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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158934
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
G01N27/409 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017927
(22)【出願日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2021058946
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 悠介
(72)【発明者】
【氏名】新妻 匠太郎
(72)【発明者】
【氏名】青田 隼実
(72)【発明者】
【氏名】平川 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 希来里
【テーマコード(参考)】
2G004
【Fターム(参考)】
2G004BB04
2G004BC02
2G004BF19
2G004BF20
2G004BF27
2G004BJ03
(57)【要約】
【課題】センサ素子のヒータ部分が被水する確率の低減が図れたセンサを提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係るセンサは、ヒータを内蔵し、長手方向に延びるセンサ素子、及び長手方向に沿ってセンサ素子の周りを囲むように構成されるハウジングを備える。センサ素子は、先端部及び後端部を有する。ヒータは、発熱部及びリード部を備える。発熱部は、先端及び後端を有し、センサ素子の先端部側に配置される。ハウジングは、長手方向の軸線に平行な断面において、センサの先端側ほどハウジングの内壁の径が拡がるように構成される拡径部を備える。拡径部は、先端部及び後端部を有する。発熱部の後端は、拡径部の後端部よりもセンサの先端側に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータを内蔵し、長手方向に延びるセンサ素子、及び
前記長手方向に沿って前記センサ素子の周りを囲むように構成されるハウジング、
を備えるセンサであって、
前記センサ素子は、先端部及び後端部を有し、
前記ヒータは、発熱部及びリード部を備え、
前記発熱部は、先端及び後端を有し、前記センサ素子の前記先端部側に配置され、
前記ハウジングは、前記長手方向の軸線に平行な断面において、前記センサの先端側ほど前記ハウジングの内壁の径が拡がるように構成される拡径部を備え、
前記拡径部は、先端部及び後端部を有し、
前記発熱部の後端は、前記拡径部の後端部よりも前記センサの先端側に配置される、
センサ。
【請求項2】
前記拡径部の前記断面での形状は、テーパを有するように構成される、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記テーパの角度は、10度以上90度未満である、
請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記テーパの角度は、20度以上90度未満である、
請求項2に記載のセンサ。
【請求項5】
前記テーパの角度は、30度以上90度未満である、
請求項2に記載のセンサ。
【請求項6】
前記拡径部の前記断面での形状は、R状に構成される、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
前記長手方向に沿って、前記ハウジングの前記拡径部の少なくとも一部の周りを囲み、前記センサ素子の前記先端部を越えて延びるように構成される保護カバーを更に備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記センサ素子は、前記センサ素子の少なくとも一部分を被覆する多孔質保護層を有している、
請求項1から7のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項9】
前記センサ素子は、ガスセンサ素子である、
請求項1から8のいずれか1項に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサに関する。
【背景技術】
【0002】
センサ素子により構成されるセンサ(例えば、特許文献1で開示されるガスセンサ)がある。温度による影響を抑えるため、センサ素子には、ヒータが内蔵される場合がある。例えば、特許文献1で提案される発明では、センサ素子を構成する固体電解質を活性化するためにセンサ素子にヒータが内蔵されている。
【0003】
また、センサは、天候等の環境の影響に晒される場所で利用される場合がある。一例では、ガスセンサは、車両の排ガスを監視するため、車両の排気管内に配置される。このような場合に、例えば、湿気、結露、雨等により、センサ素子(特に、ヒータの部分)が被水して(すなわち、水に濡れて)しまうと、ヒータによる加熱の効率が低下してしまい、例えば、センサ素子にクラックが入る恐れがある等の悪影響をもたらす可能性がある。
【0004】
これに対して、特許文献2及び3では、例えば、保護カバー、ハウジング等のカバー部材でセンサ素子を保護することが提案されている。特許文献2及び3で提案されるカバー部材によれば、センサ素子(特に、ヒータの部分)に被水する確率を低減し、上記のような悪影響が生じる可能性を減らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-180985号公報
【特許文献2】特開2017-223619号公報
【特許文献3】特表2018-536860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件発明者らは、従来のカバー部材には、次のような問題点があることを見出した。すなわち、特許文献3で提案されるハウジングは、先端ほど内壁の径が拡がっており、これにより、先端ほどセンサ素子とハウジングの内壁との距離が大きくなっている。これにより、例えば、結露等によりハウジングの内壁に水が生じた場合でも、センサ素子が被水する確率を低減することができる。しかしながら、このハウジングの形状だけでは、被水対策として不十分な場合がある。一例では、結露等により発生した水が、ハウジングの内壁を径が拡がる部分の後端(径が拡がる始点)まで流れ、この部分からセンサ素子の方に水が垂れ落ちてしまう可能性がある。この垂れ落ちた水がセンサ素子のヒータの発熱部の近傍にかかってしまい、上記のような悪影響が生じる可能性がある。
【0007】
本発明は、一側面では、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、センサ素子のヒータ部分が被水する確率の低減が図られたセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0009】
本発明の一側面に係るセンサは、ヒータを内蔵し、長手方向に延びるセンサ素子、及び前記長手方向に沿って前記センサ素子の周りを囲むように構成されるハウジングを備える。前記センサ素子は、先端部及び後端部を有する。前記ヒータは、発熱部及びリード部を備える。前記発熱部は、先端及び後端を有し、前記センサ素子の前記先端部側に配置される。前記ハウジングは、前記長手方向の軸線に平行な断面において、前記センサの先端側ほど前記ハウジングの内壁の径が拡がるように構成される拡径部を備える。前記拡径部は、先端部及び後端部を有する。前記発熱部の後端は、前記拡径部の後端部よりも前記センサの先端側に配置される。
【0010】
