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特開2022-158908システム、携帯端末装置、プログラム、又は方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158908
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】システム、携帯端末装置、プログラム、又は方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20221006BHJP
   H04M 1/724 20210101ALI20221006BHJP
【FI】
G16H50/20
H04M1/724
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009259
(22)【出願日】2022-01-25
(62)【分割の表示】P 2021063270の分割
【原出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】521140331
【氏名又は名称】カーブジェン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510192802
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立国際医療研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】山元 佳
(72)【発明者】
【氏名】宮塚 功
(72)【発明者】
【氏名】リー ・マイ・アン
【テーマコード(参考)】
5K127
5L099
【Fターム(参考)】
5K127AA31
5K127BA03
5K127CB02
5K127CB21
5K127MA18
5K127MA31
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より利便性の高いシステム、携帯端末装置、情報処理装置、プログラム及び/又は方法を提供する。
【解決手段】一つの携帯端末装置内のみの機能によって実現されるシステムであって、携帯端末装置は、菌種を特定する情報及び感受性率を特定する情報を取得する取得部と、アンチバイオグラムを用いて、菌種について感受性率を充足する一又は複数の抗菌薬に係る情報を特定する特定部と、を備える。抗菌薬に係る情報は、抗菌薬の感受性率、抗菌薬についてのスペクトラムスコア及び/又は抗菌薬のAWaRe分類を含む。携帯端末装置はさらに、複数の感受性率候補を表示する表示部を備える。感受性率は、複数の感受性率候補のうち、利用者が選択したものである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
菌種を特定する情報、及び、感受性率を特定する情報、を取得する取得部と、
アンチバイオグラムを用いて、前記菌種について前記感受性率を充足する一又は複数の抗菌薬に係る情報を特定する特定部と、
を備える携帯端末装置。
【請求項2】
前記抗菌薬に係る情報は、前記抗菌薬の感受性率、前記抗菌薬についてのスペクトラムスコア、及び/又は、前記抗菌薬のAWaRe分類、を含む、
請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記携帯端末装置は、複数の感受性率候補を表示する表示部を備え、
前記感受性率は、前記複数の感受性率候補のうち、利用者が選択したものである、
請求項1乃至2のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記複数の感受性率候補の一と関連付けて、推奨を示す情報を表示する、
請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記表示部は、利用可能な複数のアンチバイオグラムの候補を表示し、
前記アンチバイオグラムは、利用者によって選択されたアンチバイオグラムである、
請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
第1画像を取得する画像取得部と、
前記第1画像を送信する送信部と、
前記菌種を特定する情報を受信する受信部と、を備え、
前記菌種を特定する情報は、前記携帯端末装置内に備えられていない、画像と菌種を特定する情報との関係を機械学習済みの機械学習部が、前記第1画像を適用することによって生成したものである、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記機械学習部が前記第1画像を適用することによって生成した、前記菌種を特定する情報、及び、前記機械学習部による推論の正しさの程度を示す確信度、を表示する表示部を備える、
請求項6に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記表示部は、更に、前記機械学習部が推論時に利用した特徴量を前記第1画像上で対応付けて表示する、
請求項7に記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記画像取得部は、取得した画像の適格性を検出し、前記取得した画像が不適格であると判断した場合は、アラートを生成する、
請求項6に記載の携帯端末装置。
【請求項10】
前記菌種は、尿、血液、喀痰、及び/又は、髄液、に係るものである、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項11】
前記菌種を特定する情報は、機械学習以外の手法によって特定されたものである、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項12】
前記抗菌薬に係る情報は、前記抗菌薬に係る留意情報を含む、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項13】
携帯端末装置が、
菌種を特定する情報、及び、感受性率を特定する情報、を取得するステップ、
アンチバイオグラムを用いて、前記菌種について前記感受性率を充足する一又は複数の抗菌薬に係る情報を特定するステップ、
を実行する方法。
【請求項14】
前記携帯端末装置は、前記アンチバイオグラムを記憶するメモリを有する、
請求項13に記載する方法。
【請求項15】
前記携帯端末装置は、前記抗菌薬に係る情報を特定するための演算を処理する演算装置を有する、
請求項13又は14に記載する方法。
【請求項16】
携帯端末装置を、
菌種を特定する情報、及び、感受性率を特定する情報、を取得する手段、
アンチバイオグラムを用いて、前記菌種について前記感受性率を充足する一又は複数の抗菌薬に係る情報を特定する手段、
として動作させるプログラム。
【請求項17】
前記携帯端末装置は、前記アンチバイオグラムを記憶するメモリを有する、
請求項13に記載するプログラム。
【請求項18】
前記携帯端末装置は、前記抗菌薬に係る情報を特定するための演算を処理する演算装置を有する、
請求項16又は17に記載するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願において開示された技術は、システム、携帯端末装置、プログラム、又は方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アンチバイオグラムに関する作業効率の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-187604号公報
【特許文献2】特表2019-521682号公報
