(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158802
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】クランクプレス用過負荷保護システム
(51)【国際特許分類】
B30B 15/28 20060101AFI20221006BHJP
B21D 43/00 20060101ALI20221006BHJP
F16D 7/04 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B30B15/28
B30B15/28 K
B21D43/00 H
F16D7/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120369
(22)【出願日】2021-07-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】202110358558.7
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521309695
【氏名又は名称】浙江易鍛精密機械有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅 碧舟
(72)【発明者】
【氏名】盧 立全
(72)【発明者】
【氏名】郭 洪昌
(72)【発明者】
【氏名】孫 静燕
(72)【発明者】
【氏名】劉 暁歓
(72)【発明者】
【氏名】楊 賢輝
(72)【発明者】
【氏名】楊 飛
(72)【発明者】
【氏名】蒋 ▲ソ▼
(72)【発明者】
【氏名】王 達
(72)【発明者】
【氏名】林 爽爽
【テーマコード(参考)】
4E089
【Fターム(参考)】
4E089GA02
4E089GB01
4E089GC10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プレス機に過負荷故障が発生した場合、駆動モータ及び送給機構を保護し、駆動モータ及び送給機構が過負荷により焼損することを防止するクランクプレス用過負荷保護システムを提供する
【解決手段】駆動シャフト及びクランクシャフトは回転可能にハウジング内に取り付けられ、駆動シャフトの第1端は伝動機構に接続されることにより、伝動機構が駆動シャフトを駆動して過負荷保護アセンブリを介してクランクシャフトを回転させ、クランクシャフトはプレスアセンブリに接続され、過負荷保護アセンブリによる駆動シャフトとクランクシャフトの接続又は分離はプレスアセンブリの負荷力により実現されるクランクプレス用過負荷保護システムである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、伝動機構と、プレスアセンブリと、駆動ユニットとを含むクランクプレス用過負荷保護システムであって、
前記伝動機構、前記プレスアセンブリ及び前記駆動ユニットは、いずれも前記ハウジング内に取り付けられ、
前記駆動ユニットは、駆動シャフト、クランクシャフト、及び前記駆動シャフトと前記クランクシャフトとを接続する過負荷保護アセンブリを含み、
前記駆動シャフト及び前記クランクシャフトは、回転可能に前記ハウジング内に取り付けられ、
前記駆動シャフトの第1端が前記伝動機構に接続されることにより、前記伝動機構が前記駆動シャフトを駆動して前記過負荷保護アセンブリを介して前記クランクシャフトを回転させ、
前記クランクシャフトは、前記プレスアセンブリに接続され、
前記過負荷保護アセンブリは、前記プレスアセンブリの負荷力に応じて、前記駆動シャフトと前記クランクシャフトとを接続又は分離可能であり、
前記過負荷保護アセンブリは、互いに係合する接続スリーブと接続ヘッドを含み、
前記接続スリーブは、前記クランクシャフトの一端に接続され、
前記接続ヘッドは、前記駆動シャフトの第2端に固定して接続され、
前記接続スリーブの内壁には、均等に分布する複数の弧状の接続溝が形成され、
前記接続ヘッドの側壁には、均等に分布する複数のスライド溝が形成され、
