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特開2022-158907人物の特徴を測定する方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158907
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】人物の特徴を測定する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20221006BHJP
【FI】
G06T7/00 660A
G06T7/00 660B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022006806
(22)【出願日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】17/218,632
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】521318413
【氏名又は名称】リヴィーヴ オーユー
【氏名又は名称原語表記】Revieve Oy
【住所又は居所原語表記】Koydenpunojankatu 2 A, 00180 Helsinki, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】クロヴェシ ヤッケ
(72)【発明者】
【氏名】ハムネン ヨーナス
(72)【発明者】
【氏名】シーヴィネン サムリ
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096BA08
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA17
5L096FA35
5L096GA51
5L096HA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人物の特徴を測定する方法及びシステムを提供する。
【解決手段】メモリと、画像モジュールと、特徴モジュール、第1アルゴリズムモジュール、分布曲線モジュール及び標準化モジュールを含むプロセッサと、を備えるシステムにおける方法であって、測定されている人物の特徴を定義することと、測定されている人物を含むデジタル画像のサンプルからのデータポイントの値を、第1のアルゴリズムによって、定義された人物の特徴に従って測定することと、測定されたデータポイントの値の分布曲線を生成することと、双曲線正接関数変換を実施することによって、測定されたデータポイントの値を標準化することと、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物の特徴を測定する方法であって、
・ 測定されている人物の特徴を定義することと、
・ 前記人物を含むデジタル画像(106)のサンプルからのデータポイントの値を、第1のアルゴリズムによって、前記定義された特徴に従って測定することと、
・ 前記測定された値の分布曲線(200)を生成することと、
・ 双曲線正接関数変換(500B、500C)を実施することによって、前記測定された値を標準化することと、
を含む方法。
【請求項2】
単調変換を実施することによって、前記分布曲線(200)を正規化することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標準化することは、パラメータh、hvを持つ2パラメータ双曲線関数を実行することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記標準化することは、パラメータl、lv、h、hvを持つ4パラメータ双曲線関数を実行することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
・前記データポイントの前記標準化された値を、第2の特徴を共通して持つ人物と比較すること、
・ 前記データポイントの前記標準化された値を、同様のデータポイントを含むデジタル画像(106)の第2のサンプルと比較すること、又は
・ 前記データポイントの前記標準化された値を、第2の特徴を有するデータポイントを含むデジタル画像(106)の前記第2のサンプルと比較すること、
を更に含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記デジタル画像(106)は1つ以上の映像のフレームである、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
人物の特徴を測定するシステム(700)であって、前記システム(700)は、前記人物を含むデジタル画像(106)のサンプルを受け取るように構成されたメモリ(702)と、プロセッサ(706)とを備え、前記プロセッサ(706)は、
・ 測定されている人物の特徴を定義することと、
・ 前記人物を含むデジタル画像(106)の前記サンプルからのデータポイントの値を、第1のアルゴリズムによって、前記定義された特徴に従って測定することと、
・ 前記測定された値の分布曲線(200)を生成することと、
・ 双曲線正接関数変換(500B、500C)を実施することによって、前記測定された値を標準化することと、 を実行するように構成される、システム(700)。
【請求項8】
前記プロセッサ(706)は、単調変換を実施することによって、前記分布曲線(200)を正規化するように更に構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記標準化するために、前記プロセッサ(706)は、パラメータh、hvを持つ2パラメータ双曲線関数を更に実行するように構成される、請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記標準化するために、前記プロセッサ(706)は、パラメータl、lv、h、hvを持つ4パラメータ双曲線関数を実行するように更に構成される、請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサ(706)は、
・ 前記データポイントの前記標準化された値を、第2の特徴を共通して持つ人物と比較すること、
・ 前記データポイントの前記標準化された値を、同様のデータポイントを含むデジタル画像(106)の第2のサンプルと比較すること、又は
