(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158817
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】ユニット家具
(51)【国際特許分類】
A47B 87/00 20060101AFI20221006BHJP
A47B 83/04 20060101ALI20221006BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A47B87/00
A47B83/04
A47B55/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137662
(22)【出願日】2021-08-26
(62)【分割の表示】P 2021060349の分割
【原出願日】2021-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】仁木 政揮
(72)【発明者】
【氏名】荒川 昌也
(72)【発明者】
【氏名】富田 直樹
【テーマコード(参考)】
3B067
3B260
【Fターム(参考)】
3B067AB00
3B260AB01
3B260AD02
3B260BA03
3B260BG01
3B260BG02
3B260BG04
3B260BG05
3B260BG06
3B260BG07
(57)【要約】
【課題】使い勝手がよく、床体の脱落や撓みを防止可能なユニット家具を提供することを目的とする。
【解決手段】床面2と、壁面3,4と、を少なくとも備えた部屋1に据え置かれて設けられたユニット家具10であって、床面2の一部の上方に設けられる床ユニット11と、床ユニット11を支持する支持ユニットUと、を備え、支持ユニットUは、脚ユニット12,13と、当該脚ユニット12,13の上端面に固定される天板14と、を備えており、天板14の縁部は、脚ユニット12,13よりも突出しており、床ユニット11は、前記縁部を含む天板14の上面に固定されていることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面と、壁面と、を少なくとも備えた部屋に据え置かれて設けられたユニット家具であって、
前記床面の一部の上方に設けられる床ユニットと、
前記床ユニットを支持する支持ユニットと、を備え、
前記支持ユニットは、脚ユニットと、当該脚ユニットの上端面に固定される天板と、を備えており、
前記天板の縁部は、前記脚ユニットよりも突出しており、
前記床ユニットは、前記縁部を含む前記天板の上面に固定されていることを特徴とするユニット家具。
【請求項2】
請求項1に記載のユニット家具において、
前記支持ユニットは、前記脚ユニットとして、
前記床ユニットの下端部における正面側縁部に位置する正面側脚ユニットと、
前記床ユニットの下端部における背面側縁部に位置する背面側脚ユニットと、を有しており、
前記天板は、前記正面側脚ユニットの上端面と前記背面側脚ユニットの上端面との間に架け渡されて固定されていることを特徴とするユニット家具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のユニット家具において、
前記床ユニットは、複数の床体によって構成され、
一の前記支持ユニットによって支持される第一床体と、
前記一の支持ユニットの前記天板と、当該一の支持ユニットに隣接する他の支持ユニットの前記天板と、の間に架け渡された第二床体と、を有しており、
前記第一床体と前記第二床体との接触面が、前記脚ユニットの側板の上方に位置することを特徴とするユニット家具。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のユニット家具において、
前記脚ユニットは、当該脚ユニットの側板の間に架け渡された棚板を有することを特徴とするユニット家具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のユニット家具において、
前記天板は、第一板材と、当該第一板材よりも高強度の第二板材と、を有しており、
前記天板のうち前記第二板材が、前記脚ユニットよりも突出していることを特徴とするユニット家具。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のユニット家具において、
前記床ユニットは、建築用構造躯体によって構成されていることを特徴とするユニット家具。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のユニット家具において、
前記床ユニットの上端部における正面側縁部に位置する手摺ユニットを備えており、
前記手摺ユニットは、机として使用可能な机型のユニットと、収納家具として使用可能な収納家具型のユニットと、の少なくとも一方であることを特徴とするユニット家具。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のユニット家具において、
前記脚ユニットは、前記床面に対し、振動抑制手段を介して非固定状態で接しており、
前記床ユニットは、前記壁面に対し、振動抑制手段を介して非固定状態で接していることを特徴とするユニット家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋に据え置かれて設けられるユニット家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物躯体を構成する床の上に据え置かれて用いられる大型のユニット家具について知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のユニット家具は、天井ユニットと、天井ユニットの下面に対して立った状態に取り付けられた複数の柱ユニット及び複数の壁面ユニットと、建物の床と天井ユニットとの間を昇降可能とする昇降手段と、を備えている。そして、天井ユニット上のスペース及び天井ユニット下のスペースは、それぞれ人の立ち入りや起居が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、床ユニット(特許文献1の場合、天井ユニット)と当該床ユニットを支持する支持ユニットとを備えるユニット家具において、床ユニットを構成する床体が2つの支持ユニットの間に架け渡されている場合、一方の支持ユニットと他方の支持ユニットとの間の距離が長いほど、床体が脱落しやすくなったり、床体が撓みやすくなったりする。これに対し、床体の脱落や撓みを防止するために、一方の支持ユニットと他方の支持ユニットとの間の距離を短くしたり、一方の支持ユニットと他方の支持ユニットとの間に別ユニットを設けて支持ユニットと別ユニットとで床体を支持したりすることが考えられるが、それだと床ユニット下のスペースに出入りしにくくなり、ユニット家具の使い勝手が悪くなる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、使い勝手がよく、床体の脱落や撓みを防止可能なユニット家具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1~
図28に示すように、
床面2と、壁面3,4と、を少なくとも備えた部屋1に据え置かれて設けられたユニット家具10,10Aであって、
前記床面2の一部の上方に設けられる床ユニット11と、
前記床ユニット11を支持する支持ユニットUと、を備え、
前記支持ユニットUは、脚ユニット12,12A,13,13Aと、当該脚ユニット12,12A,13,13Aの上端面に固定される天板14と、を備えており、
前記天板14の縁部は、前記脚ユニット12,12A,13,13Aよりも突出しており、
前記床ユニット11は、前記縁部を含む前記天板14の上面に固定されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、ユニット家具10,10Aは、部屋1に据え置かれて設けられているので、部屋1を備えた建物の躯体には固定されずに構造的に切り離された状態となる。これにより、ユニット家具10,10Aを置き家具として取り扱うことができる。
また、天板14の縁部は、脚ユニット12,12A,13,13Aよりも突出しており、床ユニット11は、当該縁部を含む天板14の上面に固定されているので、床ユニット11下のスペースに出入りするための開口部を形成する脚ユニット12,12A,13,13Aの間隔を狭めることなく、床体11bと支持ユニットU(天板14)とを、床体11bが脱落したり撓んだりしない程度に係合させることができる。したがって、ユニット家具10,10Aは、使い勝手がよく、床体11bの脱落や撓みを防止可能となっている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば
図1~
図28に示すように、請求項1に記載のユニット家具10,10Aにおいて、
前記支持ユニットUは、前記脚ユニットとして、
前記床ユニット11の下端部における正面側縁部に位置する正面側脚ユニット12,12A,13,13A(第一脚ユニット12,12A(あるいは第二脚ユニット13,13A))と、
前記床ユニット11の下端部における背面側縁部に位置する背面側脚ユニット13,13A,12,12A(第二脚ユニット13,13A(あるいは第一脚ユニット12,12A))と、を有しており、