各前記スライド溝内には、それぞれ接続ブロックがスライド可能に取り付けられ、
前記接続ブロックの一端は、弧状であり、
前記接続ブロックの他端と、前記スライド溝の底部との間には、バネが取り付けられ、
前記プレスアセンブリが正常に動作する場合には、前記接続ブロックは、前記接続溝に係合するまで前記バネによって押し上げられ、
前記プレスアセンブリが過負荷になった場合には、前記接続ブロックは、前記接続溝によって前記スライド溝内に押圧されるとともに前記バネを圧縮することにより、前記接続ブロックと前記接続溝との係合が解除され、
前記接続スリーブの一端には、スプラインスリーブが設けられ、
前記スプラインスリーブは、前記クランクシャフトの一端に設けられるスプラインに接続され、
前記接続スリーブの他端には、突出ブロックが設けられ、
前記過負荷保護アセンブリは、前記駆動シャフトに固定して取り付けられるカムスリーブをさらに含み、
前記カムスリーブと前記突出ブロックとは、円周方向に間隔をあけて設けられ、
前記プレスアセンブリが正常に動作する場合には、前記突出ブロックと前記カムスリーブは同期して回転し、
前記プレスアセンブリが過負荷になった場合には、前記カムスリーブは、前記駆動シャフトに伴って回転し、前記突出ブロックと押圧されて係合することにより、前記接続スリーブは前記接続ヘッドとの係合が解除されるまで軸方向に沿って移動することを特徴とする、クランクプレス用過負荷保護システム。
【請求項2】
前記接続スリーブの側壁には、減衰回転する位置規制スリーブがさらに取り付けられ、
前記位置規制スリーブの一端には、連通溝が形成され、
前記連通溝の底部には、円周方向に沿う位置規制溝が形成され、
前記カムスリーブの側壁には、位置規制ブロックが設けられ、
前記プレスアセンブリが正常に動作する場合には、前記位置規制ブロックは、前記位置規制溝によって位置規制され、
前記プレスアセンブリが過負荷になった場合には、前記位置規制ブロックと前記位置規制溝との係合は解除されることを特徴とする、請求項1に記載のクランクプレス用過負荷保護システム。
【請求項3】
前記伝動機構は、駆動モータと、伝動シャフトとを含み、
前記駆動モータは、前記ハウジング内の取付板に取り付けられ、
前記伝動シャフトは、回転可能に前記ハウジング内に取り付けられ、
前記駆動モータの出力端には、メインプーリが取り付けられ、
前記伝動シャフトの一端には、サブプーリが取り付けられ、
前記メインプーリと前記サブプーリとは、ベルトにより接続され、
前記伝動シャフトの他端には、メインギアが取り付けられ、
前記駆動シャフトの第1端には、サブギアが取り付けられ、
前記メインギアと前記サブギアとは噛み合うことを特徴とする、請求項1に記載のクランクプレス用過負荷保護システム。
【請求項4】
前記プレスアセンブリは、接続板と、ヒンジロッドと、プレス金型とを含み、
前記接続板の一端は、回転可能に前記クランクシャフトに接続され、
前記接続板の他端は、前記ヒンジロッドを介して回転可能に前記プレス金型の一端に接続され、
前記プレス金型は、スライド可能に前記ハウジング内の固定板に形成される位置決め孔に係合することを特徴とする、請求項1に記載のクランクプレス用過負荷保護システム。
【請求項5】
前記ハウジングには、加工される原料を載置する作業台がさらに設けられ、
前記作業台は、前記プレスアセンブリの下方に位置し、
前記作業台の中心には、前記プレスアセンブリと係合する吐出口が形成され、
前記作業台の両側には、前記原料の両側に係合するガイドレールが設けられ、
前記作業台の下面は、補強筋を介して前記ハウジングの側壁に接続されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のクランクプレス用過負荷保護システム。
【請求項6】
送給機構をさらに含み、
前記送給機構は、リンクと、送給ローラと、回転ホイールと、回転シャフトとを含み、
前記回転シャフトの両端は、回転可能に前記ハウジングの側壁に接続され、
前記送給ローラは、前記回転シャフトに固定して取り付けられ、