・ 前記データポイントの前記標準化された値を、第2の特徴を有するデータポイントを含むデジタル画像(106)の前記第2のサンプルと比較すること、 を更に含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記デジタル画像(106)は1つ以上の映像のフレームである、請求項7から11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
人物の特徴を測定するコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがプロセッサ(706)を備えるシステム(700)によって実行されると、前記システム(700)に請求項1から6のいずれかに記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、画像処理技術に関し、より具体的には、人物の特徴を測定する方法及びシステムに関する。
【背景】
【0002】
カメラなどの画像及び映像技術の進歩に伴い、画像などのデジタルオブジェクトの数は飛躍的に増加している。これは、カメラでフル画像を撮影したり、自撮りをしたり、動画を撮影したりする人が増えていることも理由であろう。増えていくデジタル画像を、その画像の何らかの特徴に合わせて並べ替える必要がある場合がある。例えば、そこに写っている人物の年齢や身長に合わせて画像を並べる必要がある場合がある。このような並べ替えは、各画像に何らかのランクを与え、そのランクに応じて画像を並べることにより行うことができる。
【0003】
従来、画像をその特徴に応じてランク付けするために、様々なアルゴリズムが使用可能である。このようなアルゴリズムは、デジタルオブジェクトのランクを示すいくつかの値を提供することができる。しかし、ここで得られた値は人間が理解できるものではないため、デジタルオブジェクトのランクを容易に解釈できない可能性がある。例えば、パターン認識ソフトの中には、ある画像に0.00038などの任意の数値を与えるものがあるが、その数値には、「0~1の範囲で画像の数値は0.5」といったような専門的な解釈が対応付けられていない。ここでの課題は、ランダムな技術的測定値を人間が理解できる表記に結びつけること、つまり、任意の生の数値である測定値を意味のある代表的な閉範囲値に変換することである。
【0004】
そのため、上述の議論を踏まえて、人物の特徴を測定する公知のツールに関連する上述の欠点を克服する必要性がある。
【摘要】
【0005】
本開示は、人物の特徴を測定する方法及びシステムを提供しようとするものである。本開示の目的は、従来技術で発生した問題を少なくとも部分的に克服する解決策を提供することである。
【0006】
第1の態様では、本開示は、人物の特徴を測定する方法を提供する。本方法は、
・ 測定されている人物の特徴を定義することと、
・ 前記人物を含むデジタル画像のサンプルからのデータポイントの値を、第1のアルゴリズムによって、前記定義された特徴に従って測定することと、
・ 前記測定された値の分布曲線を生成することと、
・ 双曲線正接関数変換を実施することによって、前記測定された値を標準化することと、
を含む。
【0007】
第2の態様では、本開示は、人物の特徴を測定するシステムを提供する。本システムは、前記人物を含むデジタル画像のサンプルを受け取るように構成されたメモリと、プロセッサとを備え、前記プロセッサは、
・ 測定されている人物の特徴を定義することと、
・ 前記人物を含むデジタル画像の前記サンプルからのデータポイントの値を、第1のアルゴリズムによって、前記定義された特徴に従って測定することと、
・ 前記測定された値の分布曲線を生成することと、
・ 双曲線正接関数変換を実施することによって、前記測定された値を標準化することと、
を実行するように構成される。
【0008】
第3の態様では、本開示は、人物の特徴を測定するコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがプロセッサを備えるシステムによって実行されると、前記システムに本開示の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムを提供する。
【0009】
本開示の実施形態は、従来技術における前述の問題を実質的に解消し、又は少なくとも部分的に解決し、人物の特徴についての信頼性の高い測定を提供する。特に、本開示の実施形態では、非線形単調変換を実施し、意味のある代表値を求めるのに有用な滑らかな制限を適用する。更に、本開示の実施形態は、手動でラベル付けされたグランドトゥルース値なしに、0から1の閉範囲で測定値を標準化することも可能である。これにより、標準化された測定値を人間が容易に解釈できるようになった。
【0010】
本開示の追加の態様、利点、特徴、及び目的は、添付の請求項と併せて解釈される図面及び例示的な実施形態の詳細説明から明らかになるであろう。本開示の特徴は、添付の特許請求の範囲で定義された本開示の範囲から逸脱することなく、様々な組合せで組み合わせることが可能であることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
上記の摘要及び以下の例示的な実施形態の詳細説明は、添付の図面と併せて読むことにより、よりよく理解できる。本開示を説明する目的で、本開示の例示的な構造が図面に示されている。しかし、本開示は、本明細書に開示された特定の方法及び装置に限定されるものではない。更に、当業者であれば、図面が縮尺どおりでないことを理解するであろう。可能な限り、同じ要素は同じ番号で示している。
【0012】
以下の図を参照して、本開示の実施形態を例示のみを目的として説明する。
図1】本開示の一実施形態に係る、サンプルデジタルオブジェクトを含む画像モジュールのブロック図である。
図2】本開示の一実施形態に係る、例示的な分布曲線のグラフである。
図3A】本開示の一実施形態に係る、例示的な正規分布のグラフである。
図3B】本開示の一実施形態に係る、例示的な一様分布曲線のグラフである。
図3C】本開示の一実施形態に係る、例示的な指数分布曲線のグラフである。
図4】本開示の一実施形態に係る、単調変換の実装を示す図である。
図5A】本開示の一実施形態に係る、例示的な望ましい分布曲線のグラフである。
図5B】本開示の一実施形態に係る、例示的な双曲線正接関数変換のグラフである。
図5C】本開示の一実施形態に係る、図5Aの得られた測定値を制限するために使用される双曲線正接関数変換のグラフである。