前記天板14は、前記正面側脚ユニット12,12A,13,13Aの上端面と前記背面側脚ユニット13,13A,12,12Aの上端面との間に架け渡されて固定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、天板14が、正面側脚ユニット12,12A,13,13Aの上端面と背面側脚ユニット13,13A,12,12Aの上端面との間に架け渡されて固定されているので、天板14が梁として機能し、例えばユニット家具10,10A上に人が乗ったり、物品を載せたりするのに耐え得るような、構造的な強度を発揮することが可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば
図15等に示すように、請求項1又は2に記載のユニット家具10,10Aにおいて、
前記床ユニット11は、複数の床体11a,11b(建築用床パネル11a,11b)によって構成され、
一の前記支持ユニットUによって支持される第一床体11a(第一建築用床パネル11a)と、
前記一の支持ユニットUの前記天板14と、当該一の支持ユニットUに隣接する他の支持ユニットUの前記天板14と、の間に架け渡された第二床体11b(第二建築用床パネル11b)と、を有しており、
前記第一床体11aと前記第二床体11bとの接触面が、前記脚ユニット12,12A,13,13Aの側板122,126,132,136の上方に位置することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、第一床体11aと第二床体11bとの接触面が、脚ユニット12,12A,13,13Aの側板122,126,132,136の上方に位置している。すなわち、第一床体11aの端部と、第二床体11bの端部と、の双方が天板14及び側板122,126,132,136によって支持されているので、天板14の歪みや撓みを防ぐことができ、床ユニット11の安定性が向上する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば
図1~
図28に示すように、請求項1から3のいずれか一項に記載のユニット家具10,10Aにおいて、
前記脚ユニット12,12Aは、当該脚ユニット12,12Aの側板122,123,126の間に架け渡された棚板125を有することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、脚ユニット12,12Aを、収納家具として使用できるので、床ユニット11下のスペースを有効活用することが可能となる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば
図1~
図28に示すように、請求項1から4のいずれか一項に記載のユニット家具10,10Aにおいて、
前記天板14は、第一板材141(第一化粧パネル141)と、当該第一板材141よりも高強度の第二板材142(第二化粧パネル142)と、を有しており、
前記天板14のうち前記第二板材142が、前記脚ユニット12,12A,13,13Aよりも突出していることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、より強度の高い第二板材142が、脚ユニット12,12A,13,13Aよりも突出しているので、天板14の歪みや撓みを防ぐことができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば
図1~
図28に示すように、請求項1から5のいずれか一項に記載のユニット家具10,10Aにおいて、
前記床ユニット11は、建築用構造躯体によって構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、床ユニット11は、建築用構造躯体によって構成されているので、例えば床ユニット11上に人が乗ったり、物品を載せたりするのに耐え得るような、建物躯体と同程度の構造的な強度を発揮することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、例えば
図1~
図28に示すように、請求項1から6のいずれか一項に記載のユニット家具10,10Aにおいて、
前記床ユニット11の上端部における正面側縁部に位置する手摺ユニット15,15Aを備えており、
前記手摺ユニット15,15Aは、机として使用可能な机型のユニットと、収納家具として使用可能な収納家具型のユニットと、の少なくとも一方であることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、手摺ユニット15,15Aは、床ユニット11上の人が落下してしまうことを防止しつつ、机として使用したり、収納家具として使用したりすることが可能なものであるので、床ユニット11上のスペースを有効活用することができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、例えば
図16や
図17等に示すように、請求項1から7のいずれか一項に記載のユニット家具10,10Aにおいて、
前記脚ユニット12,12A,13,13Aは、前記床面2に対し、振動抑制手段20(22)を介して非固定状態で接しており、
前記床ユニット11は、前記壁面3,4に対し、振動抑制手段20(21)を介して非固定状態で接していることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、脚ユニット12,12A,13,13Aは、床面2に対し、振動抑制手段20を介して非固定状態で接するので、振動抑制手段20によって、床面2と脚ユニット12,12A,13,13A双方の振動を抑制できる。そのため、ユニット家具10,10Aは、建物躯体に生じた振動に影響を受けにくくなる。さらに、例えばユニット家具10,10Aが揺れた際に、脚ユニット12,12A,13,13Aが床面2を擦る場合が考えられるが、脚ユニット12,12A,13,13Aと床面2との間に振動抑制手段20が介在することになるので、床面2に施された仕上げを傷つけにくくなる。
また、床ユニット11は、壁面3,4に対し、振動抑制手段20を介して非固定状態で接するので、振動抑制手段20によって、床ユニット11と壁面3,4との間に形成された隙間を塞ぐことができ、床ユニット11と壁面3,4との間における振動の伝達を抑制することができるので、床ユニット11は、建物躯体に生じた振動に影響を受けにくくなり、壁面3,4に施された仕上げを傷つけにくくなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、使い勝手がよく、床体の脱落や撓みを防止可能なユニット家具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】部屋に据え置かれたユニット家具を示す斜視図である。
【
図15】脚ユニットと天板と床体との接触部分の構造を説明する図である。
【
図16】床ユニットと壁面との接触部分を示す拡大断面図である。
【
図18】支持ユニットの変形例を説明する図である。
【
図19】支持ユニットの変形例を説明する図である。
【
図20】第2実施形態のユニット家具を示す斜視図である。
【
図21】部屋に据え置かれた第2実施形態のユニット家具を示す斜視図である。
【
図22】第2実施形態のユニット家具を示す正面図である。
【
図23】第2実施形態のユニット家具を示す平面図である。
【
図27】支持ユニットの変形例を説明する図である。
【
図28】支持ユニットの変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0025】
〔第1実施形態〕
図2において符号1は、部屋を示す。この部屋1は、住宅等の建物の内部に配設されたものであり、床面2と、互いに対向する一対の壁面3,4と、を少なくとも備えている。また、本実施形態においては、一対の壁面3,4に直交する他の壁面5と、天井と、を備えている。
このような部屋1に対して、
図1に示すようなユニット家具10が据え置かれて設けられている。
【0026】
なお、一対の壁面3,4のうち一方の壁面3は、ユニット家具10を前側(正面側)から見た場合において左側に位置し、他方の壁面4は右側に位置している。また、他の壁面5は、ユニット家具10の後側(背面側)に位置している。そのため、以下の説明では、左側に位置する壁面3を左側壁面3と称し、右側に位置する壁面4を右側壁面4と称し、後側に位置する他の壁面5を後側壁面5と称する。
【0027】
なお、各壁面3,4,5には、壁クロス(図示省略)や巾木40、廻り縁(図示省略)等の仕上げが予め施されており、また、床面2にも、フローリング材やマット等の仕上げが予め施されている。そして、このような各壁面3,4,5及び床面2を備えた部屋1に対してユニット家具10が据え置かれて設けられるようになっている。そのため、ユニット家具10を部屋1内に設ける際は、このような各仕上げに傷がつかないように作業を行う必要がある。
【0028】
ユニット家具10は、部屋1に据え置かれて設けられる置き家具であり、建物躯体に対して固定されていない状態となっている。すなわち、このユニット家具10は、建物躯体との機械的接合(ビス等の固定具や接着剤、各種金具等による接合)が一切無く、建物躯体に対して造り付けられてもいない状態となっている。要するに、ユニット家具10は、部屋1の床面や壁面に接してはいるものの、単に、部屋1に据え置かれた家具であり、いわゆる戸建て住宅や、マンション・アパート等の集合住宅、事務所・オフィスビル等の商業用建物を始めとする様々な建物の部屋に対して配置することができる。
