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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158948
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】成膜装置及び成膜方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 24/02 20060101AFI20221006BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20221006BHJP
   B05D 1/12 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C23C24/02
B05D7/24 301A
B05D7/24 302A
B05D1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025904
(22)【出願日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2021059955
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 享平
(72)【発明者】
【氏名】岩田 伸
(72)【発明者】
【氏名】曽木 忠幸
【テーマコード(参考)】
4D075
4K044
【Fターム(参考)】
4D075AA01
4D075AA62
4D075AA65
4D075AA76
4D075AA81
4D075AA84
4D075BB57Y
4D075CA47
4D075DA06
4D075DB01
4D075EA02
4D075EB05
4K044BA12
4K044CA23
4K044CA27
4K044CA71
(57)【要約】
【課題】処理室外への原料粉の飛散を抑制できる成膜装置を提供する。
【解決手段】セラミックス原料粉を搬送ガス中に分散させたエアロゾルを基材Kの処理対象面Kaに向けて噴出して、処理対象面Ka上に膜を形成する成膜装置1であって、内部に基材Kが配設される処理室2と、処理室2内に配設され、基材Kを保持する保持部4と、処理室2に連通し、処理室2との間で基材Kが出入りする副室6と、基材Kの処理対象面Kaと同一の平面内に処理室2と副室6との連通部7が位置しない退避位置に、保持部4を移動可能な移動機構3と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス原料粉を搬送ガス中に分散させたエアロゾルを基材の処理対象面に向けて噴出して、前記処理対象面上に膜を形成する成膜装置であって、
内部に前記基材が配設される処理室と、
前記処理室内に配設され、前記基材を保持する保持部と、
前記処理室に連通し、前記処理室との間で前記基材が出入りする副室と、
前記基材の処理対象面と同一の平面内に前記処理室と前記副室との連通部が位置しない退避位置に、前記保持部を移動可能な移動機構と、を備える成膜装置。
【請求項2】
前記副室への前記連通部を介した前記セラミックス原料粉の侵入を妨げる遮蔽ガスを噴射するガス噴射機構を備える請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記ガス噴射機構は、前記基材の出入り方向と交差する方向に前記遮蔽ガスを噴射する請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記連通部において、前記処理室と前記副室とを気密状に遮断する遮断機構を備える請求項1~3のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記退避位置において、前記保持部に保持された状態の前記基材の処理対象面と反対側の面が、前記処理室における前記連通部が存在する側に向いている請求項1~4のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記処理室と前記副室との間で、磁気吸着手段を利用して前記基材を搬送する搬送機構を備える請求項1~5のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記搬送機構は、
前記磁気吸着手段を有し、前記処理室と前記副室とにそれぞれ配設されたアームと、
前記磁気吸着手段によって前記アームに着脱自在であり、前記基材を保持する基材ホルダと、
前記アームに対する前記基材ホルダの位置ずれを防止する位置ずれ防止機構と、を備える請求項6に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記連通部において、前記基材の搬送方向と直交する面内を移動し、前記副室の内壁に当接して前記処理室と前記副室とを気密状に遮断するスライド扉を備える請求項1~7のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項9】
前記スライド扉に対して、当該スライド扉を前記副室の内壁に押し付ける力を作用させる押付機構を備える請求項8に記載の成膜装置。
【請求項10】
前記処理室内及び前記副室内の圧力を個別に調整可能な圧力調整機構を備え、
前記圧力調整機構は、前記副室内の圧力が前記処理室内の圧力よりも高くなるように調整可能である請求項8又は9に記載の成膜装置。
【請求項11】
前記副室として、前記処理室に搬入される前記基材が収容される基材導入室と、前記処理室から搬出される前記基材が収容される基材取出室と、を備える請求項1~10のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項12】
セラミックス原料粉を搬送ガス中に分散させたエアロゾルを基材の処理対象面に向けて噴出して、前記処理対象面上に膜を形成する成膜方法であって、
処理室内に配設された保持部を、前記保持部に保持された前記基材の処理対象面と同一の平面内に、前記処理室と当該処理室との間で前記基材が出入りする副室との連通部が位置しない退避位置に移動させた状態で、前記処理対象面に向けて前記エアロゾルを噴射する成膜方法。
【請求項13】
前記副室内への前記連通部を介した前記セラミックス原料粉の侵入を妨げる遮蔽ガスを噴射しながら、前記処理対象面に向けて前記エアロゾルを噴射する請求項12に記載の成膜方法。
【請求項14】
前記基材の出入り方向と交差する方向に前記遮蔽ガスを噴射しながら、前記処理対象面に向けて前記エアロゾルを噴射する請求項13に記載の成膜方法。
【請求項15】
前記連通部において前記処理室と前記副室とを気密状に遮断した状態で、前記処理対象面に向けて前記エアロゾルを噴射する請求項12~14のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項16】
前記退避位置において、前記保持部に保持された状態の前記基材の処理対象面と反対側の面が、前記処理室における前記連通部が存在する側に向いている請求項12~15のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項17】
磁気吸着を利用して、前記基材を前記処理室と前記副室との間で搬送する請求項12~16のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項18】
