(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158954
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 24/38 20060101AFI20221006BHJP
C04B 24/26 20060101ALI20221006BHJP
C04B 14/06 20060101ALI20221006BHJP
C04B 14/22 20060101ALI20221006BHJP
C04B 18/14 20060101ALI20221006BHJP
C04B 24/24 20060101ALI20221006BHJP
B28C 7/04 20060101ALI20221006BHJP
E01C 11/18 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C04B24/38 A
C04B24/26 D
C04B14/06 Z
C04B14/22
C04B18/14 Z
C04B24/24
B28C7/04
E01C11/18
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026551
(22)【出願日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】202110359017.6
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520452839
【氏名又は名称】中鉄北京工程局集団有限公司
【住所又は居所原語表記】NO.161 Yudai East 2nd Street, Mentougou District, Beijing 102308, China.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】汪建国
(72)【発明者】
【氏名】蒋正
(72)【発明者】
【氏名】金敏
(72)【発明者】
【氏名】劉庭栄
(72)【発明者】
【氏名】雷昌龍
(72)【発明者】
【氏名】王岩
(72)【発明者】
【氏名】張文秀
【テーマコード(参考)】
2D051
4G056
4G112
【Fターム(参考)】
2D051AB01
2D051AC02
2D051AF01
2D051AF02
2D051AF06
2D051AG03
2D051AG05
2D051AG17
2D051AH02
4G056AA06
4G056CB27
4G112MC02
4G112MD07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本願はコンクリート分野に関し、具体的には、舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート及びその製造方法を開示する。
【解決手段】速乾性早強コンクリートの原料は重量部基準で、急速構造補修材1240-1340部と、砕石860-1060部と、水とを含み、水と急速構造補修材の重量比は(0.11-0.13):1であり、前記急速構造補修材は重量比が(5-12):(4-6):(2-5):1:(0.05-0.15)である粉体、セルロース、ポリアクリルアミド、補助剤及び抗分離剤を含んで混合して調製される。その製造方法は、砕石と急速構造補修材を均一に混合して混合材を得、次に混合材を水と均一に混合して速乾性早強コンクリートを得ることである。本願のコンクリートは凝結が早く、早期強度が高く、しかも優れた早期耐ひび割れ性を有するため、施工の作業時間が大幅に短縮される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料は重量部基準で、急速構造補修材1240-1340部と、砕石860-1060部と、水とを含み、水と急速構造補修材の重量比は(0.11-0.13):1であり、前記急速構造補修材は重量比が(5-12):(4-6):(2-5):1:(0.05-0.15)である粉体、セルロース、ポリアクリルアミド、補助剤及び抗分離剤を含んで混合して調製され、粉体は重量比が5:3:(2-4):2:(1-3)である石英砂、鉱物粉末、ガラス化マイクロビーズ、シリカヒューム及び分散性ラテックス粉末を含むことを特徴とする舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート。
【請求項2】
前記セルロースはヒドロキシプロピルメチルセルロースとリグノセルロースの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート。
【請求項3】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとリグノセルロースの重量比は1:(1-3)であることを特徴とする請求項2に記載の舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート。
【請求項4】
前記ポリアクリルアミドは非イオン性ポリアクリルアミドであることを特徴とする請求項1に記載の舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート。
【請求項5】