ユニット家具10は、建物躯体に対して接合されないため、ユニット家具10が据え置かれる建物の構造も特に限定されない。すなわち、建物躯体は、木造でもよいし、鉄骨造、RC造、SRC造でもよく、その工法の分類(軸組工法、壁式工法、ラーメン工法等)も特に限定されるものではない。要するに、ユニット家具10と建物躯体とを接合する必要がないため、ユニット家具10と建物躯体とを接合する際の相性を考慮する必要がない。
【0029】
ユニット家具10自体は、現場で組み立てられる組立型家具であり、家具を構成する部材同士の接合には、ビス等の固定具や接着剤、各種金具等が適宜使用されているものとする。
具体的には、ユニット家具10は、床ユニット11と、脚ユニット12,13と、天板14と、手摺ユニット15と、昇降手段16と、を備えている。そして、床ユニット11を境にして上下に空間10a,10bが形成されるようになっている。本実施形態において、下側空間10aは、部屋1内から使用できる低天井収納スペースとして使用され、上側空間10bは、居室として十分な天井高を有する一つの部屋として使用することが可能となっている。
【0030】
床ユニット11は、建築用構造躯体によって構成されており、ユニット家具10が据え置かれる建物の躯体と遜色ない構造的強度を有している。そのため、床ユニット11は、上面に人が乗るのは勿論のこと、上面に重量物を置くことも可能となっている。
本実施形態における床ユニット11の建築用構造躯体は、いわゆる木質パネル接着工法に用いられる木質の建築用パネルによって構成されている。
建築用パネルとは、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に、面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填される。
なお、
図16は、床ユニット11を構成する建築用床パネル11a,11bの端部における拡大断面図であり、框材110と、補助桟材112と、框材110及び補助桟材112からなる枠体の上面に貼設された面材111と、が表されている。すなわち、本実施形態における各建築用床パネル11a,11bは、框材110、面材111等を備えて構成されている。
【0031】
なお、本実施形態においては、建築用構造躯体を構成する材として、このような木質の建築用パネルを用いるが、これに限られるものではなく、CLT(Cross Laminated Timber)等の積層材や、ツーバイフォー工法に用いられる耐力壁パネル等の木質系でもよく、あるいは、配筋したコンクリートパネル(RC造、S造)でもよい。
すなわち、床ユニット11を構成する建築用構造躯体は、内部に軸材(框材、桟材、鉄筋等)を配し、その軸材に密着し、軸材の周囲を覆うようにして設けられ、かつ外側に“面”を作り出すことができる構造を採用したものである。CLTについても、鉛直方向の集成板を軸材とし、直交する集成板を面材とした構造であり、適用可能となっている。
【0032】
床ユニット11は、床体(床用の建築用パネル11a,11b)によって構成されるとともに床面2の一部の上方に設けられ、左側壁面3と右側壁面4との間の間隔よりも若干短い幅寸法に設定されている。
床用の建築用パネル11a,11b(以下、建築用床パネル11a,11b)は、複数用いられており、部屋1の床面2の全体ではなく、一部の上方に、所定の高さで設けられている。本実施形態においては、下側空間10aの天井高が、0.8~1.4メートルになる高さ位置に、複数の建築用床パネル11a,11bが設けられている。
なお、この0.8m~1.4mの天井高とは、人が下側空間10aに入り、腰を屈めるなどして何とか作業ができる最低限の高さを確保するための高さ範囲である。ただし、これに限られるものではなく、天井高については任意に設定してもよい。すなわち、下側空間10aの天井高を、人が立った姿勢で歩行・作業ができるような寸法にするとともに、上側空間10bの天井高を、人が腰を屈めた状態で歩行・作業できるような寸法にして、上側空間10bをロフトのように使用できるようにしてもよい。また、例えば部屋1に吹き抜けがあり、部屋1の天井高が高い場合は、下側空間10aと上側空間10bの双方の天井高を、人が立った姿勢で歩行・作業ができるような寸法にしてもよい。また逆に、下側空間10aと上側空間10bの双方の天井高を、人が腰を屈めた状態で歩行・作業できるような寸法にしてもよい。要するに、ユニット家具10は、あくまでも家具であるため、下側空間10a及び上側空間10bにおける上下方向の高さについては特に制限されるものではなく、任意に設定可能となっている。
建築用床パネル11a,11b同士は、ビス、ボルト・ナット等の道具を用いて連結され、これにより、床ユニット11を構成している。
【0033】
第一脚ユニット12は、背板121と、左右の側板122,123と、底板124と、棚板125と、を有しており、収納家具として使用できるようになっている。第一脚ユニット12は、床ユニット11における前端部(正面側端部)の下方に、2つ並んで立った状態にして設けられている。すなわち、ユニット家具10は、左右に並ぶ一対の第一脚ユニット12,12を備えている。なお、以下の説明では、左右の側板122,123のうち、内側(ユニット家具10の中央側)に位置する側板122を内側側板122と称し、外側に位置する側板123を外側側板123と称する。
第一脚ユニット12は、下側空間10aの天井高が、本実施形態においては、0.8~1.4メートルになる高さ寸法に設定されている。
【0034】
第一脚ユニット12を構成する板121~125は、ビス、ボルト・ナット等の道具を用いて連結され、これにより、第一脚ユニット12を構成している。具体的には、背板121と側板122,123とは、背板121の後面と、側板122,123の後端面と、が略面一な状態で連結されている。すなわち、背板121及び側板122,123は、平面視略コ字状をなしている。また、底板124と背板121及び側板122,123とは、底板124の下面と、背板121及び側板122,123の下端面と、が略面一な状態で連結されている。また、棚板125と背板121とは、棚板125の後端面と、背板121の前面と、が接した状態で連結されている。また、棚板125と側板122,123とは、棚板125の左端面及び右端面と、側板122,123の対向面(側板122,123の互いに対向する面)と、が接した状態で連結されている。
なお、棚板125の数は1枚に限定されず、複数枚であってもよい。また、棚板125は可動棚であってもよい。
第一脚ユニット12を構成する板121~125は、例えば、MDF(Medium density fiberboard:中密度繊維板)やパーティクルボード等のボード材であってもよいし、あるいは、これらのボード材を用いてフラッシュ構造としたものやベタ芯構造としたもの等であってもよく、適宜選択可能である。
【0035】
第二脚ユニット13は、背板131と、左右の側板132,133と、を有している。第二脚ユニット13は、床ユニット11における後端部(背面側端部)の下方に、2つ並んで立った状態にして設けられている。すなわち、ユニット家具10は、左右に並ぶ一対の第二脚ユニット13,13を備えている。なお、以下の説明では、左右の側板132,133のうち、内側(ユニット家具10の中央側)に位置する側板132を内側側板132と称し、外側に位置する側板133を外側側板133と称する。
第二脚ユニット13は、下側空間10aの天井高が、本実施形態においては、0.8~1.4メートルになる高さ寸法に設定されている。すなわち、第一脚ユニット12と等しい高さ寸法に設定されている。
【0036】
第二脚ユニット13を構成する板131~133は、ビス、ボルト・ナット等の道具を用いて連結され、これにより、第二脚ユニット13を構成している。具体的には、背板131と側板132,133とは、背板131の後面と、側板132,133の後端面と、が略面一な状態で連結されている。すなわち、背板131及び側板132,133は、平面視略コ字状をなしている。
第二脚ユニット13を構成する板131~133は、例えば、MDFやパーティクルボード等のボード材であってもよいし、あるいは、これらのボード材を用いてフラッシュ構造としたものやベタ芯構造としたもの等であってもよく、適宜選択可能である。
【0037】
図6や
図14に示すように、ユニット家具10は、2枚の天板14,14を備えており、一対の第一脚ユニット12,12のうち左側の第一脚ユニット12と、一対の第二脚ユニット13,13のうち左側の第二脚ユニット13と、は一方の天板14(左側の天板14)を共有した状態となっている。また、一対の第一脚ユニット12,12のうち右側の第一脚ユニット12と、一対の第二脚ユニット13,13のうち右側の第二脚ユニット13と、は他方の天板14(右側の天板14)を共有した状態となっている。すなわち、天板14は、当該天板14の長さ寸法(前後方向の寸法)が床ユニット11の奥行き寸法(前後方向の寸法)と略等しい寸法に設定されており、第一脚ユニット12の上端面と第二脚ユニット13の上端面との間に架け渡されて固定されている。
【0038】
そして、天板14のうち中央側に位置する天板14の中央側縁部は中央側に突出している。
具体的には、左側の天板14の右縁部は、左側の第一脚ユニット12の内側側板122及び左側の第二脚ユニット13の内側側板132よりも、右方に突出している。すなわち、左側の天板14は右側(ユニット家具10の中央側)に跳ね出している。