前記送給ローラの表面は、前記原料の下面に接触し、
前記回転ホイールは、一方向ベアリングを介して前記回転シャフトに取り付けられるとともに、前記送給ローラの側辺に位置し、
前記回転ホイールには、偏心ピンシャフトが設けられ、
前記偏心ピンシャフトは、回転可能に前記リンクの一端に接続され、
前記リンクの他端は、前記プレスアセンブリにヒンジ接続され、
前記送給ローラによる送給は、前記リンクの上方への移動及び前記一方向ベアリングの一方向噛み合いによって行われることを特徴とする、請求項5に記載のクランクプレス用過負荷保護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス装置分野に関し、特にクランクプレス用過負荷保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プレス機は、板材の吐出、穴開け、成形、引張等のプロセスに幅広く使用されている。従来のプレス機は、通常、液圧式及び機械式に分けられる。一般的な機械式プレス機はクランクプレスである。実際のプレス加工において、設備の摩耗により上金型と下金型の位置決めに誤差が発生することで、上金型が板材を下金型内に押し込むことができず、上金型が過負荷になって動かなくなる場合がある。液圧式プレス機では、上金型が過負荷により動かなくなった場合、その液圧システムは圧力をリリーフしてプレス機を保護する。機械式のクランクプレスが動作する際に、特定の範囲内に作業員がいってはならないため、クランクプレスが過負荷により動かなくなった場合、作業員は故障をタイムリーに発見できず、駆動モータは過負荷により焼損する恐れがある。
【0003】
また、機械式プレス機の送給機構は、通常、独立したものであるため、上金型が過負荷により動かなくなったときにも送給機構は送給状態にあることで、送給機構も過負荷により焼損する恐れがある。
【0004】
そのため、クランクプレス用の過負荷保護システムが必要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、プレス機に過負荷故障が発生した場合、駆動モータ及び送給機構を保護し、駆動モータ及び送給機構が過負荷により焼損することを防止するクランクプレス用過負荷保護システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によれば、ハウジングと、伝動機構と、プレスアセンブリと、駆動ユニットとを含み、前記伝動機構、前記プレスアセンブリ及び前記駆動ユニットはいずれも前記ハウジング内に取り付けられ、前記駆動ユニットは駆動シャフト、クランクシャフト、及び前記駆動シャフトと前記クランクシャフトとを接続する過負荷保護アセンブリを含み、前記駆動シャフト及び前記クランクシャフトは回転可能に前記ハウジング内に取り付けられ、前記駆動シャフトの第1端は前記伝動機構に接続されることにより、前記伝動機構が前記駆動シャフトを駆動して前記過負荷保護アセンブリを介して前記クランクシャフトを回転させ、前記クランクシャフトは前記プレスアセンブリに接続され、前記プレスアセンブリが過負荷になった場合には、前記伝動機構により前記過負荷保護アセンブリを切断状態にし、前記プレスアセンブリと前記伝動機構との接続を解除することにより、伝動機構の安全動作が保護されるクランクプレス用過負荷保護システムが提供される。
【0007】
好ましくは、前記過負荷保護アセンブリは、接続スリーブ及び接続ヘッドを含む。前記接続スリーブは前記接続ヘッドに係合し、前記接続スリーブは前記クランクシャフトの一端に接続され、前記接続ヘッドは前記駆動シャフトの第2端に固定して接続され、前記接続スリーブの内壁には均等に分布する複数の弧状の接続溝が設けられ、前記接続ヘッドの側壁には均等に分布する複数のスライド溝が設けられ、各前記スライド溝内にはそれぞれ弧状の位置規制ブロックがスライド可能に取り付けられ、前記接続ブロックの底部と前記スライド溝の底部との間にバネが取り付けられ、前記プレスアセンブリが正常に動作する場合には、前記接続ブロックは、前記接続溝に係合するまで前記バネによって押し上げられ、前記プレスアセンブリが過負荷になった場合には、前記接続ブロックは、前記接続溝によって前記スライド溝内に押圧されるとともに前記バネを圧縮することにより、前記接続ブロックと前記接続溝との係合が解除される。