前記処理室と前記副室とにそれぞれ配設されたアーム間で、前記基材を保持した基材ホルダを、前記アームと前記基材ホルダとの位置ずれを防止しながら前記磁気吸着を利用して受け渡し、前記処理室と前記副室との間で前記基材を搬送する請求項17に記載の成膜方法。
【請求項19】
前記連通部において、スライド扉を前記基材の搬送方向と直交する面内で移動させ、前記副室の内壁に当接させて、前記処理室と前記副室とを気密状に遮断した状態で、前記処理対象面に向けて前記エアロゾルを噴射する請求項12~18のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項20】
前記スライド扉に対して、当該スライド扉を前記副室の内壁に押し付ける力を作用させた状態で、前記処理対象面に向けて前記エアロゾルを噴射する請求項19に記載の成膜方法。
【請求項21】
前記副室内の圧力を前記処理室内の圧力よりも高くする請求項19又は20に記載の成膜方法。
【請求項22】
前記副室としての基材導入室から前記処理室に前記基材を搬入し、前記処理室から前記副室としての基材取出室に前記基材を搬出する請求項12~21のいずれか一項に記載の成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上に膜を形成する成膜装置及び成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
焼結のような高温での熱処理を経ることなく、金属酸化物材料からなる膜を基材上に形成する方法として、エアロゾルデポジション法(AD法)と呼ばれる手法がある。このAD法は、金属酸化物などの微粒子からなる原料粉を、ノズルから音速程度でセラミックスやプラスチックなどの基材に向けて噴射し、原料粉が基材に衝突する際のエネルギーによって微粒子を破砕・変形させることで、基材上に緻密な膜を形成する手法である。
【0003】
AD法を用いる成膜装置としては、所謂バッチ式を採用したものが数多く提案されている。バッチ式の成膜装置では、成膜処理を行う度に基材を取り換える必要があり、その際に処理室を復圧する処理が必要になる。そのため、一つの基材に所定の膜を形成するための実質的な工程作業時間が長くなり易く、量産化が現実的でないという問題があった。
【0004】
バッチ式の成膜装置によって、実質的な工程作業時間を短くするためには、処理室とは別に、成膜装置への基材の搬出入を行うための作業室が必要である。このような作業室を備えた成膜装置としては、例えば、特許文献1に記載された膜形成装置が提案されている。
【0005】
特許文献1記載の膜形成装置は、成膜を行うための成膜室や、成膜室に連通され、基板の搬出入口が設けられた測定室、成膜室と測定室との間に設けられた中間室、中間室に配設され、成膜室と測定室との間で基板を搬送するコンベア、成膜室と測定室とを遮断する遮断部などを備えている。
【0006】
この膜形成装置によれば、測定室の搬出入口を開放して基板の搬出入を行う際に、遮断部によって成膜室と測定室とが遮断される。これにより、搬出入口の開放によって測定室が常圧となった場合でも、成膜室の内部を減圧状態に保つことができる。また、遮断部によって成膜室と測定室とを遮断することができるため、成膜処理中に成膜室内に飛散した原料粉の測定室内への侵入を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-84926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、AD法においては、基材に向けて噴射された原料粉のうち、数%が膜の形成に利用されるにすぎず、大部分は膜の形成に利用されない。この膜の形成に利用されなかった原料粉は、基材に衝突した後、基材の処理対象面に沿って高速で飛散することになる。
【0009】
そのため、特許文献1記載の膜形成装置については、高速で飛散する原料粉が中間室内に侵入して中間室が汚染されたり、中間室に配設されたコンベア等に原料粉が堆積・付着して動作不良が生じる虞がある。また、高速で飛散する原料粉が遮断部にまで到達したような場合には、原料粉が遮断部に堆積・付着することで遮断部の動作不良が発生する虞もある。
【0010】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、処理室外への原料粉の飛散を抑制できる成膜装置及び成膜方法の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る成膜装置の特徴構成は、
セラミックス原料粉を搬送ガス中に分散させたエアロゾルを基材の処理対象面に向けて噴出して、前記処理対象面上に膜を形成する成膜装置であって、
内部に前記基材が配設される処理室と、
前記処理室内に配設され、前記基材を保持する保持部と、
前記処理室に連通し、前記処理室との間で前記基材が出入りする副室と、
前記基材の処理対象面と同一の平面内に前記処理室と前記副室との連通部が位置しない退避位置に、前記保持部を移動可能な移動機構と、を備える点にある。
【0012】
また、上記目的を達成するための本発明に係る成膜方法の特徴構成は、
セラミックス原料粉を搬送ガス中に分散させたエアロゾルを基材の処理対象面に向けて噴出して、前記処理対象面上に膜を形成する成膜方法であって、
処理室内に配設された保持部を、前記保持部に保持された前記基材の処理対象面と同一の平面内に、前記処理室と当該処理室との間で前記基材が出入りする副室との連通部が位置しない退避位置に移動させた状態で、前記処理対象面に向けて前記エアロゾルを噴射する点にある。
【0013】
基材の処理対象面と同一の平面内に、処理室と副室との連通部が位置した状態で、基材にエアロゾルを噴出した場合、処理対象面に衝突したエアロゾルが処理対象面に沿って高速で流れ、連通部に到達することになる。そのため、連通部に向けてエアロゾルに含まれる原料粉が高速で飛散し、原料粉が副室内に侵入することになる。しかしながら、上記特徴構成によれば、移動機構によって保持部を退避位置に移動させた状態で、基材の処理対象面にエアロゾルを噴出することができる。これにより、処理対象面に衝突したエアロゾルが連通部に到達し難くなり、連通部に向けて原料粉が飛散し難くなる。したがって、上記特徴構成によれば、原料粉の副室内への侵入(言い換えれば、処理室外への飛散)を抑制できる。
【0014】
本発明に係る成膜装置の更なる特徴構成は、
前記副室内への前記連通部を介した前記セラミックス原料粉の侵入を妨げる遮蔽ガスを噴射するガス噴射機構を備える点にある。
【0015】
また、本発明に係る成膜方法の更なる特徴構成は、
前記副室内への前記連通部を介した前記セラミックス原料粉の侵入を妨げる遮蔽ガスを噴射しながら、前記処理対象面に向けて前記エアロゾルを噴射する点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、遮蔽ガスによって副室内へのセラミックス原料粉の侵入を妨げることができるため、処理室外への原料粉の飛散をより抑制できる。
【0017】
本発明に係る成膜装置の更なる特徴構成は、
前記ガス噴射機構は、前記基材の出入り方向と交差する方向に前記遮蔽ガスを噴射する点にある。
【0018】
また、本発明に係る成膜方法の更なる特徴構成は、