また、右側の天板14の左縁部は、右側の第一脚ユニット12の内側側板122及び右側の第二脚ユニット13の内側側板132よりも、左方に突出している。すなわち、右側の天板14は左側(ユニット家具10の中央側)に跳ね出している。
【0039】
天板14は、第一化粧パネル141と、第一化粧パネル141よりも高強度の第二化粧パネル142と、により構成されており、第二化粧パネル142は、第一化粧パネル141よりも内側(ユニット家具10の中央側)に配されている。すなわち、より強度の高い第二化粧パネル142が、脚ユニット12,13の内側側板122,132よりも側方に突出している。
第一化粧パネル141は、例えば、MDFやパーティクルボード等のボード材であってもよいし、あるいは、これらのボード材を用いてフラッシュ構造としたものやベタ芯構造としたもの等であってもよく、適宜選択可能である。
また、第二化粧パネル142は、例えば、MDF(JISA5905)やパーティクルボード(JISA5908)等のボード材であってもよいし、あるいは、これらのボード材を用いてフラッシュ構造としたものやベタ芯構造としたもの等であってもよく、適宜選択可能である。
また、第二化粧パネル142は、第一化粧パネル141よりも高強度のものに限定されない。すなわち、第二化粧パネル142は、第一化粧パネル141よりも高強度のものであってもよいし、第一化粧パネル141と同等の強度のものであってもよいし、第一化粧パネル141よりも低強度のものであってもよい。
化粧パネル141,142同士は、ビス、ボルト・ナット等の道具を用いて連結され、これにより、天板14を構成している。
【0040】
脚ユニット12,13と天板14との接合は、ビス、ボルト・ナット等の道具を用いて行われている。例えば本実施形態においては、天板14が、ビスBによって脚ユニット12,13に固定されている。そして、床ユニット11は、左右に並ぶ一対の天板14,14の上に載せられた状態となっている。
すなわち、第一脚ユニット12と、第二脚ユニット13と、当該第一脚ユニット12と当該第2脚ユニット13との間に架け渡された天板14と、によって、床ユニット11を支持する支持ユニットUを構成している。
【0041】
図10に示すように、床ユニット11は、左右に並ぶ一対の第一建築用床パネル11a,11aと、これら一対の第一建築用床パネル11a,11aの間において前後に並ぶ一対の第二建築用床パネル11b,11bと、を有する。
第一建築用床パネル11aは、補助桟材112が前後方向に配置される状態で、第一脚ユニット12と第二脚ユニット13との間に架け渡された天板14の上面に固定されている。また、第二建築用床パネル11bは、補助桟材112が左右方向に配置される状態で、一方の天板14の上面と他方の天板14の上面との間に架け渡されて固定されている。より詳細には、第二建築用床パネル11bは、その左右の端部が、左右の天板14,14における中央側縁部の上面に架け渡されて固定されている。
【0042】
天板14,14と床ユニット11との接合は、ビス、ボルト・ナット等の道具を用いて行われている。例えば本実施形態においては、床ユニット11(建築用床パネル11a,11b)が、ビスBによって天板14に固定されている。
具体的には、
図15に示すように、天板14の下面から、第一建築用床パネル11aの框材110(前後方向に配置される框材110)や補助桟材112に向けてビスB(例えば長さ75mmのビス)を打つことで、天板14と第一建築用床パネル11aとを連結している。
また、天板14の下面から、第二建築用床パネル11bの框材110(左右方向に配置される框材110)や補助桟材112に向けてビスB(例えば長さ75mmのビス)を打つことで、天板14と第二建築用床パネル11bとを連結している。
さらに、第二建築用床パネル11bの上面から、脚ユニット12,13の内側側板122,132に向けてビスB(例えば長さ150mmのビス)を打つことで、第二建築用床パネル11bと天板14と脚ユニット12,13とを連結している。
また、第二建築用床パネル11bの框材110(前後方向に配置される框材110)から、第一建築用床パネル11aの框材110(前後方向に配置される框材110)に向けてビスB(例えば長さ50mmのビス)を打つことで、第一建築用床パネル11aと第二建築用床パネル11bとを連結している。
また、図示は省略するが、第一建築用床パネル11aの上面から、脚ユニット12,13の外側側板123,133や背板121,131に向けてビスB(例えば長さ150mmのビス)を打つことで、第一建築用床パネル11aと脚ユニット12,13とを連結している。
【0043】
そして、本実施形態において、天板14の突出長さ(内側側板122,132よりも側方に突出した部分の左右方向の長さ寸法)は、25mm~30mmに設定されている。突出長さが25mmよりも短いと、第二建築用床パネル11bにおける天板14と接する部分が狭くなる(第二建築用床パネル11bと天板14との係合が弱まる)ので、十分な脱落防止効果や撓み防止効果を得ることができなくなる。また、突出長さが30mmよりも長いと、第二建築用床パネル11bの框材110(前後方向に配置される框材110)から、第一建築用床パネル11aの框材110(前後方向に配置される框材110)に向けてビスBを打つ作業が困難となる。
【0044】
このように、本実施形態では、天板14が内側側板122,132よりも側方に突出しているので、左側の脚ユニット12,13と右側の脚ユニット12,13との間の距離(すなわち下側空間10aに出入りするための開口部の幅寸法)として下側空間10aに出入りしやすい長さを確保しつつ、左右の支持ユニットUの間に架け渡された床体(以下「中央床体」という)の脱落や撓みを防止することが可能となっている。
【0045】
仮に天板が脚ユニット12,13の内側側板122,132よりも側方に突出していない場合には、第二建築用床パネル11bにおける天板と接する部分が狭くなる(第二建築用床パネル11bと天板との間の係合が弱くなる)ので、第二建築用床パネル11bが脱落しやすくなる。この場合、中央床体として、第二建築用床パネル11bの代わりに、第二建築用床パネル11bよりも左右方向(補助桟材の延在方向)に長い建築用床パネルを用いれば、左右の脚ユニットの間の距離を短くしなくても中央床体における天板と接する部分が広くなるので、下側空間10aに出入りしやすい幅寸法の開口部を確保しつつ、中央床体の脱落を防止することが可能となる。
【0046】
しかしながら、本実施形態で用いる床体は規格サイズの建築用床パネルであるので、サイズや形状を自由に設定することは難しい。すなわち、床ユニット11の幅寸法は決まっているので、第二建築用床パネル11bの代わりに、第二建築用床パネル11bよりも左右方向(補助桟材の延在方向)に長い建築用床パネルを用いた場合、第一建築用床パネル11aの代わりに、第一建築用床パネル11aよりも左右方向(補助桟材が並ぶ方向)に短い建築用床パネルを用いる必要がある。床ユニット11の幅寸法は決まっているという制限がある中で、建築用床パネル11a,11bの代わりとなるような建築用床パネルを、規格サイズの建築用床パネルの中から選択することは難しい。
【0047】
その一方で、建築用床パネル11a,11bの代わりとなるような床体を、サイズや形状を自由に設定できる床体の中から選択することは可能である。しかしながら、本実施形態で用いる床体は建築用床パネルであるので、所定距離(下側空間10aに出入りしやすい距離)離れた左右の脚ユニットの間に架け渡した状態で使用しても撓むことはほとんどないが、床体の種類によっては、所定距離離れた左右の脚ユニットの間に架け渡した状態で使用すると撓みによって損傷してしまうおそれがある。
【0048】
これに対し、本実施形態のユニット家具10においては、天板が脚ユニットの内側側板よりも側方に突出しているので、左右の脚ユニットの間の距離を短くしなくても、中央床体における天板と接する部分が広くなり、中央床体が、天板に脱落しない程度に係合された状態となる。さらに、天板が脚ユニットの内側側板よりも側方に突出しているので、中央床体が建築用床パネル11bでない場合であっても(すなわち中央床体の種類にかかわらず)、当該中央床体が撓みにくくなり、当該中央床体に荷重をかけた際の撓みによって当該中央床体が損傷してしまうことがない。したがって、下側空間10aに出入りしやすい幅寸法の開口部を確保しつつ、中央床体(第二建築用床パネル11b)の脱落や撓みを防止することが可能となる。
さらに、本実施形態では、
図15に示すように、中央床体(第二建築用床パネル11b)を、ビスBによって天板14に固定するだけでなく、ビスBによって脚ユニット12,13の内側側板122,132にも固定しているので、第二建築用床パネル11bの脱落や撓みを確実に防止することが可能である。
【0049】
また、本実施形態では、
図15に示すように、第一建築用床パネル11aと第二建築用床パネル11bとの接触面が、内側側板122,132の上方に位置している(
図15の二点鎖線参照)。すなわち、第一建築用床パネル11aと第二建築用床パネル11b双方の接触端部(互いに接触する端部)を側板によって支持しているので、天板14の歪みや撓みを防ぐことができ、床ユニット11の安定性が向上する。
例えば、第一建築用床パネル11aと第二建築用床パネル11bとの接触面が、内側側板122,132の上方よりも内側(ユニット家具10の中央側)に位置している場合には、第一建築用床パネル11aの接触端部は天板14及び内側側板122,132によって支持されるが、第二建築用床パネル11bの接触端部は天板14だけで支持されることになる。一方、第一建築用床パネル11aと第二建築用床パネル11bとの接触面が、内側側板122,132の上方よりも外側に位置している場合には、第二建築用床パネル11bの接触端部は天板14及び内側側板122,132によって支持されるが、第一建築用床パネル11aの接触端部は天板14及び背板121,131によって支持されることになる。すなわち、この場合、第一建築用床パネル11aの接触端部のうち背板121よりも前方に突出する部分は天板14だけで支持されることになる。
