は、土砂や岩等に電動モータが接触してしまう可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態における建設機械の斜視図。
図2】本発明の第1実施形態におけるクローラ、下部フレーム及びクローラ駆動ユニットを前後方向からみた平面図。
図3】本発明の第1実施形態におけるクローラ駆動ユニットの断面図。
図4】本発明の第2実施形態におけるクローラ、下部フレーム及びクローラ駆動ユニットを、前後方向からみた平面図。
図5】本発明の第2実施形態におけるクローラ及びクローラ駆動ユニットの一部を、車幅方向からみた概略図。
図6】本発明の第2実施形態の変形例におけるクローラ及びクローラ駆動ユニットの一部を車幅方向からみた概略図。
図7】本発明の第3実施形態におけるクローラ及びクローラ駆動ユニットの一部を、車幅方向からみた概略図。
図8】本発明の第3実施形態の変形例におけるクローラ及びクローラ駆動ユニットの一部を車幅方向からみた概略図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
[第1実施形態]
<建設機械>
図1は、建設機械100の斜視図である。
図1に示すように、建設機械100は、例えば土砂を掘削したり、掘削した土砂を別の車両に移載したりする等の土木作業を行なう。建設機械100は、車体本体101と、車体本体101を走行させる走行部102と、走行部102に設けられ走行部102を駆動させるためのクローラ駆動ユニット1と、を備える。以下の説明では、建設機械100の進行方向前後を前後方向と称し、この前後方向に水平方向で直交する建設機械100の車幅方向を単に車幅方向と称する。
【0029】
車体本体101は、旋回体103と、旋回体103の下部に設けられ、旋回体103を旋回自在に支持する下部フレーム104と、を備える。旋回体103は、旋回体103は、操作者が搭乗可能なキャブ105と、旋回体103に一端が揺動自在に連結されているブーム106と、を備える。図1では省略するが、ブーム106の他端にはアームが揺動自在に設けられている。さらに、アームのブーム106とは反対側端には、バケット等が取り付けられる。下部フレーム104の車幅方向両側に、走行部102が設けられている。
【0030】
走行部102は、下部フレーム104に連結され前後方向に長いトラックフレーム107と、トラックフレーム107の前部に回転自在に設けられた図示しないアイドラと、トラックフレーム107の後部に回転自在に設けられた駆動輪(スプロケット)108と、トラックフレーム107の下部に回転自在に設けられた複数の図示しない転輪と、これらアイドラ、駆動輪108及び転輪に渡って巻き掛けられたクローラ109と、を備える。クローラ109は、硬質ゴムや鉄等の金属によって構成されている。駆動輪108を回転駆動させるようにクローラ駆動ユニット1が設けられている。
【0031】
<クローラ駆動ユニット>
図2は、走行部102、下部フレーム104及びクローラ駆動ユニット1を前後方向からみた平面図である。図3は、クローラ駆動ユニット1の断面図である。
図2図3に示すように、クローラ駆動ユニット1は、電動モータ2と、電動モータ2に連結された伝達機構3と、伝達機構3に連結された減速機構4と、を備える。
【0032】
<電動モータ>
電動モータ2は、モータケース5内に固定された図示しないステータと、ステータに対して回転自在に設けられたロータ6と、を備える。電動モータ2は、車体本体101に設けられた外部電源(バッテリ)の電力が供給されることにより駆動する。電動モータ2としては、いわゆるブラシ付きモータやブラシレスモータ等、電力が供給されることにより駆動するさまざまなモータを採用することができる。
【0033】
モータケース5の外周面には、図示しないステータに電力を供給するためのコネクタ50が設けられている。このコネクタ50に、図示しない外部電源から延びる外部コネクタが接続される。コネクタ50には、図示しない外部コネクタが接続される受入れ口50aが設けられている。
【0034】
また、モータケース5に、ロータ6のモータシャフト7が回転自在に支持されている。モータシャフト7の一部は、モータケース5からモータシャフト7の回転軸線Jm方向に沿って突出されている。この突出されたモータシャフト7の先端部7aには、外周面にスプライン加工が施されている。先端部7aに、伝達機構3が連結される。モータケース5に設けられたコネクタ50の受入れ口50aは、モータシャフト7の先端部7aとは反対側を向いている。
【0035】
