(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158869
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】駆動伝達装置及び建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20221006BHJP
E02F 3/38 20060101ALI20221006BHJP
F16H 1/32 20060101ALN20221006BHJP
F16H 1/14 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
E02F9/00 Z
E02F3/38 B
F16H1/32 A
F16H1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197865
(22)【出願日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2021062017
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】久田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】小森 悦朗
【テーマコード(参考)】
3J009
3J027
【Fターム(参考)】
3J009EA06
3J009EA16
3J009EA32
3J027FB10
3J027GC03
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制しつつ、ラジアル荷重やモーメント荷重といった外部荷重を抑制する。
【解決手段】駆動伝達装置1が、回転軸線C2回りに回転自在に互いに連結された第1部材109および第2部材110と、第1部材と第2部材とを互いに駆動する回転力を発生させる駆動源120と、第2部材に設けられ回転軸線方向に沿って離間して対向配置される2つのブラケット部111,112と、第1部材に接続されて回転軸線方向でブラケット部の間に位置するシャフト部2と、シャフト部2に取り付けられて一方のブラケット部111の回転軸線方向内側となる対向面111aに出力部14が取り付けられる減速部4と、シャフト部に対して回転軸線周りに回転自在に連結されるとともに他方のブラケット部112の回転軸線方向内側となる対向面112aに取り付けられるハウジング部6と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト部と、
前記シャフト部に取り付けられた減速部と、
前記シャフト部に対して前記減速部の出力の回転軸線周りに回転自在に連結されるとともに一方のブラケット部に取り付けられたハウジング部と、
を備え、
前記減速部は、
駆動源からの回転駆動力が入力される入力部と、
前記一方のブラケット部と一体化され前記回転軸線方向に沿って離れて対向配置された他方のブラケット部に取り付けられた出力部と、
を有する、
駆動伝達装置。
【請求項2】
前記シャフト部と前記ハウジング部とが、互いに前記回転軸線方向に移動可能である、
請求項1記載の駆動伝達装置。
【請求項3】
前記ハウジング部は、リング状とされて前記シャフト部の周りに嵌め合わされ、前記回転軸線方向において前記ハウジング部の外周と前記シャフト部の外周との間に隙間が形成されている、
請求項2記載の駆動伝達装置。
【請求項4】
前記ハウジング部の外周と前記シャフト部の外周との間にラビリンスシールを有する、
請求項3記載の駆動伝達装置。
【請求項5】
対向配置された前記一方と他方のブラケット部のうち少なくとも片方の対向面には、前記回転軸線に沿った内側方向に所定の高さを有する組み立て位置規制部が設けられ、
前記回転軸線に沿った方向において、前記組み立て位置規制部の高さよりも前記隙間の離間距離のほうが大きい、
請求項3または4記載の駆動伝達装置。
【請求項6】
前記ハウジング部と前記シャフト部との間に軸受が設けられ、
前記軸受は、前記ハウジング部と前記シャフト部とのいずれか一方に対して絞まり嵌めとされて他方に隙間嵌めとされている、
請求項2から5のいずれか記載の駆動伝達装置。
【請求項7】
前記回転軸線周りにおける前記ハウジング部と前記一方のブラケット部との接続位置の径寸法、および、前記回転軸線周りにおける前記減速部と前記他方のブラケット部との接続位置の径寸法が等しい、
請求項1から6のいずれか記載の駆動伝達装置。
【請求項8】
シャフト部と、
前記シャフト部に取り付けられた減速部と、
前記シャフト部に対して回転軸線周りに回転自在に連結されるとともに一方のブラケット部に取り付けられたハウジング部と、
を備え、
前記減速部は、
駆動源からの回転駆動力が入力される入力部と、
他方のブラケット部に取り付けられた出力部と、
を有し、
前記他方のブラケット部は、前記一方のブラケット部と一体化され前記回転軸線方向に沿って離れて対向配置されており、
前記出力部は、前記他方のブラケット部に取り付けられるとともに前記回転軸線周りに回転し、
前記シャフト部と前記ハウジング部とが、互いに前記回転軸線方向に移動可能であり、
前記ハウジング部は、リング状とされて前記シャフト部の周りに嵌め合わされ、前記回転軸線方向において前記ハウジング部の外周と前記シャフト部の外周との間に隙間が形成され、
前記ハウジング部の外周と前記シャフト部の外周との間にラビリンスシールを有し、
対向配置された前記一方と他方のブラケット部のうち少なくとも片方の対向面には、前記回転軸線に沿った内側方向に所定の高さを有する組み立て位置規制部が設けられ、
前記回転軸線に沿った方向において、前記組み立て位置規制部の高さよりも前記隙間の離間距離のほうが大きく、
前記ハウジング部と前記シャフト部との間に軸受が設けられ、
前記軸受は、前記ハウジング部と前記シャフト部とのいずれか一方に対して絞まり嵌めとされて他方に隙間嵌めとされ、
前記回転軸線周りにおける前記ハウジング部と前記一方のブラケット部との接続位置の径寸法、および、前記回転軸線周りにおける前記減速部と前記他方のブラケット部との接続位置の径寸法が等しい、
建設機械。
【請求項9】
請求項8記載の建設機械の組み立て方法であって、
前記回転軸線方向に前記ハウジング部と前記シャフト部とを近づけて、前記ハウジング部と前記シャフト部との間に形成された前記隙間を縮める縮間工程と、
前記縮間工程後に、前記ブラケット部の間に前記回転軸線と交差する方向から前記シャフト部を挿入する挿入工程と、
前記挿入工程後に、前記回転軸線方向に前記ハウジング部と前記シャフト部とを遠ざけて、前記ハウジング部と前記シャフト部との間に形成された前記隙間を伸ばす伸間工程と、
前記ブラケット部のうち一方のブラケット部の前記回転軸線方向内側となる前記対向面に前記減速部の前記出力部を取り付ける取付工程と、
前記ブラケット部のうち他方のブラケット部の前記回転軸線方向内側となる前記対向面に前記ハウジング部を取り付ける取付工程と、
を有する、
建設機械の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駆動伝達装置及び建設機械に関し、特に、ショベル向け関節部アクチュエータの構造とシール形成機構に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、油圧ショベル等の建設機械は、自走する走行体と、走行体に旋回自在に設けられた旋回体と、を備える。旋回体は、操作者が搭乗される操作室を備える。また、旋回体には、一端が回転自在(揺動自在)に連結された作用部が設けられている。作用部としては、例えば、ブームと、ブームの旋回体とは反対側の他端に回転自在に一端が連結されたアームと、アームのブームとは反対側の他端に回転自在に連結されたバケットと、が挙げられる。
