(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158834
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】固定具の間隔の推定装置
(51)【国際特許分類】
E04G 21/18 20060101AFI20221006BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20221006BHJP
【FI】
E04G21/18 Z
G06T7/00 610
G06T7/00 300F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158561
(22)【出願日】2021-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2021060842
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 淳司
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓久
(72)【発明者】
【氏名】今仲 雅之
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 嵩之
(72)【発明者】
【氏名】白井 真彦
【テーマコード(参考)】
2E174
5L096
【Fターム(参考)】
2E174EA00
5L096BA03
5L096DA02
5L096FA52
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA51
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】同じ固定具列の固定具同士の固定具の間隔を正確に推定することができる推定装置を提供する。
【解決手段】推定装置10は、矩形状の石膏ボード5を含む画像Gから、画像Gに対する複数のビス6、6、…の位置を特定する位置特定部11と、特定したビス6の位置に基づいて、ビス6ごとに、石膏ボード5の短辺方向の位置において山状波形wを生成し、生成した山状波形wを石膏ボード5の長辺方向に沿って合成することにより得られた合成波形Wのピーク値に基づいて、石膏ボード5の長辺方向に沿ったビス6の個数を推定するビス個数推定部14と、推定したビス6、6、…の個数が規定個数以上である場合に、推定したビスを、長辺方向に沿って石膏ボード5に打ち込まれたビス列のビスであると判定するビス列判定部15と、判定したビス列に対して、隣り合うビス6、6のビスピッチを算出するピッチ算出部17と、を少なくとも備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の板材に打ち込まれた複数の固定具のうち、隣り合う固定具の間隔を推定する推定装置であって、
前記板材を含む画像から、前記画像に対する前記複数の固定具の位置を特定する位置特定部と、
特定した前記固定具の位置に基づいて、前記固定具ごとに、前記板材の短辺方向の位置において山状波形を生成し、生成した前記山状波形を前記板材の長辺方向に沿って合成することにより得られた合成波形のピーク値に基づいて、前記長辺方向に沿った固定具の個数を推定する固定具個数推定部と、
推定した前記固定具の個数が規定個数以上である場合に、前記推定した固定具を、前記長辺方向に沿って前記板材に打ち込まれた固定具列の固定具であると判定する固定具列判定部と、
判定した前記固定具列に対して、隣り合う固定具の前記固定具の間隔を算出する間隔算出部と、を少なくとも備えることを特徴とする固定具の間隔の推定装置。
【請求項2】
前記固定具列判定部は、前記短辺方向の所定範囲内に、複数の合成波形のピークが存在する場合には、前記複数の合成波形から算出された固定具を、同じ固定具列の固定具と判定することを特徴とする請求項1に記載の固定具の間隔の推定装置。
【請求項3】
前記固定具列判定部により判定された、隣り合う2つの前記固定具列において、一方の固定具列の固定具のうち、前記長辺方向の第1所定範囲内に2つの固定具が存在することを判定する第1固定具判定部と、
前記第1固定具判定部が前記2つの固定具が存在すると判定した場合に、前記2つの固定具を含む前記長辺方向の第2所定範囲内に、他方の固定具列の固定具が存在しないことを判定する第2固定具判定部と、
前記第2固定具判定部が前記他方の固定具が存在しないと判定した場合に、前記一方の固定具列の前記2つの固定具のうち、前記他方の固定具列に近い固定具を、他方の固定具列の固定具となるように、前記固定具列判定部の判定を補正する第1判定補正部と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の固定具の間隔の推定装置。
【請求項4】
前記推定装置は、前記固定具列判定部により判定された前記固定具列ごとに、複数の固定具の並びに応じた近似直線を算出する近似直線算出部と、
隣り合う2つの前記固定具列において、一方の固定具列の固定具のうち、前記一方の固定具列の近似直線の距離よりも、他方の固定具列の近似直線との距離の方が近い固定具は、他方の固定具列の固定具となるように、前記固定具列判定部の判定を補正する第2判定補正部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の固定具の間隔の推定装置。
【請求項5】
前記推定装置は、前記固定具列判定部により判定された複数の固定具列において、隣り合う固定具列同士の列間隔を算出する列間隔算出部と、
前記固定具列同士の間隔のうち、所定の第1閾値以下となる列間隔が、前記短辺方向に沿って、複数回連続するかを判定する第1列間隔判定部と、
前記第1列間隔判定部が、複数回連続すると判定した場合には、前記複数回連続すると判定した固定具列の群を、2つの固定具列に再判定する第1列再判定部と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の固定具の間隔の推定装置。
【請求項6】
前記推定装置は、前記固定具列判定部により判定された各固定具列に対して、隣り合う固定具の前記固定具の間隔を算出し、算出した間隔の全体個数に対して、前記算出した間隔が所定の間隔以下となる個数の割合が、一定以上である固定具列を特定し、特定した固定具列を、2つの固定具列に再判定する第2列再判定部を備えることを特徴とする請求項1、2または5に記載の固定具の間隔の推定装置。
【請求項7】
前記推定装置は、前記固定具列判定部により判定された複数の固定具列において、隣り合う固定具列同士の列間隔を算出する列間隔算出部と、
前記固定具列同士の列間隔のうち、所定の第2閾値以上となる列間隔が、前記短辺方向に沿って、一定回数以上連続するかを判定する第2列間隔判定部と、をさらに備え、
前記第2列再判定部は、前記第2列間隔判定部が、一定回数以上連続すると判定した場合には、前記一定回数以上連続すると判定した固定具列の群の各固定具列に対して、前記固定具列の再判定を行うことを特徴とする請求項6に記載の固定具の間隔の推定装置。
【請求項8】
前記固定具個数推定部は、特定した前記固定具の位置に基づいて、前記固定具ごとに、前記長辺方向の位置において前記山状波形を生成し、生成した前記山状波形を前記短辺方向に沿って合成することにより得られた合成波形のピーク値に基づいて、前記板材の短辺方向に沿った固定具の個数を推定し、
前記固定具列判定部は、前記短辺方向に沿った固定具の個数が、推定した前記固定具の個数が規定個数以上である場合には、前記推定した固定具は、前記短辺方向に沿って前記板材に打ち込まれた固定具列の固定具であると判定するとともに、
