(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158846
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】動力伝達システム及び建設機械
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20221006BHJP
F16F 15/023 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F16H1/32 A
F16F15/023 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169304
(22)【出願日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】P 2021061521
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021099458
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正隆
【テーマコード(参考)】
3J027
3J048
【Fターム(参考)】
3J027FA11
3J027FA37
3J027FB10
3J027GC03
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
3J027GE30
3J048AA06
3J048AC04
3J048BE02
3J048BE03
3J048CB21
3J048EA07
(57)【要約】
【課題】耐衝撃性を向上させることが可能な動力伝達システム及び建設機械を提供する。
【解決手段】動力伝達システム10は、少なくとも1組(例えば、3組)の回転電機21、減速機23及びダンパー25を備える。減速機23の入力部は回転電機21の出力部に連結されている。減速機23は、互いに噛み合う複数の歯車を有するとともにバックラッシを有する歯車機構である。ダンパー25は、減速機23の固定部又は固定部に連結される部材と、減速機23の出力部又は出力部に連結される部材との間に連結されている。ダンパー25は、減速機23で動力を出力する出力部と出力部を支持する固定部との間に設けられるバックラッシ中で作用する荷重を低減させる。ダンパー25は、バックラッシ中で作用する荷重に起因する可動部の速度の増大に伴って増大傾向に変化する低減力を発生させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに噛み合う複数の歯車を有するとともにバックラッシを有する歯車機構と、
前記バックラッシ中で作用する荷重を低減させる負荷と、
を備える
動力伝達システム。
【請求項2】
前記負荷は、
前記バックラッシ中での前記荷重に起因する可動部の速度の増大に伴って増大傾向に変化する低減力を発生させるダンパーである
請求項1に記載の動力伝達システム。
【請求項3】
前記負荷は、
前記歯車機構で動力を出力する出力部と前記出力部を支持する固定部との間に設けられる前記バックラッシ中で作用する前記荷重を低減させる
請求項1又は請求項2に記載の動力伝達システム。
【請求項4】
互いに噛み合う複数の歯車を有するとともにバックラッシを有する減速機と、
前記バックラッシ中で作用する荷重に起因する可動部の速度の増大に伴って増大傾向に変化する低減力を発生させるダンパーと、
を備える
動力伝達システム。
【請求項5】
本体と、
前記本体に連結されるブームと、
前記ブームに連結されるアームと、
前記アームに連結されるアタッチメントと、
前記本体と前記ブームとの連結部、前記ブームと前記アームとの連結部、及び前記アームと前記アタッチメントとの連結部の少なくともいずれか一つの前記連結部に設けられる動力伝達システムと、
前記動力伝達システムに動力を出力する回転電機と、
を備え、
前記動力伝達システムは、
互いに噛み合う複数の歯車を有するとともにバックラッシを有する減速機と、
前記バックラッシ中で作用する荷重に起因する可動部の速度の増大に伴って増大傾向に変化する低減力を発生させるダンパーと、
を備える
建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達システム及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動力伝達部と出力部との間に弾性材料のダンパーを備える減速機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の従来技術のような減速機及び電動機を建設機械のアーム又はブーム等に駆動装置として搭載する場合、ダンパーの素材強度の不足によって、外部から入力される衝撃を減速機で適正に吸収することができない可能性があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、耐衝撃性を向上させることが可能な動力伝達システム及び建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る動力伝達システムは、互いに噛み合う複数の歯車を有するとともにバックラッシを有する歯車機構と、前記バックラッシ中で作用する荷重を低減させる負荷とを備える。