図5D】本開示の一実施形態に係る、制限的分布曲線のグラフである。
図6】本開示の一実施形態に係る、人物の特徴を測定する方法のステップを示すフローチャートである。
図7】本開示の一実施形態に係る、人物の特徴を測定するシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細説明では、本開示の実施形態及びそれらを実施可能な方法を示している。本開示を実施するためのいくつかの形態を開示してきたが、当業者であれば、本開示を実施又は実行するための他の実施形態も可能であることを認識するであろう。
【0014】
ある態様では、本開示は、人物の特徴を測定する方法を提供する。本方法は、
・ 測定されている人物の特徴を定義することと、
・ 前記人物を含むデジタル画像のサンプルからのデータポイントの値を、第1のアルゴリズムによって、前記定義された特徴に従って測定することと、
・ 前記測定された値の分布曲線を生成することと、
・ 双曲線正接関数変換を実施することによって、前記測定された値を標準化することと、
を含む。
【0015】
別の態様では、本開示は、人物の特徴を測定するシステムを提供する。本システムは、前記人物を含むデジタル画像のサンプルを受け取るように構成されたメモリと、プロセッサとを備え、前記プロセッサは、
・ 測定されている人物の特徴を定義することと、
・ 前記人物を含むデジタル画像の前記サンプルからのデータポイントの値を、第1のアルゴリズムによって、前記定義された特徴に従って測定することと、
・ 前記測定された値の分布曲線を生成することと、
・ 双曲線正接関数変換を実施することによって、前記測定された値を標準化することと、
を実行するように構成される。
【0016】
一実施形態では、本システムは、メモリと、画像モジュールと、特徴モジュール、第1アルゴリズムモジュール、分布曲線モジュール、及び標準化モジュールを含むプロセッサと、を備えてもよい。メモリは、画像モジュールから人物を含むデジタル画像のサンプルを受け取るように構成されている。特徴モジュールは、測定されている人物の特徴を定義するために実装される。第1アルゴリズムモジュールは、第1アルゴリズムを実施して、人物を含むデジタル画像のサンプルからデータポイントの値を測定する。分布曲線モジュールは、測定値の分布曲線を生成するために実装される。標準化モジュールは、双曲線正接関数変換を利用して測定値を標準化するために実装される。
【0017】
本開示の実施形態では、画像モジュールは、人物の画像を含むサンプルデジタル画像であって、例えば、第1の人物の顔の画像を含む第1のデジタル画像、第2の人物の顔の画像を含む第2のデジタル画像等のサンプルデジタル画像を含み、測定されている人物の特徴を定義するものである。各サンプルデジタル画像の測定値は、所与のデジタル画像から人物の顔の定義された特徴を測定するのに適した第1のアルゴリズムを実施することによって割り当てられてもよい。測定値は、画像に存在する定義された特徴について決定された数に基づいて第1のアルゴリズムによって割り当てられる。
【0018】
具体的には、本開示に記載されている方法及びシステムは、人物の特徴を測定する有意義で効率的な技術を提供する。より具体的には、本開示は、第1のアルゴリズムと、人物の特徴を容易かつ効率的に測定する双曲線正接関数変換とを開示している。人物の特徴を測定する本方法及びシステムは、人間が容易に解釈できる標準化された測定値を得られるという点で有益である。
【0019】
人物の特徴を測定する方法は、測定されている人物の特徴を定義することを含む。つまり、測定されている人物の特徴は、測定対象となる特徴に基づいて定義される。デジタルオブジェクトが急増することにより、多くの要素に従って並べ替える必要があることが理解できるであろう。人物の特徴に応じて標準化された測定値を割り当てることによって、この並べ替えを効果的に行うことができる。人物の特徴とは、例えば、身長、顔の赤み、皮膚の赤み、顔のしわ、皮膚の状態(例えば、にきびやそばかす)などであるが、これらに限定されない。測定値は、人物の身長、しわ、にきびなどの顔の状態などに対応する数値である。
【0020】
一例として、測定されている人物の特徴は、しわである。本明細書での「しわ」とは、年を取ると特に顔の皮膚にできる小さな筋を指し得る。より多くのしわがあるデジタル画像には、その測定値によってこのデジタル画像内のしわの割合が分かるように、より高い測定値が割り当てられ得る。つまり、測定値が0.8の人物のデジタル画像は、測定値が0.3の人物のデジタル画像よりもしわが多いと判断することができ得る。本明細書では、画像の測定値が、所与のデジタル画像内の人物が何歳であるかを解釈するのに有用であることが理解されよう。
【0021】
別の例では、測定されている人物の特徴は、そばかすである。本明細書での「そばかす」とは、日光を浴びすぎたために皮膚にできた薄茶色の斑点のことを指し得る。より多くのそばかすがあるデジタル画像には、その測定値によってこのデジタル画像内のそばかすの割合が分かるように、より高い測定値が割り当てられ得る。つまり、測定値が0.8の人物のデジタル画像は、測定値が0.3の人物のデジタル画像よりもそばかすが多いと判断することができ得る。本明細書では、画像の測定値が、所与のデジタル画像内の人物がどれほど日光を浴びてきたかを解釈するのに有用であることが理解されよう。
【0022】
更に別の例では、測定されている人物の特徴は、傷である。本明細書での「傷」とは、皮膚上の痕を指し得、傷、火傷、褥瘡などが挙げられるが、これらに限定されない様々な原因で生じる可能性がある。より多くの傷があるデジタル画像には、その測定値によってこのデジタル画像内の傷の割合が分かるように、より高い測定値が割り当てられ得る。つまり、測定値が0.8の人物のデジタル画像は、測定値が0.3の人物のデジタル画像よりも傷が多いと判断することができ得る。本明細書では、画像の測定値が、所与のデジタル画像内の人物が事故などに遭ったことがあるかを解釈するのに有用であることが理解されよう。
【0023】