【0050】
このように、第一建築用床パネル11aと第二建築用床パネル11bとの接触面が、内側側板122,132の上方に位置していない場合には、第一建築用床パネル11a又は第二建築用床パネル11bの接触端部が天板14だけで支持される状態になるので、天板14に余計な負荷がかかり、天板14の歪みや撓みが生じやすくなる。これに対し、本実施形態では、第一建築用床パネル11aと第二建築用床パネル11b双方の接触端部を天板14及び側板122,123によって支持しているので、天板14に余計な負荷がかからず、天板14の歪みや撓みが生じにくい。
【0051】
また、本実施形態では、
図15に示すように、第二建築用床パネル11bの枠体構成部材(框材110及び補助桟材112)のうち、前後方向に配置される枠体構成部材だけでなく、左右方向に配置される枠体構成部材の端部も、天板14上に載っている。例えば、第二建築用床パネル11bの枠体構成部材のうち、前後方向に配置される枠体構成部材だけが天板14上に載っていて、左右方向に配置される枠体構成部材は天板14上に載っていない場合には、床ユニット11上に人が乗ったり、物品を載せたりすることが繰り返されることで、第二建築用床パネル11bが破損してしまう(具体的には、前後方向に配置される枠体構成部材と、左右方向に配置される枠体構成部材と、の接合が外れてしまう)可能性がある。これに対し、本実施形態では、前後方向に配置される枠体構成部材だけでなく、左右方向に配置される枠体構成部材の端部も、天板14上に載っているので、このような不都合が生じにくくなっている。
さらに、本実施形態では、第二建築用床パネル11bの枠体構成部材(框材110及び補助桟材112)のうち、前後方向に配置される枠体構成部材だけでなく、左右方向に配置される枠体構成部材も、ビスBを用いて天板14に固定されている。したがって、第二建築用床パネル11bが破損するといった不都合がより一層生じにくくなっている。
なお、第二建築用床パネル11bにおいて、前後方向に配置される枠体構成部材と左右方向に配置される枠体構成部材との接合は、ビス等の固定具を用いて行うことに加えて、接着剤を用いて行うことが好ましい。これにより、第二建築用床パネル11bの破損をより効果的に抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態では、第二建築用床パネル11bの枠体構成部材(框材110及び補助桟材112)のうち、前後方向に配置される枠体構成部材と、左右方向に配置される枠体構成部材の端部と、の双方が内側側板122,132の上方に位置している。すなわち、第二建築用床パネル11bにおいては、前後方向に配置される枠体構成部材と、左右方向に配置される枠体構成部材と、の接触面が、天板14上に載っているだけでなく、内側側板122,132の上方に位置している。したがって、第二建築用床パネル11bが破損するといった不都合がより一層生じにくくなっている。
【0052】
手摺ユニット15は、床ユニット11の上面(上側空間10b)にいる人が机として使用できる机型のユニットである(
図13参照)。また、手摺ユニット15のうち右側部分の前面側は、複数の棚板156を有する収納棚になっており、床面2にいる人(ユニット家具10の正面側にいる人)が収納家具として使用できるようになっている。
本実施形態のユニット家具10においては、昇降手段16が右側壁面4側に設置されている。したがって、床ユニット11の上面の前端部においては、右側部分に上がり框材19aや昇降手段16を固定するための固定金具(図示省略)が設けられており、それ以外の部分(中央部分及び左側部分)に手摺ユニット15が設けられている。
なお、昇降手段16を設置する箇所は、右側壁面4側ではなく、左側壁面3側であってもよく、その場合、床ユニット11の上面の前端部において、左側部分に上がり框材19aや昇降手段16を固定するための固定金具(図示省略)が取り付けられて、それ以外の部分(中央部分及び右側部分)に手摺ユニット15が設けられることとなる。
また、昇降手段16を設置する箇所は、中央部であってもよく、その場合、その場合、床ユニット11の上面の前端部において、中央部分に上がり框材19aや昇降手段16を固定するための固定金具(図示省略)が取り付けられて、それ以外の部分(左側部分及び右側部分)に手摺ユニット15,15が設けられることとなる。
床ユニット11と手摺ユニット15との接合は、ビス、ボルト・ナット等の道具を用いて行われている。
【0053】
手摺ユニット15は、2枚の背板151と、2枚の側板152と、2枚の側板152の間を左右に仕切る仕切板153と、天板154と、天板154の前端面から起立する起立板155と、2枚の棚板156と、底板157と、を有している。左側の背板151は、仕切板153及び左側の側板152の前端部同士の間に設けられているのに対し、右側の背板151は、仕切板153と右側の側板152との間を前後に仕切る位置に設けられており、その前側空間に棚板156と底板157とが設けられている。
なお、棚板156の数は2枚に限定されず、1枚であってもよいし、3枚以上であってもよい。また、棚板156は可動棚であってもよい。
【0054】
手摺ユニット15は、本実施形態においては、一般社団法人日本公園施設業協会の『遊具の安全に関する規準』に従って500~800mmになる高さ寸法に設定されている。
また、手摺ユニット15は、本実施形態においては、基準(例えば、水平荷重1176Nが作用した際に破壊なきこと)を満たす強度に設定されている。
手摺ユニット15を構成する板151~157は、例えば、MDFやパーティクルボード等のボード材であってもよいし、あるいは、これらのボード材を用いてフラッシュ構造としたものやベタ芯構造としたもの等であってもよく、適宜選択可能である。
手摺ユニット15を構成する板151~157は、ビス、ボルト・ナット等の道具を用いて連結され、これにより、手摺ユニット15を構成している。
【0055】
昇降手段16は、
図2及び
図4に示すように、本実施形態においては床ユニット11の上面に上るための梯子である。なお、
図2~
図4以外の図面では、昇降手段16の図示を省略している。
また、昇降手段16は、部屋1の床面2に対し、非固定状態で接している。一方で、この昇降手段16は、部屋1の各壁面3,4,5には接していない状態となっている。
なお、昇降手段16が、本実施形態のように部屋1の床面2とユニット家具10の上面とを接続する梯子ではなく、部屋1の床面2とユニット家具10の上面とを接続する階段やスロープ等であった場合も部屋1の床面2に対して非固定状態で接した状態であって、かつ部屋1の各壁面3,4,5には接していない状態で設けられるものとする。いずれにせよ、昇降手段16は、ユニット家具10には固定されて、ユニット家具10の一部として付属し、建物躯体である床面2に対して接しはするものの、固定されない状態で設けられる。
【0056】
本実施形態において、昇降手段16(梯子)は、床ユニット11に着脱自在に固定されている。これにより、昇降手段16を使用しないときには、昇降手段16を床ユニット11から外して上側空間10b等に収納しておくができるので、乳幼児が誤って床ユニット11上に上がってしまう等の不都合を回避でき、安全性が高い。例えば右側壁面4に昇降手段16を固定するための固定金具を取り付けておけば、
図3に示すように、昇降手段16を右側壁面4に掛けた状態で上側空間10bに収納しておくができ、好ましい。
【0057】
床ユニット11の上面には、フローリング材やマット等の床面材17が設けられている。当該床面材17のうち手摺ユニット15を避けた前縁部は、上がり框材19aに納められている。
また、左側の天板14と右側の天板14との間には、天井材18が配置されている。当該天井材18は、天板14と等しい厚みの化粧パネルであり、第二建築用床パネル11b,11bの下面に固定されている。
また、床ユニット11の前端面には幕板19bが設けられている。当該幕板19bは、床ユニット11と、天板14と、天井材18と、の前端面を被覆している。
【0058】
ユニット家具10は、以上のような基本構成を備え、部屋1の床面2上に据え置かれて設けられている。ユニット家具10は、左右方向の寸法が、左側壁面3と右側壁面4との間の距離よりも若干短い程度であり、部屋1の床面2及び壁面3,4,5に対し、非固定状態で接している。つまり、ユニット家具10は、建物躯体に固定されてはいないが、部屋1の一角にぴったりと嵌まる(納まる)ように接して設けられている。その際、ユニット家具10と、部屋1の床面2及び壁面3,4,5との間には、振動抑制手段20が介在しており、ユニット家具10と建物躯体との間の振動の伝達を抑制できるようになっている。
【0059】
振動抑制手段20には、第一振動抑制材21と、第二振動抑制材22と、が含まれている。
これら各振動抑制手段20(21,22)は、ユニット家具10における床ユニット11の端部や、脚ユニット12,13の端部にそれぞれ設けられている。各振動抑制手段20は、建物躯体側には一切固定されず接するのみであり、ユニット家具10の各部に対し、ビス等の固定具や両面テープを用いて固定されている。