【特許文献3】特開2016-110376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の文献に開示された技術は、利用者の利便性の観点で不十分な部分がある。そこで、本発明の様々な実施形態は、上記の課題を解決するために、より利便性を向上させたシステム、携帯端末装置、情報処理装置、プログラム、及び/又は方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施態様は、
菌種を特定する情報、及び、感受性率を特定する情報、を取得する取得部と、
アンチバイオグラムを用いて、前記菌種について前記感受性率を充足する一又は複数の抗菌薬に係る情報を特定する特定部と、
を備える携帯端末装置。
【0006】
他の実施態様は、携帯端末装置が、
菌種を特定する情報、及び、感受性率を特定する情報、を取得するステップ、
アンチバイオグラムを用いて、前記菌種について前記感受性率を充足する一又は複数の抗菌薬に係る情報を特定するステップ、
を実行する方法。
【0007】
他の実施態様は、携帯端末装置を、
菌種を特定する情報、及び、感受性率を特定する情報、を取得する手段、
アンチバイオグラムを用いて、前記菌種について前記感受性率を充足する一又は複数の抗菌薬に係る情報を特定する手段、
として動作させるプログラム。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態により、より利便性の高いシステム、携帯端末装置、情報処理装置、プログラム、及び/又は方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態のシステムに係る構成を示すブロック図である。
図2図2は、一実施形態のシステムに係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、一実施形態のシステムに係る機能を示すブロック図である。
図4図4は、一実施形態のシステムに係る画面表示例を示す図である。
図5図5は、一実施形態のシステムに係る画面表示例を示す図である。
図6図6は、一実施形態のシステムに係る画面表示例を示す図である。
図7図7は、一実施形態のシステムに係る画面表示例を示す図である。
図8図8は、一実施形態のシステムに係る画面表示例を示す図である。
図9図9は、一実施形態のシステムに係る画面表示例を示す図である。
図10図10は、一実施形態のシステムに係る一機能を示す模式図である。
図11図11は、一実施形態のシステムに係る表示例を示す図である。
図12図12は、一実施形態に係るシステムの利用例を示す図である。
図13図13は、一実施形態に係るシステムの一構成機能例を示す図である。
【0010】
1.本願発明の概要
本願発明に係る一実施形態のシステムは、菌種に対する情報の収集を支援する技術を提供する。
【0011】
図1は、本願発明に係る一実施形態のシステムの一態様を図示したものである。一実施形態のシステムに係る機能は、一つの携帯端末装置内のみの機能によって実現されてよく、他の情報処理装置の機能を利用せずに実現されてよい。この場合、利用者は、かかる一つの携帯端末装置のみを持ち運べば、本願発明に係るシステムの恩恵を得ることができる利点がある。特に、被災地、医療過疎地などへも容易に持ち運ぶ利点がある。特に、本願発明に係るシステムが、携帯端末装置としてスマートフォンに実装された場合、普及されたスマートフォンであることから、簡易に利用できる利点がある。
【0012】
特に、本実施形態のシステムが、後述の第2実施形態のシステムに係る撮像画像を利用する形態であって、かつ、かかる撮像画像を撮像するための撮像装置を備える場合、かかる撮像装置を用いて撮像した撮像画像を利用して、抗菌薬に係る情報を特定できるため、より簡易に利用できる利点がある。
【0013】
また、本実施形態のシステムが、撮像画像を利用し、かつ、撮像装置を有するスマートフォン内に実装されている場合、例えば、プレパラート上のグラム染色した検体を、光学顕微鏡で観察可能な状態のものを、かかるスマートフォンで撮像できる利点がある。この場合、本実施形態のシステムに係る撮像装置は、所定の倍率で拡大した、プレパラート上のグラム染色した検体の撮像に利用されてよい。この場合、被災地、医療過疎地などの利用現場においても、従来の医療機器のような大規模な撮像装置を持ち込む必要なく、プレパラート上の検体から、簡易に情報を収集できる利点がある。かかる構成を実現する態様は種々あるが、たとえば、図12は、本実施形態のシステムとしてのスマートフォンが、光学顕微鏡のアタッチメントによって、光学顕微鏡に対して着脱可能に固定され、スマートフォンに係る撮像装置によって、光学顕微鏡の観察画像を撮像することが可能な態様を示す。
【0014】
また、本願発明に係るシステムが、インターネットを介して、ダウンロード可能なソフトウェアによって実現されている場合、スマートフォンやノートパソコンなどのインターネットに接続してソフトウェアをダウンロード可能な携帯端末装置においてダウンロードしてインストールすることにより、簡易に実装できる利点がある。
【0015】
例えば、本図において、インターネット2を介して、サーバやクラウドなどの情報処理装置にアクセスし、本願発明に係るシステムに必要な情報を、ダウンロードしてよい。かかる情報は、上述のとおり、本願発明に係るシステムをインストールするためにダウンロードされる情報であってもよいし、本願発明に係るシステムが使用される際に利用される情報であってもよい。後者は、例えば、最新のアンチバイオグラムや、本願発明に係るシステムが利用される地域に係るアンチバイオグラムなどを含んでよい。
【0016】
本願発明に係るシステムは、情報処理装置であってよい。図2は、情報処理装置10の構成を示すものであり、情報処理装置10は、バス11、演算部12、記憶部13を有することができる。また、入力部14、表示部15、通信IF16を有してよい。本願発明に係る一実施形態のシステムは、一又は複数の情報処理装置10から構成されてよい。
【0017】
バス11は、演算部12、記憶部13の間の情報を伝達する機能を有する。入力部14、表示部15、通信IF16の間の情報を伝達する機能を有してよい。
【0018】
演算部12は、例えばプロセッサが挙げられる。これは、CPUであってもよいし、MPUであってもよい。要するに、演算部12は、プログラムの命令を実行できる機能を有すればよい。また、機械学習部の機能を実施する演算部12は、機械学習済み機能を処理可能な処理装置であってよい。また、機械学習部の機能を実施する演算部12は、機械学習済み機能を処理可能であるが、機械学習機能は有しない構成であってもよい。スマートフォンなどの携帯端末装置は、サーバやクラウドと比較すると情報処理機能が劣るところがあるものの、機械学習機能を有さず、機械学習済み機能のみを有することにより、簡易な処理が可能な利点がある。なお、かかる機械学習済み機能のみを有する手法の一つとしては、機械学習済み機能を実現するソフトウェアを、かかる携帯端末装置にダウンロードさせてインストールさせることで実現できてよい。
【0019】
記憶部13は、情報を記録する機能を有する。これは、外部メモリと内部メモリのいずれでもよく、主記憶装置と補助記憶装置のいずれでもよい。なお、情報処理装置がサーバやクラウドである場合は、ネットワークを介した記憶装置、クラウド上の記憶装置などでもよい。なお、演算装置に近い位置で情報を記憶する、レジスタ、L1キャッシュ、L2キャッシュなどは、図1の模式図においては、バスを介していない点で演算部12内に含まれる場合もあるが、計算機アーキテクチャのデザインにおいて、情報を記録する装置としては、記憶部13がこれらを含んでもよい。要するに、演算部12と、記憶部13及びバス11が協調して、情報処理を実行できればよい。また、上記は、演算部12が、記憶部13に備えられたプログラムに基づいて実行される場合を記載したが、上記のバス11、演算部12と記憶部13が組み合わされた形式の一つとして、本件システムに係る情報処理を、ハードウェア回路自体を変更することができるプログラマブルロジックデバイス又は実行する情報処理が決まっている専用回路で実現されてもよい。
