(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158800
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】メタルマスク及びその検出方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/04 20060101AFI20221006BHJP
C23C 14/12 20060101ALI20221006BHJP
C23C 14/24 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C23C14/04 A
C23C14/12
C23C14/24 G
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114566
(22)【出願日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】110112006
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】517313512
【氏名又は名称】達運精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DARWIN PRECISIONS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】No.20-1, Guangfu N. Rd., Hukou Township, Hsinchu County, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ユン-ペイ
(72)【発明者】
【氏名】リー,メイ-ルン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ウェン-イー
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029BA62
4K029BD00
4K029CA01
4K029HA01
4K029HA03
(57)【要約】
【課題】メタルマスク及びその検出方法を提供する。
【解決手段】この検出方法において、まず、第1の長辺と、第2の長辺と、第1の短辺と、第2の短辺と、複数のパターン領域と、を有するメタルマスクを提供し、続いて、第1の長辺及び第2の長辺に隣接するこれらのパターン領域に基づき、第1の長辺に隣接する第1の基準直線、及び第2の長辺に隣接する第2の基準直線を定義し、続いて、第1の長辺に隣接するこれらのパターン領域と第1の基準直線との間の第1の最大オフセット長さを測定し、第2の長辺に隣接するこれらのパターン領域と第2の基準直線との間の第2の最大オフセット長さを測定し、第1の最大オフセット長さと第2の最大オフセット長さとの間の差分値が20ミクロン以下である場合、メタルマスクが検出基準に合致すると判定する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1の長辺及び第2の長辺と、互いに対向する第1の短辺及び第2の短辺と、複数のパターン領域と、を有し、前記第1の長辺、前記第2の長辺、前記第1の短辺及び前記第2の短辺が前記パターン領域を囲むメタルマスクを提供するステップと、
前記第1の長辺及び前記第2の長辺に隣接する前記パターン領域に基づき、前記第1の長辺に隣接するとともに前記第1の長辺に沿って延在する第1の基準直線、及び前記第2の長辺に隣接するとともに前記第2の長辺に沿って延在する第2の基準直線を定義するステップと、
前記第1の長辺に隣接する前記パターン領域と前記第1の基準直線との間の、前記第1の基準直線に垂直な第1の最大オフセット長さを測定するステップと、
前記第2の長辺に隣接する前記パターン領域と前記第2の基準直線との間の、前記第2の基準直線に垂直な第2の最大オフセット長さを測定するステップと、
前記第1の最大オフセット長さと前記第2の最大オフセット長さとの間の差分値が20ミクロン以下である場合、前記メタルマスクが検出基準に合致すると判定するステップと、
を含むメタルマスクの検出方法。
【請求項2】
前記第1の最大オフセット長さが30ミクロン以下である場合、前記メタルマスクが前記検出基準に合致すると判定するステップと、
前記第1の最大オフセット長さが30ミクロンより大きい場合、前記メタルマスクが不合格マスクであると判定するステップと、
を更に含む請求項1に記載のメタルマスクの検出方法。
【請求項3】
前記第2の最大オフセット長さが30ミクロン以下である場合、前記メタルマスクが前記検出基準に合致すると判定するステップと、
前記第2の最大オフセット長さが30ミクロンより大きい場合、前記メタルマスクが前記不合格マスクであると判定するステップと、
を更に含む請求項2に記載のメタルマスクの検出方法。
【請求項4】
前記第1の短辺に隣接する前記パターン領域に基づき、前記第1の短辺に隣接するとともに前記第1の短辺に沿って延在する第3の基準直線を定義するステップと、
前記第1の短辺に隣接する前記パターン領域と前記第3の基準直線との間の、前記第3の基準直線に垂直な第3の最大オフセット長さを測定するステップと、
前記第3の最大オフセット長さが10ミクロン以下である場合、前記メタルマスクが前記検出基準に合致すると判定するステップと、
前記第3の最大オフセット長さが10ミクロンより大きい場合、前記メタルマスクが不合格マスクであると判定するステップと、
を更に含む請求項1に記載のメタルマスクの検出方法。
【請求項5】
反ったメタルマスクにおいて、互いに平行して離れた長さがL1である第1の基準直線と長さがL2である第2の基準直線を定義するステップと、
前記第1の基準直線を長さがL3である第1の変形線にし、前記第2の基準直線を長さがL4である第2の変形線にするように、前記メタルマスクを平らに広げるステップと、
前記第1の基準直線の長さL1、前記第2の基準直線の長さL2、前記第1の変形線の長さL3及び前記第2の変形線の長さL4が
│(L3+L4)/2-(L1+L2)/2│≦20ミクロンという数式を満たすか否かを判定するステップと、
前記第1の基準直線の長さL1、前記第2の基準直線の長さL2、前記第1の変形線の長さL3及び前記第2の変形線の長さL4が前記数式を満たしている場合、前記メタルマスクが検出基準に合致すると判定するステップと、
を含むメタルマスクの検出方法。
【請求項6】
前記メタルマスクを平らに広げる方法は、前記メタルマスクを2枚の硬質基板の間に挟んで、前記硬質基板の押圧により前記メタルマスクを平らにするステップを含む請求項5に記載のメタルマスクの検出方法。
【請求項7】
前記第1の基準直線と前記第2の基準直線との間の距離は、3cm~25cmである請求項5に記載のメタルマスクの検出方法。
【請求項8】
前記第1の基準直線と前記第2の基準直線との両方の長さは等しくない請求項5に記載のメタルマスクの検出方法。
【請求項9】
互いに対向する第1の長辺及び第2の長辺と、互いに対向する第1の短辺及び第2の短辺と、複数のパターン領域と、を有し、前記第1の長辺、前記第2の長辺、前記第1の短辺及び前記第2の短辺が前記パターン領域を囲み、前記パターン領域が規則的に配列されるメタルマスクを提供するステップと、
前記第1の長辺及び前記第2の長辺に隣接する前記パターン領域に基づき、前記第1の長辺に隣接するとともに前記第1の長辺に沿って延在する第1の基準直線、及び前記第2の長辺に隣接するとともに前記第2の長辺に沿って延在する第2の基準直線を定義するステップと、
前記第1の長辺に隣接する前記パターン領域と前記第1の基準直線との間の、前記第1の基準直線に垂直な第1の最大オフセット長さを測定するステップと、
前記第2の長辺に隣接する前記パターン領域と前記第2の基準直線との間の、前記第2の基準直線に垂直な第2の最大オフセット長さを測定するステップと、
前記第1の最大オフセット長さ及び前記第2の最大オフセット長さが30ミクロン以下である場合、前記メタルマスクが検出基準に合致すると判定するステップと、
を含むメタルマスクの検出方法。
【請求項10】
互いに対向する第1の長辺及び第2の長辺と、互いに対向する第1の短辺及び第2の短辺と、複数のパターン領域と、を有する基板であって、前記第1の長辺、前記第1の短辺、前記第2の長辺と前記第2の短辺が前記パターン領域を囲むように順次連結され、且つ、前記基板において、前記第1の長辺に隣接するとともに前記第1の長辺に沿って延在する第1の基準直線、及び前記第2の長辺に隣接するとともに前記第2の長辺に沿って延在する第2の基準直線が定義され、前記第1の長辺の前記パターン領域と前記第1の基準直線との間に、前記第1の基準直線に垂直な第1の最大オフセット長さを有し、前記第2の長辺の前記パターン領域と前記第2の基準直線との間に、前記第2の基準直線に垂直な第2の最大オフセット長さを有し、前記第1の最大オフセット長さと前記第2の最大オフセット長さとの間の差分値は20ミクロン以下である基板を含むメタルマスク。
【請求項11】
前記パターン領域は規則的に配列される請求項10に記載のメタルマスク。