人物の特徴を測定する本方法は、人物を含むデジタル画像のサンプルからのデータポイントの値を、第1のアルゴリズムによって、定義された特徴に従って測定することを含む。本明細書での測定値は、人物の特徴に対応した数字(即ち、数値)の形であってもよい。サンプルデジタル画像は、これに基づいて対象となるデジタル画像の測定値を求めることができるサンプルであってもよい。サンプルデジタル画像のセットにおけるサンプルデジタル画像のそれぞれは、単一のカテゴリーに属す可能性があることが理解されよう。例えば、一実施形態では、サンプルデジタル画像は、人の顔の画像であってもよく、測定値が人の顔の赤みに応じて求められてもよい。本明細書でのサンプルデジタル画像のセットは、異なる人物の顔の画像を数千枚、例えば、2000、3000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、11000、12000、13000、14000、15000、16000、17000、18000、又はそれ以上の枚数を含んでもよい。「第1のアルゴリズム」は、互換性があり、サンプルデジタル画像からデータポイントの値(この場合は人の顔の赤み)を測定するために使用され得る、任意の適切なアルゴリズムであってもよい。サンプルデジタル画像としてデジタル画像が10000枚ある例では、第1のアルゴリズムを使用して、10000個の要素のベクトルを得るように各デジタル画像のデータポイントの値を測定する。
【0024】
実施形態によっては、デジタル画像は、1つ以上の映像のフレームである。この映像は、典型的には静止画の集合体であることが理解されよう。そのため、所与の動画ファイルの1つ以上のフレームをキャプチャすることによって、必要なデジタル画像を抽出することができ得る。
【0025】
本方法は、測定値の分布曲線を生成することを含む。分布曲線は、測定値がどのくらいの頻度で発生し得るかを表している。分布曲線は、例えば、正規分布、一様分布、非対称分布の形状であるか、にきびがある人の指数密度関数などのように不均衡であり、正規化するために追加の非線形形状補正が必要な場合がある。ある例では、人物の身長が分かり、その人物は背が高いのか低いのか、又は平均的なのかを判断する必要がある。ここで、サンプルデジタル画像は、人物の10000枚のデジタル画像であってもよく、第1のアルゴリズムは、一般的に、サンプルデジタル画像内の各人物の身長を測定するために使用され得る定規(例えば、ピクセル数などを測定することによって)として機能してもよい。また、得られた身長を測定値と呼ぶこともある。各人物の身長が決まれば、ヒストグラムによりこれらの値をプロットすることによって、分布曲線を得てもよい。人間の身長の場合、分布曲線は正規分布のように見える場合がある。しかし、その他の測定では、分布曲線が非常に非対称であるか不均衡であるため、より「正規」にするために追加の非線形形状補正が必要な場合がある。例えば、にきびなどの皮膚の状態は、すべての人に意味を持つ程の影響を与えるものではない。中にはにきびに悩まされている人もいるが、大半の人はそうではない。つまり、対象の分布は、低い値(大半の人にはにきびがない)の周りに多くの重みがあるとともに、いくらかのより高い値があるような形となる。これは、指数密度関数のように見える。
【0026】
一例として、分布曲線は、画像モジュールによって提供されるサンプルデジタル画像の測定値の発生確率を示す。xがデジタル画像のサンプルの任意の測定値であるとき、確率P(x)は縦軸に取られ、測定値(x)は横軸に取られる。測定値が原点に向かってより集中し、端点に向かって少なくなる場合、画像モジュール内のサンプルデジタル画像のうち、最大数のデジタル画像が低い測定値を有する。つまり、サンプルデジタル画像では、デジタル画像における最大数の人は特徴(例えば、しわ)がより少なく、少数の人だけが測定された特徴(例えば、しわ)の数が顕著に多い。
【0027】
分布曲線の形状は、正規分布、一様分布、指数分布のいずれかであり得る。一様分布とは、すべての測定値が同様の発生確率である分布を指し得る。つまり、サンプルデジタル画像内の各デジタル画像の測定値が同じである場合、得られる分布曲線が一様になり得る。指数分布は、測定値の発生確率が減衰する指数パターンである分布を指し得る。本明細書では、多数の測定値のうち、一部の例外を除き、ほとんどがゼロに近い値になり得る。即ち、本明細書では、測定値の発生確率対測定値のグラフをプロットすると、得られる分布曲線は指数分布となることを示す。正規分布は、測定値の発生確率が正規パターンに従う分布を指し得る。つまり、サンプルデジタル画像内の各デジタル画像の測定値の発生確率対測定値のグラフをプロットすると、得られる分布曲線が正規になる場合もある。本明細書では、測定値が極端な値に向かうにつれ、その発生がますます稀になる場合もある。
【0028】
正規分布曲線の実施形態では、横軸に値(x)を取り、縦軸にその値の発生確率(P(x))を取ることで、正規分布曲線が得られる。正規分布は、中心点付近の重みが大きく、端点に向かうほど重みが小さい。一様分布曲線の実施形態では、横軸に値(x)を取り、縦軸に発生確率(P(x))を取ることで、一様分布が得られる。一様分布では、発生確率(P(x))は各値で同じである。指数分布曲線の実施形態では、横軸に値(x)を取り、縦軸に発生確率(P(x))を取ることで、指数分布が得られる。指数分布は、指数関数の形状をしている。本明細書では、指数分布曲線において、発生確率(P(x))が原点に向かって増加し、端値に向かって指数関数的に減少する。
【0029】
実施形態によっては、本方法は、単調変換を実施することによって、分布曲線を正規化することを更に含む。本明細書において、プロセッサは、単調変換を実施することによって、分布曲線を正規化するように更に構成される。変換関数が非線形単調変換関数の場合、分布を正規化(分布の形状を補正)することで、分布の形状を正規分布の形状又は一様分布の形状に近付けるように均衡させることができる。つまり、分布をより妥当な正規の形に整形する。単調変換は、数値の順序が保持されるように第1のデータセットを第2のデータセットに変換することができる関数として定義し得る。本明細書では、単調変換は、非線形の単調変換であってもよい。即ち、本明細書では、非線形単調変換関数は、各測定値の順序を保持するように、各測定値を変換してもよい。
【0030】
上述したように、分布曲線は、サンプルデジタル画像のすべてのカテゴリーについて正規であるとは限らない。本実施形態では、分布曲線が望ましくない、即ち正規でも均等でもない場合に、単調変換により望ましい分布曲線を得ることができる。得られた望ましい分布曲線は、変換された分布曲線と呼ばれることがある。デジタル画像のサンプルに適した望ましい分布曲線は、定義された特徴に依存し得る。したがって、使用する単調変換は、サンプルデジタル画像について定義された特徴に依存し、経験に応じて学習し得る。サンプルデジタル画像について定義された特徴に応じて、どの単調変換を使用するかについて人によって入力されてもよい。
