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特開2022-158924携帯情報端末に搭載される光学ユニット及び光学素子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158924
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】携帯情報端末に搭載される光学ユニット及び光学素子
(51)【国際特許分類】
   F21L 4/00 20060101AFI20221006BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20221006BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20221006BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20221006BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20221006BHJP
   F21Y 103/33 20160101ALN20221006BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221006BHJP
【FI】
F21L4/00 621
F21S2/00 481
F21S2/00 482
F21S2/00 600
F21S2/00 330
F21S2/00 350
G02B5/02 B
F21L4/00 625
G03B30/00
G02B5/04 A
F21Y103:33
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016072
(22)【出願日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】P 2021061016
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000165088
【氏名又は名称】恵和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100214961
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 洋三
(72)【発明者】
【氏名】蔡 承亨
(72)【発明者】
【氏名】辻 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】水口 拓也
【テーマコード(参考)】
2H042
3K244
【Fターム(参考)】
2H042AA03
2H042AA16
2H042AA22
2H042AA26
2H042BA02
2H042BA20
3K244AA04
3K244BA08
3K244BA14
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA19
3K244GA01
3K244GA02
(57)【要約】
【課題】携帯情報端末においてカメラの鏡筒がディスプレイ表面よりも後ろに配置される場合であっても、ディスプレイ表面において鏡筒に対応する領域が他の領域に比べて暗くなることを抑制可能な光学ユニット及び光学素子を提供する。
【解決手段】光学ユニット100は、カメラの鏡筒20と、鏡筒20の周りに配置された少なくとも一つの光源30と、少なくとも一つの光源30から出射された光が入射され、入射された光の向きを変え、中心軸延長線A2に近づくような方向に光を出射する第1の光学素子40と、第1の光学素子40及び鏡筒20に対して第1方向Dに離れた位置において鏡筒20に対して鏡筒20の中心軸A1の方向に対向するように配置され、第1の光学素子40から出射された光が入射され、入射された光を拡散させ、ディスプレイ表面105に向かう光を出射する第2の光学素子50と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ表面とその反対側の背面とを有する携帯情報端末に搭載され、前記ディスプレイ表面と前記背面との間に配置される光学ユニットであって、
カメラの鏡筒と、
前記鏡筒の周りに配置され、前記鏡筒の中心軸に沿った方向でかつ前記ディスプレイ表面に近づくような方向である第1方向に光を出射する少なくとも一つの光源と、
前記少なくとも一つの光源に対して前記第1方向に離れた位置に配置され、前記少なくとも一つの光源から出射された光が入射される第1の光学素子であって、入射された光の向きを変え、前記鏡筒の前記中心軸を前記第1方向に延長した仮想線である中心軸延長線に近づくような方向に光を出射する第1の光学素子と、
前記第1の光学素子及び前記鏡筒に対して前記第1方向に離れた位置において前記鏡筒に対して前記中心軸の方向に対向するように配置され、前記第1の光学素子から出射された光が入射される第2の光学素子であって、入射された光を拡散させ、前記ディスプレイ表面に向かう光を出射する第2の光学素子と、を備える光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットであって、
前記少なくとも一つの光源は、前記鏡筒の周りに周方向に沿って配列された複数の光源を含む、光学ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光学ユニットであって、
前記第1の光学素子は、前記鏡筒の周りを囲む環形状を有する、光学ユニット。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の光学ユニットであって、
前記第1の光学素子は、前記鏡筒の周りを囲む環形状を有するベース部と、前記ベース部から前記少なくとも一つの光源に向かって突出し、前記中心軸を含む平面で切断したときの断面形状が三角形状を有する少なくとも一つの突出部と、を含む、光学ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の光学ユニットであって、
前記少なくとも一つの突出部は、前記鏡筒の周りを囲む環形状を有し、前記三角形状の断面が周方向に連続するように構成される、光学ユニット。
【請求項6】
請求項4に記載の光学ユニットであって、
前記少なくとも一つの突出部は、同心円上に配置された複数の突出部を含み、前記複数の突出部のそれぞれは、前記鏡筒の周りを囲む環形状を有し、前記三角形状の断面が周方向に連続するように構成される、光学ユニット。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の光学ユニットであって、
前記第2の光学素子は、樹脂マトリックスと、前記樹脂マトリックス中に分散する微粒子と、を有する透明又は半透明のシートを含む、光学ユニット。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の光学ユニットであって、
前記第2の光学素子は、拡散シートを含み、前記拡散シートは、その厚み方向に貫通する複数の細孔を有する、光学ユニット。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の光学ユニットであって、
前記第2の光学素子は、複数のドットが形成された表面を有する透明シートを含む、光学ユニット。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載の光学ユニットであって、
前記少なくとも一つの光源と前記第1の光学素子との間に配置された第3の光学素子をさらに備え、
前記第3の光学素子は、前記ディスプレイ表面において、前記鏡筒に対応する領域である鏡筒対応領域の輝度と、前記鏡筒対応領域の周りの領域である周囲領域であって前記少なくとも一つの光源に対応する領域を含む周囲領域の輝度と、の差を小さくするように構成されている、光学ユニット。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載の光学ユニットであって、
前記少なくとも一つの光源と前記第1の光学素子との間に配置された第4の光学素子をさらに備え、
前記第4の光学素子は、前記ディスプレイ表面において、前記鏡筒に対応する領域の周りの領域である周囲領域における輝度のムラを小さくするように構成されている、光学ユニット。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載の光学ユニットであって、