【請求項12】
前記第1の基準直線の2つの端点は、それぞれ前記第1の短辺及び前記第2の短辺に隣接し、前記第2の基準直線の2つの端点も、それぞれ前記第1の短辺及び前記第2の短辺に隣接する請求項10に記載のメタルマスク。
【請求項13】
前記パターン領域はそれぞれ複数の周縁を有し、前記第1の最大オフセット長さは、前記第1の長辺に隣接する前記周縁と前記第1の基準直線との間の最大距離であり、
前記第2の最大オフセット長さは、前記第2の長辺に隣接する前記周縁と前記第2の基準直線との間の最大距離である請求項10に記載のメタルマスク。
【請求項14】
各前記パターン領域の形状は多角形であり、各前記パターン領域は複数の頂点を有し、
前記第1の長辺と前記第1の短辺との間に第1の隅部が形成され、
前記第1の長辺と前記第2の短辺との間に第2の隅部が形成され、
前記第2の長辺と前記第1の短辺との間に第3の隅部が形成され、
前記第2の長辺と前記第2の短辺との間に第4の隅部が形成され、
前記第1の基準直線の2つの端点は、それぞれ前記第1の隅部及び前記第2の隅部に隣接する2つの前記頂点に位置し、前記第2の基準直線の2つの端点は、それぞれ前記第3の隅部及び前記第4の隅部に隣接する2つの前記頂点に位置する請求項10に記載のメタルマスク。
【請求項15】
各前記パターン領域の形状は四角形又は六角形である請求項14に記載のメタルマスク。
【請求項16】
前記第1の長辺と前記第1の短辺との間に第1の隅部が形成され、
前記第1の長辺と前記第2の短辺との間に第2の隅部が形成され、
前記第2の長辺と前記第1の短辺との間に第3の隅部が形成され、
前記第2の長辺と前記第2の短辺との間に第4の隅部が形成され、
前記第1の基準直線の2つの端点及び前記第2の基準直線の2つの端点は、いずれも前記パターン領域外に位置し、且つそれぞれ前記第1の隅部、前記第2の隅部、前記第3の隅部及び前記第4の隅部に隣接する請求項10に記載のメタルマスク。
【請求項17】
各前記パターン領域は複数の開口を有し、
前記第1の長辺と前記第1の短辺との間に第1の隅部が形成され、
前記第1の長辺と前記第2の短辺との間に第2の隅部が形成され、
前記第2の長辺と前記第1の短辺との間に第3の隅部が形成され、
前記第2の長辺と前記第2の短辺との間に第4の隅部が形成され、
前記第1の基準直線の2つの端点は、それぞれ前記第1の隅部及び前記第2の隅部に隣接する2つの前記開口に位置し、前記第2の基準直線の2つの端点は、それぞれ前記第3の隅部及び前記第4の隅部に隣接する2つの前記開口に位置する請求項10に記載のメタルマスク。
【請求項18】
各前記パターン領域の形状は円形であり、各前記パターン領域は中心を有し、
前記第1の長辺と前記第1の短辺との間に第1の隅部が形成され、
前記第1の長辺と前記第2の短辺との間に第2の隅部が形成され、
前記第2の長辺と前記第1の短辺との間に第3の隅部が形成され、
前記第2の長辺と前記第2の短辺との間に第4の隅部が形成され、
前記第1の基準直線の2つの端点は、それぞれ前記第1の隅部及び前記第2の隅部に隣接する2つの前記中心に位置し、前記第2の基準直線の2つの端点は、それぞれ前記第3の隅部及び前記第4の隅部に隣接する2つの前記中心に位置し、前記第1の最大オフセット長さは、前記第1の長辺に隣接する前記中心と前記第1の基準直線との間の最大距離であり、前記第2の最大オフセット長さは、前記第2の長辺に隣接する前記中心と前記第2の基準直線との間の最大距離である請求項10に記載のメタルマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターニングに用いられるプロセスツール及びその検出方法に関し、特にメタルマスク及びその検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、例えば有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode;OLED)表示パネルのような表示パネルでは、ファインメタルマスク(Fine Metal Mask;FMM)をプロセスツールの1つとして使用している。具体的には、有機発光ダイオード表示パネルは、蒸着(evaporation)によって製造される。蒸着中に、ファインメタルマスクをガラス板に置き、蒸着中に生じたメッキ材がファインメタルマスクの複数の開口に従ってガラス板に堆積することで、有機発光ダイオード表示パネル内の発光層などの膜層を形成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、表示パネル(有機発光ダイオード表示パネルを含む)は、高解像度へ発展し続けている。高解像度の表示パネルを製造するために、メタルマスクは、相当に薄い厚さを有する必要があり、且つメタルマスクのこれらの開口の位置及び形状上の誤差が大きくなってはならず、そうでなければ、不良な表示パネルが製造され、歩留まりが低下することになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の少なくとも1つの実施例は、歩留まりを向上させる目的を達成するために、メタルマスクをスクリーニングすることで、検出基準に合致するメタルマスクを使用するように保証することに役立てるメタルマスクの検出方法を提案する。
【0005】
本発明の少なくとも1つの実施例は、上記検出方法によりスクリーニングすることで得られるメタルマスクを更に提案する。
【0006】
本発明の少なくとも1つの実施例により提案されるメタルマスクの検出方法は、互いに対向する第1の長辺及び第2の長辺と、互いに対向する第1の短辺及び第2の短辺と、複数のパターン領域と、を有し、第1の長辺、第2の長辺、第1の短辺と第2の短辺がこれらのパターン領域を囲み、これらのパターン領域が規則的に配列されるメタルマスクを提供するステップと、第1の長辺及び第2の長辺に隣接するこれらのパターン領域に基づき、第1の長辺に隣接するとともに第1の長辺に沿って延在する第1の基準直線、及び第2の長辺に隣接するとともに第2の長辺に沿って延在する第2の基準直線を定義するステップと、第1の長辺に隣接するこれらのパターン領域と第1の基準直線との間の、第1の基準直線に垂直な第1の最大オフセット長さを測定するステップと、第2の長辺に隣接するこれらのパターン領域と第2の基準直線との間の、第2の基準直線に垂直な第2の最大オフセット長さを測定するステップと、第1の最大オフセット長さと第2の最大オフセット長さとの間の差分値が20ミクロン以下である場合、メタルマスクが検出基準に合致し、即ち、プロセスでの使用に適合する合格メタルマスクであると判定するステップと、を含む。本発明の少なくとも1つの実施例において、前記検出方法は、第1の最大オフセット長さが30ミクロン以下である場合、メタルマスクが検出基準に合致するマスク、即ち、プロセスの要求に応えた合格メタルマスクであると判定するステップと、第1の最大オフセット長さが30ミクロンより大きい場合、メタルマスクが不合格マスクであると判定するステップと、を更に含む。
【0007】
本発明の少なくとも1つの実施例において、前記検出方法は、第2の最大オフセット長さが30ミクロン以下である場合、メタルマスクが検出基準に合致するマスク、即ち、プロセスの要求に応えた合格メタルマスクであると判定するステップと、第2の最大オフセット長さが30ミクロンより大きい場合、メタルマスクが不合格マスクであると判定するステップと、を更に含む。本発明の少なくとも1つの実施例において、前記検出方法は、第1の短辺に隣接するこれらのパターン領域に基づき、第1の短辺に隣接するとともに第1の短辺に沿って延在する第3の基準直線を定義するステップと、第1の短辺に隣接するこれらのパターン領域と第3の基準直線との間の、第3の基準直線に垂直な第3の最大オフセット長さを測定するステップと、第3の最大オフセット長さが10ミクロン以下である場合、メタルマスクが検出基準に合致するマスク、即ち、プロセスの要求に応えた合格メタルマスクであると判定するステップと、第3の最大オフセット長さが10ミクロンより大きい場合、メタルマスクが不合格マスクであると判定するステップと、を更に含む。
【0008】
本発明の少なくとも1つの実施例により提案されるメタルマスクの検出方法は、反ったメタルマスクにおいて、互いに平行して離れた長さがL1である第1の基準直線と長さがL2である第2の基準直線を定義するステップと、第1の基準直線を長さがL3である第1の変形線にし、第2の基準直線を長さがL4である第2の変形線にするように、メタルマスクを平らに広げるステップと、第1の基準直線の長さL1、第2の基準直線の長さL2、第1の変形線の長さL3と第2の変形線の長さL4が
│(L3+L4)/2-(L1+L2)/2│≦20ミクロンという数式を満たすか否かを判定するステップと、
第1の基準直線の長さL1、第2の基準直線の長さL2、第1の変形線の長さL3及び第2の変形線の長さL4が数式を満たしている場合、メタルマスクが検出基準に合致すると判定するステップと、を含む。
【0009】
本発明の少なくとも1つの実施例において、前記メタルマスクを平らに広げる方法は、メタルマスクを2枚の硬質基板の間に挟んで、これらの硬質基板の押圧によりメタルマスクを平らにするステップを含む。