【0060】
第一振動抑制材21は、
図16に示すように、床ユニット11の端面に設けられており、各壁面3,4,5との間の隙間を塞ぐとともに振動の伝達を抑制している。
この第一振動抑制材21は、例えばウレタンフォーム等のような振動抑制可能な樹脂(発泡性樹脂材料)からなるフィラー材であり、床ユニット11と、各壁面3,4,5との間に介在している。
【0061】
第二振動抑制材22は、脚ユニット12,13の下面に設けられている。
具体的には、第二振動抑制材22は、
図17(a)に示すように、第一脚ユニット12の背板121及び側板122,123の下端面に設けられており、第一脚ユニット12と床面2との間における振動の伝達を抑制している。なお、
図17(a)には、一対の第一脚ユニット12,12のうち、右側の第一脚ユニット12のみを示しているが、左側の第一脚ユニット12においても同様である。
また、第二振動抑制材22は、
図17(b)に示すように、第二脚ユニット13の背板131及び側板132,133の下端面に設けられており、第二脚ユニット13と床面2との間における振動の伝達を抑制している。なお、
図17(b)には、一対の第二脚ユニット13,13のうち、右側の第二脚ユニット13のみを示しているが、左側の第二脚ユニット13においても同様である。
この第二振動抑制材22は、例えばエチレンプロピレンゴムであるEPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)によって構成されて弾力性を有しており、脚ユニット12,13と床面2との間に介在している。
【0062】
以上のような各振動抑制手段20(21,22)がユニット家具10に設けられることで、当該ユニット家具10は、部屋1内にぴったりと嵌まるように接して設けられることとなり、ユニット家具10と建物躯体との間の振動の伝達が抑制される。
【0063】
以上のように構成されたユニット家具10の組み立て作業は、作業員によって現場で適宜判断されて進められていくため、詳細な説明は省略するが、通常の建築用構造躯体と同様に、基本的には下方から順次組み上げられていくことになる。
すなわち、まずは脚ユニット12,13の組み立て及び設置が行われる。その際、第二振動抑制材22の取り付けも行われる。続いて、天板14が、脚ユニット12,13の上端面に設けられて支持ユニットUが形成される。続いて、建築用床パネル11a,11bが天板14の上面に設けられて床ユニット11が形成され、当該床ユニット11の左端面、右端面及び後端面に第一振動抑制材21が設けられる。続いて、床ユニット11の上面に床面材17が設けられるとともに、当該上面における前端部に手摺ユニット15と上がり框材19aと昇降手段16を固定するための固定金具(図示省略)とが設けられる。続いて、床ユニット11の下面の中央部に天井材18が設けられて、床ユニット11の前端面に幕板19bが設けられ、最後に昇降手段16が設けられて、ユニット家具10が形成される。
【0064】
また、例えば床ユニット11と各壁面3,4,5との間の隙間の寸法に、設計時との誤差が生じた場合は、第一振動抑制材21を現場で加工して、その誤差を吸収する。これにより、設計誤差が生じて隙間の寸法が変更されても、ユニット家具10の設置状態を良好に保つことができる。
さらに、床ユニット11を構成する建築用パネル(各建築用床パネル)は、予め工場で製造され、現場に納品される。予め工場で製造されていれば、輸送しやすく、現場では加工等を行わずに、すぐに組み立て作業を行うことができるという利点がある。
【0065】
また、
図2に示す例においては、左側の第一脚ユニット12と右側の脚ユニット12との間、すなわち下側空間10aに出入りするための開口部に、可動式の収納ワゴンWが配置されている。収納ワゴンWを開口部に配置することで、下側空間10a内を目隠しできるとともに、開口部を収納スペースとして使用することが可能となる。また、収納ワゴンWは可動式であるので、下側空間10aに出入りする際には、容易に移動させることができ、使い勝手がよい。
【0066】
本実施形態によれば、ユニット家具10は、部屋1に据え置かれて設けられているので、部屋1を備えた建物の躯体には固定されずに構造的に切り離された状態となる。これにより、ユニット家具10を置き家具として取り扱うことができる。
また、ユニット家具10は、床面2の一部の上方に設けられ、複数の床体11a,11b(建築用床パネル11a,11b)によって構成される床ユニット11と、床ユニット11を支持する複数の支持ユニットUと、を備え、支持ユニットUは、少なくとも左右の側板を有する脚ユニット12,13と、当該脚ユニット12,13の上端面に固定される天板14と、を備えており、複数の支持ユニットUは、互いに間隔を空けて配置されており、床ユニット11は、天板14の上面に固定されており、複数の床体11a,11bのうち少なくとも一部(床体11b)は、2つの支持ユニットUの間に架け渡されており、天板14の左右の縁部のうち少なくとも一方は、脚ユニット12,13よりも複数の支持ユニットUの並び方向中央側に向かって突出している。
すなわち、天板14の左右の縁部のうち少なくとも一方が、脚ユニット12,13の側板122,132よりも側方(床体11bの架け渡し方向)に突出しているので、床ユニット11下のスペース(下側空間10a)に出入りするための開口部を形成する脚ユニット12,12の間隔を狭めることなく、床体11bと支持ユニットU(天板14)とを、床体11bが脱落したり撓んだりしない程度に係合させることができる。したがって、ユニット家具10は、使い勝手がよく、床体11bの脱落や撓みを防止可能となっている。
【0067】
なお、本実施形態では、天板14の左右の縁部のうちの一方を、脚ユニット12,13の側板(内側側板122,132)よりも側方に突出させるようにしたが、これに限定されず、天板14の左右の縁部の両方を、脚ユニット12,13の側板122,132よりも側方に突出させるようにしてもよい。具体的には、例えば、
図18に示すように、支持ユニットUを3つ設けた場合に、真ん中の支持ユニットUにおいては、天板14の左右の縁部の両方を、脚ユニット12,13の側板122,132よりも側方に突出させることで、左側の支持ユニットUの天板14の右縁部と、真ん中の支持ユニットUの天板14の左縁部と、の間に床体(例えば第二建築用床パネル11b)を架け渡し、かつ、右側の支持ユニットUの天板14の左縁部と、真ん中の支持ユニットUの天板14の右縁部と、の間に床体(例えば第二建築用床パネル11b)を架け渡してなるユニット家具を形成することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態によれば、支持ユニットUは、脚ユニットとして、床ユニット11の下端部における正面側縁部に位置する正面側脚ユニット12(第一脚ユニット12)と、床ユニット11の下端部における背面側縁部に位置する背面側脚ユニット13(第二脚ユニット13)と、を有しており、天板14は、正面側脚ユニット12の上端面と背面側脚ユニット13の上端面との間に架け渡されて固定されている。すなわち、天板14が、正面側脚ユニット12の上端面と背面側脚ユニット13の上端面との間に架け渡されて固定されているので、天板14が梁として機能し、例えばユニット家具10上に人が乗ったり、物品を載せたりするのに耐え得るような、構造的な強度を発揮することが可能となる。
なお、天板14は、例えば
図19に示すように、正面側脚ユニット12の上端面と背面側脚ユニット13の上端面との間に架け渡されていなくてもよい。すなわち、支持ユニットUは、脚ユニットを1つ備えるものであってもよいし、脚ユニットを複数備えるものであってもよい。
【0069】
また、本実施形態によれば、床ユニット11は、一の支持ユニットUによって支持される第一床体11a(第一建築用床パネル11a)と、当該一の支持ユニットUの天板14と、当該一の支持ユニットUに隣接する他の支持ユニットUの天板14と、の間に架け渡された第二床体11b(第二建築用床パネル11b)と、を有しており、第一床体11aと第二床体11bとの接触面が、脚ユニット12,13の側板122,132の上方に位置している(
図15参照)。すなわち、第一床体11aの端部と、第二床体11bの端部と、の双方が天板14及び側板122,132によって支持されているので、天板14の歪みや撓みを防ぐことができ、床ユニット11の安定性が向上する。
【0070】
また、本実施形態によれば、正面側脚ユニット及び背面側脚ユニットの少なくとも一方は、脚ユニット12,13の側板122,123との間に架け渡された棚板125を有している。したがって、正面側脚ユニット及び背面側脚ユニットの少なくとも一方を、収納家具として使用できるので、床ユニット11下のスペースを有効活用することが可能となる。
本実施形態において、正面側脚ユニットは、第一脚ユニット12であり、背面側脚ユニットは、第二脚ユニット13であるので、正面側脚ユニットを収納家具として使用できる。無論、正面側脚ユニットが第二脚ユニット13であり、背面側脚ユニットが第一脚ユニット12である場合には、背面側脚ユニットを収納家具として使用することができ、後述する第2実施形態のように、正面側脚ユニット及び背面側脚ユニットの双方が第一脚ユニット12である場合には、正面側脚ユニット及び背面側脚ユニットの双方を収納家具として使用することができる。なお、正面側脚ユニット及び背面側脚ユニットの双方が第二脚ユニット13であってもよい。
【0071】