当該構成では、ハウジングが、センサ素子のヒータの発熱部近傍に拡径部が設けられる。この拡径部により、ハウジングの内壁は、センサの先端側ほどセンサ素子との間の距離が拡がるように構成される。加えて、拡径部の後端部が、ヒータの発熱部の後端よりもセンサの後端側に配置される。これにより、ハウジングの内壁に水が流れ、拡径部の後端部から水が垂れ落ちたとしても、ヒータの発熱部がこの後端部よりも先端側に配置されていることで、ハウジングの内壁(拡径部の後端部)から垂れ落ちた水がヒータの発熱部にかかるのを抑制することができる。したがって、当該構成に係るセンサによれば、センサ素子のヒータ部分が被水する確率を低減することができる。
【0011】
上記一側面に係るセンサにおいて、前記拡径部の前記断面での形状は、テーパを有するように構成されてよい。前記テーパの角度は、10度以上90度未満であってよい。前記テーパの角度は、20度以上90度未満であってよい。或いは、前記テーパの角度は、30度以上90度未満であってよい。これらの構成によれば、センサ素子のヒータ部分が被水する確率を良好に低減することができる。
【0012】
上記一側面に係るセンサにおいて、前記拡径部の前記断面での形状は、R状に構成されてよい。当該構成によれば、センサ素子のヒータ部分が被水する確率を良好に低減することができる。
【0013】
上記一側面に係るセンサは、前記長手方向に沿って、前記ハウジングの前記拡径部の少なくとも一部の周りを囲み、前記センサ素子の前記先端部を越えて延びるように構成される保護カバーを更に備えてよい。当該構成によれば、保護カバーにより、ハウジング及びセンサ素子が被水する確率を低減することができる。
【0014】
上記一側面に係るセンサにおいて、前記センサ素子は、前記センサ素子の少なくとも一部分を被覆する多孔質保護層を有していてよい。当該構成によれば、多孔質保護層により、センサ素子に対する被水の影響を低減すると共に、センサ素子の強度の向上を図ることができる。
【0015】
上記一側面に係るセンサにおいて、前記センサ素子は、ガスセンサ素子であってよい。当該構成によれば、ヒータ部分が被水する確率の低減が図られたガスセンサを提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、センサ素子のヒータ部分が被水する確率の低減が図られたセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施の形態に係るセンサの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。
図2図2は、実施の形態に係るセンサ素子の構成の一例を概略的に示す断面模式図である。
図3図3は、変形例に係るセンサの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。
図4図4は、変形例に係るセンサの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。
図5図5は、変形例に係るセンサ素子の構成の一例を概略的に示す断面模式図である。
図6図6は、変形例に係るセンサの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。
図7図7は、変形例に係るセンサの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。
図8図8は、変形例に係るセンサの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0019】
[構成例]
図1は、本実施形態に係るセンサSの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。センサSは、軸を有し、長手方向(軸線方向)に沿って延びるように構成されている。図1は、長手方向の軸線(図の上下方向に沿う線)に平行でかつ軸線に接する断面の構成を模式的に示す。センサSは、長手方向のそれぞれの端として先端及び後端を有している。長手方向の一方の端が先端、他方の端が後端である。図1の例では、センサSは、センサSの先端が下方向を向き、センサSの後端が上方向を向くように配置されている。すなわち、図1の上下方向が、長手方向(軸線方向)に相当する。本実施形態では、センサSは、センサ素子100、ハウジング200、及び保護カバー300を備える。
【0020】
(センサ素子)
センサ素子100は、ヒータ70を内蔵し、長手方向(図1の上下方向)に沿って延びるように構成されている。センサ素子100は、長手方向のそれぞれの端部として先端部110及び後端部120を有している。センサ素子100は、先端部110がセンサSの先端の方を向くように配置されている。ヒータ70は、発熱部72及びリード部73を備えている。発熱部72は、長手方向のそれぞれの端として先端721及び後端722を有している。発熱部72は、発熱部72の先端721がセンサ素子100の先端部110の方を向いた状態でセンサ素子100の先端部110側に配置される。リード部73は、発熱部72の後端722に連結しており、センサ素子100の後端部120側に配置される。
【0021】
図1の例では、センサ素子100は、直方体状に形成されているが、センサ素子100の形状は、このような例に限定されなくてよい。センサ素子100の形状は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。また、センサ素子100の種類は、特に限定されなくてよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。一例では、センサ素子100は、ガスセンサ素子であってよく、これにより、センサSは、任意のガス成分の濃度を測定するように構成されてよい。センサ素子100としてガスセンサ素子を採用する場合のセンサ素子100の構成の一例は後述で詳細に説明する。
【0022】
(ハウジング)
ハウジング200は、長手方向に沿ってセンサ素子100を囲むように構成される。図1の一例では、ハウジング200は、筒状に形成されている。これにより、ハウジング200は、ハウジング200の内部空間にセンサ素子100が収容されることで、センサ素子100の先端部110側の一部を除く範囲を囲うように構成されている。ただし、ハウジング200の形状は、このような例に限定されなくてよい。ハウジング200は、図1に示されるとおり、センサ素子100の一部を囲うように構成されてもよいし、或いは長手方向に沿ってセンサ素子100を完全に囲うように構成されてもよい。センサ素子100の少なくとも一部を囲むように構成されていれば、ハウジング200の形状は、特に限定されなくてよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0023】
ハウジング200は、長手方向のそれぞれの端として先端及び後端を有しており、ハウジング200の先端がセンサSの先端の方を向くように配置されている。ハウジング200は、図1に示される長手方向の軸線に平行な断面において、センサSの先端側ほどハウジング200の内壁215の径が拡がるように構成される拡径部210を備えている。ハウジング200の内壁215は、ハウジング200の内部空間に収容されるセンサ素子100に対向するハウジング200の内側の壁である。
【0024】
拡径部210は、ハウジング200の先端側に配置される。また、拡径部210は、長手方向のそれぞれの端部として先端部211及び後端部212を有しており、拡径部210の先端部211がセンサSの先端の方を向くように配置される。なお、センサSの後端側から先端側にかけて拡径部210を見た場合、拡径部210の後端部212は、内壁215の径が拡がり始める位置となる。そのため、後端部212は、拡径部210の始点と称してもよい。本実施形態では、拡径部210の後端部212は、ヒータ70の発熱部72の後端722よりもセンサSの後端側に配置される。すなわち、ヒータ70の発熱部72の後端722は、拡径部210の後端部212よりもセンサSの先端側に配置される。