前記非イオン性ポリアクリルアミドの分子量は800-1200万であることを特徴とする請求項4に記載の舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート。
【請求項6】
前記補助剤は減水剤、早強剤、膨張剤、保水剤及び凝結遅延剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート。
【請求項7】
製造ステップは、砕石と急速構造補修材を均一に混合して混合材を得、次に混合材を水と均一に混合して速乾性早強コンクリートを得ることであることを特徴とする請求項1-6のいずれか一項に記載の舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はコンクリート分野に関し、具体的には、舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術が進歩し続けるにつれて、航空輸送技術が急速に発展し、航空輸送のニーズを満たすためにより多くの良質な空港を建設することが、国の発展にとって必要となる。路面は空港建設の項目の1つで、その質が直接的に飛行の安全性に影響を与えるため、路面工事の質を確保することが極めて大切なことである。コンクリート舗装版の断裂は空港の路面工事の質に影響を与える大きな要因で、コンクリート舗装版が断裂すると飛行に大きな影響が出るため、断裂した舗装版を直ちに補修する必要がある。
【0003】
従来の舗装版補修は一般に2つの方法があり、1つは夜間の短い運休期間に、エポキシ樹脂モルタルを利用して局所の非全層補修を行うことで、当該補修方法は、1立方メート当たり約2.8-3万元とコストが高いだけでなく、作業が複雑で、耐久性が悪く、元の路面のコンクリートとはよく融合できないなどの欠点がある。もう1つはコンクリートを使用し、運休を実施することで破壊した舗装版を補修することであり、当該方法は運休時間が長く、6ヶ月にも及ぶなど、空港、とりわけ便数が非常に多い中枢的な空港の正常な運営に大きな影響がある。
【0004】
本発明者は、上記の従来の技術について、路面を修復する時にすぐに使用して、運休時間を短縮させることができる速乾性コンクリートを開発する必要があると考えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、路面修復時の運休時間を短縮させるために、舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1態様として、下記の技術的解決手段を採用する、舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリートを提供する。
舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリートであって、原料は重量部基準で、急速構造補修材1240-1340部と、砕石860-1060部と、水とを含み、水と急速構造補修材の重量比は(0.11-0.13):1であり、前記急速構造補修材は重量比が(5-12):(4-6):(2-5):1:(0.05-0.15)である粉体、セルロース、ポリアクリルアミド、補助剤及び抗分離剤を含んで混合して調製される。
【0007】
上記の技術的解決手段を採用する本願のコンクリートは、鉄筋の表面に不動態化皮膜を形成させることができ、急速構造補修材にセルロースとポリアクリルアミドを配合させることによって、セルロースとポリアクリルアミドが互いに架橋して、三次元ネットワーク構造を形成することで、コンクリートの凝結が促進され、コンクリートの凝結時間が改善され、且つ三次元ネットワーク構造によってコンクリート原料間のつながりの緊密さが向上し、コンクリート構造の欠陥が低減され、コンクリートの早期強度が向上するとともに、コンクリートの早期耐ひび割れ性が向上し、路面補修時の運休時間が大幅に短縮され、6-8時間以内に破壊した舗装版全体の全層交換施工が完了し、交通の開放に向け所定の強度を満たすことができる。
【0008】
好ましくは、前記セルロースはヒドロキシプロピルメチルセルロースとリグノセルロースの混合物である。
【0009】
上記の技術的解決手段を採用することによって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが高粘度で、リグノセルロースとの相溶性が高いため、セルロースとポリアクリルアミドの相互作用が強化され、両者の配合によりコンクリートの早期強度と早期耐ひび割れ性が一層向上している。
【0010】
好ましくは、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとリグノセルロースの重量比は1:(1-3)である。
【0011】
上記の技術的解決手段を採用する本願は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとリグノセルロースの重量比を限定することによって、セルロースとポリアクリルアミドの相互作用が一層強化され、コンクリートの早期強度と耐ひび割れ性が向上している。
【0012】
好ましくは、前記ポリアクリルアミドは非イオン性ポリアクリルアミドである。
【0013】
上記の技術的解決手段を採用することによって、非イオン性ポリアクリルアミドの分子鎖に極性基が含まれており、セルロースとの相溶性が高く、セルロースとポリアクリルアミドの相互作用が強化され、コンクリートの早期強度と耐ひび割れ性が向上している。