【0007】
このように構成することで、歯車機構のバックラッシ中で作用する荷重を負荷によって低減させることができる。例えば負荷を備えない場合に比べて、歯車機構の耐衝撃性を向上させることができる。
【0008】
上記構成で、前記負荷は、前記バックラッシ中での前記荷重に起因する可動部の速度の増大に伴って増大傾向に変化する低減力を発生させるダンパーであってもよい。
【0009】
上記構成で、前記負荷は、前記歯車機構で動力を出力する出力部と前記出力部を支持する固定部との間に設けられる前記バックラッシ中で作用する前記荷重を低減させてもよい。
【0010】
本発明の他の態様に係る動力伝達システムは、互いに噛み合う複数の歯車を有するとともにバックラッシを有する減速機と、前記バックラッシ中で作用する荷重に起因する可動部の速度の増大に伴って増大傾向に変化する低減力を発生させるダンパーとを備える。
【0011】
このように構成することで、減速機のバックラッシ中で作用する荷重をダンパーによって低減させることができる。例えばダンパーを備えない場合に比べて、減速機の耐衝撃性を向上させることができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る建設機械は、本体と、前記本体に連結されるブームと、前記ブームに連結されるアームと、前記アームに連結されるアタッチメントと、前記本体と前記ブームとの連結部、前記ブームと前記アームとの連結部、及び前記アームと前記アタッチメントとの連結部の少なくともいずれか一つの前記連結部に設けられる動力伝達システムと、前記動力伝達システムに動力を出力する回転電機と、を備え、前記動力伝達システムは、互いに噛み合う複数の歯車を有するとともにバックラッシを有する減速機と、前記バックラッシ中で作用する荷重に起因する可動部の速度の増大に伴って増大傾向に変化する低減力を発生させるダンパーと、を備える。
【0013】
このように構成することで、回転電機から出力される動力によって建設機械の各部位を駆動することができる。また、例えば各部位に衝撃荷重が入力される場合であっても、バックラッシ中で作用する衝撃荷重を低減させることができ、耐衝撃性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、歯車機構のバックラッシ中で作用する荷重を低減させる負荷を備えることによって、歯車機構の耐衝撃性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る動力伝達システムを備える建設機械を示す図。
【
図2】
図1に示す動力伝達システムの減速機の一部を破断して示す斜視図。
【
図3】
図1に示す動力伝達システムの一部を拡大して示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る動力伝達システム及び建設機械について添付図面を参照しながら説明する。
【0017】
<建設機械>
図1は、実施形態に係る動力伝達システム10を備える建設機械1を示す図である。
図1に示すように、建設機械1は、例えば、掘削機の一種である、いわゆる動力ショベルである。
建設機械1は、旋回部3a及び走行部3bを有する本体3と、本体3に連結されるブーム5と、ブーム5に連結されるアーム7と、アーム7に連結されるバケット(請求項におけるアタッチメントの一例)9と、動力伝達システム10と、を備える。
【0018】
<動力伝達システム>
動力伝達システム10は、少なくとも1組(例えば、3組)の回転電機21、減速機23及びダンパー25を備える。例えば、3組の回転電機21、減速機23及びダンパー25は、第1回転電機21a、第1減速機23a及び第1ダンパー25aと、第2回転電機21b、第2減速機及23b及び第2ダンパー25bと、第3回転電機21c、第3減速機23c及び第3ダンパー25cと、である。
【0019】
<減速機>
減速機23は、互いに噛み合う複数の歯車を有するとともにバックラッシを有する歯車機構である。減速機23は、例えば偏心揺動型の歯車伝動装置である。
減速機23の入力部は回転電機21の出力部に連結されている。減速機23は、例えば、回転電機21から入力部に入力される動力の回転速度を減じることによって、減速後の動力を出力部から出力する。減速機23のバックラッシは、少なくとも減速機23の固定部と出力部との間に設けられている。減速機23の固定部は、例えば、減速機23の複数の歯車を収容するケースであって、回転電機21のケースに固定されている。
【0020】
図2は、
図1に示す動力伝達システム10の減速機23の一部を破断して示す斜視図である。
図2に示すように、減速機23は、例えば、固定部であるケース31と、出力部であるキャリア33と、入力部である入力ギヤ35と、複数の伝達ギヤ37と、複数のクランク軸39と、第1揺動歯車41及び第2揺動歯車43と、を備える。
ケース31は、例えば回転電機21のケースに固定されている。ケース31の内周面は、複数の内歯ピン31aを保持する複数のピン溝が形成された内歯部を備える。
キャリア33は、被駆動部(図示略)に接続される。キャリア33は、クランク軸39と、第1揺動歯車41及び第2揺動歯車43と、を支持する。
入力ギヤ35は、回転電機21の出力部に連結される。
【0021】