前記第1の光学素子は、入射された光の一部を拡散させるように構成されている、光学ユニット。
【請求項13】
ディスプレイ表面とその反対側の背面とを有する携帯情報端末に搭載され、前記ディスプレイ表面と前記背面との間に配置される光学ユニットに用いられる光学素子であって、
前記光学ユニットは、カメラの鏡筒と、前記鏡筒の周りに配置され、前記鏡筒の中心軸に沿った方向でかつ前記ディスプレイ表面に近づくような方向である第1方向に光を出射する少なくとも一つの光源と、を備え、
前記光学素子は、前記少なくとも一つの光源に対して前記第1方向に離れた位置に配置され、前記少なくとも一つの光源から出射された光が入射され、入射された光の向きを変え、前記鏡筒の前記中心軸を前記第1方向に延長した仮想線である中心軸延長線に近づくような方向に光を出射する、光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、携帯情報端末に搭載される光学ユニット及び光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
現在流通しているスマートフォンなどの携帯情報端末は、それを持つ者が自らを撮影することが可能なカメラ、いわゆる自分撮り用のカメラを備える。例えば特許文献1に開示されている携帯情報端末は、液晶ディスプレイなどのディスプレイと、カメラと、を備え、当該カメラの鏡筒は、ディスプレイの前面であるディスプレイ表面の領域の外に配置されている。液晶ディスプレイは、バックライトと、液晶パネルと、を含む。バックライトは、光源と、光源からの光を拡散させて表面の全体から光を出す導光板と、導光板からの光をさらに拡散させる拡散シートと、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-169860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、携帯情報端末においてディスプレイの周りの枠の幅を小さくしてディスプレイ表面の領域を大きくする、いわゆる狭額縁化が進展する傾向にある。このような狭額縁化の進展に伴い、カメラの鏡筒が配置される領域においても画面表示を行わせるというニーズがある。このニーズを満たすために、カメラの鏡筒は、ディスプレイ表面(前面)よりも後ろに配置される。すなわち、鏡筒は、携帯情報端末の背面とディスプレイ表面との間に配置される。この場合、鏡筒が配置される領域には導光板が存在しないため、ディスプレイ表面においては、鏡筒に対応する領域が他の領域に比べて暗くなるという問題がある。
【0005】
本開示は、上記のような問題を踏まえてなされたものであり、携帯情報端末においてカメラの鏡筒がディスプレイ表面よりも後ろに配置される場合であっても、ディスプレイ表面において鏡筒に対応する領域が他の領域に比べて暗くなることを抑制可能な光学ユニット及び光学素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
提供される光学ユニットは、ディスプレイ表面とその反対側の背面とを有する携帯情報端末に搭載され、前記ディスプレイ表面と前記背面との間に配置される。前記光学ユニットは、カメラの鏡筒と、前記鏡筒の周りに配置され、前記鏡筒の中心軸に沿った方向でかつ前記ディスプレイ表面に近づくような方向である第1方向に光を出射する少なくとも一つの光源と、前記少なくとも一つの光源に対して前記第1方向に離れた位置に配置され、前記少なくとも一つの光源から出射された光が入射される第1の光学素子であって、入射された光の向きを変え、前記鏡筒の前記中心軸を前記第1方向に延長した仮想線である中心軸延長線に近づくような方向に光を出射する第1の光学素子と、前記第1の光学素子及び前記鏡筒に対して前記第1方向に離れた位置において前記鏡筒に対して前記中心軸の方向に対向するように配置され、前記第1の光学素子から出射された光が入射される第2の光学素子であって、入射された光を拡散させ、前記ディスプレイ表面に向かう光を出射する第2の光学素子と、を備える。
【0007】
この光学ユニットでは、鏡筒の周りに配置された光源からの光(光線)が第1の光学素子に入射されると、第1の光学素子は、入射された光の向きを変えて前記中心軸延長線に
近づくような方向に光を出射し、第1の光学素子から出射された光(光線)が第2の光学素子に入射されると、第2の光学素子は、入射された光を拡散させ、ディスプレイ表面に向かう光を出射する。第2の光学素子から出射されてディスプレイ表面に向かう出射光は、第2の光学素子において拡散された拡散光であるので、ディスプレイ表面に向かう出射光の一部は、ディスプレイ表面における鏡筒に対応する領域に比較的均一に分散した状態で供給される。従って、携帯情報端末においてカメラの鏡筒がディスプレイ表面よりも後ろに配置される場合、すなわち、鏡筒がディスプレイ表面と背面との間に配置される場合であっても、ディスプレイ表面において鏡筒に対応する領域が他の領域に比べて暗くなることが抑制される。
【0008】
前記光学ユニットにおいて、前記少なくとも一つの光源は、前記鏡筒の周りに周方向に沿って配列された複数の光源を含むことが好ましい。この構成では、複数の光源からの光(光線)が第1の光学素子に入射されると、第1の光学素子は、入射された光の向きを変えて前記中心軸延長線に近づくような方向に光を出射するので、複数の光源からの光は、前記中心軸延長線の周りの領域に集められる。このように集められた光が第2の光学素子に入射されることにより拡散光が生成され、当該拡散光の一部がディスプレイ表面における鏡筒に対応する領域に供給される。従って、この構成では、ディスプレイ表面における鏡筒に対応する領域により多くの光を供給することができる。
【0009】
前記光学ユニットにおいて、前記第1の光学素子は、前記鏡筒の周りを囲む環形状を有することが好ましい。この構成では、第1の光学素子は、鏡筒の周りに配置された一つ又は複数の光源から出射される光を、周方向の広い範囲において受光することができるので、ディスプレイ表面における鏡筒に対応する領域により多くの光を供給することができる。
【0010】
具体的には、前記第1の光学素子は、前記鏡筒の周りを囲む環形状を有するベース部と、前記ベース部から前記少なくとも一つの光源に向かって突出し、前記中心軸を含む平面で切断したときの断面形状が三角形状を有する少なくとも一つの突出部と、を含むことが好ましい。この構成では、プリズムのような断面形状を有する前記少なくとも一つの突出部は、光源から入射される入射光を屈折させて前記中心軸延長線に近づくような方向に出射される出射光を生成することができる。
【0011】
例えば、鏡筒の周りの全周領域のうちの一部の領域に一つの光源のみが配置されている場合には、前記突出部は、必ずしも、鏡筒の周りの全周にわたって配置されていなくてもよく、前記一つの光源に対向する位置に配置されているだけでもよい。また、前記少なくとも一つの突出部は、鏡筒の周りにおいて周方向に沿って配列された複数の突出部を含んでいてもよく、複数の突出部のそれぞれが上記のようなプリズムのような断面形状を有していてもよい。
【0012】
また、前記少なくとも一つの突出部は、前記鏡筒の周りを囲む環形状を有し、前記三角形状の断面が周方向に連続するように構成されることがより好ましい。この構成では、第1の光学素子は、鏡筒の周りに配置された一つ又は複数の光源から出射される光を、鏡筒の周りの全周にわたる領域において受光することができるので、ディスプレイ表面における鏡筒に対応する領域により多くの光を供給することができる。
【0013】
また、前記少なくとも一つの突出部は、同心円上に配置された複数の突出部を含み、前記複数の突出部のそれぞれは、前記鏡筒の周りを囲む環形状を有し、前記三角形状の断面が周方向に連続するように構成されることがさらに好ましい。この構成では、第1の光学素子は、鏡筒の周りに配置された一つ又は複数の光源から出射される光を、鏡筒の周りの全周にわたる領域において受光することができ、しかも、鏡筒の径方向に沿って並ぶ複数
の領域において受光することができるので、ディスプレイ表面における鏡筒に対応する領域にさらに多くの光を供給することができる。
【0014】