【0010】
本発明の少なくとも1つの実施例において、前記第1の基準直線と第2の基準直線との間の距離は、3cm~25cmである。
【0011】
本発明の少なくとも1つの実施例において、前記第1の基準直線と第2の基準直線の長さは等しくない。
【0012】
本発明の少なくとも1つの実施例により提案されるメタルマスクの検出方法は、互いに対向する第1の長辺及び第2の長辺と、互いに対向する第1の短辺及び第2の短辺と、複数のパターン領域と、を有し、第1の長辺、第2の長辺、第1の短辺と第2の短辺がこれらのパターン領域を囲み、これらのパターン領域が規則的に配列されるメタルマスクを提供するステップと、第1の長辺及び第2の長辺に隣接するこれらのパターン領域に基づき、第1の長辺に隣接するとともに第1の長辺に沿って延在する第1の基準直線、及び第2の長辺に隣接するとともに第2の長辺に沿って延在する第2の基準直線を定義するステップと、第1の長辺に隣接するこれらのパターン領域と第1の基準直線との間の、第1の基準直線に垂直な第1の最大オフセット長さを測定するステップと、第2の長辺に隣接するこれらのパターン領域と第2の基準直線との間の、第2の基準直線に垂直な第2の最大オフセット長さを測定するステップと、第1の最大オフセット長さと第2の最大オフセット長さのいずれか1つが30ミクロン以下である場合、メタルマスクが検出基準に合致するマスク、即ち、プロセスの要求に応えた合格メタルマスクであると判定するステップと、を含む。
【0013】
本発明の少なくとも1つの実施例により提案されるメタルマスクは、互いに対向する第1の長辺及び第2の長辺と、互いに対向する第1の短辺及び第2の短辺と、複数のパターン領域と、を有する基板であって、第1の長辺、第1の短辺、第2の長辺と第2の短辺がこれらのパターン領域を囲むように順次連結され、且つ、基板において、第1の長辺に隣接するとともに第1の長辺に沿って延在する第1の基準直線、及び第2の長辺に隣接するとともに第2の長辺に沿って延在する第2の基準直線が定義され、第1の長辺のこれらのパターン領域と第1の基準直線との間に、第1の基準直線に垂直な第1の最大オフセット長さを有し、第2の長辺のこれらのパターン領域と第2の基準直線との間に、第2の基準直線に垂直な第2の最大オフセット長さを有し、第1の最大オフセット長さと第2の最大オフセット長さとの差分値は20ミクロン以下である基板を含む。
【0014】
本発明の少なくとも1つの実施例において、前記パターン領域は規則的に配列される。
【0015】
本発明の少なくとも1つの実施例において、上記第1の基準直線の2つの端点は、それぞれ第1の短辺及び第2の短辺に隣接し、第2の基準直線の2つの端点も、それぞれ第1の短辺及び第2の短辺に隣接する。
【0016】
本発明の少なくとも1つの実施例において、これらのパターン領域はそれぞれ複数の周縁を有し、第1の最大オフセット長さは、第1の長辺に隣接するこれらの周縁と第1の基準直線との間の最大距離であり、第2の最大オフセット長さは、第2の長辺に隣接するこれらの周縁と第2の基準直線との間の最大距離である。
【0017】
本発明の少なくとも1つの実施例において、各パターン領域の形状は多角形であり、各パターン領域は複数の頂点を有し、第1の長辺と第1の短辺との間に第1の隅部が形成され、第1の長辺と第2の短辺との間に第2の隅部が形成され、第2の長辺と第1の短辺との間に第3の隅部が形成され、第2の長辺と第2の短辺との間に第4の隅部が形成され、第1の基準直線の2つの端点は、それぞれ第1の隅部及び第2の隅部に隣接する2つの頂点に位置し、第2の基準直線の2つの端点は、それぞれ第3の隅部及び第4の隅部に隣接する2つの頂点に位置する。
【0018】
本発明の少なくとも1つの実施例において、各パターン領域の形状は四角形又は六角形である。
【0019】
本発明の少なくとも1つの実施例において、前記第1の基準直線の2つの端点及び第2の基準直線の2つの端点は、いずれもこれらのパターン領域外に位置し、且つそれぞれ第1の隅部、第2の隅部、第3の隅部及び第4の隅部に隣接する。
【0020】
本発明の少なくとも1つの実施例において、各パターン領域は複数の開口を有し、第1の基準直線の2つの端点は、それぞれ第1の隅部及び第2の隅部に隣接する2つの開口に位置し、第2の基準直線の2つの端点は、それぞれ第3の隅部及び第4の隅部に隣接する2つの開口に位置する。
【0021】
本発明の少なくとも1つの実施例において、前記各パターン領域の形状は円形であり、各パターン領域は中心を有し、第1の基準直線の2つの端点は、それぞれ第1の隅部及び第2の隅部に隣接する2つの中心に位置し、第2の基準直線の2つの端点は、それぞれ第3の隅部及び第4の隅部に隣接する2つの中心に位置し、第1の最大オフセット長さは、第1の長辺に隣接するこれらの中心と第1の基準直線との間の最大距離であり、第2の最大オフセット長さは、第2の長辺に隣接するこれらの中心と第2の基準直線との間の最大距離である。
【発明の効果】
【0022】
上記の内容に基づき、本発明の少なくとも1つの実施例により開示された検出方法は、合格メタルマスクを選択し、不合格メタルマスクを排除することで、不良な表示パネルの産出を減少し、表示パネルの歩留まりを向上させることに役立てる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】本発明の少なくとも1つの実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
【
図1B】本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
【
図1C】本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
【
図1D】本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
【
図2】本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
【
図3】本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
【
図4】本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
【
図5A】本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
【
図5C】
図5Aにおけるメタルマスクが平らに広げられた後の平面模式図である。
【
図5D】
図5Cにおけるメタルマスクが2枚の硬質基板の間に挟まれた場合の側面模式図である。
【
図6】本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明では、本願の技術的特徴を明らかにするために、図面における要素(例えば層、膜、基板及び領域など)の寸法(例えば長さ、幅、厚さ及び深さ)は、不均等な比率で拡大される。従って、以下の実施例の説明及び解釈は、図面における要素の寸法及び形状に限定されず、実際のプロセス及び/又は公差による寸法、形状及び両方の偏差を包含すべきである。例えば、図面に示される平坦な表面は、粗さ及び/又は非線形の特徴を有してもよく、図面に示される鋭角は、丸くてもよい。従って、本発明の図面に示される要素は、主に例示のためのものであり、要素の実際の形状を正確に描く意図ではなく、本願の特許請求の範囲を限定するものでもない。
【0025】
次に、本明細書に現れる「約」、「ほぼ」又は「実質的に」といった用語は、明確に記載された数値及び数値範囲を包含するだけでなく、当業者が理解できる許容可能な偏差範囲も包含し、この偏差範囲は、測定時に発生した誤差によって決定されてよく、この誤差は、例えば測定システム又はプロセス条件の両方の制限に起因するものである。例えば、2つの物体(例えば基板の平面又はトレース)が「実質的に平行」又は「実質的に垂直」であることについて、「実質的に平行」及び「実質的に垂直」は、それぞれこの2つの物体間の平行及び垂直が許容偏差範囲による非平行及び非垂直を含んでよいことを意味する。
【0026】
また、「約」は、上記数値の1つ又は複数の標準偏差、例えば±30%、±20%、±10%又は±5%内にあることを表してもよい。本明細書に現れる「約」、「ほぼ」又は「実質的に」といった用語は、光学特性、エッチング特性、機械的特性又は他の特性に従って許容可能な偏差範囲又は標準偏差を選択してよく、単に1つの標準偏差を以上の光学特性、エッチング特性、機械的特性又は他の特性などの全ての特性に適用するわけではない。
【0027】
図1Aは、本発明の少なくとも1つの実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
図1Aを参照されたく、本実施例の検出方法において、まず、メタルマスク100を提供し、メタルマスク100は、互いに対向する第1の長辺111と第2の長辺112と、互いに対向する第1の短辺121と第2の短辺122と、複数のパターン領域130とを有する基板であって、第1の長辺111、第1の短辺121、第2の長辺112と第2の短辺122がこれらのパターン領域130を囲むように順次連結される基板を含む。