【0031】
ある実装では、人物の身長が平均、低い、又は高いのいずれであるかを判断する必要がある場合がある。上述したように、例えば、異なる人物の10000枚のデジタル画像を含むサンプルデジタル画像を提供してもよい。本明細書では、それぞれの異なる人物の身長が、それぞれのデジタル画像の測定値であってもよい。次に、10000人の身長の分布曲線を得てもよい。人間の身長は、大半の人が平均的であることから、正規分布している可能性がある。非常に背の高い人、低い人はわずかである。したがって、多くの身長値が平均身長付近になる可能性がある。よって、このような場合の望ましい分布曲線は、正規分布であり得る。
【0032】
別の実装では、その人物のにきびの割合が平均、低い、又は高いのいずれかであるかを判断する必要がある場合がある。上述したように、例えば、異なる人物の10000枚のデジタル画像を含むサンプルデジタル画像を提供してもよい。各画像内の人物のにきびの状態に応じた数値を得てもよい。次に、サンプルデジタル画像内の人物のにきびの状態の分布曲線を得てもよい。にきびなどの皮膚の状態は、すべての人に意味を持つ程の影響を与えるものではない。中にはにきびに悩まされている人もいるが、大半の人はそうではない。そのため、大半の人にはにきびがないことから、直感的には、望ましい分布曲線は低い値の周りに多くの重みがあるような形となる。中にはより高い値を有する人もいる。つまり、人数が多い分、数値が低くなる可能性がある。したがって、より低い数値の発生確率が高く、数値が大きくなると発生確率が低くなることがある。よって、望ましい分布曲線は、指数分布のように見える場合がある。したがって、人による入力によって、確率分布関数を指数分布に変換することができるものとして、単調変換を提供し得る。
【0033】
更に別の実装では、その人物のしわの割合が平均、低い、又は高いのいずれかであるかを判断する必要がある場合がある。上述したように、例えば、異なる人物の10000枚のデジタル画像を含むサンプルデジタルオブジェクトを提供してもよい。なお、各デジタル画像の測定値は、そのデジタル画像内の人物のしわの割合に応じて求めてもよい。次に、上記測定値の分布曲線を得てもよい。上記異なる人物が20~22歳の年齢層である場合、しわに基づいて描かれる望ましい分布曲線は、一様分布となり得る。したがって、このような場合、人による入力によって、分布曲線を一様分布に変換することができるものとして、単調変換を提供し得る。しかし、上記異なる人物の年齢層が制限されていなければ、望ましい分布曲線は正規分布になる可能性がある。したがって、実験と経験に基づいて導出され得る適切な単調変換を選択する必要がある。
【0034】
単調変換が常に必要とは限らないことも考えられる。前述の身長測定値の問題のような場合では、分布が正規又は均等である場合には、単調変換は必要ない場合もある。
【0035】
一実施形態では、単調変換は、自然対数関数を含む。自然対数関数は、式

y = ln(x)

で定義される。式中、yは変数xに対する自然対数関数である。自然対数関数は、パラメータを何ら必要とせず、望ましくない分布曲線を正規分布に変換し得る。例えば、測定値(n)に対する確率分布関数(p(n))は、測定値(n)に対する変換値(ln(p(n)))のグラフをプロットすることによって変換されてもよい。したがって、望ましい分布曲線が正規分布である場合には、人による入力によって、自然対数関数を提供し得る。自然対数関数で得られた変換値は、-∞から+∞の間にあると考えられる。
【0036】
正規分布は、その範囲に制限はなく、つまり、-∞~+∞の範囲で任意の値を出力できることを理解されよう。正規分布は、当然にも理論的にも、負の無限大から正の無限大までの範囲を有する場合がある。人物の身長を測定する場合、これは実用上問題にならない可能性もある。ただし、変換値の範囲が必ず有限であるようにするために、双曲線正接関数変換を使用して、確実に測定値を標準化してもよい。
【0037】
本方法は、双曲線正接関数変換を実施することによって、測定値を標準化することを含む。測定値を標準化することで、例えば[0,1]のような有限の閉範囲を得ることができる。双曲線正接関数変換は、式

y = tanh(X)

で定義し得る。式中、Xは双曲線正接を求める必要のある変数であり、yはXの双曲線正接である。tanh(X)は、-∞から+∞までの値を[-1,1]の閉範囲に制限することができる。tanh(X)関数は、中央の0付近に線形セグメントがあり、負の入力で漸近的に-1に近付き、逆に正の値が大きくなると1に近付くものであってもよい。
【0038】
実施形態によっては、測定値を標準化することは、パラメータh、hvを持つ2パラメータ双曲線関数を実行することを含む。つまり、標準化するために、プロセッサは、パラメータh、hvを持つ2パラメータ双曲線関数を実行するように更に構成される。2パラメータ双曲線関数を実行するために使用される2つのパラメータは、h及びhvである。ここで、「h」は、正規化されていない分布からの極端な測定値又は高端の測定値であってもよい。例えば、身長を測定する場合、「h」は200cmであるかもしれない。「hv」は、(x軸に沿ったtanh関数における)「h」に対応する極端な値の設定点として定義されてもよい。「hv」は「h」がどれだけ極端かを示してもよい。一般的には、「h」は「3」を取ってもよく、これが適切であり得る。2パラメータ双曲線関数は、低端値をゼロと仮定し、高端値を有する正規化のみを指定する。
【0039】
実施形態によっては、測定値を標準化することは、パラメータl、lv、h、hvを持つ4パラメータ双曲線関数を実行することを含む。つまり、標準化するために、プロセッサは、パラメータl、lv、h、hvを持つ4パラメータ双曲線関数を更に実行するように構成される。ここで、「l」は、通常のtanh(x)形状の低点として定義されてもよい。また、「lv」は、通常のtanh(x)形状において上記低点に当たる測定された低い値であってもよい。つまり、「lv」は、測定値の下限であってもよい。更に、「h」は、通常のtanh(x)形状の高点として定義されてもよい。また、「hv」は、上記高点に当たる測定された高い値であってもよい。つまり、「hv」は、測定値の上限であってもよい。4パラメータ双曲線関数の方が、典型的には強力であり、一般的にこのような状況には適用され得ると考えられる。4パラメータ双曲線関数は、通常の「tanh」形状を任意の生の数値範囲に適合させることができる。「tanh」形状の中央部は、線形であることから、入力データの形状を維持している。低末端値と高末端値の部分のみが大幅に変更されている。本明細書では、追加のパラメータによって、tanhの形状に適合するように入力の範囲を制御して、代わりに範囲[0,1]を返す。したがって、本開示の実施形態については、2パラメータ双曲線関数よりも4パラメータ双曲線関数が全体的に好ましい。つまり、l/hはtanh(x)軸の空間であり、lv/hvは正規化されていない生の値である。