また、モータシャフト7のうち、モータケース5から突出した部位の周囲は、円筒状のサポートケース8によって覆われている。サポートケース8は、モータケース5から回転軸線Jm方向に沿ってモータシャフト7の先端部7aの手前に至る間に突出している。サポートケース8の内周面には、モータケース5とは反対側に、シール部材9が設けられている。シール部材9は、サポートケース8とモータシャフト7との間のシール性を確保する。サポートケース8のモータケース5とは反対側端も伝達機構3に連結される。
【0036】
<伝達機構>
伝達機構3は、伝達側ハウジング10と、伝達側ハウジング10内に回転自在に収納された2つの平歯車11,12(第1平歯車11、第2平歯車12)と、を備える。
伝達側ハウジング10は、電動モータ2側が開口された箱状のハウジング本体21と、ハウジング本体21の開口部21aを閉塞する閉塞板22と、を備える。閉塞板22に、サポートケース8が固定されている。さらに、閉塞板22には、モータシャフト7が挿通されるシャフト挿通孔13が形成されている。このシャフト挿通孔13を介し、ハウジング本体21内にモータシャフト7の先端部7aが挿入されている。
【0037】
ハウジング本体21の外周壁21bには、作動油注入口23が形成されている。ハウジング本体21の底壁21cには、接続口14が形成されている。また、ハウジング本体21には、外周壁21bから底壁21cに渡って作動油注入口23と接続口14とを通じさせる伝達側油路15が形成されている。これら作動油注入口23、接続口14及び伝達側油路15は、減速機構4に潤滑油を注入するためのものである。
【0038】
ハウジング本体21内に、2つの平歯車11,12が互いに噛み合わされた状態で収納されている。2つの平歯車11,12のうち、第1平歯車11がモータシャフト7の先端部7aに嵌め合って固定されている。先端部7aに施されたスプライン加工によって、モータシャフト7と第1平歯車11とが一体となって回転する。
【0039】
2つの平歯車11,12のうち、第2平歯車12の回転軸線Jhは、モータシャフト7の回転軸線Jmと平行で、かつモータシャフト7(第2平歯車12)の径方向でずれている。第2平歯車12の歯数は、第1平歯車11の歯数よりも多い。このため、第2平歯車12の回転は、第1平歯車11の回転に対して減速される。
【0040】
第2平歯車12には、減速機構4の入力シャフト(請求項における入力部の一例)16の一端16aが嵌め合って固定されている。この一端16aにスプライン加工が施されており、第2平歯車12と入力シャフト16とが一体となって回転する。入力シャフト16の回転軸線Jnは、第2平歯車12の回転軸線Jhと一致している。ここで、第2平歯車12の回転軸線Jhはモータシャフト7の回転軸線Jmと平行であるから、入力シャフト16の回転軸線Jnもモータシャフト7の回転軸線Jmと平行である。
【0041】
入力シャフト16は、中実のシャフトである。入力シャフト16は、ハウジング本体21の底壁21cに形成されたシャフト挿通孔24を介し、減速機構4側からハウジング本体21内へと挿入されている。シャフト挿通孔24には、ハウジング本体21の底壁21cと入力シャフト16との間をシールするシール部材25と、入力シャフト16の伝達機構3側を回転自在に支持する軸受26と、が設けられている。
【0042】
<減速機構>
減速機構4は、入力シャフト16の他に、入力シャフト16を回転自在に支持する減速側ハウジング17と、減速側ハウジング17に連結された複数段(本実施形態では2段)の歯車機構18A,18B(1段目の歯車機構18A、2段目の歯車機構18B)と、を備える。以下の減速機構4の説明では、入力シャフト16の径方向を単に径方向と称して説明する。
【0043】
減速側ハウジング17は、伝達側ハウジング10を構成するハウジング本体21の底壁21cに固定されている。減速側ハウジング17は、ハウジング本体21の底壁21cに重ね合わさるベース部19と、ベース部19から電動モータ2とは反対側に向かって突出する軸受ハウジング20と、が一体成形されたものである。
ベース部19の外周面19aには、複数の第1固定座27が径方向外側に張り出すように一体成形されている。第1固定座27は、走行部102にクローラ駆動ユニット1を固定するためのものである。また、ベース部19には、入力シャフト16が通される貫通孔19bが形成されている。
【0044】
軸受ハウジング20には、ベース部19の貫通孔19bに連なる凹部28が形成されている。凹部28の底部(伝達機構3とは反対側)には、軸受ハウジング20を回転軸線Jn方向に貫通するシャフト挿通孔29が形成されている。このシャフト挿通孔29を介し、入力シャフト16の他端16bが伝達機構3とは反対側に突出されている。シャフト挿通孔29には、入力シャフト16を回転自在に支持するための軸受30と、軸受ハウジング20と入力シャフト16との間をシールするシール部材31と、が設けられている。
【0045】