【0003】
旋回体とブームとの連結部、ブームとアームとの連結部、及びアームとバケットとの連結部には、駆動伝達装置として、直動機構の油圧アクチュエータが設けられている場合が多い。油圧アクチュエータを駆動することにより、走行体に対して旋回体を旋回運動させたり、ブーム、アーム、及びバケットを揺動運動させたりする。
ところで近年、建設機械の構造簡素化等の観点から電動化が望まれている。このため、駆動伝達装置として、電動アクチュエータを用いることが提案されている。例えば、油圧アクチュエータに代わってボールねじ式の変速部(減速装置)を内蔵した直動機構の電動シリンダを用いる技術が開示されている(特許文献1)。
さらに、電動化に伴って、減速機(減速部)としてロータリアクチュエータを用いた構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
建設機械は、その使用環境から各連結部に大きな負荷がかかりやすい。このため、アクチュエータ、特に変速部は十分に負荷に耐え得る機械的強度が必要になる。ここで、電動アクチュエータとしてリニアアクチュエータを用いた場合、このリニアアクチュエータは、推力の向きが入力レバーに対して垂直に作用しない分は仕事をせず効率が悪くなる。
これに対して、ロータリアクチュエータを用いた場合、このロータリアクチュエータは入力レバーの向きによらず効率が良い。
【0006】
しかし、ロータリアクチュエータにラジアル荷重やモーメント荷重が発生し、ロータリアクチュエータ、特に、減速機が片側のみに設けられた場合には、ラジアル荷重やモーメント荷重が偏り、必要な強度を得ようとするとアクチュエータが大型化するという問題があった。あるいは、大型化を抑制した場合には、減速機の寿命が縮まる可能性があるという課題があった。
【0007】
本発明は、大型化を抑制しつつ、ラジアル荷重やモーメント荷重といった荷重を抑制できる駆動伝達装置及び建設機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一態様に係る駆動伝達装置は、
シャフト部と、
前記シャフト部に取り付けられた減速部と、
前記シャフト部に対して前記減速部の出力の回転軸線周りに回転自在に連結されるとともに一方のブラケット部に取り付けられたハウジング部と、
を備え、
前記減速部は、
駆動源からの回転駆動力が入力される入力部と、
前記一方のブラケット部と一体化され前記回転軸線方向に沿って離れて対向配置された他方のブラケット部に取り付けられた出力部と、
を有する、
ことにより上記課題を解決した。
【0009】
本発明の一態様においては、このように構成することで、2つの減速部が必要なく1つの減速部のみ有するため大型化を抑制できる。また、減速部と、減速部の出力部の回転軸線に同軸のハウジングとで、対として一体化されたブラケットをラジアル荷重やモーメント荷重といった荷重を抑制しつつ回転することができる。
【0010】
(2)本発明の一態様に係る駆動伝達装置は、上記(1)において、
前記シャフト部と前記ハウジング部とが、互いに前記回転軸線方向に移動可能である、
ことができる。
【0011】
(3)本発明の一態様に係る駆動伝達装置は、上記(2)において、
前記ハウジング部は、リング状とされて前記シャフト部の周りに嵌め合わされ、前記回転軸線方向において前記ハウジング部の外周と前記シャフト部の外周との間に隙間が形成されている、
ことができる。
【0012】
(4)本発明の一態様に係る駆動伝達装置は、上記(3)において、
前記ハウジング部の外周と前記シャフト部の外周との間にラビリンスシールを有する、
ことができる。
【0013】
(5)本発明の一態様に係る駆動伝達装置は、上記(3)または(4)において、
対向配置された前記一方と他方のブラケット部のうち少なくとも片方の対向面には、前記回転軸線に沿った内側方向に所定の高さを有する組み立て位置規制部が設けられ、
前記回転軸線に沿った方向において、前記組み立て位置規制部の高さよりも前記隙間の離間距離のほうが大きい、
ことができる。
【0014】
(6)本発明の一態様に係る駆動伝達装置は、上記(2)から(5)のいずれかにおいて、
前記ハウジング部と前記シャフト部との間に軸受が設けられ、
前記軸受は、前記ハウジング部と前記シャフト部とのいずれか一方に対して絞まり嵌めとされて他方に隙間嵌めとされている、
ことができる。
【0015】
(7)本発明の一態様に係る駆動伝達装置は、上記(1)から(6)のいずれかにおいて、
前記回転軸線周りにおける前記ハウジング部と前記一方のブラケット部との接続位置の径寸法、および、前記回転軸線周りにおける前記減速部と前記他方のブラケット部との接続位置の径寸法が等しい、
ことができる。
【0016】
(8)本発明の他の態様に係る建設機械は、
シャフト部と、
前記シャフト部に取り付けられた減速部と、
前記シャフト部に対して回転軸線周りに回転自在に連結されるとともに一方のブラケット部に取り付けられたハウジング部と、
を備え、
前記減速部は、
駆動源からの回転駆動力が入力される入力部と、
他方のブラケット部に取り付けられた出力部と、
を有し、
前記他方のブラケット部は、前記一方のブラケット部と一体化され前記回転軸線方向に沿って離れて対向配置されており、
前記出力部は、前記他方のブラケット部に取り付けられるとともに前記回転軸線周りに回転し、
前記シャフト部と前記ハウジング部とが、互いに前記回転軸線方向に移動可能であり、
前記ハウジング部は、リング状とされて前記シャフト部の周りに嵌め合わされ、前記回転軸線方向において前記ハウジング部の外周と前記シャフト部の外周との間に隙間が形成され、
前記ハウジング部の外周と前記シャフト部の外周との間にラビリンスシールを有し、
対向配置された前記一方と他方のブラケット部のうち少なくとも片方の対向面には、前記回転軸線に沿った内側方向に所定の高さを有する組み立て位置規制部が設けられ、
前記回転軸線に沿った方向において、前記組み立て位置規制部の高さよりも前記隙間の離間距離のほうが大きく、
前記ハウジング部と前記シャフト部との間に軸受が設けられ、
前記軸受は、前記ハウジング部と前記シャフト部とのいずれか一方に対して絞まり嵌めとされて他方に隙間嵌めとされ、
前記回転軸線周りにおける前記ハウジング部と前記一方のブラケット部との接続位置の径寸法、および、前記回転軸線周りにおける前記減速部と前記他方のブラケット部との接続位置の径寸法が等しい、
ことにより上記課題を解決した。
【0017】
本発明の一態様においては、このように構成することで、減速部とハウジング部とを回転軸線方向の同軸上にそれぞれ離間した位置に軸受に対応する構成として配置することができ、これにより、外部荷重を均等に支持する構成を増やし、簡単な構造で駆動伝達装置の大型化を抑制しつつ、駆動伝達装置に印加されるラジアル荷重やモーメント荷重といった外部荷重の偏りを抑制して、駆動伝達装置の構成部品を長寿命化することができる。
【0018】
(9)本発明の他の態様に係る建設機械の組み立て方法は、
上記(8)記載の建設機械の組み立て方法であって、
前記回転軸線方向に前記ハウジング部と前記シャフト部とを近づけて、前記ハウジング部と前記シャフト部との間に形成された前記隙間を縮める縮間工程と、