【0008】
好ましくは、前記接続スリーブの一端はスプラインスリーブを介して前記クランクシャフトの一端に設けられるスプラインに接続され、前記接続スリーブの他端には突出ブロックが設けられ、前記過負荷保護アセンブリは、カムスリーブをさらに含む。前記カムスリーブは前記駆動シャフトに固定して取り付けられ、前記カムスリーブと前記突出ブロックとは円周方向に間隔をあけて設けられ、前記プレスアセンブリが正常に動作する場合には、前記突出ブロックと前記カムスリーブは同期して回転し、前記プレスアセンブリが過負荷になった場合には、前記接続スリーブは静止状態にあり、前記駆動シャフトは引き続き回転することにより、前記カムスリーブは前記駆動シャフトに伴って回転し、前記突出ブロックと押圧されて係合することにより、前記接続スリーブは前記接続ヘッドとの係合が解除されるまで前記クランクシャフトの端部へ移動する。
【0009】
好ましくは、前記接続スリーブの側壁には減衰回転する位置規制スリーブがさらに取り付けられ、前記位置規制スリーブの一端には連通溝が形成され、前記連通溝の底部には円周方向に沿う位置規制溝が形成され、前記カムスリーブの側壁には位置規制ブロックが設けられ、前記プレスアセンブリが正常に動作する場合には、前記位置規制ブロックは、前記位置規制溝によって位置規制されるとともに同期して回転することにより、前記接続スリーブが正常に動作する際の振動による軸方向のスライドが防止され、前記プレスアセンブリが過負荷担った場合には、前記位置規制スリーブは静止状態にあり、前記位置規制ブロックは前記位置規制溝との係合が解除されるまで前記カムスリーブに伴って回転することによって、前記接続スリーブと前記接続ヘッドとの分離が容易になる。
【0010】
好ましくは、前記接続スリーブの側壁には回転溝が形成され、前記回転溝の底部には第1凹溝が形成され、前記位置規制スリーブの他端には回転ブロックが設けられ、前記回転ブロックの内壁には第2凹溝が形成され、前記位置規制スリーブは回転ブロックを介して前記回転溝に回転可能に接続され、この場合、前記第1凹溝と前記第2凹溝は完全な凹溝を構成し、前記凹溝内に減衰リングが取り付けられることによって、前記位置規制スリーブと前記接続スリーブとの間の減衰強度が向上し、前記位置規制スリーブが過負荷により前記カムスリーブに伴って回転することが防止される。
【0011】
好ましくは、前記伝動機構は、駆動モータと伝動シャフトを含み、前記駆動モータは前記ハウジング内の取付板に取り付けられ、前記伝動シャフトは回転可能に前記ハウジング内に取り付けられ、前記駆動モータの出力端にはメインプーリが取り付けられ、前記伝動シャフトの一端にはサブプーリが取り付けられ、前記メインプーリと前記サブプーリとはベルトにより接続され、前記伝動シャフトの他端にはメインギアが取り付けられ、前記駆動シャフトの第1端にはサブギアが取り付けられ、前記メインギアと前記サブギアとは噛み合い、ギアセットの噛み合い及びプーリセットの接続により前記駆動モータが出力する回転速度を減速することにより、出力トルクをより向上させてプレスアセンブリの動作を駆動することができる。
【0012】
好ましくは、前記プレスアセンブリは、接続板と、ヒンジロッドと、プレス金型とを含み、前記接続板の一端は回転可能に前記クランクシャフトに接続され、前記接続板の他端は前記ヒンジロッドを介して回転可能に前記プレス金型の一端に接続され、前記プレス金型はスライド可能に前記ハウジング内の固定板に形成される位置決め孔に係合することによって、前記プレス金型が前記クランクシャフトの回転に伴って上下位移動する際に位置決め作用を提供する。
【0013】