軸受ハウジング20の凹部28には、パーキングブレーキ32が設けられている。パーキングブレーキ32は、入力シャフト16の回転を阻止したり解除したりするためのものである。パーキングブレーキ32は、図示しないスプリングによってパーキングブレーキ32を構成するプレート32aが常時押されている。これにより、入力シャフト16の回転が阻止される。パーキングブレーキ32を解除する場合は、このパーキングブレーキ32に作動油を供給する。これにより、作動油の圧力で図示しないスプリングが圧縮変形される。この結果、スプリングによるプレート32aの押さえが解除され、入力シャフト16も解除される。
【0046】
軸受ハウジング20の外周壁20aには、伝達側ハウジング10の接続口14と凹部28内とを通じさせる減速側油路33が形成されている。この減速側油路33と、伝達側ハウジング10の接続口14、伝達側油路15及び作動油注入口23と、を介し、凹部28内に外部からの作動油が供給される。これにより、パーキングブレーキ32が作動される。
軸受ハウジング20の伝達機構3とは反対側には、複数の第2支柱49が突出して一体成形されている。この第2支柱49は、歯車機構18A,18Bの一部を構成している。
【0047】
歯車機構18A,18Bは、軸受ハウジング20の伝達機構3とは反対側に、回転軸線Jnと同軸上に配置されている。歯車機構18A,18Bは、伝達機構3とは反対側から軸受ハウジング20側に向かって1段目の歯車機構18A、2段目の歯車機構18Bの順に並んで配置されている。
【0048】
1段目の歯車機構18Aは、いわゆる遊星歯車機構である。1段目の歯車機構18Aは、入力シャフト16の他端16bにカップリング34を介して連結された第1太陽歯車35と、第1太陽歯車35に噛み合わされる第1遊星歯車36と、第1遊星歯車36に噛み合わされる内歯歯車37と、第1遊星歯車36を支持する第1遊星キャリア38と、を備える。
第1太陽歯車35は、入力シャフト16と一体となって回転する。第1遊星歯車36は、複数個(例えば3個)設けられている。各第1遊星歯車36は、第1太陽歯車35の周囲に等間隔に配置される。
【0049】
内歯歯車37は、各歯車機構18A,18B及び軸受ハウジング20の周囲を取り囲むように円筒状に形成されている。内歯歯車37の伝達機構3側の一端37aは、減速側ハウジング17のベース部19に接近している。このベース部19と内歯歯車37の一端37aとの間には、メカニカルシール(フローティングシール)40が設けられている。このメカニカルシール40により、内歯歯車37の一端37aとベース部19との間から内歯歯車37内に充填されたグリス(潤滑油)が外部に漏れ出てしまうことを防止できる。
【0050】
内歯歯車37の伝達機構3とは反対側の他端37bには、内歯歯車37の開口部37cを閉塞するエンドプレート41が設けられている。内歯歯車37の外周面には、伝達側ハウジング10寄りに、複数の第2固定座42が径方向外側に張り出すように一体成形されている。第2固定座42は、走行部102にクローラ駆動ユニット1の駆動力を伝達するためのものである(詳細は後述する)。
【0051】
内歯歯車37の軸受ハウジング20に対応する位置は、2つの軸受39a,39bを介して軸受ハウジング20に対して回転自在に支持されている。内歯歯車37の各歯車機構18A,18Bに対応する位置には、内歯37dが形成されている。この内歯37dに、第1遊星歯車36が噛み合わされる。
【0052】
第1遊星歯車36を支持する第1遊星キャリア38は、第1遊星歯車36の軸受ハウジング20側に配置されている。第1遊星キャリア38には、第1遊星歯車36側の一面38aに、この第1遊星歯車36を回転自在に支持する第1支柱43が突出して設けられている。また、第1遊星キャリア38には、軸受ハウジング20側の他面38bに、2段目の歯車機構18Bを構成する第2太陽歯車45が一体的に設けられている。
【0053】
2段目の歯車機構18Bは、第2太陽歯車45の他に、第2太陽歯車45に噛み合わされるキャリア歯車46と、キャリア歯車46に噛み合わされる内歯歯車37と、を備える。内歯歯車37は、1段目の歯車機構18Aと共有される。第2太陽歯車45は、円筒状に形成されている。第2太陽歯車45に、この第2太陽歯車45に対して回転可能にカップリング34が挿入されている。
キャリア歯車46は、複数個(例えば3個)設けられている。各キャリア歯車46は、第2太陽歯車45の周囲に等間隔に配置される。これらキャリア歯車46が、軸受ハウジング20に一体成形された第2支柱49に回転自在に支持されている。
【0054】