【0028】
メタルマスク100は、金属材料に対して転圧とフォトリソグラフィー(エッチングを含む)を順に行った後に形成されてもよく、又は電鋳(electroforming)を用いて製造されてもよく、上記金属材料は、金属シート又は金属板であってよい。従って、メタルマスク100の形状は、必ずしも矩形であるとは限らない。換言すれば、第1の長辺111、第2の長辺112、第1の短辺121及び第2の短辺122のいずれか1つの形状は、必ずしも直線であるとは限らない。
【0029】
図1Aを例とし、第1の長辺111及び第2の長辺112の形状はいずれも曲線であり、
図1Aに示す第1の長辺111及び第2の長辺112の形状は二次曲線であってもよい。しかしながら、他の実施例において、第1の長辺111、第2の長辺112、第1の短辺121及び第2の短辺122のうちの少なくとも1つの形状が直線であってもよいため、第1の長辺111、第2の長辺112、第1の短辺121及び第2の短辺122のいずれか1つの形状は、直線又は曲線に限定されない。
【0030】
各パターン領域130の形状は多角形であってよく、これらのパターン領域130は規則的に配列されてよく、例えばマトリックス状に配列される。
図1Aを例とし、4つのパターン領域130は、1×4マトリックスとなるように配列されてよく、各パターン領域130の形状は、矩形のような四角形であってよい。各パターン領域130は複数の開口131を有し、各開口131の形状は矩形であってよく、これらの開口131は規則的に配列されてよく、例えば、
図1Aに示すようにマトリックス状に配列されている。
【0031】
メタルマスク100は、例えば有機発光ダイオード(OLED)表示パネルのような表示パネルを製造するために用いられてよい。メタルマスク100が有機発光ダイオード表示パネルを製造するために用いられる場合、各パターン領域130の寸法は、1つの有機発光ダイオード表示パネルの寸法に相当してよく、各開口131の寸法は、1つのピクセルに相当してよく、上記ピクセルは、サブピクセル(sub-pixel)であってよい。又は、上記ピクセルは、複数のサブピクセルで構成されてもよい。蒸着を行う場合、メタルマスク100により一部のメッキ材を阻止することで、メッキ材が基本的にこれらの開口131内のみに堆積し、有機発光ダイオード表示パネル内の膜層、例えば発光層を形成することができる。
【0032】
メタルマスク100は、第1の隅部191と、第2の隅部192と、第3の隅部193と、第4の隅部194との4つの隅部を更に有する。第1の隅部191は、第1の長辺111と第1の短辺121との間に形成され、第2の隅部192は、第1の長辺111と第2の短辺122との間に形成される。第3の隅部193は、第2の長辺112と第1の短辺121との間に形成され、第4の隅部194は、第2の長辺112と第2の短辺122との間に形成される。
【0033】
メタルマスク100を提供した後、第1の長辺111及び第2の長辺112に隣接するこれらのパターン領域130に基づき、基板において第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2を定義する。第1の基準直線Sa1は、第1の長辺111に隣接するとともに第1の長辺111に沿って延在し、第2の基準直線Sa2は、第2の長辺112に隣接するとともに第2の長辺112に沿って延在する。従って、第1の基準直線Sa1と第2の基準直線Sa2とは交差するか又は重なることはない。メタルマスク100が金属材料に対して転圧とフォトリソグラフィーを順に行った後に形成されたものであってよいため、メタルマスク100は反って平坦でなくなり、第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2の両方は、反って平坦でないメタルマスク100において定義されてよい。
【0034】
第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2は、両方とも端点を有する。
図1Aに示す実施例において、第1の基準直線Sa1は、2つの端点E11a及びE11bを有し、第2の基準直線Sa2は、2つの端点E12a及びE12bを有し、2つの端点E11a及びE11bは、それぞれ第1の短辺121及び第2の短辺122に隣接し、2つの端点E12a及びE12bも、それぞれ第1の短辺121及び第2の短辺122に隣接する。第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2が両方とも端点を有するため、第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2は無限長の直線ではない。従って、これらの端点E11a、E11b、E12a及びE12bの位置が決定されると、第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2も定義されたことを意味する。
【0035】
各パターン領域130の形状が多角形であるため、各パターン領域130は複数の頂点130aを有する。例えば、
図1Aにおいて、形状が四角形のパターン領域130は、4つの頂点130aを有する。第1の基準直線Sa1の2つの端点E11a及びE11bは、それぞれ第1の隅部191及び第2の隅部192に隣接する2つの頂点130aに位置し、第2の基準直線Sa2の2つの端点E12a及びE12bは、それぞれ第3の隅部193及び第4の隅部194に隣接する2つの頂点130aに位置する。
【0036】
換言すれば、
図1Aに示すこれらの端点E11a、E11b、E12a及びE12bは、実質的に2つのパターン領域130の4つの頂点130aと見なされてもよく、これらの2つのパターン領域130は、それぞれ第1の短辺121及び第2の短辺122に隣接する。以上から分かるように、
図1Aに示す実施例において、第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2が第1の隅部191、第2の隅部192、第3の隅部193及び第4の隅部194に隣接する4つの頂点130aによって定義されるため、端点E11a、E11b、E12a及びE12bは、肉眼で見えるものである。また、第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2が両方とも基本的に仮想直線であるため、端点E11a、E11b、E12a及びE12bを除き、第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa22の両方の他の部分は全て仮想的である。
【0037】
第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2を定義した後、即ち、これらの端点E11a、E11b、E12a及びE12bの位置を決定した後、第1の長辺111に隣接するこれらのパターン領域130と第1の基準直線Sa1との間の第1の最大オフセット長さLa1を測定し、且つ、第2の長辺112に隣接するこれらのパターン領域130と第2の基準直線Sa2との間の第2の最大オフセット長さLa2を測定し、第1の最大オフセット長さLa1は第1の基準直線Sa1に垂直であり、第2の最大オフセット長さLa2は第2の基準直線Sa2に垂直である。
【0038】
第1の最大オフセット長さLa1と第1の基準直線Sa1とは「実質的に垂直」であり、第2の最大オフセット長さLa2と第2の基準直線Sa2とも「実質的に垂直」であることを説明すべきである。従って、第1の最大オフセット長さLa1と第1の基準直線Sa1との間の垂直及び第2の最大オフセット長さLa2と第2の基準直線Sa2との間の垂直は、許容偏差範囲による非垂直を含んでよい。また、各パターン領域130は実際にこれらの開口131を有するが、図面を簡略化し、第1の最大オフセット長さLa1及び第2の最大オフセット長さLa2を明瞭に示すために、
図1Aの中央の2つのパターン領域130について開口131を省略して示している。
【0039】
これらのパターン領域130はそれぞれ複数の周縁130eを有し、同一のパターン領域130において、周縁130eは、
図1Aに示すように4つの頂点130aを有する。本実施例において、第1の最大オフセット長さLa1は、第1の長辺111に隣接するこれらの周縁130eと第1の基準直線Sa1との間の最大距離であり、第2の最大オフセット長さLa2は、第2の長辺112に隣接するこれらの周縁130eと第2の基準直線Sa2との間の最大距離である。
【0040】
第1の最大オフセット長さLa1と第2の最大オフセット長さLa2との間の差分値が20ミクロン以下である場合、メタルマスク100は、検出基準に合致すると判定され、即ち、検出基準に合致する当該メタルマスク100におけるこれらの開口131の誤差値範囲はプロセスの許容範囲内にある。従って、メタルマスク100に他の欠陥及び規格外のパラメータがない限り、このメタルマスク100は、関連するプロセスで使用可能であり、前述した関連するプロセスは、例えば物理気相成長(Physical Vapor Deposition;PVD)であり、検出基準に合致する上記メタルマスク100は、表示パネルの製造に適し、特に高解像度の有機発光ダイオード表示パネルを製造することができる。