前記光学ユニットにおいて、前記第2の光学素子は、樹脂マトリックスと、前記樹脂マトリックス中に分散する微粒子と、を有する透明又は半透明のシートを含んでいてもよい。この構成では、シートの樹脂マトリックス中に分散する微粒子が当該シートに入射した光を拡散させるので、当該シートを含む第2の光学素子は、ディスプレイ表面に向かう拡散光を出射することができる。しかも、当該シートが透明又は半透明であるので、携帯情報端末の外からディスプレイ表面の内側に進入した被写体像に関する光(被写体光)は、被写体像の鮮明度の低下が抑制された状態で、カメラの鏡筒まで到達することができる。
【0015】
前記光学ユニットにおいて、前記第2の光学素子は、拡散シートを含み、前記拡散シートは、その厚み方向に貫通する複数の細孔を有していてもよい。この構成では、拡散シートが当該拡散シートに入射した光を拡散させるので、当該拡散シートを含む第2の光学素子は、ディスプレイ表面に向かう拡散光を出射することができる。しかも、当該拡散シートが前記複数の細孔を有するので、携帯情報端末の外からディスプレイ表面の内側に進入した被写体像に関する光(被写体光)は、被写体像の鮮明度の低下が抑制された状態で、カメラの鏡筒まで到達することができる。
【0016】
前記光学ユニットにおいて、前記第2の光学素子は、複数のドットが形成された表面を有する透明シートを含んでいてもよい。この構成では、透明シートの表面に形成された複数のドットが当該透明シートに入射した光を拡散させるので、当該透明シートを含む第2の光学素子は、ディスプレイ表面に向かう拡散光を出射することができる。しかも、当該シートが透明であるので、携帯情報端末の外からディスプレイ表面の内側に進入した被写体像に関する光(被写体光)は、被写体像の鮮明度の低下が抑制された状態で、カメラの鏡筒まで到達することができる。
【0017】
前記光学ユニットは、前記少なくとも一つの光源と前記第1の光学素子との間に配置された第3の光学素子をさらに備え、前記第3の光学素子は、前記ディスプレイ表面において、前記鏡筒に対応する領域である鏡筒対応領域の輝度と、前記鏡筒対応領域の周りの領域である周囲領域であって前記少なくとも一つの光源に対応する領域を含む周囲領域の輝度と、の差を小さくするように構成されていることが好ましい。この構成では、ディスプレイ表面において、鏡筒対応領域と周囲領域との輝度の差(明暗のムラ)がさらに低減される。
【0018】
前記光学ユニットは、前記少なくとも一つの光源と前記第1の光学素子との間に配置された第4の光学素子をさらに備え、前記第4の光学素子は、前記ディスプレイ表面において、前記鏡筒に対応する領域の周りの領域である周囲領域における輝度のムラを小さくするように構成されていてもよい。この構成では、ディスプレイ表面の周囲領域において、光源に対応する領域と、光源に対応していない領域(光源の隣りの領域)と、の輝度の差(明暗のムラ)がさらに低減される。
【0019】
前記第1の光学素子は、入射された光の一部を拡散させるように構成されていてもよい。この構成では、第1の光学素子に入射された光の一部が第1の光学素子において拡散することで、ディスプレイ表面の周囲領域において、光源に対応する領域と、光源に対応していない領域(光源の隣の領域)と、の輝度の差(明暗のムラ)がさらに低減される。
【0020】
本開示に係る光学素子は、ディスプレイ表面とその反対側の背面とを有する携帯情報端末に搭載される光学ユニットであって前記ディスプレイ表面と前記背面との間に配置される光学ユニットに用いられる。前記光学ユニットは、カメラの鏡筒と、前記鏡筒の周りに配置され、前記鏡筒の中心軸に沿った方向でかつ前記ディスプレイ表面に近づくような方向である第1方向に光を出射する少なくとも一つの光源と、を備える。前記光学素子は、前記少なくとも一つの光源に対して前記第1方向に離れた位置に配置され、前記少なくとも一つの光源から出射された光が入射され、入射された光の向きを変え、前記鏡筒の前記中心軸を前記第1方向に延長した仮想線である中心軸延長線に近づくような方向に光を出射する。この光学素子(第1の光学素子)は、鏡筒の周りに配置された光源からの光(光線)が入射されると、入射された光の向きを変えて前記中心軸延長線に近づくような方向に光を出射する。従って、携帯情報端末においてカメラの鏡筒がディスプレイ表面よりも後ろに配置される場合、すなわち、鏡筒がディスプレイ表面と背面との間に配置される場合であっても、ディスプレイ表面において鏡筒に対応する領域が他の領域に比べて暗くなることが抑制される。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、携帯情報端末においてカメラの鏡筒がディスプレイ表面よりも後ろに配置される場合であっても、ディスプレイ表面において鏡筒に対応する領域が他の領域に比べて暗くなることを抑制可能な光学ユニット及び光学素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の第1実施形態に係る光学ユニットを備える携帯情報端末を示す平面図である。
図2図1のII-II線における断面図である。
図3図1のIII-III線における断面図である。
図4】第1実施形態に係る光学ユニットの鏡筒と複数の光源とを示す斜視図である。
図5】第1実施形態に係る光学ユニットを示す側面図である。
図6】第1実施形態の変形例に係る光学ユニットを示す側面図である。
図7】第1実施形態に係る光学ユニットの第1の光学素子を示す底面図である。
図8図7のVIII-VIII線における断面図であり、第1実施形態に係る光学ユニットの一部を示す図である。
図9図7のVIII-VIII線における断面図であり、第1実施形態の変形例に係る光学ユニットの一部を示す図である。
図10】第1実施形態に係る光学ユニットの第2の光学素子の一例を示す断面図である。
図11】第1実施形態に係る光学ユニットの第2の光学素子の他の例を示す平面図である。
図12】第1実施形態に係る光学ユニットの第2の光学素子のさらに他の例を示す平面図である。
図13】第1実施形態に係る光学ユニットを評価するために用いた光源を示す斜視図である。
図14図13に示す光源と当該光源の上に配置された第1の光学素子及び第2の光学素子とを示す側面図である。
図15】第1実施形態に係る光学ユニットの評価結果を示すグラフである。
図16】第1実施形態に係る光学ユニットの評価結果を示すグラフである。
図17】参考例の携帯情報端末を示す平面図である。
図18】参考例の携帯情報端末を示す断面図である。
図19】本開示の第2実施形態に係る光学ユニットを示す側面図である。
図20】本開示の第3実施形態に係る光学ユニットを示す側面図である。
図21】本開示の第4実施形態に係る光学ユニットを示す側面図である。
図22】第1実施形態に係る光学ユニットと第2実施形態に係る光学ユニットの性能を評価した方法及び条件を説明するための図である。
図23】第2実施形態に係る光学ユニットの性能を評価した結果を示す画像である。
図24】第1実施形態に係る光学ユニットの性能を評価した結果を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態に係る光学ユニットについて説明する。
【0024】
[第1実施形態]
図1は、本開示の第1実施形態に係る光学ユニットを備える携帯情報端末101を示す平面図である。図2は、図1のII-II線における断面図であり、図3は、図1のIII-III線における断面図である。
【0025】
図1に示す携帯情報端末101は、いわゆるスマートフォンであり、縦長の矩形状を有する。この携帯情報端末101は、ケース103と、ディスプレイ102と、本実施形態に係る光学ユニット100と、を備える。ディスプレイ102は、液晶ディスプレイである。
【0026】
図2に示すように、ディスプレイ102は、バックライトと、液晶パネル64と、を含む。バックライトは、液晶用光源61と、液晶用光源61からの光を拡散させて表面の全体から光を出す導光板62と、導光板62からの光をさらに拡散させる拡散シート63と、を含む。携帯情報端末101は、ディスプレイ102の表面(前面)であるディスプレイ表面105と、ケース103の背面104と、を有する。背面104は、ディスプレイ表面105の反対側に位置する面である。
【0027】
図3に示すように、光学ユニット100は、携帯情報端末101に搭載されている。光学ユニット100は、ベース部材10と、カメラの鏡筒20と、複数の光源30と、第1の光学素子40と、第2の光学素子50と、を備える。
【0028】