前記長辺方向の所定範囲内に、2つのピーク波形のピークが存在する場合には、前記固定具列の固定具は、前記板材の縁部に沿って打ち込まれた固定具であると判定することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の固定具の間隔の推定装置。
【請求項9】
前記板材が、石膏ボードであり、前記固定具が、ビスであることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の固定具の間隔の推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形状の板材に打ち込まれた複数の固定具のうち、隣り合う固定具の間隔を推定する推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示すように、内壁材または天井材等で使用される石膏ボードなどの板材は、ビスなどの複数の固定具を介して、下地に取付けられる。複数の固定具は、板材の少なくとも周縁に沿って、規定された間隔内で、板材に打ち込まれている。板材の施工後には、同じ固定具列の固定具の間隔が、規定された間隔内に収まっているか、点検される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような点検は、目視で行うことも可能であるが、固定具が打ち込まれた板材を撮影して、撮影した画像から固定具を特定し、隣り合う固定具同士の間隔を測定することも想定される。しかしながら、隣り合う固定具同士が、同じ固定具列の固定具でない場合には、誤った固定具同士の固定具の間隔を測定することになり、正確な固定具の間隔を測定することができない。
【0005】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、同じ固定具列の固定具同士の固定具の間隔を正確に推定することができる推定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を鑑みて、本発明に係る固定具の間隔の推定装置は、矩形状の板材に打ち込まれた複数の固定具のうち、隣り合う固定具の間隔を推定する推定装置であって、前記板材を含む画像から、前記画像に対する前記複数の固定具の位置を特定する位置特定部と、特定した前記固定具の位置に基づいて、前記固定具ごとに、前記板材の短辺方向の位置において山状波形を生成し、生成した前記山状波形を前記板材の長辺方向に沿って合成することにより得られた合成波形のピーク値に基づいて、前記長辺方向に沿った固定具の個数を推定する固定具個数推定部と、推定した前記固定具の個数が規定個数以上である場合に、前記推定した固定具を、前記長辺方向に沿って前記板材に打ち込まれた固定具列の固定具であると判定する固定具列判定部と、判定した前記固定具列に対して、隣り合う固定具の前記固定具の間隔を算出する間隔算出部と、を少なくとも備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、固定具個数推定部で合成された合成波形は、固定具ごとに、板材の短辺方向の位置において生成された山状波形を合成したものであるので、固定具の個数に応じた複数ピーク波形が形成される。ここで、たとえば、同じ固定具列として打ち込まれた固定具が、板材の短辺方向に僅かにずれていても、同じ固定具列の固定具の波形として、描くことができる。さらに、固定具個数推定部で、推定した固定具の個数が、規定の個数以上である場合には、推定した固定具は、長辺方向に沿って板材に打ち込まれた固定具列の固定具であると判定することができる。これにより、固定具列を正確に判定することができるため、間隔算出部により、同じ列の固定具列に対して、隣り合う固定具の間隔を正確に算出することができる。
【0008】
より好ましい態様としては、前記固定具列判定部は、前記短辺方向の所定範囲内に、複数の合成波形のピークが存在する場合には、前記複数の合成波形から算出された固定具を、同じ固定具列の固定具と判定する。
【0009】
この態様によれば、たとえば、同じ固定具列の固定具が、短辺方向に対して、位置ずれした状態で打ち込まれた場合には、短辺方向の所定範囲内に、複数の合成波形のピークが存在する場合がある。しかしながら、このような場合であっても、複数の合成波形から算出された固定具を、同じ固定具列の固定具と判定することができる。これにより、間隔算出部は、同じ列の隣り合う固定具の間隔を正確に算出することができる。
【0010】
ここで、短辺方向に並んだ2つの板材において、これらの長辺方向に沿った隣接する部分には、一方の板材の固定具列と、他方の板材の固定具が存在し、これらの固定具列は隣り合う固定具列となる。ここで、たとえば、画像処理等による画像の歪み、撮像条件等により、他方の固定具列の固定具が、一方の固定具列の固定具よりも比較的に近い位置に存在する場合には、他方の固定具列の固定具を、一方の固定具列の固定具であると、誤判定するおそれがある。このような観点から、以下の好ましい第1態様および第2態様により、このような誤判定を回避することができる。
【0011】
好ましい具体的な第1態様としては、前記固定具列判定部により判定された、隣り合う2つの前記固定具列において、一方の固定具列の固定具のうち、前記長辺方向の第1所定範囲内に2つの固定具が存在することを判定する第1固定具判定部と、前記第1固定具判定部が前記2つの固定具が存在すると判定した場合に、前記2つの固定具を含む前記長辺方向の第2所定範囲内に、他方の固定具列の固定具が存在しないことを判定する第2固定具判定部と、前記第2固定具判定部が前記他方の固定具が存在しないと判定した場合に、前記一方の固定具列の前記2つの固定具のうち、前記他方の固定具列に近い固定具を、他方の固定具列の固定具となるように、前記固定具列判定部の判定を補正する第1判定補正部と、を備える。
【0012】
第1態様によれば、第1固定具判定部により、長辺方向の第1所定範囲内に2つの固定具が存在する場合、一方の固定具列の固定具に、誤判定される可能性の高い2つの固定具があると判定することができる。次に、この2つの固定具に対して、第2固定具判定部により、2つの固定具を含む長辺方向の第2所定範囲内に、他方の固定具列の固定具が存在しない場合、この2つの固定具列のうちの1つの固定具が、他方の固定具列の固定具であると判定することができる。このような場合には、第1判定補正部は、一方の固定具列の前記2つの固定具のうち、他方の固定具列に近い固定具を、他方の固定具列の固定具となるように、固定具列判定部の判定を補正するので、間隔算出部は、同じ列の隣り合う固定具の間隔を正確に算出することができる。
【0013】
好ましい具体的な第2態様としては、前記推定装置は、前記固定具列判定部により判定された前記固定具列ごとに、複数の固定具の並びに応じた近似直線を算出する近似直線算出部と、隣り合う2つの前記固定具列において、一方の固定具列の固定具のうち、前記一方の固定具列の近似直線の距離よりも、他方の固定具列の近似直線との距離の方が近い固定具は、他方の固定具列の固定具となるように、前記固定具列判定部の判定を補正する第2判定補正部と、をさらに備える。
【0014】
第2態様によれば、近似直線算出部が、隣り合う2つの固定具列ごとに、複数の固定具の並びに応じた近似直線を算出した際に、一方の固定具列の固定具のうち、一方の固定具列の近似直線の距離よりも、他方の固定具列の近似直線との距離の方が近い固定具は、他方の固定具列の固定具である可能性が高い。したがって、第2判定補正部では、このような一方の固定具列の固定具を、他方の固定具列の固定具となるように、固定具列判定部の判定を補正するので、間隔算出部は、同じ列の隣り合う固定具の間隔を正確に算出することができる。