【0041】
一方、第1の最大オフセット長さLa1と第2の最大オフセット長さLa2との間の差分値が20ミクロンより大きい場合、メタルマスク100のこれらの開口131の誤差が大き過ぎ、検出基準に合致しないことを意味し、この場合、メタルマスク100を使用して製造された表示パネル(特に高解像度の有機発光ダイオード表示パネル)では、例えばサブピクセル領域内の発光層がオフセットし、一部のサブピクセル領域内に発光層がなく、又はこれらの発光層の寸法の差が大き過ぎるなどの欠陥が引き起こされやすい。従って、このようなメタルマスク100がスパッタリング又は蒸着などの物理気相成長への応用に適していないため、メタルマスク100が不合格マスクであると判定する。
【0042】
第1の最大オフセット長さLa1と第2の最大オフセット長さLa2との間の差分値が20ミクロン以下であっても、メタルマスク100は、検出基準に合致しないと判定される可能性があることを説明すべきである。例えば、第1の最大オフセット長さLa1と第2の最大オフセット長さLa2の両方のいずれか1つが30ミクロンより大きい場合、メタルマスク100が検出基準に合致しない不合格マスクであると判定する。また、第1の最大オフセット長さLa1と第2の最大オフセット長さLa2との間の差分値が20ミクロン以下であり、第1の最大オフセット長さLa1が30ミクロン以下であり、第2の最大オフセット長さLa2も30ミクロン以下である場合、メタルマスク100が検出基準に合致する合格マスクであると判定する。
【0043】
言及に値するのは、以上の第1の最大オフセット長さLa1及び第2の最大オフセット長さLa2の両方の測定、及び第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2の両方の定義は、いずれも寸法測定器によって行われることができる。具体的には、寸法測定器は、メタルマスク100においてこれらの端点E11a、E11b、E12a及びE12bを見つけてから、第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2を定義することができる。
【0044】
寸法測定器は、これらの端点E11a、E11b、E12a及びE12bに座標値を提供することができる。第1の基準直線Sa1を例とし、端点E11aの座標値は(X1,Y1)であってよく、端点E11bの座標値は(X2,Y2)であってよい。続いて、以上の端点E11a及びE11bの座標値(X1,Y1)及び(X2,Y2)を以下の数式(1)に代入することで、第1の最大オフセット長さLa1を算出し、上記寸法測定器は、以上の端点E11a及びE11bの座標値(X1,Y1)及び(X2,Y2)を測定した後、数式(1)の演算を行うことができる。
【0045】
【0046】
上記数式(1)におけるLは、第1の最大オフセット長さLa1に等しく、X及びYは、第1の最大オフセット長さLa1の端点SP1の座標値(X,Y)であり、端点SP1は、
図1Aに示すように周縁130eに位置する。同様に、寸法測定器は、端点E12a及びE12bに座標値を提供することもでき、端点E12aの座標値を(X3,Y3)としてよく、端点E12bの座標値を(X4,Y4)としてよい。続いて、端点E12a及びE12bの座標値(X3,Y3)及び(X4,Y4)を以下の数式(2)に代入し、寸法測定器は、数式(2)の演算を行うこともできる。
【0047】
【0048】
数式(2)は、実質的に上記数式(1)と同様である。具体的には、数式(1)におけるX1をX3に置き換え、X2をX4に置き換え、Y1をY3に置き換え、且つY2をY4に置き換えることで、数式(2)を得ることができる。数式(2)において、Lは第2の最大オフセット長さLa2に等しく、X及びYは、第2の最大オフセット長さLa2の端点SP2の座標値(X,Y)であり、端点SP2も周縁130eに位置する。
【0049】
上記数式(1)及び(2)を利用して、寸法測定器は、第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2を定義することができるだけでなく、第1の最大オフセット長さLa1及び第2の最大オフセット長さLa2を測定することで、第1の最大オフセット長さLa1と第2の最大オフセット長さLa2との間の差分値が20ミクロンより大きいか否かを判定し、第1の最大オフセット長さLa1及び第2の最大オフセット長さLa2の両方のいずれか1つが30ミクロンより大きいか否かを判定し、不合格メタルマスク100を排除し、且つ検出基準に合致する合格メタルマスク100を選別することもできる。このようにすれば、本実施例の検出方法は、物理気相成長(例えば蒸着)に適しないメタルマスク100を表示パネルの製造に用いることを回避し、不良な表示パネルの産出を減少し、歩留まりを向上させることができる。
【0050】
図1Bは、本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
図1Bを参照されたく、本実施例の検出方法は、前述した実施例の検出方法と類似する。例えば、
図1Bに示す実施例においても、数式(1)及び(2)を利用して第1の最大オフセット長さLb1及び第2の最大オフセット長さLb2を測定することができる。本実施例と前述した実施例との間の相違点は、
図1Bにおける第1の基準直線Sb1及び第2の基準直線Sb2の両方の定義が第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2の両方の定義と異なるだけである。
【0051】
本実施例の検出方法においても、第1の基準直線Sb1及び第2の基準直線Sb2が第1の長辺111及び第2の長辺112に隣接するこれらのパターン領域130に基づいて定義されるが、前述した
図1Aに示す実施例と異なり、第1の基準直線Sb1の2つの端点E21a、E21b及び第2の基準直線Sb2の2つの端点E22a、E22bは、いずれもこれらのパターン領域130外に位置し、且つそれぞれ第1の隅部191、第2の隅部192、第3の隅部193及び第4の隅部194に隣接する。
【0052】
また、これらの端点E21a、E21b、E22a及びE22bは、それぞれメタルマスク100に作成された肉眼で見える複数のマークに位置してよい。
図1Bを例とし、メタルマスク100は、肉眼で見える第1のマーク181、第2のマーク182、第3のマーク183及び第4のマーク184を更に有してよく、第1のマーク181は第1の隅部191に隣接し、第2のマーク182は第2の隅部192に隣接し、第3のマーク183は第3の隅部193に隣接し、第4のマーク184は第4の隅部194に隣接する。端点E21aは第1のマーク181に位置し、端点E21bは第2のマーク182に位置し、端点E22aは第3のマーク183に位置し、端点E22bは第4のマーク184に位置する。従って、端点E21a、E21b、E22a及びE22bを除き、第1の基準直線Sb1及び第2の基準直線Sb2の両方の他の部分は全て仮想的である。
【0053】
図1Cは、本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
図1Cを参照されたく、本実施例の検出方法は、前述した
図1A及び
図1Bに示す検出方法と類似する。例えば、
図1Cに示す実施例においても、数式(1)及び(2)を利用して第1の最大オフセット長さLc1及び第2の最大オフセット長さLc2を測定することができる。しかしながら、本実施例の第1の基準直線Sc1及び第2の基準直線Sc2の両方の定義は、前述した第1の基準直線Sa1、Sb1及び第2の基準直線Sa2、Sb2の定義と異なる。
【0054】
第1の基準直線Sc1及び第2の基準直線Sc2を定義する過程で、第1の基準直線Sc1の2つの端点E31a及びE31bは、それぞれ第1の隅部191及び第2の隅部192に隣接する2つの開口131に位置し、第2の基準直線Sc2の2つの端点E32a及びE32bは、それぞれ第3の隅部193及び第4の隅部194に隣接する2つの開口131に位置する。
図1Cを例とし、これらの端点E31a、E31b、E32a及びE32bは、これらの開口131の縁部に位置してよい。又は、他の実施例において、これらの端点E31a、E31b、E32a及びE32bのそれぞれは、1つの開口131の内部に位置してもよい。従って、これらの端点E31a、E31b、E32a及びE32bは、いずれもこれらのパターン領域130内に位置する。
【0055】
図1Dは、本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
図1Dを参照されたく、
図1Dに示す検出方法は、実質的に
図1Aに示す検出方法と同様であり、
図1Dのメタルマスク101は、メタルマスク100と同様であってよい。例えば、メタルマスク101は、金属材料に対して転圧とフォトリソグラフィーを順に行った後に形成されてもよく、又は電鋳を用いて製造されてもよい。しかしながら、