前記カメラは、携帯情報端末101を持つ者が自らを撮影することが可能な、いわゆる自分撮り用のカメラである。カメラの鏡筒20は、携帯情報端末101を図1に示すように平面視したときに、ディスプレイ102の端部(図1では上部)に配置されている。この携帯情報端末101では、ディスプレイ102の周りの枠の幅を小さくしてディスプレイ表面105の領域を大きくするために、鏡筒20を含む光学ユニット100は、液晶画面の下に潜り込むように配置されている。すなわち、鏡筒20を含む光学ユニット100は、ディスプレイ表面105よりも後ろに配置されている。図3に示すように、光学ユニット100は、ディスプレイ表面105と背面104との間に配置されており、鏡筒20が配置される領域には導光板62が存在していない。
【0029】
図4は、光学ユニット100のベース部材10、鏡筒20及び複数の光源30とを示す斜視図である。図5は、光学ユニット100を示す側面図である。
【0030】
図4及び図5に示すように、ベース部材10は、例えば平面視で円形の薄い板状の部材である。ベース部材10は、鏡筒20及び複数の光源30を支持するための部材である。鏡筒20及び複数の光源30が例えばケース103に支持される場合には、ベース部材10は省略可能である。
【0031】
鏡筒20は、中空部21を有する円筒形状を呈しており、ベース部材10上に配置されている。鏡筒20の中空部21には、例えばレンズなどの光学部品(図示省略)が配置される。鏡筒20の基端部(図4及び図5では下端部)は、ベース部材10に固定されている。鏡筒20の先端部(図4及び図5では上端部)は、開口しており、当該開口を通じて被写体像に関する光(被写体光)が進入することが可能なように構成される。
【0032】
図5に示す一点鎖線A1は、鏡筒20の中心(円筒の中心)を通る中心軸A1である。図5に示す実線の矢印Dは、鏡筒20の中心軸A1に平行な方向でかつ図3に示すディスプレイ表面105に近づくような方向である第1方向Dを示している。図5に示す一点鎖線A2は、鏡筒20の中心軸A1を第1方向Dに延長した仮想線である中心軸延長線A2である。
【0033】
複数の光源30のそれぞれは、LED(発光ダイオード)である。複数の光源30は、鏡筒20の周りにおいて周方向に沿って互いに間隔をおいて配列されている。本実施形態では、複数の光源30は、周方向にほぼ等間隔で並んでおり、ベース部材10に固定されている。複数の光源30のそれぞれは、第1方向Dに光(光線)を出射するように構成される。なお、図5に示す光源30から上方に延びる一点鎖線の矢印は、第1方向Dに平行な方向に延びているが、この矢印は、光源30から出射される光の一部であり、実際には、光源30は、第1方向Dに平行な方向だけでなく第1方向Dに対して傾斜した方向にも光を出射する。なお、図5に示す概略の側面図では、光学ユニット100を構成する複数の部材の位置関係、当該複数の部材と一点鎖線の矢印で示される光線との位置関係などが判別しやすいように、複数の光源30の一部の図示が省略され、第1の光学素子40の一部分の図示が省略されている。
【0034】
第1の光学素子40は、複数の光源30に対して第1方向Dに離れた位置に配置されている。複数の光源30と第1の光学素子40との間には、第1の中間層L1が形成されている。第1の中間層L1は、その屈折率が第1の光学素子40の屈折率よりも小さい物質により形成されている。本実施形態では、第1の中間層L1は、空気層である。
【0035】
第1の光学素子40には、複数の光源30から出射された光が入射される。第1の光学素子40は、入射された光の向きを変え、中心軸延長線A2に近づくような方向に光を出射する。なお、図5に示す第1の光学素子40から中心軸延長線A2に近づく方向に延びる一点鎖線の矢印は、第1の光学素子40から出射される光の一部であり、実際には、第1の光学素子40から出射される光は、中心軸延長線A2にほぼ平行な向きに進む光、中心軸延長線A2から遠ざかる方向に進む光なども含む。
【0036】
第2の光学素子50は、第1の光学素子40及び鏡筒20に対して第1方向Dに離れた位置において鏡筒20に対して中心軸A1の方向に対向するように配置されている。第1の光学素子40及び鏡筒20と第2の光学素子50との間には、第2の中間層L2が形成されている。第2の中間層L2は、その屈折率が第1の光学素子40の屈折率よりも小さい物質により形成されている。本実施形態では、第2の中間層L2は、空気層である。
【0037】
第2の光学素子50には、第1の光学素子40から出射された光が入射される。第2の光学素子50は、入射された光を拡散させ、ディスプレイ表面105に向かう光を出射する。なお、図5に示す第2の光学素子50から上方に延びる一点鎖線の矢印は、第1方向Dに平行な方向に延びているが、この矢印は、第2の光学素子50から出射される光の一部であり、実際には、第2の光学素子50において拡散されて出射される光は、第1方向Dに平行な方向だけでなく第1方向Dに対して傾斜した方向に出射される光も含む。
【0038】
本実施形態に係る光学ユニット100では、鏡筒20の周りに配置された光源からの光(光線)が第1の光学素子40に入射されると、第1の光学素子40は、入射された光の向きを変えて中心軸延長線A2に近づくような方向に光を出射する。第1の光学素子40から出射された光(光線)が第2の光学素子50に入射されると、第2の光学素子50は、入射された光を拡散させ、ディスプレイ表面105に向かう光を出射する。第2の光学素子50から出射されてディスプレイ表面105に向かう出射光は、第2の光学素子50において拡散された拡散光であるので、ディスプレイ表面105に向かう出射光の一部は
、ディスプレイ表面105における鏡筒20に対応する領域に比較的均一に分散した状態で供給される。従って、携帯情報端末101においてカメラの鏡筒20がディスプレイ表面105よりも後ろに配置される場合、すなわち、鏡筒20がディスプレイ表面105と背面104との間に配置される場合であっても、ディスプレイ表面105において鏡筒20に対応する領域が他の領域に比べて暗くなることが抑制される。なお、図17に示す参考例に係る携帯情報端末301では、カメラの鏡筒320は、ディスプレイ表面302の領域の外に配置されている。この参考例に係る携帯情報端末301では、図18に示すように、ディスプレイは、ケース303上に配置されたバックライトと、液晶パネル364と、を含み、バックライトは、液晶用光源361と、液晶用光源361からの光を拡散させて表面の全体から光を出す導光板362と、導光板362からの光をさらに拡散させる拡散シート363と、を含む。カメラの鏡筒320は、前記ディスプレイには重ならない位置である上端部に配置されている。図1図17を比較することでわかるように、本実施形態に係る携帯情報端末101では、ディスプレイ102の周りの枠の幅を小さくしてディスプレイ表面105の領域を大きくする、いわゆる狭額縁化が可能になる。
【0039】
また、本実施形態に係る光学ユニット100では、複数の光源30が鏡筒20の周りに周方向に沿って配列されている。複数の光源30からの光(光線)が第1の光学素子40に入射されると、第1の光学素子40は、入射された光の向きを変えて中心軸延長線A2に近づくような方向に光を出射するので、複数の光源30からの光は、中心軸延長線A2の周りの領域に集められる。このように集められた光が第2の光学素子50に入射されることにより拡散光が生成され、当該拡散光の一部がディスプレイ表面105における鏡筒20に対応する領域に供給される。従って、本実施形態に係る光学ユニット100は、例えば図4に示す複数の光源30のうちの何れか一つの光源30のみを備えるような光学ユニットに比べて、ディスプレイ表面105における鏡筒20に対応する領域により多くの光を供給することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る光学ユニット100では、第1の光学素子40は、鏡筒20の周りを囲む環形状を有するので、第1の光学素子40は、鏡筒20の周りに配置された複数の光源30から出射される光を、周方向の広い範囲において受光することができる。これにより、ディスプレイ表面105における鏡筒20に対応する領域により多くの光を供給することができる。
【0041】
本実施形態に係る光学ユニット100の概要は以上の通りである。以下では、第1の光学素子40及び第2の光学素子50の詳細について説明する。
【0042】
図7は、本実施形態に係る光学ユニット100の第1の光学素子40を示す底面図であり、図8は、図7のVIII-VIII線における断面図である。図7及び図8に示すように、第1の光学素子40は、シート状の部材であり、より具体的には鏡筒20の周りを囲む円環形状(ドーナツ形状)を有するシート状の部材である。
【0043】