前記基材の出入り方向と交差する方向に前記遮蔽ガスを噴射しながら、前記処理対象面に向けて前記エアロゾルを噴射する点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、遮蔽ガスの噴射方向が基材の出入り方向と交差していることで、噴射された遮蔽ガスによって原料粉が副室内へ侵入するという問題が生じ難い。したがって、処理室外への原料粉の飛散をより抑制できる。
【0020】
本発明に係る成膜装置の更なる特徴構成は、
前記連通部において、前記処理室と前記副室とを気密状に遮断する遮断機構を備える点にある。
【0021】
また、本発明に係る成膜方法の更なる特徴構成は、
前記連通部において前記処理室と前記副室とを気密状に遮断した状態で、前記処理対象面に向けて前記エアロゾルを噴射する点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、処理室から副室への原料粉の飛散をより抑制できる。また、処理室と副室とが気密状に遮断された状態となるため、処理室内を減圧して成膜処理を行いつつ、副室内が大気圧になるような作業を並行して行うことができる。
【0023】
本発明に係る成膜装置及び成膜方法の更なる特徴構成は、
前記退避位置において、前記保持部に保持された状態の前記基材の処理対象面と反対側の面が、前記処理室における前記連通部が存在する側に向いている点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、処理対象面がより連通部から離れた状態となるため、処理対象面に衝突したエアロゾルが連通部に到達し難く、連通部に向けて原料粉がより飛散し難くなる。したがって、原料粉の副室内への侵入を抑制できる。
【0025】
本発明に係る成膜装置の更なる特徴構成は、
前記処理室と前記副室との間で、磁気吸着手段を利用して前記基材を搬送する搬送機構を備える点にある。
【0026】
また、本発明に係る成膜方法の更なる特徴構成は、
磁気吸着を利用して、前記基材を前記処理室と前記副室との間で搬送する点にある。
【0027】
磁気吸着手段は、電磁石などを用いて比較的簡易な構造で実現できる。したがって、上記特徴構成によれば、複雑な構造を要することなく、処理室と副室との間での基材の搬送が可能となる。
【0028】
本発明に係る成膜装置の更なる特徴構成は、
前記搬送機構は、
前記磁気吸着手段を有し、前記処理室と前記副室とにそれぞれ配設されたアームと、
前記磁気吸着手段によって前記アームに着脱自在であり、前記基材を保持する基材ホルダと、
前記アームに対する前記基材ホルダの位置ずれを防止する位置ずれ防止機構と、を備える点にある。
【0029】
本発明に係る成膜方法の更なる特徴構成は、
前記処理室と前記副室とにそれぞれ配設されたアーム間で、前記基材を保持した基材ホルダを、前記アームと前記基材ホルダとの位置ずれを防止しながら前記磁気吸着を利用して受け渡し、前記処理室と前記副室との間で前記基材を搬送する点にある。
【0030】
上記特徴構成によれば、アームと基材ホルダとの位置ずれが防止されるため、基材の搬送が安定したものとなる。
【0031】
本発明に係る成膜装置の更なる特徴構成は、
前記連通部において、前記基材の搬送方向と直交する面内を移動し、前記副室の内壁に当接して前記処理室と前記副室とを気密状に遮断するスライド扉を備える点にある。
【0032】
また、本発明に係る成膜方法の更なる特徴構成は、
前記連通部において、スライド扉を前記基材の搬送方向と直交する面内で移動させ、前記副室の内壁に当接させて、前記処理室と前記副室とを気密状に遮断した状態で、前記処理対象面に向けて前記エアロゾルを噴射する点にある。
【0033】
上記特徴構成によれば、処理室から副室への原料粉の飛散をより抑制できる。また、処理室と副室とが気密状に遮断された状態となるため、例えば、処理室内を減圧して成膜処理を行いつつ、副室内が大気圧になるような作業を並行して行うことができる。
【0034】
本発明に係る成膜装置の更なる特徴構成は、
前記スライド扉に対して、当該スライド扉を前記副室の内壁に押し付ける力を作用させる押付機構を備える点にある。
【0035】
また、本発明に係る成膜方法の更なる特徴構成は、
前記スライド扉に対して、当該スライド扉を前記副室の内壁に押し付ける力を作用させた状態で、前記処理対象面に向けて前記エアロゾルを噴射する点にある。
【0036】
上記特徴構成によれば、スライド扉と副室内壁との間に隙間が生じ難くなり、処理室と副室とをより適切に遮断できる。
【0037】
本発明に係る成膜装置の更なる特徴構成は、
前記処理室内及び前記副室内の圧力を個別に調整可能な圧力調整機構を備え、
前記圧力調整機構は、前記副室内の圧力が前記処理室内の圧力よりも高くなるように調整可能である点にある。
【0038】
また、本発明に係る成膜方法の更なる特徴構成は、
前記副室内の圧力を前記処理室内の圧力よりも高くする点にある。
【0039】
上記特徴構成によれば、副室から処理室への基材の搬入及び処理室から副室への基材の搬出を行うために、スライド扉を動かして連通部を開放した際に、処理室から副室への原料粉の飛散を抑制できる。
【0040】
本発明に係る成膜装置の更なる特徴構成は、
前記副室として、前記処理室に搬入される前記基材が収容される基材導入室と、前記処理室から搬出される前記基材が収容される基材取出室と、を備える点にある。
【0041】
また、本発明に係る成膜方法の更なる特徴構成は、
前記副室としての基材導入室から前記処理室に前記基材を搬入し、前記処理室から前記副室としての基材取出室に前記基材を搬出する点にある。
【0042】
例えば、成膜装置が処理室のみを備えるような場合、複数の基材を処理するためには、処理室に基材を搬入した後、処理室を成膜処理に必要な圧力まで減圧した上で処理を施し、処理済み基材を取り出すために、処理室を大気圧まで復圧した後、処理室から処理済み基材を搬出し、次に処理する基材を処理室に搬入する必要がある。即ち、成膜装置が処理室のみを備えるような場合には、一の基材を処理する度に処理室を減圧及び復圧するための時間が必要になる。しかしながら、上記特徴構成によれば、基材導入室に複数の基材を予め収容した後、処理室に基材を順次搬入して成膜処理を施し、処理済みの基材を基材取出室に順次搬出して、基材処理室に複数の処理済み基材を収容することが可能である。そのため、上記特徴構成によれば、基材導入室に複数の基材を収容した後、基材導入室、処理室及び基材取出室を成膜処理に必要な圧力と同程度の圧力に調整することで、処理室の減圧及び復圧といった大規模な圧力調整を要することなく、或いは、短時間で可能な圧力調整を行うだけで、複数の基材を連続して処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】第1実施形態に係る成膜装置の概略構成を示す図である。
図2】第1実施形態に係る成膜装置の概略構成を示す図である。
図3】保持部の位置が退避位置でない場合の問題を説明する図である。
図4】第2実施形態に係る成膜装置の概略構成を示す図である。
図5】第2実施形態に係る成膜装置の概略構成を示す図である。
図6】アームを示す正面図である。
図7】基材ホルダを示す下面図である。
図8】基材ホルダを示す上面図である。
図9】基材の受け渡し過程を示す図である。
図10】基材の受け渡し過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る成膜装置及び成膜方法について説明する。尚、以下の説明において、上下は、図面における上側、下側をいうものとする。