このような構成のもと、クローラ駆動ユニット1は、減速機構4の内歯歯車37が駆動輪108の径方向内側に収まるように配置されている。電動モータ2は、減速機構4に対して車幅方向内側に位置されている。そして、駆動輪108に内歯歯車37の第2固定座42が固定されている。駆動輪108と一体となって内歯歯車37が回転される。一方、トラックフレーム107に、減速側ハウジング17の第1固定座27が固定されている。
【0055】
ここで、図1に詳示するように、走行部102にクローラ駆動ユニット1を取り付けた状態では、走行部102の車幅方向の幅内に、減速機構4の全体と伝達機構3のほぼ全体とが収納される。より具体的には、図1では、伝達機構3の閉塞板22のみ、走行部102から車幅方向内側に突出している。
【0056】
また、モータシャフト7の回転軸線Jmは、入力シャフト16の回転軸線Jn(第2平歯車12の回転軸線Jh)の真上に位置している。電動モータ2の全体は、下部フレーム104の底面104aから上方に位置している。ここでの電動モータ2の全体とは、電動モータ2の外郭を成すコネクタ50、モータケース5及びサポートケース8を指す。上方とは、重力方向上方であり、上方に向かうほど路面から離間した位置となる。詳細な電動モータ2と下部フレーム104との位置関係は、図1では、前後方向からみてモータケース5の下辺の位置と底面104aの位置とが一致している。
【0057】
<クローラ駆動ユニットの動作>
次に、クローラ駆動ユニット1の動作について説明する。
図2図3に示すように、電動モータ2を駆動させることにより、ロータ6のモータシャフト7が回転される。モータシャフト7が回転されると、このモータシャフト7の回転が伝達機構3の第1平歯車11及び第2平歯車12を介し、減速機構4の入力シャフト16に伝達される。このとき、2つの平歯車11,12によって、入力シャフト16にモータシャフト7の回転が減速して伝達される。
【0058】
モータシャフト7が回転されると、このモータシャフト7と一体となって第1太陽歯車35が回転される。すると、第1太陽歯車35及び内歯歯車37に噛み合わされる第1遊星歯車36が第1支柱43を中心に自転しながら第1太陽歯車35を中心に公転される。そして、第1遊星歯車36を支持する第1遊星キャリア38が入力シャフト16の回転軸線Jn回りに回転される。さらに、第1遊星キャリア38と一体となって第2太陽歯車45が回転される。第2太陽歯車45は円筒状に形成されており、径方向内側にカップリング34が挿入されているので、第2太陽歯車45の回転と入力シャフト16の回転とは干渉しない。
【0059】
第2太陽歯車45が回転されると、この第2太陽歯車45及び内歯歯車37に噛み合わされるキャリア歯車46が第2支柱49を中心に自転される。そして、キャリア歯車46の回転により、内歯歯車37が回転される。すると、内歯歯車37と一体となって駆動輪108が回転される。すなわち、内歯歯車37は、モータシャフト7の回転を減速して駆動輪108に出力する。
駆動輪108が回転されることによりクローラ109が作動され、建設機械100が走行される。このように、減速機構4は、駆動輪108を介してクローラ109に駆動力を伝達する。電動モータ2は、伝達機構3を介して減速機構4に駆動力を付与する。
【0060】
ここで、クローラ駆動ユニット1では、モータシャフト7の回転軸線Jmは、入力シャフト16の回転軸線Jn(第2平歯車12の回転軸線Jh)の真上に位置している。そして、電動モータ2の全体は、下部フレーム104の底面104aから上方に位置している。
このように、上述のクローラ駆動ユニット1は、減速機構4に対して電動モータ2の位置を上方に位置させることができる。このため、電動モータ2と減速機構4とを備えるクローラ駆動ユニット1を走行部102に設ける場合で、かつ走行部102から電動モータ2が車幅方向に突出する場合でも電動モータ2の位置を路面からできる限り離間させることができる。よって、建設機械100の走行中、土砂や岩等に電動モータ2が接触してしまう可能性を低減できる。また、走行性の高い建設機械100とすることができる。
【0061】
特に、電動モータ2の全体を下部フレーム104の底面104aから上方に位置させることにより、建設機械100の走行中、土砂や岩等に電動モータ2が接触してしまう可能性を確実に低減できる。
また、電動モータ2の位置をできる限り上げる分、電動モータ2の下に作業スペースを確保することが可能になる。このため、クローラ駆動ユニット1のメンテナンス性を向上できる。
【0062】
伝達機構3を介して連結される電動モータ2(モータシャフト7)と減速機構4(入力シャフト16)とは、各々回転軸線Jm,Jnが平行である。このため、各回転軸線Jm,Jnが交差する場合と比較して電動モータ2から減速機構4への駆動力の伝達効率を向上できる。
より具体的には、伝達機構3を、2つの平歯車11,12を噛み合わせて構成できる。平歯車11,12を用いることにより、モータシャフト7の回転を効率よく入力シャフト16に伝達することができる。