また、本実施形態によれば、天板14は、第一板材141(第一化粧パネル141)と、当該第一板材141よりも高強度の第二板材142(第二化粧パネル142)と、を有しており、天板14のうち第二板材142が、側板122,132よりも側方(複数の支持ユニットUの並び方向中央側)に向かって突出している。すなわち、より強度の高い第二板材142が、脚ユニット12,13の側板122,132よりも側方に突出しているので、天板14の歪みや撓みを防ぐことができる。
なお、天板14全体が第二板材142であってもよい。
【0072】
また、本実施形態によれば、床ユニット11は、建築用構造躯体によって構成されているので、例えば床ユニット11上に人が乗ったり、物品を載せたりするのに耐え得るような、建物躯体と同程度の構造的な強度を発揮することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、床ユニット11の上端部における正面側縁部に位置する手摺ユニット15を備えており、手摺ユニット15は、机として使用可能な机型のユニットと、収納家具として使用可能な収納家具型のユニットと、の少なくとも一方である。
したがって、手摺ユニット15は、床ユニット11上の人が落下してしまうことを防止しつつ、机として使用したり、収納家具として使用したりすることが可能なものであるので、床ユニット11上のスペースを有効活用することができる。
なお、本実施形態において、手摺ユニット15は、机として使用可能な机型のユニットであり、かつ収納家具として使用可能な収納家具型のユニットであるが、これに限定されない。すなわち、手摺ユニットは、机として使用可能な机型のユニットであるが、収納家具として使用可能でないものであってもよいし、例えば後述する第2実施形態の手摺ユニット15Aのように、収納家具として使用可能な収納家具型のユニットであるが、机として使用可能でないものであってもよいし、あるいは、机としても収納家具としても使用可能でないものであってもよい。
【0074】
また、本実施形態によれば、脚ユニット12,13は、床面2に対し、振動抑制手段20(第二振動抑制材22)を介して非固定状態で接しており、床ユニット11は、壁面3,4,5に対し、振動抑制手段20(第一振動抑制材21)を介して非固定状態で接している。
具体的には、床ユニット11は、一対の壁面3,4間の間隔よりも若干短い幅寸法に設定され、一対の壁面3,4に対し、振動抑制手段20を介して非固定状態で接するので、振動抑制手段20によって、一対の壁面3,4と床ユニット11双方の振動を抑制できる。さらに、脚ユニット12,13は、床面2に対し、振動抑制手段20を介して非固定状態で接するので、振動抑制手段20によって、床面2と脚ユニット12,13双方の振動を抑制できる。そのため、ユニット家具10は、建物躯体に生じた振動に影響を受けにくくなる。
また、例えばユニット家具10が揺れた際に、一対の壁面3,4と床ユニット11との間の隙間が空いたままの状態であると、床ユニット11と一対の壁面3,4とが接触し、一対の壁面3,4の仕上げを傷つけてしまう場合があるが、一対の壁面3,4と床ユニット11との間の隙間を、振動抑制手段20によって塞ぐことができるので、一対の壁面3,4に施された仕上げを傷つけにくくなる。さらに、例えばユニット家具10が揺れた際に、脚ユニット12,13が床面2を擦る場合が考えられるが、脚ユニット12,13と床面2との間に振動抑制手段20が介在することになるので、床面2に施された仕上げを傷つけにくくなる。
【0075】
また、第一振動抑制材21によって、床ユニット11と一対の壁面3,4との間に形成された隙間を塞ぐことができ、床ユニット11と一対の壁面3,4との間における振動の伝達を抑制することができるので、床ユニット11は、建物躯体に生じた振動に影響を受けにくくなり、一対の壁面3,4に施された仕上げを傷つけにくくなる。
【0076】
また、第二振動抑制材22によって、一対の脚ユニット12,13と床面2との間における振動の伝達を抑制できるので、一対の脚ユニット12,13は、建物躯体に生じた振動に影響を受けにくくなり、床面2に施された仕上げを傷つけにくくなる。
【0077】
また、床ユニット11の上面に上るための昇降手段16は、部屋1の床面2に対し、非固定状態で接しているので、ぐらつきを抑えながら、床ユニット11の上面に上ることが可能となる。
【0078】
また、手摺ユニット15が、部屋1とユニット家具10における上側空間10bとを仕切っているので、ユニット家具10における上側空間10bを、部屋1から独立した空間として取り扱うことが可能となる。
【0079】
〔第2実施形態〕
次に、図面を参照して本発明の第2実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1実施形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0080】
第2実施形態のユニット家具10Aは、
図20~
図26に示すように、床ユニット11の下端部における前縁部(正面側縁部)に位置する正面側脚ユニットだけでなく、床ユニット11の下端部における後縁部(背面側縁部)に位置する背面側脚ユニットも、第一脚ユニット12とされている。すなわち、正面側脚ユニットだけでなく、背面側脚ユニットも、背板121と、左右の側板122,123と、底板124と、棚板125と、を有して収納家具として使用できるようになっている。
なお、ユニット家具10,10Aにおいて、正面側脚ユニット及び背面側脚ユニットの双方が第一脚ユニット12であってもよいし、正面側脚ユニット及び背面側脚ユニットの双方が第二脚ユニット13であってもよいし、正面側脚ユニット及び背面側脚ユニットのうち、一方が第一脚ユニット12で、他方が第二脚ユニット13であってもよい。
【0081】
また、第2実施形態のユニット家具10Aは、
図20~
図26に示すように、床面2にいる人(ユニット家具10Aの正面側にいる人)と、床ユニット11の上面(上側空間10b)にいる人と、が収納家具として使用できる収納家具型の手摺ユニット15Aを備えている。
具体的には、手摺ユニット15Aは、2枚の側板152Aと、2枚の側板152Aの間を左右に仕切る仕切板153Aと、天板154Aと、2枚の棚板156Aと、底板157Aと、を有している。すなわち、手摺ユニット15Aは、背板を有しておらず、前後方向に視線が抜ける状態となっている。
【0082】
また、第1実施形態の手摺ユニット15は、机として使用できる奥行きが必要であるが、手摺ユニット15Aは、机として使用しないので、手摺ユニット15よりも奥行き寸法が短く設定されている。
ユニット家具10Aの上側空間10bを書斎や子供部屋、テレワーク室等として使用する場合には、例えば、
図23(a)に示すように、左側壁面3に面するように机Dを配置することも可能であるし、
図23(b)に示すように、後側壁面5に面するように机Dを配置することも可能である。また、机Dも、椅子に座って使用する高さのものであってもよいし、床ユニット11に座って使用する高さの座り机であってもよい。
【0083】
また、手摺ユニット15Aは、左側の側板152Aと左側壁面3との間に形成される隙間を塞ぐ壁面固定用パネル158Aを有している。これにより、手摺ユニット15Aのぐらつきを抑えることができるので、手摺ユニット15Aの強度が向上するとともに、左側壁面3に施された仕上げを傷つけにくくなる。
なお、第1実施形態の手摺ユニット15において、左側の側板152と左側壁面3との間に隙間が形成される場合には、手摺ユニット15に、その隙間を塞ぐ壁面固定用パネル158を取り付けてもよい。
【0084】
本実施形態によれば、正面側脚ユニットだけでなく、背面側脚ユニットも収納家具として使用可能であるので、床ユニット11下のスペースを有効活用することができる。
また、本実施形態によれば、手摺ユニット15Aは、背板を有しておらず、前後方向に視線が抜ける状態となっているので、手摺ユニット15Aによって、ユニット家具10Aの正面側の空間(部屋1の、ユニット家具10Aが据え置かれていない箇所)と、上側空間10bと、を仕切りつつ、上側空間10bに開放感を持たせることが可能である。
【0085】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。
【0086】
ユニット家具10,10Aは、床面2と、壁面3,4と、を少なくとも備えた部屋1に据え置かれて設けられたユニット家具であって、床面2の一部の上方に設けられ、複数の床体11a,11bによって構成される床ユニット11と、床ユニット11を支持する複数の支持ユニットUと、を備え、支持ユニットUは、脚ユニット12,13と、当該脚ユニット12,13の上端面に固定される天板14と、を備えており、複数の支持ユニットUは、互いに間隔を空けて配置されており、床ユニットUは、天板14の上面に固定されており、複数の床体11a,11bのうち少なくとも一部(床体11b)は、複数の支持ユニットUの間に架け渡されており、天板14の縁部は、脚ユニット12,13よりも複数の支持ユニットUの並び方向中央側に向かって突出していればよい。
【0087】
具体的には、上述した第一実施形態及び第二実施形態において、支持ユニットUは、左右の側板121,122(あるいは左右の側板122,122(
図18参照))を有する第一脚ユニット12と、左右の側板131,132(あるいは左右の側板132,132)を有する第二脚ユニット13と、の少なくとも一方を備えるものとしたが、これに限定されない。
より具体的には、例えば
図27及び