前記縮間工程後に、前記ブラケット部の間に前記回転軸線と交差する方向から前記シャフト部を挿入する挿入工程と、
前記挿入工程後に、前記回転軸線方向に前記ハウジング部と前記シャフト部とを遠ざけて、前記ハウジング部と前記シャフト部との間に形成された前記隙間を伸ばす伸間工程と、
前記ブラケット部のうち一方のブラケット部の前記回転軸線方向内側となる前記対向面に前記減速部の前記出力部を取り付ける取付工程と、
前記ブラケット部のうち他方のブラケット部の前記回転軸線方向内側となる前記対向面に前記ハウジング部を取り付ける取付工程と、
を有する、
ことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、大型化を抑制しつつ、印加されるラジアル荷重やモーメント荷重といった荷重の偏りを抑制することができる駆動伝達装置を提供することができるという効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る建設機械の第1実施形態であるショベルを側面からみた概略構成図である。
【
図2】本発明に係る駆動伝達装置及び建設機械の第1実施形態におけるアームとバケットとの連結部を示す概略構成図である。
【
図3】本発明に係る駆動伝達装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
【
図4】本発明に係る駆動伝達装置の第1実施形態における減速部を示す断面図である。
【
図5】本発明に係る駆動伝達装置の第1実施形態における寸法および組み立て工程を示す概略構成図である。
【
図6】本発明に係る駆動伝達装置の第1実施形態における組み立て工程を示す概略構成図である。
【
図7】本発明に係る駆動伝達装置の第1実施形態における組み立て工程を示す概略構成図である。
【
図8】本発明に係る駆動伝達装置の第2実施形態における寸法および組み立て工程を示す概略構成図である。
【
図9】本発明に係る駆動伝達装置の第3実施形態における寸法および組み立て工程を示す概略構成図である。
【
図10】本発明に係る駆動伝達装置の第4実施形態を示す拡大構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0022】
<ショベル>
図1は、本実施形態の建設機械に係る実施形態のショベル100を側面からみた概略構成図である。なお、以下の説明では、ショベル100を操作する図示しない操作者が向いている前方を単に前方、前方とは水平方向反対側を後方と称する。路面にショベル100を配置した状態での上下方向を単に上下方向と称する。前後方向及び上下方向に直交する方向を車幅方向と称する。
図1では、ショベル100を車幅方向からみた状態を示している。
【0023】
本実施形態に係るショベル(建設機械の一例)100は、
図1に示すように、自走する走行体101と、走行体101の上部に旋回機構102を介して設けられ、走行体101に対して旋回する旋回体103と、旋回体103上に設けられた作用部104と、を備える。走行体101及び旋回機構102は、例えば図示しない減速機付き電動モータにより駆動される。走行体101は、例えば車幅方向に並ぶ2つのキャタピラ105を備える。しかしながらこれに限られるものではなく、キャタピラ105に代わって車輪等を用いてもよい。
【0024】
旋回体103の前方側で、かつ一側の偏った位置には、操作室106が設けられている。この操作室106で操作者がショベル100を操作する。旋回体103の前方側で、かつ車幅方向略中央には、操作室106に隣り合うように支持部が設けられている。この支持部に、作用部104が取り付けられている。
作用部104は、前後方向に長いブーム108及びアーム109と、バケット(アタッチの一例)110と、を備える。これらブーム108、アーム109、及びバケット110は、それぞれ駆動伝達装置1を介して回転自在に連結されている。
【0025】
具体的には、旋回体103の支持部に、駆動伝達装置1を介してブーム108の長手方向一端が回転自在に連結されている。なお、
図1等では、このブーム108の長手方向一端、及びこの長手方向一端に設けられた駆動伝達装置1は図示しない。ブーム108の長手方向他端108aに、駆動伝達装置1を介してアーム109の長手方向一端109aが回転自在に連結されている。アーム109の長手方向他端109bに、駆動伝達装置1を介してバケット110が回転自在に連結されている。バケット110は、アーム109に対して車幅方向の中央に位置するように取り付けられている。
【0026】
各部に設けられた駆動伝達装置1はいずれも同一構成である。このため、以下の説明では、アーム109の長手方向他端109bにバケット110を連結する駆動伝達装置1についてのみ説明し、他の駆動伝達装置1についての説明を省略する。
【0027】
図2は、本実施形態の駆動伝達装置におけるアームとバケットとの連結部を示す概略構成図である。
図2では、説明を分かりやすくするために、アーム109とバケット110とを2点鎖線で示している。
図3は、駆動伝達装置を拡大した断面図である。
図2では、説明を分かりやすくするために、バケット110を2点鎖線で示している。また、
図3では、説明を分かりやすくするために、アーム109とバケット110とを2点鎖線で示している。
アーム109には、
図2に示すように、モータ(請求項の駆動源、モータの一例)120が内蔵されており、このモータ120の回転力を、駆動伝達装置1を介してバケット110に伝達する。すなわち、アーム109は、請求項の第1部材の一例である。バケット110は、請求項の第2部材の一例である。
【0028】
モータ120は、例えば旋回体103に設けられた外部電源(バッテリ)の電力が供給されることにより駆動するいわゆる電動モータである。モータ120としては、いわゆるブラシ付きモータやブラシレスモータ等、電力が供給されることにより駆動するさまざまなモータを採用することができる。
モータ120は、第1回転軸線C1回りに回転するモータシャフト120aをバケット110側に向けて配置されている。モータシャフト120aの第1回転軸線C1とアーム109の長手方向とは、一致している。
モータ120は、油圧モータとすることもできる。この場合、例えば旋回体103に設けられた圧力流体供給部の油圧が供給されることにより駆動する。
【0029】
<駆動伝達装置>
駆動伝達装置1は、
図2,
図3に示すように、アーム109に対するバケット110の第2回転軸線(請求項の回転軸線の一例)C2上に配置されている。第2回転軸線C2上で、駆動伝達装置1を挟んで両側に、バケット110の取り付けブラケット(ブラケット部)111,112が配置される。これら取り付けブラケット(他方のブラケット)111および取り付けブラケット(一方のブラケット)112は、第2回転軸線C2に沿った方向に離間して互いに対向して配置される。取り付けブラケット111および取り付けブラケット112が駆動伝達装置1に固定されることで、アーム109に対してバケット110が第2回転軸線C2回りに回動する。
【0030】
駆動伝達装置1は、
図2,
図3に示すように、シャフト部2と、減速部4と、ハウジング部6と、軸受8とを備える。シャフト部2は、アーム109の長手方向他端109bに固定される。シャフト部2は、第2回転軸線C2に沿った方向で取り付けブラケット111および取り付けブラケット112の間に位置する。減速部4は、シャフト部2の取り付けブラケット111に近接する位置に取り付け配置される。
【0031】