【0063】
しかも、第2平歯車12の歯数は、第1平歯車11の歯数よりも多い。このため、第2平歯車12の回転は、第1平歯車11の回転に対して減速される。すなわち、減速機構4に加え、伝達機構3でもモータシャフト7の回転を減速できる。よって、クローラ駆動ユニット1を小型化しつつ、高い減速比を得ることができ、高出力なクローラ駆動ユニット1を提供できる。
【0064】
また、走行部102にクローラ駆動ユニット1を取り付けた状態では、走行部102の車幅方向の幅内に、減速機構4の全体と伝達機構3のほぼ全体とが収納される。このため、減速機構4の周囲を走行部102(駆動輪108)で覆うことができるので、減速機構4が土砂や岩等に接触してしまうことを抑制できる。よって、減速機構4が損傷してしまう可能性を低減できる。
【0065】
なお、上述の第1実施形態では、電動モータ2の全体を下部フレーム104の底面104aから上方に位置させた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、電動モータ2の全体を、入力シャフト16の回転軸線Jnよりも上方に位置させればよい。このように構成した場合であっても、モータシャフト7の回転軸線Jmと入力シャフト16の回転軸線Jnとが同一直線上に位置している場合と比較して、減速機構4よりも電動モータ2の位置を上方に位置させることができる。このため、前述の第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0066】
[第2実施形態]
次に、図1を援用し、図4図5に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。
図4は、第2実施形態における走行部102、下部フレーム104及びクローラ駆動ユニット201を、前後方向からみた平面図である。図5は、第2実施形態における走行部102及びクローラ駆動ユニット201の一部を、車幅方向からみた概略図である。図5は、図4のA矢視図に相当する。なお、以下の説明では、前述の第1実施形態と同一態様には同一符号を付して説明を省略する(以下の第3実施形態でも同様)。
【0067】
第2実施形態では、建設機械100は、車体本体101と、車体本体101を走行させる走行部102と、走行部102に設けられ走行部102を駆動させるためのクローラ駆動ユニット201と、を備える点等(図1も併せて参照)は、前述の第1実施形態と同様である(以下の第3実施形態でも同様)。
第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第1実施形態のクローラ駆動ユニット1での電動モータ2の取り付け向きと、第2実施形態のクローラ駆動ユニット201での電動モータ2の取り付け向きと、が異なる点にある。
【0068】
具体的には、図4図5に示すように、各走行部102に設けられたクローラ駆動ユニット201の電動モータ2は、減速機構4に対して前後方向にずれている。このため、2つの電動モータ2は、前後方向に並んで配置される。また、電動モータ2の全体は、走行部102の投影面上に収まっている。さらに、クローラ駆動ユニット201のモータシャフト7の回転軸線Jmと入力シャフト16の回転軸線Jnとは同一の水平線上に並んでいる。換言すれば、電動モータ2と減速機構4とは同一高さに配置されている。
【0069】
このように構成することで、例えば図4に示すように、左右の走行部102の間隔が短い場合であっても各走行部102に設けたクローラ駆動ユニット201同士が干渉してしまうことを防止できる。
また、左右の走行部102の間隔の違いに応じて個別にクローラ駆動ユニット201を用意する必要がなく、クローラ駆動ユニット201の汎用性を高めることができる。
【0070】
[第2実施形態の変形例]
図6は、第2実施形態の変形例における走行部102及びクローラ駆動ユニット201の一部を車幅方向からみた概略図である。図6は、前述の図5に対応している。
上述の第2実施形態では、クローラ駆動ユニット201のモータシャフト7の回転軸線Jmと入力シャフト16の回転軸線Jnとは同一の水平線上に並んでいる場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、図6に示すように、入力シャフト16の回転軸線Jnよりもモータシャフト7の回転軸線Jmが上方に位置されていてもよい。
このように構成することで、前述の第2実施形態と同様の作用効果に加え、建設機械100の走行中、土砂や岩等に電動モータ2が接触してしまう可能性を低減できる。
【0071】
[第3実施形態]
次に、図7に基づいて、本発明の第3実施形態について説明する。