第1の光学素子40は、ベース部41と、複数の突出部42と、を含む。ベース部41は、図5及び図7に示すように、鏡筒20の周りを囲む環形状を有する。ベース部41は、第2の光学素子50に向く表面41Sを有する。複数の突出部42は、ベース部41から複数の光源30に向かってそれぞれ突出している。第1の光学素子40は、例えば図5に示すようにベース部41の内周面が鏡筒20の外周面に接続されることにより、鏡筒20に支持されている。第1の光学素子40は、鏡筒20の基端部(図5では下端部)よりも鏡筒20の先端部(図5では上端部)に近い位置において鏡筒20の周りを囲むように配置されることが好ましい。これにより、第1の光学素子40から出射される光が鏡筒20の外側面によって遮られることが抑制される。第1の光学素子40は、鏡筒20の先端部の周りを囲むように配置されることがより好ましい。これにより、第1の光学素子40から出射される光が鏡筒20の外側面によって遮られることがさらに抑制される。第2の光学素子50は、第1の光学素子40に支持されていてもよく、拡散シート63などの前
記バックライトに含まれる部材に支持されていてもよく、液晶パネル64に支持されていてもよく、図略の支持部材に支持されていてもよい。なお、図5では、光の動きを説明しやすいように、複数の突出部42の個数が図7に比べて少なく描かれている。
【0044】
複数の突出部42のそれぞれは、鏡筒20の周りを囲む環形状を有する。複数の突出部42のそれぞれは、第1の光学素子40を中心軸A1を含む何れの平面で切断した場合でも断面形状が三角形状を有する。言い換えると、複数の突出部42のそれぞれは、前記三角形状の断面が周方向に連続するように構成される。複数の突出部42は、中心軸A1を中心とする同心円上に配置されている。各突出部42の前記断面形状は、プリズムのような形状である。
【0045】
図8に示す第1の光学素子40における複数の突出部42のそれぞれの前記断面形状は、三角形の3つの頂点のうち、2つの頂点A,Bがベース部41に接続され、残りの1つの頂点Cがベース部41よりも光源30に近い位置にあるような略二等辺三角形である。ただし、各突出部42の断面形状は、二等辺三角形に限られない。
【0046】
図9は、図7のVIII-VIII線における断面図であり、第1実施形態の変形例に係る第1の光学素子40の一部を示す図である。図9に示す変形例では、第1の光学素子40における複数の突出部42のそれぞれの前記断面形状は、略直角三角形である。具体的には、各突出部42の断面形状は、三角形の3つの頂点のうち、2つの頂点A,Bがベース部41に接続され、残りの1つの頂点Cがベース部41よりも光源30に近い位置にあるような直角三角形である。2つの頂点A,Bのうち、第1の光学素子40の径方向の内側(図9では左側)の頂点Aと前記1つの頂点Cとを結ぶ直線は、鏡筒20の中心軸A1にほぼ平行な方向の向いている。一方、第1の光学素子40の径方向の外側(図9では右側)の頂点Bと前記1つの頂点Cとを結ぶ直線は、鏡筒20の中心軸A1に対して傾斜するような方向を向いている。具体的には、頂点Bと頂点Cとを結ぶ直線は、頂点Bから頂点Cに向かうにつれて中心軸A1に近づくような直線である。この断面形状では、径方向の外側に位置する面が中心軸A1に対して傾斜する斜面であり、径方向の内側に位置する面は、中心軸A1にほぼ平行な面である。
【0047】
図5図6図8及び図9に示すように、ベース部41の表面41Sは、中心軸A1に垂直な平面である。ただし、ベース部41の表面41Sは、中心軸延長線A2に近づくような方向に第1の光学素子40から光を出射することができるような面であればよく、必ずしも上記のような平面に限られない。従って、ベース部41の表面41Sは、例えば、曲面を含んでいてもよく、中心軸A1に対して傾斜するような傾斜面を含んでいてもよい。図8及び図9に示す第1の光学素子40のそれぞれは、図5及び図6に示すように光源30から入射される入射光を屈折させて中心軸延長線A2に近づくような方向に光を出射することができる。
【0048】
具体的には、複数の光源30から出射された光は、第1の中間層L1と第1の光学素子40の突出部42との境界面を通過するときに図5及び図6において一点鎖線の矢印で示すように屈折し、第1の光学素子40中を進む光は、第1の光学素子40のベース部41と第2の中間層L2との境界面を通過するときに図5及び図6において一点鎖線の矢印で示すように屈折する。これにより、第1の光学素子40は、図5及び図6において一点鎖線の矢印で示すように中心軸延長線A2に近づくような方向に光を出射することができる。
【0049】
また、図7に示す第1の光学素子40は、鏡筒20の周りに配置された複数の光源30から出射される光を、鏡筒20の周りの全周にわたる領域において受光することができるので、ディスプレイ表面105における鏡筒20に対応する領域により多くの光を供給す
ることができる。
【0050】
また、図7に示す第1の光学素子40は、鏡筒20の周りに配置された複数の光源30から出射される光を、鏡筒20の周りの全周にわたる領域において受光することができるだけでなく、鏡筒20の径方向に沿って並ぶ複数の領域においても受光することができるので、ディスプレイ表面105における鏡筒20に対応する領域にさらに多くの光を供給することができる。
【0051】
図10は、光学ユニット100の第2の光学素子50の一例を示す断面図である。図10に示す第2の光学素子50は、樹脂マトリックス51と、樹脂マトリックス51中に分散する微粒子52と、を有する透明又は半透明のシートを含む。このような第2の光学素子50は、乳白色のシートを例示できる。樹脂マトリックス51を構成する樹脂としては、例えばポリカーボネート、アクリル、ポリスチレン、MS(メチルメタクリレート・スチレン共重合)樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルロールアセテート、ポリイミド等を例示できる。微粒子52としては、例えば酸化チタンを例示できる。微粒子52の粒径は、特に限定されないが、例えば50~200マイクロメートルの範囲に含まれるものが例示できる。
【0052】
図5又は図6に示すように第1の光学素子40からの出射光が第2の光学素子50に入射すると、第2の光学素子50の樹脂マトリックス51中に分散する微粒子52が当該第2の光学素子50に入射した光を拡散させるので、第2の光学素子50は、ディスプレイ表面105に向かう拡散光を出射することができる。しかも、第2の光学素子50の樹脂マトリックス51が透明又は半透明であるので、携帯情報端末101の外からディスプレイ表面105の内側に進入した被写体像に関する光(被写体光)は、被写体像の鮮明度の低下が抑制された状態で、カメラの鏡筒20まで到達することができる。
【0053】
図11は、光学ユニット100の第2の光学素子50の他の例を示す平面図である。図11に示す第2の光学素子50は、拡散シート53を含み、この拡散シート53は、その厚み方向に貫通する複数の細孔54を有している。拡散シート53は、例えば、光学用の透明フィルム(例えばPETフィルム)の表面に、アクリル樹脂等でできた透明な微粒子(ビーズ)を、透明のバインダー樹脂を使って表面にコーティングすることにより得られるものであってもよいが、拡散シートの構造は、このような具体例に限られない。また、複数の細孔54のそれぞれの内径は、特に限定されないが、例えば50マイクロメートル~500マイクロメートル程度の範囲に設定されてもよい。また、隣り合う細孔54同士の間隔は、特に限定されないが、例えば100マイクロメートル~1000マイクロメートル程度の範囲に設定されてもよい。
【0054】
図5又は図6に示すように第1の光学素子40からの出射光が第2の光学素子50に入射すると、拡散シート53が当該拡散シート53に入射した光を拡散させるので、当該拡散シート53を含む第2の光学素子は、ディスプレイ表面105に向かう拡散光を出射することができる。しかも、当該拡散シート53が複数の細孔54を有するので、携帯情報端末101の外からディスプレイ表面105の内側に進入した被写体像に関する光(被写体光)は、被写体像の鮮明度の低下が抑制された状態で、カメラの鏡筒20まで到達することができる。
【0055】
図12は、光学ユニット100の第2の光学素子50のさらに他の例を示す平面図である。図12に示す第2の光学素子50は、複数のドット56が形成された表面を有する透明シート55を含む。この第2の光学素子50は、透明シート55の表面に例えば白色のドットを印刷することにより得られる。ただし、ドットの色は白に限られない。また、複数のドット56のそれぞれの外径は、特に限定されないが、例えば20マイクロメートル