【0020】
入力部14は、情報を入力する機能を有する。マウス、タッチパネル、ペン型の指示装置などの指示装置が挙げられる。表示部15は、例えば、ディスプレイがある。また、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどでもよい。要するに、情報を表示できる装置であればよい。また、タッチパネルのように入力部14を一部に備えてもよい。
【0021】
以下では、上述の情報処理装置10を用いて、種々の組み合わせの例を説明する。以下で説明される個々の例は、ネットワーク上における構成例の一例にすぎず、明示的に示されたもの以外にも、以下の個々の情報処理装置の組み合わせ例の他の組み合わせ例があってもよい。これらの組み合わせは、技術常識を踏まえて、多様な組み合わせがあってよい。
【0022】
2.機能
本願に係る発明の有する一部または全部の機能を、以下に説明する。本願発明に係るシステムは、以下の取得部、情報処理部、機械学習部、及び/又は、表示部を有してよい。例えば、後述する第1実施形態のシステムは、以下の、取得部、情報処理部、及び、表示部を有してよい。また、後述する第2実施形態のシステムは、以下の、取得部、機械学習部、協調機械学習部、及び、表示部、を供えてよい。なお、後述する第2実施形態のシステムが携帯端末装置の場合は、以下の、取得部、表示部、及び、通信部を供えてよい。この場合、かかる携帯端末装置は、携帯端末装置外にある情報処理装置内の機械学習部と、機械学習に係る情報についての送信、受信などの通信を行ってよい。なお、機械学習部や協調機械学習部は、サーバ、クラウド等に備えられてよく、これらの機器が上述の通信に対応してよい。
【0023】
2.1.取得部
取得部は、本願発明に係る情報を取得する機能を有する。取得部は、例えば、後述の撮像画像、及び/又は、菌種を特定する情報、などの本願発明に係る情報を取得してよい。
【0024】
本願発明のシステムに係る取得部は、本願発明に係る情報を、他の情報処理装置から取得してもよいし、利用者の入力に基づいて取得してもよいし、本願発明に係るシステム自身から取得してもよい。
【0025】
2.2.情報処理部
情報処理部は、情報処理の機能を有する。情報処理部は、主にアンチバイオグラムを用いた情報処理をする機能を有してよい。
【0026】
2.3.機械学習部
機械学習部は、画像についての推論の結果を生成する機能を有する。
【0027】
機械学習部は、画像についての機械学習済みであってよい。機械学習部は、画像と、画像の適切性と、の関係、及び/又は、画像と画像内の菌種を特定する情報と、の関係を機械学習済みであってよい。
【0028】
機械学習部は、人工知能技術が用いられてよい。例えば、機械学習部は、入力と出力との関係を機械学習済みであってよく、かかる機械学習済み機能を用いて、入力に対応する出力を生成してもよい。
【0029】
上述の機械学習は、種々の手法が用いられてよい。例えば、ディープラーニングを用いたニューラルネットワーク、サポートベクターマシーン、ベイジアンネットワーク、クラスタリング、などが用いられてよい。また、機械学習は、機械学習済みモデルであってよい。そして、本願書類における機械学習済みモデルは、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとしての利用が想定されてよい。本願発明の学習済みモデルは、CPU及びメモリを備えるコンピュータにて用いられてよい。具体的には、コンピュータのCPUが、メモリに記憶された学習済みモデルからの指令に従って、ニューラルネットワークの入力層に入力された入力データに対し、ニューラルネットワークにおける重みを用いた演算を行い、ニューラルネットワークの出力層から結果を出力するよう動作してよい。
【0030】
2.4.協調機械学習部
協調機械学習部は、機械学習部における重みを管理する機能を有してよい。かかる重みは、機械学習済みの機械学習部から、伝達されたものを用いて管理してよい。すなわち、協調機械学習部は、一又は複数の機械学習部から伝達された重みを用いて、協調機械学習部における重みを生成する機能を有してよい。かかる生成された重み(本願書類において、「統合済み重み」ということがある)は、機械学習部に伝達されてよい。
【0031】
図13は、協調機械学習部と機械学習部との関係を示す一例である。機械学習部a131と機械学習部b132と、は各々協調機械学習部133と接続可能であってよい。また、機械学習部a、機械学習部b、協調機械学習部は、ネットワークを介して接続可能であってよい。また、機械学習部aと、機械学習部bと、協調機械学習部と、は異なる医療関係機関において所有、利用、管理、されるものであってよい。
【0032】
かかる構成が使用される一例としては、以下が考えられる。まず、機械学習部aにおいて、データAを用いて機械学習がされるとする。データAは、一又は複数のデータであってよい。機械学習部aは機械学習により、機械学習済みとなり、かかる機械学習に対応して重みAを生成できる。機械学習部aは、かかる重みAを、協調機械学習部に伝達してよい。協調機械学習部は、かかる重みA又はかかる重みAを機械学習部bに適用可能に加工したものを、機械学習部bに伝達してよい。機械学習部bは、かかる重みA又はかかる重みAを機械学習部bに適用可能に加工したものを用いて、以後の機械学習機能を適用してよい。この場合、機械学習部bにおいては、機械学習部aにおける学習をする必要がない利点がある。すなわち、機械学習部bにおいては、機械学習部aにおける学習で使用したデータを用いることなく、機械学習部aが学習によって得た機能を、重みA又はかかる重みAを機械学習部bに適用可能に加工したものの伝達により、得ることができる利点がある。これは、機械学習部aが機械学習にあたり利用したデータが、医療用情報などの個人情報を含む場合において、かかる個人情報を、機械学習部aから、協調機械学習部に伝達しなくとも、機械学習部bにおいて、機械学習できる利点がある。
【0033】
機械学習部bは、更に機械学習部bにおいて、機械学習してよい。機械学習部bは機械学習により、機械学習済みとなり、かかる機械学習に対応して重みBを生成できる。機械学習部bは、かかる重みBを、協調機械学習部に伝達してよい。協調機械学習部は、かかる重みB又はかかる重みBを機械学習部aに適用可能に加工したものを、機械学習部aに伝達してよい。機械学習部aは、かかる重みB又はかかる重みBを機械学習部aに適用可能に加工したものを用いて、以後の機械学習機能を適用してよい。この場合、機械学習部aにおいては、機械学習部bにおける学習をする必要がない利点がある。すなわち、機械学習部aにおいては、機械学習部bにおける学習で使用したデータを用いることなく、機械学習部bが学習によって得た機能を、重みB又はかかる重みBを機械学習部aに適用可能に加工したものの伝達により、得ることができる利点がある。これは、機械学習部bが機械学習にあたり利用したデータが、医療用情報などの個人情報を含む場合において、かかる個人情報を、機械学習部bから、機械学習部aに伝達しなくとも、機械学習部aにおいて、機械学習できる利点がある。
【0034】
なお、図示しない新たに機械学習部cがある場合、協調機械学習部は、かかる機械学習部cに対して、上述の重みB又はかかる重みBを機械学習部cに適用可能に加工したものを伝達してよい。この場合、機械学習部cは、まったく機械学習していない場合であっても、機械学習部a及び機械学習bにおいて機械学習された精度の高い機能を、これらの機械学習の処理せずに、かつ、医療情報内に個人情報が含まれている場合においてもかかる個人情報を受領せずに、実現できる利点がある。