【0014】
好ましくは、前記非イオン性ポリアクリルアミドの分子量は800-1200万である。
【0015】
上記の技術的解決手段を採用する本願は、ポリアクリルアミドの分子量を限定することによって、コンクリートの早期耐ひび割れ性と早期強度を一層向上させている。
【0016】
好ましくは、前記粉体は重量比が5:3:(2-4):2:(1-3)である石英砂、鉱物粉末、ガラス化マイクロビーズ、シリカヒューム及び分散性ラテックス粉末を含む。
【0017】
上記の技術的解決手段を採用する本願は、粉体にガラス化マイクロビーズ、シリカヒュームを添加し、且つ石英砂、鉱物粉末、ガラス化マイクロビーズ、シリカヒュームと分散性ラテックス粉末の重量比を限定することによって、急速構造補修材の原料間の相溶性を向上させ、セルロースとポリアクリルアミドの相互作用を強化させており、コンクリートの早期強度と耐ひび割れ性が一層向上している。
【0018】
好ましくは、前記補助剤は減水剤、早強剤、膨張剤、保水剤及び凝結遅延剤を含む。
【0019】
上記の技術的解決手段を採用する本願は、急速構造補修材に補助剤を添加することによって、コンクリートは不浸透性が良くなり、良好な防水効果を有し、且つコンクリートの早期強度が向上している。
【0020】
本願の第2態様として、下記の技術的解決手段を採用する舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリートの製造方法を提供する。
舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリートの製造方法であって、製造ステップは、砕石と急速構造補修材を均一に混合して混合材を得、次に混合材を水と均一に混合して速乾性早強コンクリートを得ることである。
【0021】
上記の技術的解決手段を採用する本願は、急速構造補修材にセルロースとポリアクリルアミドを配合させることによって、コンクリートの早期強度が向上するとともに、コンクリートの早期耐ひび割れ性が向上し、配合比が簡単で、施工作業が行いやすく、施工コストが低減し、路面補修時の運休時間が大幅に短縮される。
【発明の効果】
【0022】
上述したように、本願は次の有益な効果を有する。
1.本願では急速構造補修材にセルロースとポリアクリルアミドを配合させることによって、セルロースとポリアクリルアミドが互いに架橋して、三次元ネットワーク構造を形成することで、コンクリートの凝結が促進され、コンクリートの凝結時間が改善され、且つ三次元ネットワーク構造によってコンクリート原料間のつながりの緊密さが向上し、コンクリート構造の欠陥が低減され、コンクリートの早期強度が向上するとともに、コンクリートの早期耐ひび割れ性が向上し、路面補修時の運休時間が大幅に短縮され、6-8時間以内に破壊した舗装版全体の全層交換施工が完了し、交通の開放に向け所定の強度を満たすことができる。
2.本願でヒドロキシプロピルメチルセルロースとリグノセルロースを配合させることが好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが高粘度で、リグノセルロースとの相溶性が高いため、セルロースとポリアクリルアミドの相互作用が強化され、両者の配合によりコンクリートの早期強度と早期耐ひび割れ性が一層向上している。
3.本願のコンクリートは配合比が簡単で、製造方法がシンプルであり、施工の作業時間が大幅に短縮され、作業効率が向上している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、製造例及び実施例で本願を詳しく説明し、本願で使用する水はGB5749「生活飲用水衛生基準」を満たす飲料水であり、本願で連続粒度砕石を使用し、そのうち粒度4.75-9.5mm、9.6-19.5mm、19.6-31.5mmの砕石はいずれも北京京豫魯建築工程有限公司より購入され、他の原料の提供は表1を参照する。
【表1】
【0024】
(急速構造補修材製造例)
製造例1:
急速構造補修材であって、900gの粉体、500gのセルロース、300gのポリアクリルアミド、100gの補助剤及び10gの抗分離剤を均一に混合して調製される。
使用する粉体は分散性ラテックス粉末、鉱物粉末と石英砂の混合物であり、分散性ラテックス粉末、鉱物粉末と石英砂の重量比は0.5:1:2である。
使用するセルロースはリグノセルロースであり、使用するポリアクリルアミドはアニオン性ポリアクリルアミドである。
使用する補助剤は減水剤、早強剤、膨張剤、保水剤、凝結遅延剤を混合して調製され、使用する減水剤、早強剤、膨張剤、保水剤、凝結遅延剤の重量比は1:1:0.8:0.7:1である。
【0025】
製造例2-8:
製造例2-8はいずれも製造例1に基づき、製造例1との違いは原料の使用量が違うことだけであり、詳細は表2を参照する。
【表2】
【0026】
製造例9:
製造例9は製造例1に基づき、製造例1との違いは、使用するセルロースがヒドロキシプロピルメチルセルロースとリグノセルロースの混合物で、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとリグノセルロースの重量比は1:0.5であるだけである。
【0027】
製造例10-12:
製造例10-12はいずれも製造例9に基づき、製造例9との違いは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとリグノセルロースの重量比が違うことだけであり、詳細は表3を参照する。