【0025】
拡径部210の形状は、センサSの先端側ほど内壁215の径が拡がる、すなわち、後端部212よりも先端部211の方がセンサ素子100及び内壁215の間の軸線に垂直な方向(図1の左右方向)の距離が大きくなるように構成されていれば、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。一例として、図1に示されるとおり、拡径部210の図1の断面での形状は、テーパを有するように構成されてよい。テーパの角度220は、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。一例として、テーパの角度220は、10度以上90度未満であってよい。他の一例では、テーパの角度220は、20度以上90度未満であってよい。更に他の一例では、テーパの角度220は、30度以上90度未満であってよい。テーパの角度220は、図1の断面において、拡径部210の始点(すなわち、後端部212)よりセンサSの後端側の形状がこの始点よりも先端側に直線状に続くと仮想した場合に、この仮想の直線と拡径部210における内壁215との間の角度により規定されてよい。
【0026】
なお、図1の一例では、拡径部210以外の部分における内壁215は、拡径部210の後端部212に連続する一部分が後端部212と同一の径になっており、その部分よりもセンサSの後端側の部分がセンサ素子100の支持部材を受け入れるようにやや広がった形状を有している。ただし、拡径部210以外の部分における内壁215の形状及び径は、このような例に限定されなくてよく、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。
【0027】
ハウジング200の材料には、例えば、ステンレス鋼(例えば、SUS)等の金属材料が用いられてよい。ハウジング200は、金属材料を適宜成形することで、製造されてよい。
【0028】
(保護カバー)
保護カバー300は、長手方向に沿って、ハウジング200の拡径部210の少なくとも一部の周りを囲み、センサ素子100の先端部110を越えて延びるように構成される。図1の一例では、保護カバー300は、概略的に筒状に形成されており、センサ素子100及びハウジング200の先端側の一部を軸線周りに囲うように構成されている。保護カバー300は、長手方向のそれぞれの端として先端及び後端を有しており、保護カバーの先端がセンサ素子100の先端部110よりもセンサSの先端側に配置されている。
【0029】
一例として、保護カバー300の構成には、特開2017-223619号公報で提案される保護カバーの構成が採用されてよい。具体的に、図1の例では、保護カバー300は、内側カバー310及び外側カバー320を備えている。内側カバー310は、第1部材311及び第2部材315を備え、センサ素子100及びハウジング200の先端部の周囲を覆うように構成されている。第1部材311は、ハウジング200の先端部の外壁から長手方向に沿って延び、ハウジング200の先端を越えた辺りで長手方向に垂直な方向に径が小さくなった後に、長手方向に沿って更に延びるように構成されている。第2部材315は、第1部材311の先端側の一部の周囲を覆うように構成されている。外側カバー320は、内側カバー310の周囲を覆うように構成されている。内側カバー310の第1部材311、第2部材315及び外側カバー320には、開口が適宜設けられており、これにより、センサ素子100の先端部110の空間は、保護カバー300の外側の空間と接続している。ただし、保護カバー300の構成及び形状は、このような例に限定されなくてよい。保護カバー300の構成及び形状は、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。
【0030】
保護カバー300の材料には、例えば、ステンレス鋼(例えば、SUS)等の金属材料が用いられてよい。保護カバー300は、金属材料を適宜成形することで、製造されてよい。なお、この保護カバー300は、センサSの構成から省略されてもよい。
【0031】
(寸法の一例)
センサ素子100、ハウジング200及び保護カバー300の寸法は、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。一例として、ハウジング200の拡径部210の後端部212とセンサ素子100との間の第1距離(図1の左右方向の長さ/後端部212の内壁215とセンサ素子100の外壁との間の距離)は、1mm~4mmであってよい。また、ハウジング200の拡径部210の先端部211とセンサ素子100との間の第2距離(図1の左右方向の長さ/先端部211の内壁215とセンサ素子100の外壁との間の距離)は、第1距離より長く、2mm~6mmであってよい。
【0032】
(使用方法の一例)
センサSは、実施の形態に応じて適宜取り付けられてよい。一例として、センサ素子100としてガスセンサ素子を採用する場合、センサSは、車両のエンジンからの排気経路である配管410に取り付けられてよい。図1の例では、センサSは、外周面に雄ネジが設けられた金属製のナット400を更に備えている。ナット400は、ハウジング200の外周面に固定される。ハウジング200は、配管410に溶接され、かつ内周面に雌ネジが設けられた固定用部材412にナット400と共に挿入される。固定用部材412は配管410に固定される。そして、ナット400の雄ネジは固定用部材412の雌ネジに螺合される。これにより、センサSは、ハウジング200及び固定用部材412を介して配管410に固定される。
【0033】
一例では、ガスセンサ素子として構成されるセンサ素子100は、エンジンから排出される排気ガス(被測定ガス)に含まれるNOx、O2等の成分の濃度を測定してよい。図1の例では、センサSは、センサSの軸線が配管410内の排気ガスの流れに垂直な状態で、センサ素子100の先端部110が下方向を向くように配管410に固定されている。なお、配管410に対するセンサSの取付角度は、このような例に限定されなくてよい。センサSは、センサSの軸線が排気ガスの流れに任意の角度だけ傾いた状態で配管410に固定されてよい。センサSの取付角度は、例えば、センサ素子100の先端部110が鉛直下方向に対して0度~80度の角度を向くように構成されてよい。センサ素子100が配管410以外に取り付けられるケース、及びセンサ素子100がガスセンサ素子以外で構成されるケースでも同様の取付角度が採用されてよい。
【0034】
(センサ素子の構成)
図2は、センサ素子100としてガスセンサ素子を採用する場合におけるセンサ素子100の構成の一例を概略的に示す断面模式図である。センサ素子100は、それぞれがジルコニア(ZrO2)等の酸素イオンの伝導性固体電解質層により構成される第1基板層1、第2基板層2、第3基板層3、第1固体電解質層4、スペーサ層5、及び第2固体電解質層6の6つの層が、図2の断面視で下側から順に積層された構造を有している。これら6つの層を形成する固体電解質は、緻密でかつ気密なものであってよい。なお、緻密でかつ気密とは、気孔率が5%以下であることを指す。センサ素子100は、例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに、例えば、所定の加工、配線パターンの印刷等の工程を実行した後にそれらを積層し、更に、焼成して一体化させることで製造される。一例として、センサ素子100は、複数のセラミックス層の積層体である。
【0035】