好ましくは、前記プレスアセンブリの下方に位置する前記ハウジングの箇所には加工される原料を載置する作業台が設けられ、前記作業台の中心には前記プレスアセンブリに係合する吐出口が形成され、前記作業台の両側には前記原料の両側に係合するガイドレールが設けられ、前記作業台の下面は補強筋を介して前記ハウジングの側壁に接続されることによって、前記作業台の支持強度が向上する。
【0014】
好ましくは、前記クランクプレス用過負荷保護システムは、送給機構をさらに含み、前記送給機構は、リンクと、送給ローラと、回転ホイールと、回転シャフトとを含み、前記回転シャフトの両端は、回転可能に前記ハウジングの側壁に接続され、前記送給ローラは、前記回転シャフトに固定して取り付けられ、前記送給ローラの表面は、前記原料の下面に接触し、前記回転ホイールは、一方向ベアリングを介して前記回転シャフトに取り付けられるとともに、前記送給ローラの側辺に位置し、前記回転ホイールには、偏心ピンシャフトが設けられ、前記偏心ピンシャフトは、回転可能に前記リンクの一端に接続され、前記リンクの他端は、前記プレスアセンブリにヒンジ接続され、前記一方向ベアリングの一方向噛み合いにより前記プレスアセンブリが復帰する際に、前記回転ホイールによって前記回転シャフトを回転させることで前記送給ローラによる送給が行われることが保証される。
【0015】
従来技術に比べて本発明は以下の有益な効果を有する。
(1)従来の一体式駆動ユニットをクランクシャフトと駆動シャフトとの2つの部分に分けるとともに過負荷保護アセンブリにより接続し、そして過負荷保護アセンブリはプレスアセンブリの負荷力及び伝動機構の駆動力に応じて駆動ユニットを切断又は接続する。負荷力が駆動力よりも小さい場合、過負荷保護アセンブリは接続状態にあり、負荷力が駆動力よりも大きい場合、過負荷保護アセンブリは切断状態にあり、これによって、伝動機構上の駆動モータを過負荷保護し、過負荷による焼損が防止される。
【0016】
(2)送給機構による送給とプレスアセンブリの復帰とを連動させることにより、プレスアセンブリの利用率が向上するとともに、従来の独立した送給機構に比べ、本発明の送給機構は単独の駆動源が設けられず、過負荷になった場合にプレスアセンブリと共に伝動機構との接続をタイムリーに切断可能であるため、送給機構の安全性が保証される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】本発明のハウジングの内部構造の模式図である。
【
図5】本発明の駆動ユニットの構造の模式図である。
【
図6】本発明の接続スリーブの構造の模式図である。
【
図7】本発明の位置規制スリーブの構造の模式図である。
【
図8】本発明の過負荷保護アセンブリが接続状態にある場合の正面断面図である。
【
図9】本発明の過負荷保護アセンブリが接続状態にある場合のA方向の断面図である。
【
図10】本発明の過負荷保護アセンブリが切断状態にある場合のA方向の断面図である。
【
図11】本発明の過負荷保護アセンブリが切断状態にある場合の正面断面図である。
【
図13】本発明の送給機構の送給状態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態により本発明をさらに説明する。なお、矛盾がない限り、以下に説明する様々な実施例又は技術的特徴を任意に組み合わせて新しい実施例を形成することができる。
【0019】
本明細書において、「中心」、「横方向」、「縦方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「直立」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」等の方位及び位置関係を表す用語は、図面に示される方位及び位置関係に基づくものであり、本発明の説明を容易にするためのものに過ぎず、示される装置又は部品が必ず特定の方位を有するか、特定の方位で構成及び操作されることを示唆するものではなく、本発明の保護範囲を制限するものとして理解することができない。
【0020】
なお、本明細書及び特許請求の範囲に記載の「第1」、「第2」等の用語は、類似の部品を区別するものであり、必ずしも特定の順序を説明するために使用されるわけではない。