図1Aに示す第1の長辺111及び第2の長辺112の両方の形状は、いずれも二次曲線であるが、
図1Dに示す第1の長辺111d及び第2の長辺112dの両方の形状は、いずれも少なくとも1つの変曲点(inflection point)を有する曲線である。
【0056】
図1Dに示すメタルマスク101において、第1の長辺111d及び第2の長辺112dは二次曲線ではないが、
図1Dの実施例において、2つの端点E11a及びE11bは、それぞれ第1の隅部191及び第2の隅部192に隣接する2つの頂点130aに位置し、2つの端点E12a及びE12bは、それぞれ第3の隅部193及び第4の隅部194に隣接する2つの頂点130aに位置する。次に、第1の最大オフセット長さLa1は、第1の長辺111に隣接するこれらの周縁130eと第1の基準直線Sa1との間の最大距離であり、第2の最大オフセット長さLa2も、第2の長辺112に隣接するこれらの周縁130eと第2の基準直線Sa2との間の最大距離である。
【0057】
従って、第1の長辺111d及び第2の長辺112dが変曲点を有するか否かを問わず、
図1Dと
図1Aにおける第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2の定義は同様であり、且つ
図1Dと
図1Aにおける第1の最大オフセット長さLa1及び第2の最大オフセット長さLa2の定義も同様である。また、他の実施例において、
図1Dにおけるこれらの端点E11a、E11b、E12a及びE12bは、これらのパターン領域130外に位置してもよく(
図1Bに示す)、又はこれらのパターン領域130の開口131内に位置してもよい。従って、
図1Dにおける第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2の両方の定義は、実質的に第1の基準直線Sb1、Sc1及び第2の基準直線Sb2、Sc2の定義と同様であってもよい。
【0058】
図2は、本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
図2を参照されたく、本実施例は、前述した実施例と類似する。例えば、メタルマスク200は複数のパターン領域230を有し、これらのパターン領域230は規則的に配列されてよい。次に、各パターン領域230も複数の開口131を有し、且つ各パターン領域230の形状も多角形である。しかしながら、前述した実施例のパターン領域130と異なり、本実施例において、各パターン領域230の形状は六角形であり、且つこれらのパターン領域230はマトリックス状に配列されていない。
【0059】
メタルマスク200の検出方法は、基本的にメタルマスク100の検出方法と同様である。メタルマスク200の検出方法において、第1の基準直線S21は第1の長辺111に隣接するこれらのパターン領域230に基づいて定義され、第2の基準直線S22も第2の長辺112に隣接するこれらのパターン領域230に基づいて定義され、第1の基準直線S21は、第1の長辺111に隣接するとともに第1の長辺111に沿って延在し、第2の基準直線S22は、第2の長辺112に隣接するとともに第2の長辺112に沿って延在する。
【0060】
各パターン領域230も複数の頂点230aを有する。例えば、1つのパターン領域230は6つの頂点230aを有する(
図2に示す)。
図1Aの実施例と同様に、第1の基準直線S21の2つの端点E41a及びE41bは、それぞれ第1の隅部191及び第2の隅部192に隣接する2つの頂点230aに位置し、第2の基準直線Sa2の2つの端点E42a及びE42bは、それぞれ第3の隅部193及び第4の隅部194に隣接する2つの頂点230aに位置する。従って、これらの端点E41a、E41b、E42a及びE42bは、実質的に4つのパターン領域230の頂点230aと見なされてもよく、2つのパターン領域230は第1の短辺121に隣接し、他の2つのパターン領域230は第2の短辺122に隣接する。
【0061】
第1の隅部191は第1の頂点191aを有し、第1の長辺111と第1の短辺121は、第1の頂点191aで交差する。第2の隅部192は第2の頂点192aを有し、第1の長辺111と第2の短辺122は、第2の頂点192aで交差する。第3の隅部193は第3の頂点193aを有し、第2の長辺112と第1の短辺121は、第3の頂点193aで交差する。第4の隅部194は第4の頂点194aを有し、第2の長辺112と第2の短辺122は、第4の頂点194aで交差する。
【0062】
本実施例において、端点E41a、E41b、E42a及びE42bは、第1の頂点191a、第2の頂点192a、第3の頂点193a及び第4の頂点194aに隣接する頂点230aに基づいて決定される。具体的には、第1の隅部191において、端点E41aは、第1の頂点191aに最も近い頂点230aに位置する。同様に、端点E41bは、第2の頂点192aに最も近い頂点230aに位置し、端点E42aは、第3の頂点193aに最も近い頂点230aに位置し、端点E42bは、第4の頂点194aに最も近い頂点230aに位置する。
【0063】
第1の基準直線S21及び第2の基準直線S22を定義した後、第1の長辺111に隣接するこれらのパターン領域230と第1の基準直線S21との間の第1の最大オフセット長さL21を測定し、且つ、第2の長辺112に隣接するこれらのパターン領域230と第2の基準直線S22との間の第2の最大オフセット長さL22を測定し、第1の最大オフセット長さL21は第1の基準直線S21に実質的に垂直であり、第2の最大オフセット長さL22は第2の基準直線S22に実質的に垂直である。
【0064】
第1の最大オフセット長さL21と第2の最大オフセット長さL22との間の差分値が20ミクロンより大きく、又は第1の最大オフセット長さL21及び第2の最大オフセット長さL22の両方のいずれか1つが30ミクロンより大きい場合、メタルマスク200は、不合格マスクであると判定される。第1の最大オフセット長さL21と第2の最大オフセット長さL22との間の差分値が20ミクロン以下であり、第1の最大オフセット長さL21が30ミクロン以下であり、第2の最大オフセット長さL22も30ミクロン以下である場合、メタルマスク200が合格マスクであり、検出基準に合致すると判定する。
【0065】
また、第1の最大オフセット長さL21及び第2の最大オフセット長さL22の両方の測定方法は、前述した実施例における第1の最大オフセット長さLa1及び第2の最大オフセット長さLa2と同様であってよい。例えば、第1の最大オフセット長さL21及び第2の最大オフセット長さL22は、寸法測定器によって測定されてよく、寸法測定器は、第1の基準直線S21及び第2の基準直線S22を定義し、且つ上記数式(1)及び(2)を利用して計算して第1の最大オフセット長さL21及び第2の最大オフセット長さL22を得ることができる。従って、第1の最大オフセット長さL21及び第2の最大オフセット長さL22の両方の測定方法は、前述した実施例と同様であってよく、ここで繰り返して説明しない。
【0066】
説明すべきこととして、
図2に示す実施例において、第1の基準直線S21の2つの端点E41a及びE41b、並びに第2の基準直線Sa2の2つの端点E42a及びE42bは、それぞれ4つの頂点230aに位置し、端点E41a及びE42aは、第2の短辺121に隣接する最も外側のパターン領域230の頂点230aに位置し、端点E41b及びE42bは、第2の短辺122に隣接する最も外側のパターン領域230の頂点230aに位置する。
【0067】
しかしながら、他の実施例において、これらの端点E41a、E41b、E42a及びE42bは、それぞれ第1の隅部191、第2の隅部192、第3の隅部193及び第4の隅部194に隣接し、且ついずれもこれらのパターン領域230a外に位置してもよい。換言すれば、これらの端点E41a、E41b、E42a及びE42bのそれぞれは、いずれか1つのパターン領域230a内に位置しなくてもよく、且つメタルマスク200の1つの隅部(即ち第1の隅部191、第2の隅部192、第3の隅部193又は第4の隅部194)に隣接してもよい。
【0068】
又は、第1の基準直線S21の2つの端点E41a及びE41bは、それぞれ第1の隅部191及び第2の隅部192に隣接する2つの開口131に位置してもよく、第2の基準直線S22の2つの端点E42a及びE42bは、それぞれ第3の隅部193及び第4の隅部194に隣接する2つの開口131に位置してもよい。例えば、これらの端点E41a、E41b、E42a及びE42bのいずれか1つは、1つの開口131の縁部(
図1Cに示す)に位置してもよく、又は1つの開口131内部に位置してもよい。従って、
図2に示す端点E41a、E41b、E42a及びE42bは、いずれも頂点230aに位置することに限定されない。
【0069】
図3は、本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
図3を参照されたく、本実施例は、前述した実施例と類似する。例えば、メタルマスク300は複数のパターン領域330を有し、且つこれらのパターン領域330は規則的に配列されてよく、例えば