センサ素子100の一先端部であって、第2固体電解質層6の下面及び第1固体電解質層4の上面の間には、ガス導入口10、第1拡散律速部11、緩衝空間12、第2拡散律速部13、第1内部空所20、第3拡散律速部30、及び第2内部空所40が、この順に連通する態様にて隣接形成されるように構成されている。
【0036】
ガス導入口10、緩衝空間12、第1内部空所20、及び第2内部空所40は、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた上部を第2固体電解質層6の下面で、下部を第1固体電解質層4の上面で、側部をスペーサ層5の側面で区画されるセンサ素子100内部の空間である。
【0037】
第1拡散律速部11は、2本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長辺方向を有する)スリットとして設けられる。また、第2拡散律速部13及び第3拡散律速部30それぞれは、図面に垂直な方向に延びる長さが第1内部空所20及び第2内部空所40それぞれよりも短い孔として設けられる。第2拡散律速部13及び第3拡散律速部30については、後述で詳細に説明する。なお、ガス導入口10から第2内部空所40に至る部位をガス流通部とも称する。
【0038】
ガス流通部よりも先端側から遠い位置には、第3基板層3の上面及びスペーサ層5の下面の間であって、側部を第1固体電解質層4の側面で区画される位置に基準ガス導入空間43が設けられている。基準ガス導入空間43には、例えば、大気等の基準ガスが導入される。ただし、センサ素子100の構成は、このような例に限定されなくてよい。他の一例として、第1固体電解質層4は、センサ素子100の後端まで延びるように構成されてよく、基準ガス導入空間43は省略されてよい。この場合、大気導入層48が、センサ素子100の後端まで延びるように構成されてよい。
【0039】
大気導入層48は、多孔質アルミナから成り、基準ガス導入空間43を介して基準ガスが導入されるように構成されている。加えて、大気導入層48は、基準電極42を被覆するように形成されている。
【0040】
基準電極42は、第3基板層3の上面及び第1固体電解質層4の間に挟まれるように形成され、その周囲には、上記基準ガス導入空間43に接続する大気導入層48が設けられている。基準電極42は、第1内部空所20内及び第2内部空所40内の酸素濃度(酸素分圧)の測定に使用される。詳細は後述する。
【0041】
ガス導入口10は、ガス流通部において、外部空間に対して開口してなる部位である。センサ素子100は、当該ガス導入口10を通じて外部空間からセンサ素子100内に被測定ガスを取り込むように構成されている。
【0042】
第1拡散律速部11は、ガス導入口10から取り込まれた被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。
【0043】
緩衝空間12は、第1拡散律速部11より導入された被測定ガスを第2拡散律速部13へと導くために設けられた空間である。
【0044】
第2拡散律速部13は、緩衝空間12から第1内部空所20に導入される被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。
【0045】
被測定ガスが、センサ素子100外部から第1内部空所20内まで導入されるにあたって、外部空間における被測定ガスの圧力変動(被測定ガスが自動車の排気ガスの場合であれば排気圧の脈動)によってガス導入口10からセンサ素子100内部に急激に取り込まれた被測定ガスは、直接第1内部空所20へ導入されるのではなく、第1拡散律速部11、緩衝空間12、第2拡散律速部13を通じて被測定ガスの濃度変動が打ち消された後、第1内部空所20へ導入されるようになっている。これにより、第1内部空間へ導入される被測定ガスの濃度変動はほとんど無視できる程度のものとなる。
【0046】
第1内部空所20は、第2拡散律速部13を通じて導入された被測定ガス中の酸素分圧を調整するための空間として設けられている。係る酸素分圧は、主ポンプセル21が作動することによって調整される。
【0047】
主ポンプセル21は、第1内部空所20に面する第2固体電解質層6の下面のほぼ全面に設けられた天井電極部22aを有する内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6の上面の天井電極部22aと対応する領域に外部空間に露出する態様にて設けられた外側ポンプ電極23と、これらの電極に挟まれた第2固体電解質層6とによって構成されてなる電気化学的ポンプセルである。
【0048】
内側ポンプ電極22は、第1内部空所20を区画する上下の固体電解質層(第2固体電解質層6及び第1固体電解質層4)、及び側壁を与えるスペーサ層5にまたがって形成されている。具体的には、第1内部空所20の天井面を与える第2固体電解質層6の下面には天井電極部22aが形成され、また、底面を与える第1固体電解質層4の上面には底部電極部22bが形成される。そして、それら天井電極部22a及び底部電極部22bに接続するように、側部電極部(図示省略)が、第1内部空所20の両側壁部を構成するスペーサ層5の側壁面(内面)に形成されている。内側ポンプ電極22は、該側部電極部の配設部位においてトンネル形態の構造で配設されている。
【0049】
内側ポンプ電極22及び外側ポンプ電極23は、多孔質サーメット電極(例えば、Auを1%含むPt及びZrO2により構成されるサーメット電極)として形成される。なお、被測定ガスに接触する内側ポンプ電極22は、被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
【0050】
センサ素子100は、主ポンプセル21において、内側ポンプ電極22及び外側ポンプ電極23の間に所望のポンプ電圧Vp0を印加して、内側ポンプ電極22及び外側ポンプ電極23の間に正方向又は負方向にポンプ電流Ip0を流すことにより、第1内部空所20内の酸素を外部空間に汲み出し、又は外部空間の酸素を第1内部空所20に汲み入れ可能に構成される。
【0051】
また、第1内部空所20における雰囲気中の酸素濃度(酸素分圧)を検出するために、内側ポンプ電極22、第2固体電解質層6、スペーサ層5、第1固体電解質層4、第3基板層3、及び基準電極42により、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80(すなわち、電気化学的なセンサセル)が構成されている。
【0052】
センサ素子100は、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80における起電力V0を測定することで第1内部空所20内の酸素濃度(酸素分圧)を特定可能に構成される。更に、起電力V0が一定となるようにVp0をフィードバック制御することでポンプ電流Ip0が制御されている。これにより、第1内部空所20内の酸素濃度は所定の一定値に保つことができる。
【0053】
第3拡散律速部30は、第1内部空所20で主ポンプセル21の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第2内部空所40に導く部位である。
【0054】
第2内部空所40は、第3拡散律速部30を通じて導入された被測定ガス中の窒素酸化物濃度の測定に係る処理を行うための空間として設けられている。NOx濃度は、主として、補助ポンプセル50により酸素濃度が調整された第2内部空所40において、測定用ポンプセル41の動作により測定される。
【0055】
第2内部空所40では、センサ素子100は、第1内部空所20において酸素濃度(酸素分圧)が予め調整された後、第3拡散律速部を通じて導入された被測定ガスに対して、補助ポンプセル50による酸素分圧の調整を更に行うように構成されている。これにより、第2内部空所40内の酸素濃度を高精度に一定に保つことができるため、係るセンサ素子100において、精度の高いNOx濃度の測定が可能となる。