【0015】
ところで、板材同士の境界では、板材同士の境界線を挟んで、2つの固定具列が隣接して配置される。このような場合、固定具列判定部は、2つの固定具列を3つ以上の固定具列であると誤判定したり、2つの固定具列を1つの固定具列であると誤判定したりするおそれがある。このような誤判定を確認すべく、固定具列の再判定を行うことが好ましい。
【0016】
このより好ましい態様として、前記推定装置は、前記固定具列判定部により判定された複数の固定具列において、隣り合う固定具列同士の列間隔を算出する列間隔算出部と、前記固定具列同士の間隔のうち、所定の第1閾値以下となる列間隔が、前記短辺方向に沿って、複数回連続するかを判定する第1列間隔判定部と、前記第1列間隔判定部が、複数回連続すると判定した場合には、前記複数回連続すると判定した固定具列の群を、2つの固定具列に再判定する第1列再判定部と、を備える。
【0017】
この態様では、まず、列間隔算出部により、固定具列判定部で判定された複数の固定具列同士の列間隔を算出する。本来、板材の境界線を挟んで2つの固定具列が配列されているが、所定の第1閾値以下の固定具列の列間隔が連続している場合には、この2つの固定具列を3つ以上の固定具列と誤判定をしている可能性が高い。そこで、第1列間隔判定部により、算出した列間隔が所定の第1閾値以下となる固定具列の列間隔が、複数回連続していることを判定し、第1列再判定部により、この判定した固定具列の列群は、2つの固定具列からなるので、これらの固定具列の列群を、2つの固定具列に再判定することができる。
【0018】
なお、2つの固定具列に再判定する際には、たとえば、誤判定した固定具列の列群を構成する複数の固定具に対して、長辺方向に沿って、これらの固定具の間を通過するように近似直線を算出し、この近似直線を挟み両側に存在する固定具を2つの固定具列と判定してもよい。また、2つの固定具列を再判定する前に、再判定前の固定具列の列群に対して、短辺方向の両側に所定の範囲で存在する固定具を、固定具列の列群に含めて、この固定具列の列群を構成する固定具を2つの固定具列に再判定してもよい。
【0019】
さらに好ましい態様としては、前記推定装置は、前記固定具列判定部により判定された各固定具列に対して、隣り合う固定具の前記固定具の間隔を算出し、算出した間隔の全体個数に対して、前記算出した間隔が所定の間隔以下となる個数の割合が、一定以上である固定具列を特定し、特定した固定具列を、2つの固定具列に再判定する第2列再判定部を備える。
【0020】
この態様によれば、第2列再判定部により、固定具列判定部により判定された固定具列ごとに、隣り合う固定具の間隔を算出する。算出した間隔のうち、所定の間隔以下の狭い間隔の割合が多い場合には、2列の固定具列を1列の固定具列と誤判定し、誤判定して1列とみなした固定具列の間隔を算出したものと推定できる。そこで、第2列再判定部により、このような固定具列を特定し、この固定具列を2つの固定具列に再判定することができる。
【0021】
なお、再判定の際には、上述したように、たとえば、誤判定した固定具列を構成する複数の固定具に対して、長辺方向に沿って、これらの固定具の間を通過するように近似直線を算出し、この近似直線を挟み両側に存在する固定具の列を2つの固定具列と判定してもよい。また、2つの固定具列を再判定する前に、再判定前の固定具列に対して、短辺方向の両側に所定の範囲で存在する固定具を、固定具列に含めて、この固定具列を構成する固定具を2つの固定具列に再判定してもよい。
【0022】
さらに好ましい態様としては、前記推定装置は、前記固定具列判定部により判定された複数の固定具列において、隣り合う固定具列同士の列間隔を算出する列間隔算出部と、前記固定具列同士の列間隔のうち、所定の第2閾値以上となる列間隔が、前記短辺方向に沿って、一定回数以上連続するかを判定する第2列間隔判定部と、をさらに備え、前記第2列再判定部は、前記第2列間隔判定部が、一定回数以上連続すると判定した場合には、前記一定回数以上連続すると判定した固定具列の群の各固定具列に対して、前記固定具列の再判定を行う。
【0023】
この態様によれば、まず、列間隔算出部により、固定具列判定部で判定された複数の固定具列同士の間隔を算出する。本来、板材の境界線を挟んで2つの固定具列が配列されているが、所定の第2閾値以上となる固定具列の間隔が、一定回数以上連続している場合には、この連続した回数となる間隔を形成している固定具列のなかに、2つの固定具列を1つの固定具列と誤判定をしている可能性が高い。したがって、第2間隔判定部により、このような誤判定の可能性がある固定具列を絞り込むため、第2列再判定部により、より確実に誤判定した固定具列を特定し、再判定することができる。
【0024】
ここで、固定具個数推定部で短辺方向に沿った複数の固定具の数を推定した場合、短辺方向に沿うように、固定具を板材に打ち込んでいない場合、上下に並んだ板材において、その隣接した部分に、一方の板材の固定具列と、他方の板材の固定具列が存在しても、これらの固定具列を認識し難い。
【0025】
このような点から、より好ましい態様としては、前記固定具個数推定部は、特定した前記固定具の位置に基づいて、前記固定具ごとに、前記長辺方向の位置において前記山状波形を生成し、生成した前記山状波形を前記短辺方向に沿って合成することにより得られた合成波形のピーク値に基づいて、前記板材の短辺方向に沿った固定具の個数を推定し、前記固定具列判定部は、前記短辺方向に沿った固定具の個数が、推定した前記固定具の個数が規定個数以上である場合には、前記推定した固定具は、前記短辺方向に沿って前記板材に打ち込まれた固定具列の固定具であると判定するとともに、前記長辺方向の所定範囲内に、2つのピーク波形のピークが存在する場合には、前記固定具列の固定具は、前記板材の縁部に沿って打ち込まれた固定具であると判定する。
【0026】
短辺方向に沿った固定具の個数が、推定した固定具の個数が規定個数以上である場合には、推定した固定具は、板材の縁部に沿って打ち込まれた固定具列の固定具である可能性が高い。上下に位置する板材の縁部に沿って打ち込まれた固定具は、比較的に近い位置に存在することから、この態様によれば、固定具列判定部は、長辺方向の所定範囲内に、2つのピーク波形のピークが存在する場合には、固定具列の固定具は、板材の縁部に沿って打ち込まれた固定具であると判定する。間隔算出部は、板材の縁部の固定具を特定し、これらの固定具の間隔を正確に算出することができる。
【0027】
前記板材と前記固定具の種類は、特に限定されるものではないが、前記板材が、石膏ボードであり、前記固定具が、ビスであることが好ましい。石膏ボードに打ち込まれるビスの間隔(ピッチ)は、法令等で規定されているので、このような推定装置による推定の利用性は高い。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、同じ固定具列の固定具同士の固定具の間隔を正確に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本実施形態に係るビスピッチの推定装置の模式図である。
【
図2】
図1に示す推定装置の演算装置のブロック図である。
【
図4】(a)は、ビス個数推定部による山状波形を説明するための図であり、(b)は、ビス個数推定部による合成波形を説明するための図である。
【
図5】
図2に示すビス列判定部の判定結果を説明するための図である。
【
図6】
図2に示すビス列判定部によるピーク波形による判定を説明するための図である。
【