図7は、第3実施形態における走行部102及びクローラ駆動ユニット301の一部を、車幅方向からみた概略図である。図7は、前述の図5に対応している。
図7に示すように、第2実施形態と第3実施形態との相違点は、第2実施形態(第1実施形態)の伝達機構3と第3実施形態の伝達機構303とが異なる点にある。
【0072】
具体的には、伝達機構303は、第1平歯車11と第2平歯車12との間に、第3平歯車60を備える。第3平歯車60の歯数は、第1平歯車11の歯数や第2平歯車12の歯数と異ならせてもよい。また、第3平歯車60の歯数は、第1平歯車11の歯数と同一でもよい。本第3実施形態では、第3平歯車60の歯数は、第1平歯車11の歯数と同一としている。
また、クローラ駆動ユニット301のモータシャフト7の回転軸線Jmと入力シャフト16の回転軸線Jnとは同一の水平線上に並んでいる。換言すれば、電動モータ2と減速機構4とは同一高さに配置されている。
【0073】
したがって、上述の第3実施形態によれば、前述の第2実施形態と同様の効果を奏する。これに加え、伝達機構303を3つの平歯車11,12,60で構成しているので、モータシャフト7の回転軸線Jmの位置と入力シャフト16の回転軸線Jnの位置とを大きくずらすことができる。この分、クローラ駆動ユニット301のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0074】
また、第3平歯車60の歯数を、第1平歯車11の歯数や第2平歯車12の歯数と異ならせることにより、伝達機構303で減速比を高めることができる。このため、クローラ駆動ユニット301を小型化しつつ、高い減速比を得ることができ、高出力なクローラ駆動ユニット301を提供できる。
【0075】
なお、上述の第3実施形態では、3つの平歯車11,12,60により伝達機構303を構成する場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、4つ以上の平歯車により伝達機構303を構成してもよい。
【0076】
[第3実施形態の変形例]
図8は、第3実施形態の変形例における走行部102及びクローラ駆動ユニット301の一部を車幅方向からみた概略図である。図8は、前述の図7に対応している。
上述の第3実施形態では、クローラ駆動ユニット301のモータシャフト7の回転軸線Jmと入力シャフト16の回転軸線Jnとは同一の水平線上に並んでいる場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、図8に示すように、入力シャフト16の回転軸線Jnよりもモータシャフト7の回転軸線Jmが上方に位置されていてもよい。
このように構成することで、前述の第3実施形態と同様の作用効果に加え、建設機械100の走行中、土砂や岩等に電動モータ2が接触してしまう可能性を低減できる。
【0077】
なお、上述の第3実施形態での伝達機構303の構成を、前述の第1実施形態の伝達機構3に適用してもよい。このように構成することで、減速機構4に対して電動モータ2の位置をさらに上方に位置させることができる。このため、建設機械100の走行中、土砂や岩等に電動モータ2が接触してしまう可能性をさらに低減できる。また、さらに走行性の高い建設機械100とすることができる。
【0078】
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、建設機械100に搭載された走行部102を駆動するためのクローラ駆動ユニット1,201,301について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、走行部102が搭載されるさまざまな装置に上述のクローラ駆動ユニット1,201,301を適用することができる。
【0079】
上述の実施形態では、走行部102は、トラックフレーム107と、アイドラと、駆動輪(スプロケット)108と、転輪と、これらアイドラ、駆動輪108及び転輪に渡って巻き掛けられたクローラ109と、を備える場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、走行部102は、駆動輪108が回転されることによりクローラ109が作動され、これによって建設機械100が走行される構成であればよい。
【0080】
上述の実施形態では、複数の平歯車11,12,60により伝達機構3,303を構成した場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、伝達機構3,303は、電動モータ2のモータシャフト7の回転を、減速機構4の入力シャフト16に伝達できる構成であればよい。例えば、プーリとタイミングベルトとにより、伝達機構3,303を構成してもよい。例えば、スプロケットとチェーンとにより、伝達機構3,303を構成してもよい。