【表3】
【0028】
製造例13:
製造例13は製造例12に基づき、製造例12との違いは、使用するポリアクリルアミドが非イオン性ポリアクリルアミドで、非イオン性ポリアクリルアミドの分子量は600万であるだけである。
【0029】
製造例14-16:
製造例14-16はいずれも製造例13に基づき、製造例13との違いは、使用する非イオン性ポリアクリルアミドの分子量が違うことだけであり、詳細は表4を参照する。
【表4】
【0030】
製造例17-19:
製造例17-19はいずれも製造例16に基づき、製造例16との違いは、粉体が石英砂、鉱物粉末、ガラス化マイクロビーズ、シリカヒュームと分散性ラテックス粉末の混合物で、石英砂、鉱物粉末、ガラス化マイクロビーズ、シリカヒュームと分散性ラテックス粉末の重量比が違うことだけであり、詳細は表5を参照する。
【表5】
【0031】
比較製造例:
比較製造例1は製造例2に基づき、製造例2との違いは、同じ質量の粉体でセルロースを置き換えることだけである。
【0032】
比較製造例2:
比較製造例2は製造例2に基づき、製造例2との違いは、同じ質量の粉体でポリアクリルアミドを置き換えることだけである。
【0033】
比較製造例3:
比較製造例3は製造例2に基づき、製造例2との違いは、同じ質量の粉体で抗分離剤を置き換えることだけである。
【0034】
(実施例)
実施例1:
舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリートであって、製造ステップは、重量比が1:2:2である粒度4.75-9.5mmの砕石、粒度9.6-19.5mmの砕石と粒度19.6-31.5mmの砕石を均一に混合し、続いて混合後の砕石を1300gの急速構造補修材と均一に混合して混合材を得、次に、混合材を156gの水と均一に混合して速乾性早強コンクリートを得ることである。
使用する急速構造補修材の提供は製造例1である。
【0035】
実施例2-3:
実施例2-3はいずれも実施例1に基づき、実施例1との違いは、各原料の使用量が違うことだけであり、詳細は表6を参照する。
【表6】
【0036】
実施例4-21:
実施例4-21はいずれも実施例1に基づき、実施例1との違いは、急速構造補修材の提供が違うことだけであり、詳細は表7を参照する。
【表7】
【0037】
(比較例)
比較例1:
比較例1は実施例2に基づき、実施例2との違いは、使用する急速構造補修材の提供が比較製造例1であることだけである。
【0038】
比較例2:
比較例2は実施例2に基づき、実施例2との違いは、使用する急速構造補修材の提供が比較製造例2であることだけである。
【0039】
比較例3:
比較例3は実施例2に基づき、実施例2との違いは、使用する急速構造補修材の提供が比較製造例3であることだけである。
【0040】
比較例4:
比較例4は実施例2に基づき、実施例2との違いは、使用する砕石が500gであることだけである。
【0041】
比較例5:
比較例5は実施例2に基づき、実施例2との違いは、使用する構造補修材が1000gであることだけである。
【0042】
(性能測定試験)
実施例1-21、比較例1-5で製造した速乾性早強コンクリートについてそれぞれ下記のとおり性能試験を行う。
【0043】
凝結時間試験:
「GBT 50080-2002普通コンクリート練混物性能試験方法基準」第4章凝結時間試験に従って、直前に練り混ぜたコンクリートを5mm篩で篩い分けて細かいモルタルを得た後、初期凝結時間と最終凝結時間を測定し、試験結果は表8を参照する。
【0044】
圧縮強度試験:
GB/T 50010「普通コンクリート力学的性質試験方法」の規定に従って、直前に練り混ぜたコンクリートから辺長150mmの立方体試料を作製し、標準的な条件(温度20±3℃、相対湿度90%以下)下で2時間、3時間養生した後、試料の圧縮強度を測定し、試験結果は表8を参照する。
【0045】
早期耐ひび割れ性試験:
試験環境は温度20℃、相対湿度65%と保持し、プレート法を利用して本願で製造したコンクリートに対して早期耐ひび割れ性試験を行い、コンクリート打設24時間後に測定したひび割れデータから、単位面積当たりの総ひび割れ面積c(mm
2/m
2)を算出し、c=a×bであり、aは各ひび割れの平均ひび割れ面積(mm
2/本)であり、bは単位面積当たりのひび割れ数(本/m
2)であり、試験結果は表8を参照する。
【表8】
【0046】
上記のデータを分析して分かるように、本願に係る舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリートは配合比が簡単で、施工作業が行いやすく、その初期凝結時間が32分以下で、最終凝結時間が44分以下であり、2時間圧縮強度が29.2MPa以上で、3時間圧縮強度が31MPa以上であり、しかも優れた自己充填性を有し、施工する時は繰り返し振動する必要がなく、しかも良好な早期耐ひび割れ性を有し、施工の作業時間が大幅に短縮され、作業効率が向上しており、路面補修時の運休時間が大幅に短縮され、6-8時間以内に破壊した舗装版全体の全層交換施工が完了し、交通の開放に向け所定の強度を満たすことができる。実施例1-10のデータを分析したところ、実施例1-10で最も優れているのは実施例1であることが分かった。
【0047】