【0045】
〔第1実施形態に係る成膜装置について〕
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る成膜装置1は、セラミックス原料粉を搬送ガス中に分散させたエアロゾルを基材Kの処理対象面Kaに向けて噴出して、基材Kに膜を形成する装置であって、内部に基材Kが配設される処理室2と、処理室2内に配設され、基材Kを保持する保持部4と、処理室2に連通し、当該処理室2との間で基材Kが出入りする副室6と、基材Kの処理対象面Kaと同一の平面内に処理室2と副室6との連通部7が位置しない退避位置に、保持部4を移動可能な移動機構3とを備えている。尚、図1には、保持部4が搬送位置に位置した状態を示し、図2には、保持部4が退避位置に位置した状態を示した。
【0046】
また、本実施形態において、成膜装置1は、処理室2と副室6との間で基材Kを搬送する搬送機構8や、副室6への連通部7を介したセラミックス原料粉の侵入を妨げる遮蔽ガスを噴出するガス噴射機構10、セラミックス原料粉をガスに分散させたエアロゾルを発生させるエアロゾル発生部15、噴出端5aからエアロゾルを噴出するエアロゾル搬送管5、搬送ガスをエアロゾル発生部15に送給する搬送ガス送給機構18、セラミックス原料粉をエアロゾル発生部15に送給する原料粉供給機構16、処理室2と副室6とを気密状に遮断する遮断機構9などを備えている。
【0047】
処理室2は、上端及び下端が閉塞された直方体又は概円筒状の気密状の筐体で構成されており、上端面に開口2aが形成され、側面に開口2bが形成されている。また、処理室2の内部には、ガス噴射機構10のノズル11、基材Kが保持される保持部4、エアロゾル搬送管5が配設されている。更に、処理室2の開口2aには、排気設備としてのメカニカルブースターポンプP1及び真空ポンプP2が排気管S1によって接続されており、これらメカニカルブースターポンプP1及び真空ポンプP2によって気体が排出されることで、処理室2内が所定圧力(例えば、1.0kPa程度)以下に減圧される。尚、本例において、処理室2の内面とは、筐体の内周面を意味する。
【0048】
保持部4は、成膜処理の対象である基材Kを、処理対象面Kaが水平面と平行となるように当該処理対象面Kaを下側に向けて保持可能に構成されている。尚、基材Kを保持する手法としては、基材Kの処理対象面Kaと反対の面を真空吸着する手法や、電圧をインカして電極と基材Kとの間に発生したクーロン力によって吸着する手法(所謂静電チャック)や、基材Kが磁性体の場合は電磁石によって吸着する手法が挙げられる。
【0049】
移動機構3は、ステッピングモータやボールねじなどからなる水平駆動機構及び油圧シリンダなどからなる昇降駆動機構によって構成されており、水平駆動機構によって保持部4を水平方向に移動させ、昇降駆動機構によって保持部4を鉛直方向に移動させる機構である。移動機構3は、図1に示すように、副室6内と処理室2との間で基材Kの搬送を行う際には保持部4を搬送位置に移動させ、図2に示すように、基材Kに対する成膜処理を行う際には保持部4を搬送位置よりも下側の退避位置に移動させ、処理対象面Kaを開口2bよりも下側に位置させる。尚、図1では、移動機構3を処理室2の外部に配置した状態を示したが、処理室2の内部に移動機構3を配置してもよい。また、昇降駆動機構もステッピングモータやボールねじなどからなる機構であってもよい。
【0050】
ここで、図3に示すように、保持部4が退避位置に移動していない状態で成膜処理を行う場合(即ち、基材Kの処理対象面Kaと同一の平面内に、処理室2と副室6との連通部7が位置した状態で成膜処理を行う場合)、処理対象面Kaに衝突したエアロゾルが処理対象面Kaに沿って高速で流れ、連通部7に到達することになる。つまり、エアロゾルに含まれる未利用のセラミックス原料粉が連通部7に向けて高速で飛散し、遮断機構9に堆積・付着して動作不良が発生する虞があり、また、遮断機構9を設けていない場合には、副室6へ未利用のセラミックス原料粉が侵入する。
【0051】
本実施形態に係る成膜装置1では、成膜処理を行う際に、保持部4を退避位置に移動させている。これにより、処理対象面Kaに衝突したエアロゾルが連通部7に到達し難くなるため、未利用のセラミックス原料粉が連通部7に飛散し難くなる。したがって、成膜装置1では、成膜処理時に、未利用のセラミックス原料粉が副室6へ侵入し難く、また、未利用のセラミックス原料粉が遮断機構9に堆積・付着し難い。
【0052】
副室6は、処理室2における開口2bが形成された箇所に連設され、処理室2を構成する筐体よりも容積の小さい筐体によって構成されている。副室6には、基材Kを搬出・搬入するための搬出入口6a及び真空ポンプP3が接続される開口6bが形成されている。
尚、搬出入口6aは、スライド式の扉6cによって開放・閉塞される。また、副室6内には、搬送機構8が設けられている。尚、副室6内は、真空ポンプP3によって気体が排出されることで、成膜処理時の処理室2内の圧力と同程度の圧力まで減圧される。尚、副室6内の圧力調整は、真空ポンプP3の代わりに、メカニカルブースターポンプP1や真空ポンプP2を接続し、これらによって行うようにしてもよい。
【0053】
搬送機構8は、副室6内に配設されている。本実施形態において、搬送機構8は、所謂搬送ロボットであって、特に図示しないが、基材Kを吸着保持するハンド部やハンド部を出退させるアーム部などを備えている。搬送機構8は、ハンド部で吸着保持した基材Kを保持部4に受け渡し、また、保持部4で保持された基材Kをハンド部で受け取ることで、副室6内と処理室2内との間で基材Kを移送する。
【0054】
本実施形態において、遮断機構9は、処理室2の開口2bを気密状に閉塞可能なスライド式の扉やこれを駆動する駆動機構などから構成されている。スライド式の扉が処理室2の開口2bを塞ぐことで、処理室2と副室6とが気密状に遮断された状態となる。したがって、成膜処理中に遮断機構9によって処理室2の開口2bを塞いだ状態にすることで、処理室2から副室6への未利用のセラミックス原料粉の飛散を抑制できる。更に、処理室2と副室6とが気密状に遮断された状態となるため、処理室2内を減圧して成膜処理を行いつつ、副室6内への次の成膜処理に供する基材Kの搬入などの作業(副室6内が大気圧になるような作業)を並行して行うことができる。
【0055】
エアロゾル搬送管5は、円筒状の直管部材である。また、エアロゾル搬送管5は、噴出端5aが処理室2内の保持部4と対向するように処理室2内に配設されており、噴出端5aと反対の端部はエアロゾル発生部15に接続されている。このエアロゾル搬送管5によれば、エアロゾル発生部15から送給されたエアロゾルが、噴出端5aから基材Kの処理対象面Kaに向けて噴出される、言い換えれば、鉛直方向下側から処理対象面Kaに向けてエアロゾルが噴射される。尚、噴出端5aは、その断面形状が円形に限られるものではなく、楕円形であってもよく、三角形や矩形等の多角形であってもよい。
【0056】
ガス噴射機構10は、ノズル11と、空気供給部12と、空気流量制御部13と、空気送給管S2とを有している。尚、本実施形態においては、噴射する遮蔽ガスとして空気を用いるが、これに限られるものではない。
【0057】