~2mm程度の範囲に設定されてもよい。また、隣り合うドット56同士の間隔は、特に限定されないが、例えば20マイクロメートル~5mm程度の範囲に設定されてもよい。
【0056】
図5又は図6に示すように第1の光学素子40からの出射光が第2の光学素子50に入射すると、透明シート55の表面に形成された複数のドット56が当該透明シート55に入射した光を拡散させるので、当該透明シート55を含む第2の光学素子50は、ディスプレイ表面105に向かう拡散光を出射することができる。しかも、当該シート55が透明であるので、携帯情報端末101の外からディスプレイ表面105の内側に進入した被写体像に関する光(被写体光)は、被写体像の鮮明度の低下が抑制された状態で、カメラの鏡筒20まで到達することができる。
【0057】
図10図12に示す何れの第2の光学素子50においても、第1の光学素子40によって中心軸延長線A2の周りの領域に集められ、当該第2の光学素子50に入射された光の一部を、図5及び図6に示すようにディスプレイ表面105の方に向けて立ち上げつつ、カメラの鮮明度を実質的に低下させない。このような第2の光学素子50の特性は、例えばクラリティーとヘイズとにより表される。クラリティーは、例えばBYK社製のヘイズガードiを用いて測定することができる。ヘイズは、例えばBYK社製のヘイズガードiを用いて測定することができる。第2の光学素子50では、クラリティーは、70%~100%の範囲にあることが好ましく、ヘイズは、40%以上の範囲にあることが好ましい。
【0058】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態に係る光学ユニット100について説明する。図19は、第2実施形態に係る光学ユニット100を示す側面図である。第2実施形態に係る光学ユニット100は、第3の光学素子70をさらに備える点で図5に示す第1実施形態に係る光学ユニット100と相違する。第2実施形態に係る光学ユニット100のその他の構成は、第1実施形態に係る光学ユニット100と同様である。
【0059】
図1において、ディスプレイ表面105における光学ユニット100に対応する領域(光学ユニット対応領域)は、破線で描かれた2つの同心円で示されている。この光学ユニット対応領域は、鏡筒対応領域R1と、周囲領域R2と、を含む。鏡筒対応領域R1は、ディスプレイ表面105における鏡筒20に対応する領域である。鏡筒対応領域R1は、図1において小さい方の破線の円よりも内側の領域である。周囲領域R2は、ディスプレイ表面105において鏡筒対応領域R1の周りを囲む円環状の領域(ドーナツ状の領域)である。周囲領域R2は、複数の光源30に対応する複数の領域(複数の光源対応領域)と、光源30に対応していない複数の領域(複数の光源非対応領域)と、を含む。光源30に対応していない領域は、周方向に隣り合う光源30の間の部分に対応する領域である。周囲領域R2は、図1において小さい方の破線の円と大きい方の破線の円との間の領域である。複数の光源対応領域は、図1に示すようにディスプレイ表面105を平面視したときに周囲領域R2のうちの複数の光源30に対応する領域である。複数の光源非対応領域のそれぞれは、図1に示すようにディスプレイ表面105を平面視したときに周囲領域R2のうちの光源30と光源30との間の部分に対応する領域である。
【0060】
図19に示すように、第3の光学素子70は、複数の光源30と第1の光学素子40との間において、鏡筒20の周りに配置されている。第3の光学素子70には、複数の光源30から出射された光が入射され、第1の光学素子40には、第3の光学素子70から出射された光が入射される。すなわち、第2実施形態では、第1の光学素子40には、複数の光源30から出射された光が第3の光学素子70を介して入射される。この第3の光学素子70は、ディスプレイ表面105において、鏡筒対応領域R1の輝度と、周囲領域R2の輝度と、の差を小さくするように構成されている。具体的には以下の通りである。
【0061】
第3の光学素子70は、シート状の部材であり、より具体的には鏡筒20の周りを囲む円環形状(ドーナツ形状)を有するシート状の部材である。第3の光学素子70は、図19に示すように鏡筒20に支持されていてもよく、鏡筒20以外の他の部材に支持されていてもよい。第3の光学素子70は、複数の光源30に向く表面である入射面71(図19では下面)と、第1の光学素子40に向く表面である出射面72(図19では上面)と、を有する。複数の光源30からの光は、入射面71に入射し、出射面72から出射される。
【0062】
第3の光学素子70の出射面72には、複数の凹部73が形成されている。出射面72に複数の凹部73が形成されていることにより、第3の光学素子70は、ディスプレイ表面105において、鏡筒対応領域R1の輝度と、周囲領域R2の輝度と、の差を小さくする機能を有する。鏡筒対応領域R1と周囲領域R2との輝度ムラを小さくする効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、その理由の一つとして例えば次のようなことが考えられる。
【0063】
すなわち、複数の光源30は、図19において一点鎖線の上向きの矢印で示すような方向(第1方向D)に光を出射するだけでなく、第1方向Dに対して傾く様々な方向にも光を出射する。複数の光源30から出射された様々な方向の光が第3の光学素子70に入射すると、当該第3の光学素子70は、それらの光の少なくとも一部の向きを第1方向Dに近づけるような機能、言い換えると、第3の光学素子70に入射した光の向きを第1方向Dに近い方向に集光するような機能を有する。第1の光学素子40が中心軸延長線A2に近づくような方向に光を効率よく出射するための第1の光学素子40への最適な光の入射方向は、シート状の第1の光学素子40に垂直な方向、すなわち第1方向Dである。第2実施形態では、複数の光源30と第1の光学素子40との間に第3の光学素子70が介在することで、第1実施形態に比べて、第1方向Dに近い向きの光が第1の光学素子40により多く入射し、第1の光学素子40から中心軸延長線A2に近づくような方向に効率よく光を出射させることができる。その結果、第2実施形態では、第1実施形態に比べて、鏡筒対応領域R1の輝度と周囲領域R2の輝度との差がさらに小さくなり、鏡筒対応領域R1と周囲領域R2の明暗のムラがさらに低減される。
【0064】
図19に示す具体例では、第3の光学素子70における複数の凹部73のそれぞれは、四角錐形状(いわゆるピラミッド形状)を有する。具体的には、複数の凹部73のそれぞれは、四角錐の底面に対応する部分が第1の光学素子40側において開口し、四角錐の頂点に対応する部分が前記底面に対応する部分よりも光源30に近い位置にある。図19の具体例では、前記底面に対応する部分以外の4つの面(三角形状の面)のうち対向する位置にある2つの面のなす角度(頂角)が例えば70~110°の範囲の値(例えば90°)に設定され、前記底面に対応する部分(開口)が正方形である。すなわち、図19の具体例では、複数の凹部73のそれぞれは、正四角錐形状を有する。ただし、第3の光学素子70は、当該第3の光学素子70に入射した様々な方向の光の一部又は全部を第1方向Dに近い方向に集光するような機能を有するものであればよく、図19に示すような具体例に限られない。例えば、複数の凹部73のそれぞれの形状は、正四角錐に限られず、正四角錐以外の四角錐であってもよく、四角錐以外の角錐であってもよく、円錐であってもよい。また、複数の凹部73は、すべて同じ形状でなくてもよい。また、第3の光学素子70は、例えば複数のプリズムを含んでいてもよい。
【0065】
図19に示す具体例では、第3の光学素子70において、複数の凹部73は、縦横に規則的に配列されている(正方配列)。ただし、複数の凹部73の配列は正方配列に限られない。複数の凹部73は、例えば、周方向に沿って規則的に配列されるとともに、径方向に沿って規則的に配列されていてもよい。
【0066】
第3の光学素子70の入射面71は、平滑な面であってもよいが、入射した光の一部を拡散させるような面(光拡散面)であってもよい。光拡散面は、例えば微細な凹凸を有するような面(いわゆるマット面)であってもよい。入射面71が光拡散面である場合、ディスプレイ表面105の周囲領域R2において、複数の光源対応領域と、複数の光源非対応領域と、の輝度の差(明暗のムラ)がさらに低減される。