図7】短辺方向のビス列の推定を説明するための図である。
【
図8】
図3に示す第1判定補正部による補正を説明するための図である。
【
図9】
図3に示す第2判定補正部による補正を説明するための図である。
【
図10】
図1に示す推定装置を用いた推定フロー図である。
【
図11】
図10のステップS11における判定の補正を説明するためのフロー図である。
【
図12】2つのビス列を3以上のビス列に誤判定した例を示した図である。
【
図13】2つのビス列を1つのビス列に誤判定した例を示した図である。
【
図14】第2実施形態に係る
図3に対応する判定補正部のブロック図である。
【
図15】
図14に示すビス列の再判定を説明するためのフロー図である。
【
図16】第2実施形態に係る
図10のステップS11における判定の補正を説明するためのフロー図である。
【
図17】第2実施形態の変形例に係る
図3に対応する判定補正部のブロック図である。
【
図18】
図17に示すビス列の再判定を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に
図1~
図18を参照しながら、本実施形態に係るビスピッチの推定装置10を説明する。
【0031】
[第1実施形態]
1.板材と固定具について
本実施形態では、推定装置10は、矩形状の板材に打ち込まれた複数の固定具のうち、隣り合う固定具の間隔を推定する装置である。ここで、板材の少なくとも周縁に沿って、固定具が所定の間隔で打ち込まれている。板材と固定具の組み合わせとしては、軒天材(軒下の化粧材)とそれを固定する釘およびステープル、木造住宅等における構造用合板とそれを固定する釘、床の下地材とそれを固定する釘・ビスなどを挙げることができる。
【0032】
以下の実施形態では、板材として、石膏ボード5を例示し、固定具として、ビス6を例示する。したがって、石膏ボード5が、本発明でいうところの「板材」に相当し、ビス6が、本発明でいうところの「固定具」に相当し、後述するビス6のピッチ(ビスピッチ)が、本発明でいうところの「固定具の間隔」に相当し、ビス列は、本発明でいうところの「固定具列」に相当する。
【0033】
なお、石膏ボード5を固定する固定具は、釘であってもよい。石膏ボード5は、内壁材または天井材等で使用される。石膏ボード5は、法令等で規定されたピッチ以下の条件で、石膏ボード5の長辺方向および短辺方向に沿ってビス6で固定されている。ここでいう、ビスピッチは、石膏ボード5の長辺方向および短辺方向に沿って隣接したビス6、6同士の間隔である。なお、内壁材とし石膏ボード5を取り付ける場合には、
図1に示すように、石膏ボード5の長辺を、鉛直方向に沿わせ、石膏ボード5の短辺を、水平方向に沿わせて配置される。
【0034】
ここで、複数のビス6、6、…は、石膏ボード5の周縁5aよりも内側において、周縁5aに沿って、規定されたピッチ内で、石膏ボード5に打ち込まれている。さらに、本実施形態では、複数のビス6、6、…は、石膏ボード5の幅方向の中央において、石膏ボード5の長辺方向に沿って、規定されたピッチ内で、石膏ボード5に打ち込まれている。石膏ボード5の取付け施工後には、ビスピッチが、規定されたピッチ内に収まっているか、ビスピッチが点検される。ビスピッチは、石膏ボード5を正面視した際に、長辺方向および短辺方向に沿って隣接するビス6の中心間距離である。
【0035】
本実施形態に係るビスピッチの推定装置10は、石膏ボード5の取付け施工後には、石膏ボード5に打ち込まれたビス6のピッチ(ビスピッチ)を推定する装置である。推定装置10は、撮像装置20で撮像された石膏ボード5を含む画像から、最終的には、ビス6の画像を抽出し、離接するビス6のピッチを推定する。
【0036】
2.推定装置10のハードウエア構成について
推定装置10は、ハードウエアとして、ROM、RAM等で構成され、石膏ボード5の条件、ビスピッチの推定プログラム等が記録された記憶装置10Aと、ビスピッチの推定プログラムを実行する演算装置10Bと、を備えている。
【0037】
推定装置10には、入力装置31と出力装置32とが接続されている。本実施形態では、入力装置31と出力装置32とが一体となったタッチパネルディスプレイであってもよい。入力装置31を介して、石膏ボード5の仕様条件、ビスピッチの推定プログラム等のデータが入力される。本実施形態では、入力装置31を介して、撮像装置20で撮像した画像データが入力されてもよい。入力装置31で入力されたデータは、記憶装置10Aに記憶される。出力装置32には、撮像装置20で撮像された画像データ、演算装置10Bで演算された演算結果等が、表示される。
【0038】
本実施形態では、推定装置10は、記憶装置10Aおよび演算装置10Bで構成されていたが、たとえば、入力装置31および出力装置32を備えたものであってもよい。推定装置10は、入力装置31および出力装置32に加えて、撮像装置20をさらに備え、これらが一体となったスマートフォンまたはタブレットなどの携帯端末であってもよい。
【0039】
3.推定装置10のソフトウエア構成について
本実施形態では、
図2に示すように、推定装置10は、位置特定部11、ボード画像抽出部12と、射影変換部13と、ビス個数推定部14と、ビス列判定部15、判定補正部16と、ピッチ算出部17、ピッチ判定部18と、を少なくとも備えている。
【0040】
3-1.位置特定部11について
位置特定部11は、撮像装置20で撮像した画像Gから、撮像装置20で撮像した画像Gに対する複数のビス6の位置を特定する。なお、後述する射影変換を行わない場合には、石膏ボード5に対するビス6の位置を特定してもよく、たとえば、本実施形態では、ビスピッチを算出することができればよく、最終的には、ビス6の中心位置が特定されてればよい。したがって、ビス6の画像の大きさ、ビス6の形状等は正確に特定する必要がないため、ビスの形状を機械学習したカスケード分類器などを用いて、ビス6を識別してもよい。これにより、射影変換前の画像において、ビス6の位置を特定すれば、結果として、射影変換後の石膏ボード5の正面画像からビス6の位置も容易に特定することができる。たとえば、ビス6を識別した円状の印を、ビス6の周りに付与する。この印は、円以外の四角、ひし形等他の印あってもよい。また、この他にも、位置特定部11は、変換した正面画像を二値化処理またはグレースケール処理し、周りと画素と所定の明度の差を有した画素数から、ビス6を識別してもよい。なお、位置特定部11は、ビス6の位置の特定は、ボード画像抽出部12で、抽出した石膏ボード5の画像に対して行ってもよい。
【0041】
3-2.ボード画像抽出部12について
ボード画像抽出部12は、撮像装置20のビスピッチを特定する石膏ボード5を含む画像から、石膏ボード5の画像G(
図5参照)を抽出する。具体的には、石膏ボード5は、矩形状であることから、エッジ検出(Canny法などを利用したエッジ検出など)および一般的に知られた直線検出(Hough法などを利用した直線検出など)により、石膏ボード5の4辺からなるエッジを検出してもよい。
【0042】
このエッジで囲まれた4角形の領域を石膏ボード5の画像Gとして抽出してもよい。本実施形態では、複数枚の石膏ボード5が検出される。本実施形態では、その一例として、水平方向に並んだ、2枚の石膏ボード5、5を1つの石膏ボードの画像Gとして、抽出する。ボード画像抽出部12は、前処理として、フィルタリング処理、膨張収縮処理等を行ってもよいが、撮像条件によって、石膏ボード5のビス6が抽出できるのであれば、ボード画像抽出部12を設けなくともよい。
【0043】