本実施形態において、ノズル11は、外周面が処理室2の内面に密着可能な箱型の部材からなり、下面に処理室2の内面と平行な方向に延びるスリット状の吹出口11aが形成されている。また、ノズル11は、吹出口11aから鉛直方向下方に向け且つ開口2bの開口面に沿って空気を噴射するように、開口2bよりも上側の処理室2の最上部に配置し、空気の噴射方向と搬送機構8による基材Kの搬送方向(出入り方向)とが略直交するようにして、噴射された空気が副室6内へ侵入し難いようにしている。これにより、未利用のセラミックス原料粉の副室6内への侵入が効果的に抑制される。
【0058】
空気供給部12には、一端がノズル11に接続された空気送給管S2が接続されており、空気供給部12は、空気をコンプレッサーやガスボンベによって空気送給管S2内に供給するものである。
【0059】
空気送給管S2は、空気供給部12から供給される空気をノズル11まで送給するためのものである。本実施形態においては、空気供給部12から供給される空気が空気流量制御部13を経由してノズル11まで送給されるようになっており、空気供給部12、空気流量制御部13及びノズル11の間に接続された複数の配管によって空気送給管S2が構成されている。
【0060】
空気流量制御部13は、空気送給管S2内を流通する空気の流量を制御するものである。本実施形態においては、ノズル11の吹出口11aから所定流速(本例では、10L/min)で空気が噴出されるように、その動作が図示しない制御装置によって適宜制御される。
【0061】
本実施形態において、エアロゾル発生部15には、後述する原料供給管S3が接続されている。また、エアロゾル発生部15には、後述する搬送ガス送給管S4及びエアロゾル搬送管5が接続されている。そして、エアロゾル発生部15では、原料粉供給機構16によって一定速度で供給されるセラミックス原料粉と、搬送ガス送給機構18によって送給される搬送ガスとを混合したエアロゾルを発生する。この発生したエアロゾルは、エアロゾル搬送管5に送給される。
【0062】
原料粉供給機構16は、原料粉供給部17や原料供給管S3などからなる。原料粉供給部17には、セラミックス原料粉が貯留されており、このセラミックス原料粉が原料供給管S3を通してエアロゾル発生部15に供給される。尚、セラミックス原料粉を構成する粒子としては、例えば、ジルコニアにイットリウムやカルシウム、マグネシウム、ハフニウムなどを含有する安定化ジルコニアの粒子である。尚、本実施形態においては、イットリウムを含有するジルコニア(YSZ)をセラミックス原料粉として用いる。
【0063】
搬送ガス送給機構18は、ガス供給部19や搬送ガス圧力制御部20、搬送ガス流量制御部21、搬送ガス送給管S4などからなる。
【0064】
具体的に、ガス供給部19には、搬送ガス送給管S4が接続されており、ガス供給部19は、空気やN2、He、Arなどの搬送ガスをコンプレッサーやガスボンベによって搬送ガス送給管S4内に供給するものである。
【0065】
また、本実施形態における搬送ガス送給管S4は、ガス供給部19から供給される搬送ガスをエアロゾル発生部15まで送給するためのものである。具体的に、本実施形態では、ガス供給部19から送出された搬送ガスが、搬送ガス圧力制御部20、搬送ガス流量制御部21を順に経由してエアロゾル発生部15まで送給されるようになっており、ガス供給部19、搬送ガス圧力制御部20、搬送ガス流量制御部21及びエアロゾル発生部15の間に接続された複数の配管によって搬送ガス送給管S4が構成されている。また、搬送ガス送給管S4における搬送ガス流量制御部21とエアロゾル発生部15との間には、搬送ガス送給管S4内の圧力を検出する圧力センサM1が設けられている。
【0066】
搬送ガス圧力制御部20は、搬送ガス送給管S4内を流通する搬送ガスを適正圧力に静定するものであり、搬送ガス流量制御部21は、搬送ガス送給管S4内を流通する搬送ガスの流量を制御するものである。本実施形態において、搬送ガス圧力制御部20及び搬送ガス流量制御部21は、圧力センサM1により検出される圧力などを基に、その動作が図示しない制御装置によって適宜制御される。
【0067】
〔第1実施形態に係る成膜方法について〕
次に、上記成膜装置1を用いた成膜方法により、基材Kの処理対象面Kaに膜(成膜体)を形成する過程について説明する。本実施形態に係る成膜方法では、遮断機構9によって開口2bを閉塞した状態で、副室6内に基材Kを搬入した後、当該副室6内を成膜処理時の処理室2内の圧力と同程度の圧力となるまで減圧する。その後、開口2bを開放した状態で、搬送位置に位置する保持部4に基材Kを搬送して当該保持部4により保持し、遮断機構9によって開口2bを再度閉塞する。ついで、移動機構3によって保持部4を退避位置に移動し、この状態で基材Kの成膜処理を開始する。
【0068】
成膜処理では、まず、搬送ガス圧力制御部20及び搬送ガス流量制御部21によって搬送ガス送給管S4内を流通する搬送ガスの流量や圧力を調整しながらガス供給部19からエアロゾル発生部15へと搬送ガスを送給する。エアロゾル発生部15では、送給された搬送ガスと原料粉供給部17から供給されたセラミックス原料粉とが混合したエアロゾルが発生する。発生したエアロゾルは、エアロゾル搬送管5に送給される。
【0069】
エアロゾル搬送管5に送給されたエアロゾルは、当該エアロゾル搬送管5の噴出端5aから基材Kの処理対象面Kaに向けて噴出され(言い換えれば、鉛直方向下側から処理対象面Kaに向けて噴射され)、噴出されたエアロゾルが基材Kの処理対象面Kaに衝突することで当該処理対象面Kaに膜が形成される。
【0070】
この成膜方法では、保持部4を退避位置に移動させた状態で、基材Kの処理対象面Kaにエアロゾルを噴出するようにしている。これにより、処理対象面Kaに衝突したエアロゾルが連通部7に到達し難くなるため、未利用のセラミックス原料粉が連通部7に飛散し難くなる。したがって、この成膜方法では、成膜処理時に、未利用のセラミックス原料粉が副室6へ侵入し難い。また、未利用のセラミックス原料粉が遮断機構9に堆積・付着し難い。
【0071】
成膜処理後、移動機構3によって保持部4を搬送位置に移動し、開口2bを開放する。
そして、搬送機構8によって基材Kを副室6内に搬出し、遮断機構9によって開口2bを閉塞する。その後、副室6内から処理済みの基材Kを搬出するとともに、未処理の基材Kを搬入し、以後、上記と同様の手順で基材Kに成膜処理を施す。
【0072】
以上のように、本実施形態に係る成膜装置1及び成膜方法によれば、成膜処理時に、未利用のセラミックス原料粉が連通部7に飛散し難くなるため、未利用のセラミックス原料粉の処理室2外への飛散を抑制できる。
【0073】
〔第2実施形態に係る成膜装置について〕
次に、本発明の第2実施形態に係る成膜装置について説明する。尚、第2実施形態に係る成膜装置30は、主として、副室を2つ備える点において第1実施形態に係る成膜装置1と相違する。以下、図面を参照して説明するが、第1実施形態に係る成膜装置1と同様の構成については、詳細な説明は省略する。
【0074】
図4図6に示すように、第2実施形態に係る成膜装置30は、処理室31や、副室としての基材導入室33及び基材取出室36、搬送機構40、スライド扉48,49、押付機構50、圧力調整機構55などを備えている。また、詳細な説明は省略するが、成膜装置30は、成膜装置1と同様に、エアロゾル発生部15、搬送ガス送給機構18、原料粉供給機構16などを備えている。
【0075】