【0021】
実施例において、
図1から
図13に示すように、クランクプレス用過負荷保護システムは、ハウジング1を含む。ハウジング1内には伝動機構、プレスアセンブリ5、駆動ユニット4及び送給機構6が取り付けられる。伝動機構は一般的な減速機構であり、駆動モータ21が出力する回転速度を減速して出力トルクを増大させることにより、伝動機構の出力トルクをプレスアセンブリ5の正常動作に必要な駆動トルクより大きくする。
【0022】
図4及び
図5に示すように、駆動ユニット4は、駆動シャフト41、クランクシャフト42、及び駆動シャフト41とクランクシャフト42とを接続する過負荷保護アセンブリ43を含む。駆動シャフト41及びクランクシャフト42は回転可能にハウジング1内に取り付けられる。駆動シャフト41の第1端はハウジング1の外部に延出して伝動機構に接続される。クランクシャフト42はプレスアセンブリ5に接続される。プレスアセンブリ5が正常に動作する場合には、過負荷保護アセンブリ43は接続状態にあり、この場合、伝動機構は駆動シャフト41を駆動して過負荷保護アセンブリ43を介してクランクシャフト42を回転させ、これによって、プレスアセンブリ5の正常動作が実現される。プレスアセンブリ5が過負荷になった場合には、過負荷保護アセンブリ43は切断状態にあり、この場合、クランクシャフト42は静止状態にあり、伝動機構は駆動シャフト41を引き続き回転させ、つまり、この場合、プレスアセンブリ5と伝動機構の間の動力出力が切断され、これによって、伝動機構の安全動作が保証される。
【0023】
具体的には、
図5、
図6、
図9及び
図10に示すように、過負荷保護アセンブリ43は、接続スリーブ431及び接続ヘッド432を含む。接続スリーブ431はクランクシャフト42の一端に接続され、接続ヘッド432は駆動シャフト41の第2端に接続される。接続スリーブ431の内壁には均等に分布する複数の弧状の接続溝4312が形成される。接続ヘッド432の側壁には均等に分布する複数のスライド溝4321が形成される。接続溝4312及びスライド溝4321の数は必要に応じて調整することができ、例えば、
図9及び
図10には8つの接続溝4312及びスライド溝4321が示されている。各スライド溝4321内にはそれぞれスライド可能に接続ブロック436が取り付けられる。接続ブロック436の一端は弧状であり、接続溝4312の弧状に係合することができる。接続ブロック436の他端とスライド溝4321の底部との間にはバネ437が取り付けられる。プレスアセンブリ5が正常に動作する場合には、接続ブロック436は、接続溝4312に係合するまでバネ437によって押し上げられることによって、接続スリーブ431と接続ヘッド432とは接続状態にある。この場合、接続ブロック436と接続溝4312の係合によるトルクがプレスアセンブリ5の負荷トルクよりも大きいため、伝動機構によってプレスアセンブリ5がプレス動作を行うことができる。プレスアセンブリ5が過負荷になった場合には、接続スリーブ431は過負荷により回転できなくなるとともに、伝動機構による駆動トルクが接続ブロック436と接続溝4312との係合によるトルクよりも大きいため、接続ヘッド432は引き続き回転することで、接続ブロック436は接続溝4312によってスライド溝4321内に押圧されるとともにバネ437を圧縮する。つまり、この場合には、過負荷保護アセンブリ43は切断状態にあり、伝動機構は全負荷動作状態にある。
【0024】
過負荷状態にあるプレスアセンブリが動作しないため、この場合に伝動機構が全負荷動作するとエネルギの浪費を引き起こす。過負荷時の伝動機構によるエネルギ浪費を減少させるために、過負荷時に接続ブロック436と接続溝4312とを完全に分離する必要がある。具体的には、
図5、
図6、
図8及び