【0040】
双曲線正接関数変換を使用する代わりに、測定値の下限と上限をハードキャップで制限すると、測定値間の比較可能性が失われる可能性があることが理解されよう。例えば、例示的な実装では、測定値の下限を-100、上限を+100に設定し得る。下限の-100を-1としてハードキャップし、上限の100を+1とハードキャップした場合、測定値101及び120は共に100に制限され得る。本実装では、双曲線正接関数変換を使用することによって、これを回避し得る。双曲線正接関数変換では、限界値に向かって漸近的に飽和することはあっても、実際に限界値に達することはない。ここで、-∞は-1に、+∞は+1に制限されるというように、両端が開放した範囲であってもよい。つまり、双曲線正接関数変換は、低末端値と高末端値の部分を大幅に変更するのみである。ただし、測定値が上記範囲にあることが分かっている場合には、それに応じて双曲線正接関数変換の限界値を定義してもよい。例えば、ある実装では、人物の身長の測定において、身長が63cm~292cmの範囲にあることが理解されよう。したがって、本明細書での双曲線正接関数変換は、63cmを-1に、292cmを+1に制限することができる。
【0041】
一実施形態では、標準化された測定値を0~1の閉範囲にマッピングしてもよい。前述したように、上記双曲線正接変換を実施して制限された場合、標準化された測定値が、-1~1の閉範囲にあってもよい。ただし、より解釈しやすくするために、閉範囲-1~1を閉範囲0~1にマッピングしてもよい。これは、線形手段又は正規化技術によって行われ得る。一実施形態では、これは、4パラメータ双曲線関数を使用しながら、パラメータl、lv、h、hvを制御することによって行われ得る。例えば、「l」を0に設定し、更に「hv」を0に設定してもよい。例えば、身長測定の場合、標準化された測定値の出力が、0.5を平均とし、175cmを0.5にマッピングした基準に従うように、4パラメータ双曲線正接関数を定義してもよい。身長の測定値において、0が最も低い標準化された測定値である。したがって、測定値140cmは、標準化された値0.03にマッピングされ得る。これは、測定値のあらゆる「生」の範囲に適用可能なように4パラメータ双曲線正接関数を適合させることによって実施され、0~1の範囲内の標準化された値を提供し得る。
【0042】
別の実施形態では、標準化された測定値を求めるために、4パラメータ双曲線関数を使用して測定値を-1から1の範囲に制限し、その後、標準化された測定値に対して正規化技術を実施してもよい。本明細書では、正規化技術とは、変数の値をある範囲内で拡大縮小する処理である。一般的には、この範囲は0から1となり得る。正規化を行うには多くの方法がある。一般的に、正規化は次式により行われる。
式中、Xは変数の元の値、Xnewは正規化後に得られた変数Xの新しい値、Xminは変数Xの最小値、Xmaxは変数Xの最大値である。測定値の0~1の閉範囲へのマッピングは、線形変換と双曲線正接関数の結果を一緒に実行することによっても行い得る。このように、本実施形態では、双曲線正接関数変換により、負から正の無限大までの値を閉範囲[-1,1]に制限し得ることが理解されよう。追加のパラメータによって、tanhの形状に適合するように入力の範囲を制御して、代わりに範囲[0,1]を返す。
【0043】
実施形態によっては、本方法は、データポイントの標準化された値を、共通して第2の特徴を持つ人物と比較すること、データポイントの標準化された値を、同様のデータポイントを含むデジタル画像の第2のサンプルと比較すること、又はデータポイントの標準化された値を、第2の特徴を有するデータポイントを含むデジタル画像の第2のサンプルと比較すること、を更に含む。本明細書では、プロセッサは、データポイントの標準化された値を、第2の特徴を共通して持つ人物と比較すること、データポイントの標準化された値を、同様のデータポイントを含むデジタル画像の第2のサンプルと比較すること、又はデータポイントの標準化された値を、第2の特徴を有するデータポイントを含むデジタル画像の第2のサンプルと比較すること、を更に実行するように構成される。これにより、この結果が平均的なのか、低いのか、高いのか、あるいはその中間なのか、例えば、この人物は身長が高いのか低いのかなどを、より大きなサンプルや同様のデータを有する他のサンプル(例えば、一般の人々)と比較して分析することが可能になる。本明細書で使用される第2の特徴は、デジタル画像のサンプルに対して定義された特徴と類似している可能性があることが理解されよう。
【0044】
一実施形態では、データポイントの標準化された値を、第2の特徴を共通して持つ人物と比較してもよい。本明細書では、対象となるデジタル画像が入力として与えられ得る。対象となるデジタル画像は、比較する必要がある画像である。対象となるデジタルオブジェクトは、デジタル画像のサンプルと同じカテゴリーに属している可能性があることが理解されよう。即ち、例えば、定義された特徴が人物の顔のしわである場合、サンプルデジタル画像は、異なる人物の顔の複数枚の画像を含んでいてもよく、対象となるデジタル画像も、第2の特徴を比較する必要がある人物の顔のデジタル画像であってもよい。ここでの第2の特徴は、人物の顔のしわである。対象となるデジタル画像を受信すると、第1のアルゴリズムはこの画像を入力とし、第2の特徴に応じて測定値を提供してもよい。次に、双曲線正接関数変換を使用して、対象となるデジタル画像の標準化された測定値を得てもよい。その後、対象となるデジタル画像の標準化された測定値を、データポイントの標準化された測定値と比較し、特徴の割合を推定してもよい。例えば、この比較によって、平均、低い値、高い値、又はその中間の値として結果を提供し得る。身長測定の場合は、デジタル画像のサンプル内の人物との比較によって、対象となるデジタル画像内の人物の身長が高いのか、低いのか、平均的なのかの情報を与え得る。
【0045】