図3に示すようにマトリックス状に配列され、各パターン領域330も複数の開口131を有する。しかしながら、前述したパターン領域130及び230と異なり、本実施例における各パターン領域330の形状が円形であるため、各パターン領域330は中心330cを有する。
【0070】
本実施例の検出方法は、前述した実施例の検出方法と類似し、本実施例においても、上記数式(1)及び(2)を利用して第1の最大オフセット長さL31及び第2の最大オフセット長さL32を測定することができる。本実施例と前述した実施例との両方の検出方法の相違点は、
図3における第1の基準直線S31及び第2の基準直線S32の両方の定義が第1の基準直線Sa1及び第2の基準直線Sa2と異なり、且つ
図3における第1の最大オフセット長さL31が前述した第1の最大オフセット長さLa1、Lb1、Lc1又はL21と異なり、第2の最大オフセット長さL32が前述した第2の最大オフセット長さLa2、Lb2、Lc2又はL22と異なるだけである。
【0071】
第1の基準直線S31の2つの端点E51a及びE51bは、それぞれ第1の隅部191及び第2の隅部192に隣接する2つの中心330cに位置し、第2の基準直線S32の2つの端点E52a及びE52bは、それぞれ第3の隅部193及び第4の隅部194に隣接する2つの中心330cに位置する。第1の基準直線S31に実質的に垂直である第1の最大オフセット長さL31は、第1の長辺111に隣接するこれらの中心330cと第1の基準直線S31との間の最大距離であり、第2の基準直線S32に実質的に垂直である第2の最大オフセット長さL32は、第2の長辺112に隣接するこれらの中心330cと第2の基準直線S32との間の最大距離である。
【0072】
言及に値するのは、以上の
図1A~
図1D及び
図2~
図3の実施例において、上記第1の基準直線及び第2の基準直線の両方のいずれか1つの端点(即ち、端点E11a、E11b、E12a、E12b、E21a、E21b、E22a、E22b、E31a、E31b、E32a、E32b、E41a、E41b、E42a、E42b、E51a、E51b、E52a又はE52b)も第1の隅部191、第2の隅部192、第3の隅部193及び第4の隅部194のうちの1つに隣接するため、上記第1の基準直線及び第2の基準直線の両方の長さは、それぞれメタルマスク100、101、200及び300の長さよりも小さいが、それらに近い。
【0073】
従って、これらの第1の基準直線Sa1、Sb1、Sc1、S21及びS31の定義が異なっても、数式(1)によって計算して得られたこれらの第1の最大オフセット長さLa1、Lb1、Lc1、L21及びL31には顕著な差がない。同様に、これらの第2の基準直線Sa2、Sb2、Sc2、S22及びS32の定義が異なっても、数式(2)によって計算して得られたこれらの第2の最大オフセット長さLa2、Lb2、Lc2、L22及びL32の間にも顕著な差がない。換言すれば、これらの第1の基準直線Sa1、Sb1、Sc1、S21及びS31、並びにこれらの第2の基準直線Sa2、Sb2、Sc2、S22及びS32のいずれに対しても、上記数式(1)及び(2)を利用して以上の第1の最大オフセット長さ及び第2の最大オフセット長さを算出することができる。
【0074】
図4は、本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図である。
図4を参照されたく、本実施例の検出方法は、前述した実施例の検出方法と類似する。しかしながら、前述した実施例と異なり、本実施例の検出方法は、第1の最大オフセット長さ及び第2の最大オフセット長さを測定するだけでなく、更に第3の基準直線S43を定義し、且つ第3の最大オフセット長さL4を測定する。
【0075】
本実施例において、メタルマスク400は、互いに対向する第1の長辺411及び第2の長辺412と、互いに対向する第1の短辺421及び第2の短辺422と、複数のパターン領域430と、を有し、第1の長辺411、第2の長辺412、第1の短辺421と第2の短辺422はこれらのパターン領域430を囲むように連結される。
図4に示すメタルマスク400の材料及び製造方法は、メタルマスク100の材料及び製造方法と同様であってよく、各パターン領域430は複数の開口(図示せず)を有し、これらの開口は規則的に配列されてよい。
【0076】
メタルマスク400の検出方法において、第1の短辺421に隣接するこれらのパターン領域430に基づき、第3の基準直線S43を定義し、第3の基準直線S43は、第1の短辺421に隣接するとともに第1の短辺421に沿って延在する。前述した第1の基準直線及び第2の基準直線と同様に、第3の基準直線S43が端点E63a及びE63bを有するため、第3の基準直線S43も無限長の直線ではない。これらの端点E63a及びE63bの位置が決定されると、第3の基準直線S43も定義されたことを意味する。
【0077】
各パターン領域430の形状は多角形又は変形した多角形であってよく、複数の頂点430aを有する。
図4を例とし、各パターン領域430の形状が捩じれた四角形であってよいため、パターン領域430の形状は、一般的な四角形(例えば矩形)と多少異なるが、各パターン領域430の有する4つの頂点430aは、依然として認識可能である。第3の基準直線S43の2つの端点E63a及びE63bは、それぞれ第1の隅部491及び第3の隅部493に隣接する2つの頂点430aに位置してよい。換言すれば、
図4に示すこれらの端点E63a及びE63bは、実質的に2つの頂点430aと見なされてもよい。
【0078】
他の実施例において、端点E63a及びE63bはこれらのパターン領域430a外に位置してもよく、且つそれぞれ第1の隅部491及び第3の隅部493に隣接することを説明すべきである。又は、第3の基準直線S43の2つの端点E63a及びE63bは、それぞれ第1の隅部491及び第3の隅部493に隣接する2つの開口に位置してもよく、これらの端点E63a及びE63bのいずれか1つは、1つの開口の縁部又は1つの開口の内部に位置してもよい。従って、
図4に示す端点E63a及びE63bは、いずれも頂点430aに位置することに限定されない。
【0079】
続いて、第1の短辺421に隣接するこれらのパターン領域430と第3の基準直線S43との間の第3の最大オフセット長さL4を測定し、第3の最大オフセット長さL4は第3の基準直線S43に垂直である。
図1Aの実施例と類似し、これらのパターン領域430はそれぞれ複数の周縁430eを有し、第3の最大オフセット長さL4は、第1の短辺421に隣接するこれらの周縁430eと第3の基準直線S43との間の最大距離である。第3の基準直線S43の定義及び第3の最大オフセット長さL4の測定は、いずれも寸法測定器により行われてよく、第3の最大オフセット長さL4は、更に前述した数式(1)に基づいて測定されてもよい。第3の最大オフセット長さL4が10ミクロンより大きい場合、メタルマスク400が不合格マスクであると判定する。逆に、第3の最大オフセット長さL4が10ミクロン以下である場合、メタルマスク400が検出基準に合致するマスクであり、即ちプロセスの要求に応えた合格メタルマスク400であると判定する。
【0080】
図4に示す実施例において、第1の長辺411及び第2の長辺412は両方とも直線であるが、他の実施例(例えば
図1Aに示す実施例)において、第1の長辺411及び第2の長辺412は両方とも曲線であってもよい。従って、
図4において、第1の長辺411及び第2の長辺412の形状を限定しない。また、
図4に示す第3の基準直線S43に基づき、更に第2の短辺422に隣接する第4の基準直線(図示せず)を定義してもよい。第4の基準直線の2つの端点もそれぞれ第2の隅部492及び第4の隅部494に隣接して、メタルマスク400が物理気相成長に適することを保証し、表示パネル(例えば、有機発光ダイオード表示パネル)の歩留まりの低下を回避するように、この第4の基準直線を利用し、第4の最大オフセット長さを更に測定してもよい。
【0081】
図5Aは、本発明の別の実施例の検出方法により検出されるメタルマスクの平面模式図であり、
図5Bは、
図5Aにおけるメタルマスクの側面模式図である。
図5A及び
図5Bを参照されたく、まず、メタルマスク500を提供する。メタルマスク500は、互いに対向する第1の長辺511及び第2の長辺512と、互いに対向する第1の短辺521及び第2の短辺522と、複数のパターン領域(図示せず)と、を有する。メタルマスク100と同様に、第1の長辺511、第2の長辺512、第1の短辺521と第2の短辺522はこれらのパターン領域を囲むように連結される。次に、メタルマスク500も、金属材料に対して転圧とフォトリソグラフィーを順に行った後に形成されてもよく、又は電鋳を用いて製造されてもよいため、
図5Bに示すように、メタルマスク500も反って平坦でなくなる。
【0082】
次に、反ったメタルマスク500において、互いに平行して離れた第1の基準直線S51と第2の基準直線S52を定義し、第1の基準直線S51と第2の基準直線S52とは交差するか又は重なることはなく、且つ第1の基準直線S51と第2の基準直線S52の両方の長さは、互いに等しくてもよい。第1の基準直線S51は端点E71a及びE71bを有し、第2の基準直線S52は端点E72a及びE72bを有する。従って、第1の基準直線S51及び第2の基準直線S52はいずれも無限長の直線ではない。