【0056】
補助ポンプセル50は、補助ポンプ電極51、外側ポンプ電極23(外側ポンプ電極23に限られるものではなく、センサ素子100の外側の適当な電極であれば足りる)、及び第2固体電解質層6により構成される補助的な電気化学的ポンプセルである。補助ポンプ電極51は、第2内部空所40に面する第2固体電解質層6の下面の略全体に設けられた天井電極部51aを有する。
【0057】
係る補助ポンプ電極51は、先の第1内部空所20内に設けられた内側ポンプ電極22と同様なトンネル形態の構造で、第2内部空所40内に配設されている。つまり、第2内部空所40の天井面を与える第2固体電解質層6に対して天井電極部51aが形成され、また、第2内部空所40の底面を与える第1固体電解質層4には、底部電極部51bが形成される。そして、それらの天井電極部51aと底部電極部51bとを連結する側部電極部(図示省略)が、第2内部空所40の側壁を与えるスペーサ層5の両壁面にそれぞれ形成される。これにより、補助ポンプ電極51は、トンネル形態の構造を有している。
【0058】
なお、補助ポンプ電極51も、内側ポンプ電極22と同様に、被測定ガス中の窒素酸化物成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
【0059】
センサ素子100は、補助ポンプセル50において、補助ポンプ電極51及び外側ポンプ電極23の間に所望の電圧Vp1を印加することにより、第2内部空所40内の雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、又は外部空間から第2内部空所40内に汲み入れ可能に構成される。
【0060】
また、第2内部空所40内における雰囲気中の酸素分圧を制御するために、補助ポンプ電極51、基準電極42、第2固体電解質層6、スペーサ層5、第1固体電解質層4、及び第3基板層3により、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81(すなわち、電気化学的なセンサセル)が構成されている。
【0061】
なお、この補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81にて検出される起電力V1に基づいて電圧制御される可変電源52にて、補助ポンプセル50がポンピングを行う。これにより、第2内部空所40内の雰囲気中の酸素分圧は、NOxの測定に実質的に影響がない低い分圧にまで制御されるようになっている。
【0062】
また、これと共に、そのポンプ電流Ip1が、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80の起電力の制御に用いられるようになっている。具体的には、ポンプ電流Ip1は、制御信号として主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80に入力され、その起電力V0が制御されることにより、第3拡散律速部30から第2内部空所40内に導入される被測定ガス中の酸素分圧の勾配が常に一定となるように制御されている。NOxセンサとして使用する際は、主ポンプセル21と補助ポンプセル50との働きによって、第2内部空所40内での酸素濃度は約0.001ppm程度の一定の値に保たれる。
【0063】
測定用ポンプセル41は、第2内部空所40内において、被測定ガス中の窒素酸化物濃度の測定を行う。測定用ポンプセル41は、測定電極44、外側ポンプ電極23、第2固体電解質層6、スペーサ層5、及び第1固体電解質層4により構成される電気化学的ポンプセルである。測定電極44は、第2内部空所40に面する第1固体電解質層4の上面であって第3拡散律速部30から離間した位置に設けられる。
【0064】
測定電極44は、多孔質サーメット電極である。測定電極44は、第2内部空所40内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する。更に、測定電極44は、第4拡散律速部45によって被覆されている。
【0065】
第4拡散律速部45は、アルミナ(Al23)を主成分とする多孔体にて構成される膜である。第4拡散律速部45は、測定電極44に流入するNOxの量を制限する役割を担うと共に、測定電極44の保護膜としても作用する。
【0066】
センサ素子100は、測定用ポンプセル41において、測定電極44の周囲の雰囲気中における窒素酸化物の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量をポンプ電流Ip2として検出可能に構成される。
【0067】
また、測定電極44の周囲の酸素分圧を検出するために、第2固体電解質層6、スペーサ層5、第1固体電解質層4、第3基板層3、測定電極44、及び基準電極42により、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82(すなわち、電気化学的なセンサセル)が構成されている。測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出される電圧(起電力)V2に基づいて可変電源46が制御される。
【0068】
第2内部空所40内に導かれた被測定ガスは、酸素分圧が制御された状況下で第4拡散律速部45を通じて測定電極44に到達することとなる。測定電極44の周囲の被測定ガス中の窒素酸化物は還元されて(2NO→N2+O2)酸素を発生する。そして、この発生した酸素は測定用ポンプセル41によってポンピングされることとなるが、その際、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出される制御電圧V2が一定となるように可変電源の電圧Vp2が制御される。測定電極44の周囲において発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例するものであるから、測定用ポンプセル41におけるポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されることとなる。
【0069】
また、測定電極44、第1固体電解質層4、第3基板層3、及び基準電極42を組み合わせて、電気化学的センサセルとして酸素分圧検出手段を構成するようにすることで、測定電極44の周りの雰囲気中のNOx成分の還元によって発生した酸素の量と基準大気に含まれる酸素の量との差に応じた起電力を検出することができる。これにより、被測定ガス中の窒素酸化物成分の濃度を求めることも可能である。
【0070】
また、第2固体電解質層6、スペーサ層5、第1固体電解質層4、第3基板層3、外側ポンプ電極23、及び基準電極42から電気化学的なセンサセル83が構成されている。センサ素子100は、このセンサセル83によって得られる起電力Vrefによりセンサ外部の被測定ガス中の酸素分圧を検出可能に構成されている。
【0071】
以上の構成を有するセンサ素子100において、主ポンプセル21及び補助ポンプセル50を作動させることにより、酸素分圧が常に一定の低い値(NOxの測定に実質的に影響がない値)に保たれた被測定ガスを測定用ポンプセル41に与えることができる。したがって、センサ素子100は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に略比例して、NOxの還元によって発生する酸素が測定用ポンプセル41より汲み出されることで流れるポンプ電流Ip2に基づいて、被測定ガス中の窒素酸化物濃度を特定可能に構成されている。
【0072】