図4及び図5に示すように、本実施形態の処理室31は、両側面にそれぞれ開口31a,31b、下面に開口31cが形成された直方体状の気密性を有する筐体で構成されている。処理室31の内部には、エアロゾル搬送管5の噴出端5aが上方を向くように配設されており、当該噴出端5aと反対の端部にはエアロゾル発生部15が接続されている。尚、処理室31の内部には、ホッパーHが、その下側の開口Haが開口31cに重なるように配設されており、開口31cには、成膜処理時に発生する膜の形成に利用されなかった原料粉を回収する回収部32が接続されている。
【0076】
図4及び図5に示すように、基材導入室33は、処理室31と連通し、処理室31との間で基材Kが出入り可能になっており、処理室31に搬入される基材Kが収容される。本実施形態において、基材導入室33は、背面に2つの開口33a,33bが形成され、一方の側面に開口33cが形成された直方体状の気密性を有する筐体で構成されている。また、基材導入室33を構成する筐体は、開口33cと処理室31の開口31aとが重なるように、処理室31を構成する筐体に隣接して配設されており、開口31a及び開口33cによって基材導入室33と処理室31とが連通した状態になっている。開口31a及び開口33cは、基材ホルダK1を基材導入室33から処理室31に搬出するための搬出口34を構成している。また、基材導入室33には、複数の基材ホルダK1をガイドによってズレを防止した状態で収納可能な第1ホルダ挿入カセット35が配設されている。未処理の基材Kが保持された複数の基材ホルダK1は、基材Kの処理対象面Kaが下側を向くように第1ホルダ挿入カセット35に収納される。尚、開口33aには、後述する排気管S11が接続され、開口33bには、後述する給気管S12が接続されている。
【0077】
図4及び図5に示すように、基材取出室36は、処理室31と連通し、処理室31との間で基材Kが出入り可能になっており、処理室31から搬出される基材Kが収容される。本実施形態において、基材取出室36は、背面に2つの開口36a,36bが形成され、一方の側面に開口36cが形成された直方体状の気密性を有する筐体で構成されている。また、基材取出室36を構成する筐体は、開口36cと処理室31の開口31bとが重なるように、処理室31を構成する筐体に隣接して配設されており、開口31b及び開口36cによって基材取出室36と処理室31とが連通した状態になっている。開口31b及び開口36cは、基材ホルダK1を処理室31から基材取出室36に搬入するための搬入口37を構成している。また、基材取出室36には、第2ホルダ挿入カセット38が配設され、処理室31から搬入された処理済みの基材Kが保持された複数の基材ホルダK1は、ガイドによってズレが防止された状態で、基材Kの処理対象面Kaが下側を向くように第2ホルダ挿入カセット38に収納される。尚、開口36aには、後述する排気管S11が接続され、開口36bには、後述する給気管S12が接続されている。
【0078】
図4図8に示すように、搬送機構40は、処理室31と基材導入室33及び基材取出室36との間で、磁気供給手段を利用して基材Kを搬送する。具体的には、磁気吸着手段を有し、処理室31、基材導入室33及び基材取出室36にそれぞれ配設されたアーム41,42,43と、磁気吸着手段によってアーム41,42,43に着脱自在な基材ホルダK1と、アーム41,42,43に対する基材ホルダK1の位置ずれを防止する位置ずれ防止機構45とを備えている。尚、以下において、基材導入室33に配設されたアーム41を「第1アーム41」、処理室31に配設されたアーム42を「第2アーム42」、基材取出室36に配設されたアーム43を「第3アーム43」とも称する。
【0079】
各アーム41,42,43は、先端に磁気吸着手段としての電磁石41a,42a,43aが取り付けられるとともに、当該電磁石41a,42a,43aの周りにそれぞれ2つの凸部41b,42b,43bが形成されている。各アーム41,42,43の電磁石41a,42a,43aには、図示しない電流供給手段によって電磁石41a,42a,43aに電流を供給可能になっており、電流供給を制御することによって、吸着力の発生を制御できる。
【0080】
尚、本実施形態において、第1及び第3アーム41,43は、2軸可動式アームであり、図4に示すように、X方向及びY方向に移動可能に構成されている。これに対し、第2アーム42は、3軸可動式アームであり、図4及び図5に示すように、X方向、Y方向に加え、Z方向にも移動可能に構成されている。即ち、本実施形態において、処理室31に配設されたアーム42は、移動機構としての機能も有している。尚、各アーム41,42,43の各方向への移動は、図示しない水平駆動機構や昇降駆動機構によって実現される。
【0081】
図7及び図8に示すように、基材ホルダK1は、アルミニウム製の平面視略正方形の平板状部材であり、下面に基材Kを吸着可能なラバーマグネットK2が貼付されている。基材Kは、その処理対象面Kaと反対の面が基材ホルダK1の下面と対向した状態で、ラバーマグネットK2を介して基材ホルダK1に保持される。また、基材ホルダK1の上面には、電磁石41a,42a,43aが磁気吸着可能なステンレス製の円盤状部材が埋め込まれた3つの吸着部K3,K4,K5が、基材ホルダK1の対向する2辺間の略中央に等間隔に設けられている。また、各吸着部K3,K4,K5の周囲には、各アーム41,42,43に形成された2つの凸部41b,42b,43bに対応する凹部K6,K7,K8が形成されている。尚、基材ホルダK1をホルダ挿入カセット35,38に収納した際に、基材ホルダK1に保持された基材Kの処理対象面Kaが、下の基材ホルダK1に接触するため、基材ホルダK1の下面四隅には、突起が設けられている。
【0082】
尚、本実施形態において、位置ずれ防止機構45は、各アーム41,42,43に形成された2つの凸部41b,42b,43bと、基材ホルダK1に形成された凹部K6,K7,K8とで構成される。本実施形態の位置ずれ防止機構45によれば、図6に示すように、アーム41,42,43の電磁石41a,42a,43aが基材ホルダK1の吸着部K3,K4,K5に吸着した状態で、基材ホルダK1の凹部K6,K7,K8にアーム41,42,43の凸部41b,42b,43bが嵌合することにより、アーム41,42,43に対する基材ホルダK1の位置ずれが防止される。
【0083】
この搬送機構40においては、電磁石41a,42a,43aへの電流供給を制御して吸着力の発生を制御しながら、各アーム41,42,43の移動及び各アーム41,42,43に対する基材ホルダK1の着脱を繰り返すことで、基材導入室33から処理室31、処理室31から基材取出室36へと基材ホルダK1(基材ホルダK1に保持された基材K)を搬送する。
【0084】
具体的に、本実施形態においては、図9に示すように、第1アーム41の電磁石41aを吸着部K3に吸着させた状態で第1アーム41を第2アーム42に接近させ、図10に示すように、第2アーム42の電磁石42aを吸着部K4に接近させ吸着させた後、第1アーム41の電磁石41aを吸着部K3から脱離させ、第1アーム41から第2アーム42へと基材ホルダK1(基材ホルダK1に保持された基材K)を受け渡すことで、基材導入室33から処理室31へと基材Kが搬送される。本実施形態においては、第2アーム42に受け渡された状態の基材ホルダK1が保持部に相当する。
【0085】