図11に示すように、接続スリーブ431の一端には、スプラインスリーブ4313が固定して設けられる。スプラインスリーブ4313の内壁には、スプライン溝4314形成される。接続スリーブ431はスプライン溝4314を介してクランクシャフト42の一端に設けられるスプライン421に接続される。接続スリーブ431の他端には、突出ブロック4317が設けられる。また、過負荷保護アセンブリ43は、カムスリーブ433をさらに含む。カムスリーブ433は駆動シャフト41に固定して取り付けられるとともに、突出ブロック4317とは円周方向に間隔をあけて設けられる。プレスアセンブリ5が正常に動作する場合には、突出ブロック4317はカムスリーブ433と同期して回転する。プレスアセンブリ5が過負荷になった場合には、接続スリーブ431は静止状態にあり、駆動シャフト41は引き続き回転し、カムスリーブ433は駆動シャフト41に伴って突出ブロック4317に係合するとともに突出ブロック4317を押圧するまで回転し、最終的には、接続スリーブ431は接続ヘッド432との係合が解除されるまでクランクシャフト42の端部に沿って軸方向に移動する。この場合には、伝動機構は無負荷動作状態にあるため、過負荷時に伝動機構とプレスアセンブリ5との接続が切断されるとともに、低エネルギ消費の無負荷動作が保証される。
【0025】
駆動ユニット4が正常に動作する際に振動により接続スリーブ431と接続ヘッド432が分離されることを防止するために、接続スリーブ431を位置決めする必要がある。具体的には、
図6、
図7、
図8及び
図11に示すように、過負荷保護アセンブリ43は、位置規制スリーブ434をさらに含む。位置規制スリーブ434の一端の内壁には回転ブロック4341が設けられる。接続スリーブ431の側壁には回転溝4315が形成される。位置規制スリーブ434は回転ブロック4341を介して回転可能に回転溝4315に接続される。回転溝4315の底部には第1凹溝4316が形成される。回転ブロック4341の内壁には第2凹溝4342が形成される。第1凹溝4316と第2凹溝4342は組み合わせて完全な凹溝を形成する。凹溝内には1つの減衰リング435が取り付けられる。減衰リング435により位置規制スリーブ434と接続スリーブ431との間の減衰効果を向上させることにより、位置規制スリーブ434は駆動ユニット4の振動に伴って回転することなく、容易に手動で回転することができる。
【0026】
そして、位置規制スリーブ434の他端には連通溝4343が形成され、連通溝4343の底部には沿円周方向に沿う位置規制溝4344が形成され、カムスリーブ433の側壁には位置規制ブロック4331が設けられる。プレスアセンブリ5が正常に動作する必要がある場合、過負荷保護アセンブリ43は接続する必要があるため、接続スリーブ431と接続ヘッド432を接続する際に、位置規制スリーブ434を手動で回転させることによりカムスリーブ433上の位置規制ブロック4331を連通溝4343に沿って連通溝4343の底部まで移動させ、そして位置規制ブロック4331が位置規制溝4344によって位置規制されるように位置規制スリーブ434を回転させることにより、接続スリーブ431が正常に動作する際の振動による軸方向のスライドが防止される。プレスアセンブリ5が過負荷担った場合には、位置規制スリーブ434と接続スリーブ431とが減衰接続されるため、この場合、位置規制スリーブ434は静止状態にあり、位置規制ブロック4331はカムスリーブ433に伴って位置規制溝4344との係合が解除されるまで回転し、また、この場合、カムスリーブ433は突出ブロック4317と押圧されて係合することにより、位置規制ブロック4331は位置規制スリーブ434との係合が解除されるまで連通溝4343に沿ってスライドする。
【0027】
具体的には、
図2、
図3及び