更に、センサ素子100は、固体電解質の酸素イオン伝導性を高めるために、センサ素子100を加熱して保温する温度調整の役割を担うヒータ70を備えている。図2の例では、ヒータ70は、上記発熱部72及びリード部73に加えて、ヒータ電極71、ヒータ絶縁層74、及び圧力放散孔75を更に備えている。リード部73は、スルーホールにより構成されてよい。ヒータ70は、センサ素子100の厚み方向において、センサ素子100の上面よりもセンサ素子100の下面に近い位置に配置されている。なお、センサ素子100の上面は第2固体電解質層6の上面であり、センサ素子100の下面は第1基板層1の下面である。
【0073】
ヒータ電極71は、第1基板層1の下面に接する態様にて形成されてなる電極である。ヒータ電極71を外部電源と接続することにより、外部からヒータ70へ給電することができるようになっている。
【0074】
発熱部72は、第2基板層2及び第3基板層3に上下から挟まれた態様にて形成される電気抵抗体である。発熱部72は、リード部73を介してヒータ電極71と接続されており、該ヒータ電極71を通して外部より給電されることにより発熱し、センサ素子100を形成する固体電解質の加熱と保温を行う。
【0075】
また、発熱部72は、第1内部空所20から第2内部空所40の全域に渡って埋設されており、センサ素子100全体を上記固体電解質が活性化する温度に調整することが可能となっている。
【0076】
ヒータ絶縁層74は、発熱部72の上下面に、アルミナ等の絶縁体によって形成されてなる絶縁層である。ヒータ絶縁層74は、第2基板層2及び発熱部72の間の電気的絶縁性、並びに第3基板層3及び発熱部72の間の電気的絶縁性を得る目的で形成されている。
【0077】
圧力放散孔75は、第3基板層3を貫通し、基準ガス導入空間43に連通するように設けられてなる部位であり、ヒータ絶縁層74内の温度上昇に伴う内圧上昇を緩和する目的で形成されてなる。
【0078】
(特徴)
以上のとおり、本実施形態に係るセンサSによれば、ハウジング200が、センサ素子100のヒータ70の発熱部72近傍に拡径部210が設けられる。この拡径部210により、ハウジング200の内壁215は、センサSの先端側ほどセンサ素子100との間の距離が拡がっている(すなわち、センサ素子100から離れている)。加えて、拡径部210の後端部212が、ヒータ70の発熱部72の後端722よりもセンサSの後端側に配置される。これにより、ハウジング200の内壁215に水が流れ、拡径部210の後端部212から水が垂れ落ちたとしても、ヒータ70の発熱部72がこの後端部212よりもセンサSの先端側に配置されていることで、ハウジング200の内壁215(拡径部210の後端部212)から垂れ落ちた水がヒータ70の発熱部72にかかるのを抑制することができる。したがって、本実施形態に係るセンサSによれば、センサ素子100のヒータ70の発熱部72が被水する確率を低減することができる。
【0079】
また、図1に示されるとおり、拡径部210の断面での形状は、テーパを有するように構成されてよい。テーパの角度220は、10度以上90度未満、20度以上90度未満、又は30度以上90度未満であってよい。これにより、後述する実施例に示されるとおり、センサ素子100の発熱部72が被水する確率を良好に低減することができる。本実施形態に係るセンサSによれば、保護カバー300により、ハウジング200及びセンサ素子100が被水する確率を低減することができる。更に、図2で例示されるガスセンサ素子をセンサ素子100として採用することで、ヒータ70の発熱部72が被水する確率の低減が図られたガスセンサを提供することができる。
【0080】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、前述までの実施形態の説明は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。上記実施形態には、種々の改良及び変形が行われてよい。上記実施形態の各構成要素に関して、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が行われてもよい。また、上記実施形態の各構成要素の形状及び寸法は、実施の形態に応じて適宜変更されてよい。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0081】
(I)拡径部の形状
上記図1の例では、ハウジング200の拡径部210は、テーパを有するように構成されている。しかしながら、センサSの先端側ほど内壁215の径が拡がる形状は、このような例に限定されなくてよい。他の一例では、拡径部の断面での形状は、R状に構成されてよい。
【0082】
図3及び図4は、拡径部をR状に形成する本変形例に係るセンサ(SA、SB)の構成の一例を概略的に示す断面模式図である。また、図6図8は、拡径部において内壁が複数の直線部分、直線部分および傾斜部分、または、複数の傾斜部分を備える本変形例に係るセンサ(SP、SQ、および、SR)の構成の一例を概略的に示す断面模式図である。図3図4図6図8は、図1と同様に、長手方向の軸線に平行でかつ軸線に接する断面の構成を模式的に示す。図3に示されるセンサSAでは、ハウジング200Aの拡径部210Aは、Rの凸が内側を向くように形成されている。すなわち、軸線方向に沿って内壁215Aの径の拡がる量を比較した場合に、拡径部210Aの後端部212A側より先端部211A側の方が、内壁215Aの径の拡がる量が大きくなっている。R状の寸法は、任意に決定されてよい。一例として、この内壁215Aを円弧として捉えた場合に、図3の断面において、拡径部210Aにおける内壁215Aの曲率半径は1mm~4mmであってよい。一方、図4に示されるセンサSBでは、ハウジング200Bの拡径部210Bは、Rの凸が外側を向くように形成されている。すなわち、軸線方向に沿って内壁215Bの径の拡がる量を比較した場合に、拡径部210Bの先端部211B側より後端部212B側の方が、内壁215Bの径の拡がる量が大きくなっている。更に換言すると、図4の断面において、拡径部210Bは、円弧を切り取った形状を有している。この切り取る円弧の寸法は、任意に決定されてよい。一例として、図4の断面において、切り取る円弧の曲率半径は1mm~4mmであってよい。これらの点を除き、各センサ(SA、SB)の構成は、上記センサSと同様であってよい。本変形例に係るセンサ(SA、SB)によれば、拡径部(210A、210B)をR状に形成することで、センサ素子100の発熱部72が被水する確率を良好に低減することができる。
【0083】
先端側ほど内壁の径が拡がる形状は、後端側から先端側にかけて、内壁の径が、段階状に、つまり、段階的に、拡がる形状であってもよい。例えば、内壁の径が一定である直線部分が、複数、内壁に形成されていてもよく、先端側の直線部分における内壁の径の方が、後端側の直線部分における内壁の径よりも広ければ(大きければ)よい。
【0084】
図6に例示するセンサSPでは、ハウジング200Pの拡径部210Pは、内壁215Pの径が、後端部212P側から先端部211P側へと、段階状(つまり、段階的)に、拡がるように形成されている。具体的には、拡径部210Pにおいて内壁215Pは、各々において内壁215Pの径が一定である、直線部分2011と直線部分2013とを含む。すなわち、直線部分2011において内壁215Pの径は一定であり、また、直線部分2013において内壁215Pの径は一定である。直線部分2013は、直線部分2011よりも、拡径部210Pの後端部212P側に配置され、言い換えれば、直線部分2011は、直線部分2013よりも、拡径部210Pの先端部211P側に配置される。そして、後端部212P側に配置される直線部分2013における内壁215Pの径よりも、先端部211P側に配置される直線部分2011における内壁215Pの径の方が、広い(大きい)。つまり、軸線方向に沿って内壁215Pの径を比較した場合、直線部分2013より、直線部分2011の方が、内壁215Pの径が大きくなっている。したがって、軸線方向に沿って内壁215Pの径の拡がる量を比較した場合に、拡径部210Pの後端部212P側より先端部211P側の方が、内壁215Pの径の拡がる量が大きくなっている。