複数(例えば、3つ)の伝達ギヤ37は、入力ギヤ35に噛み合う。複数の伝達ギヤ37は、スプライン結合等によってクランク軸39に連結される。
複数(例えば、3つ)のクランク軸39は、キャリア33に支持される軸部39aと、軸部39aに設けられる2つの偏心部39bと、を備える。各クランク軸39の2つの偏心部39bは、第1揺動歯車41及び第2揺動歯車43に形成された貫通孔に挿入されている。
【0022】
第1揺動歯車41及び第2揺動歯車43の外周面は、ケース31の内歯部の複数の内歯ピン31aに噛み合う外歯を備える。第1揺動歯車41及び第2揺動歯車43は、入力ギヤ35の回転駆動力を受ける各クランク軸39の回転に伴って偏心部39bとともに偏心運動する。これにより、第1揺動歯車41及び第2揺動歯車43は、ケース31の複数の内歯ピン31aの一部に外歯を噛み合わせながら揺動回転して、キャリア33とともにケース31に対して軸線Oの軸回りに回転する。
【0023】
減速機23のバックラッシは、例えば、入力ギヤ35を固定した状態でキャリア33に回転を加えたときに、キャリア33が軸線Oの軸回りに回転可能な隙間の角度範囲(以下、単に角度範囲という)である。減速機23のバックラッシは、例えば、入力ギヤ35と複数の伝達ギヤ37との間、各揺動歯車41,42の外歯とケース31の内歯部との間及び伝達ギヤ37とクランク軸39との間のスプライン結合等の各々のバックラッシの合計である。バックラッシは、製品出荷時の状態での上記の角度範囲から経年変化によって製品出荷時よりも大きくなることを含む変動した上記の角度範囲を含む。
【0024】
<ダンパー>
ダンパー25は、減速機23のバックラッシ中で作用する荷重を低減させる負荷である。バックラッシ中で作用する荷重とは、上記の角度範囲でバックラッシを形成する各歯車(例えば、入力ギヤ35、複数の伝達ギヤ37、各揺動歯車41,42、伝達ギヤ37、及びクランク軸39等)が回転している最中に、減速機23の固定部又は固定部に連結される部材と、減速機の出力部又は出力部に連結される部材と、の間で作用する荷重である。これら減速機23の固定部、固定部に連結される部材、減速機の出力部、及び出力部に連結される部材についての具体例は後述する。
【0025】
ダンパー25は、荷重に起因する可動部の速度の増大に伴って増大傾向に変化する低減力を発生させる。ダンパーは、例えば、回転型のロータリーダンパー又は伸縮型のシリンダーダンパー等であって、空気等の気体又はオイル等の液体の流体抵抗によって低減力を発生させる。ダンパー25は、例えば、荷重に起因する可動部(例えば、シリンダー又はローター等)の速度又は速度の2乗等に比例する低減力を発生させる。
ダンパー25は、減速機23の固定部又は固定部に連結される部材と、減速機23の出力部又は出力部に連結される部材との間に連結されている。ダンパー25は、減速機23の固定部と出力部との間に設けられるバックラッシ中で作用する荷重を低減させる。
【0026】
例えば、減速機23が回転電機21から入力される動力に応じた減速後の動力を出力部から出力する状態でより大きな逆方向の荷重が出力部に入力されると、この荷重に起因して減速機23のバックラッシ中で可動部材が逆方向に変位する。可動部材の逆方向の変位は、例えば、互いに噛み合う2つの歯車のうち出力部側の歯車の逆回転等である。バックラッシ中で逆方向(つまり、バックラッシによって隙間又は遊びが設けられている側)に変位する可動部材の速度は急激に増大する。
ダンパー25は、減速機23の出力部側から入力される荷重によってバックラッシ中での可動部材の速度が増大して衝撃が発生する場合に、速度の増大を規制する。これによって、ダンパー25は、力積の総量は変化させないように力の作用時間を増大させるとともに力の大きさを低下させる。
【0027】
ダンパー25は、減速機23の入力部から入力される回転電機21の動力に対しては、バックラッシ中で回転電機21の動力の一部を伝達することによって、力積の総量を減少させ、減速機23に作用する動力の負担を軽減する。
【0028】
図1に示すように、第1回転電機21a、第1減速機23a及び第1ダンパー25aは、本体3とブーム5との連結部に配置されている。例えば、第1回転電機21a及び第1減速機23aを収容するケースは、本体3に設けられた支持部3cに固定されている。第1減速機23aの出力部はブーム5に連結されている。第1減速機23aは、第1回転電機21aから発生する動力によってブーム5を回転駆動する。
【0029】
第1ダンパー25aは、本体3の支持部3cとブーム5との間に連結されている。第1ダンパー25aは、第1減速機23aの固定部と出力部との間に設けられるバックラッシ中で作用する荷重(ブーム5に入力される衝撃荷重等)を低減させる。
【0030】
第2回転電機21b、第2減速機23b及び第2ダンパー25bは、ブーム5とアーム7の連結部に配置されている。例えば、第2回転電機21b及び第2減速機23bを収容するケースは、ブーム5に固定されている。第2減速機23bの出力部は、アーム7に連結されている。第2減速機23bは、第2回転電機21bから発生する動力によってアーム7を回転駆動する。
【0031】
第2ダンパー25bは、ブーム5とアーム7の間に連結されている。第2ダンパー25bは、第2減速機23bの固定部と出力部との間に設けられるバックラッシ中で作用する荷重(アーム7に入力される衝撃荷重等)を低減させる。