実施例1-10と比較例1-5のデータを比較して分かるように、本願のコンクリートは鉄筋の表面に不動態化皮膜を形成させることができ、急速構造補修材にセルロースとポリアクリルアミドを配合させることによって、セルロースとポリアクリルアミドが互いに架橋して、三次元ネットワーク構造を形成することで、コンクリートの凝結が促進され、コンクリートの凝結時間が改善され、且つ三次元ネットワーク構造によってコンクリート原料間のつながりの緊密さが向上し、コンクリート構造の欠陥が低減され、コンクリートの早期強度が向上するとともに、コンクリートの早期耐ひび割れ性が向上している。
【0048】
実施例11と実施例1のデータを比較して分かるように、本願ではヒドロキシプロピルメチルセルロースとリグノセルロースを配合させることによって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが高粘度で、リグノセルロースとの相溶性が高いため、セルロースとポリアクリルアミドの相互作用が強化され、両者の配合によりコンクリートの早期強度と早期耐ひび割れ性が一層向上している。
【0049】
実施例12-14と実施例11のデータを比較して分かるように、本願はヒドロキシプロピルメチルセルロースとリグノセルロースの重量比を限定することによって、セルロースとポリアクリルアミドの相互作用が一層強化され、コンクリートの早期強度と耐ひび割れ性が向上している。なお、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとリグノセルロースの重量比が1:2である場合に、コンクリートの早期耐ひび割れ性と早期強度が高かった。
【0050】
実施例15と実施例14のデータを比較して分かるように、非イオン性ポリアクリルアミドの分子鎖に極性基が含まれており、セルロースとの相溶性が高く、セルロースとポリアクリルアミドの相互作用が強化され、コンクリートの早期強度と耐ひび割れ性が向上している。
【0051】
実施例16-18と実施例15のデータを比較して分かるように、本願ではポリアクリルアミドの分子量を限定することによって、コンクリートの早期耐ひび割れ性と早期強度を一層向上させており、ポリアクリルアミドの分子量が1000万である場合に、コンクリートの早期耐ひび割れ性と早期強度が高かった。
【0052】
実施例19-21と実施例20のデータを比較して分かるように、本願は粉体にガラス化マイクロビーズ、シリカヒュームを添加し、且つ石英砂、鉱物粉末、ガラス化マイクロビーズ、シリカヒュームと分散性ラテックス粉末の重量比を限定することによって、急速構造補修材の原料間の相溶性を向上させ、セルロースとポリアクリルアミドの相互作用を強化させており、コンクリートの早期強度と耐ひび割れ性が一層向上している。
【0053】
上記の具体的な実施例は本願の解釈になるが、本願への限定ではなく、当業者は明細書を読み終えた後、本実施例に新規性のない修正を行うことができ、本願の特許請求の範囲にあるものであればいずれも特許法から保護される。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料は重量部基準で、急速構造補修材1240-1340部と、砕石860-1060部と、水とを含み、水と急速構造補修材の重量比は(0.11-0.13):1であり、前記急速構造補修材は重量比が(5-12):(4-6):(2-5):1:(0.05-0.15)である粉体、セルロース、ポリアクリルアミド、補助剤及び抗分離剤を含んで混合して調製され、粉体は重量比が5:3:(2-4):2:(1-3)である石英砂、鉱物粉末、ガラス化マイクロビーズ、シリカヒューム及び分散性ラテックス粉末を含み、前記補助剤は減水剤、早強剤、膨張剤、保水剤及び凝結遅延剤を含み、前記減水剤、早強剤、膨張剤、保水剤、凝結遅延剤の重量比は1:1:0.8:0.7:1であることを特徴とする舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート。
【請求項2】
前記セルロースはヒドロキシプロピルメチルセルロースとリグノセルロースの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート。
【請求項3】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとリグノセルロースの重量比は1:(1-3)であることを特徴とする請求項2に記載の舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート。
【請求項4】
前記ポリアクリルアミドは非イオン性ポリアクリルアミドであることを特徴とする請求項1に記載の舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート。
【請求項5】
前記非イオン性ポリアクリルアミドの分子量は800万-1200万であることを特徴とする請求項4に記載の舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリート。
【請求項6】
製造ステップは、砕石と急速構造補修材を均一に混合して混合材を得、次に混合材を水と均一に混合して速乾性早強コンクリートを得ることであることを特徴とする請求項1-5のいずれか一項に記載の舗装版の急速修復に適する速乾性早強コンクリートの製造方法。