図28に示すように、支持ユニットUは、前後の側板126,126を有する第一脚ユニット12Aと、前後の側板136,136を有する第二脚ユニット13Aと、の少なくとも一方を備えるものであってもよい。
【0088】
図27に示す例では、左右の支持ユニットUのうちの左側の支持ユニットUが、1つの第一脚ユニット12Aを備えており、当該左側の支持ユニットUにおいては、天板14の右縁部が、第一脚ユニット12Aの側板126,126よりも右方(複数の支持ユニットUの並び方向中央側)に向かって突出している。なお、
図27に示す例において、左側の支持ユニットUは、第一脚ユニット12Aに替えて第二脚ユニット13Aを備えるものであってもよい。また、
図27に示す例において、右側の支持ユニットUは、第一脚ユニット12に替えて第二脚ユニット13を備えるものであってもよいし、第二脚ユニット13に替えて第一脚ユニット12を備えるものであってもよい。
【0089】
図28に示す例では、左右の支持ユニットUの両方が、第一脚ユニット12A及び第二脚ユニット13Aを備えている。そして、左側の支持ユニットUにおいては、天板14の右縁部が、第一脚ユニット12Aの側板126,126及び第二脚ユニット13Aの側板136,136よりも右方(複数の支持ユニットUの並び方向中央側)に向かって突出しているとともに、右側の支持ユニットUにおいては、天板14の左縁部が、第一脚ユニット12Aの側板126,126及び第二脚ユニット13Aの側板136,136よりも左方(複数の支持ユニットUの並び方向中央側)に向かって突出している。なお、
図28に示す例において、左側の支持ユニットUは、第一脚ユニット12Aに替えて第二脚ユニット13Aを備えるものであってもよいし、第二脚ユニット13Aに替えて第一脚ユニット12Aを備えるものであってもよい。また、
図28に示す例において、右側の支持ユニットUは、第一脚ユニット12Aに替えて第二脚ユニット13Aを備えるものであってもよいし、第二脚ユニット13Aに替えて第一脚ユニット12Aを備えるものであってもよい。
【0090】
第一脚ユニット12Aにおいては、第一建築用床パネル11aと第二建築用床パネル11bとの接触面が、前後の側板126,126の上方に位置するようになっている。したがって、第一建築用床パネル11aと第二建築用床パネル11b双方の接触端部(互いに接触する端部)を側板126によって支持しているので、天板14の歪みや撓みを防ぐことができ、床ユニット11の安定性が向上する。
また、第二脚ユニット13Aにおいても、同様に、第一建築用床パネル11aと第二建築用床パネル11bとの接触面が、前後の側板136,136の上方に位置するようになっている。したがって、第一建築用床パネル11aと第二建築用床パネル11b双方の接触端部(互いに接触する端部)を側板136によって支持しているので、天板14の歪みや撓みを防ぐことができ、床ユニット11の安定性が向上する。
【符号の説明】
【0091】
1 部屋
2 床面
3 壁面
4 壁面
10 ユニット家具
11 床ユニット
11a 第一建築用床パネル:第一床体
11b 第二建築用床パネル:第二床体
12 第一脚ユニット:正面側脚ユニット、背面側脚ユニット
13 第二脚ユニット:背面側脚ユニット
14 天板
15,15A 手摺ユニット
122 側板
123 側板
125 棚板
132 側板
133 側板
141 第一化粧パネル:第一板材
142 第二化粧パネル:第二板材
U 支持ユニット
20 振動抑制手段
21 第一振動抑制材
22 第二振動抑制材
【手続補正書】
【提出日】2021-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1~
図28に示すように、
床面2と、壁面3,4と、を少なくとも備えた部屋1に据え置かれて設けられたユニット家具10,10Aであって、
前記床面2の一部の上方に設けられる床ユニット11と、
前記床ユニット11を支持する
複数の支持ユニットUと、を備え、
前記
複数の支持ユニットU
のうち少なくとも一つは、脚ユニット12,12A,13,13Aと、当該脚ユニット12,12A,13,13Aの上端面に固定される天板14と、を備えており、
前記天板14の縁部は、
前記ユニット家具10,10Aの中央側に向かって前記脚ユニット12,12A,13,13Aよりも突出しており、
前記床ユニット11は、前記縁部を含む前記天板14の上面に固定されていることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、ユニット家具10,10Aは、部屋1に据え置かれて設けられているので、部屋1を備えた建物の躯体には固定されずに構造的に切り離された状態となる。これにより、ユニット家具10,10Aを置き家具として取り扱うことができる。
また、天板14の縁部は、ユニット家具10,10Aの中央側に向かって脚ユニット12,12A,13,13Aよりも突出しており、床ユニット11は、当該縁部を含む天板14の上面に固定されているので、床ユニット11下のスペースに出入りするための開口部を形成する脚ユニット12,12A,13,13Aの間隔を狭めることなく、床ユニット11を構成する床体11bと支持ユニットU(天板14)とを、床体11bが脱落したり撓んだりしない程度に係合させることができる。したがって、ユニット家具10,10Aは、使い勝手がよく、床体11bの脱落や撓みを防止可能となっている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば
図1~
図28に示すように、請求項1から4のいずれか一項に記載のユニット家具10,10Aにおいて、
前記天板14は、第一板材141(第一化粧パネル141)と、当該第一板材141よりも高強度の第二板材142(第二化粧パネル142)と、を有しており、
前記天板14のうち前記第二板材142が、
前記複数の支持ユニットUの並び方向中央側に向かって前記脚ユニット12,12A,13,13Aよりも突出していることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、より強度の高い第二板材142が、複数の支持ユニットUの並び方向中央側に向かって脚ユニット12,12A,13,13Aよりも突出しているので、天板14の歪みや撓みを防ぐことができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面と、壁面と、を少なくとも備えた部屋に据え置かれて設けられたユニット家具であって、
前記床面の一部の上方に設けられる床ユニットと、
前記床ユニットを支持する複数の支持ユニットと、を備え、
前記複数の支持ユニットのうち少なくとも一つは、脚ユニットと、当該脚ユニットの上端面に固定される天板と、を備えており、
前記天板の縁部は、前記ユニット家具の中央側に向かって前記脚ユニットよりも突出しており、
前記床ユニットは、前記縁部を含む前記天板の上面に固定されていることを特徴とするユニット家具。
【請求項2】
請求項1に記載のユニット家具において、
前記支持ユニットは、前記脚ユニットとして、
前記床ユニットの下端部における正面側縁部に位置する正面側脚ユニットと、
前記床ユニットの下端部における背面側縁部に位置する背面側脚ユニットと、を有しており、
前記天板は、前記正面側脚ユニットの上端面と前記背面側脚ユニットの上端面との間に架け渡されて固定されていることを特徴とするユニット家具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のユニット家具において、
前記床ユニットは、複数の床体によって構成され、
一の前記支持ユニットによって支持される第一床体と、
前記一の支持ユニットの前記天板と、当該一の支持ユニットに隣接する他の支持ユニットの前記天板と、の間に架け渡された第二床体と、を有しており、
前記第一床体と前記第二床体との接触面が、前記脚ユニットの側板の上方に位置することを特徴とするユニット家具。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のユニット家具において、
前記脚ユニットは、当該脚ユニットの側板の間に架け渡された棚板を有することを特徴とするユニット家具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のユニット家具において、
前記天板は、第一板材と、当該第一板材よりも高強度の第二板材と、を有しており、
前記天板のうち前記第二板材が、前記複数の支持ユニットの並び方向中央側に向かって前記脚ユニットよりも突出していることを特徴とするユニット家具。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のユニット家具において、
前記床ユニットは、建築用構造躯体によって構成されていることを特徴とするユニット家具。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のユニット家具において、
前記床ユニットの上端部における正面側縁部に位置する手摺ユニットを備えており、
前記手摺ユニットは、机として使用可能な机型のユニットと、収納家具として使用可能な収納家具型のユニットと、の少なくとも一方であることを特徴とするユニット家具。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のユニット家具において、
前記脚ユニットは、前記床面に対し、振動抑制手段を介して非固定状態で接しており、
前記床ユニットは、前記壁面に対し、振動抑制手段を介して非固定状態で接していることを特徴とするユニット家具。