【0035】
また、統括機械学習部は、複数の機械学習部から取得した各重みを統合して、これらの複数の機械学習部において利用可能な重みを生成する機能を有してよい。かかる各重みを統合して重みを生成する機能自体は、公知の技術が使用されてよい。
【0036】
機械学習部が細菌についての画像を扱う場合において、細菌の感染には地域性があることがある。そのため、例えば、上述の例において、機械学習部aが地域Aにおける人々から取得した検体に基づく画像を処理し、機械学習部bが地域Aと異なる地域Bにおける人々から取得した検体に基づく画像を処理するよう構成された場合を考えると、地域Aにおいて収集される画像の傾向と、地域Bにおいて収集される画像の傾向は異なることから、機械学習部aが学習する内容と機械学習部bが学習する内容の傾向は異なる可能性がある。そこで、上述のとおり、機械学習部aで学習された統合済み重みが機械学習部bに伝達されることによって、地域Aにおける細菌について、機械学習部bにおいても容易に学習済みの状態にできるため、例えば地域Bにおいても地域Aで広がっていた細菌の感染が広がり始めた場合や地域Bにおける人が一時的に地域Aに移動したことで地域Aの細菌に感染し地域Bに戻って本実施形態のシステムに検体を提供した場合などにおいても、地域Bにおいて、地域Aの細菌感染に対して(地域Bではまれなものであっても)より精度高く判定できる可能性が高まる利点がある。また、機械学習部bで学習された統合済み重みが機械学習部aに伝達されることによって、上記と逆の状況を実現できる利点がある。更に、地域Cにおける人々から取得した検体に基づく画像を処理する新たに機械学習部cがある場合においても、同様に、機械学習部cが地域A及び/又は地域Bにおける細菌について学習できる利点が高まる。
【0037】
統括機械学習部を備える一例のシステムは、
第1画像と、第1画像の適切性と、の関係、及び/又は、第1画像と第1画像内の第1菌種を特定する情報と、の関係を機械学習する第1機械学習部によって生成された第1重みを取得する取得部と、
前記第1重みを、前記第1機械学習部と異なる第2機械学習部に送信する送信部と、
を備えてよい。
また、統括機械学習部を備える一例のシステムは、
第1画像と、第1画像の適切性と、の関係、及び/又は、第1画像と第1画像内の第1菌種を特定する情報と、の関係を機械学習する第1機械学習部によって生成された第1重みを取得する取得部と、
第2画像と、第2画像の適切性と、の関係、及び/又は、第2画像と第2画像内の第2菌種を特定する情報と、の関係を機械学習する第2機械学習部によって生成された第2重みを取得する取得部と、 前記第1重みと第2重みとを統合し、前記第1機械学習部、前記第1機械学習部と異なる前記第2機械学習部、及び/又は、前記第1及び第2機械学習部と異なる第3機械学習部、によって利用可能な第3重みを生成する生成部と、
を備えるシステムであってよい。かかるシステムは、前記第3重みを、前記第1機械学習部、前記第2機械学習部、及び/又は、第3機械学習部、に送信する送信部を備えてよい。
【0038】
2.5.通信部
通信部は、通信する機能を有する。通信する機能は、情報を、送信及び/又は受信する機能を含んでよい。例えば、本実施形態のシステムに係る携帯端末装置は、本実施形態のシステムに係る機械学習部に対して、後述の撮像画像を送信してよい。また、本実施形態のシステムに係る携帯端末装置は、かかる撮像画像から対応する菌種を特定する情報及び/又は前記機械学習部による推論の正しさの程度を示す確信度を生成した機械学習部から、かかる菌種を特定する情報及び又は確信度を受信してよい。通信される情報はこれらに限られず、種々の情報が通信されてよい。
【0039】
2.6.表示部
表示部は、表示する機能を有する。表示部は、表示装置によって実現されてよい。表示装置は、ディスプレイであってよい。また、かかる表示装置は、入力装置と兼ねられてもよい。例えば、タッチスクリーンであってもよい。
【0040】
3.実施形態
3.1.第1実施形態のシステム
本実施形態のシステムは、菌種に対し、抗菌薬の選定を支援する機能を有する。本実施形態のシステムの処理の流れを、図4を参照しつつ、以下に説明する。
【0041】
ステップ1.
本実施形態のシステムは、利用するアンチバイオグラムを特定する情報(本願書類において、「利用アンチバイオグラム」という)を取得し、かかる情報を記憶してよい。
【0042】
アンチバイオグラムは、菌種と抗菌薬との関係を示すものであり、菌種と抗菌薬との関係は、感受性率を含んでよい。特定の菌種と特定の抗菌薬についての感受性率は、前記特定の菌種に対して、前記特定の抗菌薬を利用した場合の効果を示すものであり、感受性率が高いほど、抗菌薬の効果が高いものである。
【0043】
また、かかるアンチバイオグラムの感受性率は、検体種を示す情報と、関連付けられてもよい。検体種を示す情報は、例えば、血液、尿、膿、及び/又は、ウイルス、などを含んでよい。
【0044】
アンチバイオグラムを特定する情報は、例えば、利用者が所属する施設が利用しているアンチバイオグラムであってもよいし、都道府県が提供するアンチバイオグラムであってもよいし、その他のアンチバイオグラムであってもよい。アンチバイオグラムは、菌に対する抗菌薬の効果を示すものであるところ、かかる効果は、種々の条件により異なりうる。種々の条件は、例えば、地理的、自然環境的、生物的な差異などがありうる。本実施形態のシステムが、利用アンチバイオグラムを選択できることにより、例えば、地域Aと地域Bが異なる場合において、地域Aにおいては特定の菌種に対して抗菌薬αよりβが効果的であるが、地域Bにおいては特定の菌種に対して抗菌薬βよりαが効果的であるなどを効果的に利用できる利点がある。すなわち、本実施形態のシステムが利用される地域的な場所は種々あるところ、上述のとおり、本実施形態のシステムが利用アンチバイオグラムを選択させることにより、利用される場所に応じた適切なアンチバイオグラムを利用できる利点がある。
【0045】
本実施形態のシステムが表示する複数のアンチバイオグラムの選択肢の中から、利用者が、利用する一のアンチバイオグラムを選択することによって、本実施形態のシステムは利用するアンチバイオグラムを特定する情報を取得してよい。
【0046】
図5は、本実施形態のシステムが、複数のアンチバイオグラムを特定する情報を表示し、利用者からの選択を受け付ける状況を示す一例である。本図は、自施設のアンチバイオグラムと、都道府県のアンチバイオグラムを選択できるよう表示された画面の一例である。
【0047】
他の実施形態のシステムは、利用するアンチバイオグラムを特定する情報を、予め格納しており、かかるアンチバイオグラムを特定する情報によって特定される利用アンチバイオグラムを使用するものとしてもよい。この場合、ステップ1は省略されてよく、利用者の便宜が向上できる場合がある利点がある。
【0048】
また、ある実施形態のシステムは、アンチバイオグラムを、インターネットを介して、サーバ、情報処理装置、及び/又はクラウド、などから、ダウンロードしてもよい。また、ある実施形態のシステムは、インターネットを介して、選択候補となるアンチバイオグラム、又は、利用アンチバイオグラム、を所定の間隔又はアンチバイオグラムの更新に応じて、ダウンロードしてもよい。ここで、かかるダウンロードされるアンチバイオグラムは本実施形態のシステムが利用されている地域に応じたアンチバイオグラムであってよい。例えば、都道府県ごとに設定されてよい。この場合、上述の通り、各地域に適したアンチバイオグラムを利用できる利点がある。
【0049】
ステップ2.