【0067】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態に係る光学ユニット100について説明する。図20は、第3実施形態に係る光学ユニット100を示す側面図である。第3実施形態に係る光学ユニット100は、第4の光学素子80をさらに備える点で図5に示す第1実施形態に係る光学ユニット100と相違する。第3実施形態に係る光学ユニット100のその他の構成は、第1実施形態に係る光学ユニット100と同様である。
【0068】
図20に示すように、第4の光学素子80は、複数の光源30と第1の光学素子40との間において、鏡筒20の周りに配置されている。第4の光学素子80には、複数の光源30から出射された光が入射され、第1の光学素子40には、第4の光学素子80から出射された光が入射される。すなわち、第3実施形態では、第1の光学素子40には、複数の光源30から出射された光が第4の光学素子80を介して入射される。第3実施形態における第4の光学素子80は、第1実施形態に比べて、ディスプレイ表面105の周囲領域R2において複数の光源対応領域と複数の光源非対応領域との輝度の差(明暗のムラ)を小さくするように構成されている。具体的には以下の通りである。
【0069】
第4の光学素子80は、シート状の部材であり、より具体的には鏡筒20の周りを囲む円環形状(ドーナツ形状)を有するシート状の部材である。第4の光学素子80は、図20に示すように鏡筒20に支持されていてもよく、鏡筒20以外の他の部材に支持されていてもよい。複数の光源30からの光は、第4の光学素子80の一方の面である入射面(図20では下面)に入射し、第4の光学素子80の他方の面である出射面(図20では上面)から出射される。
【0070】
第4の光学素子80としては、例えば、図10図12に示した第2の光学素子50と同様の構造を有する拡散シートを用いることができる。複数の光源30からの光が第4の光学素子80に入射されると、第4の光学素子80は、入射された光を拡散させ、第1の光学素子40に向かう光を出射する。図20に示す具体例では、第4の光学素子80は、透明の樹脂マトリックス81と、樹脂マトリックス81中に分散する微粒子82と、を有する透明又は半透明の拡散シートを含む。
【0071】
第4の光学素子80が複数の光源30と第1の光学素子40との間に配置される第3実施形態では、第1実施形態に比べて、ディスプレイ表面105の周囲領域R2において、複数の光源対応領域と、複数の光源非対応領域と、の輝度の差(明暗のムラ)がさらに低減される。
【0072】
[第4実施形態]
次に、本開示の第4実施形態に係る光学ユニット100について説明する。図21は、第4実施形態に係る光学ユニット100を示す側面図である。第4実施形態に係る光学ユニット100は、第1の光学素子40が当該第1の光学素子40に入射した光の一部を拡散させる機能をさらに有する点で図5に示す第1実施形態に係る光学ユニット100と相違する。第4実施形態に係る光学ユニット100のその他の構成は、第1実施形態に係る光学ユニット100と同様である。
【0073】
図21に示す具体例では、第4実施形態における第1の光学素子40は、ベース部41及び/又は複数の突出部42の中に分散する微粒子43を含む。微粒子としては、例えば酸化チタンを挙げることができる。ただし、光を拡散させる機能を第1の光学素子40に付与する方法は、上記のように微粒子43を分散させることに限られず、例えば、第1の光学素子40の表面に微細な凹凸を形成することであってもよい。
【0074】
第1の光学素子40が当該第1の光学素子40に入射した光の一部を拡散させる機能を有する第4実施形態では、第1実施形態に比べて、ディスプレイ表面105の周囲領域R2において、複数の光源対応領域と、複数の光源非対応領域と、の輝度の差(明暗のムラ)がさらに低減される。
【0075】
以上、実施形態に係る光学ユニット100について説明したが、本開示に係る光学ユニットは前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例を含む。
【0076】
前記実施形態に係る光学ユニット100が搭載される携帯情報端末101は、スマートフォンであるが、例えばタブレット端末などの他の携帯情報端末であってもよい。
【0077】
前記実施形態では、複数の光源30のそれぞれは、LED(発光ダイオード)であるが、各光源は、LEDに限られない。
【0078】
前記実施形態では、第1の光学素子40は、鏡筒20の周りを囲む環形状を有するが、必ずしも環形状でなくてもよい。例えば、第1の光学素子は、鏡筒20の周りにおいて周方向に間隔をおいて配置された複数の部分を含んでいてもよい。この場合、複数の部分は、鏡筒20の周りに周方向に沿って配列された複数の光源に対応する位置にそれぞれ配置されていることが好ましい。また、例えば、鏡筒20の周りの全周領域のうちの一部の領域に一つの光源のみが配置されている場合には、第1の光学素子40の前記突出部42は、必ずしも、鏡筒20の周りの全周にわたって配置されていなくてもよく、前記一つの光源に対向する位置に配置されているだけでもよい。また、前記実施形態では、第1の光学素子40は、円環形状を有するが、多角形の環形状を有していてもよい。また、前記実施形態では、第1の光学素子40は、鏡筒20の周りを囲むような位置に配置されているが、例えば、鏡筒20に対して第1方向D1にずれた位置に配置されていてもよい。
【0079】
また、第1の光学素子40は、鏡筒20の周りにおいて周方向に沿って配列された複数の突出部を含んでいてもよく、複数の突出部のそれぞれが上記のようなプリズムのような断面形状を有していてもよい。また、第1の光学素子40は、前記鏡筒に支持されるのではなく、当該第1の光学素子40の近くにある別の部材、例えばバックライトに支持されていてもよい。また、第1の光学素子40は、例えばフレネルレンズを用いたものであってもよく、この場合、フレネルレンズの中央部に貫通孔をあけてこの貫通孔に鏡筒20を挿入すればよい。
【0080】
前記実施形態に係る光学ユニット100は、図10図11及び図12に示す第2の光学素子50の何れかを備えるものであるが、図10図11及び図12に示す第2の光学素子50のうちの2つ以上を同時に備えていてもよい。
【0081】
前記実施形態では、第1の光学素子40は、複数の光源30から出射された光が入射され、入射された光を屈折させることによって光の向きを変えるように構成されているが、第1の光学素子は、前記実施形態のような構成に限られない。第1の光学素子は、例えば、1つ又は複数の光源から出射された光が入射され、入射された光を反射することによって入射された光の向きを変え、中心軸延長線A2に近づくような方向に光を出射するように構成されていてもよい。また、第1の光学素子は、光の屈折と光の反射の両方を利用した光学素子であってもよい。
【0082】
前記実施形態では、第1の中間層L1及び第2の中間層L2のそれぞれは、空気層であるが、必ずしも空気層に限られない。第1の中間層L1は、その屈折率が第1の光学素子40の屈折率よりも小さい種々の物質(気体、液体又は固体)から選択されることが可能である。同様に、第2の中間層L2は、その屈折率が第1の光学素子40の屈折率よりも小さい種々の物質(気体、液体又は固体)から選択されることが可能である。
【0083】
以下では、光学ユニット100の性能の評価結果を示す。
【0084】
[評価結果1]
図13は、第1実施形態に係る光学ユニット100を評価するために用いた評価用光源200を示す斜視図である。図14は、図13に示す評価用光源200と当該評価用光源200の上に配置された第1の光学素子40と、その上に配置された第2の光学素子50と、を示す側面図である。
【0085】
図13に示すように、評価用光源200は、ライトテーブル201と、プリズムユニット202と、マスクシート203と、を含む。ライトテーブル201は、面発光することで白色光を出射することができる装置である。プリズムユニット202は、ライトテーブル201の表面に重ねて配置された2枚のプリズムシートを含む。一方のプリズムシートは、ライトテーブル201の表面に平行な一方向に延びる複数列のプリズムを有する。他方のプリズムシートは、前記一方向に直交する方向に延びる複数列のプリズムを有する。ライトテーブル201から出射された光がこれらの2枚のプリズムシートを含むプリズムユニット202を通過することにより、ライトテーブル201の表面に垂直な方向に進む指向性のある光がプリズムユニット202から出射される。マスクシート203は、黒色のシートにより構成され、図4に示す複数の光源30の位置に対応するような複数の部位に複数の孔がそれぞれ形成されている。従って、プリズムユニット202から出射された光は、マスクシート203の複数の孔からライトテーブル201の表面に垂直な方向にそれぞれ進む。このような疑似的な評価用光源200を用いて、次のような評価を行った。