また、本実施形態においては、第2アーム42の電磁石42aを吸着部K4に吸着させた状態で第2アーム42を第3アーム43に接近させ、第3アーム43の電磁石43aを吸着部K5に吸着させた後、第2アーム42の電磁石42aを吸着部K4から脱離させ、第2アーム42から第3アーム43へと基材ホルダK1(基材ホルダK1に保持された基材K)を受け渡すことで、処理室31から基材取出室36へと基材Kが搬送される。
【0086】
このように、本実施形態の搬送機構40においては、基材ホルダK1を着脱するための手段として、電磁石を用いた比較的簡易な構造の磁気吸着手段を採用しているため、基材Kや基材ホルダK1を把持するような複雑な構造を要することなく、処理室31と基材導入室33及び基材取出室36との間での基材Kの搬送が可能になっている。
【0087】
図4及び図5に示すように、スライド扉48,49は、基材Kの搬送方向(基材ホルダK1の搬送方向)と直交する面内を移動し、基材導入室33や基材取出室36の内壁に当接して、処理室31と基材導入室33及び基材取出室36とを気密状に遮断する。具体的に、本実施形態の成膜装置30は、基材導入室33内に配設され、搬出口34を気密状に閉塞可能な第1スライド扉48と、基材取出室36内に配設され、搬入口37を気密状に閉塞可能な第2スライド扉49とを備えている。第1スライド扉48が搬出口34を塞ぐことで、処理室31と基材導入室33とが気密状に遮断された状態となり、第2スライド扉49が搬入口37を塞ぐことで、処理室31と基材取出室36とが気密状に遮断された状態となる。尚、第1及び第2スライド扉48,49は、図示しない駆動機構によって、上下方向(X方向)に移動するように構成されている。また、第1スライド扉48の基材導入室33の内壁に対向する面と反対の面、及び第2スライド扉49の基材取出室36の内壁に対向する面と反対の面には、Oリング48a,49aが取り付けられている。
【0088】
図4及び図5に示すように、押付機構50は、第1及び第2スライド扉48,49に対して、各スライド扉48,49をそれぞれ基材導入室33及び基材取出室36の内壁に押し付ける力を作用させる。本実施形態の押付機構50は、第1及び第2押付体対51,52やこれを駆動する駆動機構(図示せず)などで構成されている。第1及び第2押付体対51,52は、それぞれ上面視L字状の2個一対の押付体51a,52aからなる。第1押付体対51は、2つの押付体51aが搬出口34(開口33c)をZ方向において挟むような配置で基材導入室33に配設されている。また、第2押付体対52は、2つの押付体52aが搬入口37(開口36c)をZ方向において挟むような配置で基材取出室36に配設されている。また、各押付体51a,52aは、L字の一端側を通る上下方向の軸を中心に揺動自在となるように、基材導入室33又は基材取出室36の内壁に取り付けられている。
【0089】
この押付機構50によれば、第1押付体対51の各押付体51aを、第1スライド扉48における基材導入室33の内壁に対向する面と反対の面に押し付けるように駆動することで、第1スライド扉48に対して所定の押付力を作用させる。また、第2押付体対52の各押付体52aを、第2スライド扉49における基材取出室36の内壁に対向する面と反対の面に押し付けるように駆動することで、第2スライド扉49に対して所定の押付力を作用させる。
【0090】
このように、押付機構50を備えていることで、スライド扉48,49と基材導入室33や基材取出室36の内壁との間に隙間が生じ難くなり、処理室31と基材導入室33及び基材取出室36とをより適切に遮断できる。
【0091】
圧力調整機構55は、処理室31、基材導入室33内及び基材取出室36内の圧力を個別に調整可能に構成されている。図4及び図5に示すように、本実施形態の圧力調整機構55は、室内から空気を排気する排気手段56と、室内へ空気を供給する給気手段61とから構成されている。排気手段56は、排気管S11によって基材導入室33及び基材取出室36に接続されるとともに、回収部32に接続された排気ポンプ57(真空ポンプやメカニカルブースターポンプ)や排気管S11に介装された開閉弁58,59,60などから構成されている。一方、給気手段61は、給気管S12によって基材導入室33及び基材取出室36に接続された空気供給手段62(コンプレッサーや空気ボンベ)や、給気管S12に介装された空気流量制御部63,64などから構成されている。
【0092】
この圧力調整機構55においては、開閉弁58,59,60を開状態にすることで、基材導入室33や基材取出室36から気体(空気)が排出され、また、回収部32を介して処理室31から気体(空気)が排出され、これらの室内が減圧される。一方、空気流量制御部63,64によって給気管S12内の空気の流量を調整しながら基材導入室33や基材取出室36に空気を供給することで、これらの室内が加圧される。即ち、圧力調整機構55は、開閉弁58,59,60の開度や、給気管S12内の空気の流量を調整することで、処理室31、基材導入室33内及び基材取出室36内の圧力を調整する。
【0093】
圧力調整機構55によれば、例えば、開閉弁58,59,60を全開にして、処理室31、基材導入室33内及び基材取出室36内を所定圧力以下に減圧した状態で、空気流量制御部63,64によって給気管S12内の空気の流量を調整し、基材導入室33及び基材取出室36に所定の流量で空気を供給する状態とすることにより、基材導入室33内及び基材取出室36内の圧力を処理室31内の圧力よりも高くすることができる。このように、基材導入室33内及び基材取出室36内の圧力を処理室31内の圧力よりも高くした場合、スライド扉48,49に対して、基材導入室33の内壁や基材取出室36の内壁に押し付ける力を作用させることができ、処理室31と基材導入室33及び基材取出室36とをより適切に遮断できる。また、スライド扉48,49を移動させ、搬出口34や搬入口37を開放した際に、処理室31から基材導入室33や基材取出室36への原料粉の飛散が抑制される。
【0094】
〔第2実施形態に係る成膜方法について〕
次に、上記成膜装置30を用いた成膜方法について説明する。本実施形態に係る成膜方法は、まず、基材導入室33内の第1ホルダ挿入カセット35に、未処理の基材Kが保持された複数の基材ホルダK1を収納する。この際、第1及び第2スライド扉48,49は、搬出口34及び搬入口37を開放した状態であってもよいし、閉塞した状態であってもよいが、処理室31への塵埃の侵入を抑制する上で、少なくとも搬出口34を閉塞した状態であることが好ましい。
【0095】
ついで、処理室31内を成膜処理に必要な所定圧力(例えば、0.5kPa程度)まで減圧するとともに、基材導入室33内及び基材取出室36内を処理室31内よりも数十Pa程度高い圧力となるように減圧する。これにより、後の工程において、第1スライド扉48を動かして搬出口34を開放した際に、処理室31から基材導入室33への原料粉の飛散が抑制される。
【0096】
その後、第1アーム41を第1ホルダ挿入カセット35に収納された基材ホルダK1に接近させて、第1アーム41によって基材ホルダK1を吸着保持し、当該基材ホルダK1を第1ホルダ挿入カセット35から取り外す。ついで、第1スライド扉48を動かして搬出口34を開放し、搬出口34を通して、第1アーム41から第2アーム42へと基材ホルダK1(基材ホルダK1に保持された基材K)を受け渡し、基材導入室33から処理室31へと基材Kを搬送する。
【0097】