【0032】
第3回転電機21c、第3減速機23c及び第3ダンパー25cは、アーム7とバケット9との連結部に配置されている。例えば、第3回転電機21c及び第3減速機23cを収容するケースは、アーム7に固定されている。第3減速機23cの出力部は、バケット9に連結されている。第3減速機23cは、第3回転電機21cから発生する動力によってバケット9を回転駆動する。
【0033】
第3ダンパー25cは、アーム7とバケット9との間に連結されている。第3ダンパー25cは、第3減速機23cの固定部と出力部との間に設けられるバックラッシ中で作用する荷重(バケット9に入力される衝撃荷重等)を低減させる。
【0034】
図3は、
図1に示す動力伝達システム10の一部を拡大して示す図である。
図3に示すように、第2減速機23bに設けられるバックラッシBは、例えば、第2回転電機21bの動力によって回転するアーム7に回転方向の逆方向に荷重が作用した場合にアーム7が逆回転可能な角度範囲、又は、第2回転電機21bからの入力がゼロであるアーム7に荷重が作用した場合にアーム7が回転可能な角度範囲等である。
【0035】
ブーム5とアーム7の間に連結された第2ダンパー25bは、第2減速機23bのバックラッシB間に作用する荷重に起因する第2ダンパー25bの可動部27の速度の増大に伴って増大傾向に変化する低減力を発生させる。
ここで、製品出荷時での減速機23のバックラッシは、例えば、一定の下限値及び上限値によって規定される一定範囲の値である。一定の下限値は、例えば、ダンパー25による所望の衝撃低減を確保するために必要とされる値である。一定の下限値は、例えば、10~15[arc・min]程度である。一定の上限値は、例えば、減速機23の所望の操作性を確保するために必要とされる値である。一定の上限値は、例えば、20~30[arc・min]程度である。
【0036】
上述したように、実施形態の動力伝達システム10は、減速機23のバックラッシ中で作用する荷重を低減させるダンパー25を備える。このため、例えばダンパー25を備えない場合に比べて、減速機23の耐衝撃性を向上させることができる。
とりわけ、ダンパー25は、減速機23の固定部又は固定部に連結される部材と、減速機23の出力部又は出力部に連結される部材との間に連結されているので、減速機23のバックラッシを利用して効率よく外部からの衝撃を吸収できる。このため、減速機23の耐衝撃性をさらに向上させることができる。
【0037】
上述したように、実施形態の建設機械1は、回転電機21から出力される動力によって建設機械1の各部位を駆動することができるとともに、例えば各部位に衝撃荷重が入力される場合であっても、バックラッシ中で作用する衝撃荷重を低減させることができ、耐衝撃性を向上させることができる。
【0038】
[変形例]
以下、実施形態の変形例について説明する。なお、上述した実施形態と同一部分については、同一符号を付して説明を省略又は簡略化する。
【0039】
上述の実施形態の建設機械1に搭載される動力伝達システム10では、ダンパー25は減速機23の外部に配置されるとしたが、これに限定されず、ダンパー25は減速機23の内部に配置されてもよい。
【0040】
上述の実施形態では、動力伝達システム10は建設機械1に搭載されるとしたが、これに限定されない。動力伝達システム10は、建設機械1以外の他の機器に搭載されてもよい。この場合、動力伝達システム10の回転電機21は省略されてもよいし、減速機23の代わりに適宜の歯車機構を備えてもよい。
【0041】
減速機23としても、上述の実施形態ではいわゆる偏心揺動型の減速機23として、固定部であるケース31と、出力部であるキャリア33と、入力部である入力ギヤ35と、複数の伝達ギヤ37と、複数のクランク軸39と、第1揺動歯車41及び第2揺動歯車43と、を備える場合について説明した。しかしながら、偏心揺動型の減速機としては上述の構成に限られるものではなく、少なくとも1つのクランク軸39と、このクランク軸39によって揺動回転される揺動歯車を備えればよい。
【0042】
例えば、1本のクランク軸39を有する偏心揺動型の減速機についてより具体的に説明する。この場合の減速機は、クランク軸39として軸線Oと同軸上のいわゆるセンタークランク軸を有する。このセンタークランク軸の回転に伴って、各揺動歯車41,42が揺動回転される。
【0043】
上述の建設機械1では、アタッチメントの一例としてアーム7にバケット9を連結した場合について説明したが、これに限定されない。アタッチメントとして、フォーク等さまざまなアタッチメントを適用することができる。
【0044】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0045】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0046】
1…建設機械
3…本体
5…ブーム
7…アーム
9…バケット(アタッチメント)
10…動力伝達システム
21…回転電機
23…減速機(歯車機構)
25…ダンパー(負荷)
27…可動部
31…ケース(固定部)
33…キャリア(出力部)
35…入力ギヤ(歯車、入力部)
37…伝達ギヤ(歯車)
39…クランク軸
41…第1揺動歯車(歯車)
43…第2揺動歯車(歯車)