【0085】
なお、図6に示す例では、直線部分2011と直線部分2013とをつなぐ中間部分2012は、直線部分2011および直線部分2013の各々に直交している。より正確には、中間部分2012における内壁215Pは、直線部分2011における内壁215P、および、直線部分2013における内壁215Pの各々に、直交している。しかしながら、中間部分2012が、直線部分2011および直線部分2013の各々に直交することは必須ではない。例えば、中間部分2012は、先端部211P側ほど内壁215Pの径が拡がるように、直線部分2011および直線部分2013の各々に対して傾いていてもよい。具体的には、軸線に平行でかつ軸線に接する断面において、「先端部211P側ほど内壁215Pの径が拡がるように軸線方向に対して傾いた、直線または曲線」として示されるように、中間部分2012(中間部分2012における内壁215P)を構成してもよい。
【0086】
図6においては、内壁の径が一定である直線部分が、複数、内壁に形成され、先端側の直線部分における内壁の径の方が、後端側の直線部分における内壁の径よりも広い(大きい)拡径部の例を示した。ただし、先端側ほど内壁の径が拡がる拡径部の形状として、「拡径部において内壁が、複数の直線部分を含む」例は一例であり、拡径部において内壁は、傾斜部分を含んでいてもよい。すなわち、拡径部において内壁は、先端側ほど内壁の径が拡がる傾斜部分を、言い換えれば、軸線に平行でかつ軸線に接する断面において、「先端側ほど内壁の径が拡がるように軸線方向に対して傾いた、直線または曲線」として示される傾斜部分を、含んでもよい。拡径部において内壁は、傾斜部分に加えてさらに、図6に例示したような直線部分を、すなわち、内壁の径が一定である直線部分を、含んでいてもよい。内壁は、1つ以上の直線部分と、1つ以上の傾斜部分とを含んでいてもよい。内壁は、直線部分および傾斜部分の少なくとも一方を、複数含んでいてもよい。内壁が直線部分と傾斜部分とを含む場合、直線部分を傾斜部分よりも後端側に配置してもよいし、直線部分を傾斜部分よりも先端側に配置してもよい。内壁が複数の傾斜部分を含む場合、複数の傾斜部分の各々の、軸線方向に対する傾きは、同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0087】
図7に示されるセンサSQでは、ハウジング200Qの拡径部210Qにおいて内壁215Qは、先端部211Q側ほど内壁215Qの径が拡がる傾斜部分2022と、内壁215Qの径が一定である直線部分2021とを含む。傾斜部分2022は、直線部分2021よりも、拡径部210Qの後端部212Q側に配置され、言い換えれば、直線部分2021は、傾斜部分2022よりも、拡径部210Qの先端部211Q側に配置される。図7に示す例では、傾斜部分2022は、拡径部210Qの後端部212Qに接し、また、直線部分2021は、拡径部210Qの先端部211Qに接している。そして、傾斜部分2022において、内壁215Qの径は、先端部211Q側ほど拡がっている。したがって、軸線方向に沿って内壁215Qの径の拡がる量を比較した場合に、拡径部210Qの後端部212Q側より先端部211Q側の方が、内壁215Qの径の拡がる量が大きくなっている。
【0088】
なお、図7に示す例では、傾斜部分2022は、軸線に平行でかつ軸線に接する断面において、「先端部211Q側ほど内壁215Qの径が拡がるように軸線方向に対して傾いた直線」によって、示されている。しかしながら、傾斜部分2022は、軸線に平行でかつ軸線に接する断面において、「先端部211Q側ほど内壁215Qの径が拡がるように軸線方向に対して傾いた曲線」によって示されるような形状であってもよい。図7および図8における「傾斜部分」は、軸線に平行でかつ軸線に接する断面において、「先端側ほど内壁の径が拡がるように軸線方向に対して傾いた、直線または曲線」によって示されるものであればよい。
【0089】
また、図7に示す例では、傾斜部分2022は後端部212Q側に、直線部分2021は先端部211Q側に配置されているが、傾斜部分2022を先端部211Q側に、直線部分2021を後端部212Q側に配置してもよい。
【0090】
さらに、傾斜部分2022が拡径部210Qの後端部212Qに接することは必須ではく、傾斜部分2022は拡径部210Qの後端部212Qに接していなくてもよいし、また、傾斜部分2022は拡径部210Qの先端部211Qに接していてもよい。同様に、直線部分2021が拡径部210Qの先端部211Qに接していることは必須ではなく、直線部分2021は拡径部210Qの先端部211Qに接していなくてもよいし、直線部分2021は拡径部210Qの後端部212Qに接していてもよい。
【0091】
図7に例示するように、拡径部において内壁は、傾斜部分に加えて、直線部分(内壁の径が一定である)を1つ以上含んでいてもよい。内壁において、傾斜部分の先端側および後端側の少なくとも一方に、直線部分を配置してもよい。
【0092】
図8に示されるセンサSRでは、ハウジング200Rの拡径部210Rにおいて内壁215Rは、先端部211R側ほど内壁215Rの径が拡がる傾斜部分を複数含み、具体的には、傾斜部分2031と傾斜部分2033とを含む。傾斜部分2031は、傾斜部分2033よりも、拡径部210Rの先端部211R側に配置され、言い換えれば、傾斜部分2033は、傾斜部分2031よりも、拡径部210Rの後端部212R側に配置される。図8に示す例では、傾斜部分2031は、拡径部210Rの先端部211Rに接し、また、傾斜部分2033は、拡径部210Rの後端部212Rに接している。そして、傾斜部分2031において、内壁215Rの径は、先端部211R側ほど拡がっている。また、傾斜部分2033において、内壁215Rの径は、先端部211R側ほど拡がっている。したがって、軸線方向に沿って内壁215Rの径の拡がる量を比較した場合に、拡径部210Rの後端部212R側より先端部211R側の方が、内壁215Rの径の拡がる量が大きくなっている。
【0093】
なお、図8に示す例では、傾斜部分2031と傾斜部分2033とをつなぐ中間部分2032において、内壁215Rの径は一定である。すなわち、傾斜部分2031と傾斜部分2033との間には、「内壁の径が一定である直線部分」として構成された中間部分2032が配置されている。しかしながら、中間部分2032を直線部分として構成することは必須ではなく、中間部分2032は、「先端側ほど内壁の径が拡がる傾斜部分」として構成されてもよい。すなわち、中間部分2032において内壁215Rは、先端部211R側ほど内壁215Rの径が拡がっていてもよい。
【0094】
また、図8に示す例では、傾斜部分2031の軸線方向に対する傾きと傾斜部分2033の軸線方向に対する傾きとは異なっている。ただし、傾斜部分2031の軸線方向に対する傾きと傾斜部分2033の軸線方向に対する傾きとは同じであってもよい。また、傾きが両者で異なる場合、どちらの傾きをより大きくするかは任意である。
【0095】
さらに、傾斜部分2031の軸線方向に対する傾きと傾斜部分2033の軸線方向に対する傾きとが異なる場合、中間部分2032を配置せずに、傾斜部分2031と傾斜部分2033とを直接つないでもよい。
【0096】