この他にも、ボード画像抽出部12は、たとえば、サポートベクターマシーン(SVM)などを利用して、撮像装置で撮像した石膏ボードの画像と、この画像における石膏ボードの形状の特徴量(たとえば、石膏ボードのエッジの沿った複数の点)を、教師データとし、撮像画像から石膏ボードの特徴量を学習したものであってもよい。これにより、石膏ボードの画像を含む任意の撮像画像から、石膏ボードの画像Gを抽出することができる。また、Haar-like特徴量などの特徴量を用いたカスケード分類器を用いて、石膏ボード自体を識別した後に、その識別範囲の画像から、上述した機械学習されたものを用いて、石膏ボード5の画像Gを抽出してもよい。
【0044】
3-3.射影変換部13について
射影変換部13は、抽出した石膏ボード5の画像Gを、正面から視た正面画像に射影変換する。抽出した石膏ボード5の画像Gを、正面から視た正面画像に射影変換することができるのであれば、射影変換部13による射影変換の手法は特に限定されるものではない。たとえば、矩形状の石膏ボード5の予め入力された短辺および長辺の長さを入力し、対応する石膏ボード5の画像Gのエッジが、短辺または長辺のいずれに該当するかを判定し、石膏ボード5の画像Gのエッジの縦横比が、短辺と長辺の比率に合致するように、抽出した石膏ボード5の画像Gを正面画像Gに変換してもよい。なお、射影変換部13において、その他の画像処理を行ってもよく、正面画像に近い画像を取得することができるのであれば、射影変換部13を設けなくてもよい。
【0045】
3-4.ビス個数推定部14について
ビス個数推定部14は、まず、
図4(a)に示すように、特定したビス6の位置に基づいて、ビス6ごとに、撮像装置20で撮像した石膏ボード5の短辺方向の位置において山状波形wを生成する。次に、ビス個数推定部14は、
図4(b)に示すように、生成した山状波形wを石膏ボード5の長辺方向に沿って合成することにより得られた合成波形Wを生成する。最後に、ビス個数推定部14は、のピーク値に基づいて、石膏ボード5の長辺方向に沿ったビス6の個数を推定する。本実施形態では、
図4(a)に示すように、ビス6の画像は、円形状であり、たとえば、1つのビス6の画像の画素数を、石膏ボード5の短辺方向にわたってカウントすると、ビス6の中心に波形wのピークが存在する。したがって、1つのビス列に対して、複数のビス6、6、…の画像の方向に僅かにずれがあったとしても、1つのピーク波形として形成することができる。
【0046】
ここで、ビス6の画像とは、ビス6そのものの画像であってもよく、ビス6を識別したときに、ビス6の位置に応じて付される印の画像であってもよい。この印の画像は、円形、四角形、または三角形のいずれであってもよい。このようにして、
図4(b)に示すようなピーク波形を形成することができ、このピークには、ビスの列が存在する可能性が高い。石膏ボード5の長辺方向に沿って、このようにしてカウントしたピクセル数は、石膏ボード5の長辺方向(鉛直方向)のビスの個数に略比例するため、本実施形態では、ビス個数推定部14は、カウントしたピクセル数の各ピーク波形のピーク値に基づいて、長辺方向に沿ったビスの個数を推定することができる。たとえば、
図5の下図のグラフで、ピーク波形のピーク値がp1の場合は、ビス6を12個と推定し、ピーク波形のピーク値がp2の場合には、ビス6を9個と推定する。
【0047】
同様に、
図6に示すように、ビス個数推定部14は、特定したビスの画像に対して、ビス6の石膏ボード5の短辺方向に沿ったピクセル数を、石膏ボード5の長辺方向にわたってカウントする。ビス個数推定部14は、カウントしたピクセル数の各ピーク波形のピーク値pa、pb、…に基づいて、短辺方向に沿ったビス6の個数をさらに推定する。
【0048】
この他にも、カーネル密度による推定方法を利用してもよい。ビス6ごとに、石膏ボード5の短辺方向の位置において、
図4(a)に示すように、以下の式(1)に示す、カーネル密度関数(ガウス関数)に基づいた同じ山状波形wを生成する。次に、ここで、合成波形Wを生成する際に、以下の式(2)に示す、カーネル密度推定量の式を用いて、これらの山状波形の合成波形Wを生成する。式(2)のx1、x2、…xnを(未知の)確率密度関数fを持つ独立同分布からの標本とし、Kをカーネル関数、hをバンド幅(平滑化パラメータ)とする。これにより、合成波形Wのピーク値が、ビス6の個数に応じた値に近づけることができる。
【0049】
【0050】
3-5.ビス列判定部15について
ビス列判定部(固定具列判定部)15は、推定したビス6の個数が規定個数以上である場合に、推定したビスを、石膏ボード5の長辺方向に沿って石膏ボード5に打ち込まれたビス列のビスであると判定する。本実施形態では、石膏ボード5の長辺方向に沿って打ち込まれる最大のビス数の1/3を規定個数とし、
図5の下図では、規定個数は、5個である。
【0051】
たとえば、
図5の下図のグラフでは、ピーク波形のピーク値がp1の場合、12個と推定したビス6を、ビス列P1のビスであると判定し、ピーク波形のピーク値がp2の場合、9個と推定したビス6は、ビス列P2のビスと判定する。一方、ピーク波形のピーク値p5の場合、2個と推定したビス6は、ビス列のビスと、判定しない。
【0052】
このように、ビス個数推定部14で、推定したビス6、6、…の個数が、規定の個数以上である場合には、推定したビス6、6、…は、長辺方向に沿って石膏ボード5に打ち込まれたビス列のビス6、6、…であると判定することができる。これにより、ビス列を正確に判定することができるため、後述するピッチ算出部17により、同じ列のビス列に対して、隣り合うビス6、6、…のビスピッチを正確に算出することができる。
【0053】
たとえば、
図6に示すように、ビス列判定部15は、石膏ボード5の短辺方向の所定範囲(所定のピクセル数の範囲)HR内に、複数のピーク波形のピークが存在する場合には、複数のピーク波形から算出されたビス6、6、…を、同じビス列のビスと判定する。
【0054】
ここで、石膏ボード5の縁部から、10mm程度内側にビス6が打ち込まれることから、水平方向に沿った2枚の石膏ボード5の両縁のビス列は、20mm程度離れると予想される。このため、石膏ボード5の短辺方向の所定範囲HRは、15mm程度に設定される。このような点から、所定範囲HRは、石膏ボード5の縁部から内側に設定されたビス6の打ち込み範囲(長さ)の2倍未満、好ましくは、1.0倍~1.5倍の範囲に設定されていることが好ましい。
【0055】
たとえば、
図6では、ピーク値がp7、p8のピーク波形は、石膏ボード5の短辺方向の所定範囲HR≧ピーク同士の距離HR1であるため、これらのピーク値p7、p8のビスは、石膏ボード5の短辺方向に近いビス群であるとみなせ、これらの波形からカウントされたビスは、1つのビス列のビスであると判定する。一方、ピーク値がp9、p10のピーク波形は、石膏ボード5の短辺方向の所定範囲HR≦ピーク同士の距離HR2あるため、これらのピーク値p9、p10のビスは、石膏ボード5の短辺方向に遠い(離れた)ビス群であるとみなせ、これらの波形からカウントされたビスは、1つのビス列のビスではないと判定する。
【0056】
これにより、ピーク値がp7、p8に対応するビスの如く、同じビス列のビス6、6、…が、短辺方向に対して、位置ずれした状態で打ち込まれた場合であっても、これらのピーク波形から算出されたビスを、同じビス列のビスと判定することができる。
【0057】
さらに、
図7に示すように、ビス列判定部15は、短辺方向に沿って推定したビス6、6、…の個数が規定個数(本実施形態では2個)以上である場合には、推定したビス6、6、…は、短辺方向に沿って石膏ボード5に打ち込まれたビス列のビスであると判定する。これに加えて、石膏ボード5の長辺方向の所定範囲VR内に、2つのピーク波形のピークが存在する場合には、ビス列のビスは、石膏ボード5の縁部に沿って打ち込まれたビス6、6、…であると判定する。