減速部4は、ハウジング部6が、シャフト部2の取り付けブラケット112に近接する位置に連結される。ハウジング部6は、シャフト部2に対して第2回転軸線C2周りに回転自在に連結される。ハウジング部6は、シャフト部2の外周に軸受8を介して連結される。
以下の説明では、第2回転軸線C2と平行な方向を軸方向と称し、第2回転軸線C2回りを周方向と称し、軸方向及び周方向に直交する方向を径方向と称する場合がある。
【0032】
<シャフト部>
シャフト部2は、アーム109の長手方向他端109bに固定される固定部2aと、固定部2aよりも第1回転軸線C1に沿ってアーム109から離間する位置の回転伝達部2bとを有する。回転伝達部2bは、第2回転軸線C2に沿って延在し、少なくともバケット110の移動に沿った部分において第2回転軸線C2を中心とする略円筒形の外形面を有することができる。
【0033】
回転伝達部2bは、第2回転軸線C2に沿った取り付けブラケット111に近接する端部が開口する内部空間2cが形成されている。内部空間2cの取り付けブラケット111に対向する開口に減速部4が取り付けられる。内部空間2cの開口の軸線は、第2回転軸線C2と一致している。回転伝達部2bにおける内部空間2cの開口は減速部4によって閉塞されている。回転伝達部2bには、第2回転軸線C2に沿った取り付けブラケット112に近接する位置に円筒状のハウジング軸部2dが形成される。ハウジング軸部2dの外周にリング状のハウジング部6が取り付けられる。ハウジング軸部2dの軸線は第2回転軸線C2と一致している。ハウジング軸部2d付近に関しては、ハウジング部6の説明ととともに後述する。
【0034】
ハウジング軸部2dは、中実の円筒軸とされるが、この構成に限るものではなく、例えば、内部に空間を形成して、モータ120を収容することもできる。この場合、伝達シャフト121に換えて、第2回転軸線C2に沿った伝達シャフトを持った構成とすることができる。
【0035】
減速部4は、モータシャフト120aに伝達シャフト121を介して連結されている。減速部4は、伝達シャフト121のモータ120とは反対側端に設けられ、第1回転軸線C1回りに回転する第1ベベルギア71と、第1ベベルギア71に噛み合わされる第2ベベルギア72と、を介してモータ120からの駆動回転を伝達される。第1ベベルギア71と、第2ベベルギア72とは、シャフト部2の内部空間2c内に配置される。
【0036】
伝達シャフト121は、アーム109からシャフト部2の内部空間2c内まで第1回転軸線C1に沿って延在する。伝達シャフト121は、アーム109およびシャフト部2に対して軸受121a,121bによって回転自在に支持されている。なお、軸受121a,121bは、
図2に示すように、アーム109とシャフト部2との間に設けられた軸受部122に対して設けられることもできる。また、
図3に示すように、軸受部122がシャフト部2と一体に形成された場合には、軸受121a,121bは、アーム109およびシャフト部2のいずれか、あるいは、アーム109およびシャフト部2の両方に設けることもできる。さらに、伝達シャフト121がアーム109およびシャフト部2に対して回転自在に支持可能であれば、これらの構成に限定されない。
【0037】
第2ベベルギア72は、第2回転軸線C2回りに回転する。第2ベベルギア72は、第2回転軸線C2に沿った、第1作動出力軸76に設けられている。第1作動出力軸76は、第2回転軸線C2と同軸上に配置されている。第1作動出力軸76は、シャフト部2の内部に配置される。
第1作動出力軸76の一端は、シャフト部2の内部に形成された軸受76bに回転自在に支持されている。第1作動出力軸76の他端には、外周面に減速部4に噛み合わされる歯部76cが形成されている。
【0038】
<減速部>
図4は、減速部4の概略構成図である。
減速部4は、
図4に示すように、円筒状のケース(固定部)11と、ケース11の径方向内側に配置されたキャリア(出力部)14と、第1作動出力軸76の回転数に対して一定の比率で減速された回転数でキャリア14を回転させる減速入力部(入力部)18と、を備える。
減速部4は、シャフト部2に固定部11が取り付けられる。減速部4は、モータ120からの回転駆動力が減速入力部18から入力される。減速部4は、取り付けブラケット部111の第2回転軸線C2で内側となる対向面111aにキャリア14が取り付けられる。
【0039】
<ケース>
ケース11の外周面には、径方向外側に張り出す外フランジ部11aが一体成形されている。外フランジ部11aは、軸方向に沿う断面が四角形状に形成されている。外フランジ部11aのシャフト部2側(
図4における右側)の端面11bに、回転伝達部2bが配置されている。そして、外フランジ部11aに、ボルト53によって回転伝達部2bが締結固定されている。
ケース11の内周面には、内歯24が設けられている。内歯24は、ケース11の内周面に設けられたピン状(円柱状)の歯である。内歯24は、周方向に等間隔をあけて複数配置されている。
【0040】
<キャリア>
キャリア14は、軸方向に間隔をおいて配置された一対の主軸受26によって、ケース11に回転自在に支持されている。主軸受26は、例えばアンギュラ玉軸受である。キャリア14は、ケース11及び第2回転軸線C2と同軸上に配置されている。
【0041】
キャリア14は、軸方向でシャフト部2の内部空間2c内側に配置された基板部32と、基板部32を挟んで内部空間2cとは反対側に配置された端板部30と、基板部32と一体成形され基板部32から端板部30に向かって突出された円柱状の3つの柱部33と、を備える。
柱部33は、周方向に等間隔で配置されている。柱部33の先端33aに、端板部30が配置される。端板部30の基板部32とは反対側の一面30aに、バケット110の取り付けブラケット111が配置される。そして、柱部33に、端板部30及び取り付けブラケット111が共にボルト34によって締結固定される。この状態で、基板部32と端板部30との間には、軸方向に一定幅を有する空間が形成されている。
【0042】
柱部33のボルト34よりも若干径方向内側には、基板部32に対して端板部30を位置決めするピン36が設けられている。ピン36は、柱部33と端板部30とに跨るように配置されている。
なお、柱部33を基板部32と一体に形成しなくてもよい。この場合、柱部33は基板部32と締結される。また、柱部33は、円柱状に限られるものではない。柱部33によって、基板部32と端板部30との間に、軸方向に一定幅を有する空間が形成されればよい。
【0043】
また、端板部30及び基板部32には、減速入力部18の後述するクランク軸46が挿入される貫通孔30c,32bがそれぞれ複数(例えば、本実施形態では3つ)形成されている。貫通孔30c,32bは、周方向に等間隔で配置されている。
【0044】
<減速出力部>
減速入力部18は、第1作動出力軸76の歯部76cに噛み合わされる複数(例えば、本実施形態では3つ)の伝達歯車44と、伝達歯車44に一端が固定された複数(例えば、本実施形態では3つ)のクランク軸46と、クランク軸46の回転に伴って揺動回転する第1外歯歯車(外歯部材の一例)48a及び第2外歯歯車48bと、を備える。
【0045】
クランク軸46の一端に伝達歯車44が固定されているので、クランク軸46には伝達歯車44を介して第1作動出力軸76の回転が伝達される。
クランク軸46は、軸方向に沿って配置されている。つまり、クランク軸46は、第2回転軸線C2と平行なクランク回転軸線C4を中心に回転する。クランク軸46は、第1クランク軸受51を介して端板部30に回転自在に支持されている。また、クランク軸46は、第2クランク軸受52を介して基板部32に回転自在に支持されている。第1クランク軸受51及び第2クランク軸受52は、例えば円錐ころ軸受である。