本実施形態のシステムは、閾値となる感受性率を特定する情報(本願書類において、「閾値感受性率」という)を取得し、かかる情報を記憶してよい。閾値感受性率は、例えば、40%、50%、60%、70%、80%、などのパーセンテージでもよいし、割合でもよい。これらは、アンチバイオグラムに示された感受性率の記載方法に対応するものであってよい。
【0050】
本実施形態のシステムは、選択肢の候補として、複数の感受性率を表示してもよく、利用者は、かかる複数の感受性率のうちの一の感受性率を選択することにより、本実施形態のシステムは、閾値感受性率を取得してよい。
【0051】
本実施形態のシステムは、複数の感受性率を表示するとともに、対象となる菌種を特定する情報を表示してよい。この場合、利用者は感受性率を選択する場合に参考とできる利点がある。
【0052】
本実施形態のシステムは、複数の感受性率の一の感受性率と関連付けて、推奨を示す情報を提示してもよい。この場合、利用者は、複数の感受性率の選択肢のうち、推奨される感受性率を他の資料を見たりせずに理解できる利点がある。かかる推奨を示す情報は、特定の基準に基づいて選択された一の感受性率を関連付けられて表示されてよい。特定の基準は、例えば、菌種との関係で一般的に推奨されている感受性率であってよい。なお、かかる推奨を示す情報が表示されている場合においても、本実施形態のシステムは、他の感受性率を選択できるよう構成されてよい。この場合、利用者が過去の経験に基づいて、閾値感受性率を選択できる自由度を有する利点がある。
【0053】
他の実施形態のシステムは、菌種を特定する情報と関連付けて、感受性率を特定する情報を、予め格納してもよい。その場合、他の実施形態のシステムは、かかる菌種を特定する情報を利用する場合には、対応する閾値感受性率を利用してよい。この場合、ステップ2は省略されてよく、利用者の便宜が向上できる場合がある利点がある。
【0054】
図6は、本実施形態のシステムが、複数の感受性率を表示し、利用者からの選択を受け付ける状況を示す一例である。また、本図は、対象菌種を合わせて表示する一例でもある。また、本図は、推奨となる感受性率を、感受性率80%と関連付けて表示する一例である。
【0055】
ステップ3.
本実施形態のシステムは、対象となる、菌種を特定する情報(本願書類において「対象菌種情報」という)を取得する。菌種を特定する情報は、菌種名などであってよい。
【0056】
本実施形態のシステムは、後述する第2実施形態のシステムにおける機械学習部が生成した対象菌種情報を利用してもよいし、利用者が入力した対象菌種情報を利用してもよいし、本実施形態のシステムがアクセス可能な他の情報処理装置によって生成された対象菌種情報を利用してもよい。本実施形態のシステムが、後述する第2実施形態のシステムにおける機械学習部が生成した対象菌種情報を利用する場合、対象となる画像から、シームレスに、本実施形態のシステムを利用できる利点がある。
【0057】
また、本願発明に係るシステムが、後述の第2実施形態のシステムと結合されている場合、第2実施形態のシステムによって生成された菌種を特定する情報を利用してよい。この場合、第2実施形態のシステムは、菌種を特定する情報、及び、かかる菌種を特定する情報の確信度を示す情報、の両方を表示してもよい。
【0058】
例えば、図7は、菌種を特定する情報として、「大腸菌」を示し、確信度を示す情報として、「0.88」を示す情報を示している。
【0059】
この場合、利用者は、第2実施形態のシステムによって生成された菌種を特定する情報が、第2実施形態のシステムによってどの程度の確信度で生成されたものであるか、を理解できる利点がある。すなわち、利用者は、もしかかる確信度を示す情報が低いと考えた場合、他の手段によって菌種を特定する、などの選択ができる利点がある。
【0060】
なお、ステップ1乃至3は、いかなる順序で処理されてもよく、上記で説明したものと異なる順序で処理されてもよい。
【0061】
ステップ4.
本実施形態のシステムは、利用アンチバイオグラムと閾値感受性率とを用いて、対象菌種情報に対応して感受性率が閾値感受性率以上である、一又は複数の、抗菌薬に係る情報を特定してよい。
【0062】
抗菌薬に係る情報は、抗菌薬を特定する情報を含んでよく、抗菌薬を特定する情報は、抗菌薬の名称、及び/又は、抗菌薬を示すID、を含んでよい。
【0063】
ここで、抗菌薬に係る情報は、前記抗菌薬の感受性率、前記抗菌薬についてのスペクトラムスコア、前記抗菌薬のAWaRe分類、及び/又は、前記抗菌薬に係る留意情報を含んでよい。本実施形態のシステムは、各抗菌薬について、記抗菌薬の感受性率、前記抗菌薬についてのスペクトラムスコア、前記抗菌薬のAWaRe分類、及び/又は、前記抗菌薬に係る留意情報、を関連付けて記憶してよい。かかる関連付けされたデータは、本実施形態のシステムがアクセス可能なデータベースに記憶されてもよい。例えば、本実施形態のシステムが、かかる抗菌薬に係る情報を含むデータベースを有することでアクセスしてもよいし、インターネット上の他の情報処理装置上のデータベースにアクセスしてもよい。
【0064】
抗菌薬の感受性率は、上述で特定された抗菌薬における、対象菌種情報に対する感受性率であってよい。かかる感受性率は、閾値感受性率以上となる。
【0065】
抗菌薬についてのスペクトラムスコアは、効果のある菌種の広狭を示す情報を含んでよい。耐性菌を増やさないようにするため、スペクトラムスコアは、狭い(小さい)方が好ましいとされる。
【0066】
抗菌薬のAWaRe分類は、例えば、使ってよいとされるAccess、耐性があるので注意しながら使うとされるWatch、気を付けて使用するとされるReserve、などの一を含んでよい。AWaRe分類は、WHOで規定されているものでよい。
【0067】
抗菌薬に係る留意情報は、利用者が、抗菌薬を利用する際に留意する情報を含んでよい。
【0068】
抗菌薬に係る留意情報は、例えば、スペクトラムスコアについての代用に係る情報を含んでよい。スペクトラムスコアは、全ての抗菌薬について提示することが好ましいものの、全ての抗菌薬についてのスペクトラムスコアがない又は用意できない場合もある。本実施形態のシステムは、特定の抗菌薬についてのスペクトラムスコアの情報を取得できない場合、かかる特定の抗菌薬と所定の関係のある他の抗菌薬についてのスペクトラムスコアを取得し、かかる特定の抗菌薬についてのスペクトラムスコアとして代用してよい。この場合、本実施形態のシステムは、抗菌薬に係る留意情報として、スペクトラムスコアが他の抗菌薬のもので代用されたこと、及び/又は、かかる他の抗菌薬、を含んでよい。
【0069】
また、抗菌薬に係る留意情報は、例えば、推奨されるべき治療についての情報を含んでよい。抗菌薬に係る留意情報は、例えば、ある抗菌薬が特定の症状に対する抗菌薬として推奨されること、又は、ある抗菌薬が特定の症状に対する抗菌薬として推奨されないこと、を含んでよい。
【0070】
また、抗菌薬に係る留意情報は、例えば、利用された感受性の根拠についての情報を含んでよい。抗菌薬に係る留意情報は、例えば、「ESBL産生菌についてもMICの値に基づき感受性を判定している」などの情報を含んでよい。
【0071】
なお、他の実施形態のシステムは、上述のステップ1乃至3の段階において、菌種のもととなる検体種の情報を取得してもよい。この場合、上述のステップ4において、入力された検体種に対応する感受性率が、閾値感受性率以上である抗菌薬を特定してよい。この場合、
【0072】
ステップ5.