【0058】
ここで、石膏ボード5の縁部から、10mm程度内側にビス6が打ち込まれることから、水平方向に沿った2枚の石膏ボード5の両縁のビス列は、20mm程度離れると予想される。このため、本実施形態では、石膏ボード5の長辺方向の所定範囲VRは、30mm程度に設定される。このような点から、所定範囲VRは、石膏ボード5の縁部から内側に設定されたビス6の打ち込み範囲(長さ)の2.0倍~3.0倍未満の範囲に設定されていることが好ましい。
【0059】
短辺方向に沿ったビス6、6、…の個数が、推定したビス6、6、…の個数が規定個数以上である場合には、推定したビスは、石膏ボード5の上下の縁部に沿って打ち込まれたビス列のビスである可能性が高い。上下に位置する石膏ボード5、5の縁部に沿って打ち込まれたビス6、6は、比較的に近い位置に存在する。したがって、ビス列判定部15は、石膏ボード5の長辺方向の所定範囲VR(VR≧VR1)内に、2つのピーク波形のピーク(たとえば、
図7のピーク値Pa、Pb)が存在する場合には、ビス列PA、PBのビスは、石膏ボード5の縁部に沿って打ち込まれたビスであると判定する。一方、ビス列判定部15は、石膏ボード5の長辺方向の所定範囲VR(VR<VR2)を超えて、2つのピーク波形のピーク(たとえば、
図7のピーク値Pc、Pd)が存在する場合には、ビス列PC、PDのビスは、石膏ボード5の縁部に沿って打ち込まれたビスではないと判定する。
【0060】
このようにして、ビス列判定部15により、石膏ボード5の長辺方向および短辺方向のビス列を正確に判定することにより、ピッチ算出部17は、石膏ボード5の縁部のビス6、6を特定し、これらのビス6、6のビスピッチPx、Pyを正確に算出することができる。
【0061】
短辺方向に並んだ2つの石膏ボード5、5において、これらの長辺方向に沿った隣接する部分には、一方の石膏ボード5のビス列(たとえば、
図5のビス列P3)と、他方の石膏ボード5のビス列(たとえば、
図5のビス列P4)が存在し、これらのビス列(P3、P4)は隣り合うビス列となる。ここで、たとえば、画像処理等による画像の歪み、撮像条件等により、他方のビス列(P4)のビスが、一方のビス列(P3)のビスよりも比較的に近い位置に存在する場合には、他方のビス列P4のビスを、一方のビス列P3のビスであると、誤判定するおそれがある。そこで、本実施形態では、以下に示す判定補正部16を設けている。
【0062】
3-6.判定補正部16について
判定補正部16は、第1補正部16Aと第2補正部16Bとで構成されている。本実施形態では、上に示す誤判定が生じない撮像条件で撮像する場合には、判定補正部16を設けなくてもよく、ビス列の判定の補正を精度良く行うことができるのであれば、判定補正部16は、第1補正部16Aと第2補正部16Bとのいずれか一方であってもよい。
【0063】
第1補正部16Aは、第1ビス判定部(第1固定具判定部)16a、第2ビス判定部(第2固定具判定部)16b、および第1判定補正部16cを備えている。第1ビス判定部16aは、ビス列判定部15により判定された、隣り合う2つのビス列PS、PTにおいて、一方のビス列PSのビス6s、6s…のうち、長辺方向の第1所定範囲L1内に2つのビス6s、6sが存在することを判定する。この第1所定範囲L1は、法令等で予め規定されているビスの規定ピッチよりも狭い範囲であり、たとえば、規定ピッチの0.5倍以下の範囲である。このような第1所定範囲L1内の2つのビス(
図8の右図の四角で囲んだ2つのビス)が、ともに一方のビス列PSのビス6s、6sに、誤判定されている可能性の高い。
【0064】
そこで、第2ビス判定部16bは、第1ビス判定部16aが、誤判定された2つのビス6s、6sが存在すると判定した場合に、2つのビスを含む長辺方向の第2所定範囲L2内に、他方のビス列PSのビスが存在しないことを判定する。この第1所定範囲L1は、法令等で予め規定されているビスの規定ピッチよりも狭い範囲であり、たとえば、規定ピッチの0.5倍~0.8倍の範囲である。このように、第2ビス判定部16bでは、誤判定された2つのビス6s、6sの周りに、他方のビス列PTのビス6tが存在しないことを判断する。
【0065】
第1判定補正部16cは、第2ビス判定部16bが他方のビス6tが存在しないと判定した場合に、
図8の右図に示すように、一方のビス列PSの2つのビス6s、6sのうち、他方のビス列PTに近いビスを、他方のビス列PTのビス6tとなるように、ビス列判定部15の判定を補正する。このようにして、第1判定補正部16cにより、誤判定されたビス列のビスを、正しいビス列のビスに変更することができるので、後述するピッチ算出部17は、同じビス列の隣り合うビスのビスピッチを正確に算出することができる。
【0066】
第2補正部16Bは、近似直線算出部16dと、第2判定補正部16eとを備えている。近似直線算出部16dは、
図9の左図に示すように、ビス列判定部15により判定されたビス列PS、PTごとに、複数のビス6s、6tの並びに応じた近似直線LS、LTを算出する。具体的には、石膏ボード5の画像Gにおいて、直交座標系を設定し、各ビス列PS(PT)のビス6s(6t)の中心に対して、最小二乗法により、直線の方程式を求め、この方程式の直線を、近似直線LS(LT)とする。ここで、一方のビス列PSのビス6s、6s(
図9の右図の四角で囲んだ2つのビス)のうち、一方のビス列PSの近似直線LSの距離よりも、他方のビス列PTの近似直線LTとの距離の方が近いビス6sは、他方のビス列PTのビス6tである可能性が高い。
【0067】
そこで、第2判定補正部16eは、隣り合う2つのビス列PS、PTにおいて、一方のビス列PSのビス6s、6sのうち、一方のビス列PSの近似直線LSの距離よりも、他方のビス列PTの近似直線LTとの距離の方が近いビス6sは、他方のビス列PTのビス6tとなるように、ビス列判定部15の判定を補正する(
図9右図参照)。このようにして、第2判定補正部16eにより、誤判定されたビス列のビスを、正しいビス列のビスに変更することができるので、後述するピッチ算出部17は、同じビス列の隣り合うビスのビスピッチを正確に算出することができる。
【0068】
3-7.ピッチ算出部17について
ピッチ算出部(間隔算出部)17は、石膏ボード5の長辺方向(鉛直方向)および短辺方向(水平方向)に判定したビス列に対して、隣り合うビス6、6のビスピッチPx、Pyを算出する(
図1参照)。具体的には、ビス6の中心、または、識別の印の中心の間の距離をピクセル数として算出する。なお、ここで、石膏ボード5の長辺または短辺の長さを予め入力しておけば、この長辺および短辺から、各ピクセルの縦横の実長さを算出でき、この実長さからビスピッチPx、Pyを算出することができる。この他にも、実長さのスケールまたはこれに対応する目印とともに、石膏ボード5の画像を取得すれば、各ピクセルの縦横の実長さを算出することができる。
【0069】
3-8.ピッチ判定部18について
ピッチ判定部(間隔判定部)18は、ピッチ算出部17で、算出したビスピッチPx、Pyが、規定の範囲に収まっているかを判定する。測定したビスピッチが、規定の範囲に収まっている場合には、たとえば、対応する2つのビスを同じ色の円で塗りつぶし、規定の範囲に収まっていない場合には、対応する2つのビスを異なる色の円で塗りつぶしてもよく、これらの違いが明確にできれば、特にその手段は限定されるものではない。
【0070】
以下に、
図10および
図11を参照して、推定装置を用いた推定フロー図を説明する。