これまでに説明してきたように、先端側ほど内壁の径が拡がる拡径部の形状は、軸線に平行でかつ軸線に接する断面において、「先端側ほど内壁の径が拡がるように軸線方向に対して傾いた、1つの直線または1つの曲線」によって、示されるものでなくてもよい。拡径部において内壁は、複数の直線部分を含んでいてもよく、先端側に配置される直線部分における内壁の径の方が、後端側に配置される直線部分における内壁の径よりも広ければ(大きければ)よい(図6)。また、拡径部において内壁は、軸線に平行でかつ軸線に接する断面において、「先端側ほど内壁の径が拡がるように軸線方向に対して傾いた、直線または曲線」によって示される傾斜部分を1つ以上含んでいてもよい。拡径部において内壁が含む傾斜部分が1つである場合、傾斜部分の先端側および後端側の少なくとも一方に直線部分を配置してもよい(図7)。拡径部において内壁が傾斜部分を複数含む場合、複数の傾斜部分の間に直線部分を配置してもよいし(図8)、直線部分を配置せずに傾斜部分同士を直接接続してもよい。拡径部において内壁が傾斜部分を複数含む場合、複数の傾斜部分の各々の、軸線方向に対する傾き(角度)は異なっていてもよいし、同じであってもよい。ただし、直線部分を配置せずに2つの傾斜部分を直接接続する場合、それら2つの傾斜部分の、各々の軸線方向に対する傾き(角度)は、互いに異なっているものとする。
【0097】
(II)センサ素子の構成
上記実施形態において、センサ素子100の各構成要素に関して、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が行われてよい。他の一例として、センサ素子は、センサ素子の少なくとも一部分を被覆する多孔質保護層を有するように構成されてよい。
【0098】
図5は、本変形例に係るセンサ素子100Cの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。センサ素子100Cは、多孔質保護層91を更に有している点を除き、上記センサ素子100と同様に構成されている。図5の例では、多孔質保護層91は、センサ素子100Cの上面(第2固体電解質層6の上面)の先端側の一部、先端面(図5の左側の面)、及び下面(第1基板層1の下面)の先端側の一部を被覆している。なお、センサ素子100Cの少なくとも一部分が多孔質保護層91により被覆されていれば、多孔質保護層91により被覆する範囲は、このような例に限定されなくてよく、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。多孔質保護層91は、例えば、アルミナ多孔質体、ジルコニア多孔質体、スピネル多孔質体、コージェライト多孔質体、チタニア多孔質体、マグネシア多孔質体等の多孔質体により構成されてよい。本変形例によれば、多孔質保護層91により、センサ素子100Cに対する被水の影響を低減すると共に、センサ素子100Cの強度の向上を図ることができる。
【0099】
[実施例]
本発明の効果を検証するため、以下の実施例及び比較例に係るセンサを作製した。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0100】
センサの構成に上記図1に示される構成を採用し、センサ素子の構成に上記図2に示される構成を採用することで、第1実施例に係るセンサを作製した。第1実施例に係るセンサでは、上記実施形態のとおり、ヒータの発熱部の後端(最後端)が、拡径部の後端部(始点)よりもセンサの先端側に位置するようにハウジング内にセンサ素子を配置した。ハウジングにおける拡径部は、20度のテーパを有するように構成した。ハウジングの拡径部の後端部とセンサ素子との間の距離は2mmであった。ハウジングの拡径部の先端部とセンサ素子との間の距離は3mmであった。
【0101】
第1実施例の拡径部のテーパの角度を30度に変更することで、第2実施例に係るセンサを作製した。第1実施例の拡径部のテーパの角度を40度に変更することで、第3実施例に係るセンサを作製した。第1実施例の拡径部のテーパの角度を60度に変更することで、第4実施例に係るセンサを作製した。第1実施例の拡径部のテーパの角度を10度に変更することで、第5実施例に係るセンサを作製した。第1実施例の拡径部の形状を図3に示されるR状に変更することで、第6実施例に係るセンサを作製した。第6実施例における拡径部の内壁の曲率半径は2mmであった。第1実施例の拡径部を省略し、内壁の径が一定の直線状の形状を有する部分に拡径部を置き換えることで、第1比較例に係るセンサを作製した。ヒータの発熱部の後端が拡径部の後端部(始点)よりもセンサの後端側に位置するように第1実施例におけるセンサ素子の配置を変更することで、第2比較例に係るセンサを作製した。第2実施例~第6実施例及び第1比較例~第2比較例それぞれのその他の条件は、第1実施例と同様である。
【0102】
第1実施例~第6実施例及び第1比較例~第2比較例に係るセンサの被水量の評価には、特開2019-185615号公報に記載された被水試験装置を使用した。この被水試験装置は、内部にガスの流路を有し、水平かつ直線状に配置された配管と、配管の上流に設けられた送風機(ブロアー)と、配管の下流側に設けられた圧力変動発生器と、送風機及び圧力変動発生器の間の配管の一部であり、各実施例及び比較例のセンサが取り付けられるチャンバと、を備えている。チャンバには、チャンバに振動を加える加振機が接続されている。この被水試験装置では、エンジンからの排気ガスを模したガスにより水分をセンサに向けて飛散させることができる。
【0103】
被水試験では、まず、被水試験装置のチャンバ内に、センサの中心軸が配管の軸に垂直かつ水平方向に対して10度傾いた状態でセンサを配置した。次に、送風機とチャンバとの間の配管内に所定量の水分を供給した。続いて、送風機を用いて配管内にガス(大気)を供給し、圧力変動発生器を用いてガスの圧力を変動させると共に、加振機によりチャンバに振動を加えた。これにより、配管内に供給した水分を、圧力変動するガスによって、チャンバ内に配置されたセンサに向けて飛散させた。この状態で、センサ素子に内蔵されたヒータを駆動して、センサ素子の温度がセ氏100度~200度の間の所定の目標値になるようにヒータのパワーを制御した。このときのヒータのパワーの制御値を、事前に導出したヒータのパワーと被水量との関係に当てはめて、各実施例及び比較例におけるセンサ素子の被水量を算出した。そして、被水量が10μL(マイクロリットル)以下を「A(優)」、10μL超過20μL以下を「B(良)」、20μL超過30μL以下を「C(可)」、30μL超過を「F(不可)」と設定して、各実施例及び比較例の被水量を評価した。以下の表1は、各実施例及び比較例の評価結果を示す。
【0104】
【表1】
【0105】
表1に示されるとおり、第1比較例及び第2比較例では、センサ素子の被水量が30μLを超過したのに対して、全ての実施例では、センサ素子の被水量を30μL以下に抑えることができた。この結果から、本発明によれば、センサ素子、特に、発熱部の被水量を低減できることが分かった。また、第1実施例~第5実施例の評価結果から、拡径部の形状をテーパ状に形成した場合、テーパの角度を大きくすることで、センサ素子の被水量を有効的に低減できることが分かった。特に、テーパの角度を20度以上、30度以上、又は40度以上に設定することで、センサ素子の被水量を有効的に低減できることが分かった。更に、第6実施例の評価結果から、拡径部の形状をR状に形成することで、センサ素子の被水量を有効的に低減できることが分かった。
【符号の説明】
【0106】
S…センサ、
100…センサ素子、110…先端部、120…後端部
70…ヒータ、72…発熱部、721…先端、722…後端、
73…リード部、
200…ハウジング、
210…拡径部、211…先端部、212…後端部、
215…内壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8