【0086】
図14に示すように、評価用光源200のマスクシート203の上に、次のtypeA,B,Cの何れかのシート部材を配置した。
【0087】
typeA:図6に示す第1の光学素子40
typeB:図5に示す第1の光学素子40
typeC:平滑な透明シート(プリズム形状の部分を有さないシート)
typeAの第1の光学素子40としては、三角形状の突出部の突出高さが100マイクロメートルで、第1の光学素子40の径方向における突出部の寸法(ピッチ)が100マイクロメートルのものを用いた。typeBの第1の光学素子40としては、三角形状の突出部の突出高さが50マイクロメートルで、第1の光学素子40の径方向における突出部の寸法(ピッチ)が100マイクロメートルのものを用いた。また、typeA及びtypeBの第1の光学素子40としては、図7に示す内径が4.4mmで、外径が7.0mmのものを用いた。
【0088】
次に、図14に示すように、前記シート部材に対して上方に間隔(光学距離OD)をあけて第2の光学素子50を配置した。第2の光学素子50としては、上述した図10に示すような第2の光学素子50を用いた。具体的には、評価に用いた第2の光学素子50は、透明の樹脂マトリックスと、樹脂マトリックス中に分散する酸化チタンの微粒子と、を有する透明の拡散シートである。酸化チタンの微粒子としては、粒径が50~200ナノメートルのものを用いた。樹脂マトリックスには、ポリカーボネート(PC)を用いた。第2の光学素子50のヘイズ(Hz)は65%であり、第2の光学素子50の全透過率(Tt)は73%であり、第2の光学素子50の厚みは70マイクロメートルであった。評価は、前記シート部材と第2の光学素子50との光学距離ODを0mmから5mmまでの間で選択された複数の条件で行われた。第2の光学素子50の上に輝度ムラ測定器ACE3(ハイランド社製)を配置して明るさ(2次元輝度分布)を測定した。測定箇所は、マスクシート203の複数の孔に対応する領域1(発光部)と、マスクシート203の複数の孔の内側に対応する領域2(中心部)と、に設定した。
【0089】
図15及び図16は、第1実施形態に係る光学ユニットの評価結果を示すグラフである。図15は、領域2における明るさの測定結果を示し、図16は、領域1における明るさの測定結果を示している。
【0090】
図15及び図16に示すように、前記シート部材として、typeAのシート部材(図6に示す第1の光学素子40)及びtypeBのシート部材(図5に示す第1の光学素子40)を用いた場合には、typeCのシート部材を用いた場合に比べて、中心部の輝度が高いことがわかる。具体的には、例えば光学距離ODが3mmの条件では、typeAのシート部材及びtypeBのシート部材を用いた場合には、typeCのシート部材を用いた場合に比べて、中心部の輝度が2.5倍程度高いことがわかる。また、光学距離ODが3mm以下の条件では、typeAのシート部材及びtypeBのシート部材を用いた場合の輝度は、ほぼ同じであった。また、typeAのシート部材及びtypeBのシート部材を用いた場合には、typeCのシート部材を用いた場合に比べて、発光部の輝度が半分以下に抑えられている。
【0091】
図15及び図16の評価結果によると、第1の光学素子40と第2の光学素子50の第1方向Dにおける距離、すなわち、上記の光学距離ODは、1mm以上であることが好ましく、1.5mm~5mmの範囲にあることがより好ましい。
【0092】
[評価結果2]
次に、第1実施形態と第2実施形態とを比較した評価の結果について説明する。この評価では、図5に示すような構造を備える第1実施形態に係る光学ユニット100(以下、第1試験体という。)の輝度分布特性と、図19に示すような構造を備える第2実施形態に係る光学ユニット100(以下、第2試験体という。)の輝度分布特性と、を比較した。
【0093】
第1試験体及び第2試験体では、第1の光学素子40として同じシートを用い、第2の光学素子50として同じシートを用いた。具体的には、第1の光学素子40として図5に示すtypeBのシートを用い、第2の光学素子50として図10に示すような酸化チタンの微粒子を含むシートを用いた。
【0094】
第2試験体における第3の光学素子として、図19に示す第3の光学素子70を用いた。具体的には、次のような第3の光学素子70が用いられた。
【0095】
第3の光学素子70の厚み:470μm
複数の凹部73のそれぞれの形状:正四角錐形状(ピラミッド形状)
各凹部73の頂角:90°
複数の凹部73のピッチ:100μm
複数の凹部73の配列:正方配列
第3の光学素子70の入射面71:マット面
第3の光学素子70は、複数の凹部73が形成された面(出射面72)が第1の光学素子40に向くような姿勢で配置された。複数の光源30のそれぞれとしてはLEDを用いた。なお、第1試験体は、第3の光学素子70は配置されていないものが用いられた。第1試験体及び第2試験体のそれぞれでは、複数の光源30と第2の光学素子50との距離は2.5mmに設定された。
【0096】
図22は、第1実施形態に係る光学ユニット100と第2実施形態に係る光学ユニット100の性能を評価した方法及び条件を説明するための図である。図22に示すように、第1試験体及び第2試験体のそれぞれについて、複数の光源30から光が出射された状態で、各試験体の輝度分布の画像を取得した。具体的には、図5及び図19に示す光学ユニット100の上方に輝度分布を計測する装置を配置し、各試験体の輝度分布の画像を取得した。図22に示す画像において、鏡筒20の中心の位置は、X軸とY軸との交点(原点)付近である。原点を中心とする半径2.2mmの円よりも内側の領域は、おおよそ、上述した鏡筒対応領域R1に相当する領域であり、原点を中心とする半径2.2mmの円と原点を中心とする半径3.6mmの円との間の領域は、おおよそ、上述した周囲領域R2に相当する領域である。輝度分布を計測する装置としては、トプコンテクノハウス社製の2D分光放射計SR-5000HSを用いた。
【0097】
この評価では、第1試験体及び第2試験体のそれぞれについて、原点を中心とする半径2.2mmの円よりも内側の領域(r<2.2mmの領域)の平均輝度を中心部輝度として取得した。また、第1試験体及び第2試験体のそれぞれについて、原点を中心とする半径2.2mmの円と原点を中心とする半径3.6mmの円との間の領域で、かつ、図22に示す角度θが135°から270°の領域(2.2mm<r<3.6mm、135°<θ<270°)における最大輝度と最小輝度との差である輝度差(最大輝度-最小輝度)を取得した。また、この輝度差と前記中心部輝度(平均輝度)との比を輝度比として取得した。すなわち、輝度比は、式「輝度比=(最大輝度-最小輝度)/中心部輝度(平均輝度)」を用いて演算された。
【0098】
図23は、第2試験体(第2実施形態に係る光学ユニット100)を評価した結果を示す画像であり、図24は、第1試験体(第1実施形態に係る光学ユニット100)を評価した結果を示す画像である。第1試験体の中心部輝度を100.0%としたとき、第2試験体の中心部輝度は105.8%であった。また、第1試験体の輝度比は、263.6%であったのに対し、第2試験体の輝度比は、123.1%であった。
【0099】
第2試験体では、第1試験体に比べて中心部輝度が約6%向上している。また、第2試験体では、第1試験体に比べて輝度比が大幅に低下している(半減以上低下している)。すなわち、第2試験体では、第1試験体に比べて、中心部輝度が向上し、さらに、鏡筒20に対応する領域と、複数の光源30に対応する領域を含む周囲の領域との明暗のムラが低減している。
【符号の説明】
【0100】
20 :カメラの鏡筒
30 :光源
40 :第1の光学素子
41 :ベース部
42 :突出部
50 :第2の光学素子
51 :樹脂マトリックス
52 :微粒子
53 :拡散シート
54 :細孔
55 :透明シート
56 :ドット
100 :光学ユニット
101 :携帯情報端末
104 :携帯情報端末の背面
105 :ディスプレイ表面
A1 :鏡筒の中心軸
A2 :中心軸延長線
D :第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24