【0046】
クランク軸46の軸方向中央には、クランク軸46の軸心から偏心された第1偏心部46a及び第2偏心部46bが形成されている。第1偏心部46a及び第2偏心部46bは、第1クランク軸受51と第2クランク軸受52との間で軸方向に互いに隣接して配置されている。第1偏心部46aは、第1クランク軸受51に隣接している。第2偏心部46bは、第2クランク軸受52に隣接している。また、第1偏心部46a及び第2偏心部46bは、互いに位相角がずれている。
このようなクランク軸46が、端板部30及び基板部32の各貫通孔30c,32bに挿入されている。すなわち、クランク軸46も貫通孔30c,32bと同様に周方向に等間隔で配置されている。
【0047】
また、クランク軸46の第1偏心部46aには、第1ころ軸受55aが取り付けられている。第2偏心部46bには、第2ころ軸受55bが取り付けられている。第1ころ軸受55aは、例えば円筒ころ軸受である。第1ころ軸受55aは、複数のころ56と、複数のころ56を保持する保持器57と、を有する。第2ころ軸受55bは、第1ころ軸受55aと同様の構成を有するため、その詳細な説明については省略する。各ころ軸受55a,55bを介し、クランク軸46の回転に伴って第1外歯歯車48a及び第2外歯歯車48bが揺動回転される。
【0048】
第1外歯歯車48a及び第2外歯歯車48bは、キャリア14の基板部32と端板部30との間の空間に配置されている。第1外歯歯車48a及び第2外歯歯車48bは、ケース11の内歯24に噛合う外歯49a,49bを有する。
第1外歯歯車48a及び第2外歯歯車48bには、柱部33が挿入される第1貫通孔48cと、クランク軸46の偏心部46a,46bが挿入される第2貫通孔48dと、が形成されている。
【0049】
第1外歯歯車48aの第2貫通孔48dに、クランク軸46の第1偏心部46aと第1ころ軸受55aとが挿入される。第2外歯歯車48bの第2貫通孔48dに、クランク軸46の第2偏心部46bと第2ころ軸受55bとが挿入される。これにより、クランク軸46の回転によって第1偏心部46a及び第2偏心部46bが揺動回転するのに伴い、第1外歯歯車48a及び第2外歯歯車48bがケース11の内歯24に噛み合いながら揺動回転される。
【0050】
<ハウジング部>
ハウジング部6は、ハウジング軸部2dの円筒状の外周面2d1に沿って、第2回転軸線C2周りに回転可能なリング状に形成される。同時に、ハウジング部6は、ハウジング軸部2dの円筒状の外周面2d1に対して、第2回転軸線C2に沿った方向に摺動、滑動、または、移動可能である。
ハウジング部6は、取り付けブラケット部112の第2回転軸線C2で内側となる対向面112aに端部6aがボルト54により取り付けられる。端部(端面)6aと対向面112aとは、全周で接触しており、外部からの異物侵入を防ぐことができる。
【0051】
対向面112aに対向するハウジング軸部2dの端面2d2は、対向面112aに対して第2回転軸線C2方向に離間している。したがって、ハウジング部6が、取り付けブラケット部112と一体として第2回転軸線C2回りに回動した際にも、端面2d2と対向面112aとは離間した状態を維持している。
ハウジング部6は、第2回転軸線C2方向における取り付けブラケット部111側の端面6bが、シャフト部2のハウジング軸部2d周囲の全周に設けられた段差面2eに対向する。端面6bと段差面2eとの間には隙間が形成されており、この隙間にラビリンスシール9が設けられる。
【0052】
<ラビリンスシール>
ラビリンスシール9は、端面6bと段差面2eとの間に形成される隙間に対応して、第2回転軸線C2の回りにおいてシャフト部2の全周に設けられる。
【0053】
具体的には、ラビリンスシール9として、第2回転軸線C2の全周にわたって段差面2eに突条9aを形成し、また、第2回転軸線C2の全周にわたって端面6bに突条9aに対応する凹溝9bを形成する。なお、ラビリンスシール9としては、端面6bと段差面2eとの逆側にそれぞれ突条と凹溝が形成されることもできる。
また、第2回転軸線C2に沿った方向における端面6bと段差面2eとの隙間の離間距離D9は、対向面112aと端面2d2との距離D2よりも大きい。
【0054】
また、ラビリンスシール9よりも第2回転軸線C2の径方向内側には、ハウジング部6とハウジング軸部2dとの間に密閉シール9cが全周にわたって設けられている。
端部6aよりも第2回転軸線C2の径方向内側には、ハウジング部6とハウジング軸部2dとの間に密閉シール9dが全周にわたって設けられている。
なお、ラビリンスシール9として、複数組の突条と凹溝とを形成することもできる。この場合、複数組の突条と凹溝とは、第2回転軸線C2の径方向に配置される。つまり、第2回転軸線C2回りに同心状に形成されることができる。
【0055】
<軸受>
軸受8は、調心軸受とされ、第2回転軸線C2の径方向内側のインナーレース8aと、第2回転軸線C2の径方向外側のアウターレース8bとの間に、多数の円筒コロ8c1と円筒コロ8c2とが第2回転軸線C2回りに配置される。また、円筒コロ8c1と円筒コロ8c2とは、第2回転軸線C2に沿った方向に並列にそれぞれ配置される。インナーレース8aとアウターレース8bとの間には第2回転軸線C2回りに環状となる保持器8dが配置され、保持器8dは、円筒コロ8c1を第2回転軸線C2回りに互いに離間するように、かつ、第2回転軸線C2回りに回転移動可能として支持している。同様に、保持器8dは、円筒コロ8c2を第2回転軸線C2回りに互いに離間するように、かつ、第2回転軸線C2回りに回転移動可能として支持している。
【0056】
円筒コロ8c1の軸線と円筒コロ8c2の軸線とは、互いに近接する側が互いに離間する側よりも第2回転軸線C2から離間するようにインナーレース8aとアウターレース8bとの間に支持されている。また、円筒コロ8c1は、その軸線方向の中央部で径寸法が大きくなるように外周が膨らんでいる。同様に、円筒コロ8c2は、その軸線方向の中央部で径寸法が大きくなるように外周が膨らんでいる。インナーレース8aとアウターレース8bとの対向面は、円筒コロ8c1と円筒コロ8c2との周面に対応した曲面として形成される。
【0057】
インナーレース8aの第2回転軸線C2回りの内周面はハウジング軸部2dの円筒状の外周面2d1に絞まり嵌めされる。インナーレース8aの第2回転軸線C2に沿った取り付けブラケット111側となる端部はシャフト部2に形成された段差2fに当接している。インナーレース8aの第2回転軸線C2に沿った取り付けブラケット112側となる端部は、ハウジング部6に対して内端面6dと離間している。
【0058】
アウターレース8bの第2回転軸線C2回りの外周面はハウジング部6の円筒状の内周面6cに隙間嵌めされている。アウターレース8bの取り付けブラケット112側となる端部は、ハウジング部6に対して内端面6dと離間している。
つまり、軸受8の取り付けブラケット112側となる端部は、ハウジング部6の内端面6dと離間している。
【0059】
<駆動伝達装置の動作>
次に、駆動伝達装置1の動作について説明する。
アーム109に設けられたモータ120を駆動させると、モータシャフト120aの回転が伝達シャフト121を介して駆動伝達装置1の第1ベベルギア71に伝達される。そして、この第1ベベルギア71に噛合う第2ベベルギア72が回転される。さらに、第2ベベルギア72の回転は、第1作動出力軸76を介して減速部4に伝達される。