まず、ステップS1では、撮像装置20で、検査対象範囲として、石膏ボード5を含む範囲を撮影し、全体画像を取得する。次に、ステップS2では、位置特定部11により、画像Gから複数のビスの位置を特定する。ステップS3では、ボード画像抽出部12により、石膏ボード5を含む画像Gから、石膏ボード5の画像を抽出し、ステップS4では、石膏ボード5の画像を、必要に応じて、射影変換部13により、正面画像に射影変換する。
【0071】
次に、ステップS5では、ビス6ごとに石膏ボード5の短辺方向の位置において、ビス6の中心が山状波形のピークに位置するように、山状波形wを生成し、これらの山状波形wを石膏ボード5の長辺方向に沿って合成し、合成波形Wを生成する。ステップS6では、合成波形Wのピーク値に基づいて、石膏ボード5の長辺方向および短辺方向に沿ったビス6、6、…の個数を推定する。
【0072】
ステップS7では、ビス列判定部15により、推定したビス6、6、…の個数が、規定個数以上である場合には、ステップS8に進み、推定したビス6、6、…は、ビス列のビスであると判定し、そうでない場合には、ステップS9に進む。
【0073】
ステップS9では、石膏ボード5の短辺方向の所定範囲内に、ピーク波形が複数存在する場合には、ステップS10に進み、そうでない場合には、ステップS11に進む。ステップS10では、ビス列判定部15には、複数のピーク波形のビス列を、同じ1つのビス列のビスと判定し、ステップS11に進む。ステップS11では、
図11で後述するように、ビス列判定部15の判定の補正を行う。ステップS12では、ピッチ算出部17により、特定したビス6の画像から、隣り合うビスのビスピッチPx、Pyを算出する。最後に、ステップS13で、ピッチ判定部18により、ビスピッチが、規定の範囲に収まっているかを判定する。
【0074】
図11を参照し、判定補正部16によるビス列判定部15の判定の補正を説明する。まず、ステップS101で、第1ビス判定部16aにより、隣り合う2つのビス列が存在するかを判定し、存在すると判定した場合には、ステップS102に進む。ステップS102で、長辺方向の第1所定範囲内に2つのビスが存在することを判定し、存在すると判定した場合には、ステップS103に進む。さらに、ステップS103で、第2ビス判定部16bにより、第2所定範囲内に、他方のビス列のビスが存在しないかを判定し、存在しないと判定した場合には、ステップS104に進む。ステップS105において、第1判定補正部16cは、他方のビス列に近い一方ビスを、他方のビス列のビスとなるように、ステップS8、S10で判定したビス列判定部15の判定を補正し、ステップS105に進む。
【0075】
ステップS101~ステップS103において、そうでない(Noである)場合には、ステップS105に進む。ステップS105では、近似直線算出部16dは、ビス列判定部15により判定されたビス列ごとに、複数のビスの並びに応じた近似直線を算出する。ステップS106では、第2判定補正部16eは、隣り合う2つのビス列において、一方のビス列のビスのうち、一方のビス列の近似直線の距離よりも、他方のビス列の近似直線との距離の方が近いビスがあるかを判定する。そのようなビスが存在する場合には、ステップS107において、第2判定補正部16eは、一方のビス列と判定されたビスを、他方のビス列のビスとなるように、ビス列判定部15の判定を補正する。
【0076】
ここで、石膏ボード5同士の境界では、石膏ボード5同士の境界線を挟んで、2つのビス列が隣接して配置される。このような場合、ビス列判定部15は、
図12に示すように、2つの固定具列を3つ以上の固定具列であると誤判定したり、
図13に示すように、2つの固定具列を1つの固定具列であると誤判定したりするおそれがある。このような誤判定を確認すべく、以下の第2実施形態では、固定具列の再判定を行う。
【0077】
[第2実施形態]
以下に示す第2実施形態では、第1実施形態の判定補正部16が相違する。したがって、第1実施形態で説明した
図3に示す判定補正部16の代わりに、本実施形態では、
図14を参照しながら、その詳細を説明する。ただし、本実施形態では、第1実施形態おける第1判定補正部16c、第2判定補正部16eによるビス列の補正を行った後、補正を行ったビス列に対して、以下に示す第2実施形態に係る再判定を続けて行ってもよい。
【0078】
図14は、第2実施形態に係る
図3に対応する判定補正部16のブロック図である。本実施形態では、推定装置10の判定補正部16は、
図15に示すように、列間隔算出部16fと、第1列間隔判定部16gと、第1列再判定部16h、第2列再判定部16jとを備えている。
【0079】
列間隔算出部16fは、ビス列判定部15により判定された複数のビス列において、隣り合うビス列同士の列間隔を算出する。具体的には、列間隔算出部16fは、ビス列ごとに石膏ボード5の短辺方向におけるビス列のビスの位置の平均値を、ビス列の短辺方向の位置とし、隣り合うビス列同士の間隔を測定する。
【0080】
第1列間隔判定部16gは、算出したビス列同士の列間隔のうち、所定の第1閾値以下となる列間隔が、短辺方向に沿って、複数回(2回以上)連続するかを判定する。すなわち、通常石膏ボード5の境界線を挟んで2つのビス列が配列されているが、所定の第1閾値以下のビス列の列間隔が連続している場合には、
図12に示すように、短い列間隔が連続することなる。このような場合、この2つのビス列を3つ以上のビス列、4つ以上のビス列と誤判定をしている可能性が高い。ここで、第1閾値は、たとえば100mmであり、隣接するビス列において予め施工時に設定された間隔よりも狭い値である。
【0081】
第1列再判定部16hは、第1列間隔判定部16gが、複数回連続すると判定した場合に、複数回連続すると判定したビス列の群を、2つのビス列に再判定する。具体的には、
図15に示すように、2つのビス列に再判定する際には、たとえば、誤判定したビス列の列群を構成する複数のビス6、6、…に対して、石膏ボード5の長辺方向に沿って、これらのビス6、6、…の間を通過するように近似直線LEを算出し、この近似直線LEを挟み両側に存在するビスを2つのビス列と判定してもよい。
【0082】
この近似直線LEは、各ビス6、6、…の座標に対して主成分分析を行い、第1成分の方向を近似直線LEの傾き(延在する方向)として、たとえば、これらの2つのビスの個数が均等となる位置、または、主成分分析の第2主成分方向に沿った中央の位置に、近似直線LEを設定してもよい。このようにして得られた近似直線LEは、石膏ボード5同士の境界線に略一致するため、この近似直線LEを石膏ボード5の縦方向の境界線として設定してもよい。
【0083】
ここで、
図15に示すように、ビス列判定部15において、どのビス列にも属さなさいと判定されたビス6cが存在することがある。このような場合には、2つのビス列に再判定する前に、短辺方向の幅R1に収まる再判定前のビス列の列群の領域に対して、短辺方向の両側に所定の範囲(幅R2)で存在するビス6cを、再判定するビス列に含めて、このビス列を構成する複数のビスを、上に示す方向で2つのビス列に再判定してもよい。
【0084】
第2列再判定部16jは、まず、ビス列判定部15により判定された各ビス列に対して、長辺方向において隣り合うビス6、6同士のビス間隔を算出する。たとえば、
図13に示すように、算出したビスの間隔のうち、所定の間隔以下の狭い間隔(短い間隔)の割合が多い場合には、2列のビス列を1列のビス列と誤判定し、誤判定した1列とみなしたビス列の間隔を算出したものと推定できる。
【0085】