次に、第1スライド扉48を動かして搬出口34を閉塞して処理室31と基材導入室33とを気密状に遮断するとともに、第2アーム42によって基材ホルダK1を退避位置(基材Kの処理対象面Kaが搬出口34及び搬入口37よりも下側になる位置)に移動し、処理室31内が所定圧力まで低下した時点で成膜処理を開始する。尚、成膜処理は、第1実施形態の成膜方法の場合と同様に行う。
【0098】
本実施形態の成膜方法においても、基材ホルダK1を退避位置に移動させた状態で、基材Kの処理対象面Kaにエアロゾルを噴出する。そのため、未利用のセラミックス原料紛が搬出口34や搬入口37に飛散し難く、成膜処理時に、未利用のセラミックス原料紛が基材導入室33や基材取出室36へ侵入し難い。また、未利用のセラミックス原料紛が各スライド扉48,49に堆積・付着し難い。
【0099】
成膜処理後、第2スライド扉49を移動させて搬入口37を開放し、搬入口37を通して、第2アーム42から第3アーム43へと基材ホルダK1(基材ホルダK1に保持された処理済み基材K)を受け渡し、処理室31から基材取出室36へと基材Kを搬送する。しかる後、第2スライド扉49を移動させて搬入口37を閉塞するとともに、基材ホルダK1が第2ホルダ挿入カセット38の収納箇所に位置するように第3アーム43を移動させる。そして、基材ホルダK1が収納箇所に配置された後、第3アーム43による基材ホルダK1の吸着保持を解除する。これにより、一の基材Kに対する成膜処理が終了する。
【0100】
ここで、本実施形態では、未処理の複数の基材Kを基材導入室33に予め搬入でき、また、処理済みの複数の基材Kを基材取出室36に一時保管できる。したがって、基材導入室33から処理室31へと基材Kを搬送し、両室間を気密状に遮断した後、処理室31での成膜処理の終了を待つことなく、次に処理する基材Kを処理室31へと搬送する準備(即ち、第1ホルダ挿入カセット35からの基材ホルダK1の取り外し)を行うことができる。また、基材導入室33に複数の基材Kを収容した後、処理室31、基材導入室33内及び基材取出室36内を成膜処理に必要な圧力と同程度の圧力に調整することで、処理室31の減圧及び復圧といった大規模な圧力調整を要することなく、短時間で可能な圧力調整を行うだけで、複数の基材Kを連続して処理できる。
【0101】
以上のように、本実施形態に係る成膜装置30及び成膜方法においても、成膜処理時に、未利用のセラミックス原料粉が搬出口34及び搬入口37に飛散し難くなるため、未利用のセラミックス原料粉の処理室31外への飛散を抑制できる。
【0102】
〔別実施形態〕
〔1〕上記第1実施形態では、ガス噴射機構10を備えた態様としたが、これに限られるものではなく、ガス噴射機構10を備えていない態様であってもよい。また、上記第2実施形態の成膜装置がガス噴射機構を備えていてもよい。
【0103】
〔2〕上記第1実施形態では、ガス噴射機構10が、基材Kの搬送方向と略直交する方向に遮蔽ガスを噴射する態様としたが、これに限られるものではない。尚、未利用のセラミックス原料粉が、遮蔽ガスの流れにのって連通部7に向けて飛散しないようにするために、遮蔽ガスの噴射方向は、基材Kの搬送方向(出入り方向)と交差し、且つ、噴射方向を表すベクトルの成分に、処理室2から副室6へ向かう成分が含まれていないことが好ましい。
【0104】
〔3〕上記第1実施形態では、遮断機構9を備える態様としたが、これに限られるものではなく、遮断機構9を備えていない態様であってもよい。また、上記第2実施形態では、スライド扉48,49を備える態様としたが、これに限られるものではなく、スライド扉48,49を備えていない態様であってもよい。この場合でも、成膜処理時に、保持部4や基材ホルダK1を退避位置に移動させるため、未利用のセラミックス原料粉が連通部7や搬出口34、搬入口37に飛散し難く、副室6内や基材導入室33内、基材取出室36内への未利用のセラミックス原料粉の侵入が起こり難い。
【0105】
〔4〕上記第1及び第2実施形態では、処理対象面Kaが下向きとなるように保持部4や基材ホルダK1が基材Kを保持し、鉛直方向下側から処理対象面Kaに向けてエアロゾルを噴射する態様としたが、これに限られるものではない。例えば、保持部4や基材ホルダK1とエアロゾル搬送管5の噴出端5aとの鉛直方向の位置を入れ替えて、鉛直方向上側から処理対象面Kaに向けてエアロゾルを噴射する態様としてもよい。
【0106】
〔5〕上記第1実施形態では、退避位置が搬送位置よりも下側である態様としたが、これに限られるものではない。退避位置は、基材Kの処理対象面Kaと同一の平面内に処理室2と副室6との連通部7が位置しない位置であれば、特に限定されるものではなく、保持部4や副室6、エアロゾル搬送管5などの位置に応じて、適宜設定すればよい。
【0107】
〔6〕上記第1実施形態では、1つの副室6を備える態様としたが、これに限られるものではなく、複数の副室を備える態様であってもよい。例えば、処理室2における開口2bと対向する位置に更に開口を形成し、この開口が形成された箇所に別の副室を連設する態様であってもよい。
【0108】
〔7〕上記第1実施形態では、ノズル11が、開口2bの開口面に沿って空気を噴射する態様としたが、これに限られるものではなく、開口2bから離れた位置で基材Kの搬送方向(出入り方向)と略直交するように空気を噴射する態様であってもよい。
【0109】
〔8〕上記第2実施形態では、磁気吸着手段を利用して基材Kを搬送する態様としたが、これに限られるものではなく、その他の手段を利用して基材Kを搬送する態様であってもよい。
【0110】
〔9〕上記第2実施形態では、搬送機構40が位置ずれ防止機構45を備える態様としたが、これに限られるものではなく、これを備えていない態様であってもよい。また、第1実施形態の成膜装置が、位置ずれ防止機構などを備える搬送機構を備える態様であってもよい。更に、位置ずれ防止機構45の構造は適宜変更することが可能であり、上記第2実施形態における、各アーム41,42,43に形成された2つ凸部41b,42b,43b及び基材ホルダK1に形成された凹部K6,K7,K8の数や形状、位置などを変更してもよい。
【0111】
〔10〕上記第2実施形態では、スライド扉48,49に押付力を与える押付機構50を備える態様としたが、これに限られるものではなく、押付機構を備えていない態様であってもよい。また、上記第1実施形態の成膜装置において、遮断機構をスライド扉で構成し、押付機構を設けるようにしてもよい。
【0112】
〔11〕上記第2実施形態では、処理室31、基材導入室33内及び基材取出室36内の圧力を個別に調整可能な圧力調整機構55を備える態様としたが、これに限られるものではない。
【0113】
上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、基材上に膜を形成する成膜装置及び成膜方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 :成膜装置
2 :処理室
3 :移動機構
6 :副室
7 :連通部
9 :遮断機構
10 :ガス噴射機構
30 :成膜装置
31 :処理室
33 :基材導入室(副室)
36 :基材取出室(副室)
41,42,43:アーム
41a,42a,43a:電磁石(磁気吸着手段)
45 :位置ずれ防止機構
48,49:スライド扉
50 :押付機構
55 :圧力調整機構
K :基材
K1 :基材ホルダ
Ka :処理対象面
図1
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