本実施形態のシステムは、一又は複数の、抗菌薬に係る情報を表示してよい。
【0073】
本実施形態のシステムは、利用アンチバイオグラムにおいて閾値感受性率以上の感受性率を有する、対象菌種情報に対応するものとしての、一又は複数の、抗菌薬に係る情報、を表示してよい。すなわち、本願発明に係るシステムは、一又は複数の、前記抗菌薬の感受性率、前記抗菌薬についてのスペクトラムスコア、前記抗菌薬のAWaRe分類、及び/又は、前記抗菌薬に係る留意情報、を表示してよい。
【0074】
例えば、図8は、本実施形態のシステムが、利用アンチバイオグラムにおいて閾値感受性率以上の感受性率を有する、対象菌種情報に対応するものとしての、一又は複数の、抗菌薬に係る情報、を表示する一例である。
【0075】
また、本実施形態のシステムは、複数の抗菌薬に係る情報を、特定の順序で表示してよい。複数の抗菌薬に係る情報が特定されている場合であって、携帯端末装置など表示画面に制限がある場合に、利用者により有意義な順序で表示できる利点がある。
【0076】
例えば、本実施形態のシステムは、感受性率の高い順に、抗菌薬に係る情報を表示してよい。この場合、利用者は、感受性率の高い順に、抗菌薬に係る情報を知ることができる利点がある。
【0077】
また、ある実施形態のシステムは、上述のとおり、一の抗菌薬に対し、検体種毎の感受性率を含む、アンチバイオグラムを利用してよい。この場合、本実施形態のシステムは、抗菌薬に係る情報として、感受性率に対応する検体種を表示してよい。
【0078】
本形態のシステムが、携帯端末装置の場合、移動が容易であることから、種々の場所で手軽に利用できる利点がある。例えば、小規模な医療機関、医療機関ではない被災地などの医療現場、などでも手軽かつ迅速に大量に用意できる利点がある。また、携帯端末で利用される場合、特別な設備投資なしに、すぐに利用開始できる利点がある。また、利用費用として、例えば検査に供した画像毎や検査に供した利用時間毎などの利用料を設定した場合、利用にあたって初期の導入費用が必要なく、すぐに利用開始・使用停止が出来る利点がある。
【0079】
3.2.第2実施形態のシステム
第2実施形態のシステムは、画像から、菌種を特定する情報を生成する機能を有するものである。以下では、図9を参考に、本実施形態のシステムの処理を説明する。
【0080】
本実施形態のシステムが検体を撮像する前に、かかる検体は、前処理がされてよい。例えば、検体に対して、グラム染色がされてよい。検体は、尿、血液、喀痰、及び/又は、髄液などを含んでよい。グラム染色がされた検体に対して、顕微鏡によって拡大されたものを撮像した画像であってよい。
【0081】
ここで、検体は、簡易的な染色キットによって、グラム染色されてよい。かかる染色キットは、本実施形態のシステムの一部でなくてよい。かかる染色キットは、検体部、染色液部、観察部、を備えてよい。染色キットが、かかる検体部、染色液部、観察部、という簡易な構成を備えている場合、染色過程についても、被災地、医療過疎地などの利用現場において容易に対応できる利点がある。
【0082】
検体部と観察部は検体が移動可能な流路によって接続されてよい。また、染色液部と観察部は染色液が移動可能な流路によって接続されてよい。
【0083】
検体部は、尿、血液、喀痰、又は髄液を保持してよい。これらは、数mlであってよい。また、検体部から観察部に、所定の手法により、検体が流路を介して、移動してよい。
【0084】
染色体部は、染色液を保持してよい。また、染色部から観察部に、所定の手法により、染色液が流路を介して、移動してよい。所定の手法は、例えば、押下げすることで染色液が観察部に移動するようなものであってよい。染色液は、グラム染色や抗酸菌染色などであってよい。また、染色の方法は、種々の方法であってよいが、例えば、バーミー法の試薬であるバーミーM武藤化学株式会社などを用いてもよい。また、染色液の試薬は、フェイバーG 日水製薬株式会社などのものでもよい。
【0085】
観察部は、観察するための場所を含んでよい。例えば、観察を容易にするために、透明なガラスで覆われてよい。また、検体部から移動された検体と、染色部から移動された染色液とが混ざりあう場所であってよい。
【0086】
なお、以下の本実施形態のシステムの利用の態様のための染色は、上述の染色キットによる染色でもよいし、他の手法による染色でもよい。以下、本実施形態のシステムについての具体的なステップを説明する。
【0087】
ステップ1
本実施形態のシステムは、前処理された検体を撮像した画像(本願書類において、「撮像画像」ということもある)を取得する。
【0088】
撮像画像は、本実施形態のシステムが有する撮像機能によって撮像されてもよいし、他の撮像装置によって撮像されたものでもよい。後者の場合、本実施形態のシステムは、他の撮像装置によって撮像されたものを取得してよい。
【0089】
ステップ2
本実施形態のシステムは、撮像画像に対する事前処理を行ってよい。
【0090】
事前処理は、画像の適切性を確認する処理を含んでよい。画像の適切性を確認する処理は、画像の位置の適切性を確認する処理を含んでよく、例えば、検体を撮像した画像内の個所が、後述の菌種を推論する機械学習の適用に適した個所であるかどうか、を確認する処理を含んでよい。また、画像の適切性を確認する処理は、例えば、画像自体の適切性を確認する処理を含んでよく、例えば、撮像画像が検体のピントの合致性、を確認する処理を含んでよい。
【0091】
かかる事前処理は、本実施形態のシステムが備える機械学習部が有する機械学習の推論機能によって、処理されてよい。例えば、本実施形態のシステムの機械学習部は、画像と画像の位置の適切性との関係を機械学習済みであり、撮像画像に対して、画像の位置の適切性を出力してよい。画像の位置の適切性は、位置が適切である、位置が適切でない、という2とおりのいずれかの情報であってもよいし、画像の位置を移動すべき方向を示す情報であってもよい。また、例えば、本実施形態のシステムの機械学習部は、画像と検体のピントの合致性との関係を機械学習済みであり、撮像画像に対して、検体のピントの合致性を出力してよい。検体のピントの合致性は、ピントが所定の許容範囲外である、ピントが所定の許容範囲内である、という2とおりのいずれかの情報であってもよいし、ピントの許容度を示す情報であってもよい。
【0092】
本願発明に係るシステムが、画像に対する事前処理を行う場合、不適切な画像である場合、アラートを提示してよい。アラートは、事前処理の確認の内容に応じて、位置の不適切性を提示、及び/又は、画像のピントの合致性を提示、を含んでよい。アラートは、音声、及び/又は、表示部の表示、を含んでよい。アラートは、利用者に画像の不適切であることの指摘を含んでよい。また、アラートは、利用者に画像が不適切である理由を説明するものを含んでよい。また、アラートは、利用者に、どのような対応をすればよいか、を説明する内容を含んでよい。利用者は、かかるアラートを受けて、人為的に画像の変更などを行い、適切な画像について後述の画像に対する菌種を特定する情報を生成するステップに進むことができることから、菌種を特定する情報を生成する精度を向上できる利点がある。
【0093】
ステップ3