別の実施形態では、データポイントの標準化された値を、同様のデータポイントを含むデジタル画像の第2のサンプルと比較してもよい。即ち、本明細書では、単一の対象となるデジタル画像を入力する代わりに、複数の対象となるデジタル画像を含むデジタル画像の第2のサンプルを入力として与えてもよい。デジタル画像の第2のサンプルに含まれる各デジタル画像の測定値は、第1アルゴリズムを使用して個別に求めてもよい。次に、双曲線正接関数変換を実施することによって、デジタル画像の第2のサンプルの各デジタル画像について、標準化された測定値を求めてもよい。最後に、平均、低い値、高い値、又はその中間の値としてデジタル画像の第2のサンプルについての結果を求めるために、デジタル画像の第2のサンプルの各画像を、データポイントの標準化された値と比較してもよい。即ち、デジタル画像のサンプルの標準化された値と比較したときのデジタル画像の第2のサンプルの標準化された値が平均であれば、得られる結果は平均であってもよい。
【0046】
別の実施形態では、データポイントの標準化された値を、第2の特徴を有するデータポイントを含むデジタル画像の第2のサンプルと比較してもよい。前述したように、第2の特徴は、定義された特徴と概して同じである。本明細書では、デジタル画像の第2のサンプルを入力として与え、第1のアルゴリズム及び双曲線正接関数変換を使用して、デジタル画像の第2のサンプルの各画像の標準化された測定値を求めてもよい。次に、デジタル画像の第2のサンプルの各画像の標準化された測定値を、平均、低い値、高い値、又はその中間の値として結果を求めるために、データポイントの標準化された値と比較してもよい。
【0047】
一実施形態では、第2のアルゴリズムを実施することによって、対象となるデジタル画像についての代表的なランク値を求めるために、対象となるデジタル画像の標準化された測定値を閉範囲にマッピングしてもよい。本明細書では、標準化された測定値は、第2のアルゴリズムを実施することによって、代表的なランク値を求めるためにマッピングされてもよい。第2のアルゴリズムは、代表的なランク値を導出するのに有用なアルゴリズムである。例えば、一実施形態では、標準化された測定値は0.8であり、閉範囲は0~1である。よって、代表的なランク値は80%である。別の実施形態では、制限された変換値を閉値にマッピングすることによって、代表的なランク値は1から100までの数を取り得る。例えば、制限された標準化後の測定値が0.75の場合、代表的なランク値は75と求められ得る。
【0048】
本開示の人物の特徴を測定する方法及びシステムは、以下の例により理解することができる。一実施形態では、サンプルデジタル画像の測定値は、d=[2.7,7.4,20.1]のようなベクトル(d)であってもよい。上記サンプルデジタル画像の分布曲線は、ヒストグラム近似法によって得てもよい。分布曲線が非対称であることや、サンプルデジタル画像の密度が均一でない又は正規でないことがあるが、いずれも好ましくない。そこで、望ましい曲線を得るために、自然対数関数などの単調変換を使用してもよい。自然対数関数により、[1.0,2.0,3.0]が得られる。次に、4パラメータ双曲線関数のパラメータを求めてもよい。論理的には、上端値及び下端値をそれらの「極端度」と組み合わせて提供するものである。本明細書では、極端度は、上記上端値や下端値がどれだけ稀なものとされるかを意味してよい。[1.0,2.0,3.0]という値から、上限を1.0、下限を3.0としてもよい。極端な値は-1及び1としてもよい。つまり、標準化された値は、-1~1の閉範囲に制限されてもよい。一例として、4パラメータ双曲線関数を定義する「MatLab」コードを以下に説明するように記述し得る。
//
% x - input data
% l - low point in regular tanh(x) shape
% lv - value that hits the low spot
% h - high point in regular tanh(x) shape
% hv - value that hits the high spot
function a2=tanhNonlinearity2(x,l,lv,h,hv)
z = (h-l*hv/lv)/(1-hv/lv);
a2 = (tanh( x/lv*(l-z) + z )+1)*.5;
end
//
【0049】
4パラメータ双曲線関数tanhNonlinearity2(ln(d),-1,1,1,3)を実行した後、求めた変換値を制限して、標準化された[0.12,0.50,0.88]という出力を求めてもよい。次に、デジタル画像のサンプルの上記単一のカテゴリーに属する、対象となるデジタル画像を、測定値を割り当てるために第1のアルゴリズムで処理してもよい。対象となるデジタル画像の、例えば、測定値v=31を、tanh(x)関数で処理してもよく、この場合の標準化された値は0.95となる。tanh(x)関数は、出力範囲が[-1,1]に制限されている。例えば、「h」と「hv」というパラメータは、正規化されていない値「hv」を、x軸の「h」におけるtanh形状の位置を結びつける。値h=1は(関数の形状を見ると)直線部分の端に近いため、「適度に極端な」値として便利である(出力は0.76、つまりtanh(1)=0.76)。同様に、例えばh=2は既に漸近部に近いため、最大値(飽和)に近い出力となり、tanh(2)=0.96となる。つまり、正規化が必要な生の値が200cmであるとすると、h=1かh=2のどちらかを選択することによって、200cmが推定上どれだけ稀であるかを示す。1は高端値であるが、まだ線形範囲内にあり、2は既に例外的な値であり、tanhの形状によって大きくソフトリミットがかかる。
【0050】
本開示は、「デジタル画像のサンプル」という観点から説明してきたが、本開示の教示は、音声、映像、文字などを含むがこれらに限定されない、あらゆる種類のデジタルオブジェクトに適用され得ることが理解されよう。更に、人物の特徴を測定することに加えて、本開示の教示は、木、建物、車両の数などを含むがこれらに限定されない、他の物体の特徴を測定するために使用し得ることに留意されたい。
【0051】
本システム及び方法により、人物の特徴を迅速かつ効果的に測定することができる。更に、単調変換の実装は、分布曲線をより感覚的な形に変換するのに有用である。更に、任意の生の測定値を、手動でラベル付けされたグランドトゥルース値なしに、0~1の閉範囲で標準化された値にマッピングすることで、人間による分かりやすい解釈を可能にしている。
【図面の詳細説明】
【0052】