【0060】
減速部4は、第1作動出力軸76の回転によって、この第1作動出力軸76の歯部76cに噛合う伝達歯車44が回転する。これにより、クランク軸46が伝達歯車44と一体的にクランク回転軸線C4を中心に回転される。
クランク軸46が回転されると、第1偏心部46aの揺動に伴って第1外歯歯車48aが内歯24に噛み合いながら回転される。また、第2偏心部46bの揺動に伴って第2外歯歯車48bが内歯24に噛み合いながら回転される。つまり、クランク軸46は、クランク回転軸線C4を中心に回転するとともに、第2回転軸線C2回りに公転する。
【0061】
本実施形態では、両外歯歯車48a,48bの第1貫通孔48cを貫通している柱部33は、基板部32と一緒に定位置に固定されている。これにより、ケース11に対してキャリア14が第1作動出力軸76aよりも減速された回転数で第2回転軸線C2回りに回転される。
ケース11には、シャフト部2を介してアーム109の長手方向他端109bが固定されている。キャリア14の端板部30には、バケット110の取り付けブラケット111が固定されている。
【0062】
また、ケース11に固定されたシャフト部2に対して、ハウジング部6がキャリア14と同軸状態で回転可能である。同時に、ハウジング部6には、バケット110の取り付けブラケット112が固定されている。したがって、キャリア14とハウジング部6とは、バケット110と一体として第2回転軸線C2回りに回転される。
このため、アーム109に設けられたモータ120を駆動させることにより、アーム109に対してバケット110が第2回転軸線C2回りに回転される。
【0063】
すなわち、減速部4の第1作動出力軸76は、モータシャフト120aの回転を減速入力部18に入力する入力軸である。また、キャリア14は、第1作動出力軸76の回転を減速してバケット110に出力する出力軸である。
同時に、減速部4のキャリア14と同軸のハウジング部6が第2回転軸線C2に沿った方向で、第1回転軸線C1に対して略対称な配置とされている。つまり、減速部4とハウジング部6とを第2回転軸線C2方向の同軸上にそれぞれ離間した位置に軸受に対応する構成として配置されている。
【0064】
バケット110は、減速部4の端板部30とハウジング部6の端部(取付け面である端面)6aとをそれぞれ挟むようにしてボルト締結する取付け面111a,112aを有する。これにより、バケット110の自重および外力を二カ所で支持する両持ち構造となっている。
これにより、片持ち状態ではなく、外部荷重を均等に支持する構成を増やし、簡単な構造で駆動伝達装置1の大型化を抑制しつつ、駆動伝達装置1に印加されるラジアル荷重やモーメント荷重といった外部荷重の偏りを抑制して、駆動伝達装置1の構成部品を長寿命化することができる。
【0065】
以下、本実施形態における駆動伝達装置1を備えた建設機械の組み立て方法について説明する。ここでは、駆動伝達装置1に関する組み立てについて説明する。
図5~
図8は、本実施形態における駆動伝達装置1の組み立て方法を示す工程図である。
【0066】
<組み立て方法>
本実施形態における駆動伝達装置1の組み立て方法は、準備工程と、縮間工程と、挿入工程と、減速部取付工程(取付工程)と、伸間工程と、ハウジング部取付工程(取付工程)と、を有する。
駆動伝達装置1の組み立てにおいては、まず、準備工程として、
図5に示すように、減速部4をシャフト部2の内部空間2cに挿入して開口を閉塞し、ボルト53によって減速部4とシャフト部2とを互いに固定しておく。同時に、軸受8を介してハウジング部6をハウジング軸部2dに組み付けておく。このとき、ハウジング部6はハウジング軸部2dに対して第2回転軸線C2方向に移動可能である。
【0067】
次に、縮間工程においては、
図5に矢印As1で示すように、第2回転軸線C2に沿った方向にハウジング部6とシャフト部2とを近づける。つまり、ハウジング軸部2dの外周面2d1に対してハウジング部6を滑らせて、ハウジング部6を減速部4に近接する方向に移動させる。そして、ラビリンスシール9を形成していた端面6bと段差面2eとの隙間を縮める(
図3参照)。
これにより、
図5に示すように、第2回転軸線C2方向における減速部4の端面4aからハウジング部6の端部6aまでの寸法D46が、
図3に示す組み付け状態に比べて短縮された状態とする。同時に、この寸法D46は、
図5に示すように、第2回転軸線C2方向における取り付けブラケット部111の対向面111aと、取り付けブラケット部112の対向面112aとの離間寸法D111よりも小さい。
【0068】
次に、挿入工程においては、縮間工程が終了した後に、取り付けブラケット部111の対向面111aと、取り付けブラケット部112の対向面112aと、の間に、
図5に矢印As2で示すように、第2回転軸線C2と交差する方向からシャフト部2を挿入する。上述したように、シャフト部2には減速部4、ハウジング部6、軸受8が組み付けられている。
寸法D46が離間寸法D111よりも小さいため、この挿入工程は容易におこなうことができる。
【0069】
次に、減速部取付工程(取付工程)においては、
図6に矢印As3で示すように、減速部4、ハウジング部6、軸受8が組み付けられたシャフト部2を、第2回転軸線C2に沿って取り付けブラケット部111に近接させ、減速部4の端面4aを対向面111aに接触させる。この状態で、
図6に矢印As4で示すように、ボルト34によって減速部4に取り付けブラケット111が締結固定される(
図4参照)。ここで、ボルト34によってキャリア14の柱部33に端板部30及び取り付けブラケット111が締結固定される(
図4参照)。
このとき、ラビリンスシール9を形成していた端面6bと段差面2eとの隙間は縮んだ状態を維持することができる。
【0070】
次に、伸間工程においては、
図7に矢印As5で示すように、挿入工程後に、第2回転軸線C2方向にハウジング部6とシャフト部2とを互いに遠ざけて、ハウジング部6とシャフト部2との間に形成された隙間を伸ばす。このとき、取り付けブラケット部112とハウジング部6とが接触するまで接近させる。つまり、対向面112aと端部6aとが接触する。
これにより、端面6bと段差面2eとの隙間が拡がり、ラビリンスシール9が形成される。
【0071】
次に、ハウジング部取付工程(取付工程)においては、
図7に矢印As6で示すように、伸間工程後に、ハウジング部6の端面6aが対向面112aに接触した状態で、ボルト54によってハウジング部6に取り付けブラケット112が締結固定される(
図3参照)。
これにより、駆動伝達装置1の組み立てが完了する。
【0072】
本実施形態によれば、ハウジング軸部2dに組付けられたハウジング部6は、第2回転軸線C2に沿った方向に滑動可能であるため、バケット110を取り付ける際の取付け面である対向面111aと対向面112aとの間に生じる第2回転軸線C2方向の隙間を、ボルト締結によってハウジング部6が第2回転軸線C2方向に移動することで調整可能である。
これにより、シャフト部2とハウシング部6との間に軸受8を配置した駆動伝達装置1において、ハウジング部6をシャフト部2に対して移動させて相手部材と結合することにより、隙間調整を不要にできる。
【0073】
さらに、本実施形態によれば、バケット等の組付け時において、回転軸線方向の隙間調整が必要となるという従来の課題と、同時に、使用環境から、シャフト外部の軸受が土砂等に曝されないようにするためのシール性が必要となるという従来の課題と、を同時に解決することができる。