本実施形態のシステムは、画像と、菌種を特定する情報と、の関係を機械学習済みの機械学習部を用いて、撮像画像に対応する菌種を特定する情報を、推論してよい。
【0094】
本実施形態のシステムに係る機械学習部は、画像と、菌種を特定する情報と、の関係を機械学習済みであってよい。かかる画像と、菌種を特定する情報と、の関係は、教師データとして、与えられたものが使用されてよい。本願発明に係るシステムに係る機械学習部は、かかる関係を用いて、撮像画像に対し、撮像画像内に撮像されていた菌種についての菌種を特定する情報を生成してよい。
【0095】
本願発明に係るシステムが機械学習機能を用いる場合、簡易に菌種を特定する情報を生成できる利点がある。
【0096】
図10は、かかる機械学習部の機能を模式的に図示したものである。なお、本図では、学習時と推論時の両方を説明しているが、上述のとおり、本願発明に係るシステムに係る学習部は、両方の機能を含んでもよいし、学習機能を含まず、推論機能を有してもよい。
【0097】
ステップ4
本実施形態のシステムは、菌種に係る情報についての推論結果を表示してよい。
【0098】
菌種に係る情報は、菌種を特定する情報を含んでよい。また、菌種に係る情報は、かかる菌種を特定する情報についての確信度、及び/又は、推論時に利用した情報、を含んでよい。
【0099】
本実施形態のシステムは、菌種を特定する情報、菌種を特定する情報についての確信度、及び/又は、推論時に利用した情報、を表示してよい。例えば、本願発明に係るシステムは、撮像画像を表示するとともに、前記撮像画像上に、前記撮像画像と対応付けて、機械学習部が推論時に利用した特徴量を表示してよい。この場合、利用者は、画像内のどのような特徴量に基づいて推論したかを理解できる利点がある。
【0100】
例えば、図11は、機械学習部が推論時に利用した情報を表示した例である。本図では、島のような部分が推論時に重視した個所であり、それ以外の個所が重視していない個所を示している例である。このように、本実施形態のシステムは、機械学習部が推論時に所定の値以上の重み付けをした個所と、所定の値未満の重み付けをした個所と、を区別して表示してよい。区別する態様は、例えば、図形内の色や形態であってよい。
【0101】
なお、後述のシステムの利用例においては、4において推定した菌種について培養検査を行い、1日乃至5日後程度で、検査技師又は医師が菌種を確定することとなる。本実施形態のシステムは、かかる確定された菌種を取得して記憶してもよい。例えば、本実施形態のシステムは、確定された菌種の情報と、かかる確定した菌種についての上述の撮像画像と、を関連付けて記憶してよい。また、本実施形態のシステムにおける機械学習部は、確定した菌種についての上述の撮像画像と、かかる確定された菌種の情報と、の関係を機械学習してよい。かかる機械学習により、実際の培養による正しいと考えられる菌種の情報と画像との関係を機械学習し、より機械学習による推定の精度を向上できる利点がある。また、これらの機械学習された情報は、上述の協調機械学習部において利用されてもよい。
【0102】
3.3.第1及び第2実施形態のシステムの利用例
次に、上述の第1及び第2実施形態のシステムの使用の一例を説明する。
【0103】
従来、患者の検体に基づいて、抗菌薬を処方する治療方針の決定は、以下のようなステップがとられていた。
【0104】
1.まず、対象患者の検体に対してグラム染色を行い、プレパラート作成を作成する。
【0105】
2.次に、技師または医師等により光学顕微鏡を用いて菌種推定を行う。ここでは、技師又は医師等の経験が必要となり、また、所要時間として、1件当たり、2乃至3分の時間が必要であった。
【0106】
3.以上の菌種推定に基づいて、初期の治療方針を決定する。かかる治療方針の決定は、経験的なものに基づく。
【0107】
4.推定した菌種について培養検査を行い、検査技師または医師が菌種を確定する。
【0108】
5.薬剤感受性試験結果の確認を行う。
【0109】
6.抗菌薬処方の治療方針を決定する。
【0110】
上述の第2実施形態のシステム及び第1実施形態のシステムは、上述のステップのうちの、2の菌種推定のステップに代わるシステムである。例えば、上述のとおり、第2実施形態のシステム又は他のシステムにより、菌種を特定する情報を特定し、第1実施形態のシステムによって、抗菌薬に係る情報を特定する。
【0111】
本実施形態のシステムが、上述の流れで利用されることで、上述のステップ2における菌種推定において、技師又は医師の経験を支援することが可能になる利点がある。特に、被災地など人員が不足している中で迅速な対応が要求される医療現場において、医師による初期の治療方針の決定を、客観的な情報に基づいて、支援できる利点がある。
【0112】
また、第2実施形態のシステムが、菌種の推論時に、特に画像の特徴量を表示する場合、治療方針を決定する医師が、菌種推論の根拠に利用される画像の特徴量、すなわち、画像内のどのような観点に着目して菌種を特定する情報を特定しているか、を理解できることから、単に菌種名などの結論だけが表示される場合に比べて、より医師自身が自らの感覚
と照らし合わせつつしかも簡易に治療方針を決定できる利点がある。
【0113】
3.4.第3実施形態
第3実施形態に係るシステムは、ウイルスに対する適用例である。例えば、本実施形態のシステムは、ウイルスを撮像した画像とウイルスを特定する情報との関係を機械学習済みの機械学習部が、電子顕微鏡で撮像されたウイルスの撮像画像に対し、対応するウイルスを特定する情報を生成してよい。また、本実施形態のシステムは、ウイルスを特定する情報に基づいて、対応する抗ウイルス剤を特定可能であってよい。この場合、本実施形態のシステムは、ウイルスと抗ウイルス剤との関係を規定するルールを用いて、抗ウイルス剤を特定してよい。
【0114】
3.5.様々な実施態様について
第1の態様による携帯端末装置は、「
菌種を特定する情報、及び、感受性率を特定する情報、を取得する取得部と、
アンチバイオグラムを用いて、前記菌種について前記感受性率を充足する一又は複数の抗菌薬に係る情報を特定する特定部と、
を備える」ものである。
【0115】
第2の態様による携帯端末装置は、上記第1の態様において「前記抗菌薬に係る情報は、前記抗菌薬の感受性率、前記抗菌薬についてのスペクトラムスコア、及び/又は、前記抗菌薬のAWaRe分類、を含む、」ものである。
【0116】
第3の態様による携帯端末装置は、上記第1の態様又は上記第2の態様において「
前記携帯端末装置は、複数の感受性率候補を表示する表示部を備え、
前記感受性率は、前記複数の感受性率候補のうち、利用者が選択したものである、」ものである。
【0117】
第4の態様による携帯端末装置は、上記第1乃至上記第3のいずれか一の態様において「前記表示部は、前記複数の感受性率候補の一と関連付けて、推奨を示す情報を表示する、」ものである。
【0118】
第5の態様による携帯端末装置は、上記第1乃至上記第4のいずれか一の態様において「前記表示部は、利用可能な複数のアンチバイオグラムの候補を表示し、
前記アンチバイオグラムは、利用者によって選択されたアンチバイオグラムである、
」ものである。
【0119】
第6の態様による携帯端末装置は、上記第1乃至上記第5のいずれか一の態様において「 第1画像を取得する画像取得部と、