【0081】
また、例えば、伝達機構として自在接手(ユニバーサルジョイント)を採用してもよい。この場合、必ずしもモータシャフト7の回転軸線Jmと入力シャフト16の回転軸線Jnとが平行である必要はない。モータシャフト7の回転軸線Jmと入力シャフト16の回転軸線Jnとが交差している場合、入力シャフト16の回転軸線Jnよりもモータシャフト7が上方に位置していればよい。このように構成することで、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0082】
さらに上述の実施形態では、伝達機構3,303でもモータシャフト7の回転を減速する場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、伝達機構3,303は、モータシャフト7の回転を減速機構4に伝達できる構成であればよい。例えば、伝達機構3,303は、モータシャフト7の回転を等速、又は増速して減速機構4に伝達するように構成してもよい。
【0083】
上述の実施形態では、請求項における入力部が入力シャフト16である場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、入力部は、電動モータ2の回転を減速機構4に入力する機能を有していればよい。例えば、入力シャフト16は、中実のシャフトであるとしたが、中実シャフトに代わって中空シャフトとしてもよい。
【0084】
上述の実施形態では、減速機構4は、2段の歯車機構18A,18Bと、を備える場合について説明した。1段目の歯車機構18Aは、いわゆる遊星歯車機構であり、第1太陽歯車35と、第1遊星歯車36と、内歯歯車37と、第1遊星キャリア38と、を備える場合について説明した。2段目の歯車機構18Bは、第2太陽歯車45と、キャリア歯車46と、内歯歯車37と、を備える場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、減速機構4は、電動モータ2のモータシャフト7の回転に対し、減速して出力する構成であればよい。例えば、複数の平歯車を噛み合わせて入力部の回転軸線と出力部(出力側)の回転軸線とがズレていてもよい。
【0085】
上述の実施形態では、減速機構4は、伝達機構3,303を介して伝達された電動モータ2のモータシャフト7の回転を、内歯歯車37から駆動輪108に伝達する場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、減速機構4によって、駆動輪108にモータシャフト7の回転を伝達できればよい。すなわち、例えば減速機構を複数の平歯車で構成した場合、最終段の平歯車から駆動輪108にモータシャフト7の回転が伝達できればよい。
【0086】
上述の実施形態では、走行部102から電動モータ2が車幅方向に突出する場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば走行部102内にクローラ駆動ユニット1,201,301を収納でき、走行部102から電動モータ2が車幅方向に突出しない場合であっても、上述のクローラ駆動ユニット1,201,301の構成を採用できる。但し、走行部102から電動モータ2が車幅方向に突出する場合に、上述のクローラ駆動ユニット1,201,301の構成を好適に用いることができる。
【0087】
上述の実施形態では、クローラ駆動ユニット1,201,301は、減速機構4の内歯歯車37が駆動輪108と一体に設けられている場合について説明した。そして、駆動輪108と一体となって内歯歯車37が回転される場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、減速機構4の出力によってクローラ109が作動されればよい。例えば、内歯歯車37自体にクローラ109が巻き掛けられるように、内歯歯車37を駆動輪108として機能するように形成してもよい。
【0088】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0089】
1,201,301…クローラ駆動ユニット
2…電動モータ
3,303…伝達機構
4…減速機構
7…モータシャフト
11…第1平歯車(歯車)
12…第2平歯車(歯車)
16…入力シャフト(入力部)
37…内歯歯車
60…第3平歯車(歯車)
100…建設機械
101…車体本体
102…走行部
104…下部フレーム(車体本体)
104a…底面
109…クローラ
Jm…モータシャフトの回転軸線
Jn…入力シャフトの回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8