【0083】
本実施例において、メタルマスク500に少なくとも1つの位置合わせマーク(図示せず)を先に形成してよく、そのうちの1つの位置合わせマークは、端点E71a、E71b、E72a及びE72bのうちの1つに位置してよい。寸法測定器は、上記位置合わせマークを検知し、且つ位置合わせマークの位置に基づいて端点E71a、E71b、E72a及びE72bの座標値を定義することができる。このようにすれば、寸法測定器は、第1の基準直線S51及び第2の基準直線S52の両方の長さを算出することができる。
【0084】
第1の基準直線S51及び第2の基準直線S52の両方が実質的に平行であってよいため、第1の基準直線S51と第2の基準直線S52との間の平行は、許容偏差範囲による非平行を含んでよく、前述した許容偏差範囲は、3ミクロン以内としてよい。また、第1の基準直線S51と第2の基準直線S52との間の距離は、3cm~25cmであってよく、この距離の誤差は、±3ミクロン以内としてよい。
【0085】
図5Cは、
図5Aにおけるメタルマスクが平らに広げられた後の平面模式図である。
図5Cを参照されたく、続いて、第1の基準直線S51が第1の変形線S51dになり、第2の基準直線S52が第2の変形線S52dになるように、メタルマスク500を平らに広げる。メタルマスク500が平らに広げられた場合、第1の長辺511、第2の長辺512、第1の短辺521及び第2の短辺522も変形する。例えば、第1の長辺511は、長い第1の長辺511pになり、第2の長辺512は、長い第2の長辺512pになる。
【0086】
図5Dは、
図5Cにおけるメタルマスクが2枚の硬質基板の間に挟まれた場合の側面模式図である。
図5C及び
図5Dを参照されたく、メタルマスク500を平らに広げる方法は、メタルマスク500を2枚の硬質基板51の間に挟んで、これらの硬質基板51の押圧によりメタルマスク500を平らにすることであってよく、硬質基板51はガラス板又は鋼板であってよい。
【0087】
図5A及び
図5Cを参照されたく、続いて、第1の基準直線S51の長さ、第2の基準直線S52の長さ、第1の変形線S51dの長さ及び第2の変形線S52dの長さが以下の数式(3)を満たすか否かを判定する。
【0088】
【0089】
上記数式(3)において、L1は第1の基準直線S51の長さであり、L2は第2の基準直線S52の長さであり、L3は第1の変形線S51dの長さであり、L4は第2の変形線S52dの長さである。第1の基準直線S51の長さ、第2の基準直線S52の長さ、第1の変形線S51dの長さ及び第2の変形線S52dの長さが数式(3)を満たす場合、メタルマスク500が検出基準に合致する合格マスクであると判定する。
【0090】
また、第1の基準直線S51の長さ、第2の基準直線S52の長さ、第1の変形線S51dの長さ及び第2の変形線S52dの長さは、寸法測定器によって測定されてよく、数式(3)も寸法測定器によって演算されてよく、寸法測定器は、上記位置合わせマークの位置に基づき、第1の変形線S51dの2つの端点の位置及び第2の変形線S52dの2つの端点の位置を自動的に選択することで、第1の変形線S51dの長さ及び第2の変形線S52dの長さを算出することができる。
【0091】
言及に値するのは、
図5Aに示す実施例において、第1の基準直線S51と第2の基準直線S52の両方の長さは互いに等しいことである。しかしながら、他の実施例において、第1の基準直線S51と第2の基準直線S52の両方の長さは等しくなくてもよい。例えば、
図6に示す実施例において、反ったメタルマスク500において、互いに平行して離れた第1の基準直線S51と第2の基準直線S62を定義してよく、第1の基準直線S51と第2の基準直線S62の両方の長さは互いに等しくない。例えば、
図6に示すように、第1の基準直線S51は第2の基準直線S62よりも長い。従って、
図5Aにおける第1の基準直線S51と第2の基準直線S52は、互いに等しくなるように限定されない。
【0092】
以上を纏めると、本発明の少なくとも1つの実施例に開示された検出方法は、合格メタルマスクを選択し、不合格メタルマスクを排除することで、物理気相成長(例えば蒸着)に適しないメタルマスクを表示パネル(例えば、有機発光ダイオード表示パネル)の製造に用いることを回避することに役立つことができる。このようにすれば、不良な表示パネルの産出を減少し、歩留まりを向上させることができる。
【0093】
本発明は、実施例により前述の通りに開示されたが、実施例が本開示内容を限定するものではなく、当業者であれば、本開示内容の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修飾を加えることができる。従って、本開示内容の保護範囲は、下記特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
【符号の説明】
【0094】
51 硬質基板
100、101、200、300、400、500 メタルマスク
111、411、511 第1の長辺
112、412、512 第2の長辺
121、421、521 第1の短辺
122、422、522 第2の短辺
130、230、330、430 パターン領域
130a、230a、430a 頂点
130e、430e 周縁
131 開口
181 第1のマーク
182 第2のマーク
183 第3のマーク
184 第4のマーク
191、491 第1の隅部
192、492 第2の隅部
193、493 第3の隅部
194、494 第4の隅部
330c 中心
E11a、E11b、E12a、E12b、E21a、E21b、E22a、E22b、E31a、E31b、E32a、E32b、E41a、E41b、E42a、E42b、E51a、E51b、E52a、E52b、E63a、E63b、E71a、E71b、E72a、E72b、SP1、SP2 端点
La1、Lb1、Lc1、L21、L31 第1の最大オフセット長さ
La2、Lb2、Lc2、L22、L32 第2の最大オフセット長さ
L4 第3の最大オフセット長さ
Sa1、Sb1、Sc1、S21、S31、S51 第1の基準直線
Sa2、Sb2、Sc2、S22、S32、S52、S62 第2の基準直線
S51d 第1の変形線
S52d 第2の変形線
S43 第3の基準直線
【手続補正書】
【提出日】2022-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1の長辺及び第2の長辺と、互いに対向する第1の短辺及び第2の短辺と、複数のパターン領域と、を有し、前記第1の長辺、前記第2の長辺、前記第1の短辺及び前記第2の短辺が前記パターン領域を囲むメタルマスクを提供するステップと、
前記第1の長辺及び前記第2の長辺に隣接する前記パターン領域に基づき、前記第1の長辺に隣接するとともに前記第1の長辺に沿って延在する第1の基準直線、及び前記第2の長辺に隣接するとともに前記第2の長辺に沿って延在する第2の基準直線を定義するステップと、
前記第1の長辺に隣接する前記パターン領域と前記第1の基準直線との間の、前記第1の基準直線に垂直な第1の最大オフセット長さを測定するステップと、
前記第2の長辺に隣接する前記パターン領域と前記第2の基準直線との間の、前記第2の基準直線に垂直な第2の最大オフセット長さを測定するステップと、
前記第1の最大オフセット長さと前記第2の最大オフセット長さとの間の差分値が20ミクロン以下である場合、前記メタルマスクが検出基準に合致すると判定するステップと、
を含むメタルマスクの検出方法。
【請求項2】
前記第1の最大オフセット長さが30ミクロン以下である場合、前記メタルマスクが前記検出基準に合致すると判定するステップと、
前記第1の最大オフセット長さが30ミクロンより大きい場合、前記メタルマスクが不合格マスクであると判定するステップと、
を更に含む請求項1に記載のメタルマスクの検出方法。
【請求項3】
前記第2の最大オフセット長さが30ミクロン以下である場合、前記メタルマスクが前記検出基準に合致すると判定するステップと、
前記第2の最大オフセット長さが30ミクロンより大きい場合、前記メタルマスクが前記不合格マスクであると判定するステップと、
を更に含む請求項2に記載のメタルマスクの検出方法。
【請求項4】
前記第1の短辺に隣接する前記パターン領域に基づき、前記第1の短辺に隣接するとともに前記第1の短辺に沿って延在する第3の基準直線を定義するステップと、
前記第1の短辺に隣接する前記パターン領域と前記第3の基準直線との間の、前記第3の基準直線に垂直な第3の最大オフセット長さを測定するステップと、
前記第3の最大オフセット長さが10ミクロン以下である場合、前記メタルマスクが前記検出基準に合致すると判定するステップと、
前記第3の最大オフセット長さが10ミクロンより大きい場合、前記メタルマスクが不合格マスクであると判定するステップと、
を更に含む請求項1に記載のメタルマスクの検出方法。