図4に示すように、伝動機構は、駆動モータ21と、伝動シャフト22とを含む。駆動モータ21は、ハウジング1内の取付板11に取り付けられる。駆動モータ21の本体は取付板11上の取付台111により位置決めされる。ヘッドはフランジを介してハウジング1の側壁にボルト接続される。伝動シャフト22は回転可能にハウジング1内に取り付けられる。駆動モータ21の出力端にはメインプーリ211が取り付けられる。伝動シャフト22の一端にはサブプーリ221が取り付けられる。メインプーリ211とサブプーリ221とはベルト23により接続される。伝動シャフト22の他端にはメインギア222が取り付けられる。駆動シャフト41の第1端にはサブギア411が取り付けられる。メインギア222とサブギア411とは噛み合う。ギアセットの噛み合い及びプーリセットの接続により駆動モータ21が出力する回転速度を減速することにより伝動機構の駆動トルクを増大させる。前記ギアセット及びプーリセットはいずれもハウジング1に取り付けられるため、装置の動作時の安全性を確保するために、ギアセット及びプーリセットの位置に防塵蓋3を取り付けることができる。
【0028】
具体的には、
図2、
図3及び
図4に示すように、プレスアセンブリ5は、接続板51と、ヒンジロッド52と、プレス金型53とを含む。接続板51の一端は回転可能にクランクシャフト42に接続され、接続板51の他端はヒンジロッド52を介して回転可能にプレス金型53の一端に接続される。プレス金型53は、スライド可能にハウジング1内の固定板12に形成される位置決め孔121に係合することによって、プレス金型53がクランクシャフト42に伴って回転して上下移動する時に位置決め作用を提供する。
【0029】
具体的には、
図3及び
図4に示すように、ハウジング1の下方には作業台13がもうけられ、作業台13はプレスアセンブリ5の下方に位置する。作業台13は、加工される原料7を載置するものである。作業台13の中心にはプレスアセンブリ5に係合する吐出口131が形成される。作業台13の両側にはガイドレール132が設けられる。ガイドレール132は原料7の両側に係合することにより、原料7が送給される際に変位することが防止される。また、作業台13の下面は補強筋133を介してハウジング1の側壁に接続されることにより、作業台13の支持強度が向上する。
【0030】
送給機構6の過負荷時での安全性を保証するために、プレスアセンブリ5により送給機構6による送給を駆動することができる。具体的には、
図12、13に示すように、送給機構6は、リンク61と、送給ローラ62と、回転ホイール63と、回転シャフト64とを含む。回転シャフト64の両端は側壁回転可能にハウジング1に接続される。送給ローラ62は回転シャフト64に固定して取り付けられる。送給ローラ62の表面は原料7の下面に接触する。回転ホイール63は一方向ベアリング8を介して回転シャフト64に取り付けられるとともに、送給ローラ62の側辺に位置する。回転ホイール63には偏心ピンシャフト631が形成される。偏心ピンシャフト631は回転可能にリンク61の一端に接続される。リンク61の他端はプレスアセンブリ5に位置するヒンジロッド52の端部にヒンジ接続される。プレスアセンブリ5が復帰する際に、接続板51によりリンク61を上方に移動させる。リンク61が上方に移動する際に、偏心ピンシャフト631により回転ホイール63を回転させる。この場合、一方向ベアリング8は一方向噛み合い状態にあり、送給ローラ62を回転シャフト64に伴って回転させ、つまり、原料7の送給を駆動する。これによって、プレスアセンブリ5の無負荷復帰が十分に活用される。プレスアセンブリ5が動作する際に、一方向ベアリング8は逆方向自由状態にあり、つまり、この場合、送給ローラ62は静止状態にあり、プレスアセンブリ5がプレス動作を容易に行うことができる。プレスアセンブリ5が過負荷になった場合には、送給機構6はプレスアセンブリ5と伝動機構との分離により静止し、これによって、送給機構6は過負荷になった場合においても安全状態にある。
【0031】
以上、本発明の基本原理、主な特徴及び本発明の利点を説明した。本発明は上述した実施例に制限されず、これらの実施例及び明細書の説明は本発明の原理に過ぎず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない範囲内で、本発明に様々な変化及び改良を加えることができ、これらの変化及び改良はいずれも本発明の保護範囲内に含まれることは、当業者が理解できるものである。本発明の保護範囲は、添付する特許請求の範囲及びそれらの同等物によって定義される。