図1を参照すると、本開示の一実施形態に係る、サンプルデジタル画像106のセットを含む画像モジュール100のブロック図が示されている。図示されているように、サンプルデジタル画像106のセットは、第1のデジタル画像102及び第2のデジタル画像104を含む、人物の画像を含む。ここで、第1のデジタル画像102は、第1の人物の顔の画像を含み、第2のデジタル画像104は、第2の人物の顔の画像を含む。ここで定義された特徴は、顔のしわである。図示されているように、第1のデジタル画像102内の第1の人物は、第2のデジタル画像104内の第2の人物よりもしわが少ない。各サンプルデジタル画像の測定値は、所与のデジタル画像から人物の顔にあるしわを測定するのに適した第1のアルゴリズムを実施することによって割り当てられてもよい。第1のデジタル画像102の測定値は、例えば25.3と決定し、第2のデジタル画像104の測定値は、例えば7508.6と決定してもよい。本明細書では、測定値は、第1のアルゴリズムによって画像に存在するしわの決定された数に基づいて割り当てられる。
【0053】
図2を参照すると、本開示の一実施形態に係る、図1の測定値の分布曲線200が図示されている。即ち、分布曲線200は、図1の測定値の発生確率を示す。本明細書では、確率(P(x)、xが図1の任意の測定値を取り得る)は、縦軸に取られ、測定値(x)は横軸に取られる。図示されているように、測定値は、原点202に向かってより集中し、点204などの端点に向かってより少なくなる。これは、図1の画像モジュール100のサンプルデジタル画像のうち、最大数のデジタル画像が低い測定値を有することを示す。つまり、サンプルデジタル画像では、デジタル画像における最大数の人はしわがより少なく、少数の人だけがしわの数が顕著に多い。
【0054】
図3Aを参照すると、本開示の一実施形態に係る、正規分布曲線300Aが図示されている。横軸に値(x)を取り、縦軸にその値の発生確率(P(x))を取ることで、この正規分布曲線が得られる。図示されているように、この正規分布は、正規分布曲線300Aにおいて中心点302付近の重みが大きく、端点304、306に向かって重みが小さくなっている。
【0055】
図3Bを参照すると、本開示の一実施形態に係る、一様分布曲線300Bが図示されている。横軸に値(x)を取り、縦軸に発生確率(P(x))を取ることで、この一様分布曲線が得られる。図示されているように、この一様分布は一様であり、即ち、一様分布曲線300Bにおいて、各値に対して発生確率(P(x))が同じである。
【0056】
図3Cを参照すると、本開示の一実施形態に係る、指数分布曲線300Cが図示されている。横軸に値(x)を取り、縦軸に発生確率(P(x))を取ることで、この指数分布曲線が得られる。図示されているように、この指数分布は、指数関数の形状をしている。本明細書では、指数分布曲線300Cにおいて、発生確率(P(x))が原点308に向かって増加し、端値310に向かって指数関数的に減少する。
【0057】
図4を参照すると、単調変換を実施することによって、望ましくない分布曲線400Aをより妥当な正規の形に整形し、望ましい正規分布曲線400Bを求める例が図示されている。
【0058】
図5Aを参照すると、本開示の一実施形態に係る、望ましい分布曲線500Aが図示されている。縦軸に自然対数関数(ln(P(x)))を取り、横軸に測定値(x)を取ることで、この分布曲線が得られる。望ましい分布曲線500Aは、-8から+3までの測定値を取る。点502は低い値の数値-8を示し、点504は高い値の数値+3を示す。
【0059】
図5Bを参照すると、本開示の一実施形態に係る、双曲線正接関数変換500Bが図示されている。図示されているように、双曲線正接関数変換500Bは非線形であり、-1から+1までの値を取る。
【0060】
図5Cを参照すると、本開示の一実施形態に係る、図5Aにおける得られた測定値を制限するために使用される双曲線正接関数変換500Cが図示されている。双曲線正接関数変換500Cは、図5Aにおける得られた測定値を閉範囲(ここでは0~1の閉範囲)に制限するために使用される。
【0061】
図5Dを参照すると、本開示の一実施形態に係る、制限分布曲線500Dが図示されている。ここで、制限分布曲線500Dは、図5Aにおける得られた測定値を、図5Cの双曲線正接関数変換500Cで制限することによって得られる。図示されているように、制限分布曲線500Dは正規であり、0~1の閉範囲にある。
【0062】
図6を参照すると、本開示の一実施形態に係る、人物の特徴を測定する方法のステップを示すフローチャート600が示されている。ステップ602では、測定されている人物の特徴が定義される。ステップ604では、人物を含むデジタル画像のサンプルからのデータポイントの値が、第1のアルゴリズムによって、定義された特徴に従って測定される。ステップ606では、測定された値の分布曲線が生成される。ステップ610では、測定値が標準化される。
【0063】
図7を参照すると、本開示の一実施形態に係る、人物の特徴を測定するシステム700の簡略化したブロック図が示されている。システム700は、メモリ702と、画像モジュール704と、プロセッサ706とを備える。プロセッサ706は、特徴モジュール708と、第1アルゴリズムモジュール710と、分布曲線モジュール712と、標準化モジュール714とを更に備える。メモリ702は、画像モジュール704から人物を含むデジタル画像のサンプルを受け取るように構成されている。特徴モジュール708は、測定されている人物の特徴を定義するために実装される。第1アルゴリズムモジュール710は、第1アルゴリズムを実施して、人物を含むデジタル画像のサンプルからデータポイントの値を測定する。分布曲線モジュール712は、測定値の分布曲線を生成するために実装される。標準化モジュール714は、双曲線正接関数変換を利用して測定値を標準化するために実装される。
【0064】
前述の本開示の実施形態に対する変更は、添付の請求項によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく可能である。本開示を説明及び特許請求するために使用される「備える」、「含む」、「内蔵する」、「有する」、「である」などの表現は、非制限的に解釈されることを意図しており、即ち、明示的に説明されていない項目、構成要素、又は要素も存在することを許容している。単数形への言及は、その複数形にも関すると解釈される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
【外国語明細書】