【0074】
また、シャフト部2とハウジング部6には、段差面2eの突条9aと、端面6bの凹溝9bと、がそれぞれ設けられており、突条9aの先端が凹溝9bの内部に位置した状態を維持したまま、突条9aと凹溝9bとがバケット110を取付ける際のハウジング部6の軸方向の移動によって適切な距離とすることができる。これにより、ラビリンスシール9としてのシール性を呈することができるという構造を有する。
したがって、ハウジング部6の内周に組み込まれた軸受8はシャフト部2の外側にあり、掘削時の土砂等に曝される危険があるが、ラビリンスシール9によって軸受8をシールすることができる。
【0075】
なお、本実施形態においては、ハウジング部6の外径寸法を、減速部4の外径寸法、すなわち、外フランジ部11aの外径寸法とほぼ等しく設定することができる。このとき、第2回転軸線C2に対する径方向において、ボルト53の取付位置(接続位置)の径寸法とボルト54の取付位置(接続位置)の径寸法とをほぼ等しく設定することができる。これにより、第2回転軸線C2に対して駆動伝達装置1に印加されるラジアル荷重やモーメント荷重といった外部荷重の偏りを抑制して、駆動伝達装置1の構成部品を長寿命化することができる。
【0076】
また、本実施形態においては、軸受8の外径寸法を、キャリア14の外径寸法とほぼ等しく設定することができる。これにより、第2回転軸線C2に対して駆動伝達装置1に印加されるラジアル荷重やモーメント荷重といった外部荷重の偏りを抑制して、駆動伝達装置1の構成部品を長寿命化することができる。
【0077】
また、本実施形態においては、第2回転軸線C2に沿った方向における第1回転軸線C1からの軸受8までの距離を、第1回転軸線C1からの減速部4までの距離、すなわち、
第1回転軸線C1から第2回転軸線C2に沿った方向における一対の主軸受26の中心位置までの距離とほぼ等しく設定することができる。これにより、第2回転軸線C2に対して駆動伝達装置1に印加されるラジアル荷重やモーメント荷重といった外部荷重の偏りを抑制して、駆動伝達装置1の構成部品を長寿命化することができる。
【0078】
また、本実施形態においては、第2回転軸線C2に対する径方向において、段差面2eの突条9aと端面6bの凹溝9bとの離間距離を数mm程度、例えば、0.5mm~1.5mm程度に設定することにより、充分なシール性を呈することが可能となる。
【0079】
さらに、本実施形態の組み立て工程においては、挿入工程後に、ハウジング部取付工程(取付工程)、伸間工程、減速部取付工程(取付工程)、の順番でおこなうことも可能である。
【0080】
以下、本発明に係る駆動伝達装置の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図8は、本実施形態における駆動伝達装置における寸法および組み立て工程を示す概略構成図である。本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、位置規制部5に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0081】
本実施形態における駆動伝達装置1は、
図8に示すように、第2回転軸線C2方向における減速部4の端面4aと対応する対向面111a、および、ハウジング部6の端面6aと対応する対向面112aに、それぞれ位置規制部5が形成される。
減速部4の端面4aには、突条5aが位置規制部5として形成され、対向面111aには、凹部5cが位置規制部5として形成される。ハウジング部6の端面6aには、突条5aと同様に、突条5bが位置規制部5として形成され、対向面112aには、凹部5dが位置規制部5として形成される。
【0082】
ここで、突条5a,5bは、いずれも、第2回転軸線C2回りの全周にわたって形成され、第2回転軸線C2方向視して円形に形成される。なお、位置規制部5としては、突条5a,5bを連続的あるいは断続的に形成することや、突条5a,5bを半円形状などの分割円形状等として形成することも可能である。
【0083】
減速部取付工程(取付工程)において、突条5aと凹部5cとを互いに位置あわせして、突条5aを凹部5cに嵌めることで、減速部4の端面4aと対向面111aとの位置規制をおこなうことができる。同様に、ハウジング部取付工程(取付工程)において、突条5bと凹部5dとを互いに位置あわせして、突条5bを凹部5dに嵌めることで、ハウジング部6と対向面112aとの位置規制をおこなうことができる。
【0084】
ここで、第2回転軸線C2に沿った方向において、突条5aの高さ寸法D5aおよび突条5bの高さ寸法D5bの合計した値は、縮間工程における寸法D46と離間寸法D111との差よりも小さい。また、高さ寸法D5aと高さ寸法D5bと縮間工程における寸法D46とを合計した値と、離間寸法D111との差は、ラビリンスシール9における隙間の離間距離D9(
図3参照)よりも小さい。
【0085】
本実施形態によれば、位置規制部5によって、位置決めの容易性を高め、かつ、バケット110を取り付ける際の取付け面である対向面111aと対向面112aとの間に生じる第2回転軸線C2方向の隙間を、ボルト締結によってハウジング部6が第2回転軸線C2方向に移動することで調整可能である。
これにより、シャフト部2とハウシング部6との間に軸受8を配置した駆動伝達装置1において、ハウジング部6をシャフト部2に対して移動させて相手部材と結合することにより、隙間調整を不要にできる。
【0086】
同時に、シャフト部2とハウジング部6には、段差面2eの突条9aと、端面6bの凹溝9bと、がそれぞれ設けられており、突条9aの先端が凹溝9bの内部に位置した状態を維持したまま、突条9aと凹溝9bとがバケット110を取付ける際のハウジング部6の軸方向の移動によって適切な距離とすることができる。これにより、ラビリンスシール9としてのシール性を呈することができるという構造を有する。
したがって、ハウジング部6の内周に組み込まれた軸受8はシャフト部2の外側にあり、掘削時の土砂等に曝される危険があるが、ラビリンスシール9によって軸受8をシールすることができる。
【0087】
本実施形態においては、上述した実施形態と同等の効果を奏することができる。さらに、本実施形態においては、取り付け性改善や、組立精度向上による不具合への影響を低減するという効果を奏することができる。
【0088】
以下、本発明に係る駆動伝達装置の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
図9は、本実施形態における駆動伝達装置における寸法および組み立て工程を示す概略構成図である。本実施形態において、上述した第1および第2実施形態と異なるのは、位置規制部5に関する点であり、これ以外の上述した第1および第2実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0089】
本実施形態における駆動伝達装置1は、
図8に示すように、第2回転軸線C2方向における減速部4の端面4aと対応する対向面111a、および、ハウジング部6の端面6aと対応する対向面112aに、それぞれ位置規制部5が形成される。
減速部4の端面4aには、凹部5cが位置規制部5として形成され、対向面111aには、突条5aが位置規制部5として形成される。ハウジング部6の端面6aには、凹部5cと同様に、凹部5dが位置規制部5として形成され、対向面112aには、突条5bが位置規制部5として形成される。