そこで、第2列再判定部16jは、ビス列ごとに、算出したビスの間隔の全体個数に対して、算出した間隔が所定の間隔以下となる個数の割合が、一定以上であるビス列を特定し、特定したビス列を、2つのビス列に再判定する。なお、ここでの所定の間隔は、たとえば50mmであり、一定以上とは、全体個数に対して、たとえば、1/4以上である。なお、第2列再判定部16jにおける2つのビス列の再判定は、
図15を参照して、先に説明したとおりである。
【0086】
以下に、
図15を参照し、第2実施形態に係るビス列の再判定を説明する。まず、ステップS111で、列間隔算出部16fにより、隣り合うビス列同士の列間隔を算出する。次にステップS112で、第1列間隔判定部16gにより、算出したビス列同士の列間隔のうち、所定の第1閾値以下となる列間隔が、短辺方向に沿って、複数回(2回以上)連続するかを判定する。
【0087】
ここで、ステップS112で、ビス列の列間隔が連続している場合(Yesの場合)には、ステップS113に進み、第1列再判定部16hは、列間隔が連続する3以上のビス列の列群が、2つのビス列であるため、誤判定されたと推定し、この列群を構成するビス列を記録し、ステップS114に進む。一方、ステップS112で、ビス列の列間隔が連続していない場合(Noの場合)にも、ステップS114に進む。
【0088】
ステップS114では、全てのビス列の間隔に対して、ステップS112の判定を行ったかの判断を行う。ここで、全てのビス列の間隔に対して、判定を行った場合(Yesの場合)には、ステップS115に進み、そうでない場合(Noの場合)には、ステップS112に戻る。
【0089】
ステップS115では、第2列再判定部16jにより、ビス列判定部15により判定された各ビス列に対して、隣り合うビス6同士のビス間隔を算出する。次に、第2列再判定部16jにより、ビス列ごとに、算出したビスの間隔の全体個数に対して、算出した間隔が所定の間隔以下となる個数の割合を算出し、ステップS116に進む。
【0090】
ステップS116では、個数の割合が一定以上であるビス列は、2つのビス列を1つのビス列であると誤判定しているため、第2列再判定部16jは、このビス列を記録し、ステップS117に進む。ステップS117では、全てのビス列に対して判定を行ったかを判断する。全てのビス列に対して判定を行ったと判断した場合(Yesの場合)には、ステップS118に進み、そうでない場合(Noの場合)には、ステップS115に戻る。
【0091】
ステップS118では、第1列再判定部16hにより、記録した列群ごとに、これらを2つのビス列に再判定し、第2列再判定部16jにより、記録したビス列ごとに、これらの2つのビス列を再判定する。このようにして、誤判定したビス列の列群およびビス列を、2つのビス列からなるビス列として、正確に再判定することができる。
【0092】
次に、
図17および
図18を参照して、第2実施形態の変形例を説明する。この変形例では、
図17に示すように、第2列間隔判定部16iをさらに設けた点である。第2列間隔判定部16iは、列間隔算出部16fで算出したビス列同士の列間隔のうち、所定の第2閾値以上となる列間隔が、石膏ボード5の短辺方向に沿って、一定回数以上連続するかを判定する。
【0093】
ここで、第2閾値は、たとえば、100mmであり、たとえば、石膏ボード5の長辺方向の両縁において、予め決められたビス列間の距離を、これらの間に配置されるビス列の個数で除算した値よりも小さい値であり、かつ、施工前において設定された石膏ボード5の境界の隣り合うビス列の間隔よりも大きい値であり、たとえば、この除算した値に1/2~1/5の範囲の値を乗じた値である。さらに、一定回数は、たとえば、両縁のビス列間に配置されるビス列の個数+2以上であり、たとえば、
図13の場合には、一定回数は3回以上である。
【0094】
そして、第2列再判定部16jは、第2列間隔判定部16iが、一定回数以上連続すると判定した場合には、一定回数以上連続すると判定したビス列の群の各ビス列に対して、先に示したビス列の再判定を行う。
【0095】
以下に、
図18を参照し、第2実施形態の変形例に係るビス列の再判定の方法を説明する。まず、ステップS121で、列間隔算出部16fにより、隣り合うビス列同士の列間隔を算出する。次に、ステップS122で、第2列間隔判定部16iにより、所定の第2閾値以上となる列間隔が、石膏ボード5の短辺方向に沿って、一定回数以上連続するかを判定する。
【0096】
連続すると判定した場合(Yesの場合)には、一定回数以上連続すると判定したビス列の群の各ビス列のうち、少なくとも1つのビス列は、2つのビス列で構成されていると判断できるため、ステップS123に進む。
【0097】
ステップS123では、第2列再判定部16jにより、ビス列ごとに、算出したビスの間隔の全体個数に対して、算出した間隔が所定の間隔以下となる個数の割合を算出し、ステップS124に進む。
【0098】
ステップS124では、個数の割合が一定以上であるビス列は、2つのビス列を1つのビス列であると誤判定しているため、第2列再判定部16jは、このビス列を記録し、ステップS125に進む。ステップS125では、ステップS122の対象のビス列に対して、ステップS123、S124の判定を行ったかを確認し、判定が完了していない場合(Noの場合)には、ステップS123に戻る。判定が完了している場合(Yesの場合)には、ステップS126に進む。
【0099】
次に、ステップS126では、第1列間隔判定部16gにより、算出したビス列同士の列間隔のうち、所定の第1閾値以下となる列間隔が、短辺方向に沿って、複数回(2回以上)連続するかを判定する。ここで、ステップS126で、ビス列の列間隔が連続している場合(Yesの場合)には、ステップS127に進み、第1列再判定部16hは、列間隔が連続する3以上のビス列の列群が、2つのビス列であるため、誤判定されたと推定し、この列群を構成するビス列を記録し、ステップS128に進む。一方、ステップS127で、ビス列の列間隔が連続していない場合(Noの場合)にも、ステップS128に進む。
【0100】
ステップS128では、全てのビス列の間隔に対して、ステップS122からステップS127までの判定を行ったかの判断を行う。ここで、全てのビス列の間隔に対して、判定を行った場合(Yesの場合)には、ステップS129に進み、そうでいない場合(Noの場合)には、ステップS122に戻る。
【0101】
ステップS129では、撮像画像の両端に位置するビス列に対して、ステップS123、S124を実施し、ステップS130に進む。これにより、両端のビス列が、2列のビス列を1列のビス列と誤判定しているか否かを確認することができる。
【0102】
最後に、ステップS130では、第1列再判定部16hにより、記録した列群ごとに、これらを2つのビス列に再判定し、第2列再判定部16jにより、記録したビスごとに、これらの2つのビス列を再判定する。このようにして、誤判定したビス列の列群およびビス列を、2つのビス列からなるビス列として、正確に再判定することができる。
【0103】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0104】
5:石膏ボード(板材)、6、6s、6t:ビス(固定具)、10:推定装置、11:位置特定部、14:ビス個数推定部(固定具個数推定部)、15:ビス列判定部(固定具列判定部)、16a:第1ビス判定部(第1固定具判定部)、16b:第2ビス判定部(第2固定具判定部)、16c:第1判定補正部、16d:近似直線算出部、16e:第2判定補正部、17:ピッチ算出部(間隔算出部)、20:撮像装置、PS:一方のビス列、PT:他方のビス列、G:石膏ボードの画像、w:山状波形、W:合成波形