前記第1画像を送信する送信部と、
前記菌種を特定する情報を受信する受信部と、を備え、
前記菌種を特定する情報は、前記携帯端末装置内に備えられていない、画像と菌種を特定する情報との関係を機械学習済みの機械学習部が、前記第1画像を適用することによって生成したものである、
」ものである。
【0120】
第7の態様による携帯端末装置は、上記第1乃至上記第6のいずれか一の態様において「前記機械学習部が前記第1画像を適用することによって生成した、前記菌種を特定する情報、及び、前記機械学習部による推論の正しさの程度を示す確信度、を表示する表示部を備える、」ものである。
【0121】
第8の態様による携帯端末装置は、上記第1乃至上記第7のいずれか一の態様において「前記表示部は、更に、前記機械学習部が推論時に利用した特徴量を前記第1画像上で対応付けて表示する、」ものである。
【0122】
第9の態様による携帯端末装置は、上記第1乃至上記第8のいずれか一の態様において「前記画像取得部は、取得した画像の適格性を検出し、前記取得した画像が不適格であると判断した場合は、アラートを生成する、」ものである。
【0123】
第10の態様による携帯端末装置は、上記第1乃至上記第9のいずれか一の態様において「前記菌種は、尿、血液、喀痰、及び/又は、髄液、に係るものである、」ものである。
【0124】
第11の態様による携帯端末装置は、上記第1乃至上記第10のいずれか一の態様において「前記菌種を特定する情報は、機械学習以外の手法によって特定されたものである、」ものである。
【0125】
第12の態様による携帯端末装置は、上記第1乃至上記第11のいずれか一の態様において「前記抗菌薬に係る情報は、前記抗菌薬に係る留意情報を含む、」ものである。
【0126】
第13の態様による方法は、「携帯端末装置が、
菌種を特定する情報、及び、感受性率を特定する情報、を取得するステップ、
アンチバイオグラムを用いて、前記菌種について前記感受性率を充足する一又は複数の抗菌薬に係る情報を特定するステップ、」ものである。
【0127】
第14の態様による方法は、上記第13の態様において「前記携帯端末装置は、前記アンチバイオグラムを記憶するメモリを有する、」ものである。
【0128】
第15の態様による方法は、上記第13乃至上記第14のいずれか一の態様において「前記携帯端末装置は、前記抗菌薬に係る情報を特定するための演算を処理する演算装置を有する、」ものである。
【0129】
第16の態様によるプログラムは、「
携帯端末装置を、
菌種を特定する情報、及び、感受性率を特定する情報、を取得する手段、
アンチバイオグラムを用いて、前記菌種について前記感受性率を充足する一又は複数の抗菌薬に係る情報を特定する手段、」ものである。
【0130】
第17の態様によるプログラムは、上記第16の態様において「前記携帯端末装置は、前記アンチバイオグラムを記憶するメモリを有する、」ものである。
【0131】
第18の態様によるプログラムは、上記第16乃至上記第17のいずれか一の態様において「前記携帯端末装置は、前記抗菌薬に係る情報を特定するための演算を処理する演算装置を有する、」ものである。
【0132】
第19の態様によるシステムは、「
第1画像を取得する受信する受信部と、
画像と菌種を特定する情報との関係を機械学習済みの前記機械学習部と、
菌種を特定する情報を受信する送信部と、を備え、
前記菌種を特定する情報は、前記機械学習部が、前記第1画像を適用することによって生成したものである、」ものである。
【0133】
上述では、本例のシステムが実施する構成として説明したが、これらは、システム内の一又は複数の情報処理装置が実施する構成であってよい。
【0134】
また、本願発明に係るシステムは、患者のプライバシーなどの個人情報を取得、記憶、及び/又は、区別などの管理をする機能を有さなくてよい。例えば、本願発明に係るシステムは、患者を特定する情報と撮像画像とを関連付けて記憶する機能、患者を特定する情報と検体に係る菌種を特定する情報とを関連付けて記憶する機能、患者を特定する情報とかかる患者が利用した抗菌薬に係る情報とを関連付けて記憶する機能、などを有しなくて良い。本願発明に係るシステムが、このように、患者の個人情報を管理する機能を有しないことにより、個人情報保護法などの制約を受けずに、利用できる利点がある。近年、プライバシーに対する世間の関心が高まり、個人情報保護法による保護が強化されたことから、本願発明に係るシステムが個人情報を利用しないことによる利点は高い。
【0135】
また、本願発明に係るシステムは、上述に加えて、又は、上述に代えて、患者の匿名加工情報を、取得、記憶、及び/又は、区別などの管理をする機能を有してよい。本願発明に係るシステムが、患者の匿名加工情報を管理する機能を有することにより、個人情報と異なり、第三者への譲渡等、個人情報についての制約を受けずに、利用できる場合がある利点がある。
【0136】
また、本願発明に係るシステムは、医師に代わって細菌感染症の確定診断を行うことを目的とするものではなく、医師が菌種を推定する場合の支援を行うものであってよい。この場合、本願発明に係るシステムは、医療機器に当たらず、医療機器としての種々の制約を受けない利点がある。
【0137】
本願書類に係るシステムは、人に加えて、又は人に代えて、家畜、家禽、及び/又は野生などの動物を対象とした、尿、血液、喀痰、及び/又は、髄液が利用されてもよい。特に、近年では、人獣共通感染症が増えており、地球上の生態系の保全は、ヒトおよび動物の健康の両者が相まって初めて達成でき、その実現と維持のためには、ヒトと動物の健康維持に向けた取り組みが必要であるためである。
【0138】
本願書類において、システムは、携帯端末装置を含んでよい。携帯端末装置は、スマートフォン、携帯電話、PDA、ウェアラブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、ノートパソコン、又は、ラップトップ、を含んでよい。
【0139】
本願書類に係るシステムにおいて、主に、利用者に情報を伝達する態様として、利用者に表示する態様を説明したが、かかる表示する態様に追加して又は代えて、利用者に音声で知らせる態様であってもよい。
【0140】
本願書類の実施例において述べた発明例は、本願書類で説明されたものに限らず、その技術的思想の範囲内で、種々の例に適用できることはいうまでもない。
【0141】
また、本願書類で説明される処理及び手順は、実施形態において明示的に説明されたものによってのみならず、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせによっても実現可能なものであってよい。また、本願書類で説明される処理及び手順は、それらの処理・手順をコンピュータプログラムとして実装し、各種のコンピュータに実行させることが可能であってよい。また、コンピュータプログラムは、一時的ではない記録媒体に記録することが可能であってよい。記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であってよい。
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