ここで、突条5a,5bは、いずれも、第2回転軸線C2回りの全周にわたって形成され、第2回転軸線C2方向視して円形に形成される。
【0090】
減速部取付工程(取付工程)において、突条5aと凹部5cとを互いに位置あわせして、突条5aを凹部5cに嵌めることで、減速部4の端面4aと対向面111aとの位置規制をおこなうことができる。同様に、ハウジング部取付工程(取付工程)において、突条5bと凹部5dとを互いに位置あわせして、突条5bを凹部5dに嵌めることで、ハウジング部6と対向面112aとの位置規制をおこなうことができる。
【0091】
ここで、第2回転軸線C2に沿った方向において、突条5aの高さ寸法D5aおよび突条5bの高さ寸法D5bの合計した値は、縮間工程における寸法D46と離間寸法D111との差よりも小さい。また、高さ寸法D5aと高さ寸法D5bと縮間工程における寸法D46とを合計した値と、離間寸法D111との差は、ラビリンスシール9における隙間の離間距離D9(
図3参照)よりも小さい。
【0092】
本実施形態によれば、位置規制部5によって、位置決めの容易性を高め、かつ、バケット110を取り付ける際の取付け面である対向面111aと対向面112aとの間に生じる第2回転軸線C2方向の隙間を、ボルト締結によってハウジング部6が第2回転軸線C2方向に移動することで調整可能である。
これにより、シャフト部2とハウシング部6との間に軸受8を配置した駆動伝達装置1において、ハウジング部6をシャフト部2に対して移動させて相手部材と結合することにより、隙間調整を不要にできる。
【0093】
同時に、シャフト部2とハウジング部6には、段差面2eの突条9aと、端面6bの凹溝9bと、がそれぞれ設けられており、突条9aの先端が凹溝9bの内部に位置した状態を維持したまま、突条9aと凹溝9bとがバケット110を取付ける際のハウジング部6の軸方向の移動によって適切な距離とすることができる。これにより、ラビリンスシール9としてのシール性を呈することができるという構造を有する。
したがって、ハウジング部6の内周に組み込まれた軸受8はシャフト部2の外側にあり、掘削時の土砂等に曝される危険があるが、ラビリンスシール9によって軸受8をシールすることができる。
【0094】
本実施形態においては、上述した実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0095】
以下、本発明に係る駆動伝達装置の第4実施形態を、図面に基づいて説明する。
図10は、本実施形態における駆動伝達装置を示す概略構成図である。本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、軸受8に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0096】
本実施形態における軸受8において、インナーレース8aの第2回転軸線C2回りの内周面はハウジング軸部2dの円筒状の外周面2d1に隙間嵌めされる。また、アウターレース8bの第2回転軸線C2回りの外周面はハウジング部6の円筒状の内周面6cに絞まり嵌めされている。
【0097】
インナーレース8aの第2回転軸線C2に沿った取り付けブラケット111側となる端部はシャフト部2の面2gと離間している。インナーレース8aの第2回転軸線C2に沿った取り付けブラケット112側となる端部は、ハウジング部6の内端面6dと離間している。
【0098】
アウターレース8bの取り付けブラケット111側となる端部は、シャフト部2の面2gと離間している。アウターレース8bの取り付けブラケット112側となる端部は、ハウジング部6に形成された段差6fに当接している。
つまり、軸受8の取り付けブラケット111側となる端部は、シャフト部2の面2gと離間している。
【0099】
これにより、本実施形態においては、準備工程において、ハウジング部6に軸受8を嵌め込み、これを、シャフト部2に組み付けることができる。
【0100】
本実施形態においては、上述した実施形態と同等の効果を奏することができる。さらに、本実施形態においては、ショベルの実際の使用時における作業部関節への負荷のかかり方によって軸受8にかかる荷重の性質が変わるが、適切な嵌め合いを選択することで、軸受8への過負荷やダメージを防ぐことができるという効果を奏することができる。
【0101】
上記の各実施形態において、第1部材をアーム109とし、第2部材をバケット110としたが、この構成に限定されることはない。例えば、第1部材をブーム108とし、第2部材をアーム109として駆動伝達装置1を備えることや、第1部材を旋回体(本体部)103とし、第2部材をブーム108として駆動伝達装置1を備えることができる。あるいは、第1部材をアーム109とし、第2部材をバケット110に変えて他のアタッチメントとした建設機械とすることもできる。
【0102】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0103】
本発明の駆動伝達装置は、
回転軸線周りに一体として回転自在かつ互いに前記回転軸線方向に沿って離間して対向配置される少なくとも2つのブラケット部に対して回転自在かつ前記回転軸線方向で前記ブラケット部の間に位置するシャフト部と、
前記シャフト部に取り付けられて駆動源からの回転駆動力が入力部から入力されるとともに前記ブラケット部のうち一方のブラケット部の前記回転軸線方向内側となる対向面に出力部が取り付けられる減速部と、
前記シャフト部に対して前記回転軸線周りに回転自在に連結されるとともに前記ブラケット部のうち他方のブラケット部の前記回転軸線方向内側となる対向面に取り付けられるハウジング部と、
を備える。
【0104】
本発明の建設機械は、
回転力を発生させる駆動源を有する第1部材と、前記第1部材に駆動伝達装置を介して回転軸線周りに回転自在に連結された第2部材と、を備え、
前記駆動伝達装置は、
前記第2部材に設けられ前記回転軸線方向に沿って離間して対向配置される少なくとも2つのブラケット部と、
前記第1部材に接続されて前記回転軸線方向で前記ブラケット部の間に位置するシャフト部と、
前記シャフト部に取り付けられて前記駆動源からの回転駆動力が入力部から入力されるとともに前記ブラケット部のうち一方のブラケット部の前記回転軸線方向内側となる対向面に出力部が取り付けられる減速部と、
前記シャフト部に対して前記回転軸線周りに回転自在に連結されるとともに前記ブラケット部のうち他方のブラケット部の前記回転軸線方向内側となる対向面に取り付けられるハウジング部と、
を備え、
前記シャフト部と前記ハウジング部とが、互いに前記回転軸線方向に移動可能であり、
前記ハウジング部がリング状とされ、前記シャフト部の周りに嵌め合わされ、前記回転軸線方向において前記ハウジング部の外周と前記シャフト部の外周との間に隙間が形成されており、
前記ハウジング部の外周と前記シャフト部の外周との間に形成された前記隙間には、ラビリンスシールが形成される。
【符号の説明】
【0105】
1…駆動伝達装置
2…シャフト部
4…減速部
6…ハウジング部
8…軸受
11…ケース(固定部)
14…キャリア(出力部)
18…減速入力部(入力部)
100…ショベル(建設機械)
101…走行体(本体部)
103…旋回体(本体部)
104…作用部
108…ブーム
109…アーム(第1部材)
110…バケット(第2部材)
111,112…取り付けブラケット(ブラケット部)
120…電動モータ(駆動源)
C2…回転軸線(第2回転軸線)